つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケールどおりに示されていない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態の消火器100の全体外観図である。図2は、消火剤貯蔵容器10の正面図であり、図3は、消火剤貯蔵容器10の正面断面図である。なお、図2において、便宜上、消火剤貯蔵容器10の部位を説明するための破線と実線が設けられている。また、図3において、便宜上、消火剤貯蔵容器10の肉厚を示すための矢印と、口部91の肉厚を表示するために、口部91の断面形状を延長するための破線が設けられている。加えて、図3に示すA点は、口部91を除く消火剤貯蔵容器10の上端から下端までの高さを4等分した際の上端から1/4下方の点を示し、B点は、消火剤貯蔵容器10の上端から1/2下方の点を示し、C点は、消火剤貯蔵容器10の上端から3/4下方の点を示している。また、前述のA点乃至C点は、いずれも胴部93の一部である。
図1に示すように、本実施形態の消火器100は、消火剤60(例えば、粉末消火剤)が充填された消火剤貯蔵容器10と、消火剤貯蔵容器10の底部94と嵌合して消火剤60を支持するための支持台50と、消火剤貯蔵容器10の上方に配設される消火器用ハンドレバー30と、消火剤貯蔵容器10内に貯蔵される消火剤60を消火器用ハンドレバー30に導くためのサイホン管70と、消火器用ハンドレバー30を操作することによりサイホン管70と流通可能に接続される消火剤ホース40とを備える。
また、消火器用ハンドレバー30は、蓋体31、固定レバー32、起動レバー33、起倒杆34、及び安全栓35を備えている。本実施形態では、安全栓35が起倒杆34と係合することにより、起動レバー33が固定レバー32に対して回動不可能な状態に固定される。また、安全栓35が起倒杆34との係合状態から解放されると、起動レバー33が固定レバー32に対して回動可能な状態になる。
加えて、本実施形態における消火剤貯蔵容器10は、消火剤貯蔵部11と、消火剤貯蔵部11の上部に位置する開口部に形成される雄ネジ部12とで構成される。この雄ネジ部12と消火器用ハンドレバー30とが螺合することにより、消火剤貯蔵容器10と消火器用ハンドレバー30とが固定される。尚、消火剤貯蔵容器10と消火器用ハンドレバー30との固定手段は、螺合に限られず、公知の接合手段が適用され得る。
ここで、本実施形態の消火器100は、ポリエチレンナフタレート(PEN)によって形成された消火剤貯蔵容器10を備えている。本実施形態の消火剤貯蔵容器10の口部91の肉厚(T1)は、2mm以上5mm以下であり、曲面を持つ肩部92の肉厚(T2)は、1.2mm以上12mm以下である。また、円筒状の胴部93の肉厚(T3)は、1.3mm以上1.7mm以下であり、曲面を持つ底部94の肉厚(T4)は、1.2mm以上12mm以下である。また、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の全光線透過率が約50%である。なお、製造過程の不純物を除けば、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、ポリエチレンナフタレート(PEN)のみで形成されている。また、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、図1乃至図3に示すように、金属製の消火剤貯蔵容器のような継ぎ目が形成されていない。
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の各部位の樹脂の結晶化率の測定が行われた。本実施形態の樹脂の結晶化率は、JIS K 7122(プラスチックの転移熱測定方法)による転移に要するエネルギー(J/g)の測定に基づいて算定することにより求められた。
その結果、口部91の樹脂の結晶化率は、略0%であり、肩部92の樹脂の結晶化率は、13%以上23%以下であった。加えて、胴部93の樹脂の結晶化率は、14%以上27%以下であり、底部94の樹脂の結晶化率は、10%以上20%以下であった。
上述のとおり、消火剤貯蔵容器10の胴部93の樹脂の結晶化率が13%以上30%以下であることから、詳細なメカニズムは未だ明らかではないが、樹脂の結晶化による消火剤貯蔵容器の強度乃至耐圧の向上が達成される。なお、樹脂の結晶化率を高めることによって、その容器10の強度及び/又は耐圧性が向上するため、比較的薄肉であっても消火器100に求められる高い耐久性を満足しうる。例えば、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の胴部93の樹脂の結晶化率は14%以上であるため、消火器としての十分な強度及び/又は耐圧性が得られる。なお、現段階において、既に十分な耐圧性乃至強度が確保されているため、30%を越える胴部93の樹脂の結晶化率を得る必要性は乏しいと考えられる。
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の胴部93の肉厚(T3)は、1mm以上5mm以下であることが好ましい。これは、樹脂の肉厚が1mmよりも薄いと、消火剤の貯蔵容器として求められる強度(例えば、約2.0MPa)を達成できなくなるおそれが高まる一方、5mmよりも厚ければ、経済的に好ましくないとともに内容物たる消火剤を視認し得る透明性の達成が困難になるおそれが高まるためである。上述の観点によれば、胴部93の肉厚(T3)は、1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
なお、本実施形態のポリエチレンナフタレート(PEN)製の消火剤貯蔵容器10は、延伸ブロー成形、溶融整形などの従来公知の樹脂成形方法により製造することができる。但し、この中でも、継ぎ目がなく、成形状態が良好で、かつ適度な肉厚の容器が得られる点で、延伸ブロー成形が好ましい。
次に、本実施形態の消火剤貯蔵容器10が延伸ブロー成形により製造される場合の、消火剤貯蔵容器10の製造方法について説明する。
まず、消火剤貯蔵容器10の材料となるポリエチレンナフタレート(PEN)を溶融し、射出金型内にその樹脂を射出又は押出することによって肉厚が約15mmであって、全光線透過率が約5%の予備成形品(以下、プリフォームという。)を形成する。次に、胴部93の円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12倍を超えて延伸された上で、消火剤貯蔵容器10の側面の肉厚が1mm以上5mm以下になるように、消火剤貯蔵容器10が形成される。
上述のとおり、延伸ブローによって消火剤貯蔵容器10を成形することにより、強度又は耐圧が高められるとともに、適度な透明性が得られる樹脂の結晶化率が得られる。なお、口部91及び肩部92の一部及び底部94の一部は、延伸ブロー成形を採用すれば、樹脂の結晶化率が高まらない箇所が不可避的に存在するため、それらの箇所は、容器の肉厚を他の部位の肉厚よりも厚くすることによって消火器として要求される強度又は耐圧が確保される。
また、最終的な消火剤貯蔵容器10の十分な耐圧を確保するために、特に胴部93の肉厚(T3)を1mm以上5mm以下にすることが好ましい。従って、本実施形態における消火剤貯蔵容器10のプリフォームの肉厚は、4mm以上30mm以下であることが好ましい。加えて、胴部93の円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12以上とすることが好ましい。
<第2の実施形態>
本実施形態の消火器200は、消火剤貯蔵容器210の材質がポリエチレンテレフタレート(PET)であること、並びに製造過程におけるプリフォームの肉厚及び延伸ブローの倍率を除き、第1の実施形態と同じ構成である。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
本実施形態の消火器200は、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成された消火剤貯蔵容器210を備えている。本実施形態の消火剤貯蔵容器210の口部291の肉厚(T1)は、2mm以上5mm以下であり、肩部292の肉厚(T2)は、2mm以上12mm以下である。また、胴部293の肉厚(T3)は、2mm以上3mm以下であり、底部294の肉厚(T4)は、2mm以上12mm以下である。また、本実施形態における消火剤貯蔵容器210の全光線透過率が約50%である。なお、製造過程の不純物を除けば、本実施形態の消火剤貯蔵容器210は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のみで形成されている。また、本実施形態の消火剤貯蔵容器210は、図1乃至図3に示すように、金属製の消火剤貯蔵容器のような継ぎ目が形成されていない。
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器210の各部位の樹脂の結晶化率を第1の実施形態と同様の測定方法によって測定すると、口部291、肩部292、胴部293、及び底部294の樹脂の結晶化率は、それぞれ第1の実施形態のそれと同等の数値範囲であった。
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器210の胴部293の肉厚(T3)も、第1の実施形態と同様の理由から、1mm以上5mm以下であることが好ましい。上述の観点によれば、胴部293の肉厚(T3)は、2mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
本実施形態でも、まず、消火剤貯蔵容器210の材料となるポリエチレンテレフタレート(PET)を溶融し、射出金型内にその樹脂を射出又は押出することによって肉厚が約10mmであって、全光線透過率が約5%のプリフォームを形成する。次に、胴部293の円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が6倍を超えて延伸された上で、消火剤貯蔵容器210の胴部293の肉厚(T3)が2mm以上3mm以下になるように、消火剤貯蔵容器210が形成される。なお、本実施形態の消火剤貯蔵容器210のプリフォームの肉厚は、5mm以上15mm以下であることが好ましい。
<第3の実施形態>
本実施形態の消火器300は、第1の実施形態の消火剤貯蔵容器10の代わりに消火剤貯蔵容器310を備える点以外は、第1の実施形態の消火器100と同じ構成を備える。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
本実施形態の消火剤貯蔵容器310は、製造過程の不純物を除けば、ポリエチレンナフタレート(PEN)のみで形成されている。また、消火剤貯蔵容器310は、延伸ブロー成形により製造されている。このため、継ぎ目がなく、成形状態が良好で、かつ適度な肉厚の容器を得ることができる。また、延伸ブロー成形方法であれば、延伸行程を含むため、樹脂の高分子鎖が略一方向に配向する。このため、樹脂の透明性や強度及び剛性が増大する。
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器310は、胴部393の肉厚(T3)が1.8mm±0.4mmとなるように成形されることが好ましい。この肉厚により、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性(例えば、約2.0MPa)、経済的効率、及び内容物たる消火剤の適度な視認性が実現され得る。
次に、本実施形態の消火剤貯蔵容器310の製造方法について説明する。本実施形態では、まず、消火剤貯蔵容器310の材料となるポリエチレンナフタレート(PEN)を溶融し、射出金型内にその樹脂を射出又は押出することによって肉厚が15mm±0.4mmであって、全光線透過率が約5%のプリフォームを形成する。次に、胴部393の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下であり、かつ、その円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12以上13以下となるように、最終成形品を形成する。このような延伸倍率にすることにより、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性を確保することができる。
次に、本実施形態の消火剤貯蔵容器310を胴部393の円周方向の延伸倍率が、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下であり、かつ、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12以上13以下として形成することによる耐圧性向上への貢献について、消火剤貯蔵容器310を代表例として説明する。
表1乃至表6は、消火剤貯蔵容器310の内部に均一に圧力を加えた際の永久歪みの測定結果を示している。なお、本実施形態における永久歪みの測定は、1MPa、1.6MPa、2.0MPa、2.4MPa、3.0MPaのそれぞれの圧力を加える前後を測定することにより行われた。より具体的には、前述の圧力を加える前後の図3に示すA点、B点、及びC点における胴部393の円周方向の永久歪みと、その円周方向に垂直な方向の永久歪みが測定された。また、圧力源として窒素ボンベが採用され、ヤマト産業株式会社製の圧力調整器(型式YR−5062)と右下精機株式会社製の圧力計(型式S41又はGLT41)によって測定された。
表1は、最終成形品の胴部393に対応する部分のプリフォームの肉厚を15mm±0.4mmとし、胴部393の円周方向の延伸倍率を3.5倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.5倍とした消火剤貯蔵容器210を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、この消火剤貯蔵容器210の胴部393の円周方向の延伸倍率(3.5倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.5倍)の比は1倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.25である。
また、表2は、最終成形品の胴部393に対応する部分のプリフォームの肉厚を15mm±0.4mmとし、胴部393の円周方向の延伸倍率を3.6倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.4倍とした消火剤貯蔵容器310を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、この消火剤貯蔵容器310の胴部393の円周方向の延伸倍率(3.6倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.4倍)の比は1.06倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.24である。
また、表3は、最終成形品の胴部393に対応する部分のプリフォームの肉厚を15mm±0.4mmとし、胴部393の円周方向の延伸倍率を3.7倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.3倍とした消火剤貯蔵容器310を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、この消火剤貯蔵容器310の胴部393の円周方向の延伸倍率(3.7倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.3倍)の比は1.12倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.21である。
また、表4は、最終成形品の胴部393に対応する部分のプリフォームの肉厚を15mm±0.4mmとし、胴部393の円周方向の延伸倍率を3.8倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.2倍とした消火剤貯蔵容器310を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、この消火剤貯蔵容器310の胴部393の円周方向の延伸倍率(3.8倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.2倍)の比は1.19倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.16である。
また、表5は、最終成形品の胴部393に対応する部分のプリフォームの肉厚を15mm±0.4mmとし、胴部393の円周方向の延伸倍率を3.9倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.1倍とした消火剤貯蔵容器310を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、この消火剤貯蔵容器310の胴部393の円周方向の延伸倍率(3.9倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.1倍)の比は1.26倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.09である。
また、表6は、最終成形品の胴部393に対応する部分のプリフォームの肉厚を15mm±0.4mmとし、胴部393の円周方向の延伸倍率を4.0倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.0倍とした消火剤貯蔵容器310を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、この消火剤貯蔵容器310の胴部393の円周方向の延伸倍率(4.0倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.0倍)の比は1.33倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12である。
また、表7は、最終成形品の胴部393に対応する部分のプリフォームの肉厚を15mm±0.4mmとし、胴部393の円周方向の延伸倍率を4.1倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を2.9倍とした消火剤貯蔵容器310を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、この消火剤貯蔵容器310の胴部393の円周方向の延伸倍率(4.1倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(2.9倍)の比は1.41倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が11.89である。
表1の消火剤貯蔵容器310は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.15%以下、B点で0%、C点で0.15%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0%である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.45%、B点で0.30%、C点で0.45%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0%である。しかしながら、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みがA点で0.98%にまで上昇するが、1%未満である。また、その円周方向のB点及びC点での永久歪み0.76%である。また、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは依然として0%である。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満が達成されている。すなわち、表1の消火剤貯蔵容器310は、消火剤貯蔵容器として求められる十分な耐圧性を得ていることが分かる。
表2の消火剤貯蔵容器310は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.14%以下、B点で0%、C点で0.14%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0%である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.41%、B点で0.28%、C点で0.41%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.89%に留まり、B点及びC点でも0.69%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは依然として0%である。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.9%以下が達成されている。すなわち、表2の消火剤貯蔵容器310は、消火剤貯蔵容器として求められる十分な耐圧性を得ていることが分かる。
表3の消火剤貯蔵容器310は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.12%以下、B点で0%、C点で0.13%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0%である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.37%、B点で0.25%、C点で0.38%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.02%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.79%に留まり、B点及びC点でも0.63%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.1%に過ぎない。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.8%以下が達成されている。すなわち、表3の消火剤貯蔵容器310は、表2の消火剤貯蔵容器310の耐圧性よりも更に高いレベルの耐圧性を得ていることが分かる。
また、表3の消火剤貯蔵容器310のそれぞれの測定点における永久歪みの最大差が0.69%(A点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表3の消火剤貯蔵容器310の永久歪みの最大差は、表1や表2の消火剤貯蔵容器310の永久歪みの最大差よりも小さい。従って、表3の消火剤貯蔵容器10は、表1や表2の消火剤貯蔵容器310よりも永久歪みのバラつきが小さいことが分かる。
表4の消火剤貯蔵容器310は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.1%以下、B点で0%、C点で0.11%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.1%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.3%、B点で0.23%、C点で0.34%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.19%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.65%に留まり、B点及びC点でも0.56%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.49%に留まる。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.7%以下が達成されている。すなわち、表4の消火剤貯蔵容器310は、表2の消火剤貯蔵容器310の耐圧性よりも更に高いレベルの耐圧性を得ていることが分かる。
また、表4の消火剤貯蔵容器310のそれぞれの測定点における永久歪の最大差が0.16%(A点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表4の消火剤貯蔵容器310の永久歪みの最大差は、表1や表2の消火剤貯蔵容器310の永久歪みの最大差よりも大幅に小さい。従って、表4の消火剤貯蔵容器310は、表1や表2の消火剤貯蔵容器310よりも永久歪みのバラつきが小さいことが分かる。
表5の消火剤貯蔵容器310は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.08%以下、B点で0%、C点で0.1%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.19%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.24%、B点で0.2%、C点で0.3%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.38%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.52%に留まり、B点及びC点でも0.51%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.79%に留まる。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.8%以下が達成されている。すなわち、表5の消火剤貯蔵容器310は、表2の消火剤貯蔵容器310の耐圧性よりも更に高いレベルの耐圧性を得ていることが分かる。
また、表5の消火剤貯蔵容器310のそれぞれの測定点における永久歪みの最大差が0.28%(B点又はC点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表5の消火剤貯蔵容器310の永久歪みの最大差は、表1や表2の消火剤貯蔵容器310の永久歪みの最大差よりも大幅に小さい。従って、表5の消火剤貯蔵容器310は、表1や表2の消火剤貯蔵容器310よりも永久歪みのバラつきが小さいことが分かる。
表6の消火剤貯蔵容器310は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.06%以下、B点で0%、C点で0.09%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.19%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.19%、B点で0.18%、C点で0.27%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.57%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.42%、B点及びC点で0.46%に留まり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.88%であった。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.9%以下が達成されている。すなわち、表6の消火剤貯蔵容器310は、消火剤貯蔵容器として求められる十分な耐圧性を得ていることが分かる。
また、表6の消火剤貯蔵容器310のそれぞれの測定点における永久歪みの最大差が0.46%(A点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表6の消火剤貯蔵容器310の永久歪みの最大差は、表1や表2の消火剤貯蔵容器310の永久歪みの最大差よりも小さい。従って、表6の消火剤貯蔵容器310は、表1や表2の消火剤貯蔵容器310よりも永久歪のバラつきが小さいことが分かる。
表7の消火剤貯蔵容器310は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.05%以下、B点で0%、C点で0.09%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.23%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.15%、B点で0.14%、C点で0.21%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.68%である。しかしながら、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは1.01%にまで上昇する。
上述のとおり、表1乃至表7によれば、最終成形品の胴部393に対応する部分のプリフォームの肉厚を15mm±0.4mmとし、胴部393の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下となる消火剤貯蔵容器310は、3MPaの加圧を加えても永久歪みの絶対値が1%未満であるため、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性を十分に確保することができるといえる。なお、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12以上13以下とすることは、高い耐圧性を得る観点から好ましい。
また、特に、胴部393の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.12倍以上1.26倍以下である消火剤貯蔵容器210は、永久歪みの絶対値が0.8%以下であるとともに、永久歪みのバラつきが小さいため、更に高いレベルの耐圧性を備えることができる観点から好ましい一態様である。この場合、その円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12.09以上12.21以下とすることは、より高い耐圧性を得る観点から好ましい。
<第4の実施形態>
本実施形態の消火器400は、第3の実施形態の消火剤貯蔵容器310が消火剤貯蔵容器410に変更されている点以外は、第3の実施形態と同じ構成を備えている。従って、第3の実施形態と重複する説明は省略され得る。
本実施形態の消火剤貯蔵容器410は、胴部493の肉厚(T3)が1.6mm±0.4mmとなるように成形されることが好ましい。この肉厚により、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性(例えば、約2.0MPa)及び内容物たる消火剤の適度な視認性が実現され得る。また、本実施形態の消火器400は、第3の実施形態における消火剤貯蔵容器310よりも少ない原材料により形成することができる点が優れている。すなわち、本実施形態の消火器400は、第3の実施形態の本実施形態の消火器300よりも製造コストを低減することができる。但し、第3の実施形態の消火剤貯蔵容器310と本実施形態の消火剤貯蔵容器410の同一の延伸倍率の場合と比較した場合に、第3の実施形態における消火剤貯蔵容器310は、本実施形態の消火剤貯蔵容器410よりも耐圧性は優れている。
また、この消火剤貯蔵容器410は、第3の実施形態と同様、胴部493の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下であるとともに、胴部493の円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12以上13以下となるように、最終成形品が形成される。
次に、胴部493の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下であり、かつ、その円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12以上13以下とすることにより耐圧性が向上することを、消火剤貯蔵容器410を代表例として説明する。
表8乃至表14は、消火剤貯蔵容器410の内部に均一に圧力を加えた際の永久歪みの測定結果を示している。なお、表8乃至表14において示される実験結果は、第3の実施形態における表1乃至表7と同様の実験方法で同様の測定方法により測定されたものである。
表8は、最終成形品の胴部493に対応する部分のプリフォームの肉厚を13mm±0.4mmとし、胴部493の円周方向の延伸倍率を3.5倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.5倍とした消火剤貯蔵容器410を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表8の消火剤貯蔵容器410の胴部493の円周方向の延伸倍率(3.5倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.5倍)の比は1倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.25である。
また、表9は、最終成形品の胴部493に対応する部分のプリフォームの肉厚を13mm±0.4mmとし、胴部493の円周方向の延伸倍率を3.6倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.4倍とした消火剤貯蔵容器410を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表9の消火剤貯蔵容器410の胴部493の円周方向の延伸倍率(3.6倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.4倍)の比は1.06倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.24である。
また、表10は、最終成形品の胴部493に対応する部分のプリフォームの肉厚を13mm±0.4mmとし、胴部493の円周方向の延伸倍率を3.7倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.3倍とした消火剤貯蔵容器410を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表10の消火剤貯蔵容器410の胴部493の円周方向の延伸倍率(3.7倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.3倍)の比は1.12倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.21である。
また、表11は、最終成形品の胴部493に対応する部分のプリフォームの肉厚を13mm±0.4mmとし、胴部493の円周方向の延伸倍率を3.8倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.2倍とした消火剤貯蔵容器410を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表11の消火剤貯蔵容器410の胴部493の円周方向の延伸倍率(3.8倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.2倍)の比は1.19倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.16である。
また、表12は、最終成形品の胴部493に対応する部分のプリフォームの肉厚を13mm±0.4mmとし、胴部493の円周方向の延伸倍率を3.9倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.1倍とした消火剤貯蔵容器410を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表12の消火剤貯蔵容器410の胴部493の円周方向の延伸倍率(3.9倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.1倍)の比は1.26倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.09である。
また、表13は、最終成形品の胴部493に対応する部分のプリフォームの肉厚を13mm±0.4mmとし、胴部493の円周方向の延伸倍率を4.0倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.0倍とした消火剤貯蔵容器410を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表13の消火剤貯蔵容器410の胴部493の円周方向の延伸倍率(4.0倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.0倍)の比は1.33倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12である。
また、表14は、最終成形品の胴部493に対応する部分のプリフォームの肉厚を13mm±0.4mmとし、胴部493の円周方向の延伸倍率を4.1倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を2.9倍とした消火剤貯蔵容器410を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表14の消火剤貯蔵容器410の胴部493の円周方向の延伸倍率(4.1倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(2.9倍)の比は1.41倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が11.89である。
表8の消火剤貯蔵容器410は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.16%以下、B点で0%、C点で0.16%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0%である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.48%、B点で0.32%、C点で0.48%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0%である。しかしながら、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みがA点で1.03%にまで上昇する。
表9の消火剤貯蔵容器410は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.14%以下、B点で0%、C点で0.15%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0%である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.43%、B点で0.29%、C点で0.44%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.94%であり、B点で0.72%であり、C点で0.73%である。また、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは依然として0%である。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満が達成されている。すなわち、表9の消火剤貯蔵容器410は、消火剤貯蔵容器として求められる十分な耐圧性を得ていることが分かる。
表10の消火剤貯蔵容器410は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.13%以下、B点で0%、C点で0.13%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0%である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.39%、B点で0.26%、C点で0.40%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.02%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.79%に留まり、B点及びC点でも0.66%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.1%に過ぎない。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.8%以下が達成されている。すなわち、表10の消火剤貯蔵容器410は、表9の消火剤貯蔵容器410の耐圧性よりも更に高いレベルの耐圧性を得ていることが分かる。
また、表10の消火剤貯蔵容器410のそれぞれの測定点における永久歪みの最大差が0.69%(A点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表10の消火剤貯蔵容器410の永久歪みの最大差は、表8や表9の消火剤貯蔵容器410の永久歪みの最大差よりも小さい。このため、表10の消火剤貯蔵容器410は、表8や表9の消火剤貯蔵容器410よりも永久歪みのバラつきが小さいことが分かる。
表11の消火剤貯蔵容器410は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.11%以下、B点で0%、C点で0.12%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.1%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.32%、B点で0.24%、C点で0.36%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.2%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.68%に留まり、B点及びC点でも0.59%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.52%に留まる。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.7%以下が達成されている。すなわち、表11の消火剤貯蔵容器410は、表9の消火剤貯蔵容器410の耐圧性よりも更に高いレベルの耐圧性を得ていることが分かる。
また、表11の消火剤貯蔵容器410のそれぞれの測定点における永久歪みの最大差が0.16%(A点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表11の消火剤貯蔵容器410の永久歪みの最大差は、表8や表9の消火剤貯蔵容器410の永久歪みの最大差よりも大幅に小さい。このため、表11の消火剤貯蔵容器410は、表8や表9の消火剤貯蔵容器410よりも永久歪みのバラつきが小さいことが分かる。
表12の消火剤貯蔵容器410は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.08%以下、B点で0%、C点で0.11%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.2%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.25%、B点で0.21%、C点で0.32%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.4%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.55%に留まり、B点及びC点でも0.53%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.83%に留まる。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.8%以下が達成されている。すなわち、表12の消火剤貯蔵容器410は、表9の消火剤貯蔵容器410の耐圧性よりも更に高いレベルの耐圧性を得ていることが分かる。
また、表12の消火剤貯蔵容器410のそれぞれの測定点における永久歪みの最大差が0.3%(B点又はC点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表12の消火剤貯蔵容器410の永久歪みの最大差は、表8乃至表10の消火剤貯蔵容器410の永久歪の最大差よりも大幅に小さい。このため、表12の消火剤貯蔵容器410は、表8や表9の消火剤貯蔵容器410よりも永久歪みのバラつきが小さいことが分かる。
表13の消火剤貯蔵容器410は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.07%以下、B点で0%、C点で0.1%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.2%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.2%、B点で0.19%、C点で0.29%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.6%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.44%、B点及びC点で0.48%に留まり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.93%であった。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満が達成されている。すなわち、表13の消火剤貯蔵容器410は、消火剤貯蔵容器として求められる十分な耐圧性を得ていることが分かる。
表14の消火剤貯蔵容器410は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.07%以下、B点で0%、C点で0.11%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.22%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.22%、B点で0.21%、C点で0.32%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.66%である。しかしながら、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みがA点で0.48%である。また、その円周方向のB点及びC点での永久歪み0.53%である。また、その円周方向に垂直な方向の永久歪は1.03%にまで上昇する。
上述のとおり、表8乃至表14によれば、最終成形品の胴部493に対応する部分のプリフォームの肉厚を13mm±0.4mmとし、胴部493の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下となる消火剤貯蔵容器410は、3MPaの加圧を加えても永久歪みの絶対値が1%未満であるため、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性を十分に確保することができるといえる。なお、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12以上13以下とすることは、高い耐圧性を得る観点から好ましい。
また、特に、胴部493の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.12倍以上1.26倍以下である消火剤貯蔵容器410は、永久歪みの絶対値が0.8%以下であるとともに、永久歪みのバラつきが小さいため、更に高いレベルの耐圧性を備えることができる観点から好ましい一態様である。この場合、その円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12.09以上12.21以下とすることは、より高い耐圧性を得る観点から好ましい。
<第5の実施形態>
本実施形態の消火器500は、第3の実施形態の消火剤貯蔵容器310が消火剤貯蔵容器510に変更されている点以外は、第3の実施形態と同じ構成を備えている。従って、第3の実施形態と重複する説明は省略され得る。
本実施形態の消火剤貯蔵容器510は、胴部593の肉厚(T3)が2.4mm±0.4mmとなるように成形されることが好ましい。この肉厚により、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性(例えば、約2.0MPa)及び内容物たる消火剤の適度な視認性が実現され得る。
また、この消火剤貯蔵容器510は、第3の実施形態と同様、胴部593の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下であるとともに、胴部593の円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12以上13以下となるように、最終成形品が形成される。
次に、胴部593の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下であり、かつ、その円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12以上13以下とすることにより耐圧性が向上することを、消火剤貯蔵容器510を代表例として説明する。
表15は、最終成形品の胴部593に対応する部分のプリフォームの肉厚を19mm±0.4mmとし、胴部593の円周方向の延伸倍率を3.5倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.5倍とした消火剤貯蔵容器510を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表15の消火剤貯蔵容器510の胴部593の円周方向の延伸倍率(3.5倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.5倍)の比は1倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.25である。
また、表16は最終成形品の胴部593に対応する部分のプリフォームの肉厚を19mm±0.4mmとし、胴部593の円周方向の延伸倍率を3.6倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.4倍とした消火剤貯蔵容器510を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表16の消火剤貯蔵容器510の胴部593の円周方向の延伸倍率(3.6倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.4倍)の比は1.06倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.24である。
また、表17は、最終成形品の胴部593に対応する部分のプリフォームの肉厚を19mm±0.4mmとし、胴部593の円周方向の延伸倍率を3.7倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.3倍とした消火剤貯蔵容器510を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表17の消火剤貯蔵容器510の胴部593の円周方向の延伸倍率(3.7倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.3倍)の比は1.12倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.21である。
また、表18は、最終成形品の胴部593に対応する部分のプリフォームの肉厚を19mm±0.4mmとし、胴部593の円周方向の延伸倍率を3.8倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.2倍とした消火剤貯蔵容器510を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表18の消火剤貯蔵容器510の胴部593の円周方向の延伸倍率(3.8倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.2倍)の比は1.19倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.16である。
また、表19は、最終成形品の胴部593に対応する部分のプリフォームの肉厚を19mm±0.4mmとし、胴部593の円周方向の延伸倍率を3.9倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.1倍とした消火剤貯蔵容器510を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表19の消火剤貯蔵容器510の胴部593の円周方向の延伸倍率(3.9倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.1倍)の比は1.26倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12.09である。
また、表20は、最終成形品の胴部593に対応する部分のプリフォームの肉厚を19mm±0.4mmとし、胴部593の円周方向の延伸倍率を4.0倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を3.0倍とした消火剤貯蔵容器510を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表20の消火剤貯蔵容器510の胴部593の円周方向の延伸倍率(4.0倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(3.0倍)の比は1.33倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12である。
また、表21は最終成形品の胴部593に対応する部分のプリフォームの肉厚を19mm±0.4mmとし、胴部593の円周方向の延伸倍率を4.1倍で、かつ、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率を2.9倍とした消火剤貯蔵容器510を用いて実験を行った結果が示されている。つまり、表21の消火剤貯蔵容器510の胴部593の円周方向の延伸倍率(4.1倍)に対する、その円周方向に垂直な方向の延伸倍率(2.9倍)の比は1.41倍である。また、延伸倍率の各々をスカラー量とした場合に、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が11.89である。
表15の消火剤貯蔵容器510は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.11%以下、B点で0%、C点で0.11%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0%である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.33%、B点で0.22%、C点で0.34%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0%である。しかしながら、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みがA点で0.72%にまで上昇するが、1%未満である。また、その円周方向のB点及びC点での永久歪み0.56%である。また、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは依然として0%である。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満が達成されている。すなわち、表15の消火剤貯蔵容器510は、消火剤貯蔵容器として求められる十分な耐圧性を得ていることが分かる。
表16の消火剤貯蔵容器510は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.10%以下、B点で0%、C点で0.11%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0%である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.30%、B点で0.20%、C点で0.30%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.66%であり、B点で0.51%であり、C点で0.51%である。また、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは依然として0%である。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満が達成されている。すなわち、表16の消火剤貯蔵容器510は、消火剤貯蔵容器として求められる十分な耐圧性を得ていることが分かる。
表17の消火剤貯蔵容器510は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.09%以下、B点で0%、C点で0.09%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0%である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.28%、B点で0.18%、C点で0.28%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.02%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.55%に留まり、B点及びC点でも0.46%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.07%に過ぎない。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.6%以下が達成されている。すなわち、表17の消火剤貯蔵容器510は、表16の消火剤貯蔵容器510の耐圧性よりも更に高いレベルの耐圧性を得ていることが分かる。
また、表17の消火剤貯蔵容器510のそれぞれの測定点における永久歪みの最大差が0.48%(A点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表17の消火剤貯蔵容器510の永久歪みの最大差は、表15や表16の消火剤貯蔵容器510の永久歪の最大差よりも小さい。このため、表17の消火剤貯蔵容器510は、表15や表16の消火剤貯蔵容器510よりも永久歪みのバラつきが小さいことが分かる。
表18の消火剤貯蔵容器510は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.07%以下、B点で0%、C点で0.08%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.1%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.22%、B点で0.17%、C点で0.25%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.14%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.48%に留まり、B点で0.41%、C点でも0.42%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.36%に留まる。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.5%以下が達成されている。すなわち、表18の消火剤貯蔵容器510は、表17の消火剤貯蔵容器510の耐圧性よりも更に高いレベルの耐圧性を得ていることが分かる。
また、表18の消火剤貯蔵容器510のそれぞれの測定点における永久歪みの最大差が0.12%(A点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表18の消火剤貯蔵容器510の永久歪みの最大差は、表15や表16の消火剤貯蔵容器510の永久歪みの最大差よりも大幅に小さい。このため、表18の消火剤貯蔵容器510は、表15や表16の消火剤貯蔵容器510よりも永久歪のバラつきが非常に小さいことが分かる。
表19の消火剤貯蔵容器510は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.06%以下、B点で0%、C点で0.07%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.14%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.18%、B点で0.15%、C点で0.22%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.28%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.38%に留まり、B点及びC点でも0.37%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.58%に留まる。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは1%未満であり、かつ0.6%以下が達成されている。すなわち、表19の消火剤貯蔵容器510は、表16の消火剤貯蔵容器510の耐圧性よりも更に高いレベルの耐圧性を得ていることが分かる。
また、表19の消火剤貯蔵容器510のそれぞれの測定点における永久歪の最大差が0.21%(B点又はC点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表19の消火剤貯蔵容器510の永久歪の最大差は、表15や表16の消火剤貯蔵容器510の永久歪の最大差よりも大幅に小さい。このため、表19の消火剤貯蔵容器510は、表15や表16の消火剤貯蔵容器510よりも永久歪のバラつきが非常に小さいことが分かる。
表20の消火剤貯蔵容器510は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.05%以下、B点で0%、C点で0.07%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みはいずれも0.14%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.14%、B点で0.13%、C点で0.20%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.42%である。さらに、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みが、A点で0.31%、B点及びC点で0.34%に留まり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.65%であった。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.7%未満が達成されている。すなわち、表20の消火剤貯蔵容器510は、消火剤貯蔵容器として求められる十分な耐圧性を得ていることが分かる。
また、表20の消火剤貯蔵容器510のそれぞれの測定点における永久歪の最大差が0.34%(A点における円周方向と円周方向に垂直な方向との差)である。従って、表20の消火剤貯蔵容器510の永久歪の最大差は、表15や表16の消火剤貯蔵容器510の永久歪みの最大差よりも大幅に小さい。このため、表20の消火剤貯蔵容器510は、表15や表16の消火剤貯蔵容器510よりも永久歪のバラつきが非常に小さいことが分かる。
表21の消火剤貯蔵容器510は、1.0MPa乃至2.0MPaの圧力を加えた後であっても、その円周方向の永久歪みがA点で0.05%以下、B点で0%、C点で0.07%以下であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.15%以下である。また、2.4MPaの圧力を加えた後では、その円周方向の永久歪みがA点で0.16%、B点で0.15%、C点で0.22%であり、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.46%である。しかしながら、3.0MPaの圧力を加えると、その円周方向の永久歪みがA点で0.34%である。また、その円周方向のB点及びC点での永久歪み0.37%である。また、その円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.68%にまで上昇するが、0.7%未満である。従って、いずれの圧力においても、その円周方向の永久歪み及びその円周方向に垂直な方向の永久歪みは0.7%未満が達成されている。すなわち、表21の消火剤貯蔵容器510は、消火剤貯蔵容器として求められる十分な耐圧性を得ていることが分かる。
上述のとおり、表15乃至表21によれば、最終成形品の胴部593に対応する部分のプリフォームの肉厚を19mm±0.4mmとし、胴部593の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下となる消火剤貯蔵容器510は、3MPaの加圧を加えても永久歪みの絶対値が1%未満であるため、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性を十分に確保することができるといえる。なお、その円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が11以上13以下とすることは、高い耐圧性を得る観点から好ましい。
また、特に、胴部593の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.12倍以上1.26倍以下である消火剤貯蔵容器510は、永久歪みの絶対値が0.8%以下であるとともに、永久歪みのバラつきが非常に小さいため、更に高いレベルの耐圧性を備えることができる観点から好ましい一態様である。この場合、その円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が11.89以上12.21以下とすることは、より高い耐圧性を得る観点から好ましい。
なお、本実施形態の消火器500は、第3の実施形態における消火剤貯蔵容器310よりも多い原材料により形成しなければならないが、耐圧性においては優れている。但し、第3の実施形態の消火剤貯蔵容器310と本実施形態の消火剤貯蔵容器510の同一の延伸倍率の場合と比較した場合に、第3の実施形態における消火剤貯蔵容器310は、本実施形態の消火剤貯蔵容器510よりも少ない原材料により形成できるので、製造コストを低減できる点では優れている。
<第6の実施形態>
本実施形態の消火器600は、第1の実施形態の消火剤貯蔵容器10の代わりに消火剤貯蔵容器610を備える点以外は、第1の実施形態の消火器100と同じ構成を備える。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
本実施形態の消火剤貯蔵容器610の口部691の肉厚(T1)は、2mm以上5mm以下であり、肩部692の肉厚(T2)は、1.2mm以上12mm以下である。また、胴部693の肉厚(T3)は、1.3mm以上1.7mm以下であり、底部694の肉厚(T4)は、1.2mm以上12mm以下である。また、本実施形態における消火剤貯蔵容器610の全光線透過率が約50%である。なお、製造過程の不純物を除けば、本実施形態の消火剤貯蔵容器610は、ポリエチレンナフタレート(PEN)のみで形成されている。
ところで、本実施形態の消火剤貯蔵容器610の全光線透過率は、5%以上75%以下である。消火剤貯蔵容器610の全光線透過率が75%を越えると、収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器100が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。他方、全光線透過率が5%未満になると、緊急時に消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、前述の範囲の適度な透明性を維持することが、実用性と外観上の美観とを調和することになる。なお、さらに好ましい消火剤貯蔵容器610の全光線透過率は、20%以上70%以下である。この範囲であれば、さらに、周囲の美観との調和が取れる。
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器610の胴部693の肉厚(T3)は、1mm以上5mm以下であることが好ましい。これは、樹脂の肉厚が1mmよりも薄いと、消火剤の貯蔵容器として求められる強度(例えば、約2.0MPa)を達成できなくなるおそれが高まる一方、5mmよりも厚ければ、経済的に好ましくないとともに内容物たる消火剤を視認し得る透明性の達成が困難になるおそれが高まるためである。上述の観点によれば、胴部693の肉厚(T3)は、1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
ポリエチレンナフタレート(PEN)製の消火剤貯蔵容器610は、延伸ブロー成形、溶融整形などの従来公知の樹脂成形方法により製造することができるが、この中でも、継ぎ目がなく、成形状態が良好で、かつ適度な肉厚の容器が得られる点で、延伸ブロー成形が好ましい。なお、延伸ブロー成形により製造される場合には、胴部693の円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12以上とすることが好ましい。また、この場合に、消火剤貯蔵容器610のプリフォームの全光線透過率は、5%以上75%以下であることが好ましい。加えて、最終的な胴部693の肉厚(T3)を1mm以上5mm以下とするために、消火剤貯蔵容器10のプリフォームの肉厚は、4mm以上30mm以下(最も好ましくは15mm)であることが好ましい。
消火剤貯蔵容器610のプリフォームの全光線透過率が75%を越えると、延伸ブロー後の消火剤貯蔵容器610内に収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器600が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。他方、前述のプリフォームの全光線透過率が5%未満になると、緊急時に、延伸ブローされた消火剤貯蔵容器610内の消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、消火剤貯蔵容器610のプリフォームについても、前述の範囲の透明性を維持することが、延伸ブロー後の消火剤貯蔵容器610の実用性と外観上の美観とを調和させることになる。一方、前述のプリフォームを余りに分厚くしても、延伸ブロー後の消火剤貯蔵容器610の透明性が悪化するという問題が生じる。
上述のとおり、延伸工程が含まれる延伸ブロー成形を行うことによって樹脂の高分子鎖が略一方向に配向するため、樹脂の透明性や強度及び剛性が増大する。従って、延伸ブロー成形を採用すると、本実施形態の消火剤貯蔵容器610の透明性と耐圧を効率的に高めることができる。なお、消火剤貯蔵容器610の底面の形状を球面状にして、底面の延伸倍率を略同等にすることは、他の好ましい一態様である。
<第7の実施形態>
本実施形態の消火器700は、消火剤貯蔵容器710の材質がポリエチレンテレフタレート(PET)であること、並びに製造過程におけるプリフォームの肉厚及び延伸ブローの倍率を除き、第6の実施形態と同じ構成である。従って、第6の実施形態と重複する説明は省略される。
本実施形態の消火器700は、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成された消火剤貯蔵容器710を備えている。本実施形態の消火剤貯蔵容器710の口部791の肉厚(T1)は、2mm以上5mm以下であり、肩部792の肉厚(T2)は、2mm以上12mm以下である。また、胴部793の肉厚(T3)は、2mm以上3mm以下であり、底部794の肉厚(T4)は、2mm以上12mm以下である。また、本実施形態における消火剤貯蔵容器710の全光線透過率が約50%である。なお、製造過程の不純物を除けば、本実施形態の消火剤貯蔵容器710は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のみで形成されている。
ところで、本実施形態の消火剤貯蔵容器710の全光線透過率は、5%以上75%以下である。本実施形態の消火剤貯蔵容器710の全光線透過率が75%を越えると、第6の実施形態の消火剤貯蔵容器610と同様に、収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器700が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。また、全光線透過率が5%未満になると、緊急時に消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、前述の範囲の適度な透明性を維持することが、実用性と外観上の美観とを調和することになる。なお、さらに好ましい消火剤貯蔵容器710の全光線透過率は、20%以上70%以下である。この範囲であれば、さらに、周囲の美観との調和が取れる。
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器710の胴部793の肉厚(T3)は、1mm以上5mm以下であることが好ましい。これは、樹脂の肉厚が1mmよりも薄いと、消火剤の貯蔵容器として求められる強度(例えば、約2.0MPa)を達成できなくなるおそれが高まる一方、5mmよりも厚ければ、経済的に好ましくないとともに内容物たる消火剤を視認し得る透明性の達成が困難になるおそれが高まるためである。上述の観点によれば、胴部793の肉厚(T3)は、2mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
ポリエチレンテレフタレート(PET)製の消火剤貯蔵容器710は、延伸ブロー成形、溶融整形などの従来公知の樹脂成形方法により製造することができるが、この中でも、継ぎ目がなく、成形状態が良好で、かつ適度な肉厚の容器が得られる点で、延伸ブロー成形が好ましい。なお、延伸ブロー成形により製造される場合には、胴部793の円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が6以上(最も好ましくは6.5)とすることが好ましい。また、この場合に、消火剤貯蔵容器710のプリフォームの全光線透過率は、5%以上75%以下であることが好ましい。加えて、最終的な胴部793の肉厚(T3)を1mm以上5mm以下とするために、消火剤貯蔵容器10のプリフォームの肉厚は、5mm以上15mm以下(最も好ましくは10mm)であることが好ましい。
<第8の実施形態>
本実施形態の消火器800は、第1の実施形態の消火剤貯蔵容器10の代わりに消火剤貯蔵容器810を備える点以外は、第1の実施形態の消火器100と同じ構成を備える。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
本実施形態の消火剤貯蔵容器810は、製造過程の不純物を除けば、ポリエチレンナフタレート(PEN)のみで形成されている。また、消火剤貯蔵容器810は、延伸ブロー成形により製造されている。このため、継ぎ目がなく、成形状態が良好で、かつ適度な肉厚の容器を得ることができる。また、延伸ブロー成形方法であれば、延伸行程を含むため、樹脂の高分子鎖が略一方向に配向する。このため、樹脂の透明性や強度及び剛性が増大する。
本実施形態の消火剤貯蔵容器810は、胴部893の肉厚(T3)が1.8mm±0.4mmとなるように成形したものである。この肉厚により、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性(例えば、約2.0MPa)、経済的効率、及び内容物たる消火剤の適度な視認性が実現される。
本実施形態の消火剤貯蔵容器810の各部位の樹脂の結晶化率を測定した結果、口部891の樹脂の結晶化率は、略0%であり、肩部892の樹脂の結晶化率は、13%以上23%以下であった。加えて、胴部893の樹脂の結晶化率は、14%以上27%以下であり、底部894の樹脂の結晶化率は、10%以上20%以下であった。
上述のとおり、消火剤貯蔵容器810の胴部893の樹脂の結晶化率が13%以上30%以下であることから、詳細なメカニズムは未だ明らかではないが、樹脂の結晶化による消火剤貯蔵容器の強度乃至耐圧の向上が達成される。なお、樹脂の結晶化率を高めることによって、その容器810の強度及び/又は耐圧性が向上するため、比較的薄肉であっても消火器800に求められる高い耐久性を満足しうる。なお、現段階において、既に十分な耐圧性乃至強度が確保されているため、30%を越える胴部893の樹脂の結晶化率を得る必要性は乏しいと考えられる。
本実施形態では、まず、消火剤貯蔵容器810の材料となるポリエチレンナフタレート(PEN)を溶融し、射出金型内にその樹脂を射出又は押出することによって肉厚が15mm±0.4mmであって、全光線透過率が約5%のプリフォームを形成する。次に、胴部893の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下であり、かつ、その円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12以上13以下となるように、最終成形品を形成する。このような延伸倍率にすることにより、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性を確保することができる。
ところで、本実施形態においては、プリフォームの肉厚を15mm±0.4mm、最終成形品たる消火剤貯蔵容器810の胴部893の肉厚(T3)を1.8mm±0.4mmとしているが、第4の実施形態のように、プリフォームの肉厚を13mm±0.4mm、最終成形品たる消火剤貯蔵容器810の胴部893の肉厚(T3)を1.6mm±0.4mmとしても、本発明の一部の効果が奏される。同様に、第5の実施形態のように、プリフォームの肉厚を19mm±0.4mm、最終成形品たる消火剤貯蔵容器810の胴部893の肉厚(T3)を2.4mm±0.4mmとしても、本発明の少なくとも一部の効果が奏される。
また、本実施形態においては、ポリエチレンナフタレート(PEN)のみで形成される消火剤貯蔵容器810が採用されているが、第2の実施形態のように、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成される消火剤貯蔵容器が採用されても、本発明の少なくとも一部の効果が奏される。
<第9の実施形態>
本実施形態の消火器900は、第1の実施形態の消火剤貯蔵容器10の代わりに消火剤貯蔵容器910を備える点以外は、第1の実施形態の消火器100と同じ構成を備える。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
本実施形態の消火剤貯蔵容器910の全光線透過率は、5%以上75%以下である。本実施形態の消火剤貯蔵容器910の全光線透過率が75%を越えると、第6の実施形態と同様に、収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器900が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。また、全光線透過率が5%未満になると、緊急時に消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、前述の範囲の適度な透明性を維持することが、実用性と外観上の美観とを調和することになる。なお、さらに好ましい消火剤貯蔵容器910の全光線透過率は、20%以上70%以下である。この範囲であれば、さらに、周囲の美観との調和が取れる。
また、延伸ブロー成形により消火剤貯蔵容器910を製造する場合には、消火剤貯蔵容器910のプリフォームの全光線透過率は、5%以上75%以下であることが好ましい。消火剤貯蔵容器910のプリフォームの全光線透過率が75%を越えると、延伸ブロー後の消火剤貯蔵容器910内に収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器900が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。他方、前述のプリフォームの全光線透過率が5%未満になると、緊急時に、延伸ブローされた消火剤貯蔵容器910内の消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、消火剤貯蔵容器910のプリフォームについても、前述の範囲の透明性を維持することが、延伸ブロー後の消火剤貯蔵容器910の実用性と外観上の美観とを調和させることになる。
また、本実施形態における消火剤貯蔵容器910のプリフォームの肉厚は、4mm以上30mm以下であることが好ましい。前述の各範囲に収まるように、かつ、消火剤貯蔵容器910のプリフォームの全光線透過率を5%以上75%以下に収まるようにプリフォームを形成することにより、胴部993の円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が約6.5である延伸ブロー成形後の消火剤貯蔵容器910の全光線透過率が20%以上70%以下となる透明性が確保される。
<第10の実施形態>
本実施形態の消火器1000は、第2の実施形態の消火剤貯蔵容器210の代わりに消火剤貯蔵容器1010を備える点以外は、第2の実施形態の消火器200と同じ構成を備える。従って、第2の実施形態と重複する説明は省略される。
本実施形態の消火剤貯蔵容器1010の全光線透過率は、5%以上75%以下である。本実施形態の消火剤貯蔵容器1010の全光線透過率が75%を越えると、第7の実施形態と同様に、収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器1000が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。また、全光線透過率が5%未満になると、緊急時に消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、前述の範囲の適度な透明性を維持することが、実用性と外観上の美観とを調和することになる。なお、さらに好ましい消火剤貯蔵容器1010の全光線透過率は、20%以上70%以下である。この範囲であれば、さらに、周囲の美観との調和が取れる。
ところで、本実施形態の消火剤貯蔵容器1010のプリフォームの肉厚は、5mm以上15mm以下であることが好ましい。前述の各範囲に収まるように、かつ、プリフォームの全光線透過率を20%以上70%以下に収まるようにプリフォームを形成することにより、胴部1093の円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が約6.5である延伸ブロー成形後の消火剤貯蔵容器1010の全光線透過率が20%以上70%以下となる透明性が確保される。
<第11の実施形態>
本実施形態の消火器1100は、第3の実施形態の消火剤貯蔵容器310の代わりに消火剤貯蔵容器1110を備える点以外は、第3の実施形態の消火器300と同じ構成を備える。従って、第3の実施形態と重複する説明は省略される。
本実施形態の消火剤貯蔵容器1110の全光線透過率は、5%以上75%以下である。本実施形態の消火剤貯蔵容器1110の全光線透過率が75%を越えると、第6の実施形態と同様に、収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器1100が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。また、全光線透過率が5%未満になると、緊急時に消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、前述の範囲の適度な透明性を維持することが、実用性と外観上の美観とを調和することになる。なお、さらに好ましい消火剤貯蔵容器1110の全光線透過率は、20%以上70%以下である。この範囲であれば、さらに、周囲の美観との調和が取れる。
また、消火剤貯蔵容器1110のプリフォームの全光線透過率は、5%以上75%以下であることが好ましい。消火剤貯蔵容器1110のプリフォームの全光線透過率が75%を越えると、延伸ブロー後の消火剤貯蔵容器1110内に収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器900が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。他方、前述のプリフォームの全光線透過率が5%未満になると、緊急時に、延伸ブローされた消火剤貯蔵容器1110内の消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、消火剤貯蔵容器1110のプリフォームについても、前述の範囲の透明性を維持することが、延伸ブロー後の消火剤貯蔵容器1110の実用性と外観上の美観とを調和させることになる。
また、本実施形態における消火剤貯蔵容器1110のプリフォームの肉厚は、15mm±0.4mmとしている。また、本実施形態における消火剤貯蔵容器1110のプリフォームの全光線透過率を約5%としている。加えて、胴部1193の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下であり、かつ、その円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12以上13以下となるように、最終成形品が形成されている。このような延伸倍率にすることにより、消火剤貯蔵容器として求められる耐圧性を確保することができる。
ところで、本実施形態において、プリフォームの肉厚を15mm±0.4mm、最終成形品たる消火剤貯蔵容器1110の胴部1193の肉厚(T3)を1.8mm±0.4mmとしているが、第4の実施形態のように、プリフォームの肉厚を13mm±0.4mm、最終成形品たる消火剤貯蔵容器1110の胴部1193の肉厚(T3)を1.6mm±0.4mmとしても、本発明の一部の効果が奏される。同様に、第5の実施形態のように、プリフォームの肉厚を19mm±0.4mm、最終成形品たる消火剤貯蔵容器1110の胴部1193の肉厚(T3)を2.4mm±0.4mmとしても、本発明の少なくとも一部の効果が奏される。
また、本実施形態においては、ポリエチレンナフタレート(PEN)のみで形成される消火剤貯蔵容器1110が採用されているが、第7の実施形態のように、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成される消火剤貯蔵容器が採用されても、本発明の少なくとも一部の効果が奏される。
<第12の実施形態>
本実施形態の消火器1200は、第8の実施形態の消火剤貯蔵容器810の代わりに消火剤貯蔵容器1210を備える点以外は、第8の実施形態の消火器800と同じ構成を備える。従って、第8の実施形態と重複する説明は省略される。
本実施形態の消火剤貯蔵容器1210の全光線透過率は、5%以上75%以下である。本実施形態の消火剤貯蔵容器1210の全光線透過率が75%を越えると、第6の実施形態と同様に、収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器1200が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。また、全光線透過率が5%未満になると、緊急時に消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、前述の範囲の適度な透明性を維持することが、実用性と外観上の美観とを調和することになる。なお、さらに好ましい消火剤貯蔵容器1210の全光線透過率は、20%以上70%以下である。この範囲であれば、さらに、周囲の美観との調和が取れる。
また、消火剤貯蔵容器1210のプリフォームの全光線透過率は、5%以上75%以下であることが好ましい。消火剤貯蔵容器1210のプリフォームの全光線透過率が75%を越えると、延伸ブロー後の消火剤貯蔵容器1210内に収められている消火剤の壁面への付着が消火器の汚れに見えてしまうことにより、消火器1200が設置される場所の周囲の美観を損なうことになる。他方、前述のプリフォームの全光線透過率が5%未満になると、緊急時に、延伸ブローされた消火剤貯蔵容器1210内の消火剤の残量が確認しづらくなるため実用性が劣ることになる。従って、消火剤貯蔵容器1210のプリフォームについても、前述の範囲の透明性を維持することが、延伸ブロー後の消火剤貯蔵容器1210の実用性と外観上の美観とを調和させることになる。
ところで、本実施形態において、プリフォームの肉厚を15mm±0.4mm、最終成形品たる消火剤貯蔵容器1210の胴部1293の肉厚(T3)を1.8mm±0.4mmとしているが、第4の実施形態のように、プリフォームの肉厚を13mm±0.4mm、最終成形品たる消火剤貯蔵容器1210の胴部1293の肉厚(T3)を1.6mm±0.4mmとしても、本発明の一部の効果が奏される。同様に、第5の実施形態のように、プリフォームの肉厚を19mm±0.4mm、最終成形品たる消火剤貯蔵容器1210の胴部1293の肉厚(T3)を2.4mm±0.4mmとしても、本発明の少なくとも一部の効果が奏される。
また、本実施形態においては、ポリエチレンナフタレート(PEN)のみで形成される消火剤貯蔵容器1210が採用されているが、第7の実施形態のように、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成される消火剤貯蔵容器が採用されても、本発明の少なくとも一部の効果が奏される。
<実施例>
表22は、上述の第1及び第2の実施形態において製造された消火器の消火剤貯蔵容器の耐圧を測定する実験を行った結果を示している。なお、本実験では、空気による耐圧は、圧力源として窒素ボンベが採用され、ヤマト産業株式会社製の圧力調製器(型式YR-5062)と右下精機株式会社製の圧力計(型式S41又はGLT41)によって測定された。実際の測定の際、圧力源から供給された気体(窒素)の圧力が、圧力計で一定となるように維持させた状態で消火剤貯蔵容器の変化の有無を確認する方法が採用された。他方、比較例として、ポリエチレンナフタレート(PEN)製の市販のビール用ボトル(比較例1)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の市販の清涼飲料用ボトル(比較例2)についても、上記の第1及び第2の実施形態の消火剤貯蔵容器と同様の測定が行われた。
表22に示すとおり、上述の各実施形態のポリエチレンナフタレート(PEN)製の消火剤貯蔵容器及びポリエチレンテレフタレート(PET)製の消火剤貯蔵容器は、少なくとも2.6MPaの圧力を加えたときに亀裂又は破壊しないことが分かる。すなわち、上述の第1及び第2の実施形態の消火剤貯蔵容器の強度が、市販の樹脂製ボトルの強度に比べて格段に高められたことが分かる。なお、市販の各ボトルの破壊状況は延性破壊であったが、上述の第1及び第2の実施形態の消火剤貯蔵容器の破壊は脆性破壊であった。また、水圧による試験も行われた。具体的には、水圧力源として、株式会社キョーワ製の手動テストポンプ(型式T−300N)が用いられ、右下精機株式会社製の圧力計(型式S41又はGLT41)を用いて測定された。その結果、前述のいずれの樹脂が採用されても、消火剤貯蔵容器に対して2.6MPaの水圧力を加えたときに、その消火剤貯蔵容器が亀裂又は破壊しないことが確認されている。また、特にポリエチレンナフタレート(PEN)製の消火剤貯蔵容器については、3.0MPaの水圧力が加えられても、その消火剤貯蔵容器が亀裂又は破壊しないことが確認されている。
ところで、上述の各実施形態では、消火剤貯蔵容器を構成する樹脂としてポリエチレンナフタレートとポリエチレンテレフタレートが単独で採用されていたが、これに限定されない。例えば、ジカルボン酸成分として主にナフタレンジカルボン酸またはテレフタル酸、ジオール成分として主にエチレングリコール又はブタンジオールを用いて重縮合させて得られたポリエステル樹脂又はこれらのポリエステル樹脂を主とする材料が消火剤貯蔵容器の材料として採用されても、本発明の少なくとも一部の効果が奏されると考えられる。換言すれば共重合ポリエステル樹脂であれば、本発明の少なくとも一部の効果が奏されると考えられる。
また、他の採用し得る材料の一例として、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスチレン、又はポリカーボネートが挙げられる。但し、上述の全ての材料の中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)を採用することが、強度の観点から好ましい。また、透明性を高めるためには、ポリエチレンナフタレート(PEN)を単独で、又はポリエチレンナフタレート(PEN)を主とし、ポリエチレンテレフタレート(PET)を従とするブレンド材料が採用されることが好ましい。さらに、透明性、強度、及びガスバリア性の観点から、ポリエチレンナフタレート(PEN)が単独で採用されることが最も好ましい。すなわち、ポリエチレンナフタレート(PEN)を採用することにより、適度な透明性を維持しつつ高強度の消火剤貯蔵容器がより確度高く得られる。
上述の各実施形態の消火器の消火剤貯蔵容器に充填される消火剤の種類は特に限定されない。消火剤容器を構成する樹脂への影響がない限り、公知のいかなる消火剤も採用することできる。例えば、粉末消火器としても使用することができる。また、消火剤の充填方法、及びホースやノズルなどの構成部品の材質と形状等については、従来から提案されているものを適宜採用することができる。
また、消火剤の放射方式として、加圧式又は蓄圧式のどちらも採用され得る。但し、上述の各実施形態は蓄圧式の消火器であり、従来の消火器と同等以上の高圧の消火剤にも対応しうる点は特筆に値する。さらに、消火剤貯蔵容器を構成する樹脂は、変色の防止や耐候性の向上のために、光安定剤、紫外線吸収剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
ところで、上述した第3乃至第5、第8、第11、及び第12の実施形態においては、最終成形品の胴部393,493,593,893,1193,1293に対応する部分のプリフォームの肉厚が13mm±0.4mm、15mm±0.4mm、又は19mm±0.4mmの消火剤貯蔵容器が採用されているが、これに限定されない。最終成形品の胴部393,493,593,893,1193,1293に対応する部分のプリフォームの肉厚が13mm±0.4mm未満であっても、あるいは、19mm±0.4mmを超えても、上述の各実施形態と同様に良好な耐圧性が得られる場合があると考えられる。また。最終成形品の胴部393,493,593,893,1193,1293の肉厚(T3)が1.2mm未満であっても、また、2.8mmを超えても、上述の各実施形態と同様に良好な耐圧性が得られる場合があると考えられる。例えば、胴部393,493,593,893,1193,1293の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.05倍以上1.4倍以下であり、かつ、その円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12以上13以下となる消火剤貯蔵容器を採用すれば、良好な耐圧性が得られると考えられる。また、胴部393,493,593,893,1193,1293の円周方向の延伸倍率がその円周方向に垂直な方向の延伸倍率の1.1倍以上1.2倍以下であり、かつ、胴部393,493,593,893,1193,1293の円周方向の延伸倍率とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率との積が12.1以上12.3以下となる消火剤貯蔵容器を採用すれば、さらに良好な耐圧性を得ることができると考えられる。但し、環境を配慮した材料削減の観点、成形時間や冷却時間の低減(製造コスト)の観点、及び、成形の容易さの観点から言えば、最終成形品の胴部393,493,593,893,1193,1293に対応する部分のプリフォームの肉厚が、13mm±0.4mm乃至15mm±0.4mmであることが好ましい。
以上、述べたとおり、各実施形態の他の組み合わせを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。