JP7165493B2 - 保存安定性に優れたグルコースデヒドロゲナーゼ及び持続血糖測定 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 公開A 集会名:米国糖尿病学会、第77回科学的セッション 開催日:平成29年6月9日~13日 公開日:平成29年6月11日 公開B 刊行物名:米国糖尿病学会、第77回科学的セッション 公開日:平成29年6月11日 公開C 掲載アドレス:https://professional.diabetes.org/content/previous-scientific-sessions-abstracts-posters-and-webcasts https://ada.scientificposters.com/epsAbstractADA.cfm?id=1 公開日:平成29年6月11日
本発明は、保存安定性に優れたグルコースデヒドロゲナーゼ及びこれを用いる持続血糖測定などのグルコース測定方法、並びにグルコースデヒドロゲナーゼの製造方法に関する。
血中グルコース濃度(血糖値)は、糖尿病の重要なマーカーである。糖尿病の診断及び管理には、自己血糖測定と持続血糖測定が重要である。特に近年は、個人差のある血糖変動をより正確に捉えるため、持続血糖測定の重要性が増している。持続血糖測定は数日~1、2週間の期間、血中グルコース濃度を測定することが出来る。持続血糖測定装置はグルコースセンサーを有する。
グルコース濃度の測定はグルコースオキシダーゼ(GOD)を用いて行うことができる。GODはグルコースを酸化する際に、酸素を電子受容体とする。これは測定サンプル中に存在する溶存酸素の影響を受けうる。我々の知る限り、現在の市販のCGM(continuous glucose monitoring)デバイスはいずれもGODに基づく。特定のGOD、例えばアスペルギルス属、例えばAspergillus niger等の微生物に由来するGODは、過酷な熱条件下でも活性を保持することが知られている(非特許文献1)。そのため、CGMデバイスでは、一般に、熱に安定なGODが用いられている。CGMは、持続血糖測定、或いは連続グルコースモニタリングと呼ばれる(本明細書ではこれらの用語は相互に置き換え可能とする)。
Burkholderia cepacia由来のGDHを用いてCGMデバイスの構築が検討されている。しかしながら、GODを用いたCGMやBurkholderia cepacia由来のGDHを用いて構築したCGMデバイスは、1日に数回のキャリブレーションが必要である(例えば非特許文献2)。多くの市販CGMデバイスにおいても、1日に数回のキャリブレーションが必要である。これはGODやGDHが時間経過により失活しているからであると考えられる。
特許文献1は、ムコール属由来のGDHを開示している。
非特許文献3はMucor prainii由来のFAD-GDHを開示している。当該文献には、GOD(E.C. 1.1.3.4)がその高い熱安定性と高いグルコース選択性のため、アンペロメトリー用グルコースセンサーとして広く使用されてきたことが記載されている。
特許文献2は、Burkholderia cepacia由来のGDHを開示している。開示されているGDHは膜結合性タンパク質であり、シトクロムドメインを有する。B. cepacia由来のGDHのアミノ酸配列はムコール属由来のFAD依存性GDHと類似していない。
特許文献3はMucor guilliermondii (MgGDH)由来のGDHを開示している。
特許文献4はMucor hiemalis (MhGDH) 由来のGDHを開示している。
特許文献5はCircinella simplex由来のCsGDH及びCircinella sp.由来のCRGDHを開示している。
特許文献6はMucor RD056860由来のMrdGDHを開示している。
特許文献7はMucor subtilissimus由来のMsGDHを開示している。
特許文献8及び特許文献9は、それぞれ、M. prainii由来のGDHを開示している。
国際公開第2015/099112号(US2016/0319246) 国際公開第2002/036779号(US2004/0023330) 国際公開第2013/051682号 特開2013-116102号 国際公開第2013/022074号(US2014/0154777) 特開2013-176363号 特開2013-176364号 国際公開第2012/169512号(US2014/0287445) 国際公開第2015/129475号(EP3112461) 国際公開第2017/1957665号
THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY Vol. 278, No. 27, Issue of July 4, pp. 24324-24333, 2003 Sekimoto, et al., American Diabetes Association, 76th Scientific Sessions, 2016, 881-P-2016 Satake, et al., J Biosci Bioeng. 2015 Nov;120(5):498-503
本発明は、CGM等に用いることのできる、長期安定性に優れたGDHを提供することを目的とする。
CGMは、理論上はGDH又はGODを有するグルコースセンサーにより実装できる。グルコースデヒドロゲナーゼはグルコースを脱水素するに当たり、電子アクセプターを用いる。これは溶存酸素の影響を受けにくいため、測定に有利であり得る。
しかしながら本発明者の知る限り、現在市販されているCGMデバイスはいずれもGODに基づく。これはGODの熱安定性に起因するものと考えられる。特定のGOD、例えばアスペルギルス属、例えばAspergillus niger等の微生物に由来するGODは、過酷な熱条件下でも活性を保持することが知られている(非特許文献1)。GODは、GDHと比較して、過酷な熱条件下ではより高い活性を保持することが知られており、グルコースセンサーに適した酵素については特にそうである。これはGODがGDHよりも安定であることを示唆している。
このような中で本発明者らは、驚くべきことに特定のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ変異体が、未改変のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼと比較して、より高い保存安定性を有することを見出し、本発明を完成させた。さらに、本発明者らは、驚くべきことに特定のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ変異体が、長期間周囲温度で保存された場合、同じ条件下での市販のグルコースオキシダーゼ(GOD)と比較して、すなわちより高い保存安定性を有することを見出し、本発明を完成させた。これは、熱処理を含む加速試験の条件下では、市販のGODの方が、FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼと比較して、より高い酵素活性を保持したことに鑑みれば、特に驚きであった。すなわち、本発明者らは、より熱安定性の高い酵素が、より保存安定性が高いとは限らないことを見出した。また、本発明者らは、酵素の熱安定性の向上に寄与する変異が、必ずしも酵素の保存安定性の向上に寄与するとは限らないこと、及び酵素の保存安定性の向上に寄与す変異が、必ずしも酵素の熱安定性の向上に寄与するとは限らないことを見出した。また、本発明者は、保存安定性が増大したFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ変異体を見出し、本発明を完成させた。
この知見に基づき、本発明は、保存安定性に優れたFAD-GDH変異体、その製造方法及び当該酵素を用いる連続グルコースモニタリング方法を提供する。またFAD-GDH変異体を含む連続グルコースモニタリングデバイスも提供する。
すなわち、本発明は以下の実施形態を包含する。
[1] FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)変異体であって、
i) 配列番号1で示されるアミノ酸配列、
ii) 配列番号1で示されるアミノ酸配列において、196位、228位、600位、267位、276位、55位、230位、235位、239位、435位、587位、588位、及び591位以外の位置で1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列、
iii) 配列番号1、3、6若しくは40で示されるアミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、又は
iv) 配列番号1、3、若しくは6で示されるアミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有し、かつ、相同性領域のアミノ酸配列が配列番号1で示されるアミノ酸配列における相同性領域と90%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
配列番号1のアミノ酸配列における196位、228位、600位、267位、276位、55位、230位、235位、239位、435位、587位、588位、及び/又は591位に対応する位置に1以上のアミノ酸置換を有し、当該置換を有しない未改変のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼと比較して、保存安定性が向上しているFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ変異体。
[2] FAD-GDHにおいて、
配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がチロシン、フェニルアラニン、リシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、メチオニン、アラニン、若しくはアルギニンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、トレオニン、ヒスチジン、セリン、グルタミン、若しくはシステインに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における600位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン若しくはトリプトファンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における267位に対応する位置のアミノ酸がアルギニン、ヒスチジン若しくはグルタミンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における276位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシン、ロイシン、バリン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン若しくはチロシンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における55位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、セリン、トレオニン、グルタミン若しくはシステインに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における230位に対応する位置のアミノ酸がグルタミン、セリン、トレオニン、アスパラギン、アルギニン、リシン、若しくはヒスチジンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における235位に対応する位置のアミノ酸がアラニン、セリン若しくはグリシンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における239位に対応する位置のアミノ酸がアラニン、セリン若しくはグリシンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における435位に対応する位置のアミノ酸がセリン、トレオニン、アスパラギン若しくはグルタミンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における587位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸若しくはグルタミン酸に置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における588位に対応する位置のアミノ酸がセリン、トレオニン、アスパラギン若しくはグルタミンに置換されている、及び/又は
配列番号1のアミノ酸配列における591位に対応する位置のアミノ酸がリシン、アルギニン若しくはヒスチジンに置換されている、
FAD-GDH変異体であって、当該置換を有しない未改変のFAD-GDHと比較して、保存安定性が向上している、1に記載のFAD-GDH変異体。
[3] FAD-GDHにおいて、
配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がチロシン、フェニルアラニン、リシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、メチオニン、若しくはアラニンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、トレオニン、若しくはヒスチジンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における600位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における267位に対応する位置のアミノ酸がアルギニンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における276位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における55位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における230位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における235位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における239位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における435位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における587位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における588位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されている、及び/又は
配列番号1のアミノ酸配列における591位に対応する位置のアミノ酸がリシンに置換されている、
FAD-GDH変異体であって、当該置換を有しない未改変のFAD-GDHと比較して、保存安定性が向上している、1又は2に記載のFAD-GDH変異体。
[4] さらに、
配列番号1のアミノ酸配列における192位に対応する位置のアミノ酸がプロリンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における212位に対応する位置のアミノ酸がロイシンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における218位に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンに置換されている、
配列番号1のアミノ酸配列における226位に対応する位置のアミノ酸がトレオニンに置換されている、及び/又は
配列番号1のアミノ酸配列における232位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている、
1~3のいずれかに記載のFAD-GDH変異体。
[5]
i)配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がチロシン、フェニルアラニン、リシン若しくはアスパラギンに置換され、かつ配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、トレオニン若しくはヒスチジンに置換されている変異体、
ii)配列番号1のアミノ酸配列における192位に対応する位置のアミノ酸がプロリンに置換され、かつ、配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がチロシン、フェニルアラニン、リシン若しくはアスパラギンに置換されている変異体、
iii) 配列番号1のアミノ酸配列における226位に対応する位置のアミノ酸がトレオニンに置換され、かつ配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、トレオニン若しくはヒスチジンに置換されている変異体、
iv) 配列番号1のアミノ酸配列における230位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における232位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における235位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換され、かつ配列番号1のアミノ酸配列における239位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている変異体、
v)配列番号1のアミノ酸配列における192位に対応する位置のアミノ酸がプロリンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における212位に対応する位置のアミノ酸がロイシンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における218位に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における226位に対応する位置のアミノ酸がトレオニンに置換され、かつ配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されている192P/196N/212L/218H/226T/228N変異体、
vi) 前記v)の変異体において、さらに、配列番号1のアミノ酸配列における230位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における232位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における235位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における239位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている192P/196N/212L/218H/226T/228N/230Q/232A/235A/239A変異体、及び
vii) 前記vi)の変異体において、さらに配列番号40のアミノ酸配列を有するM3変異体、
からなる群より選択され、当該置換を有しないFAD-GDHと比較して、保存安定性が向上している、1~4のいずれか1項に記載のFAD-GDH変異体。
[6] 加温前の未置換のFAD-GDHの酵素活性を100%としたときの、20-40℃でpH 7.4にて加温した未置換のFAD-GDHの残存活性(%)と、加温前のFAD-GDH変異体の酵素活性を100%としたときの、20-40℃でpH 7.4にて加温したFAD-GDH変異体の残存活性(%)とを比較して、
(a)1週間加温した後の残存活性(%)が1%以上向上している、
(b)2週間加温した後の残存活性(%)が3%以上向上している、
(c)3週間加温した後の残存活性(%)が3%以上向上している、又は
(d)4日間加温した後の残存活性(%)が1%以上向上している、
1~5のいずれかに記載のFAD-GDH変異体。
[7] 1~6のいずれかに記載のFAD-GDH変異体をコードするFAD-GDH遺伝子。
[8] 7に記載のFAD-GDH遺伝子を含むベクター。
[9] 8に記載のベクターが導入されている宿主細胞。
[10] 以下の工程を含むFAD-GDHを製造する方法:
9に記載の宿主細胞を培養する工程、
前記宿主細胞中に含まれるFAD-GDH遺伝子を発現させる工程、及び
前記培養物からFAD-GDHを単離する工程。
[11] 1~6のいずれかに記載のFAD-GDH変異体を含むグルコースアッセイキット。
[12] 1~6のいずれかに記載のFAD-GDH変異体を含むグルコースセンサー。
[13] 12に記載のグルコースセンサーを有する持続血糖測定デバイス。
[14] 1~6のいずれかに記載のFAD-GDH変異体、11に記載のキット、12に記載のセンサー、又は13に記載のデバイスを用いるグルコース測定方法。
[15] 20~40℃で、1日~2週間の連続測定を行う、14に記載の方法。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2017-111101号の開示内容を包含する。
本発明によれば、保存安定性に優れたFAD-GDHを提供できる。これは連続グルコース測定や連続グルコースモニタリング用途において特に有用である。なぜならば、FAD-GDHの長期安定性のため、指先穿刺によるキャリブレーションの必要なしに、センサーの全寿命にわたり、GDHを使用することができるからである。ほとんどのGODに基づくCGMシステムは、一定期間ごとに、例えば12時間おきに、センサーの全寿命にわたり指先穿刺によるキャリブレーションを必要とする。これはCGMデバイスが使用される30-40℃の周囲温度ではGODの活性が急激に低下するためであると考えられる。これに対して、本発明のFAD-GDH変異体は驚くべきことに、長期間にわたり、例えば数週間にわたり30-40℃の周囲温度で高い安定性(酵素活性)を保持し、再キャリブレーションなしに、又はより低頻度のキャリブレーションにて、使用可能であることが本発明者により見出された。
各種由来のGDHのマルチプルアライメントを示す。MpGDHはMucor prainii由来GDH(配列番号1)であり、MhGDHはMucor hiemalis由来GDH(配列番号3)であり、MrdGDHはMucor RD056860由来GDH(配列番号4)であり、MsGDHはMucor subtilissimus由来GDH(配列番号5)であり、MgGDHはMucor guilliermondii由来GDH(配列番号6)であり、CsGDHはCircinella simplex由来GDH(配列番号7)であり、CrGDHはCircinella属由来GDH(配列番号8)であり、McGDHはMucor circinelloides由来GDH(配列番号9)である。 図1-1のつづきである。 図1-2のつづきである。 図1-3のつづきである。
(本発明のFAD-GDHの作用原理および活性測定法)
本発明のFAD-GDHは、電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ-δ-ラクトンを生成する反応を触媒する。
本発明のFAD-GDHの活性は、この作用原理を利用し、例えば、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート(PMS)および2,6-ジクロロインドフェノール(DCIP)を用いた以下の系を用いて測定することができる。
(反応1) D-グルコ-ス + PMS(酸化型)
→ D-グルコノ-δ-ラクトン + PMS(還元型)
(反応2) PMS(還元型) + DCIP(酸化型)
→ PMS(酸化型) + DCIP(還元型)
(反応1)において、グルコースの酸化に伴い、PMS(還元型)が生成する。続いて進行する(反応2)により、PMS(還元型)が酸化されるのに伴ってDCIPが還元される。この「DCIP(酸化型)」の消失度合を波長600nmにおける吸光度の変化量として検知し、この変化量に基づいて酵素活性を求めることができる。
本発明のFAD-GDHの活性は、以下の手順に従って測定する。100mMリン酸緩衝液(pH7.0) 2.05mL、1M D-グルコース溶液 0.6mLおよび2mM DCIP溶液 0.15mLを混合し、37℃で5分間保温する。次いで、15mM PMS溶液 0.1mLおよび酵素サンプル溶液0.1mLを添加し、反応を開始する。反応開始時、および経時的な吸光度を測定し、酵素反応の進行に伴う600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量(ΔA600)を求め、次式に従いGDH活性を算出する。この際、GDH活性は、37℃において濃度200mMのD-グルコース存在下で1分間に1μmolのDCIPを還元する酵素量を1Uと定義する。
Figure 0007165493000001
なお、式中の3.0は反応試薬+酵素試薬の液量(mL)、16.3は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm2/μmol)、0.1は酵素溶液の液量(mL)、1.0はセルの光路長(cm)、ΔA600blankは酵素の希釈に用いた緩衝液を酵素サンプル溶液の代わりに添加して反応開始した場合の600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量、dfは希釈倍数を表す。
(本発明のFAD-GDH変異体のアミノ酸配列)
本発明のFAD-GDH変異体は、配列番号1、3、6若しくは40で示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列と同一性の高い、例えば70%以上、71%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%以上同一なアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列において1もしくは数個(例えば15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個又は2個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、配列番号1記載のアミノ酸配列における55位、192位、196位、212位、218位、226位、228位、230位、232位、235位、239位、267位、276位、435位、587位、588位、591位及び/又は600位から選択されるアミノ酸に対応する位置で、1つ又はそれ以上、例えば1~18、例えば2~12のアミノ酸置換を有するものであり得る。
ある実施形態において本発明のGDHはFAD依存性GDHの変異体である。ある実施形態において、本発明のGDHから天然のGDHは除かれる。
ある実施形態において、本発明のFAD-GDH変異体は、配列番号1記載の192位に対応する位置においてアミノ酸置換を有しうる。配列番号1の192位はセリンであるが、置換前のアミノ酸に本質的な意味はなく、置換前のアミノ酸はこれに限らない。置換後のアミノ酸はプロリンであり得る。本明細書においてこのアミノ酸置換を「S192P」又は「192P」と記載することがあるが、両者は本質的に同義である。
以下、同様に、種々の実施形態において、本発明のFAD-GDH変異体は、下記の表に示す配列番号1記載の所定の位置に対応する(当該GDH中の)位置においてアミノ酸置換を有しうる。
Figure 0007165493000002
例えば配列番号1の228位はアスパラギン酸であるが、本発明の変異体において、配列番号1の228位に対応する位置のアミノ酸をアスパラギン、セリン、トレオニン、グルタミン又はシステイン又はヒスチジンに置換しうる。他の位置及び置換アミノ酸についても同様に上記の表から読み取ることができる。
ある実施形態において、本発明の変異体はD55Nでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はS192Pでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はS196N、S196Y、S196F若しくはS196Kでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はI212Lでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はA218Hでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はI226Tでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はD228N、D228T若しくはD228Hでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はE435Sでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はS587Dでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はP588Sでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はM591Kでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体はV600Iでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体は267Rでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体は276Iでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体は230Qでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体は232Aでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体は235Aでありうる又は該変異を有しうる。
ある実施形態において、本発明の変異体は239Aでありうる又は該変異を有しうる。
これらの場合において、位置はいずれも配列番号1の位置に対応する当該GDH中の位置を意味する。
他の由来のGDHについても、配列番号1の所定の位置に対応する当該他の由来のGDH中の位置にアミノ酸置換を行うことができる。以下に、対応する位置を示す。
Figure 0007165493000003
例えば表中、配列番号1の218位に対応する位置及びアミノ酸は、Mucor circinelloides由来のMcGDH(配列番号9)では、219位のアラニンである。他の位置についても同様に表から読み取ることができる。
ある実施形態において、本発明のFAD-GDH変異体は上記のアミノ酸置換を複数、例えば2~12有する多重変異体であり得る。本明細書において多重変異体を「/」記号を用いて示すことがある。例えばある実施形態において本発明のFAD-GDH変異体は配列番号1の192位に対応する位置にアミノ酸置換を有し、配列番号1の196位に対応する位置にアミノ酸置換を有する二重変異体であり得る。この二重変異体を本明細書において「S192/S196」又は「192/196」変異体と記載することがあるが、これらは同義である。例えばある実施形態において本発明のFAD-GDH変異体は配列番号1の192位に対応する位置にプロリンへのアミノ酸置換(192P)を有し、配列番号1の196位に対応する位置にアスパラギンへのアミノ酸置換(196N)を有する二重変異体であり得る。この二重変異体を本明細書において「S192P/S196N」又は「192P/196N」と記載することがあるが、これらは同義である。
以下、同様の標記方法により本発明が包含するGDH多重変異体の一部を例示する。表では位置は便宜上配列番号1の位置を示しているが、変異体における位置は配列番号1の所定の位置に対応する(当該変異体中の)位置である。
Figure 0007165493000004
(いずれも配列番号1における位置)
Figure 0007165493000005
(いずれも配列番号1における位置)
Figure 0007165493000006
(いずれも配列番号1における位置)
Figure 0007165493000007
(いずれも配列番号1における位置)
Figure 0007165493000008
(いずれも配列番号1における位置)
Figure 0007165493000009
(いずれも配列番号1における位置)
Figure 0007165493000010
(いずれも配列番号1における位置)
Figure 0007165493000011
(いずれも配列番号1における位置)
本発明の変異体は表3-1に記載の位置に変異を有する単変異体であり得る。
本発明の変異体は表3-2又は3-6に記載の位置に変異を有する二重変異体であり得る。
本発明の変異体は表3-3~3-5又は3-7に記載の位置に変異を有する三重変異体であり得る。
本発明の変異体は表3-8に記載の位置に変異を有する四重変異体であり得る。
本発明の変異体は、上記表に記載の変異を組み合わせた四重~十二重変異体又は四重~18重変異体であり得る。これらの変異体の各位置に関し、置換アミノ酸は表1に記載のものであり得る。
具体的な変異体を例示すると、本発明の変異体は
196N/228N、196N/228T、196N/228H、196Q/228N、196Q/228T、196Q/228H、
196A/228N、196A/228T、196A/228H、196F/228N、196F/228T、196F/228H、
196H/228N、196H/228T、196H/228H、196K/228N、196K/228T、196K/228H、
196M/228N、196M/228T、196M/228H、196Y/228N、196Y/228T、196Y/228H、
196N/600I、196Q/600I、196A/600I、196F/600I、196H/600I、196K/600I、196M/600I、196Y/600I、
196N/267R、196Q/267R、196A/267R、196F/267R、196H/267R、196K/267R、196M/267R、196Y/267R、
196N/276I、196Q/276I、196A/276I、196F/276I、196H/276I、196K/276I、196M/276I、196Y/276I、
196N/55N、196Q/55N、196A/55N、196F/55N、196H/55N、196K/55N、196M/55N、196Y/55N、
228N/600I、228T/600I、228H/600I、
228N/267R、228T/267R、228H/267R、
228N/276I、228T/276I、228H/276I、
228N/55N、228T/55N、228H/55N、
E230Q/V232A/V235A/T239A/55N、E230Q/V232A/V235A/T239A/S192P、E230Q/V232A/V235A/T239A/S196N、E230Q/V232A/V235A/T239A/I212L、E230Q/V232A/V235A/T239A/A218H、E230Q/V232A/V235A/T239A/I226T、E230Q/V232A/V235A/T239A/D228N、E230Q/V232A/V235A/T239A/435S、E230Q/V232A/V235A/T239A/S587D、E230Q/V232A/V235A/T239A/S588S、E230Q/V232A/V235A/T239A/M591K、E230Q/V232A/V235A/T239A/V600I、
S192P/S196N、
S192P/S196N/E230Q/V232A/V235A/T239A、
I212L/A218H、
I212L/A218H/E230Q/V232A/V235A/T239A、
I226T/D228N、
I226T/D228N/E230Q/V232A/V235A/T239A、
I212L/A218H/I226T、
I212L/A218H/I226T/E230Q/V232A/V235A/T239A、
S192P/I212L/A218H/I226T、
S192P/I212L/A218H/I226T/E230Q/V232A/V235A/T239A、
S192P/S196N/I212L/A218H、
S192P/S196N/I212L/A218H/E230Q/V232A/V235A/T239A、
S192P/S196N/I226T/D228N、
S192P/S196N/I226T/D228N/E230Q/V232A/V235A/T239A、
I212L/A218H/I226T/D228N、
I212L/A218H/I226T/D228N/E230Q/V232A/V235A/T239A、
S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N、
S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N/E230Q/V232A/V235A/T239A、
D55N/S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N、
D55N/S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N/435S、
D55N/S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N/435S/S587D、
D55N/S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N/435S/S587D/P588S、
D55N/S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N/435S/S587D/P588S/M591K、
D55N/S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N/435S/S587D/P588S/M591K/V600I、又は
D55N/S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N/E230Q/V232A/V235A/T239A/435S/S587D/P588S/M591K/V600I
の変異を有し得る。これらの場合において、位置はいずれも配列番号1の位置に対応する当該GDH中の位置を意味する。
また、上記のような多重変異体を作出するにあたっては、上述の各種の置換以外の位置における置換を組み合わせることもできる。このような置換の位置は、単独で置換を導入した場合には、上述の置換部位におけるもののように顕著な効果を奏さないものであっても、上述の置換部位と組み合わせて導入することによって、相乗的に効果を奏するものであり得る。
また、本発明のFAD-GDHには、上述のような、保存安定性を向上させる変異のほかに、熱安定性を向上させる変異、マルトースへの反応性を低減させる変異、温度依存性を改善させる変異や、pHや特定の物質などへの耐性を向上させる変異のような、別種の効果を奏する変異、例えばそのような効果を奏する各種公知の変異を任意に組み合わせてもよい。このような別種の変異を組み合わせた場合であっても、本発明の効果を発揮し得るものである限り、それらのFAD-GDH変異体は本発明に包含される。
ある実施形態において、出発GDHとして、国際公開第2015/099112号(US2016/0319246)、国際公開第2012/169512号(US2014/0287445)又は国際公開第2015/129475号(EP3112461)又は国際公開第2017/1957665号に記載のGDH、又はそれをコードするGDH遺伝子を用いることができる。参照によりこれらの全内容を本明細書に組み入れる。取得したGDH遺伝子を変異させGDHにアミノ酸置換を導入しうる。変異はこれらの文献に開示されている位置又はそれに対応する位置に導入されうる。ある実施形態において、Mucor prainii由来GDH(MpGDH、配列番号1)は、N66Y/N68G/C88A/Q233R/T387C/E554D/L557V/S559K変異を導入することにより改変しうる。便宜上これをM1変異体と呼ぶことがある。ある実施形態において、Mucor prainii由来GDH(MpGDH、配列番号1)は、M1にA175C/N214C/G466D変異を導入することにより改変しうる。便宜上これをM2変異体と呼ぶことがある。出発GDHとしてこのようなGDHを使用し、本発明の変異を導入しうる。
後述のとおり、本発明のFAD-GDH変異体は、例えば、まず任意の方法で、配列番号1のアミノ酸配列に類似するアミノ酸配列をコードする遺伝子を入手し、配列番号1の所定の位置に対応する位置におけるいずれかの位置にアミノ酸置換を導入することにより得ることもできる。
アミノ酸置換の導入方法としては、例えばランダムに変異を導入する方法あるいは想定した位置に部位特異的変異を導入する方法が挙げられる。前者としては、エラープローンPCR法(Techniques,1,11-15,(1989))や、増殖の際、プラスミドの複製にエラーを起こしやすく、改変を生じやすいXL1-Redコンピテントセル(STRATAGENE社製)を用いる方法等がある。また、後者として、目的タンパク質の結晶構造解析により立体構造を構築し、その情報をもとに目的の効果を付与すると予想されるアミノ酸を選択し、市販のQuick Change Site Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社製)等により部位特異的変異を導入する方法がある。あるいは、目的タンパク質と相同性の高い公知のタンパク質の立体構造を用いてモデリングを行い、目的の効果を付与すると予想されるアミノ酸を選択し、部位特異的変異を導入することもできる。
本明細書にいう、「配列番号1のアミノ酸配列に対応する位置」とは、配列番号1のアミノ酸配列と、他のアミノ酸配列とをアラインさせた場合に、そのアラインメントにおける同一の位置を意味する。他のアミノ酸配列としては、配列番号1と高いアミノ酸配列同一性(例えば70%以上、71%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%以上)を有するアミノ酸配列が挙げられる。なお、アミノ酸配列の同一性は、GENETYX Ver.11(ゼネティックス社製)のマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラム、又はDNASIS Pro(日立ソフト社製)のマキシマムマッチングやマルチプルアライメント等のプログラムにより計算することができる。
上記の「配列番号1のアミノ酸配列に対応する位置」を特定する方法としては、例えば、リップマン-パーソン法等の公知のアルゴリズムを用いてアミノ酸配列を比較し、FAD-GDHのアミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の同一性を与えることにより行うことができる。FAD-GDHのアミノ酸配列をこのような方法で整列させることにより、アミノ酸配列中にある挿入、欠失にかかわらず、対応するアミノ酸残基の各FAD-GDH配列における配列中の位置を決めることが可能である。特にアミノ酸配列同一性が70%以上のアミノ酸配列を比較する場合に決めることが可能である。対応する位置は、三次元構造中で同位置に存在すると考えられ、対象となるFAD-GDHの保存安定性に関して類似した効果を有することが合理的に推定できる。なお、GDHによっては、アライメントの結果、特定のドメインやループが欠失している等により配列番号1の所定の位置に対応する位置が存在しない場合もあり得るが、そのような場合には当該対応する位置の存在ない位置はアミノ酸置換するに及ばず、対応する位置を決定できる他の位置にアミノ酸置換を導入すればよい。
(相同性領域について)
アミノ酸配列の同一性又は類似性は、GENETYX Ver.11(ゼネティックス社製)のマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラムまたはDNASIS Pro(日立ソリューションズ社製)のマキシマムマッチングやマルチプルアライメント等のプログラムにより計算することができる。アミノ酸配列同一性を計算するために、2以上のGDHをアライメントしたときに、該2以上のGDHにおいて同一であるアミノ酸の位置を調べることができる。こうした情報を基に、アミノ酸配列中の同一領域を決定できる。
また、2以上のGDHにおいて類似であるアミノ酸の位置を調べることもできる。例えばCLUSTALWを用いて複数のアミノ酸配列をアライメントすることができ、この場合、アルゴリズムとしてBlosum62を使用し、複数のアミノ酸配列をアライメントしたときに類似と判断されるアミノ酸を類似アミノ酸と呼ぶことがある。本発明の変異体において、アミノ酸置換はこのような類似アミノ酸の間の置換によるものであり得る。こうしたアライメントにより、複数のアミノ酸配列について、アミノ酸配列が同一である領域及び類似アミノ酸によって占められる位置を調べることができる。こうした情報を基に、アミノ酸配列中の相同性領域(保存領域)を決定できる。
本明細書において「相同性領域」とは、2以上のGDHをアライメントしたときに、ある基準となるGDHと比較対象のGDHの対応する位置におけるアミノ酸が同一であるか又は類似アミノ酸からなる領域であって、連続する3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上又は10以上のアミノ酸からなる領域をいう。例えば、図1では全長アミノ酸配列の配列同一性が70%以上であるGDHをアライメントした。このうち、配列番号1で示されるMucor属GDHを基準として第31位~41位は同一アミノ酸からなり、よって相同性領域に該当する。同様に、配列番号1で示されるMucor属GDHを基準として、31位~41位、58~62位、71~85位、106~116位、119~127位、132~134位、136~144位、150~153位、167~171位、219~225位、253~262位、277~281位、301~303位、305~312位、314~319位、324~326位、332~337位、339~346位、348~354位、386~394位、415~417位、454~459位、476~484位、486~491位、508~511位、518~520位、522~524位、526~528位、564~579位、584~586位、592~595位、597~599位、607~617位、及び625~630位は相同性領域に該当しうる。
本発明のGDHは、配列番号1、3、6若しくは40に示されるアミノ酸配列を有するGDHとアライメントしたときに50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、例えば99%以上の全長アミノ酸配列同一性を有し、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する。さらに、本発明のGDH変異体の相同性領域におけるアミノ酸配列は、配列番号1、3、若しくは6における相同性領域のアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、例えば99%以上の配列同一性を有する。
本発明のFAD-GDHには、上記の同一性の範囲内で各種のバリエーションが想定されるが、各種FAD-GDHの酵素科学的性質が本明細書に記載する本発明のFAD-GDHと同様である限り、それらは全て本発明のFAD-GDHに含まれ得る。このようなアミノ酸配列を有するFAD-GDHは、保存安定性の高いFAD-GDHであり、産業上有用である。
また、本発明のFAD-GDH変異体において、上述の位置において置換後のアミノ酸が上述のとおりであること、例えば配列番号1の192位に対応する位置のアミノ酸が置換後にプロリンであることが重要であり、それが人為的な置換操作によるものか否かは問わない。例えば、配列番号1記載のタンパク質のように、上記の位置のアミノ酸が本発明で所望される残基とは元々異なっているタンパク質を出発物質として、そこに公知の技術を用いて所望の置換を導入していく場合であれば、これらの所望されるアミノ残基は置換により導入される。一方、公知のペプチド全合成により所望のタンパク質を入手する場合、又は、所望のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするように遺伝子配列を全合成し、これに基づき所望のタンパク質を入手する場合、あるいは、天然型として見出されたものの中に元々そのような配列を有するものがあった場合等には、人為的な置換という工程を経ることなく、本発明のFAD-GDHを得ることができる。ただし、本発明のFAD-GDH変異体からは天然物や天然の配列そのものは除かれる。例えば配列番号1の192位に関し、これに対応する位置のアミノ酸が天然配列においてプロリンであるものは、本明細書にいう「192P」変異体に該当しない。
(FAD-GDHの保存安定性)
従来のGODやFAD-GDH、さらには本発明のFAD-GDH変異体の保存安定性は、本明細書中に記載の活性測定方法及び保存安定性測定方法に記載した条件において評価される。アミノ酸置換の前後でのGDHの保存安定性を比較することにより、当該置換による保存安定性の向上を評価することができる。保存安定性は、保存安定性試験における初期活性及び所定期間経過後の残存活性から決定する。初期活性と残存活性の比を計算するために、酵素活性は、初期状態及び加温後において同じ条件で測定する。試験の初期状態における活性を100%とし、例えば20-40℃の周囲温度で所定期間、例えば1日~3週間にわたりGDHを加温し、その後の残存活性を測定する。ある実施形態において、保存試験の溶液のpHは6.9~7.4、例えば7.4である。これは血液のpHが中性付近であるためである。pHはPBSのようなリン酸緩衝液などの慣用のバッファーにより調整しうるが、緩衝剤や緩衝液はこれに限らない。
ある実施形態において、本発明のFAD-GDH変異体は、pH 7.4にて、
(a) 20-40℃、例えば40℃で、1週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、60%以上、例えば65%以上、70%以上、75%以上、例えば80%以上、90%以上、例えば95%、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
(b) 20-40℃、例えば40℃で、2週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、40%以上、例えば45%以上、50%以上、55%以上、例えば60%以上、70%以上、75%以上、例えば80%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
(c) 20-40℃、例えば40℃で、3週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、30%以上、例えば35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、例えば60%、70%以上、75%以上、例えば80%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、または
(d) 20-40℃、例えば40℃で、4日間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、60%、70%以上、71%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、例えば80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
保存安定性(長期安定性)を有し得る。
ある実施形態において、本発明のFAD-GDH変異体は、pH 7.4にて、
(a) 20-40℃、例えば25℃で、1週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、40%以上、50%以上、60%以上、例えば65%以上、70%以上、75%以上、例えば80%以上、90%以上、例えば95%、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
(b) 20-40℃、例えば25℃で、2週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、40%以上、50%以上、40%以上、例えば45%以上、50%以上、55%以上、例えば60%以上、70%以上、75%以上、例えば80%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
(c) 20-40℃、例えば25℃で、3週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、40%以上、50%以上、30%以上、例えば35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、例えば60%、70%以上、75%以上、例えば80%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、または
(d) 20-40℃、例えば25℃で、4日間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、40%以上、50%以上、60%、70%以上、71%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、例えば80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
保存安定性(長期安定性)を有し得る。
ある実施形態において、本発明のFAD-GDH変異体は、pH 7.4にて、
(a) 20-40℃、例えば20℃で、1週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、60%以上、例えば65%以上、70%以上、75%以上、例えば80%以上、90%以上、例えば95%、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%以上のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
(b) 20-40℃、例えば20℃で、2週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、40%以上、例えば45%以上、50%以上、55%以上、例えば60%以上、70%以上、75%以上、例えば80%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
(c) 20-40℃、例えば20℃で、3週間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、30%以上、例えば35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、例えば60%、70%以上、75%以上、例えば80%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、または
(d) 20-40℃、例えば20℃で、4日間にわたり加温した場合に、初期活性100%のうち、60%、70%以上、71%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、例えば80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、例えば95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、例えば99%のデヒドロゲナーゼ活性が保持される、
保存安定性(長期安定性)を有し得る。
ある実施形態において、本発明のFAD-GDH変異体は、
加温前の未置換のFAD-GDHの酵素活性を100%としたときの、20-40℃でpH 7.4にて加温した未置換のFAD-GDHの残存活性(%)と、加温前のFAD-GDH変異体の酵素活性を100%としたときの、20-40℃でpH 7.4にて加温したFAD-GDH変異体の残存活性(%)とを比較して、
(a)1週間加温した後の残存活性(%)が1%以上、1.5%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上、50%以上、例えば55%以上、向上している、
(b)2週間加温した後の残存活性(%)が1%以上、1.5%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、20%以上、25%以上、例えば30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、例えば55%以上、向上している、
(c)3週間加温した後の残存活性(%)が1%以上、1.5%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、20%以上、25%以上、例えば30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、例えば55%以上、向上している、又は
(d)4日間加温した後の残存活性(%)が1%以上、1.5%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、20%以上、25%以上、例えば30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、例えば55%以上、向上している。このような残存活性の向上を本明細書において保存安定性(長期安定性)の向上ということがある。例えば40℃で7日間加温した未改変のFAD-GDHの残存活性が63.9%であり、同じ条件で加温した本発明の変異を有するFAD-GDH変異体の残存活性が73.9%である場合、本発明のFAD-GDH変異体は保存安定性が10%向上している。このような変異体は本発明に包含される。このような変異体は持続血糖測定に用いることができる。ある変異がもたらす保存安定性の向上が1%程度であっても、未変異のGDHと比較してそれだけ保存安定性が向上していれば、連続グルコース測定に適したGDHが取得され、本発明の課題は解決されたということができる。また、ある変異がもたらす保存安定性の向上が1%程度であっても、例えばそのような変異を複数組み合わせることで、より保存安定性の高いGDHを作製しうる。また、そのような変異を、他の酵素特性を変化させる変異と組み合わせることもできる。組み合わせに使用可能な種々の単変異の群により、タンパク質工学上の選択肢が広がる。
(本発明のFAD-GDHをコードする遺伝子の取得)
本発明のFAD-GDHを効率よく取得するためには、遺伝子工学的手法を利用するのが好ましい。本発明のFAD-GDHをコードする遺伝子(以下、FAD-GDH遺伝子)を取得するには、通常一般的に用いられている遺伝子のクローニング方法を用いればよい。例えば、公知のFAD-GDHを出発物質とし、それを改変することにより本発明のFAD-GDHを取得するには、FAD-GDH生産能を有する公知の微生物菌体や種々の細胞から、常法、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (WILEY Interscience,1989)記載の方法により、染色体DNA又はmRNAを抽出することができる。さらにmRNAを鋳型としてcDNAを合成することができる。このようにして得られた染色体DNA又はcDNAを用いて、染色体DNA又はcDNAのライブラリーを作製することができる。
ついで、公知のFAD-GDHのアミノ酸配列情報に基づき、適当なプローブDNAを合成して、これを用いて染色体DNA又はcDNAのライブラリーから基質特異性の高いFAD-GDH遺伝子を選抜する方法、あるいは、上記アミノ酸配列に基づき、適当なプライマーDNAを作製して、5’RACE法や3’RACE法などの適当なポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)により、基質特異性の高いFAD-GDHをコードする目的の遺伝子断片を含むDNAを増幅させ、これらのDNA断片を連結させて、目的のFAD-GDH遺伝子の全長を含むDNAを得ることができる。
公知のFAD-GDHを出発物質として、本発明の保存安定性に優れたFAD-GDHを取得する方法として、出発物質であるFAD-GDHをコードする遺伝子に変異を導入し、各種の変異遺伝子から発現されるFAD-GDHの酵素科学的性質を指標に選択を行う方法を採用し得る。
出発物質であるFAD-GDH遺伝子の変異処理は、企図する変異形態に応じた、公知の任意の方法で行うことができる。すなわち、FAD-GDH遺伝子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組換え体DNAと変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線照射法;遺伝子工学的手法;又は蛋白質工学的手法を駆使する方法等を広く用いることができる。
上記変異処理に用いられる変異原となる薬剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン、蟻酸、若しくは5-ブロモウラシル等を挙げることができる。
この接触・作用の諸条件は、用いる薬剤の種類等に応じた条件を採ることが可能であり、現実に所望の変異をMucor属由来FAD-GDH遺伝子において惹起することができる限り特に限定されない。通常、好ましくは0.5~12Mの上記薬剤濃度において、20~80℃の反応温度下で10分間以上、好ましくは10~180分間接触・作用させることで、所望の変異を惹起可能である。紫外線照射を行う場合においても、上記の通り常法に従い行うことができる(現代化学、p24~30、1989年6月号)。
蛋白質工学的手法を駆使する方法としては、一般的に、Site-Specific Mutagenesisとして知られる手法を用いることができる。例えば、Kramer法 (Nucleic Acids Res.,12,9441(1984):Methods Enzymol.,154,350(1987):Gene,37,73(1985))、Eckstein法(Nucleic Acids Res.,13,8749(1985):Nucleic Acids Res.,13,8765(1985):Nucleic Acids Res,14,9679(1986))、Kunkel法(Proc. Natl. Acid. Sci. U.S.A.,82,488(1985):Methods Enzymol.,154,367(1987))等が挙げられる。DNA中の塩基配列を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Mutagenesis Kit;Clonetech社、EXOIII/Mung Bean Deletion Kit;Stratagene製、Quick Change Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の利用が挙げられる。
また、一般的なポリメラーゼチェインリアクション(Polymerase Chain Reaction)として知られる手法を用いることもできる(Technique,1,11(1989))。
なお、上記遺伝子改変法の他に、有機合成法又は酵素合成法により、直接所望の保存安定性に優れた改変FAD-GDH遺伝子を合成することもできる。
上記のような任意の方法により選択された本発明のFAD-GDH遺伝子のDNA塩基配列の決定又は確認を行う場合には、例えば、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)等を用いれば良い。
(本発明のFAD-GDHの由来となる天然型FAD-GDHの例)
本発明のFAD-GDHは、公知のFAD-GDHを改変することにより取得することもできる。公知のFAD-GDHの由来微生物の好適な例としては、ケカビ亜門、好ましくはケカビ綱、より好ましくはケカビ目、さらに好ましくはケカビ科に分類される微生物を挙げることができる。具体的には、ムコール(Mucor)属、アブシジア(Absidia)属、アクチノムコール(Actinomucor)属、シルシネラ(Circinella)属由来のFAD-GDH等が挙げられる。
Mucor属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Mucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides f. circinelloides、Mucor guilliermondii、Mucor hiemalis f. silvaticus、Mucor subtilissimus、Mucor dimorphosporus等が挙げられる。より具体的には、特許第4648993号公報に記載のMucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides f. circinelloides、Mucor guilliermondii NBRC9403、Mucor hiemalis f. silvaticus NBRC6754、Mucor subtilissimus NBRC6338、Mucor RD056860、Mucor dimorphosporus NBRC5395等が挙げられる。Absidia属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Absidia cylindrospora、Absidia hyalosporaを挙げることができる。より具体的には、特許文献5に記載のAbsidia cylindrospora、Absidia hyalosporaを挙げることができる。Actinomucor属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Actinomucor elegansを挙げることができる。より具体的には、特許文献5に記載のActinomucor elegansを挙げることができる。Circinella属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Circinella minor、Circinella mucoroides、Circinella muscae、Circinella rigida、Circinella simplex、Circinella umbellataを挙げることができる。より具体的には、Circinella minor NBRC6448、Circinella mucoroides NBRC4453、Circinella muscae NBRC6410、Circinella rigida NBRC6411、Circinella simplex NBRC6412、Circinella umbellata NBRC4452、Circinella umbellata NBRC5842、Circinella RD055423及びCircinella RD055422を挙げることができる。なお、NBRC菌株およびRD菌株はNBRC(独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター)の保管菌株である。
(本発明のFAD-GDH遺伝子が挿入されたベクターおよび宿主細胞)
上述のように得られた本発明のFAD-GDH遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、又は原核細胞若しくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主細胞を常法により、形質転換又は形質導入をすることができる。
原核宿主細胞の一例としては、エシェリヒア属に属する微生物、例えば大腸菌K-12株、エシェリヒア・コリーBL21(DE3)、エシェリヒア・コリーJM109、エシェリヒア・コリーDH5α、エシェリヒア・コリーW3110、エシェリヒア・コリーC600等(いずれもタカラバイオ社製)が挙げられる。それらを形質転換し、又は、それらに形質導入して、DNAが導入された宿主細胞(形質転換体)を得る。こうした宿主細胞に組み換えベクターを移入する方法としては、例えば宿主細胞がエシェリヒア・コリーに属する微生物の場合には、カルシウムイオンの存在下で組み換えDNAの移入を行う方法などを採用することができる、更にエレクトロポレーション法を用いても良い。更には市販のコンピテントセル(例えばECOS Competent エシェリヒア・コリーBL21(DE3);ニッポンジーン製)を用いても良い。
真核宿主細胞の一例としては、酵母が挙げられる。酵母に分類される微生物としては、例えば、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida)属などに属する酵母が挙げられる。挿入遺伝子には、形質転換された細胞を選択することを可能にするためのマーカー遺伝子が含まれていてもよい。マーカー遺伝子としては、例えば、URA3、TRP1のような、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子等が挙げられる。また、挿入遺伝子は、宿主細胞中で本発明の遺伝子を発現することのできるプロモーター又はその他の制御配列(例えば、エンハンサー配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列等)を含むことが望ましい。プロモーターとしては、具体的には、例えば、GAL1プロモーター、ADH1プロモーター等が挙げられる。酵母への形質転換方法としては、公知の方法、例えば、酢酸リチウムを用いる方法(MethodsMol. Cell. Biol., 5, 255-269(1995))やエレクトロポレーション(J Microbiol Methods 55 (2003)481-484)等を好適に用いることができるが、これに限定されず、スフェロプラスト法やガラスビーズ法等を含む各種任意の手法を用いて形質転換を行えばよい。
真核宿主細胞の他の例としては、アスペルギルス(Aspergillus)属やトリコデルマ(Tricoderma)属のようなカビ細胞が挙げられる。挿入遺伝子は、宿主細胞中で本発明の遺伝子を発現することのできるプロモーター(例えばtef1プロモーター)及びその他の制御配列(例えば、分泌シグナル配列、エンハンサー配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列等)を含むことが望ましい。また、挿入遺伝子には、形質転換された細胞を選択することを可能にするためのマーカー遺伝子、例えばniaD、pyrGが含まれていても良い。さらに、挿入遺伝子には、任意の染色体部位へ挿入するための相同組換え領域が含まれていても良い。糸状菌への形質転換方法としては、公知の方法、例えば、プロトプラスト化した後ポリエチレングリコール及び塩化カルシウムを用いる方法(Mol. Gen. Genet., 218, 99-104(1989))を好適に用いることができる。
(ハイスループットスクリーニング)
GDHはさらに、機能性GDH変異体を取得するためにハイスループットスクリーニングに供することができる。例えば変異導入したGDH遺伝子を有する形質転換又は形質導入株のライブラリーを作製し、これをマイクロタイタープレートに基づくハイスループットスクリーニングに供してもよく、又は液滴型マイクロ流体に基づく超ハイスループットスクリーニングに供してもよい。例としてはバリアントをコードする変異遺伝子のコンビナトリアルライブラリーを構築し、次いでファージディスプレイ(例えばChem. Rev. 105 (11): 4056-72, 2005)、イーストディスプレイ(例えばComb Chem High Throughput Screen. 2008;11(2): 127-34)、バクテリアルディスプレイ(例えばCurr Opin Struct Biol 17: 474-80, 2007)等を用いて、変異GDHの大きな集団をスクリーニングする方法が挙げられる。またAgresti et al, "Ultrahigh-throughput screening in drop-based microfluidics for directed evolution" Proceedings of the National Academy of Sciences 107 (9): 4004-4009 (Mar, 2010)を参照のこと。GDHバリアントのスクリーニングに使用しうる超ハイスループットスクリーニング手法についての同文献の記載を参照により本明細書に組み入れる。例えばエラープローンPCR法によりライブラリーを構築することができる。また飽和突然変異誘発を用いて、本明細書に記載の領域や位置又はそれらに対応する領域や位置を標的として変異導入しライブラリーを構築してもよい。ライブラリーを用いて電気コンピテントEBY-100細胞等の適当な細胞を形質転換し、約10の7乗の変異体を取得しうる。該ライブラリーで形質転換した酵母細胞を次いでセルソーティングに供しうる。標準ソフトリトグラフィー法を用いて作製したポリジメトキシルシロキサン(PDMS)マイクロ流体デバイスを用いてもよい。フローフォーカスデバイスを用いて単分散の液滴を形成することができる。個別の変異体を含有する形成された液滴を適当なソーティングデバイスに供しうる。細胞を選別する際にはGDH活性の有無を利用しうる。これには例えば上記のGDHが作用すれば発色する組成とした反応液を用いてもよい。例えばDCIPを用いる場合は、96ウェルプレート、192ウェルプレート、384ウェルプレート、9600ウェルプレート等及びプレートリーダーを用いて600nmの吸光度を測定してもよい。変異導入と選別は複数回反復してもよい。
(本発明のFAD-GDH変異体の製造方法)
本発明のFAD-GDH変異体は、上述のように取得した本発明のFAD-GDHを生産する宿主細胞を培養し、前記宿主細胞中に含まれるFAD-GDH遺伝子を発現させ、次いで、前記培養物からFAD-GDH変異体を単離することにより製造すればよい。
上記宿主細胞を培養する培地としては、例えば、酵母エキス、トリプトン、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーあるいは大豆若しくは小麦ふすまの浸出液等の1種以上の窒素源に、塩化ナトリウム、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化第2鉄、硫酸第2鉄あるいは硫酸マンガン等の無機塩類の1種以上を添加し、さらに必要により糖質原料、ビタミン等を適宜添加したものが用いられる。
培地の初発pHは、限定されないが、例えば、pH 6~9に調整することができる。培養は、10~42℃の培養温度、好ましくは25℃前後の培養温度で4~24時間、さらに好ましくは25℃前後の培養温度で4~8時間、通気攪拌深部培養、振盪培養、静置培養等により実施すればよい。
培養終了後、該培養物より本発明のFAD-GDHを採取する。これには、通常の公知の酵素採取手段を用いればよい。例えば、常法により菌体を、超音波破壊処理、磨砕処理等するか、もしくはリゾチームやヤタラーゼ等の溶菌酵素を用いて本酵素を抽出するか、又はトルエン等の存在下で振盪若しくは放置して溶菌を行わせ、本酵素を菌体外に排出させることができる。そして、この溶液を濾過、遠心分離等して固形部分を除去し、必要によりストレプトマイシン硫酸塩、プロタミン硫酸塩、若しくは硫酸マンガン等により核酸を除去したのち、これに硫安、アルコール、アセトン等を添加して分画し、沈澱物を採取し、本発明のFAD-GDHの粗酵素を得る。
本発明のFAD-GDHの粗酵素を、公知の任意の手段を用いてさらに精製することもできる。精製された酵素標品を得るには、例えば、セファデックス、ウルトロゲル若しくはバイオゲル等を用いるゲル濾過法;イオン交換体を用いる吸着溶出法;ポリアクリルアミドゲル等を用いる電気泳動法;ヒドロキシアパタイトを用いる吸着溶出法;蔗糖密度勾配遠心法等の沈降法;アフィニティクロマトグラフィー法;分子ふるい膜若しくは中空糸膜等を用いる分画法等を適宜選択し、又はこれらを組み合わせて実施することにより、精製された本発明のFAD-GDH酵素標品を得ることができる。
(本発明のFAD-GDHを用いたグルコース測定方法)
本発明はまた、本発明のFAD-GDH変異体を含むグルコースアッセイキットを提供する。本発明のFAD-GDHを用いて血中のグルコース(血糖値)を測定することができる。
本発明のグルコースアッセイキットには、少なくとも1回のアッセイに十分な量の本発明のFAD-GDH変異体を含む。典型的には、本発明のグルコースアッセイキットは、本発明のFAD-GDH変異体に加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液を含む。本発明のグルコース測定法やグルコースアッセイキットに用いるFAD-GDH変異体は、種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、又は適切な保存溶液中に溶解されて提供することができる。
グルコース濃度の測定は、比色式グルコースアッセイキットの場合は、例えば、以下のよう行うことができる。グルコースアッセイキットの反応層にはFAD-GDH、電子受容体、そして反応促進剤としてN-(2-アセトアミド)イミド2酢酸(ADA)、ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis-Tris)、炭酸ナトリウムおよびイミダゾールからなる群より選ばれる1以上の物質を含む液状もしくは固体状の組成物を保持させておく。ここで、必要に応じてpH緩衝剤、発色試薬を添加する。ここにグルコースを含む試料を加え、一定時間反応させる。この間、還元により退色する電子受容体もしくは電子受容体より電子を受け取ることによって重合し生成する色素の最大吸収波長に相当する吸光度をモニタリングする。レート法であれば、吸光度の時間あたりの変化率から、エンドポイント法であれば、試料中のグルコースがすべて酸化された時点までの吸光度変化から、予め標準濃度のグルコース溶液を用いて作成したキャリブレーションカーブを元にして、試料中のグルコース濃度を算出することができる。
この方法において使用できるメディエーター及び発色試薬としては、例えば、2,6-ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)を電子受容体として添加し、600nmにおける吸光度の減少をモニタリングすることでグルコースの定量が可能である。また、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート(PMS)を、さらに発色試薬としてニトロテトラゾリウムブルー(NTB)を加え、570nm吸光度を測定することにより生成するジホルマザンの量を決定し、グルコース濃度を算出することが可能である。なお、いうまでもなく、使用する電子受容体および発色試薬はこれらに限定されない。
(本発明のFAD-GDH変異体を含むグルコースセンサー)
本発明はまた、本発明のFAD-GDH変異体を用いるグルコースセンサーを開示する。ある実施形態においてグルコースセンサーは、本発明のFAD-GDH変異体を含む作用電極、参照電極及び対極を有する。作用電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明のFAD-GDHを固定化する。さらに、又はこれとは別に、作用電極上に電子メディエーターを固定化してもよい。対極は白金電極やPt/C等の慣用の電極でありうる。参照電極はAg/AgCl電極などの慣用の電極でありうる。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明のFAD-GDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。本発明のFAD-GDH変異体は、保護膜により保護してグルコースセンサーに用いることができる。保護膜としては、センサーに使用されている酵素を保護するための既知の保護膜や一般的な保護膜を使用しうる。
ある実施形態では、保護膜として、膜中に酵素を担持する酵素膜を使用しうる。酵素膜は、GDH酵素とアルブミンのようなタンパク質とを架橋剤(グルタルアルデヒド等)で固定化して形成しうる。酵素膜は、第1の透過膜の上に形成しうる(選択透過膜ともいう)。その後、第1透過膜上の酵素膜の上にさらに第2の透過膜を形成してもよい(制限透過膜ともいう)。制限透過膜はシリコーン膜、フッ素系ポリマー膜、ウレタンポリマー膜、ポリカーボネート膜から形成され得る。第1透過膜、酵素膜、第2透過膜は0.1~10μmの厚みであり得る。選択透過膜は、過酸化水素のみ透過させ、測定を妨害する物質の透過を防ぐものであり得る。制限透過膜は、汚染物質の吸着を防ぎ、グルコースの透過を制限するものであり得る。各透過膜は微小孔を有してもよく、それにより物質の透過が制限されうる。
ある実施形態において保護膜は、酵素層を基板に形成し、当該基板を保護膜溶液に浸漬して被膜することにより作製しうる。GDHを含む酵素層には、ポリアクリル酸ナトリウム、トレハロース、グルコマンナン等の添加剤を使用しうる。保護膜溶液は、ポリ―4―ビニルピリジン溶液等であり得るが、これに限らない。
グルコースセンサーの製造方法は公知文献にあり、例えばLiu, et. al., Anal. Chem. 2012, 84, 3403-3409及びTsujimura, et. al., J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 14432-14437が挙げられる(参照によりいずれもその全内容を本明細書に組み入れるものとする。)。公知の方法においてGODの代わりにGDHを用いることができる。
例えば、オスミウム錯体を含むポリマーなどのレドックスポリマーを、HEPES緩衝液などの適切な緩衝液中のポリエチレングリコールなどの別のポリマー中に存在するGDHと混合して、グルコースセンシング試薬を調製することができる。オスミウム錯体は、2,2'-ビピリジンのようなビピリジン分子、2,2'-ビイミダゾールのようなビイミダゾール分子、2-(2-ピリジル)イミダゾールのようなピリジン-イミダゾール化合物またはそれらの組み合わせを含む1以上の化合物と錯体形成したオスミウム錯体であり得る。錯体を形成する有機分子は、必要に応じて、メチル基またはエチル基などのC1~C6アルキルなどのアルキル基で置換されていてもよい。一実施形態では、オスミウム錯体は、以下のとおりであり得る:
[Os有機分子複合体]-[ポリマー]
錯体を形成する有機分子の1つは、場合により、リンカーを介してポリマーに結合されてもよい。したがって、別の実施形態では、オスミウム錯体は以下の通りであり得る:
[Os有機分子複合体]-[リンカー]-[ポリマー]
例示的な分子は、Oharaら、Anal Chem. 1993 Dec 1; 65(23):3512-7及びAntiochiaら、Materials Sciences and Applications Vol. 4 No.7 A2(2013)(両方とも参考として全内容を本明細書に組み入れる)にある。オスミウム錯体を含むポリマーの例には、ポリ(1-ビニルイミダゾール)で錯体化されたオスミウムビス(2,2'-ビピリジン)クロライド、ポリ(4-ビニルピリジン)錯体化オスミウムビス(2,2'-ビピリジン)クロライド、ポリ(1-ビニルイミダゾール)n-[オスミウム(4,4'-ジメチル-2,2'-ビピリジル)2Cl2]2+/+およびそれらの誘導体が挙げられる。
溶液をカーボンセンサ上に堆積して、レドックスポリマーワイヤードGDHを含む作用電極として機能する活性電極領域を形成することができる。膜ポリマーおよび架橋剤溶液の混合物を添加して、センサー上に膜を形成することができる。膜は、ポリ(1-ビニルイミダゾール)、ポリ(4-ビニルピリジン)、それらの誘導体または組み合わせなどのポリマーを含みうる。上記のオスミウム錯体を含有するポリマーは、かかる膜ポリマーと組み合わせて用いて、ヒドロゲルフィルムを形成しうる。
一実施形態では、グルコースセンサーは印刷電極を含みうる。この場合、絶縁基板上に電極を形成しうる。具体的には、電極は、フォトリソグラフィ又はスクリーン印刷、グラビア印刷またはフレキソ印刷などの印刷技術によって基板上に形成しうる。絶縁基板を構成する材料としては、例えば、シリコン、ガラス、セラミック、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等が挙げられる。様々な溶媒または化学物質に対して高い耐性を示す材料を使用しうる。
グルコース濃度の測定は、以下のようにして行うことができる。恒温セルに緩衝液を入れ、一定温度に維持する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェートなどを用いることができる。作用電極としてFAD-GDHを固定化した電極を用い、対極(例えば白金電極)および参照電極(例えばAg/AgCl電極)を用いる。カーボン電極に一定の電圧を印加して、電流が定常になった後、グルコースを含む試料を加えて電流の増加を測定する。標準濃度のグルコース溶液により作成したキャリブレーションカーブに従い、試料中のグルコース濃度を計算することができる。
具体的な一例としては、グラッシーカーボン(GC)電極に本発明の1.5UのFAD-GDH変異体を固定化し、グルコース濃度に対する応答電流値を測定する。電解セル中に、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)1.8ml、及び、1M ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム(フェリシアン化カリウム)水溶液0.2mlを添加する。GC電極をポテンショスタットBAS100B/W(BAS製)に接続し、37℃で溶液を撹拌し、銀塩化銀(飽和KCl)参照電極に対して+500mVを印加する。これらの系に1M D-グルコース溶液を終濃度が1、2、3、4、5、10、20、30、40、50mMになるよう添加し、添加ごとに定常状態の電流値を測定する。この電流値を既知のグルコース濃度(1、2、3、4、5、10、20、30、40、50mM)に対してプロットし、検量線が作成する。これより本発明のFAD結合型グルコース脱水素酵素を使用した酵素固定化電極でグルコースの定量が可能となる。
本発明のFAD-GDH変異体は、良好な保存安定性を示す。このようなFAD-GDH変異体は、連続してサンプルのグルコース濃度を20~40℃で測定することができる。連続測定は1日~3週間、例えば1日~2週間等でありうる。また、液状試薬を40℃以下で長期輸送する際にも有利である。特に、血糖を体温付近で連続的に測定する持続血糖測定に使用することができる。例えば、本発明の保存安定性を有するFAD-GDH変異体を酵素電極に使用すると、安定な電極が得られる。このような安定性を有する電極は、持続血糖測定に用いることができる。
ある実施形態において、本発明のグルコースセンサーを有する持続血糖測定デバイスが提供される。持続血糖測定デバイスは、24時間~2週間の血糖値の変動を把握することが可能となるCGM(continuous glucose monitoring)デバイスやFGM(Flash glucose monitoring)デバイスを含みうる。またある実施形態において、本発明のFAD-GDH変異体を用いる持続血糖測定方法が提供される。
ある実施形態において、持続血糖測定は、再キャリブレーション有りで又は無しで行うことができる。ある実施形態において再キャリブレーション頻度を従来法よりも低く設定することができ、例えば再キャリブレーションを2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14日毎に行うことができる。
ある実施形態において、CGMデバイスは、皮膚の下に配置するためのグルコースセンサーを有しうる。センサーは一定期間、例えば1日~3週間、装着されうる。センサーは使い捨て型であってもよく、再利用可能であってもよい。センサーは、組織と酵素の直接接触を防ぐためのセンサーメンブレン層を有し得る。センサーは、アプリケーターを用いて腹部に挿入するよう設計しうる。ある実施形態において、本発明は発信機及びセンサーから発信機への連結部をさらに有するCGMデバイスを提供する。発信機はインプラントせずともよい。好ましくは発信機は、電波受信機と通信可能である。CGMデバイスはさらに、グルコースレベルを連続的に表示する電気的受信機を有し得る。CGMデバイスは場合により、キャリブレーション用のフィンガースティック(指先穿刺部材)を有し得る。CGMデバイスは使用説明書を有し得る。
GODの酵素活性は公知の方法により測定しうる。例えばGODの酵素活性は、GDH活性を測定する方法、例えば電子を受容するメディエーターが過剰に存在する条件下で測定しうる。或いはGODの酵素活性は、酸素をアクセプターとするアッセイ系により測定しうる。また、GODの酵素活性は、供給者の使用説明書に従い決定しうる。残存活性比を算出するために、初期活性及び残存活性は同じ系で測定する。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
実施例1.Mucor属由来GDH遺伝子の宿主への導入とGDH活性の確認
大まかに説明すると、まずMucor属由来GDH(MpGDH、配列番号1)にN66Y/N68G/C88A/Q233R/T387C/E554D/L557V/S559Kの各変異を導入した改変GDH(MpGDH-M1)をコードする遺伝子を取得した。MpGDH-M1のアミノ酸配列は配列番号10に示し、その遺伝子の塩基配列は配列番号11に示す。プラスミド酵母発現プラスミドpYES2/CTのマルチクローニングサイトに対象遺伝子であるMpGDH-M1遺伝子を常法により挿入させたDNAコンストラクトを作製した。pYES2/CTのマルチクローニングサイトにあるIn-Fusion Cloning Siteにて、MpGDH-M1遺伝子を、上記したIn-Fusion HD Cloning Kitを使用して、キットに添付されたプロトコールに従って連結して、コンストラクト用プラスミド(pYES2/CT-MpGDH-M1)を得た。
得られた組換え体プラスミドpYES2/CT-MpGDH-M1を鋳型として、配列番号14-19の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-(東洋紡社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD-Plus-緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO4溶液を2μl、鋳型となるMpGDH-M1遺伝子を連結させたDNAコンストラクトを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、KOD-Plus-を1Unit加えて、滅菌水により全量を50μlとした。調製した反応液をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」-「50℃、30秒」-「68℃、8分」のサイクルを30回繰り返した。
反応液の一部を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約8,000bpのDNAが特異的に増幅されていることを確認した。こうして得られたDNAを制限酵素DpnI(NEW ENGLAND BIOLABS社製)で処理し、残存している鋳型DNAを切断した後、大腸菌JM109を形質転換し、LB-amp寒天培地に展開した。生育したコロニーをLB-amp培地[1%(W/V) バクトトリプトン、0.5%(W/V) ペプトン、0.5%(W/V) NaCl、50μg/ml Ampicillin]2.5mlに接種して、37℃で20時間振とう培養し、培養物を得た。この培養物を7,000rpmで、5分間遠心分離することにより集菌して菌体を得た。次いで、この菌体よりQIAGEN tip-100(キアゲン社製)を用いて組換え体プラスミドを抽出して精製し、DNA2.5μgを得た。該プラスミド中のMpGDH-M1をコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムApplied Biosystems 3130xlジェネティックアナライザ(Life Technologies社製)を用いて決定し、その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の175位のアラニンをシステインに、214位のアスパラギンをシステインに、及び466位のグリシンをアスパラギン酸に置換した変異体であるMpGDH-M1/A175C/N214C/G466D(配列番号12)をコードするDNAコンストラクトを得た(配列番号13)。この改変GDHをMpGDH-M2とした。
実施例2.FAD-GDH変異体の作製
次いで、配列番号20-37及び42-49の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-(東洋紡社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応を行い、部位特異的変異を導入した。
Figure 0007165493000012
表において、例えば「S192P」は、配列番号1の192位のセリンをプロリンに置換することを意味する。また「S192P/S196N」は配列番号1の192位のセリンをプロリンに、196位のセリンをアスパラギンにそれぞれ置換すること、「/」記号はその両方の置換を有することを意味する。
その後、S.cerevisiae用形質転換キット(Invitrogen社製)により、pYES2/CT-M2、および各種変異が導入された改変型、例えば、pYES2/CT-M2-S192P/S196N等)を用いてINVSc1株(Invitrogen社製)を形質転換することにより、GDHを発現する酵母形質転換体Sc-M2株、および各種の改変型MpGDHを発現する酵母形質転換株、例えば、Sc-M2-S192P/S196N株等をそれぞれ取得した。
(酵母発現FAD-GDHの保存安定性評価)
酵母形質転換体Sc-M2、および、各種の酵母形質転換体Sc-M2-S192P/S196N等を、各々、5mLの前培養用液体培地[0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース(BD)、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物(sigma社製)、2.0%(w/v)ラフィノース]中で、30℃にて24時間培養した。その後、前培養液1mLを4mLの本培養用液体培地[0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物、2.5%(w/v)D-ガラクトース、0.75%(w/v)ラフィノース]に加えて、30℃で16時間培養する。この培養液を遠心分離(10,000×g、4℃、3分間)により菌体と培養上清に分離し、培養上清液を回収した。この培養上清液3mlをアミコンウルトラ 0.5mlにより50μlまで濃縮し、1×PBS溶液に置換した。これらを試験サンプルとして用いた。なお、国際公開第2010/140431号に記載の手順と同様の手法で麹菌Aspergillus sojaeにより発現させ、精製したGDH-M2と、酵母で発現させた透析後の粗酵素GDH-M2とで、保存安定性が変わらなかったことを確認した。
実施例3.FAD-GDH変異体の保存安定性試験
次に、作製した変異体をpH 7.4のPBS溶液(2ml)中で40℃にて、所定の期間加温した。次いで所定期間経過後の残存活性を測定した。
GDH活性の測定方法は、所定期間経過後、各サンプルのFAD-GDH活性を上記に記したGDH活性の測定方法に基づいて測定し、40℃で保存する直前の酵素活性を100%としたときの、40℃、所定期間経過後の活性値を「活性残存率(%)」として算出した。
保存安定性試験の結果を表に示す。
Figure 0007165493000013
Figure 0007165493000014
Figure 0007165493000015
表のとおり、本発明の変異体は保存安定性が未置換のものと比較して向上した。なお、上記の変異体MpGDH-M2/S196N及びMpGDH-M2/D228Nについて、60℃、15分の熱処理を施し、熱安定性についても評価したが、未改変の酵素と比較して、有意の熱安定性向上は見られなかった。また、同様にD55N、E435S、K267R、T276I、S587D、P588S、M591K、V600Iにおいて、55℃、15分の熱処理を施し、熱安定性についても評価したが、未改変の酵素と比較して、有意の熱安定性向上は見られなかった。したがって、GDHの保存安定性の向上に寄与する変異が、必ずしも熱安定性向上に寄与するとは限らないことが裏付けられた。また、国際公開第2017/195765号には、MpGDH-M1(配列番号10)について、50℃、15分の熱処理を行った後の残存活性率が56%であったことが記載されている。本発明者らが調べたところによると、野生型のMhGDH(配列番号3)について、同様に50℃、15分の熱処理を行ったところ、残存活性率は60%であった。すなわち、MpGDH-M1とMhGDHは、ほぼ同等の熱安定性を有する。ところがこれらについて保存安定性を上記と同じ手順で試験したところ、MpGDH-M1は40℃、1日保存した後の残存活性率が15.5%であり、5日保存した後の残存活性率が0%であったのに対し、MhGDHは40℃、5日保存した後の残存活性率が32.6%であった。したがってGDHの熱安定性に寄与する変異と保存安定性に寄与する変異とは必ずしも相関しない。
続いて、保存安定性向上型変異を組み合わせ、多重変異体を構築した。下記の表に記載の配列番号22-25、50-53の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-(東洋紡社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応を行い、部位特異的変異を導入した。
Figure 0007165493000016
次に、上記と同様に作製した変異体をpH 7.4のPBS溶液(2ml)中で40℃にて、所定の期間加温した。次いで所定期間経過後の残存活性を測定した。保存安定性試験の結果、得られた多重変異体M2-6Tは40℃、0日の残存活性率を100%とした場合と比較して、40℃、7日保存しても95.3%以上活性が残存することが分かった。さらに、E230Q/V232A/V235A/T239Aを組み合わせた変異体M2-10Tは、40℃、0日の残存活性率を100%とした場合と比較して、96.6%活性が残存し、さらに保存安定性が向上することが分かった。
続いて、S192P/S196N/I212L/A218H/I226T/D228N/E230Q/V232A/V235A/T239Aを含み、MpGDHと93%の同一性を有する、配列番号40のアミノ酸配列を有するMpGDH-M3を用いて、同様に保存安定性が良好か検証した。MpGDH-M3のアミノ酸配列は配列番号40に示し、その遺伝子の塩基配列は配列番号41に示す。上記と同様にプラスミド酵母発現プラスミドpYES2/CTのマルチクローニングサイトに対象遺伝子であるMpGDH-M3遺伝子を常法により挿入させたDNAコンストラクトを作製した。次いで、酵母形質転換体を作製し、MpGDH-M3を含む培養上清液を回収した。上記と同様にPBSに置換した試験サンプルを作製し、40℃における保存安定性を評価した。
その結果、MpGDH-M3の40℃、0日の残存活性率を100%とした場合、MpGDH-M3においても40℃、7日保存しても95.3%以上活性が残存することが分かった。
次に、MpGDH-M3を用いて酵素電極を作製し、電極の安定性を評価した。メディエータとして、Refill kit peroxidase(Os Polymer/Peroxidase) (BAS社製、Cat No.002096)を98℃、1時間熱処理しペルオキシダーゼを失活させたOsポリマーを用いた。ガラス状カーボン電極(BAS社製)にOsポリマーを0.5μL塗布し、風乾させた。続いて、MpGDH-M3を4U塗布し、風乾させた後、2% ポリエチレングリコールグリシジルエーテル(平均分子量500、シグマ社製)を1μL塗布し、4℃で16時間静置した。比較として、MpGDH及びフナコシ社から購入したFAD-GDHであるGLD1とGLD3を用いて同様に電極を作製した。なお、GLD1とGLD3については、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製した後、電極作製に用いた。
得られたFAD-GDH固定化電極を超純水で洗浄した後、15ml ファルコンチューブ中に入れ、40℃で保存した。電極の評価にはサイクリックボルタンメトリーを用いた。具体的には作用極としてFAD-GDH固定化電極、参照極として銀塩化銀参照電極(BAS社製)、対極として白金電極(BAS社製)を用い、ALS 電気化学アナライザー 814D(BAS社製)に接続した。10mLの100mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)中に3極を入れ、スターラーにより650rpmで攪拌しながら0mVから+600mV(vs. Ag/AgCl)の範囲で電圧を掃引したサイクリックボルタンメトリーを行った。掃引速度は10mV/secで行った。続いて、終濃度50mMグルコースになるように2Mグルコース溶液を添加し、同様にサイクリックボルタンメトリーを行った。+500mV(vs. Ag/AgCl)におけるグルコース添加時の酸化電流値からグルコース未添加時の酸化電流値を差し引いた値を記録した。40℃保存前の記録した値を100%とし、1週間保存後の値(残存活性率(%))を比較することで、電極の安定性を評価した。
Figure 0007165493000017
その結果、変異導入前のMpGDHと比較してMpGDH-M3は非常に安定な電極を構築することができた。さらに市販品のGLD1やGLD3よりもMpGDH-M3は安定であることが示された。なお、連続グルコースモニタリング等においては電極に保護膜等が付与されることが一般的であるため、本実施例の条件は、実際のモニタリングよりも過酷な条件であると考えられる。
以上のように、本発明のFAD-GDH変異体は、保存安定性に優れ、長期間にわたり活性を保持する。これは連続グルコースモニタリングにおいて、従来のGODをセンサーに使用するものと比較して、安定性に優れ、初期の活性を保持しつつグルコースを測定することができる。
次に、MpGDH-M2に代えて野生型MpGDHに対して変異導入を行い、保存安定性試験を行った。まず、配列番号54-66の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-(東洋紡社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応を行い、部位特異的変異を導入した。
Figure 0007165493000018
続いて、上記と同様に酵母形質転換体を作製し、MpGDH及びMpGDH変異体を含む培養上清液を回収した。上記と同様にPBSに置換した試験サンプルを作製し、20℃における保存安定性を評価した。
その結果、MpGDH/E230Qは変異導入前と比較して保存安定性が向上した。すなわち、未改変のMpGDHは20℃、0日保存の残存活性率100%と比較して、20℃、7日後の残存活性率が81.9%であったのに対し、MpGDH/E230Q変異体は、20℃、0日保存の残存活性率100%と比較して、20℃、7日後の残存活性率が83.4%であった。なお、MpGDH/E230Q変異体について、40℃、15分の熱処理を施し、熱安定性についても評価したが、未改変の酵素と比較して、有意の熱安定性向上は見られなかった。
続いて、25℃における保存安定性を評価した。その結果、未改変のMpGDHは25℃、0日保存の残存活性率100%と比較して、25℃、7日後の残存活性率が40.5%であったのに対し、MpGDH-S196A変異体は、25℃、0日保存の残存活性率100%と比較して、25℃、7日後の残存活性率が42.4%であった。また、各種変異体について評価した。
Figure 0007165493000019
その結果、本発明の変異体は変異導入前と比較して保存安定性が向上した。196位や228位について、MpGDH-M2で見出された保存安定性向上型変異においてアスパラギン以外の他のアミノ酸に置換しても保存安定性向上に寄与することが分かった。
(各種改変型MgGDHの調製と保存安定性評価)
特開2017-000137号公報において、MpGDHと78%の同一性を有する、配列番号6のMucor guilliermondii由来のGDH(以下、MgGDH)の配列情報が公開されている。そこで、実施例3で見出したアミノ酸置換をMgGDHに対して導入することで、同様に保存安定性が向上するかどうかを以下のように検証することにした。
MgGDHのアミノ酸配列は配列番号6に示し、その遺伝子の塩基配列は配列番号39に示す。実施例1と同様に、配列番号67~72の合成オリゴヌクレオチドを用いてPCR反応を行い、部位特異的変異を導入した。
Figure 0007165493000020
続いて、上記と同様に酵母形質転換体を作製し、MgGDH及びMgGDH変異体を含む培養上清液を回収した。上記と同様にPBSに置換した試験サンプルを作製し、25℃における保存安定性を評価した。
その結果、MgGDHにおいてもMpGDHで保存安定性を向上させた変異が導入された変異体は変異導入前と比較して保存安定性が向上することが分かった。すなわち、未改変のMgGDHは25℃、0日保存の残存活性率100%と比較して、25℃、7日後の残存活性率が55.1%であったのに対し、MgGDH/H191N変異体は、25℃、0日保存の残存活性率100%と比較して、25℃、7日後の残存活性率が59.0%であり、MgGDH/D227A変異体は、25℃、0日保存の残存活性率100%と比較して、25℃、7日後の残存活性率が79.7%であった。
また、未改変のMgGDHは25℃、0日保存の残存活性率100%と比較して、25℃、4日後の残存活性率が69.9%であったのに対し、MgGDH-Q50N変異体は、25℃、0日保存の残存活性率100%と比較して、25℃、4日後の残存活性率が72.0%であった。
(各種改変型MhGDHの調製と保存安定性評価)
特開2013-116102号公報において、MpGDHと78%の同一性を有する、配列番号3のMucor hiemalis由来のGDH(以下、MhGDH)の配列情報が公開されている。そこで、実施例3で見出したアミノ酸置換をMhGDHに対して導入することで、同様に保存安定性が向上するかどうかを以下のように検証することにした。
MhGDHのアミノ酸配列は配列番号3に示し、その遺伝子の塩基配列は配列番号38に示す。実施例3と同様に配列番号73~78の合成オリゴヌクレオチドを用いてPCR反応を行い、部位特異的変異を導入した。
Figure 0007165493000021
続いて、上記と同様に酵母形質転換体を作製し、MhGDH及びMhGDH変異体を含む培養上清液を回収した。上記と同様にPBSに置換した試験サンプルを作製し、40℃における保存安定性を評価した。
Figure 0007165493000022
その結果、MhGDHにおいてもMpGDHで保存安定性を向上させた変異が導入された変異体は変異導入前と比較して保存安定性が向上することが分かった。従って他の由来のGDHについても本発明の変異は同様に保存安定性を向上させると考えられる。
本明細書に、WO 2017/1957665の全内容を参照により組み入れるものとする。本発明を例示により説明されたが、本発明の精神から逸脱することなく、種々の変法を行うことができる。
配列の簡単な説明
配列番号1 Mucor prainii GDH(MpGDH) aa
配列番号2 MpGDH遺伝子 DNA
配列番号3 Mucor hiemalis GDH(MhGDH) aa
配列番号4 Mucor RD056860 GDH(MrdGDH) aa
配列番号5 Mucor subtilissimus GDH(MsGDH) aa
配列番号6 Mucor guilliermondii GDH(MgGDH) aa
配列番号7 Circinella simplex GDH(CsGDH) aa
配列番号8 Circinella属 GDH(CrGDH) aa
配列番号9 Mucor circinelloides GDH(McGDH) aa
配列番号10 MpGDH-M1 GDH aa
配列番号11 MpGDH-M1 遺伝子DNA
配列番号12 MpGDH-M1/A175C/N214C/G466D aa (M2)
配列番号13 MpGDH-M2遺伝子DNA
配列番号14-37 プライマー
配列番号38 MhGDH遺伝子 DNA
配列番号39 MgGDH遺伝子 DNA
配列番号40 MpGDH-M3 aa
配列番号41 MpGDH-M3遺伝子DNA
配列番号42-78 プライマー

Claims (14)

  1. FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)変異体であって、
    変異前のFAD-GDHが、
    i) 配列番号1で示されるアミノ酸配列、
    ii) 配列番号1で示されるアミノ酸配列において、196位、228位、600位、267位、276位、55位、230位、235位、239位、435位、587位、588位、及び591位以外の位置で1~15のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列、又は
    iii) 配列番号1、3、6、12若しくは40で示されるアミノ酸配列と90%以上の全長アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
    前記FAD-GDH変異体が、配列番号1のアミノ酸配列における196位、228位、600位、267位、276位、55位、230位、235位、239位、435位、587位、588位、及び/又は591位に対応する位置に1以上のアミノ酸置換を有し、
    該1以上のアミノ酸置換が、
    配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がチロシン、フェニルアラニン、リシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、メチオニン、アラニン、若しくはアルギニンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、トレオニン、ヒスチジン、セリン、グルタミン、若しくはシステインに置換されている、配列番号1のアミノ酸配列における600位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン若しくはトリプトファンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における267位に対応する位置のアミノ酸がアルギニン、ヒスチジン若しくはグルタミンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における276位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシン、ロイシン、バリン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン若しくはチロシンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における55位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、セリン、トレオニン、グルタミン若しくはシステインに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における230位に対応する位置のアミノ酸がグルタミン、セリン、トレオニン、アスパラギン、アルギニン、リシン、若しくはヒスチジンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における235位に対応する位置のアミノ酸がアラニン、セリン若しくはグリシンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における239位に対応する位置のアミノ酸がアラニン、セリン若しくはグリシンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における435位に対応する位置のアミノ酸がセリン、トレオニン、アスパラギン若しくはグルタミンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における587位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸若しくはグルタミン酸に置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における588位に対応する位置のアミノ酸がセリン、トレオニン、アスパラギン若しくはグルタミンに置換されている、又は
    配列番号1のアミノ酸配列における591位に対応する位置のアミノ酸がリシン、アルギニン若しくはヒスチジンに置換されている、
    からなる群より選択されるアミノ酸置換であり、
    当該置換を有しない変異前のFAD-GDHと比較して、保存安定性が向上しており、加温前の変異前FAD-GDHの酵素活性を100%としたときの、20-40℃でpH 7.4にて加温した変異前FAD-GDHの残存活性(%)と、加温前のFAD-GDH変異体の酵素活性を100%としたときの、20-40℃でpH 7.4にて加温したFAD-GDH変異体の残存活性(%)とを比較して、
    (a)1週間加温した後の残存活性(%)が1%以上向上している、
    (b)2週間加温した後の残存活性(%)が3%以上向上している、
    (c)3週間加温した後の残存活性(%)が3%以上向上している、又は
    (d)4日間加温した後の残存活性(%)が1%以上向上している、
    FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ変異体。
  2. FAD-GDHにおいて、
    配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がチロシン、フェニルアラニン、リシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、メチオニン、若しくはアラニンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、トレオニン、若しくはヒスチジンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における600位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における267位に対応する位置のアミノ酸がアルギニンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における276位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における55位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における230位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における235位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における239位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における435位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における587位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における588位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されている、及び/又は
    配列番号1のアミノ酸配列における591位に対応する位置のアミノ酸がリシンに置換されている、
    FAD-GDH変異体であって、当該置換を有しない変異前のFAD-GDHと比較して、保存安定性が向上している、請求項1に記載のFAD-GDH変異体。
  3. さらに、
    配列番号1のアミノ酸配列における192位に対応する位置のアミノ酸がプロリンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における212位に対応する位置のアミノ酸がロイシンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における218位に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンに置換されている、
    配列番号1のアミノ酸配列における226位に対応する位置のアミノ酸がトレオニンに置換されている、及び/又は
    配列番号1のアミノ酸配列における232位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている、
    請求項1又は2に記載のFAD-GDH変異体。
  4. i)配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がチロシン、フェニルアラニン、リシン若しくはアスパラギンに置換され、かつ配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、トレオニン若しくはヒスチジンに置換されている変異体、
    ii)配列番号1のアミノ酸配列における192位に対応する位置のアミノ酸がプロリンに置換され、かつ、配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がチロシン、フェニルアラニン、リシン若しくはアスパラギンに置換されている変異体、iii) 配列番号1のアミノ酸配列における226位に対応する位置のアミノ酸がトレオニンに置換され、かつ配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、トレオニン若しくはヒスチジンに置換されている変異体、
    iv) 配列番号1のアミノ酸配列における230位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における232位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における235位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換され、かつ配列番号1のアミノ酸配列における239位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている変異体、
    v)配列番号1のアミノ酸配列における192位に対応する位置のアミノ酸がプロリンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における196位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における212位に対応する位置のアミノ酸がロイシンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における218位に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における226位に対応する位置のアミノ酸がトレオニンに置換され、かつ配列番号1のアミノ酸配列における228位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギンに置換されている192P/196N/212L/218H/226T/228N変異体、
    vi) 前記v)の変異体において、さらに、配列番号1のアミノ酸配列における230位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における232位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における235位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換され、配列番号1のアミノ酸配列における239位に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換されている192P/196N/212L/218H/226T/228N/230Q/232A/235A/239A変異体、及び
    vii) 前記vi)の変異体において、変異前のFAD-GDHが配列番号40のアミノ酸配列を有するFAD-GDHであり、変異後のFAD-GDHがv)及びvi)に記載のアミノ酸置換を有する変異体、からなる群より選択され、当該置換を有しない変異前のFAD-GDHと比較して、保存安定性が向上している、請求項1~3のいずれか1項に記載のFAD-GDH変異体。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のFAD-GDH変異体をコードするFAD-GDH遺伝子。
  6. 請求項5に記載のFAD-GDH遺伝子を含むベクター。
  7. 請求項6に記載のベクターが導入されている宿主細胞。
  8. 以下の工程を含むFAD-GDHを製造する方法:
    請求項7に記載の宿主細胞を培養する工程、
    前記宿主細胞中に含まれるFAD-GDH遺伝子を発現させる工程、及び
    前記培養物からFAD-GDHを単離する工程。
  9. 請求項1~4のいずれか1項に記載のFAD-GDH変異体を含むグルコースアッセイキット。
  10. 請求項1~4のいずれか1項に記載のFAD-GDH変異体を含むグルコースセンサー。
  11. 請求項10に記載のグルコースセンサーを有する持続血糖測定デバイス。
  12. 請求項1~4のいずれか1項に記載のFAD-GDH変異体を含む電極。
  13. 請求項1~4のいずれか1項に記載のFAD-GDH変異体、請求項9に記載のキット、請求項10に記載のセンサー、若しくは請求項11に記載のデバイス又は請求項12に記載の電極を用いるグルコース測定方法。
  14. 20~40℃で、1日~2週間の連続測定を行う、請求項13に記載の方法。
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