JP2015063673A - 新規化合物、該化合物を含有する顔料分散剤、顔料組成物、顔料分散体、およびトナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、高分子と特定構造を有するモノアゾ化合物とが結合した化合物に関する。また、該化合物を含有する顔料分散剤、顔料組成物、顔料分散体、およびトナーに関する。
【選択図】なし
Description
顔料の分散性を改善するために様々な顔料分散剤およびそれを含有する顔料組成物が提案されている。例えば、アゾ骨格を有する色素と酸性基を有するバインダー樹脂を併用する例が開示されている(特許文献1)。一方、トナー中のカーボンブラックの分散性を向上させるため、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体(もしくはメタクリル酸エステル系単量体)を重合してなるブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーとカーボンブラックおよび結着樹脂を含有するトナーが開示されている(特許文献2)。さらに、アゾ顔料の分散性を向上させるために、スチレン/アクリル系高分子部位を有するアゾ化合物が開示されている(特許文献3)。
また、特許文献2に記載の方法では、一定水準の顔料分散性を得るためには添加する分散剤量を多くする必要があり、用途によっては過剰の分散剤が要求される諸特性に悪影響を及ぼす懸念がある。
また、特許文献3に記載の化合物を用いた場合、特にアゾ顔料の良好な分散性が得られる。しかし、近年の出力画像のさらなる高画質化への要望を満たすためには、顔料の分散性のさらなる向上が求められる。
を提供する。
Arはアリール基を表す。
Ar、R1及びR2は、下記(i)および(ii)の少なくとも一方の条件を満たす。
(i)Arが、アリール基中の炭素原子に結合してなる、該高分子との結合部を構成する連結基を有する。
(ii)R1またはR2が、該高分子との結合部を構成する連結基である。
R1及びR2が連結基でない場合、R1、R2はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を表す。
Xは、O、NHまたはSを表す。]
用いることで着色力の高いフルカラートナーが提供される。
尚、以下、式(1)で表される部分構造を「アゾ骨格構造」とも称す。さらに、アゾ骨格構造が式(2)で表される単量体単位を有する高分子に結合した化合物を「アゾ骨格構造を有する化合物」とも称す。また、アゾ骨格構造が結合していない、下記式(2)で表される単量体単位を有する高分子のみを指示する場合は「高分子部位」とも称す。
まず、本発明の化合物について説明する。
本発明の化合物は、式(1)で表される顔料への親和性が高いアゾ骨格構造と、式(2)で表される単量体単位を有する非水溶性溶剤への親和性が高い高分子部位とで構成される。
Arはアリール基を表す。
Ar、R1及びR2は、下記(i)および(ii)の少なくとも一方の条件を満たす。
(i)Arが、アリール基中の炭素原子に結合してなる、該高分子との結合部を構成する連結基を有する。
(ii)R1またはR2が、該高分子との結合部を構成する連結基である。
R1及びR2が連結基でない場合、R1、R2はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を表す。
XはO、NHまたはSを表す。]
上記式(1)中のArは、アリール基を表す。
そして、上記式(1)中のAr、R1及びR2は、下記(i)および(ii)の少なくとも一方の条件を満たす。
(i)Arが、アリール基中の炭素原子に結合してなる、該高分子との結合部を構成する連結基を有する。
(ii)R1またはR2が、該高分子との結合部を構成する連結基である。
R1及びR2が連結基でない場合、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を表す。
上記式(1)中のR1およびR2におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、およびシクロヘキシル基等の直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。
上記式(1)中のR1およびR2におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、およびフェネチル基等が挙げられる。
上記式(1)中のR1およびR2の置換基は、顔料への親和性を著しく阻害しない限りは更に置換基により置換されていても良い。この場合、置換しても良い置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、シアノ基、およびトリフルオロメチル基等が挙げられる。
上記式(1)中のR1およびR2は上記に列挙した置換基、フェニル基、水素原子、および該連結基として高分子と結合するための置換基から任意に選択できるが、顔料への親和性の観点から、水素原子である場合が好ましい。
上記式(1)中のXは、酸素原子(O)、NH、および硫黄原子(S)から任意に選択できるが、原材料の入手容易性の観点で、Oである場合が好ましい。
上記式(1)中のArは、上述の通り、アリール基を表す。アリール基としては、フェニル基およびナフチル基等が挙げられる。
上記式(1)中のArは、顔料への親和性を著しく阻害しない限りはさらに置換基により置換されていても良い。この場合、置換しても良い置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、およびカルボン酸アミド基等が挙げられる。Arが、アリール基中の炭素原子に結合してなる、該高分子との結合部を構成する連結基を有することが好ましく、該連結基以外を置換基として有さないことが、顔料への親和性の観点から好ましい。
上記式(1)中のArに関しては、製造容易性の観点から上記式(1)で表される部分構造が下記式(3)の部分構造であることが好ましい。すなわち、式(1)中のArが置換基を有してもよいフェニル基である場合が好ましい。
R1、R2、R5乃至R9の少なくとも1つは連結基として該高分子と結合するための置換基である。
R1、R2、R5乃至R9が連結基でない場合、R1、R2、R5乃至R9は、それぞれ独立して、水素原子、COOR10基、またはCONR11R12基を表す。R10乃至R12は、それぞれ独立して、水素原子またはアルキル基を表す。]
上記式(3)中のR10乃至R12は、上記に列挙した置換基、または水素原子から任意に選択できるが、顔料への親和性の観点から、R10がメチル基であり、R11が水素原子であり、R12がメチル基または水素原子である場合が好ましい。
上記式(3)中のR5乃至R9は、水素原子、COOR10基、CONR11R12基、および該連結基として高分子と結合するための置換基から任意に選択できるが、製造容易性、および顔料への親和性の観点から、R5乃至R9の少なくとも1つが該連結基であり、該連結基ではないR5乃至R9が全て水素原子である場合が好ましい。
上記式(3)で表される部分構造に結合する該高分子の置換数は、特に限定されるものではないが、製造容易性の観点から、1または2箇所で置換する場合が好ましい。
該高分子との連結基は、二価の連結基であれば特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸エステル結合を有する連結基、スルホン酸エステル結合を有する連結基、またはカルボン酸アミド結合を有する連結基が挙げられる。製造容易性の観点から、カルボン酸エステル結合もしくはカルボン酸アミド結合を有する連結基が好ましい。
ヒドロキシ基を有する官能基としては、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、またはヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基、−R51−O−R
52−OHで表される基(R51およびR52はそれぞれ独立して炭素数1乃至4のアルキレンを表す)等が挙げられる。
スルホン酸基を有する官能基としては、スルホン酸基、スルホメチル基、スルホエチル基、またはスルホプロピル基等のスルホアルキル基が挙げられる。
アミノ基を有する官能基としては、アミノ基、アミノメチル基、アミノエチル基、またはアミノプロピル基等のアミノアルキル基が挙げられる。
カルボキシル基を有する官能基としては、カルボキシル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、またはカルボキシプロピル基等のカルボキシアルキル基等が挙げられる。
該連結基の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
上記式(2)中のR3におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、およびシクロヘキシル基等の直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。
上記式(2)中のR3は上記に列挙した置換基、および水素原子から任意に選択できるが、単量体単位を形成する重合性単量体の重合性の観点から水素原子またはメチル基である場合が好ましい。
上記式(2)中のR4におけるカルボン酸アミド基としては、N−メチルアミド基、N,N−ジメチルアミド基、N−エチルアミド基、N,N−ジエチルアミド基、N−イソプロピルアミド基、N,N−ジイソプロピルアミド基、N−n−ブチルアミド基、N,N−ジ−n−ブチルアミド基、N−イソブチルアミド基、N,N−ジイソブチルアミド基、N−sec−ブチルアミド基、N,N−ジ−sec−ブチルアミド基、N−tert−ブチルアミド基、N−オクチルアミド基、N,N−ジオクチルアミド基、N−ノニルアミド基、N,N−ジノニルアミド基、N−デシルアミド基、N,N−ジデシルアミド基、N−ウンデシルアミド基、N,N−ジウンデシルアミド基、N−ドデシルアミド基、N,N−ジドデシルアミド基、N−ヘキサデシルアミド基、N−オクタデシルアミド基、N−フェニルアミド基、N−(2−エチルヘキシル)アミド基、およびN,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミド基等の直鎖、または分岐のアミド基が挙げられる。
上記式(2)中のR4は上記に列挙した置換基、フェニル基、またはカルボキシル基から任意に選択できる。上記アゾ骨格構造を有する化合物の媒体中での分散性、相溶性の点でフェニル基またはカルボン酸エステル基である場合が好ましい。
上記式(2)で表される単量体単位の割合を変化させることで、上記高分子部位と分散媒体との親和性を制御することができる。分散媒体がスチレンのような非極性溶剤の場合には、上記式(2)中のR4がフェニル基で表される単量体単位の割合を大きくすることが分散媒体との親和性の点で好ましい。また、分散媒体がアクリル酸エステルのようなある程度極性がある溶剤の場合には上記式(2)中のR4がカルボキシル基、カルボン酸エステル基、またはカルボン酸アミド基で表される単量体単位の割合を大きくすることが分散媒体との親和性の点で好ましい。
式(1)で表される部分構造と連結される前の高分子としては、R4がカルボキシル基である単量体単位を含むものを用いることができる。そして、このカルボキシ基を利用して、連結基を形成することができる。この場合、連結基としては、カルボン酸エステル結合もしくはカルボン酸アミド結合を含むものであることが製造容易性の観点から好ましい。
カルボキシル基を有するものであってもよい。そして、このカルボキシル基を利用して、連結基とすることができる。この場合も、連結基としては、エステル結合またはカルボン酸アミド結合を含む基を例示することができる。
前記高分子の末端にカルボキシル基を導入する方法としては、例えば、後述するATRP(Atom Transfer Radial Polymerization)法、カルボキシル基を有する重合開始剤を使用する方法、またはカルボキシル基を有するメルカプタン系連鎖移動剤を使用する方法等を適用することができる。
また、特表2003−531001号公報に開示されるように、ポリオキシアルキレンカルボニル系の分散剤において、末端に分岐した脂肪族鎖を導入することで分散性を向上させる方法が知られている。本発明の高分子部位においても、後述するATRP(Atom Transfer Radial Polymerization)のような方法でテレケリックな高分子部位を合成すれば、末端に分岐した脂肪族鎖を導入することができ、分散性が向上する場合もある。
上記アゾ骨格構造を有する化合物中のアゾ骨格構造の置換数は、ある程度多い方が顔料への親和性は高くなる。上記アゾ骨格構造の置換数は、高分子部位を形成する単量体数100に対して0.5乃至10が好ましく、0.5乃至5がより好ましい。
上記式(1)で表されるアゾ骨格構造は、下記図に示されるように、下記式(4)および(5)等で表される互変異性体が存在する。これらの互変異性体についても本発明の範囲内である。
アゾ骨格構造を有する化合物を合成する方法としては、例えば、下記(i)乃至(iv)に示す方法が挙げられる。
まず、方法(i)について、スキームの一例を以下に示し、詳細に説明する。方法(i)は、予めアゾ骨格構造および高分子部位をそれぞれ合成し、縮合反応等によりそれらを結合させることによりアゾ骨格構造を有する化合物を合成する。
まず、工程1について説明する。工程1では公知の方法を利用できる。例えば、下記に示す方法が挙げられる。まず、メタノール溶剤中、アニリン誘導体(6)を塩酸、または硫酸等の無機酸の存在下、亜硝酸ナトリウム、またはニトロシル硫酸等のジアゾ化剤と反応させて、対応するジアゾニウム塩を合成する。さらに、このジアゾニウム塩をバルビツール酸類縁体(7)とカップリングさせて、アゾ化合物(8)を合成する。
本工程は無溶剤で行うことも可能であるが、反応の急激な進行を防ぐため溶剤の存在下で行うことが好ましい。溶剤としては、反応を阻害しないものであれば特に制限されるものではない。例えば、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、および酢酸プロピル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘ
キサン、およびヘプタン等の炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、およびクロロホルム等の含ハロゲン炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、およびN,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類;アセトニトリル、およびプロピオニトリル等のニトリル類;ギ酸、酢酸、およびプロピオン酸等の酸類;並びに水等が挙げられる。
また、上記溶剤は2種以上を混合して用いることができ、基質の溶解性に応じて、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記溶剤の使用量は、任意に定めることができるが、反応速度の点で、上記式(6)で表される化合物に対し1.0乃至20質量倍の範囲が好ましい。
工程1は、通常−50℃乃至100℃の温度範囲で行われ、通常24時間以内に完結する。
例えば、ラジカル重合、カチオン重合、およびアニオン重合が挙げられるが、製造容易性の点でラジカル重合を用いることが好ましい。
ラジカル重合は、ラジカル重合開始剤の使用、放射線およびレーザー光等の照射、光重合開始剤と光の照射との併用、および加熱等により行うことができる。
例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、および4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−へキシルパーオキシベンゾエート、およびtert−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物系重合開始剤;過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物系重合開始剤;並びに過酸化水素−第1鉄系、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニリン系、およびセリウム(IV)塩−アルコール系等のレドックス開始剤等が挙げられる。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、およびチオキサントン類等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、2種以上を併用してもよい。
この際使用される重合開始剤の使用量は、単量体100質量部に対し0.1乃至20質量部の範囲で、目標とする分子量分布の共重合体が得られるように使用量を調節するのが好ましい。
例えば、メタノール、エタノール、および2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、およびメチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、およびジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノアルキルエーテル類、またはそのアセテート類;プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、またはそのアセテート類;並びにジエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の極性有機溶剤が挙げられる。場合によ
りトルエンおよびキシレン等の非極性溶剤等を、単独で、または混合して使用することもできる。これらのうち沸点が100乃至180℃の温度範囲の溶剤を、単独、または混合して使用するのがより好ましい。
重合温度は、用いる開始剤の種類により好ましい温度範囲は異なり、特に制限されるものではない。例えば、−30乃至200℃の温度範囲が一般的であり、より好ましい温度範囲は、40乃至180℃である。
また、上記溶剤は基質の溶解性に応じて、2種以上を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記溶剤の使用量も、任意に定めることができるが、反応速度の点で、上記P1で表される高分子部位に対し1.0乃至20質量倍の範囲が好ましい。
本工程は、通常0℃乃至250℃の温度範囲で行われ、通常24時間以内に完結する。
まず、工程3について説明する。工程3では上記方法(i)の工程2と同様の方法を利用し、重合性官能基を有するアゾ化合物(10)を合成することができる。例えば、カルボキシル基を有するビニル基含有化合物(9)と、Q1がヒドロキシル基を有する置換基であるアゾ化合物(8)を使用することで、連結基がカルボン酸エステル結合を有する上記アゾ化合物を合成することができる。また、ヒドロキシル基を有するビニル基含有化合物(9)と、Q1がスルホン酸基を有する置換基であるアゾ化合物(8)を使用することで、連結基がスルホン酸エステル結合を有する上記アゾ化合物を合成することができる。さらに、カルボキシル基を有するビニル基含有化合物(9)と、Q1がアミノ基を有する置換基であるアゾ化合物(8)を使用することで、連結基がカルボン酸アミド結合を有する上記アゾ化合物を合成することができる。
上記ビニル基含有化合物(9)は、多種市販されており容易に入手可能である。また、公知の方法によって容易に合成することができる。
同様の方法を利用し、上記アゾ骨格構造を有する化合物を合成することができる。
まず、工程5について説明する。工程5では上記方法(i)の工程2と同様の方法を利用し、ハロゲン原子を有するアゾ化合物(12)を合成することができる。
例えば、カルボキシル基を有するハロゲン原子含有化合物(11)とQ1がヒドロキシル基を有する置換基であるアゾ化合物(8)を使用することで、最終的に連結基がカルボン酸エステル結合を有する上記アゾ化合物を合成することができる。また、ヒドロキシル基を有するハロゲン原子含有化合物(11)と、Q1がスルホン酸基を有する置換基であるアゾ化合物(8)を使用することで、最終的に連結基がスルホン酸エステル結合を有する上記アゾ化合物を合成することができる。さらに、カルボキシル基を有するハロゲン原子含有化合物(11)と、Q1がアミノ基を有する置換基であるアゾ化合物(8)を使用することで、最終的に連結基がカルボン酸アミド結合を有する上記アゾ化合物を合成することができる。
−ブロモ−β−フェニルプロピオン酸、ヨード酢酸、α−ヨードプロピオン酸、α−ヨード酪酸、α−ヨードイソ酪酸、α−ヨード吉草酸、α−ヨードイソ吉草酸、α−ヨードカプロン酸、α−ヨードフェニル酢酸、α−ヨードジフェニル酢酸、α−ヨード−α−フェニルプロピオン酸、α−ヨード−β−フェニルプロピオン酸、β−クロロ酪酸、β−ブロモイソ酪酸、ヨードジメチルメチル安息香酸、および1−クロロエチル安息香酸等が挙げられ、その酸ハロゲン化物、または酸無水物も同様に本発明において使用することができる。
上記ヒドロキシル基を有するハロゲン原子含有化合物(11)としては、例えば、1−クロロエタノール、1−ブロモエタノール、1−ヨードエタノール、1−クロロプロパノール、2−ブロモプロパノール、2−クロロ−2−プロパノール、2−ブロモ−2−メチルプロパノール、2−フェニル−1−ブロモエタノール、および2−フェニル−2−ヨードエタノール等が挙げられる。
ATRP法に使用する金属触媒としては、特に制限されないが、周期表7乃至11族から選ばれる少なくとも1種の遷移金属が好ましい。低原子価錯体と高原子価錯体とが可逆的に変化するレドックス触媒(レドックス共役錯体)においては、使用される低原子価金属としては、例えば、Cu+、Ni0、Ni+、Ni2+、Pd0、Pd+、Pt0、Pt+、Pt2+、Rh+、Rh2+、Rh3+、Co+、Co2+、Ir0、Ir+、Ir2+、Ir3+、Fe2+、Ru2+、Ru3+、Ru4+、Ru5+、Os2+、Os3+、Re2+、Re3+、Re4+、Re6+、Mn2+、およびMn3+の群から選ばれる金属が挙げられる。中でも、Cu+、Ru2+、Fe2+、またはNi2+等が好ましく、特にCu+が好ましい。一価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、およびシアン化第一銅等が挙げられ、上記銅化合物は原料入手容易性の点からも好適に使用できる。
ATRP法に使用する配位子としては、一般的には有機配位子が使用される。例えば、2,2’−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、トリフェニルホスフィン、およびトリブチルホスフィン等が挙げられるが、特にN,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンの様な脂肪族ポリアミン類が原料入手容易性の点で好ましい。
まず、工程7について説明する。工程7では、上記方法(i)の工程2と同様の方法を利用し、ニトロ基含有アリーレン基を有する高分子部位(14)を合成することができる。例えば、カルボキシル基を有する高分子部位P1とQ6がヒドロキシル基を有する置換基であるニトロ基含有アリーレン基(14)を反応させることで、連結基がカルボン酸エステル結合であるニトロ基含有アリーレン基を有する高分子部位(14)を合成することができる。また、ヒドロキシル基を有する高分子部位P1とQ6がスルホン酸を有する置換基であるニトロ基含有アリーレン基(14)を反応させることで、連結基がスルホン酸エステル結合であるニトロ基含有アリーレン基を有する高分子部位(14)を合成することができる。さらに、カルボキシル基を有する高分子部位P1とQ6がアミノ基を有する置換基であるニトロ基含有アリーレン基(14)を使用することで、連結基がカルボン酸アミド結合であるニトロ基含有アリーレン基を有する高分子部位(14)を合成することができる。
上記式(13)は多種市販されており容易に入手可能である。また、公知の方法によって容易に合成することができる。
本工程は無溶剤で行うことも可能であるが、反応の急激な進行を防ぐため溶剤の存在下で行うことが好ましい。溶剤としては、反応を阻害しないものであれば特に制限されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール類
;酢酸メチル、酢酸エチル、および酢酸プロピル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、およびヘプタン等の炭化水素類;並びに、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、およびN,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類等が挙げられる。
また、上記溶剤は2種以上を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。上記溶剤の使用量も、基質の溶解性に応じて、任意に定めることができる。反応速度の点で、上記ニトロ基含有アリーレン基(14)で表される化合物に対し1.0乃至20質量倍の範囲が好ましい。
本工程は、通常0℃乃至250℃の温度範囲で行われ、通常24時間以内に完結する。
各工程で得られた上記アゾ骨格構造を有する化合物、上記式(8)、(10)、(12)、(14)および(15)で表される化合物は、通常の有機化合物の単離、精製方法を用いることができる。単離、精製方法としては、例えば、有機溶剤を用いた再結晶法や再沈殿法、および、シリカゲル等を用いたカラムクロマトグラフィー等が挙げられる。これらの方法を単独、または2つ以上組み合わせて精製をおこなうことにより、高純度で得ることが可能である。
上記工程で得られた上記式(8)、(10)、および(12)で表される化合物は、核磁気共鳴分光分析[ECA−400、日本電子(株)製]、ESI−TOF MS(LC/MSD TOF、Agilent Technologies社製)、およびHPLC分析[LC−20A、(株)島津製作所製]により同定および定量を行うことができる。
上記の工程で得られた上記アゾ骨格構造を有する化合物、上記式(14)、および(15)で表される化合物は、高速GPC[HLC8220GPC、東ソー(株)製]、核磁気共鳴分光分析[FT−NMR AVANCE−600、ブルカー・バイオスピン(株)製]、およびJIS K−0070に基づく酸価測定[自動滴定測定装置COM−2500、平沼産業(株)製]により同定および定量を行うことができる。
本発明の顔料分散剤は、本発明のアゾ骨格構造を有する化合物を含有するものであればよい。そして、本発明の顔料組成物は、塗料、インキ、トナー、および樹脂成形品等に用いられ、顔料と本発明のアゾ骨格構造を有する化合を顔料分散剤として少なくとも1種含有することを特徴とする。
その中でも、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment
Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.PigmentYellow 128、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 175、およびC.I.Pigment Yellow 180等に代表されるアセトアセトアニリド系顔料、並びに、C.I.Pigment Yellow 139およびC.I.Pigment Yellow 185等に代表されるイソインドリン系顔料は本発明のアゾ骨格構造を有する化合物との親和性が高
いことから好ましい。特に、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、またはC.I.Pigment Yellow
185は、本発明のアゾ骨格構造を有する化合物による分散効果が高いことからより好ましい。
上記イエロー顔料は単独で用いても良く、2種以上を混合しても良い。
本発明の顔料組成物に含有されるイエロー着色剤としては、上記イエロー顔料以外にも該顔料の分散性を阻害しない限りは、公知のイエロー着色剤を併用して用いることができる。
例えば、C.I.Pigment Yellow 12、13、14、15、17、62、94、95、97、109、110、111、120、127、129、139、147、151、154、168、174、176、181、191、194、213、214;C.I.バットイエロー1、3、20、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、C.I.Solvent Yellow 9、17、24、31、35、58、93、100、102、103、105、112、162、163等から選択される1種以上を用いることができる。
それらのうち、本発明の顔料組成物に使用されるキナクリドン系顔料は下記式(16)で表されるもの、ジケトピロロピロール系顔料は下記式(17)で表されるもの、並びに、ナフトールAS系顔料およびBONAレーキ系顔料は(18)で表されるものが、本発明のアゾ骨格構造を有する化合物との親和性が高いことから好ましい。
上記式(16)中のR14乃至R21は上記に列挙した置換基から任意に選択できるが、R14、R15、R17乃至R19、およびR21が水素原子であり、R16およびR20が水素原子、塩素原子、またはメチル基である場合が、本発明のアゾ骨格構造を有する化合物との親和性の観点から好ましい。
上記式(17)で示されるジケトピロロピロール系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 255、254、264等が挙げられる。
上記式(17)中のR22乃至R31は上記に列挙した置換基から任意に選択できるが、R22、R23、R25乃至R28、R30、およびR31が水素原子であり、R24、およびR29が水素原子またはフェニル基である場合が、本発明のアゾ骨格構造を有する化合物との親和性の観点から好ましい。
上記式(18)で示されるBONAレーキ系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 48:2、48:3、48:4、57:1等が挙げられる。
上記式(18)中のR32乃至R37は上記に列挙した置換基から任意に選択できるが、R32乃至R34のうち少なくとも一つがCONHR36基であり、R35がCONHR37基である場合が好ましい。さらに、R37が水素原子である場合が、本発明のアゾ骨格構造を有する化合物との親和性の観点から好ましい。
上記マゼンタ顔料は単独で用いても良く、2種以上を混合しても良い。
本発明の顔料組成物に含有されるマゼンタ着色剤としては、上記マゼンタ顔料以外でも該顔料の分散性を阻害しない限りは、公知のマゼンタ着色剤を併用して用いることができる。
本発明においては、特に、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6は、本発明のアゾ骨格構造を有する化合物による分散効果が高いことからより好ましい。
上記フタロシアニン顔料は単独で用いても良く、2種以上を混合しても良い。
併用できるシアン着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、1:2、1:3、2、2:1、2:2、3、4、5、6、7、8、9、9:1、10、10:1、11、12、13、14、18、19、20、21、22、23、24、24:1、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、36:1、52、53、56、56:1、57、58、59、60、61、61:1、62、63、64、65、66、67、69、71、72、73、74、77、78、80、81、82、83、84等から選択される1種以上が挙げられる。
また、色調を整えるためにシアン以外の着色剤を用いることができる。例えば、C.I.Pigment Blue 15:3にC.I.Pigment Green 7を混合して用いることで、シアンの色純度を向上することができる。
本発明に用いられるカーボンブラックは、特に制限はないが、例えばサーマル法、アセ
チレン法、チャンネル法、ファーネス法、およびランプブラック法等の製法により得られたカーボンブラックを用いることができる。
本発明に用いるカーボンブラックの平均一次粒径は、特に制限はないが、平均一次粒径が14乃至80nmであることが好ましく、より好ましくは25乃至50nmである。平均一次粒径が14nmよりも大きいことで、色調が赤味を呈しにくく、ブラック顔料として適切となる。一方、カーボンブラックの平均一次粒径が80nmより小さい場合には、該顔料組成物を着色剤として使用した場合、印字画像の着色力が良好となる。
尚、カーボンブラックの平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡で拡大した写真を撮影して測定することができる。
尚、カーボンブラックのDBP吸油量とは、カーボンブラック100gが吸収するDBP(ジブチルフタレート)量であり、「JIS K6217」に準拠して測定することができる。
本発明に用いるカーボンブラックのpHは、上記アゾ骨格構造を有する化合物の効果を著しく阻害するものでなければ特に制限はない。
尚、カーボンブラックのpHは、カーボンブラックと蒸留水の混合液をpH電極で測定することができる。
本発明に用いるカーボンブラックの比表面積は、特に制限はないが、300m2/g以下であることが好ましく、より好ましくは100m2/g以下である。一方、下限は特に制限されないが、通常30m2/g以上である。カーボンブラックの比表面積が300m2/g以下であることで、上記アゾ骨格構造を有する化合物によるカーボンブラック分散性が良好となる。
尚、カーボンブラックの比表面積とはBET比表面積であり、「ISO 4652」に準拠して測定することができる。
上記カーボンブラックは単独で用いても良く、2種以上を混合しても良い。
併用できるブラック着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Black 1、10、31;C.I.Natural Black 1、2、3、4、5、6;および活性炭等から選択される1種以上が挙げられる。
さらに、本発明の顔料組成物に含有されるブラック着色剤としては、調色のために、公知のマゼンタ着色剤、シアン着色剤、またはイエロー着色剤を併用して用いることができる。
尚、本発明に使用し得る顔料としては、上記のようなイエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料またはカーボンブラック以外の顔料でも、本発明の顔料分散剤と親和性がある顔料なら好適に用いることができ、限定されるものではない。
これらは粗製顔料であっても良く、上記アゾ骨格構造を有する化合物の効果を著しく阻害するものでなければ調製された顔料組成物であっても良い。
いた場合、顔料分散性の点で100:0.5乃至100:20の範囲である場合がより好ましい。
顔料組成物は湿式または乾式にて製造が可能である。本発明のアゾ化合物が非水溶性溶剤との高い親和性を有していることから、簡便に均一な顔料組成物が製造できる湿式による製造が好ましい。例えば、下記のようにして得られる。
分散媒中に顔料分散剤および必要に応じて樹脂を溶かし込み、撹拌しながら顔料粉末を除々に加え十分に分散媒になじませる。さらにニーダー、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、およびハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで顔料の粒子表面に顔料分散剤を吸着させ、顔料を安定に均一な微粒子状に微分散することができる。
本発明の顔料組成物は、製造時にさらに助剤を添加しても良い。例えば、表面活性剤、分散剤、充填剤、標準化剤(standardizers)、樹脂、ワックス、消泡剤、静電防止剤、防塵剤、増量剤、濃淡着色剤(shading colorants)、保存剤、乾燥抑制剤、レオロジー制御添加剤、湿潤剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定化剤、およびこれらの組み合わせである。また、本発明の顔料分散剤は粗製顔料製造の際に予め添加しておいても良い。
本発明の顔料分散体は、上記顔料組成物と非水溶性溶剤とからなる。上記顔料組成物を非水溶性溶剤に分散させてもよいし、上記顔料組成物の各構成成分を非水溶性溶剤に分散させてもよい。例えば、下記のようにして得られる。分散媒中に、必要に応じて顔料分散剤および樹脂を溶かし込み、撹拌しながら顔料または顔料組成物粉末を除々に加え十分に分散媒になじませる。さらにボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、およびハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで、顔料を安定に均一な微粒子状に分散することができる。
本発明の顔料分散体に使用し得る非水溶性溶剤としては顔料分散体の目的用途に応じて決められるものであり、特に限定されない。例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、および酢酸プロピル等のエステル類;ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の炭化水素類;並びに四塩化炭素、トリクロロエチレン、およびテトラブロモエタン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
本発明の顔料組成物は、結着樹脂、および着色剤を有するトナー粒子を含有するトナーの着色剤として好適である。本発明の顔料組成物を用いることによりトナー粒子中の顔料の分散性が良好に保たれるため、着色力の高いトナーが提供される。
本発明のトナーの結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、およびスチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、それらを形成するための単量体が用いられる。
例えばスチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、およびp−エチルスチレン等のスチレン系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリロニトリル、およびメタクリル酸アミド等のメタクリレート系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリロニトリル、およびアクリル酸アミド等のアクリレート系単量体;並びにブタジエン、イソプレン、およびシクロヘキセン等のオレフィン系単量体が好ましく用いられる。
これらは、単独、または理論ガラス転移温度(Tg)が、40乃至75℃の範囲を示すように単量体を適宜混合して用いられる[J. Brandrup、E. H. Immergut編、「ポリマーハンドブック」、(米国)、第3版、John Wiley & Sons、1989年、209−277頁を参照]。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすい傾向にある。一方75℃を超える場合はトナーのフルカラー画像形成の場合において透明性が低下する傾向にある。
本発明のトナーにおける結着樹脂は、ポリスチレン等の非極性樹脂にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂等の極性樹脂を併用して用いることで、着色剤、電荷制御剤、およびワックス等の添加剤のトナー内分布を制御することができる。例えば、懸濁重合法等により直接トナー粒子を製造する場合には、分散工程から重合工程に至る重合反応時に該極性樹脂を添加する。該極性樹脂は、トナー粒子となる重合性単量体組成物と水系媒体の極性のバランスに応じて添加する。その結果、該極性樹脂がトナー粒子の表面に薄層を形成する等、トナー粒子表面から中心に向けその樹脂濃度が連続的に変化するように制御することができる。この時、上記アゾ骨格構造を有する化合物、着色剤および電荷制御剤と相互作用を有するような極性樹脂を用いることによって、トナー粒子中への着色剤の存在状態を望ましい形態にすることが可能である。
本発明のトナー粒子に用いられる架橋剤としては、二官能の架橋剤として、ジビニルベ
ンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、およびポリエステル型ジアクリレート、並びに、これらジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、およびオリゴエステルアクリレート;およびそのメタクリレート;2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン;ジアリルフタレート;トリアリルシアヌレート;トリアリルイソシアヌレート;並びにトリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、トナーの定着性、および耐オフセット性の点で、上記単量体100質量部に対して、好ましくは0.05乃至10質量部の範囲、より好ましくは0.1乃至5質量部の範囲で用いる。
本発明において使用し得るワックス成分としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびペトロラクタム等の石油系ワックス、並びにその誘導体;モンタンワックスおよびその誘導体;フィッシャー・トロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体;ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックスおよびその誘導体;並びに、カルナバワックスおよびキャンデリラワックス等の天然ワックス、並びにそれらの誘導体等が挙げられる。該誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、およびグラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコール等のアルコール、ステアリン酸およびパルミチン酸等の脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物ワックス、並びに動物ワックス等が挙げられる。これらは単独、または併せて用いることができる。
上記ワックス成分の添加量としては、結着樹脂100質量部に対する含有量が総量で2.5乃至15.0質量部の範囲であることが好ましく、さらには3.0乃至10.0質量部の範囲であることがより好ましい。ワックス成分の添加量が2.5質量部以上で、オイルレス定着が容易になる。一方、15.0質量部以下で、トナー粒子中でのワックス成分の量が適切となり、所望の帯電特性を得やすくなる。
電荷制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる電荷制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない電荷制御剤が特に好ましい。
電荷制御剤は、例えば、トナーを負帯電に制御するものとして、スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体;サリチル酸誘導体およびその金属錯体;モノアゾ金属化合物;アセチルアセトン金属化合物;芳香族オキシカルボン酸;芳香族モノおよびポリカルボン酸や、その金属塩、無水物、エステル類;ビスフェノール等のフェノール誘導体類;尿素誘導体;含金属ナフトエ酸系化合物;ホウ素化合物;4級アンモニウム塩;カリックスアレーン;並びに樹脂系電荷制御剤等が挙げられる。
本発明の懸濁重合法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。まず、本発明の顔料組成物を含む着色剤、重合性単量体、ワックス成分および重合開始剤等を混合して重合性単量体組成物を調製する。次に、該重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して重合性単量体組成物の粒子を造粒する。そして、水系媒体中にて重合性単量体組成物の粒子中の重合性単量体を重合させてトナー粒子を得る。
上記工程における重合性単量体組成物は、上記着色剤を第1の重合性単量体に分散させた分散液を、第2の重合性単量体と混合して調製されたものであることが好ましい。すなわち、上記顔料組成物を第1の重合性単量体により十分に分散させた後で、他のトナー材料と共に第2の重合性単量体と混合することにより、顔料がより良好な分散状態でトナー粒子中に存在できる。
上記重合開始剤の濃度は、重合性単量体100質量部に対して0.1乃至20質量部が好ましく、より好ましくは0.1乃至10質量部である。上記重合性開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減温度を参考に、単独または混合して使用される。
無機系の分散安定化剤としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、およびアルミナ等が挙げられる。
有機系の分散安定化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、およびデンプン等が挙げられる。また、ノニオン性、アニオン性、およびカチオン性の界面活性剤の利用も可能である。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、およびオレイン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明において、上記難水溶性無機分散安定化剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定化剤をそのまま用いて分散させても良いが、細かい均一な粒度を有する分散安定化剤粒子を得るために、水中にて高速撹拌下に、上記難水溶性無機分散安定化剤を生成させて調製することが好ましい。例えば、リン酸カルシウムを分散安定化剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定化剤を得ることができる。
上記懸濁造粒法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。まず、本発明の顔料組成物を含む着色剤、結着樹脂、およびワックス成分等を、溶剤中で混合して溶剤組成物を調製する。次に、該溶剤組成物を水系媒体中に分散して溶剤組成物の粒子を造粒してトナー粒子懸濁液を得る。そして、得られた懸濁液を加熱、または減圧によって溶剤を除去することでトナー粒子を得ることができる。
上記工程における溶剤組成物は、上記着色剤を第1の溶剤に分散させた分散液を、第2の溶剤と混合して調製されたものであることが好ましい。すなわち、上記着色剤を第1の溶剤により十分に分散させた後で、他のトナー材料と共に第2の溶剤と混合することにより、顔料がより良好な分散状態でトナー粒子中に存在できる。
ロエタン、および四塩化炭素等の含ハロゲン炭化水素類;メタノール、エタノール、ブタノール、およびイソプロピルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、およびトリエチレングリコール等の多価アルコール類;メチルセロソルブ、およびエチルセロソルブ等のセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトン、およびメチルイソブチルケトン等のケトン類;ベンジルアルコールエチルエーテル、ベンジルアルコールイソプロピルエーテル、およびテトラヒドロフラン等のエーテル類;並びに酢酸メチル、酢酸エチル、および酢酸ブチル等のエステル類が挙げられる。これらを単独または2種類以上混合して用いることができる。これらのうち、上記トナー粒子懸濁液中の溶剤を容易に除去するため、沸点が低く、且つ上記結着樹脂を十分に溶解できる溶剤を用いることが好ましい。
上記溶剤の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、50乃至5000質量部が好ましく、120乃至1000質量部がより好ましい。
無機系の分散安定化剤としては、例えば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、および炭酸バリウム等が挙げられる。有機系の分散安定化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム、およびポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、およびステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、およびラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤;並びに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。
上記分散剤の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.01乃至20質量部が、該溶剤組成物の水系媒体中での液滴安定性の点で好ましい。
また、トナー粒子のD4と個数平均粒径(以下、D1と記載する)の比(以下、D4/D1と記載する)は好ましくは1.35以下、より好ましく1.30以下である。D4/D1が1.35以下であることで、かぶりの発生や転写効率の低下を抑えることができ、高解像度が得やすくなる。
尚、本発明のトナーのD4とD1は、トナー粒子の製造方法によってその調整方法は異なる。例えば、懸濁重合法の場合は、水系分散媒体調製時に使用する分散剤濃度や反応撹拌速度、または反応撹拌時間等をコントロールすることによって調整することができる。
Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、およびV等の金属との合金、並びにこれらの混合物等が挙げられる。本発明の目的に特に好適な磁性材料は四三酸化鉄またはγ−三二酸化鉄の微粉末である。
これらの磁性体は平均粒径が0.1乃至2μm(好ましくは0.1乃至0.3μm)であり、795.8kA/m印加での磁気特性が、保磁力:1.6乃至12kA/m、飽和磁化:5乃至200Am2/kg(好ましくは50乃至100Am2/kg)、残留磁化:2乃至20Am2/kg、がトナーの現像性の点で好ましい。
これら磁性材料の添加量は結着樹脂100質量部に対して、好ましくは10乃至200質量部、より好ましくは20乃至150質量部である。
以下に本合成例で用いられる測定方法を示す。
上記高分子部位、およびアゾ骨格構造を有する化合物の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、ポリスチレン換算で算出される。SECによる分子量の測定は以下に示すように行った。
サンプル濃度が1.0%になるようにサンプルを下記溶離液に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過したものをサンプル溶液とし、以下の条件で測定した。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−804の2連
溶離液:THF
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40℃
試料注入量 :0.025mL
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂[東ソー(株)製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、およびA−500]により作成した分子量校正曲線を使用した。
上記高分子部位、アゾ骨格構造を有する化合物の酸価は以下の方法により求められる。
基本操作はJIS K−0070に基づく。
1)試料0.5乃至2.0gを精秤する。このときの質量をM(g)とする。
2)50mLのビーカーに試料を入れ、テトラヒドロフラン/エタノール(2/1)の混合液25mLを加え溶解する。
3)0.1mol/LのKOHのエタノール溶液を用い、電位差滴定測定装置を用いて滴定を行う[例えば、平沼産業(株)製自動滴定測定装置「COM−2500」等が利用できる。]。
4)この時のKOH溶液の使用量をS(mL)とする。同時にブランクを測定して、この時のKOHの使用量をB(mL)とする。
5)次式により酸価を計算する。fはKOH溶液のファクターである。
上記高分子部位、アゾ骨格構造を有する化合物の構造決定は以下の装置を用いて行った。
1H NMR
日本電子(株)製ECA−400(使用溶剤 重クロロホルム)
13C NMR
ブルカー・バイオスピン(株)製FT−NMR AVANCE−600(使用溶剤 重クロロホルム)
尚、13C NMRは、クロム(III)アセチルアセトナートを緩和試薬として用いた逆ゲートデカップリング法により定量化し組成分析を行った。
下記方法で、アゾ骨格構造を有する化合物を得た。
<化合物(C−1)の製造例>
下記構造で表されるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を下記スキームに従い製造した。
化合物(C−52)185部を得た(収率92.5%)。
さらに、化合物(C−52)15部をクロロホルム222部に溶解して、塩化チオニル10部を滴下して24時間撹拌を行った。その後、反応溶液を濃縮して、クロロホルムと過剰の塩化チオニルを除去した。得られた樹脂固形物を回収して、化合物(C−53)を得た。
次に、化合物(C−53)10部をN,N−ジメチルアセトアミド61部に溶解させて、化合物(C−49)1.6部加えて65℃で7時間撹拌した。その後、メタノール20部を加えて65℃で1時間撹拌した。反応溶液を室温に戻した後、反応溶液をろ過して濃縮を行った。残渣をメタノール100部で再沈殿させることにより精製し、アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)9.8部を得た(収率98.0%)。
[アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)の分析結果]
[1]分子量測定(GPC)の結果:
重量平均分子量(Mw)=24,037、数平均分子量(Mn)=13,521
[2]酸価測定の結果:
7.0mgKOH/g
[3]13C NMR(150MHz、CDCl3、室温)の結果(図1参照):δ[ppm]=179.88(2C)、176.16(3C)、175.53(3C)、161.57(3C)、159.82(3C)、149.00(3C)、147.29−142.68(101C)、138.87(3C)、137.76(3C)、131.18−124.04、117.43、115.53、47.05−36.18
上記13C NMRのデータ解析結果により各ピークに帰属される共重合体を構成する炭素原子数の比率を定量した。これらの測定結果、およびGPC分析における上記数平均分子量の値から、アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を構成する単量体単位数を算出すると、スチレン101個、アゾ骨格構造3個、アクリル酸メチル3個、およびアクリル酸2個であった。
得られた高分子化合物(C−55)40部を、1,4−ジオキサン200部に溶解させ、12M塩酸水溶液100部を加え、120℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮した後、メタノールで再沈殿させ、得られた沈殿を減圧乾固させることで、化合物(C−56)を36部得た(収率90.1%)。
さらに、化合物(C−56)15部をクロロホルム222部に溶解して、塩化チオニル10部を滴下して24時間撹拌を行った。その後、反応溶液を濃縮して、クロロホルムと過剰の塩化チオニルを除去した。得られた樹脂固形物を回収して、化合物(C−57)14.5部を得た(収率96.5%)。
次に、得られたものが上記式で表される構造を有することは、上記した各装置を用い確認した。以下に、分析結果を示す。
[1]分子量測定(GPC)の結果:
重量平均分子量(Mw)=11,445、数平均分子量(Mn)=9,705
[2]酸価測定の結果:
4.2mgKOH/g
[3]13C NMR(150MHz、CDCl3、室温)の結果(図2参照):δ[ppm]=181.3(5.9C)、177.7(1C)、177.1(1C)、161.1(1C)、158.9(1C)、147.9(1C)、146.0−144.9(790.0C)、138.8(1C)、138.4(1C)、130.3(1C)、128.4−127.2、125.6−125.5、117.4(1C)、115.3(1C)、96.2、63.9(1C)、52.6(1C)、51.1(1C)、46.3−45.8、44.1−41.5、40.6−40.2、34.3、29.6、26.2、25.5−25.2
上記13C NMRのデータ解析結果により各ピークに帰属される共重合体を構成する炭素原子数の比率を定量した。これらの測定結果、およびGPC分析における上記数平均分子量の値から、アゾ骨格構造を有する化合物(C−15)を構成する単量体単位数を算出すると、スチレン92個、アゾ骨格構造1個であった。また、高分子部位(C−57)へのアゾ骨格構造(C−49)の導入率は14.5%であった。
昇温しながら常圧蒸留し、液温が170℃に到達後は1hPaで減圧下に1時間蒸留して溶剤を留去して、ポリマー固形物を得た。該固形物をテトラヒドロフランに溶解し、n−ヘキサンで再沈殿させ、析出した固体を濾別することで化合物(C−59)98.0部を得た(収率98%)。
さらに、化合物(C−59)15部をクロロホルム222部に溶解して、塩化チオニル10部を滴下して24時間撹拌を行った。その後、反応溶液を濃縮して、クロロホルムと過剰の塩化チオニルを除去した。得られた樹脂固形物を回収して、化合物(C−60)14.7部を得た(収率97.8%)。
次に、化合物(C−60)10部をN,N−ジメチルアセトアミド61部に溶解させて、化合物(C−49)0.273部加えて65℃で7時間撹拌した。反応溶液を室温に戻した後、反応溶液をろ過して濃縮を行った。残渣をメタノール100部で再沈殿させることにより精製し、アゾ骨格構造を有する化合物(C−16)9.5部を得た(収率92.8%)。
[アゾ骨格構造を有する化合物(C−16)の分析結果]
[1]分子量測定(GPC)の結果:
重量平均分子量(Mw)=12,022、数平均分子量(Mn)=6,544
[2]酸価測定の結果:
5.5mgKOH/g
[3]13C NMR(150MHz、CDCl3、室温)の結果(図3参照):δ[ppm]=174.8(4.9C)、172.2(1C)、171.6(1C)、166.3(1.5C)、161.1(1C)、159.0、147.9(1C)、145.7−145.0(461.5)、142.5−142.4、140.2(1C)、139.0(1C)、137.9(1C)、132.8(1C)、130.4−130.2、129.4(1C)、128.2−127.2、125.6−125.5、117.6(1C)、115.4(1C)、96.4(1C)、73.3(1C)、72.5−72.3、69.4−69.1、64.5、59.1−58.7、53.5、49.1、48.0、46.4、45.9−45.8、44.1−41.4、40.6−40.2、34.6−34.2、33.7−33.5、29.6(1C)、27.3−26.9、16.2
上記13C NMRのデータ解析結果により各ピークに帰属される共重合体を構成する炭素原子数の比率を定量した。これらの測定結果、およびGPC分析における上記数平均分子量の値から、アゾ骨格構造を有する化合物(C−16)を構成する単量体単位数を算出すると、スチレン62個、アゾ骨格構造1個であった。また、高分子部位(C−60)へのアゾ骨格構造(C−49)の導入率は23.3%であった。
下記構造で表されるアゾ骨格構造を有する化合物(C−44)を下記スキームに従い製造した。
剰の亜硝酸を分解した(ジアゾニウム塩溶液)。
次に、酢酸ナトリウム56.3部を水200部に溶解させたものおよびバルビツール酸(C−48)17.7部を加え、0℃に氷冷し、上記ジアゾニウム塩溶液を温度、pH8以下を維持しながら滴下した。滴下後、溶液を徐々に室温に戻しながら終夜撹拌し、反応を完結させた。反応終了後、溶液を濾過し、沈殿を希塩酸で洗浄後、水洗することで化合物(C−62)28.4部を得た(収率73.3%)。
上記(C−62)12.0部を、1,4−ジオキサン124部に溶解させた。次に、室温下、硫化水素ナトリウム10.0部を水20部に溶かした溶液を加えた後、65℃に昇温し、45時間撹拌した。反応終了後、溶液を水中に注加し、析出した沈殿を濾別後、水に再分散させ、濃塩酸でpHを中性にした。沈殿を水洗後、メタノールで分散洗浄することで化合物(C−63)8.94部を得た(収率78.7%)。
次に、プロピレングリコールモノメチルエーテル100部を窒素置換しながら加熱し液温120℃以上で還流させ、そこへ、スチレン(C−50)190部、アクリル酸(C−51)5.0部、およびtert−ブチルパーオキシベンゾエート[有機過酸化物系重合開始剤、日油(株)製、商品名:パーブチルZ]1.00部を混合したものを3時間かけ
て滴下した。滴下終了後、溶液を3時間撹拌した後、液温170℃まで昇温しながら常圧蒸留し、液温170℃到達後は1hPaで減圧下1時間蒸留して脱溶剤し、樹脂固形物を得た。該固形物をテトラヒドロフランに溶解し、n−ヘキサンでの再沈殿による精製で化合物(C−64)185部を得た(収率92.5%)。
上記化合物(C−64)10部をトルエン87.0部に溶解させて、溶液を5℃に氷冷し、塩化チオニル4.5部を滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、室温下15時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、N,N−ジメチルアセトアミド61部を加え、トルエンを完全に減圧留去した。次に溶液を氷冷し、5℃で化合物(C−63)1.12部を添加した。添加後、反応液を昇温し、65℃で3時間撹拌した。反応終了後、メタノール100部に注ぎ込み、析出した沈殿を濾別し、メタノール15部で掛け洗いした。トルエン87.0部に再溶解させ、不溶分を除去した後、溶液を濃縮し、メタノールで再沈殿することにより精製し、アゾ骨格構造を有する化合物(C−44)10.9部を得た(収率98.0%)。
次に、得られたものが上記式で表される構造を有することは、上記した各装置を用い確認した。以下に、分析結果を示す。
[1]分子量測定(GPC)の結果:
重量平均分子量(Mw)=25,027、数平均分子量(Mn)=13,746
[2]酸価測定の結果:
21.4mgKOH/g
[3]13C NMR(150MHz、CDCl3、室温)の結果(図4参照):δ[ppm]=174.7−174.0(1C)、171.0、161.3(1C)、159.4(1C)、148.7(1C)、146.0−145.0(30.2C)、143.9、140.8(1C)、139.0(1C)、128.0−127.2、125.6−125.5、118.6(1C)、115.8(1C)、112.6(1C)、108.5(1C)、96.5、46.3−41.2、40.3、38.1、35.3、21.5
上記13C NMRのデータ解析結果により各ピークに帰属される共重合体を構成する炭素原子数の比率を定量した。これらの測定結果、およびGPC分析における上記数平均分子量の値から、アゾ骨格構造を有する化合物(C−44)を構成する単量体単位数を算出すると、スチレン102個、およびアゾ骨格構造4個であった。
上記アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)、(C−15)、(C−16)、および(C−44)の合成例と同様の操作を行い、アゾ骨格構造を有する化合物(C−2)乃至(C−14)、および(C−17)乃至(C−43)を製造した。
下記表1に上記高分子部位を表し、下記表2に上記アゾ骨格構造を有する化合物を表す。
との連結基であり、下記構造を表す。]
[式(3)中、R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、またはアラルキル基をし、XはO、NH、またはSを表す。R5乃至R9はそれぞれ独立して水素原子、COOR10基、またはCONR11R12基を表す。R10乃至R12はそれぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。但し、R1、R2、およびR5乃至R9の少なくとも1つは連結基として該高分子と結合するための置換基を有する。]
<比較化合物(C−45)の製造例>
本発明のアゾ骨格構造を有する化合物の比較例として、特開2000‐239554号公報明細書中の合成例3(例示化合物9の合成)に準じて、下記アゾ骨格を有する色素(C−45)を合成した。
本発明のアゾ骨格構造を有する化合物の比較例として、特開2012‐067285号公報明細書中の実施例2(色素化合物合成例3)に準じて、下記比較用アゾ化合物(C−46)を合成した。
本発明のイエロー顔料分散体を下記の方法で調製した。
<イエロー顔料分散体の調製例1>
イエロー顔料として、式(Pig-A)で表されるC.I.Pigment Yell
ow 155(イエロー顔料a)18.0部、上記アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)1.80部、非水溶性溶剤としてスチレン180部、およびガラスビーズ(φ1mm)130部を混合し、アトライター[日本コークス工業(株)製]で3時間分散させ、メッシュで濾過してイエロー顔料分散体(Dis−Y1)を得た。
上記イエロー顔料分散体の調製例1においてアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、アゾ骨格構造を有する化合物(C−2)乃至(C−44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、それぞれイエロー顔料分散体(Dis−Y2)乃至(Dis−Y44)を得た。
<イエロー顔料分散体の調製例3>
上記イエロー顔料分散体の調製例1において、式(Pig-A)で表されるC.I.Pi
gment Yellow 155(イエロー顔料a)を式(Pig-B)で表されるC
.I.Pigment Yellow 180(イエロー顔料b)または式(Pig-C
)で表されるC.I.Pigment Yellow 185(イエロー顔料c)に変更した以外は、それぞれ同様な操作を行って、イエロー顔料分散体(Dis−Y45)および(Dis−Y46)を得た。
イエロー顔料として式(Pig-A)で表されるC.I.Pigment Yello
w 155(イエロー顔料a)42.0部、および顔料分散剤としてアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)4.2部をハイブリダイゼーションシステム NHS−0[(株)奈良機械製作所製]によって、乾式混合し、顔料組成物を調製した。得られた顔料組成物の19.8部を、スチレン180部およびガラスビーズ(直径1mm)130部と混合し、ペイントシェーカー[(株)東洋精機製作所製]で1時間分散させ、メッシュで濾過してイエロー顔料分散体(Dis−Y47)を得た。
評価の基準値となるイエロー顔料分散体、比較用のイエロー顔料分散体を下記方法により調製した。
<基準用イエロー顔料分散体の調製例1>
上記イエロー顔料分散体の調製例1において、アゾ色素骨格を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用イエロー顔料分散体(Dis−Y48)を得た。
<基準用イエロー顔料分散体の調製例2>
上記イエロー顔料分散体の調製例3において、アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は各々同様の操作を行って、それぞれ基準用イエロー顔料分散体(Dis−Y49)および(Dis−Y50)を得た。
<基準用イエロー顔料分散体の調製例3>
上記イエロー顔料分散体の調製例4において、アゾ色素骨格を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用イエロー顔料分散体(Dis−Y51)を得た。
上記イエロー顔料分散体の調製例1においてアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、特許文献1に記載のアゾ骨格を有する色素(C−45)0.216部およびバインダー樹脂であるアクリル酸/アクリル酸ブチル[共重合比(モル比)=1/12]ランダムコポリマー(Mw=26,290)1.8部(比較化合物1)、特許文献2に記載のスチレ
ン/アクリル酸ブチル[共重合比(質量比)=95/5]ブロックコポリマー(Mw=9,718)(比較化合物2)、または特許文献3に記載の化合物(C−46)(比較化合物3)に変更した以外は各々同様の操作を行って、それぞれ比較用イエロー顔料分散体(Dis−Y52)乃至(Dis−Y54)を得た。
本発明のマゼンタ顔料分散体を下記の方法で調製した。
<マゼンタ顔料分散体の調製例1>
マゼンタ顔料として、式(Pig-D)で表されるC.I.Pigment Red
122(マゼンタ顔料a)18.0部、上記アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)1.80部、非水溶性溶剤としてスチレン180部、およびガラスビーズ(φ1mm)130部を混合し、アトライター[日本コークス工業(株)製]で3時間分散させ、メッシュで濾過してマゼンタ顔料分散体(Dis−M1)を得た。
上記マゼンタ顔料分散体の調製例1においてアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、アゾ骨格構造を有する化合物(C−2)乃至(C−44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、それぞれマゼンタ顔料分散体(Dis−M2)乃至(Dis−M44)を得た。
<マゼンタ顔料分散体の調製例3>
上記マゼンタ顔料分散体の調製例1において、式(Pig-D)で表されるC.I.Pi
gment Red 122(マゼンタ顔料a)を、式(Pig-E)で表されるC.I
.Pigment Red 255(マゼンタ顔料b)、または式(Pig-F)で表さ
れるC.I.Pigment Red 150(マゼンタ顔料c)に変更した以外は各々同様の操作を行って、マゼンタ顔料分散体(Dis−M45)および(Dis−M46)を得た。
マゼンタ顔料として式(Pig-D)で表されるC.I.Pigment Red 1
22(マゼンタ顔料a) 42.0部、および顔料分散剤としてアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)4.2部をハイブリダイゼーションシステム NHS−0[(株)奈良機械製作所製]によって、乾式混合し、顔料組成物を調製した。得られた顔料組成物の19.8部を、スチレン180部およびガラスビーズ(直径1mm)130部と混合し、ペイントシェーカー[(株)東洋精機製作所製]で1時間分散させ、メッシュで濾過してマゼンタ顔料分散体(Dis−M47)を得た。
評価の基準値となるマゼンタ顔料分散体、比較用のマゼンタ顔料分散体を下記方法により調製した。
<基準用マゼンタ顔料分散体の調製例1>
上記マゼンタ顔料分散体の調製例1において、アゾ色素骨格を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用マゼンタ顔料分散体(Dis−M48)を得た。
<基準用マゼンタ顔料分散体の調製例2>
上記マゼンタ顔料分散体の調製例3において、アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は各々同様の操作を行って、基準用マゼンタ顔料分散体(Dis−M49)および(Dis−M50)を得た。
<基準用マゼンタ顔料分散体の調製例3>
上記マゼンタ顔料分散体の調製例4において、アゾ色素骨格を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用マゼンタ顔料分散体(Dis−M51)を得た。
上記のマゼンタ顔料分散体の調製例1においてアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、特許文献1に記載のアゾ骨格を有する色素(C−45)0.216部およびバインダー樹脂であるアクリル酸/アクリル酸ブチル[共重合比(モル比)=1/12]ランダムコポリマー(Mw=26,290)1.8部(比較化合物1)、特許文献2に記載のスチレン/アクリル酸ブチル[共重合比(質量比)=95/5]ブロックコポリマー(Mw=9,718)(比較化合物2)、または特許文献3に記載の化合物(C−46)(比較化合物3)に変更した以外は各々同様の操作を行って、それぞれ比較用マゼンタ顔料分散体(Dis−M52)乃至(Dis−M54)を得た。
本発明のシアン顔料分散体を下記の方法で調製した。
<シアン顔料分散体の調製例1>
シアン顔料として、式(Pig-G)で表されるC.I.Pigment Blue
15:3(シアン顔料a)18.0部、上記アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)1.80部、非水溶性溶剤としてスチレン180部、およびガラスビーズ(φ1mm)130部を混合し、アトライター[日本コークス工業(株)製]で3時間分散させ、メッシュで濾過してシアン顔料分散体(Dis−C1)を得た。
上記シアン顔料分散体の調製例1において、アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、アゾ骨格構造を有する化合物(C−2)乃至(C−44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、シアン顔料分散体(DIS−C2)乃至(DIS−C44)を得た。
<シアン顔料分散体の調製例3>
上記シアン顔料分散体の調製例1において、式(Pig-G)で表されるC.I.Pi
gment Blue 15:3(シアン顔料a)を、式(Pig-H)で表されるC.
I.Pigment Blue 16(シアン顔料b)、または式(Pig-I)で表さ
れるC.I.Pigment Blue 17:1(シアン顔料c)に変更した以外は各々同様の操作を行って、シアン顔料分散体(Dis−C45)および(Dis−C46)を得た。
シアン顔料として、式(Pig-G)で表されるC.I.Pigment Blue
15:3(シアン顔料a) 42.0部、および顔料分散剤としてアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)4.2部をハイブリダイゼーションシステム NHS−0[(株)奈良機械製作所製]によって、乾式混合し、顔料組成物を調製した。得られた顔料組成物の19.8部を、スチレン180部およびガラスビーズ(直径1mm)130部と混合し、ペイントシェーカー[(株)東洋精機製作所製]で1時間分散させ、メッシュで濾過してシアン顔料分散体(Dis−C47)を得た。
評価の基準値となるシアン顔料分散体、比較用のシアン顔料分散体を下記方法により調製した。
<基準用シアン顔料分散体の調製例1>
上記シアン顔料分散体の調製例1において、アゾ色素骨格を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用シアン顔料分散体(Dis−C48)を得た。
<基準用シアン顔料分散体の調製例2>
上記シアン顔料分散体の調製例3において、アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は各々同様の操作を行って、基準用シアン顔料分散体(Dis−C49)および(Dis−C50)を得た。
<基準用シアン顔料分散体の調製例3>
上記シアン顔料分散体の調製例4において、アゾ色素骨格を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用シアン顔料分散体(Dis−C51)を得た。
上記シアン顔料分散体の調製例1においてアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、特許文献1に記載のアゾ骨格を有する色素(C−45)0.216部およびバインダー樹脂であるアクリル酸/アクリル酸ブチル[共重合比(モル比)=1/12]ランダムコポリマー(Mw=26,290)1.8部(比較化合物1)、特許文献2に記載のスチレン/アクリル酸ブチル[共重合比(質量比)=95/5]ブロックコポリマー(Mw=9,718)(比較化合物2)、または特許文献3に記載の化合物(C−46)(比較化合物3)に変更した以外は各々同様の操作を行って、それぞれ比較用シアン顔料分散体(Dis−C52)乃至(Dis−C54)を得た。
本発明のブラック顔料分散体を下記の方法で調製した。
<ブラック顔料分散体の調製例1>
ブラック顔料として、カーボンブラック(比表面積=65m2/g、平均粒径=30nm、pH=9.0)(ブラック顔料a)30.0部、上記アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)3.0部、非水溶性溶剤としてスチレン150部、およびガラスビーズ(φ1mm)130部を混合し、アトライター[日本コークス工業(株)製]で3時間分散させ、メッシュで濾過してブラック顔料分散体(Dis−Bk1)を得た。
<ブラック顔料分散体の調製例2>
上記ブラック顔料分散体の調製例1において、アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、アゾ色素骨格を有する化合物(C−2)乃至(C−44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、ブラック顔料分散体(Dis−Bk2)乃至(Dis−Bk44)を得た。
上記ブラック顔料分散体の調製例1において、カーボンブラック(比表面積=65m2/g、平均粒径=30nm、pH=9.0)(ブラック顔料a)をカーボンブラック(比表面積=77m2/g、平均粒径=28nm、pH=7.5)(ブラック顔料b)またはカーボンブラック(比表面積=370m2/g、平均粒径=13nm、pH=3.0)(ブラック顔料c)に変更した以外は各々同様の操作を行って、それぞれブラック分散液(Dis−Bk45)および(Dis−Bk46)を得た。
<ブラック顔料分散体の調製例4>
ブラック顔料として、カーボンブラック(比表面積=65m2/g、平均粒径=30nm、pH=9.0)(ブラック顔料a)42.0部、および顔料分散剤としてアゾ骨格構
造を有する化合物(C−1)4.2部をハイブリダイゼーションシステム NHS−0[(株)奈良機械製作所製]によって、乾式混合し、顔料組成物を調製した。得られた顔料組成物の33.0部を、スチレン150部およびガラスビーズ(直径1mm)130部と混合し、ペイントシェーカー[(株)東洋精機製作所製]で1時間分散させ、メッシュで濾過してブラック顔料分散体(Dis−Bk47)を得た。
評価の基準値となるブラック顔料分散体、比較用のブラック顔料分散体を下記方法により調製した。
<基準用ブラック顔料分散体の調製例1>
上記ブラック顔料分散体の調製例1において、アゾ色素骨格を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用ブラック顔料分散体(DIS−Bk48)を得た。
<基準用ブラック顔料分散体の調製例2>
上記ブラック顔料分散体の調製例3において、アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は各々同様の操作を行って、基準用ブラック顔料分散体(Dis−Bk49)および(Dis−Bk50)を得た。
<基準用ブラック顔料分散体の調製例3>
上記ブラック顔料分散体の調製例4において、アゾ色素骨格を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用ブラック顔料分散体(Dis−Bk51)を得た。
上記顔料分散体の調製例1においてアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、特許文献1に記載のアゾ骨格を有する色素(C−45)0.361部およびバインダー樹脂であるアクリル酸/アクリル酸ブチル[共重合比(モル比)=1/12]ランダムコポリマー(Mw=26,290)3.0部(比較化合物1)、特許文献2に記載のスチレン/アクリル酸ブチル[共重合比(質量比)=95/5]ブロックコポリマー(Mw=9,718)(比較化合物2)、または特許文献3に記載の化合物(C−46)(比較化合物3)に変更した以外は各々同様の操作を行って、それぞれ比較用ブラック顔料分散体(Dis−Bk52)乃至(Dis−Bk54)を得た。
各色の上記顔料分散体を下記の方法で評価した。
<顔料分散性評価>
上記イエロー顔料分散体(Dis−Y1)乃至(Dis−Y47)、上記マゼンタ顔料分散体(Dis−M1)乃至(Dis−M47)、上記シアン顔料分散体(Dis−C1)乃至(Dis−C47)、および上記ブラック顔料分散体(Dis−Bk1)乃至(Dis−Bk47)を用いて、塗工膜の光沢試験をおこなうことで、本発明のアゾ骨格構造を有する化合物の顔料分散性を評価した。即ち、顔料分散体をスポイトですくい取り、スーパーアート紙[SA金藤 180kg 80×160、王子製紙(株)製]上部に直線上に載せ、ワイヤーバー(#10)を用いて均一にアート紙上に塗工し、乾燥後の光沢(反射角:75°)を光沢計Gloss Meter VG2000[日本電色工業(株)製]により測定し、下記基準で評価した。尚、顔料がより微細に分散するほど塗工膜の平滑性が向上し光沢が向上する。
値の向上率は、基準用イエロー顔料分散体(Dis−Y50)の光沢値を基準値とした。上記イエロー顔料分散体(Dis−Y47)の光沢値の向上率は、基準用イエロー顔料分散体(Dis−Y51)の光沢値を基準値とした。
尚、上記マゼンタ顔料分散体(Dis−M1)乃至(Dis−M44)の光沢値の向上率は、基準用マゼンタ顔料分散体(Dis−M48)の光沢値を基準値とした。上記マゼンタ顔料分散体(Dis−M45)の光沢値の向上率は、基準用マゼンタ顔料分散体(Dis−M49)の光沢値を基準値とした。上記マゼンタ顔料分散体(Dis−M46)の光沢値の向上率は、基準用マゼンタ顔料分散体(Dis−M50)の光沢値を基準値とした。上記マゼンタ顔料分散体(Dis−M47)の光沢値の向上率は、基準用マゼンタ顔料分散体(Dis−M51)の光沢値を基準値とした。
・イエロー顔料分散体の評価基準
A:光沢値の向上率が20%以上
B:光沢値の向上率が10%以上20%未満
C:光沢値の向上率が0%以上10%未満
D:光沢値が低下
光沢値の向上率が10%以上であれば良好な顔料分散性であり、実用上好ましいレベルであると判断した。
・マゼンタ顔料分散体の評価基準
A:光沢値の向上率が35%以上
B:光沢値の向上率が20%以上35%未満
C:光沢値の向上率が5%以上20%未満
D:光沢値の向上率が5%未満
光沢値の向上率が20%以上であれば良好な顔料分散性であり、実用上好ましいレベルであると判断した。
・シアン顔料分散体の評価基準
A:光沢値の向上率が25%以上
B:光沢値の向上率が15%以上25%未満
C:光沢値の向上率が5%以上15%未満
D:光沢値の向上率が5%未満
光沢値の向上率が15%以上であれば良好な顔料分散性であり、実用上好ましいレベルであると判断した。
・ブラック顔料分散体の評価基準
A:光沢値が80以上
B:光沢値が50以上80未満
C:光沢値が20以上50未満
D:光沢値が20未満
光沢値が50以上であれば良好な顔料分散性であり、実用上好ましいレベルであると判断した。
比較用イエロー顔料分散体(Dis−Y52)乃至(Dis−Y54)、比較用マゼンタ顔料分散体(Dis−M52)乃至(Dis−M54)、比較用シアン顔料分散体(Dis−C52)乃至(Dis−C54)、および比較用ブラック顔料分散体(Dis−Bk52)乃至(Dis−Bk54)、について、実施例6と同様の方法で光沢を評価した。
尚、上記比較用イエロー顔料分散体(Dis−Y52)乃至(Dis−Y54)の光沢値の向上率は、上記基準用イエロー顔料分散体(Dis−Y48)の光沢値を基準値とした。上記比較用マゼンタ顔料分散体(Dis−M52)乃至(Dis−M54)の光沢値の向上率は、上記基準用マゼンタ顔料分散体(Dis−M48)の光沢値を基準値とした。上記シアン顔料分散体(Dis−C52)乃至(Dis−C54)の光沢値の向上率は、上記基準用シアン顔料分散体(Dis−C48)の光沢値を基準値とした。
上記イエロー顔料分散体、上記マゼンタ顔料分散体、上記シアン顔料分散体、および上記ブラック顔料分散体の評価結果を表3に示す。
次に、下記方法で懸濁重合法によるイエロートナーを製造した。
<イエロートナーの製造例1>
(水系媒体の調製)
高速撹拌装置T.K.ホモミクサー[プライミクス(株)製]を備えた2リットル用4つ口フラスコ中に、イオン交換水710部と0.1mol/l−Na3PO4水溶液450部を添加し、回転数を12000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/l−CaCl2水溶液68部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系媒体を調製した。
次に下記組成物を60℃に加温し、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー[プライミクス(株)製]を用いて5000rpmにて均一に溶解、分散させた。
・上記イエロー顔料分散体(Dis−Y1):132部
・スチレン単量体:46部
・n−ブチルアクリレート単量体:34部
・極性樹脂[飽和ポリエステル樹脂(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA、酸価15mgKOH/g、ピーク分子量6000)]:10部
・エステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク=70℃、Mn=704):25部
・サリチル酸アルミニウム化合物[オリエント化学工業(株)製、商品名:ボントロンE−108]:2部
・ジビニルベンゼン単量体:0.1部
これに重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を加え、上記水系媒体中に投入し、回転数12000rpmを維持しつつ15分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変え、液温を60℃で重合を5時間継続させた後、液温を80℃に昇温させ8時間重合を継続させた。重合反応終了後、80℃、減圧下で残存単量体を留去した後、30℃まで冷却し、重合体微粒子分散液を得た。
得られた上記重合体微粒子分散液を洗浄容器に移し、撹拌しながら、希塩酸を添加し、pH1.5で2時間撹拌し、Ca3(PO4)2を含むリン酸とカルシウムの化合物を溶解させた後に、濾過器で固液分離し、重合体微粒子を得た。これを水中に投入して撹拌し、再び分散液とした後に、濾過器で固液分離した。重合体微粒子の水への再分散と固液分離とをCa3(PO4)2を含むリン酸とカルシウムの化合物が十分に除去されるまで繰り返しおこなった。その後、最終的に固液分離した重合体微粒子を、乾燥機で十分に乾燥してトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.0部(数平均一次粒子径7nm)、ルチル型酸化チタン微粉体0.15部(数平均一次粒子径45nm)、ルチル型酸化チタン微粉体0.5部(数平均一次粒子径200nm)をヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製]で5分間乾式混合して、イエロートナー(Tnr−Y1)を得た。
上記イエロートナーの製造例1におけるイエロー顔料分散体(Dis−Y1)を上記イエロー顔料分散体(Dis−Y2)乃至(Dis−Y44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のイエロートナー(Tnr−Y2)乃至(Tnr−Y44)を得た。
<イエロートナーの製造例3>
上記イエロートナーの製造例1におけるイエロー顔料分散体(Dis−Y1)をイエロー顔料分散体(Dis−Y45)または(Dis−Y46)に変更した以外は各々同様の操作を行って、イエロートナー(Tnr−Y45)および(Tnr−Y46)を得た。
上記実施例7で製造した本発明のイエロートナーに対して、評価の基準値となるイエロートナー、比較用イエロートナーを下記方法により製造した。
<基準用イエロートナーの製造例1>
上記イエロートナーの製造例1におけるイエロー顔料分散体(Dis−Y1)を、イエロー顔料分散体(Dis−Y48)に変更した以外は同様の操作を行って、基準用イエロートナー(Tnr−Y47)を得た。
<基準用イエロートナーの製造例2>
上記イエロートナーの製造例1における上記イエロー顔料分散体(Dis−Y1)を、イエロー顔料分散体(Dis−Y49)または(Dis−Y50)に変更した以外は各々同様の操作を行って、基準用イエロートナー(Tnr−Y48)および(Tnr−Y49)を得た。
<比較用イエロートナーの製造例1>
上記イエロートナーの製造例1における上記イエロー顔料分散体(Dis−Y1)を、イエロー顔料分散体(Dis−Y52)乃至(Dis−Y54)に変更した以外は各々同様の操作を行って、比較用イエロートナー(Tnr−Y50)乃至(Tnr−Y52)を得た。
次に、下記方法で懸濁重合法によるマゼンタトナーを製造した。
<マゼンタトナーの製造例1>
上記イエロートナーの製造例1におけるイエロー顔料分散体(Dis−Y1)をマゼンタ顔料分散体(Dis−M1)に変更した以外は同様の操作を行って、マゼンタトナー(Tnr−M1)を得た。
<マゼンタトナーの製造例2>
上記マゼンタトナーの製造例1におけるマゼンタ顔料分散体(Dis−M1)を上記マゼンタ顔料分散体(Dis−M2)乃至(Dis−M44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のマゼンタトナー(Tnr−M2)乃至(Tnr−M44)を得た。
<マゼンタトナーの製造例3>
上記マゼンタトナーの製造例1におけるマゼンタ顔料分散体(Dis−M1)をマゼンタ顔料分散体(Dis−M45)または(Dis−M46)に変更した以外は各々同様の操作を行って、マゼンタトナー(Tnr−M45)および(Tnr−M46)を得た。
<基準用マゼンタトナーの製造例1>
上記マゼンタトナーの製造例1におけるマゼンタ顔料分散体(Dis−M1)を、マゼンタ顔料分散体(Dis−M48)に変更した以外は同様の操作を行って、基準用マゼンタトナー(Tnr−M47)を得た。
<基準用マゼンタントナーの製造例2>
上記マゼンタトナーの製造例1における上記マゼンタ顔料分散体(Dis−M1)を、マゼンタ顔料分散体(Dis−M49)または(Dis−M50)に変更した以外は各々同様の操作を行って、基準用マゼンタトナー(Tnr−M48)および(Tnr−M49)を得た。
<比較用マゼンタトナーの製造例1>
上記マゼンタトナーの製造例1における上記マゼンタ顔料分散体(Dis−M1)を、マゼンタ顔料分散体(Dis−M52)乃至(Dis−M54)に変更した以外は各々同様の操作を行って、比較用マゼンタトナー(Tnr−M50)および(Tnr−M52)を得た。
次に、下記方法で懸濁重合法によるシアントナーを製造した。
<シアントナーの製造例1>
上記イエロートナーの製造例1におけるイエロー顔料分散体(Dis−Y1)をシアン顔料分散体(Dis−C1)に変更した以外は各々同様の操作を行って、シアントナー(Tnr−C1)を得た。
<シアントナーの製造例2>
上記シアントナーの製造例1におけるシアン顔料分散体(Dis−C1)を上記シアン顔料分散体(Dis−C2)乃至(Dis−C44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のシアントナー(Tnr−C2)乃至(Tnr−C44)を得た。
<シアントナーの製造例3>
上記シアントナーの製造例1におけるシアン顔料分散体(Dis−C1)をシアン顔料分散体(Dis−C45)または(Dis−C46)に変更した以外は各々同様の操作を行って、シアントナー(Tnr−C45)および(Tnr−C46)を得た。
<基準用シアントナーの製造例1>
上記シアントナーの製造例1におけるシアン顔料分散体(Dis−C1)を、シアン顔料分散体(Dis−C48)に変更した以外は同様の操作を行って、基準用シアントナー(Tnr−C47)を得た。
<基準用シアントナーの製造例2>
上記シアントナーの製造例1における上記シアン顔料分散体(Dis−C1)を、シアン顔料分散体(Dis−C49)または(Dis−C50)に変更した以外は各々同様の操作を行って、基準用シアントナー(Tnr−C48)および(Tnr−C49)を得た。
<比較用シアントナーの製造例1>
上記シアントナーの製造例1における上記シアン顔料分散体(Dis−C1)を、シアン顔料分散体(Dis−C52)乃至(Dis−C54)に変更した以外は各々同様の操作を行って、比較用シアントナー(Tnr−C50)乃至(Tnr−C52)を得た。
次に、下記方法で懸濁重合法によるブラックトナーを製造した。
<ブラックトナーの製造例1>
上記イエロートナーの製造例1におけるイエロー顔料分散体(Dis−Y1)をブラック顔料分散体(Dis−Bk1)に変更した以外は同様の操作を行って、ブラックトナー(Tnr−Bk1)を得た。
<ブラックトナーの製造例2>
上記ブラックトナーの製造例1におけるブラック顔料分散体(Dis−Bk1)を上記ブラック顔料分散体(Dis−Bk2)乃至(Dis−Bk44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のブラックトナー(Tnr−Bk2)乃至(Tnr−Bk44)を得た。
<ブラックトナーの製造例3>
上記ブラックトナーの製造例1におけるブラック顔料分散体(Dis−Bk1)をブラック顔料分散体(Dis−Bk45)または(Dis−Bk46)に変更した以外は各々同様の操作を行って、ブラックトナー(Tnr−Bk45)および(Tnr−Bk46)を得た。
<基準用ブラックトナーの製造例1>
上記シアントナーの製造例1におけるシアン顔料分散体(Dis−C1)を、ブラック
顔料分散体(Dis−Bk48)に変更した以外は同様の操作を行って、基準用ブラックトナー(Tnr−Bk47)を得た。
<基準用ブラックトナーの製造例2>
上記ブラックトナーの製造例1における上記ブラック顔料分散体(Dis−Bk1)を、ブラック顔料分散体(Dis−Bk49)または(DIS−Bk50)に変更した以外は各々同様の操作を行って、基準用ブラックトナー(Tnr−Bk48)および(Tnr−Bk49)を得た。
<比較用ブラックトナーの製造例1>
上記ブラックトナーの製造例1における上記ブラック顔料分散体(Dis−Bk1)を、ブラック顔料分散体(Dis−Bk52)乃至(Dis−Bk54)に変更した以外は各々同様の操作を行って、比較用ブラックトナー(Tnr−Bk50)乃至(Tnr−Bk52)を得た。
次に、下記方法で懸濁造粒法によるイエロートナーを製造した。
<イエロートナーの製造例4>
(イエロー顔料分散体の調製)
酢酸エチル180部、C.I.Pigment Yellow 155(イエロー顔料a)12部、上記アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)1.2部、およびガラスビーズ(φ1mm)130部を混合し、アトライター[日本コークス工業(株)製]により3時間分散させ、メッシュで濾過することでイエロー顔料分散体を調製した。
(混合工程)
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、トナー組成物混合液200部を得た。
・上記イエロー顔料分散体:96.0部
・極性樹脂[飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとフタル酸の重縮合物、Tg=75.9℃、Mw=11000、Mn=4200、酸価=11mgKOH/g)]:85.0部
・炭化水素ワックス(フィッシャー・トロプシュワックス、DSC測定における最大吸熱ピーク=80℃、Mw=750):9.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物[ボントロンE−108、オリエント化学工業(株)製]:2部
・酢酸エチル(溶剤):10.0部
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、カルボキシメチルセルロースを溶解し、水系媒体を得た。
・炭酸カルシウム(アクリル酸系共重合体で被覆):20.0部
・カルボキシメチルセルロース[セロゲンBS−H、第一工業製薬(株)製]:0.5部・イオン交換水:99.5部
該水系媒体1200部を、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー[プライミクス(株)製]に入れ、回転羽根を周速度20m/secで撹拌しながら、上記トナー組成物混合液1000部を投入し、25℃一定に維持しながら1分間撹拌して懸濁液を得た。
上記懸濁液2200部をフルゾーン翼[(株)神鋼環境ソリューション製]により周速度45m/minで撹拌しながら、液温を40℃一定に保ち、ブロワーを用いて上記懸濁液面上の気相を強制吸気し、溶剤除去を開始した。その際、溶剤除去開始から15分後に、イオン性物質として1%に希釈したアンモニア水75部を添加し、続いて溶剤除去開始から1時間後に上記アンモニア水25部を添加し、続いて溶剤除去開始から2時間後に上
記アンモニア水25部を添加し、最後に溶剤除去開始から3時間後に上記アンモニア水25部を添加し、総添加量を150部とした。更に液温を40℃に保ったまま、溶剤除去開始から17時間保持し、懸濁粒子から溶剤(酢酸エチル)を除去したトナー分散液を得た。
(洗浄・脱水工程)
溶剤除去工程で得られたトナー分散液300部に、10mol/L塩酸80部を加え、さらに0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液により中和処理後、吸引濾過によるイオン交換水洗浄を4回繰り返して、トナーケーキを得た。得られたトナーケーキを真空乾燥機で乾燥し、目開き45μmの篩で篩分しトナー粒子を得た。これ以降の操作は実施例7のイエロートナーの製造例1と同様の操作を行って、本発明のイエロートナー(Tnr−Y53)を得た。
上記イエロートナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を(C−2)乃至(C−44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のイエロートナー(Tnr−Y54)乃至(Tnr−Y96)を得た。
<イエロートナーの製造例6>
上記イエロートナーの製造例4における、式(Pig−A)で表されるC.I.Pigment Yellow 155(イエロー顔料a)を式(Pig−B)で表されるC.I.Pigment Yellow 180(イエロー顔料b)または式(Pig−C)で表されるC.I.Pigment Yellow 185(イエロー顔料c)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のイエロートナー(Tnr−Y97)および(Tnr−Y98)を得た。
評価の基準値となるイエロートナー、比較用イエロートナーを下記方法により製造した。
<基準用イエロートナーの製造例3>
上記イエロートナーの製造例4におけるアゾ色素骨格を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用イエロートナー(Tnr−Y99)を得た。<基準用イエロートナーの製造例4>
上記イエロートナーの製造例6におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は各々同様の操作を行って、基準用イエロートナー(Tnr−Y100)および(Tnr−Y101)を得た。
<比較用イエロートナーの製造例2>
上記イエロートナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、特許文献1に記載のアゾ骨格を有する色素(C−45)0.265部およびバインダー樹脂であるアクリル酸/アクリル酸ブチル[共重合比(モル比)=1/12]ランダムコポリマー(Mw=26,290)8.35部(比較化合物1)、特許文献2に記載のスチレン/アクリル酸ブチル[共重合比(質量比)=95/5]ブロックコポリマー(Mw=9,718)(比較化合物2)、または特許文献3に記載の化合物(C−46)(比較化合物3)に変更した以外は各々同様の操作を行って、比較用イエロートナー(Tnr−Y102)乃至(Tnr−Y104)を得た。
次に、下記方法で懸濁造粒法によるマゼンタトナーを製造した。
<マゼンタトナーの製造例4>
上記イエロートナーの製造例4における式(Pig-A)で表されるC.I.Pigm
ent Yellow 155(イエロー顔料a)を、式(Pig-D)で表されるC.
I.Pigment Red 122(マゼンタ顔料a)に変更した以外は同様の操作を
行って、本発明のマゼンタトナー(Tnr−M53)を得た。
<マゼンタトナーの製造例5>
上記マゼンタトナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を(C−2)乃至(C−44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のマゼンタトナー(Tnr−M54)乃至(Tnr−M96)を得た。
<マゼンタトナーの製造例6>
上記マゼンタトナーの製造例4における、式(Pig-D)で表されるC.I.Pig
ment Red 122(マゼンタ顔料a)を、式(Pig-E)で表されるC.I.
Pigment Red 255(マゼンタ顔料b)、または式(Pig-F)で表され
るC.I.Pigment Red 150(マゼンタ顔料c)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のマゼンタトナー(Tnr−M97)および(Tnr−M98)を得た。
評価の基準値となるマゼンタトナー、比較用マゼンタトナーを下記方法により製造した。
<基準用マゼンタトナーの製造例3>
上記マゼンタトナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用マゼンタトナー(Tnr−M99)を得た。<基準用マゼンタントナーの製造例4>
上記マゼンタトナーの製造例6におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は各々同様の操作を行って、基準用マゼンタトナー(Tnr−M100)および(Tnr−M101)を得た。
<比較用マゼンタトナーの製造例2>
上記マゼンタトナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、特許文献1に記載のアゾ骨格を有する色素(C−45)0.265部およびバインダー樹脂であるアクリル酸/アクリル酸ブチル[共重合比(モル比)=1/12]ランダムコポリマー(Mw=26,290)8.35部(比較化合物1)、特許文献2に記載のスチレン/アクリル酸ブチル[共重合比(質量比)=95/5]ブロックコポリマー(Mw=9,718)(比較化合物2)、または特許文献3に記載の化合物(C−46)(比較化合物3)に変更した以外は各々同様の操作を行って、比較用マゼンタトナー(Tnr−M102)乃至(Tnr−M104)を得た。
次に、下記方法で懸濁造粒法によるシアントナーを製造した。
<シアントナーの製造例4>
上記イエロートナーの製造例4における式(Pig−A)で表されるC.I.Pigment Yellow 155(イエロー顔料a)を、式(Pig-G)で表されるC.
I.Pigment Blue 15:3(シアン顔料a)に変更した以外は同様の操作を行って、本発明のシアントナー(Tnr−C53)を得た。
<シアントナーの製造例5>
上記シアントナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を(C−2)乃至(C−44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のシアントナー(Tnr−C54)乃至(Tnr−C96)を得た。
<シアントナーの製造例6>
上記シアントナーの製造例4における式(Pig-G)で表されるC.I.Pigme
nt Blue 15:3(シアン顔料a)を、式(Pig-H)で表されるC.I.P
igment Blue 16(シアン顔料b)、または式(Pig-I)で表されるC
.I.Pigment Blue 17:1(シアン顔料c)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のシアントナー(Tnr−C97)および(Tnr−C98)を
得た。
評価の基準値となるシアントナー、比較用シアントナーを下記方法により製造した。
<基準用シアントナーの製造例3>
上記シアントナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用シアントナー(Tnr−C99)を得た。
<基準用シアントナーの製造例4>
上記シアントナーの製造例6におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は各々同様の操作を行って、基準用シアントナー(Tnr−C100)および(Tnr−C101)を得た。
<比較用シアントナーの製造例2>
上記シアントナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、特許文献1に記載のアゾ骨格を有する色素(C−45)0.265部およびバインダー樹脂であるアクリル酸/アクリル酸ブチル[共重合比(モル比)=1/12]ランダムコポリマー(Mw=26,290)8.35部(比較化合物1)、特許文献2に記載のスチレン/アクリル酸ブチル[共重合比(質量比)=95/5]ブロックコポリマー(Mw=9,718)(比較化合物2)、または特許文献3に記載の化合物(C−46)(比較化合物3)に変更した以外は各々同様の操作を行って、比較用シアントナー(Tnr−C102)乃至(Tnr−C104)を得た。
次に、下記方法で懸濁造粒法によるブラックトナーを製造した。
<ブラックトナーの製造例4>
上記イエロートナーの製造例4における式(Pig-A)で表されるC.I.Pigm
ent Yellow 155(イエロー顔料a)12部および上記アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)1.2部を、カーボンブラック(比表面積=65m2/g、平均粒径=30nm、pH=9.0)(ブラック顔料a)30部および記アゾ骨格構造を有する化合物(C−1)3.0部に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のブラックトナー(Tnr−Bk53)を得た。
<ブラックトナーの製造例5>
上記ブラックトナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を(C−2)乃至(C−44)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のブラックトナー(Tnr−Bk54)乃至(Tnr−Bk96)を得た。
<ブラックトナーの製造例6>
上記ブラックトナーの製造例4におけるカーボンブラック(比表面積=65m2/g、平均粒径=30nm、pH=9.0)(ブラック顔料a)をカーボンブラック(比表面積=77m2/g、平均粒径=28nm、pH=7.5)(ブラック顔料b)またはカーボンブラック(比表面積=370m2/g、平均粒径=13nm、pH=3.0)(ブラック顔料c)に変更した以外は各々同様の操作を行って、本発明のブラックトナー(Tnr−Bk97)および(Tnr−Bk98)を得た。
評価の基準値となるブラックトナー、比較用ブラックトナーを下記方法により製造した。
<基準用ブラックトナーの製造例3>
上記ブラックトナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は同様の操作を行って、基準用ブラックトナー(Tnr−Bk99)を得た。
<基準用ブラックトナーの製造例4>
上記ブラックトナーの製造例6におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を加えないこと以外は各々同様の操作を行って、基準用ブラックトナー(Tnr−Bk100)および(Tnr−Bk101)を得た。
<比較用ブラックトナーの製造例2>
上記ブラックトナーの製造例4におけるアゾ骨格構造を有する化合物(C−1)を、特許文献1に記載のアゾ骨格を有する色素(C−45)0.666部およびバインダー樹脂であるアクリル酸/アクリル酸ブチル[共重合比(モル比)=1/12]ランダムコポリマー(Mw=26,290)13.9部(比較化合物1)、特許文献2に記載のスチレン/アクリル酸ブチル[共重合比(質量比)=95/5]ブロックコポリマー(Mw=9,718)(比較化合物2)、または特許文献3に記載の化合物(C−46)(比較化合物3)に変更した以外は各々同様の操作を行って、比較用ブラックトナー(Tnr−Bk102)乃至(Tnr−Bk104)を得た。
本発明で得たイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、およびブラックトナーを下記の方法で評価した。
<トナーの着色力評価>
イエロートナー(Tnr−Y1)乃至(Tnr−Y49)および(Tnr−Y53)乃至(Tnr−Y101)、マゼンタトナー(Tnr−M1)乃至(Tnr−M49)および(Tnr−M53)乃至(Tnr−M101)、シアントナー(Tnr−C1)乃至(Tnr−C49)および(Tnr−C53)乃至(Tnr−C101)、ブラックトナー(Tnr−Bk1)乃至(Tnr−Bk49)およびブラックトナー(Tnr−Bk53)乃至(Tnr−Bk101)を用いて、画像サンプルを出力し後述する画像特性を比較評価した。尚、画像特性の比較に際し画像形成装置(以下LBPと略)としてLBP−5300[キヤノン(株)製]の改造機を使用した通紙耐久を行った。改造内容としてはプロセスカートリッジ(以下CRGとする)内の現像ブレードを厚み(8μm)のSUSブレードに交換した。その上でトナー担持体である現像ローラーに印加する現像バイアスに対して−200(V)のブレードバイアスを印加できるようにした。
常温常湿[N/N(23.5℃,60%RH)]環境下にて、転写紙(75g/m2紙)に対してトナー載り量0.5mg/cm2のベタ画像を作成した。反射濃度計Spectrolino(GretagMacbeth製)を用いてそのベタ画像の濃度を測定した。トナーの着色力はベタ画像濃度の向上率で評価した。
上記イエロートナー(Tnr−Y53)乃至(Tnr−Y96)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用イエロートナー(Tnr−Y99)のベタ画像濃度を基準値とした。上記イエロートナー(Tnr−Y97)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用イエロートナー(Tnr−Y100)のベタ画像濃度を基準値とした。上記イエロートナー(Tnr−Y98)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用イエロートナー(Tnr−Y101)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記マゼンタトナー(Tnr−M1)乃至(Tnr−M44)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用マゼンタトナー(Tnr−M47)のベタ画像濃度を基準値とした。上記マゼンタトナー(Tnr−M45)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用トナー(Tnr−M48)のベタ画像濃度を基準値とした。上記マゼンタトナー(Tnr−M46)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用マゼンタトナー(Tnr−M49)のベタ画像濃度
を基準値とした。
上記マゼンタトナー(Tnr−M53)乃至(Tnr−M96)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用マゼンタトナー(Tnr−M99)のベタ画像濃度を基準値とした。上記マゼンタトナー(Tnr−M97)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用マゼンタトナー(Tnr−M100)のベタ画像濃度を基準値とした。上記マゼンタトナー(Tnr−M98)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用マゼンタトナー(Tnr−M101)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記シアントナー(Tnr−C53)乃至(Tnr−C96)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用シアントナー(Tnr−C99)のベタ画像濃度を基準値とした。上記シアントナー(Tnr−C97)のベタ画像濃度の向上率は、基準用シアントナー(Tnr−C100)のベタ画像濃度を基準値とした。上記シアン(Tnr−C98)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用シアントナー(Tnr−C101)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記ブラックトナー(Tnr−Bk1)乃至(Tnr−Bk44)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用ブラックトナー(Tnr−Bk47)のベタ画像濃度を基準値とした。上記ブラックトナー(Tnr−Bk45)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用トナー(Tnr−Bk48)のベタ画像濃度を基準値とした。上記ブラックトナー(Tnr−Bk46)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用ブラックトナー(Tnr−Bk49)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記ブラックトナー(Tnr−Bk53)乃至(Tnr−Bk96)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用ブラックトナー(Tnr−Bk99)のベタ画像濃度を基準値とした。上記ブラックトナー(Tnr−Bk97)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用ブラックトナー(Tnr−Bk100)のベタ画像濃度を基準値とした。上記ブラックトナー(Tnr−Bk98)のベタ画像濃度の向上率は、上記基準用ブラックトナー(Tnr−Bk101)のベタ画像濃度を基準値とした。
・イエロートナーのベタ画像濃度の向上率の評価基準
A:ベタ画像濃度の向上率が5%以上
B:ベタ画像濃度の向上率が1%以上5%未満
C:ベタ画像濃度の向上率が0%以上1%未満
D:ベタ画像濃度が低下
ベタ画像濃度の向上率が1%以上であれば良好な色調であると判断した。
・マゼンタトナーのベタ画像濃度の向上率の評価基準
A:ベタ画像濃度の向上率が20%以上
B:ベタ画像濃度の向上率が10%以上20%未満
C:ベタ画像濃度の向上率が5%以上10%未満
D:ベタ画像濃度が5%未満
ベタ画像濃度の向上率が10%以上であれば良好な着色力であると判断した。
・シアントナーのベタ画像濃度の向上率の評価基準
A:ベタ画像濃度の向上率が30%以上
B:ベタ画像濃度の向上率が20%以上30%未満
C:ベタ画像濃度の向上率が10%以上20%未満
D:ベタ画像濃度が10%未満
ベタ画像濃度の向上率が20%以上であれば良好な着色力であると判断した。
・ブラックトナーのベタ画像濃度の向上率の評価基準
A:ベタ画像濃度の向上率が60%以上
B:ベタ画像濃度の向上率が40%以上60%未満
C:ベタ画像濃度の向上率が20%以上40%未満
D:ベタ画像濃度の向上率が20%未満
ベタ画像濃度の向上率が40%以上であれば良好な着色力であると判断した。
比較用イエロートナー(Tnr−Y50)乃至(Tnr−Y52)および(Tnr−Y102)乃至(Tnr−Y104)、比較用マゼンタトナー(Tnr−M50)乃至(Tnr−M52)および(Tnr−M102)乃至(Tnr−M104)、比較用シアントナー(Tnr−C50)乃至(Tnr−C52)および(Tnr−C102)乃至(Tnr−C104)、比較用ブラックトナー(Tnr−Bk50)乃至(Tnr−B52)および(Tnr−B102)乃至(Tnr−B104)について、実施例15と同様の方法で着色力を評価した。
上記比較用イエロートナー(Tnr−Y102)乃至(Tnr−Y104)のベタ画像濃度の向上率は、基準用イエロートナー(Tnr−Y99)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記比較用マゼンタトナー(Tnr−M50)乃至(Tnr−M52)のベタ画像濃度の向上率は、基準用マゼンタトナー(Tnr−M47)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記比較用マゼンタトナー(Tnr−M102)乃至(Tnr−M104)のベタ画像濃度の向上率は、基準用マゼンタトナー(Tnr−M99)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記比較用シアントナー(Tnr−C50)乃至(Tnr−C52)のベタ画像濃度の向上率は、基準用シアントナー(Tnr−C47)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記比較用シアントナー(Tnr−C102)乃至(Tnr−C104)のベタ画像濃度の向上率は、基準用シアントナー(Tnr−C99)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記比較用ブラックトナー(Tnr−Bk50)乃至(Tnr−Bk52)のベタ画像濃度の向上率は、基準用ブラックトナー(Tnr−Bk47)のベタ画像濃度を基準値とした。
上記比較用ブラックトナー(Tnr−Bk102)乃至(Tnr−Bk104)のベタ画像濃度の向上率は、基準用ブラックトナー(Tnr−Bk99)のベタ画像濃度を基準値とした。
懸濁重合法による各色の本発明のトナー、基準用トナー、および比較用トナーの着色力評価結果を表4に、懸濁造粒法による各色の本発明のトナー、基準用トナー、および比較用トナーの着色力評価結果を表5に示す。
また、表4に示されるように、本発明のアゾ骨格構造を有する化合物を用いることで、顔料の結着樹脂への分散性を改善し、着色力の高いイエロー、マゼンタ、シアン、および
ブラックトナーが提供されることが確認された。さらに、表5に示されるように、懸濁造粒法においても同様に、顔料の結着樹脂への分散性を改善し、着色力の高いイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックトナーが提供されることが確認された。
Claims (16)
- 下記式(1)で表される部分構造が、下記式(2)で表される単量体単位を有する高分子に結合した化合物。
[式(1)中、
Arはアリール基を表す。
Ar、R1及びR2は、下記(i)および(ii)の少なくとも一方の条件を満たす。
(i)Arが、アリール基中の炭素原子に結合してなる、該高分子との結合部を構成する連結基を有する。
(ii)R1またはR2が、該高分子との結合部を構成する連結基である。
R1及びR2が連結基でない場合、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を表す。
Xは、O、NHまたはSを表す。]
[式(2)中、R3は水素原子、またはアルキル基を表す。R4はフェニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、またはカルボン酸アミド基を表す。] - 式(3)で表される部分構造において、
i)R5乃至R9の少なくとも1つが連結基であり、
ii)該連結基ではないR5乃至R9は、全て水素原子である、
ことを特徴とする請求項2に記載の化合物。 - 式(1)で表される部分構造中のArが、
i)アリール基中の炭素原子に結合してなる、該高分子との結合部を構成する連結基を有し、
ii)該連結基以外を置換基として有さない、
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。 - R1およびR2が水素原子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化合物。
- Xが、酸素原子であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の化合物。
- 該連結基が、カルボン酸エステル結合またはカルボン酸アミド結合を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物。
- 前記高分子が、分子鎖の末端において、連結基を介して式(1)で表される部分構造と結合しており、該連結基がカルボン酸エステル結合またはカルボン酸アミド結合を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の化合物を含有することを特徴とする顔料分散剤。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の化合物と、顔料とを含有することを特徴とする顔料組成物。
- 請求項10に記載の顔料組成物と非水溶性溶剤を含むことを特徴とする顔料分散体。
- 上記非水溶性溶剤がスチレンであることを特徴とする請求項11に記載の顔料分散体。
- 少なくとも、結着樹脂および着色剤を有するトナー粒子を含有するトナーであって、該着色剤が、請求項10に記載の顔料組成物であることを特徴とするトナー。
- 上記トナーが水系媒体中で製造されたものであることを特徴とする請求項13に記載のトナー。
- 上記トナーが懸濁重合法を用いて製造されることを特徴とする請求項13または14に記載のトナー。
- 上記トナーが懸濁造粒法を用いて製造されることを特徴とする請求項13または14に記載のトナー。
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