JP6816536B2 - 乳酸酸化酵素、乳酸酸化酵素をコードする核酸分子、乳酸酸化酵素を用いた乳酸測定方法、乳酸センサー、及びバイオ燃料電池 - Google Patents
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Description
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列
(b)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び付加の少なくとも1つからなる改変を有するアミノ酸配列
(c)配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列
〔2〕10 mM以下の乳酸に対し、親和性を有する上記乳酸酸化酵素。
〔4〕以下の(d)〜(f)の何れかの塩基配列を有する上記単離核酸分子。
(d)配列番号1に示す塩基配列
(e)配列番号1に示す塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入及び付加の少なくとも1つからなる改変を有する塩基配列
(f)配列番号1に示す塩基配列と少なくとも95%の配列同一性を有する塩基配列
〔5〕上記単離核酸分子を含有する組換えベクター。
〔6〕上記組換えベクターを含有する形質転換体。
〔7〕上記形質転換体を培養する工程、及び得られた培養物から乳酸酸化反応を触媒する能力を有するタンパク質を採取する工程を含む、乳酸酸化酵素の製造方法。
本発明の乳酸酸化酵素は、乳酸酸化活性を有する酵素である。詳細には、以下の反応式に示す通り、酸素の存在下でL-乳酸に作用してピルビン酸及び過酸化水素を生成する反応を触媒する。当該触媒活性には補因子としてフラビンモノヌクレオチド(FMN)又はフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)が要求される。なお、本明細書において、特に注記がない場合には、「乳酸」は「L-乳酸」を指すものとする。
反応式 :
L-乳酸(C3H6O3) + 酸素(O2) → ピルビン酸(C3H4O3) + 過酸化水素(H2O2)
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列
(b)配列番号2に示すアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び付加の少なくとも1つからなる改変を有するアミノ酸配列
(c)配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも一定割合の配列同一性を有するアミノ酸配列
反応式:
L-乳酸(C3H6O3)+ 酸素(O2)⇔
酢酸(C2H4O3)+ 二酸化炭素(CO2)+ 水(H2O)
本発明の乳酸酸化酵素をコードする遺伝子は、上記の本発明の乳酸酸化酵素の理化学的物性を有するすべての乳酸酸化酵素をコードするものを包含する。つまり、配列番号2に示すアミノ酸配列からなる乳酸酸化酵素及びその改変体をコードする全ての核酸分子である。
(d)配列番号1に示す塩基配列
(e)配列番号1に示す塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入及び付加の少なくとも1つからなる改変を有する塩基配列
(f)配列番号1に示す塩基配列と少なくとも一定割合の配列同一性を有する塩基配列
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明の乳酸酸化酵素をコードする核酸分子を組み込むことによって構築することができる。利用可能なベクターとしては、外来DNAを組み込め、かつ宿主細胞内で自律的に複製可能なものであれば特に制限はない。したがって、ベクターは、本発明の乳酸酸化酵素をコードする核酸分子を挿入できる少なくとも1つの制限酵素部位の配列を含むものである。例えば、プラスミドベクター(pEX系、pUC系、及びpBR系等)、ファージベクター(λgt10、λgt11、及びλZAP等)、コスミドベクター、ウイルスベクター(ワクシニアウイルス、及びバキュロウイルス等)等が包含される。
本発明の形質転換体は、適当な細胞を、本発明の乳酸酸化酵素をコードする核酸分子を含む組換えベクターで形質転換することによって構築することができる。ここで、宿主となる細胞としては、本発明の乳酸酸化酵素をコードする核酸分子を効率的に発現できる宿主細胞であれば、特に制限はない。原核生物を好適に利用でき、特には大腸菌を利用することができる。その他、枯草菌、バシラス属細菌、シュードモナス属細菌等をも利用できる。大腸菌としては、例えば、E.coli DH5α、E.coli BL21、E.coli JM109等を利用できる。更に、原核生物に限定されず真核生物細胞を利用することが可能である。例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母、Sf9細胞等の昆虫細胞、CHO細胞、COS-7細胞等の動物細胞等を利用することも可能である。形質転換法としては、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソームトランスフェクション法、マイクロインジェクション法等を公知の方法を利用することができる。
本発明の乳酸酸化酵素の製造方法は、上記の本発明の形質転換体を培養し、得られた培養物から乳酸酸化反応を触媒する能力を有するタンパク質を採取することにより行うことができる。好ましくは、低濃度乳酸に対する親和性が既知の乳酸酸化酵素に比べて向上しているとの理化学的物性を有するタンパク質を採取することにより行なう。即ち、上記の本発明の形質転換体を培養する培養工程と、前記培養工程で発現した前記タンパク質を回収する回収工程とを備える。このように、適当な宿主で発現させることによって、低コストで本発明の乳酸酸化酵素の大量生産が可能となる。
本発明の乳酸酸化酵素は、試料中の乳酸測定のために利用することができる。乳酸測定は、例えば、基質である乳酸に対する酸化反応を触媒する本発明の乳酸酸化酵素の活性を測定することにより行うことができる。
本発明は、本発明の乳酸酸化酵素を利用する乳酸測定用の乳酸センサーを提供する。当該乳酸センサーは、電極材上に本発明の乳酸酸化酵素が固定化した作用電極、及びその対向電極(対極)を設けて構成することができる。必要に応じて、参照電極を設けて三電極方式として構成してもよい。電極材としては、カーボン、金、白金等を用いることができる。例えば、対極として白金電極、参照電極としてAg/AgCl電極を用いて構成することができる。
本発明は、本発明の乳酸酸化酵素を利用するバイオ燃料電池を提供する。本発明のバイオ燃料電池は、例えば、酸化反応を行う負極(アノード)と、還元反応を行う正極(カソード)を含んで構成される。正極と負極が隔膜を挟んで対向するように配置され、正極と負極は外部回路によって接続される。正極では、本発明の乳酸酸化酵素が燃料である乳酸を酸化することによって生じた電子を電極に取り出すと共に、プロトンを発生する。一方、カソード側では、アノード側で発生したプロトンが酸素と反応することによって水を生成するように構成される。
本実施例では、公知の乳酸脱水素酵素(EC 1.1.2.3)と乳酸酸化酵素(EC 1.13.12.4)のアミノ酸配列の類似性を比較検討した。
乳酸脱水素酵素(国際生化学分子生物学連合の酵素委員会による酵素番号:EC 1.1.2.3)として、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来の乳酸脱水素酵素(Accession No:P00175、アミノ酸配列:配列番号5のアミノ酸1〜555位)、及び、ハンセヌラ・アノマラ(Hansenula anomala)由来の乳酸脱水素酵素(Accession No:P00175、アミノ酸配列:配列番号6のアミノ酸1〜534位)を用い、両者のアミノ酸配列を比較した。また、乳酸酸化酵素(EC 1.13.12.4)として、エンテロコッカス属(Enterococcus sp.)細菌由来の乳酸酸化酵素(Accession No:WP_010738027、アミノ酸配列:配列番号4)、及び、エロコッカス・ビリダンス(Aerococcus viridians)由来の乳酸酸化酵素(Accession No:WP_003142047、アミノ酸配列:配列番号7のアミノ酸1〜319位)を用い、両者のアミノ酸配列を比較した。
結果を図1に示す。図1のAは、サッカロマイセス・セレビシエとハンセヌラ・アノマラ由来の乳酸脱水素酵素のアミノ酸配列を比較した結果であり、図1のBは、エンテロコッカス属細菌とエロコッカス・ビリダンス由来の乳酸酸化酵素のアミノ酸配列を比較した結果である。これらの結果から、同じ酵素番号に属する乳酸脱水素酵素間及び乳酸酸化酵素間では、高い類似性を示すアミノ酸配列を有していることが理解できる。
本実施例では、大腸菌タンパク質発現系を利用して乳酸脱水素酵素(EC 1.1.2.3)を発現させて、乳酸脱水素酵素の大量生産について検討した。
実施例1にて検討を行ったサッカロマイセス・セレビシエ由来の乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子にHis Tagコード配列を乳酸脱水素酵素のN末端又はC末端に連結するように融合させた。得られた融合遺伝子を、大腸菌タンパク質発現系の発現ベクターpET22bにクローニングし、大腸菌株BL21DE3pLysSを形質転換した。
結果を図2に示す。レーン1は、His Tagコード配列を乳酸脱水素酵素のN末端に融合させた結果であり、レーン2は、His Tagコード配列を乳酸脱水素酵素のC末端に融合させた結果を示す。何れにおいても乳酸脱水素酵素の発現を示すシグナル(矢印の位置)は確認できなかった。これら結果から大腸菌タンパク質発現系を使った乳酸脱水素酵素の発現は困難であり、定法での大量生産には不向きであることが判明した。
本実施例では、大腸菌タンパク質発現系を利用して乳酸酸化酵素(EC 1.13.12.4)を発現させて、当該乳酸酸化酵素の大量生産について検討を行った。
実施例1にて検討を行ったエンテロコッカス属細菌由来の乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子にHis Tagコード配列を乳酸脱水素酵素のN末端に連結するように融合させた。得られた融合遺伝子を、大腸菌タンパク質発現系の発現ベクターpET22bにクローニングし、大腸菌株BL21DE3pLysSを形質転換した。実施例2と同様にして、乳酸酸化酵素を発現させて、SDS-PAGEにより組換え乳酸酸化酵素の発現を確認した。
結果を図3に示す。レーン1は、菌体破砕液の上澄み液の結果であり、レーン2は、菌体破砕液の上澄み液をカラムに投入したときの素通り画分の結果であり、レーン3は、最終の酵素溶液の結果である。何れにおいても乳酸酸化酵素の発現を示すバンド(矢印の位置)を確認することができた。特に、アフィニティ精製により、乳酸酸化酵素由来の濃いバンドを確認することができた(レーン3)。これら結果から、乳酸菌の1種であるエンテロコッカス属細菌由来の乳酸酸化酵素は、大腸菌タンパク質発現系を使った大量発現が可能であり、常法での大量生産が可能であることが判明した。
本実施例では、環境試料由来のゲノムDNAを解析することにより、乳酸酸化酵素の探索及び取得を検討した。
環境試料としては木材堆肥を使用した。木材堆肥は、千葉県内の牧場から木材成分を酸化分解する細菌を多く含む牧場堆肥を採取し、以下のようにして作製した。間伐材や剪定材を粉砕機で粉砕して木材チップを製造した。当該木材チップと発酵菌を含有する牛糞とを体積比が約1:1になるように混合した後、堆肥切り返し機を用いて7〜10日に一度の割合で混合し、50〜70℃で高温発酵させた。
結果を図4及び図5に示す。図4は、サッカロマイセス・セレビシエ由来の乳酸酸化酵素との類似性を検討した結果であり、図5は、エンテロコッカス属細菌由来の乳酸酸化酵素との類似性を検討した結果である。図4及び図5の縦軸は、類似性を示す領域(ヒット領域)のアミノ酸数を示し、横軸は、アミノ酸配列の類似性の割合(%)を示す。ここで、ヒット領域のアミノ酸数は、選抜対象とした各配列が、比較対象の乳酸酸化酵素(図4はサッカロマイセス・セレビシエ由来、図5はエンテロコッカス属細菌由来)の全長アミノ酸のうち、どの程度をカーバーしているのかの目安となる。
本実施例では、実施例4で選抜した10種の候補酵素を発現させ、当該候補酵素の大量生産を検討した。
実施例4で選抜した10種の候補酵素について、それぞれをコードする遺伝子にHis Tagコード配列を候補酵素のC末端に連結するように融合させた。得られた融合遺伝子を、大腸菌タンパク質発現系の発現ベクターpET22bにクローニングし、大腸菌株BL21DE3pLysSを形質転換した。実施例2と同様にして、候補酵素を発現させ、SDS-PAGEにより候補酵素の発現を確認した。
結果を図6に示す。1種の候補酵素については形質転換体を得ることができなかったが、この1種を除いた9種の候補酵素(No.1〜No.9)は、大腸菌タンパク質発現系を使って発現を確認した(レーン1〜9)。その結果、候補酵素No.6、No.7、No.8、No.9で発現が確認できた(レーン6〜9)。
本実施例では、実施例5で取得した候補酵素であるeLact-No.6のアミノ酸配列を、既知の乳酸酸化酵素及び乳酸脱水素酵素のアミノ酸配列との類似性をそれぞれ検討した。
実施例5で取得した候補酵素であるeLact-No.6のアミノ酸配列と、既知の乳酸酸化酵素及び乳酸脱水素酵素のアミノ酸配列とを、それぞれアミノ酸配列の類似性を比較検討した。ここで、既知の乳酸酸化酵素としては、実施例1で検討したエンテロコッカス属細菌とエロコッカス・ビリダンス由来のものを使用し、既知の乳酸脱水素酵素としては、実施例1で検討したサッカロマイセス・セレビシエ及びハンセヌラ・アノマラ由来のものを使用した。
結果を図8に示す。図8のAは、乳酸酸化酵素とのアミノ酸配列と比較した結果であり、図2のBは、乳酸脱水素酵素のアミノ酸配列と比較した結果である。eLact-No.6は、検討した何れの既知の酵素ともアミノ酸配列の類似性は約30%程度と低く(A及びB)、新規なアミノ酸配列を有する酵素であることが判明した。詳細には、eLact-No.6は、エンテロコッカス属細菌由来の乳酸酸化酵素とは423個のアミノ酸中で125個が相同であり約29%の類似性であり、エロコッカス・ビリダンス由来の乳酸酸化酵素とは423個のアミノ酸中で125個が相同であり約29%の類似性であった。
本実施例では、eLact-No.6の乳酸濃度を変化させたときの酵素反応速度の変化について、既知の乳酸酸化酵素と比較し検討を行った。
結果を図9〜11に示す。図9は、eLact-No.6及び既知のエンテロコッカス属細菌由来の乳酸酸化酵素について酵素反応速度と乳酸濃度(0〜50 mM)の関係を検討した結果を示すものであり、縦軸は乳酸酸化活性(波長570 mMでの吸光度の変化量)を、横軸は乳酸濃度(mM)を示す。図10は、eLact-No.6について酵素反応速度と乳酸濃度(0.1〜1 mM)の関係を検討した結果を示すものであり、縦軸は乳酸酸化活性(波長570 mMでの吸光度の変化量)を、横軸は乳酸濃度(mM)を示す。図11は、eLact-No.6及び既知のエンテロコッカス属細菌由来の乳酸酸化酵素についてのSDS-PAGEの結果を示す。これらの結果から、既知のエンテロコッカス属細菌由来の乳酸酸化酵素では、乳酸濃度10 mM以下で酵素との親和性が急落する(図9)。一方、本発明者が取得したeLact-No.6では乳酸濃度0.5 mM程度まで、おおよそ最大活性を発揮できることを確認した(図9及び図10)。また、酵素の比活性についても、eLact-No.6は、既知のエンテロコッカス属細菌由来の乳酸酸化酵素と比較し、約2倍高いことを確認した(図9及び図10)。なお、上記で得られた乳酸酸化酵素の理化学的物性に関する結果は、SDS-PAGEで確認されたバンドの濃淡より、両酵素がほぼ同一量での比較であったことが理解できる(図11)。
本実施例では、eLact-No.6をバイオ燃料電池の負極用触媒として使い、乳酸を燃料とした場合の電池セルの発電を確認した。
本実施例で構築したバイオ燃料電池は、負極を電極材、メディエータ、酵素の各部材から構成し、当該負極に緩衝液を含む燃料液(L-乳酸溶液)を供給して、正極反応と組み合わせることで、発電させるものである。
本実施例で作製したバイオ燃料電池の電池セルの各構成部材及びその作製手順について詳細に説明する。
a−1.負極材の作製
炭素微粒子(0.4 g)、20%PVDF溶液(0.8 g、KFポリマー、クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン)、N-メチル-2-ピロリドン(8 mL)を混合し、超音波処理をして炭素インクを作製した。電極材(日本カーボンBF-20、4 cm × 4 cm)を炭素インクに浸して引き揚げ、乾熱乾燥(60℃)させたものを負極材とした。
炭素微粒子(0.4 g)、PTFE(0.4g、PTFE 6J、三井・デュポンフロロケミカル)、イソプロパノール(8 mL)を混合し、超音波処理をして炭素インクを作製した。電極材(日本カーボンBF-20、4 cm × 4 cm)を炭素インクに浸して引き揚げ、乾熱乾燥(60℃)させたものを正極材とした。
b−1.負極側
1,4-ナフトキノンを使用した。1,4-ナフトキノン 32 mgをアセトニトリル2.0 mLに溶解した溶液を、上記で作成した負極材に滴下して減圧下で乾燥固定化した。
2,2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸アンモニウム)(以下、「ABTS」と称する)を使用した。ABTS 20 mgをMilli-Q 水2.0 mLに溶解した溶液を、上記で作製した正極材に滴下して、乾燥固定化した。
上記で作製したメディエータを固定化した負極材に、実施例5で調製したeLact-No.6溶液(100μL:0.02 mg/cm2、1Mリン酸カリウム(pH 7.0))と任意量のL-乳酸を含浸させたものを負極とした。上記で作製したメディエータを固定化した正極材にビリルビンオキシダーゼ溶液(50μL:1.0 mg/cm2、1Mリン酸カリウム(pH 7.0))を含浸させたものを正極とした。負極と正極の間にセルロース膜を挟み込んで負極/セルロース膜/負極の順に積層し、電池セルの筐体の電極部に入れた。
負極に電極緩衝液(500 mMのL-乳酸を含む1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)1.6 mL)を染み込ませて、電子負荷装置を使用して電力・電流特性を測定した。また、負極に電極緩衝液として、L-乳酸を含まない電極緩衝液(1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)1.6 mL)を染み込ませた電池セルについても、同様にして電力・電流特性を測定した。
結果を図12に示す。縦軸は電力(mV)を、横軸は電流(mA)を示す。波形1は、L-乳酸を含む電極緩衝液を使用した結果を示し、波形2はL-乳酸を含まない電極緩衝液を使用した結果を示す。これらの結果から、本発明者が取得したeLact-No.6は、メディエータ(1,4-ナフトキノン)と組み合わせた場合に、乳酸を燃料にしたバイオ燃料電池で発電することが可能であることを確認した。
Claims (10)
- 以下の(a)〜(c)の何れかのアミノ酸配列からなり、酸素の存在下でL-乳酸に作用してピルビン酸及び過酸化水素を生成する乳酸酸化活性を有する乳酸酸化酵素。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列
(b)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び付加の少なくとも1つからなる改変を有するアミノ酸配列
(c)配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列 - 10 mM以下の乳酸に対し、親和性を有する請求項1に記載の乳酸酸化酵素。
- 請求項1又は2に記載の乳酸酸化酵素をコードする単離核酸分子。
- 以下の(d)〜(f)の何れかの塩基配列からなる請求項3に記載の単離核酸分子。
(d)配列番号1に示す塩基配列
(e)配列番号1に示す塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入及び付加の少なくとも1つからなる改変を有する塩基配列
(f)配列番号1に示す塩基配列と少なくとも95%の配列同一性を有する塩基配列 - 請求項3又は4に記載の単離核酸分子を含有する組換えベクター。
- 請求項5に記載の組換えベクターを含有する形質転換体。
- 請求項6に記載の形質転換体を培養する工程、及び、得られた培養物から乳酸酸化反応を触媒する能力を有するタンパク質を採取する工程を含む、乳酸酸化酵素の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の乳酸酸化酵素の触媒活性を利用して試料中に含まれる乳酸を測定する乳酸測定方法。
- 請求項1又は2に記載の乳酸酸化酵素を電極上に固定化した乳酸センサー。
- 請求項1又は2に記載の乳酸酸化酵素を含み、前記乳酸酸化酵素の乳酸の酸化反応に伴って生成する電子を受け取る負極、酸素に前記電子を伝達することのできる正極を備え、前記負極と前記正極とが電気的に結合されているバイオ燃料電池。
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