JP2004294231A - バイオセンサの酵素電極とその製造方法 - Google Patents

バイオセンサの酵素電極とその製造方法 Download PDF

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洋輝 小川
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Abstract

【課題】電子メディエータ型バイオセンサの酵素電極において、電子受容体が水性試料中に溶出することがなく高感度な被検物質濃度測定を可能とする。
【解決手段】作用極上の酵素固定化膜を、酵素反応層と電解移動媒体層の2つに分け、酸化還元酵素を親水性高分子媒体層中に固定化・保持して酵素反応層とする一方、電子受容体は疎水性高分子媒体内に保持して電荷移動媒体層とした。疎水性環境下にある電子受容体は水性試料中に容易に溶出することがない。このため、高感度かつ高精度な被検物質の濃度測定が可能となる。繰り返し使用を行っても測定感度が減少することがない。較正液により較正を行っても、電子受容体の溶出がないのでより正確な較正を行うことができる。複数のセンサが近接しても互いに干渉することがなくなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオセンサの酵素電極、詳しくは、酸化還元酵素と電子受容体との酵素反応により試料液中の被検物質濃度を電気化学的に測定するバイオセンサの酵素電極に関する。またその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、在宅で手軽に行える血液検査を目的とした安価で使い捨て可能な多項目・同時測定血液分析装置が必要とされている。
【0003】
従来の血液成分検査を目的とした簡易検査装置として、チップ状多項目測定用装置がある。これは単一流路付プラスチック基板に半導体電極としてイオン選択性電界効果トランジスタ(ISFET)などをセンサとして組み込み、電気化学的に目的物質のみを測定可能とするものである。しかし、このような多項目測定に用いられる血液分析装置は、測定に必要な血液量が多く、被験者に及ぼす採血時の負担が大きい。また、半導体電極が非常に高価であるため、デバイス価格も高くなる。さらに流路が単一であるため、相互干渉作用のある複数のセンサを同一装置内に搭載できない。このような背景から、従来の多項目測定用血液分析装置は病院等での検査に用いられるケースが多く、また、測定項目が限られてしまうのが現状である。
【0004】
在宅簡易血液分析装置の一例として、血糖(グルコース)値測定器が挙げられる。市販されている多くの血糖値測定器は、数μL以下の微量全血からの測定を可能としている。このような測定器のバイオセンサには、いわゆる電子メディエータ型のセンサが用いられている(例えば、特許文献1参照) 。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−202764号公報
【0006】
このバイオセンサでは、基板上の電極系表面に酸化還元酵素と親水性高分子及び電子受容体からなる酵素反応層を設けている。血液などの試料液を酵素反応層に滴下すると、試料中の基質が酸化還元酵素と反応し、電子受容体が還元される。反応終了後、電極系に電圧を印加して電子受容体の還元体を酸化し、このとき得られる酸化電流値から試料液中の基質濃度を求める。
【0007】
グルコース測定用センサの場合には、酸化還元酵素としてFADとの複合タンパク質であるグルコースオキシダーゼを用い、電子受容体として例えばフェロセンを用いている。図3に示すように、電子受容体をメディエータとして用いる反応系により、血液中の酸素分圧に依存することなく微量血液によるグルコース濃度測定が可能である。また基板上の電極系を安価なカーボンを用いてスクリーン印刷により形成することができるので、非常に安価にバイオセンサを作製することができる。
【0008】
従来の電子メディエータ型酵素電極は、酵素反応を行うため親水性高分子媒体中に酸化還元酵素と電子受容体を含有させ酵素固定化膜としている。酵素自体は大分子量であるため、親水性高分子媒体中に保持させることが比較的容易である。しかし親水性高分子自体が水性試料により溶出しやすい材料である場合には、親水性高分子と共に、或いは親水性高分子の膨潤に伴い、保持されていた酵素や電子受容体が溶出することになる。このような酵素の溶出を防止するためにポリイオンコンプレックス法により酵素を固定化する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献2】
特開平8−178886号公報
【0010】
このポリイオンコンプレックス法は、基板電極上にポリカチオン水溶液、酵素溶液、ポリアニオン水溶液を滴下・混合し、乾燥することにより、ポリイオンコンプレックスのマトリックスを形成させ、このマトリックス構造内に酵素分子を強固に取込ませることができる。緻密なマトリックス構造となるため、酵素のような巨大分子の溶出はほぼ完璧に防止することができる。またポリイオンコンプレックス自体も溶解することがない。
【0011】
このように酸化還元酵素の溶出は防止できるが、低分子量の電子受容体は、たとえポリイオンコンプレックス膜内に保持させても、マトリックス構造から容易に流出してしまう。この酵素電極の測定電流値は、固定化された酵素量・酵素活性だけでなく、酵素固定化膜中の電子受容体量にも依存するので、電子受容体が酵素固定化膜から流出すると測定値は低くなる。すなわち、繰り返し使用により、測定値(出力電流値)が次第に下がるという問題があった。
【0012】
特に、酵素電極は常に同じ性能を有するとは限らないので、既知濃度の被検物質を含有する較正液を用いて、酵素電極の較正を行う必要がある。このときには、較正液によって酵素固定化膜中の電子受容体が溶出してしまうと、較正の意味がなくなることになる。また多項目の被検物質を分析するため、複数のバイオセンサを同一流路中に設ける場合、近接する各センサの酵素電極から電子受容体が溶出すると、同じように電子受容体を用いた電子メディエータ型の他のセンサの出力に影響を与えることになる。
【0013】
酵素固定化膜自体を疎水性高分子媒体で作製すれば、このような電子受容体の溶出を防止することはできるが、この場合には酵素反応自体が非水性環境下で行われることになり、極めて遅い反応となって検出感度自体が下がることになる。
【0014】
【発明の目的】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、電子受容体が水性試料中に溶出することがなく高感度な被検物質濃度測定を可能とするバイオセンサの酵素電極を提供することを第1の目的とする。また、このバイオセンサの酵素電極の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
本発明によれば、第1の目的は、試料液中の被検物質濃度を被検物質を基質とする酸化還元酵素と電子受容体との酵素反応により電気化学的に測定するバイオセンサの酵素電極において:
絶縁性基板と;
この基板上に設けられた電極と;
前記電極上に設けられ、疎水性高分子媒体中に分散した電子受容体を含有する多孔性電荷移動媒体層と;
前記電荷移動媒体層上に設けられ、親水性高分子媒体中に酸化還元酵素を固定化した酵素反応層とを備えることを特徴とするバイオセンサの酵素電極、
により達成される。
【0016】
すなわち、本発明の酵素電極は、酵素固定化膜を、酵素反応層と電解移動媒体層の2つに分け、酸化還元酵素を親水性高分子媒体層中に固定化・保持して酵素反応層とする一方、低分子量物質である電子受容体は疎水性高分子媒体内に保持して電荷移動媒体層としたものである。疎水性環境下にある電子受容体は水性試料中に容易に溶出することがない。一方この電荷移動媒体層は、多孔性層であるため、酵素反応層での酸化還元反応により生じた電子を容易に受け取ることができる。受け取った電子は電子受容体のRed−Ox変換により、最終的に電極に移行し電流を出力する(図3参照)。
【0017】
基板上に、酵素電極に加えてその対極を設ければ、酵素電極を作用極とする電極系のバイオセンサを構成することができる。また必要に応じ、基板上に参照電極を設けてもよい。
【0018】
電荷移動媒体層を構成する疎水性高分子としては、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマールやエポキシポリマーなどを用いることができ、下層の電極と強固に接着できるものが好ましい。
【0019】
酵素反応層を構成する親水性高分子としては、ポリカチオンポリマーとポリアニオンポリマーとからなるポリイオンコンプレックスを用いるのが好ましい態様である。酸化還元酵素はこのポリイオンコンプレックス中に包括・固定化されて水性試料中への溶出を防止することができる。
【0020】
また酵素反応層の上には、血液中のタンパク質の非特異的吸着や血球成分(特に血小板)の吸着を防止するため、生体適合性(血液適合性)を有する高分子材料で被覆することができる。このような高分子材料として、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマーを用いるのが好ましい。
【0021】
本発明の第2の目的は、絶縁性基板と、この基板上に設けられた電極と、前記電極上に設けられ疎水性高分子媒体中に分散した電子受容体を含有する多孔性電荷移動媒体層と、前記電荷移動媒体層上に設けられ親水性高分子媒体中に酸化還元酵素を固定化した酵素反応層とを備え、試料液中の被検物質濃度を被検物質を基質とする前記酸化還元酵素と前記電子受容体と酵素反応により電気化学的に測定するバイオセンサの酵素電極の製造方法において:
前記多孔性電荷移動媒体層を、前記疎水性高分子と前記電子受容体とを有機溶媒に溶解した疎水性高分子溶液を前記電極上に塗布、乾燥することにより設けることを特徴とするバイオセンサの電極の製造方法によって達成することができる。
【0022】
すなわち、本発明の製造方法では、有機溶媒の蒸散・除去という極めて簡単な工程により、電極上に疎水性高分子からなる多孔性電荷移動媒体層として形成させるものである。また酵素反応層は、ポリカチオンポリマーとポリアニオンポリマーとからなるポリイオンコンプレックス内に、静電的相互作用を用いて酸化還元酵素を包括して固定化することにより設けることができる。
【0023】
【実施態様】
図1は本発明の一実施態様によるバイオセンサの断面模式図である。符号10はポリエステルやPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂で作られた絶縁性基板であり、この上に下地リード電極12が形成されている。リード電極12上には、導電性カーボンペーストなどで形成した電極14,16が設けられ、この一方の電極14は作用極として用いられ、他方の電極16は対極となる。作用極14上には電荷移動媒体層20、酵素反応層22が設けられている。18は、電極14,16間を絶縁する絶縁層である。
【0024】
電荷移動媒体層20は、多孔性の疎水性高分子媒体層であり、酸化還元酵素の酵素反応と共役して酸化還元反応する電子受容体を含有する。電子受容体としては、p−ベンゾキノンなどのキノン誘導体、フェロセン、ジメチルフェロセンなどのフェロセン誘導体、ビオロゲン類などが使用できる。
【0025】
疎水性高分子としては、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマールやエポキシポリマーなどを用いることができ、下層の電極14,16と強固に接着できるものが好ましい。この疎水性高分子を電子受容体と共に、有機溶媒(ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトン、イソプロピルアルコール、エタノール等)に溶解し、この混合液を電極(作用電極)14上に均一に滴下し、乾燥することにより、多孔質の電荷媒体移動層を形成することができる。形成された疎水性媒体層の中にフェロセンなどの電子受容体を均一にかつ高密度に含有させることができる。
【0026】
酵素反応層22は、親水性高分子媒体層であり被検物質に対応する酸化還元酵素を含有する。例えば、グルコース濃度を測定する場合には、グルコースオキシダーゼ(GOD)を用いる。被検物質がアルコール、コレステロール、乳酸などの場合には、アルコールオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ラクトースオキシダーゼなどの酸化還元酵素を用いることができる。これらの酸化還元酵素はFADやNADなどの電子受容体を補酵素、補欠分子族として含んでいる。
【0027】
酵素反応層22を構成する親水性高分子としては、ポリカチオンポリマーとポリアニオンポリマーとからなるポリイオンコンプレックスを用いることができる。電荷移動媒体層20上に、ポリカチオン水溶液、酵素溶液、ポリアニオン水溶液を順次滴下・混合し、乾燥すると、ポリイオンコンプレックス形成時に周辺に存在する酵素分子を取込んだ酵素含有ポリイオンコンプレックス膜が形成される。酵素はポリカチオンとポリアニオンの静電的相互作用によりコンプレックスのマトリックス内に強固に固定される。ポリカチオンポリマーは、繰り返し単位中にカチオン基を有する親水性ポリマーであり、例えば、ポリLリジン、キトサン、キチン、セルロースなどが挙げられる。ポリアニオンポリマーは、繰り返し単位中にアニオン基を有する親水性ポリマーであり、ポリスチレンスルホネート、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。
【0028】
図2は、作製したバイオセンサ上に、流路構造を形成した上基板24でカバーした血液分析装置の断面図を示す。流路26に血液試料を導入することにより、血液中の被検物質の濃度を電気化学的に分析する。
【0029】
ここで、流路26内壁、酵素反応層22及び対極16の表面には、生体適合性(血液適合性)を有する高分子材料で被覆しておけば、血小板などの血球成分の吸着・凝集を防ぐと共に、血漿・血清タンパク質の非特異的吸着を防止することができる。このような高分子材料としては、リン脂質高分子があり、特に、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマー(MPCポリマー)が好ましい。
【0030】
【実施例1】
以下のようにしてバイオセンサーを作製した。ポリエステル樹脂基板10上にスクリーン印刷技術により下地リード電極12を印刷後、加熱乾燥した。リード電極12上には、導電性カーボンペーストをスクリーン印刷技術により印刷して作用極14、対極16の電極系を設けた。予め作用極14、対極16の位置に直径400μmの開口部をリソグラフィーにより設けておいた絶縁膜18を、基板10上に重ね、加熱圧着した。
【0031】
ポリビニルブチラールとフェロセンを、それぞれ1%(W/W)、2%(W/W)となるようにイソプロピルアルコールに溶解し、この混合液0.05μLを作用極14上の開口部内に均一に滴下、乾燥して電荷移動媒体層20を設けた。次に、25mMポリスチレンスルホネイト水溶液、グルコースオキシダーゼ(GOD:1500unit/mL in PBS)溶液、20mMポリLリジン水溶液を、電荷移動媒体層20上に順次滴下し、これを乾燥させて、酵素反応層22を設け、グルコース分析用バイオセンサを作製した。
【0032】
比較例として、電荷移動媒体層作製時に、ポリビニルブチラールを用いずに、フェロセンのみをイソプロピルアルコールに溶解し、この溶液0.05μLを作用極14上の開口部内に均一に滴下、乾燥してフェロセン層を設けた。この上に、実施例と同様にして酵素反応層22を設けた。なお、フェロセンのみを溶解した溶液でフェロセン層を作製した比較例では、フェロセンはカーボン電極14上に均一に堆積せず、部分的な剥離が見られた。テトロヒドロフランやジクロロメタンなどの他の有機溶媒にフェロセンを溶解した場合も同様であった。これに対して、接着性が高く多孔質な疎水性高分子によってフェロセンを包括した実施例の電荷移動媒体層20では、高密度で均一なフェロセン含有高分子層となっていた。
【0033】
図1に示す構成のグルコースセンサに、試料液としてD−グルコース標準液を酵素反応層22および対極16の両電極を覆うように3〜5μL滴下し、対極16を基準にして作用極14にフェロセンの酸化還元電位である+350mVの定電圧を印加し、30秒後の酸化電流を測定した。酵素反応層22によりグルコースの酸化反応が行われる際、フェロセンは還元される。この還元されたフェロセンの酸化電流はグルコース濃度に対応することから、試料液中のグルコースは極微量であっても測定が可能になる。測定は、最初に0mMグルコース溶液での酸化電流を測定後、酵素反応層22と対極16の表面を純水で洗浄し、次に10mMグルコース溶液を用いて酸化電流を測定した。以降、酵素反応層22と対極16の表面洗浄を繰り返しながら、順次、20mMから50mMの各グルコース溶液による酸化電流の測定を行った。結果を図4に示す。
【0034】
図4に示すように、実施例のグルコースセンサでは、グルコース濃度に対し高濃度まで直線性の高い出力特性を示した。健康人の血中グルコース濃度が3〜6mM、糖尿病患者で30〜50mMと言われており、本実施例のバイオセンサは広範囲の濃度領域で高感度測定が可能であることが示された。これに対し、フェロセンを固定化していない比較例では、グルコース濃度20mM以降では、出力値が増加しなかった。これは繰り返し測定により、フェロセンが洗浄液や水性試料中に溶出したためと考えられる。このように、従来の非固定化フェロセンを用いたグルコースセンサと比較すると、フェロセンを疎水性媒体層中に固定した実施例では、数回の繰り返し測定が可能であり、較正液による較正後の血液測定に用いることができることが示された。
【0035】
【実施例2】
実施例1と全く同様のグルコースセンサを4つ作製し、そのうち2つのグルコースセンサの絶縁膜18上を酵素反応層22、対極16の表面も含めて、0.3 wt%のMPC(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)ポリマー溶液で塗布し、乾燥してMPCポリマー被覆層を設け、センサ1,2を作製した。一方、比較例として、MPCポリマーを被覆していないセンサをセンサ3,4とした。
【0036】
最初の測定として、各センサに10mMグルコース溶液(PBS)10μLを滴下、作用極14に+350mVの定電圧を印加し、30秒後の酸化電流を測定した。2回目の測定では、ヒト血清(5.6mMグルコース含有)で酸化電流出力を測定した。再度電極を洗浄して、グルコース非含有PBSを滴下して、30秒後の酸化電流を測定した。結果を図5に示す。
【0037】
図5に示すように、MPCポリマー処理なしのセンサ3,4では、タンパク質を含有するヒト血清において十分な出力感度が得られなかった。これに対し、MPCポリマー処理を行ったセンサ1,2では、タンパク質の共存しないグルコース標準液での測定値と同等の出力特性が得られた。また、MPCポリマー処理なしのセンサ3,4では、これ洗浄しても吸着したタンパク質を完全に除去できないため、0mMグルコース溶液(PBS)での出力値は、MPCポリマー処理したセンサ1,2よりも低くなった。微量サンプルから多項目について分析を行うチップ状血液分析装置では、チップ内の電極の高密度化をはかる場合、電極面積のサイズを微細化することが必要となる。このような場合においては、血漿中タンパク質の吸着を抑制するMPCポリマー被覆が効果的であることがわかった。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明のバイオセンサの酵素電極は、酵素固定化膜を酵素反応層と電解移動媒体層の2つに分け、酸化還元酵素を親水性高分子媒体層中に固定化・保持して酵素反応層とする一方、電子受容体は疎水性高分子媒体内に保持して電荷移動媒体層としたので、疎水性環境下にある電子受容体は水性試料中に容易に溶出することがない。このため、高感度かつ高精度な被検物質の濃度測定が可能となる。繰り返し使用を行っても、測定感度が減少することがない。また、較正液により較正を行っても、電子受容体の溶出がないので、より正確な較正を行うことができる。また、複数のバイオセンサを同一流路中に設けても、近接する各センサの酵素電極から電子受容体が溶出することがないので、他のセンサの出力に影響を与えることになくなる。
【0039】
酵素反応層をポリカチオンポリマーとポリアニオンポリマーとからなるポリイオンコンプレックスで形成し、酸化還元酵素をこのポリイオンコンプレックス中に包括して固定化すれば、酸化還元酵素の溶出も殆ど完璧に防止することができ、高感度な測定が可能となる。
【0040】
酵素反応層の上を、MPCポリマーなどの生体適合性(血液適合性)を有する高分子材料で被覆すれば、血液中のタンパク質の非特異的吸着や血球成分(特に血小板)の吸着を防止して、より高感度な分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様によるバイオセンサの断面模式図である。
【図2】図1のバイオセンサ上に、流路構造を形成した上基板でカバーした血液分析装置の断面図を示す。
【図3】電子受容体をメディエータとして用いる反応系の説明図である。
【図4】実施例1の測定結果を示す図である。
【図5】MPCポリマー被覆を行った実施例2の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
10 基板
12 下地リード電極
14 作用極
16 対極
18 絶縁膜
20 電荷移動媒体層
22 酵素反応層
24 上基板
26 流路

Claims (11)

  1. 試料液中の被検物質濃度を、被検物質を基質とする酸化還元酵素と電子受容体との酵素反応により電気化学的に測定するバイオセンサの酵素電極において:
    絶縁性基板と;
    この基板上に設けられた電極と;
    前記電極上に設けられ、疎水性高分子媒体中に分散した電子受容体を含有する多孔性電荷移動媒体層と;
    前記電荷移動媒体層上に設けられ、親水性高分子媒体中に酸化還元酵素を固定化した酵素反応層とを備えることを特徴とするバイオセンサの酵素電極。
  2. 前記疎水性高分子がポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール及びエポキシポリマーのいずれかであることを特徴とする請求項1のバイオセンサの酵素電極。
  3. 前記電子受容体がフェロセン又はジメチルフェロセンであることを特徴とする請求項1のバイオセンサの酵素電極。
  4. 前記親水性高分子が、ポリカチオンポリマーとポリアニオンポリマーとからなるポリイオンコンプレックスであり、前記酸化還元酵素はこのポリイオンコンプレックス中に包括されて固定化されて前記酵素反応層を構成していることを特徴とする請求項1のバイオセンサの酵素電極。
  5. 前記ポリカチオンポリマーが、ポリリジン、キトサン、キチン、セルロースのいずれかであることを特徴とする請求項4のバイオセンサの酵素電極。
  6. 前記ポリアニオンポリマーが、ポリスチレンスルホネート又はポリアクリル酸であることを特徴とする請求項4のバイオセンサの酵素電極。
  7. 前記酵素反応層の上には、生体適合性を有する高分子が被覆されていることを特徴とする請求項1のバイオセンサの酵素電極。
  8. 前記生体適合性を有する高分子は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマーであることを特徴とする請求項7のバイオセンサの酵素電極。
  9. 試料液中の被検物質濃度を、被検物質を基質とする酸化還元酵素と電子受容体との酵素反応により電気化学的に測定するバイオセンサにおいて:
    絶縁性基板と;
    この基板上に設けられた作用極と対極とを含む電極系と;
    前記作用極上に設けられ、疎水性高分子媒体中に分散した電子受容体を含有する多孔性電荷移動媒体層と;
    前記電荷移動媒体層上に設けられ、親水性高分子媒体中に酸化還元酵素を固定化した酵素反応層とを備えることを特徴とするバイオセンサ。
  10. 絶縁性基板と、この基板上に設けられた電極と、前記電極上に設けられ疎水性高分子媒体中に分散した電子受容体を含有する多孔性電荷移動媒体層と、前記電荷移動媒体層上に設けられ親水性高分子媒体中に酸化還元酵素を固定化した酵素反応層とを備え、試料液中の被検物質濃度を被検物質を基質とする前記酸化還元酵素と前記電子受容体との酵素反応により電気化学的に測定するバイオセンサの酵素電極の製造方法において:
    前記多孔性電荷移動媒体層を、前記疎水性高分子と前記電子受容体とを有機溶媒に溶解した疎水性高分子溶液を前記電極上に塗布、乾燥することにより設けることを特徴とするバイオセンサの酵素電極の製造方法。
  11. 前記酵素反応層を、ポリカチオンポリマーとポリアニオンポリマーとからなるポリイオンコンプレックスで前記酸化還元酵素をこのポリイオンコンプレックス中に包括して固定化することにより設けることを特徴とする請求項10のバイオセンサの電極の製造方法。
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