JP5160479B2 - 消火器及び消火剤貯蔵容器 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂で形成されている消火剤貯蔵容器及びその消火剤貯蔵容を備える消火器に関するものである。
従来、消火器に使用される消火剤貯蔵容器は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属から製造されている。その中でも鉄製の消火剤貯蔵容器は、頑丈で破損しにくく、製造コストが安価であるため、市場に出される消火器数の約9割に対して鉄が使用されているのが現状である。
他方、樹脂製の消火剤貯蔵容器を備えた消火器の例が開示されている。1つの文献には、樹脂製の消火剤貯蔵容器の弱点であった低い耐圧性能であっても保持されるように、充填圧力が可能なかぎり低下された消火器が開示されている(特許文献1)。また、他の1つの文献には、清涼飲料水やアルコール飲料などに用いられる薄肉のポリエチレンテレフタレート(PET)の廃品を利用した消火器が開示されている(特許文献2)。
実開昭56−160560号公報 特開平9−313634号公報
上述の通り、一般的に広く利用されている鉄製の消火剤貯蔵容器は非常に重いため、特に女性や子供、あるいは年配者にとって、持ち運びの不便さや操作性の悪さの問題を生じさせていた。
鉄に代表される金属であるがための上述の技術的課題は、一見すると、樹脂製の消火剤貯蔵容器を採用することによって解決されるように見える。しかしながら、現実には、一般的に採用されている金属製の消火器のように、耐用年数として数年(例えば、8年)以上が要求される消火剤貯蔵容器を、容器全体としての軽量さを維持しつつ、樹脂のみによって形成することは容易ではない。例えば、特許文献1及び2の樹脂製の消火剤貯蔵容器を採用した場合、それらの容器内の圧力を金属製の容器を備えた消火器の保証された耐圧と同程度(例えば、約2.0MPa)まで高めることは、それらの容器の変形ないし破裂の危険性を生じさせる。
加えて、樹脂を用いて消火剤貯蔵容器を形成する場合、例えば日本国の一般的な金属製の消火器に適用される耐圧の規格値を満足するように、その容器の肉厚を増加させることも容易ではない。
一方、消火器の重さを低減するためにアルミニウム製の消火器も広く採用されている。しかし、鉄製消火器の頑丈さに比べるとアルミニウム製の消火器は弱い。例えば、消火器の耐熱性の観点からいえば、鉄製消火器に比べてその耐熱性が低いことに加え、熱及び消火器の内圧による消火器(特に、消火剤貯蔵容器)の破断、破裂、及び破片の飛散の影響が考慮さえなければならない。
本発明は、上述の従来技術の問題点を解消することにより、軽量で、高い安全性を備える消火器の実現に大きく貢献するものである。
発明者は、様々な視点から現存の金属製消火器に代替しうる樹脂製の消火剤貯蔵容器の開発を鋭意行った。その結果、発明者は、樹脂の特性を生かしつつその弱点を補うことができる消火剤貯蔵容器の構成を見出すことに成功し、本発明が完成した。
本発明の1つの消火器は、消火剤貯蔵容器を有する消火器において、その消火剤貯蔵容器が、開口部となる口部、肩部、円筒形状の胴部、及び底部とを有するとともに継ぎ目のない樹脂によって成形されている。その上で、前述の胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であるとともに、前述の消火剤貯蔵容器が火炎の外縁の領域に配置されたときに前述の肩部、前述の胴部、又は前述の底部の一部が溶断により破壊される。
この消火器によれば、消火剤貯蔵容器が樹脂製であるため、軽量化が達成されるとともに錆びることがない。具体的には、従来の鉄製の消火器と比べて消火器全体の重量を約70%に減少させることができる。また、例えば火災の際に、火炎の外縁の領域内にこの消火器が置かれることになっても、その消火剤貯蔵容器の肩部、胴部、又は底部の一部の溶断という態様で破壊されることになる。その結果、例えばアルミニウム製の消火器のように、加熱による破裂時の破片の飛散が生じないため、高い安全性が得られる。加えて、この消火剤貯蔵容器は、継ぎ目がなく、その胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であることから、軽量であるとともに高い強度を有する消火剤貯蔵容器を備える消火器が実現できる。なお、本出願において、「火炎の外縁の領域」とは、火炎と接する位置とその火炎から0.5m離れた位置との間の領域をいう。
本発明の1つの消火器は、消火剤貯蔵容器を有する消火器において、その消火剤貯蔵容器が、開口部となる口部、肩部、円筒形状の胴部、及び底部とを有するとともに継ぎ目のない樹脂によって成形されている。その上で、前述の胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であるとともに、前述の消火剤貯蔵容器が火炎の外縁の領域に配置されたときにその消火剤貯蔵容器が破裂によって破壊されない。
この消火器によれば、消火剤貯蔵容器が樹脂製であるため、軽量化が達成されるとともに錆びることがない。具体的には、従来の鉄製の消火器と比べて消火器全体の重量を約70%に減少させることができる。また、例えば、火災の際に、火炎の外縁の領域内にこの消火器が置かれることになっても、アルミニウム製の消火器のように、加熱による破裂時の破片の飛散が生じないため、高い安全性が得られる。加えて、この消火剤貯蔵容器は、継ぎ目がなく、その胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であることから、軽量であるとともに高い強度を有する消火剤貯蔵容器を備える消火器が実現できる。
また、本発明の1つの消火剤貯蔵容器は、開口部となる口部、肩部、円筒形状の胴部、及び底部とを有するとともに継ぎ目のない樹脂によって成形されている。その上で、前述の胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であるとともに、前述の消火剤貯蔵容器が火炎の外縁の領域に配置されたときに前述の肩部、前述の胴部、又は前述の底部の一部が溶断により破壊される
この消火剤貯蔵容器は樹脂製であるため、軽量化が達成されるとともに錆びることがない。具体的には、従来の鉄製の消火剤貯蔵容器と比べて、重量を約70%に減少させることができる。また、例えば火災の際に、火炎の外縁の領域内にこの消火器が置かれることになっても、その消火剤貯蔵容器の肩部、胴部、又は底部の一部の溶断という態様で破壊されることになる。その結果、例えばアルミニウム製の消火剤貯蔵容器のように、加熱による破裂時の破片の飛散が生じないため、高い安全性が得られる。加えて、この消火剤貯蔵容器は、継ぎ目がなく、その胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であることから、この消火剤貯蔵容器の高強度が実現される。
また、本発明のもう1つの消火剤貯蔵容器は、開口部となる口部、肩部、円筒形状の胴部、及び底部とを有するとともに継ぎ目のない樹脂によって成形されている。その上で、前述の胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であるとともに、前述の消火剤貯蔵容器が火炎の外縁の領域に配置されたときにその消火剤貯蔵容器が破裂によって破壊されない。
この消火剤貯蔵容器は樹脂製であるため、軽量化が達成されるとともに錆びることがない。具体的には、従来の鉄製の消火剤貯蔵容器と比べて、重量を約70%に減少させることができる。また、例えば、火災の際に、火炎の外縁の領域内にこの消火器が置かれることになっても、アルミニウム製の消火剤貯蔵容器のように、加熱による破裂時の破片の飛散が生じないため、高い安全性が得られる。加えて、この消火剤貯蔵容器は、継ぎ目がなく、その胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であることから、この消火剤貯蔵容器の高強度が実現される。
本発明の1つの消火器は、軽量化が達成されるとともに錆びることがない。また、本発明の1つの消火器は、高い強度と高い安全性を備えている。また、本発明の1つの消火剤貯蔵容器も、軽量化が達成されるとともに錆びることがなく、かつ、高い強度と高い安全性を備えている。
本発明の1つの実施形態における消火器を示す全体外観図である。 本発明の1つの実施形態における消火剤貯蔵容器の正面図である。 本発明の1つの実施形態における消火剤貯蔵容器の正面断面図である。
本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケールどおりに示されていない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態の消火器100の全体外観図である。図2は、消火剤貯蔵容器10の正面図であり、図3は、消火剤貯蔵容器10の正面断面図である。なお、図2において、便宜上、消火剤貯蔵容器の部位を説明するための破線と実線が設けられている。また、図3において、便宜上、消火剤貯蔵容器10の肉厚を示すための矢印と、口部91の肉厚を表示するために、口部91の断面形状を延長するための破線が設けられている。
図1に示すように、本実施形態の消火器100は、消火剤60(例えば、粉末消火薬剤)が充填された消火剤貯蔵容器10と、消火剤貯蔵容器10の底部と嵌合して消火剤60を支持する支持台50と、消火剤貯蔵容器10の上方に配設される消火器用ハンドレバー30と、消火剤貯蔵容器10内に貯蔵される消火剤60を消火器用ハンドレバー30に導くためのサイホン管70と、消火器用ハンドレバー30を操作することによりサイホン管70と流通可能に接続される消火剤ホース40とを備える。
また、消火器用ハンドレバー30は、蓋体31、固定レバー32、起動レバー33、起倒杆34、及び安全栓35を備えている。本実施形態では、安全栓35が起倒杆34と係合することにより、起動レバー33が固定レバー32に対して回動不可能な状態に固定される。また、安全栓35が起倒杆34との係合状態から解放されると、起動レバー33が固定レバー32に対して回動可能な状態になる。
加えて、本実施形態における消火剤貯蔵容器10は、消火剤貯蔵部11と、消火剤貯蔵部11の上部に位置する開口部に形成される雄ネジ部12とで構成される。この雄ネジ部12と消火器用ハンドレバー30とが螺合することにより、消火剤貯蔵容器10と消火器用ハンドレバー30とが固定される。尚、消火剤貯蔵容器10と消火器用ハンドレバー30との固定手段は、螺合に限られず、公知の接合手段が適用され得る。
ここで、本実施形態の消火器100は、ポリエチレンナフタレート(PEN)によって形成された消火剤貯蔵容器10を備えている。本実施形態の消火剤貯蔵容器10の口部91の肉厚(T)は、2mm以上5mm以下であり、曲面を持つ肩部92の肉厚(T)は、1.2mm以上12mm以下である。また、円筒状の胴部93の肉厚(T)は、1.3mm以上1.7mm以下であり、曲面を持つ底部94の肉厚(T)は、1.2mm以上12mm以下である。なお、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、ポリエチレンナフタレート(PEN)のみで形成されている。また、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、図1乃至図3に示すように、金属製の消火剤貯蔵容器のような継ぎ目が形成されていない。
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の各部位の樹脂の結晶化率の測定が行われた。本実施形態の樹脂の結晶化率は、JIS K 7122(プラスチックの転移熱測定方法)による転移に要するエネルギー(J/g)の測定に基づいて算定することにより求められた。その結果、口部91の樹脂の結晶化率は、略0%であり、肩部92の樹脂の結晶化率は、13%以上23%以下であった。加えて、胴部93の樹脂の結晶化率は、14%以上27%以下であり、底部94の樹脂の結晶化率は、10%以上20%以下であった。その後の幾つかの測定により、口部91及び底部94を除く消火剤貯蔵容器の樹脂の結晶化率は13%以上30%以下であることが分かった。
ここで、本実施形態の消火器100の安全性を確認するために、火炎近くに消火器100を配置したときの消火器100の耐火性が調査された。
具体的には、消火器100(消火剤貯蔵容器10の質量は、約0.8kg)が、火炎と接する位置と、その火炎から0.5m離れた位置との間の領域(以下、火炎の外縁の領域という。)内に配置されたときの、消火器100の破壊に至る状況及び破壊後の外観を観察する実験が行われた。また、比較実験として、アルミニウム製の消火剤貯蔵容器(消火剤貯蔵容器の質量は、約1kg)を備えた消火器(以下、比較用消火器ともいう。)が火炎の外縁の領域内に配置されたときの比較用消火器の破壊に至る状況及び破壊後の外観も観察された。なお、本調査では平面視において矩形の油槽が用意され、前述の火炎は、その油槽から生じる火炎である。また、消火器100及び比較用消火器のいずれも、蓄圧式の消火器として本実験が行われた。
その結果、大変興味深い差異が確認された。まず、外観については、破壊された消火器100では、消火剤貯蔵容器10の胴部93のうち、やや肩部92寄りの箇所に、溶断による破壊(亀裂)が確認された。他方、比較用消火器では、消火器100の胴部93に相当する箇所が大きく裂けていることが確認された。すなわち、火炎の熱によって、消火器100は溶断破壊されるのに対して、アルミニウム製の消火剤貯蔵容器は、破裂破壊されることが明らかとなった。
次に、消火器100及び比較用消火器の破壊時の挙動については、消火器100では、消火剤貯蔵容器10の内部圧力と消火剤を放出しながら飛ぶ様子が確認された。このときの飛行加速度は、最大186m/秒であり、幾つかの再現性実験によっても200m/秒を超えることはなかった。他方、比較用消火器でも、消火剤貯蔵容器の内部圧力と消火剤を放出しながら飛ぶ様子が確認された。このときの飛行加速度の一例は、500m/秒を超える値であった。
上述のとおり、本実施形態の消火器100は、火炎近く配置されていた場合であっても、例えば従来のアルミニウム製の消火器よりも安全性が高いことが確認された。従って、軽量で使いやすい消火器としての消火器100の実用性の高さが明らかとなった。
ところで、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の胴部93の肉厚は、1mm以上5mm以下であることが好ましい。これは、樹脂の厚さが1mmよりも薄いと、消火剤の貯蔵容器として求められる強度(例えば、約2.0MPa)を達成できなくなるおそれが高まる一方、5mmよりも厚ければ、経済的に好ましくないとともに内容物たる消火剤を視認し得る透明性の達成が困難になるおそれが高まるためである。上述の観点によれば、胴部93の肉厚は、1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
次に、本実施形態の消火剤貯蔵容器10の製造方法について説明する。ポリエチレンナフタレート(PEN)製の消火剤貯蔵容器10は、延伸ブロー成形、溶融整形などの従来公知の樹脂成形方法により製造することができるが、この中でも、継ぎ目がなく、成形状態が良好で、かつ適度な肉厚の容器が得られる点で、延伸ブロー成形が好ましい。
本実施形態では、まず、消火剤貯蔵容器10の材料となるポリエチレンナフタレート(PEN)を溶融し、射出金型内にその樹脂を射出又は押出することによって肉厚が約15mmの予備成形品(以下、プリフォームという。)を形成する。次に、胴部93の円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が12倍を超えて延伸された上で、消火剤貯蔵容器10の側面の肉厚が1mm以上5mm以下になるように、消火剤貯蔵容器10が形成される。
上述のとおり、延伸ブローによって消火剤貯蔵容器10を成形することにより、強度又は耐圧が高められるとともに、適度な透明性を実現し得る樹脂の結晶化率が得られる。なお、口部91及び肩部92の一部及び底部94の一部は、延伸ブロー成形を採用すれば、樹脂の結晶化率が高まらない箇所が不可避的に存在するため、それらの箇所は、容器の肉厚を他の部位の肉厚よりも厚くすることによって消火器として要求される強度又は耐圧を確保する。
<第2の実施形態>
本実施形態の消火器200は、消火剤貯蔵容器20の材質がポリエチレンテレフタレート(PET)であること、並びに製造過程におけるプリフォームの肉厚及び延伸ブローの倍率を除き、第1の実施形態と同じ構成である。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
上述のとおり、本実施形態の消火器200は、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成された消火剤貯蔵容器20を備えている。本実施形態の消火剤貯蔵容器20の口部91の肉厚(T)は、2mm以上5mm以下であり、曲面を持つ肩部92の肉厚(T)は、2mm以上12mm以下である。また、円筒状の胴部93の肉厚(T)は、2mm以上3mm以下であり、曲面を持つ底部94の肉厚(T)は、2mm以上12mm以下である。なお、製造過程の不純物を除けば、本実施形態の消火剤貯蔵容器10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のみで形成されている。また、本実施形態の消火剤貯蔵容器20は、図1乃至図3に示すように、金属製の消火剤貯蔵容器のような継ぎ目が形成されていない。
また、本実施形態の消火剤貯蔵容器20の各部位の樹脂の結晶化率を第1の実施形態と同様の測定方法によって測定すると、口部91、肩部92、胴部93、及び底部94の樹脂の結晶化率は、それぞれ第1の実施形態のそれと同等の数値範囲であった。
ところで、本実施形態の消火剤貯蔵容器20の胴部93の肉厚は1mm以上5mm以下であることが好ましい。これは、樹脂の厚さが1mmよりも薄いと、消火剤の貯蔵容器として求められる強度(例えば、約2.0MPa)を達成できなくなるおそれが高まる一方、5mmよりも厚ければ、経済的に好ましくないとともに内容物たる消火剤を視認し得る透明性の達成が困難になるおそれが高まるためである。上述の観点によれば、胴部93の肉厚は、2mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
本実施形態でも、まず、消火剤貯蔵容器20の材料となるポリエチレンテレフタレート(PET)を溶融し、射出金型内にその樹脂を射出又は押出することによって肉厚が約10mmの予備成形品(以下、プリフォームという。)を形成する。次に、胴部93の円周方向の延伸倍率のスカラー量とその円周方向に垂直な方向の延伸倍率のスカラー量との積が6倍を超えて延伸された上で、消火剤貯蔵容器20の胴部93の肉厚が2mm以上3mm以下になるように、消火剤貯蔵容器20が形成される。
ここで、本実施形態の消火器200の安全性を確認するために、第1の実施形態と同様、火炎近くに消火器200を配置したときの消火器200の耐火性が調査された。
その結果、外観及び破壊時の挙動について、第1の実施形態とほぼ同様の状況が観察された。すなわち、破壊された消火器200では、口部91を除く消火剤貯蔵容器20の一部の溶断による破壊(亀裂)が確認された。他方、比較用消火器では、消火器200の胴部93に相当する箇所が大きく裂けていることが確認された。すなわち、火炎の熱によって、消火器200は溶断破壊されるのに対して、アルミニウム製の消火剤貯蔵容器は、破裂破壊されることが明らかとなった。
次に、消火器200及び比較用消火器の破壊時の挙動については、消火器200では、消火剤貯蔵容器10の内部圧力と消火剤を放出しながら飛ぶ様子が確認された。このときの飛行加速度は、200m/秒以下であった。
従って、本実施形態の消火器200は、火炎近く配置されていた場合であっても、例えば従来のアルミニウム製の消火器よりも安全性が高いことが確認された。従って、軽量で使いやすい消火器としての消火器200の実用性の高さが明らかとなった。
次に、上述の各実施形態の消火器100及び消火器200の加熱を伴わない耐圧強度を測定する実験も行われた。
表1は、上述の各実施形態において製造された消火器の消火剤貯蔵容器の耐圧を測定する実験を行った結果を示している。なお、本実験では、空気よる耐圧は、圧力源として窒素ボンベが採用され、ヤマト産業株式会社製の圧力調製器(型式YR-5062)と右下精機株式会社製の圧力計(型式S41又はGLT41)によって測定された。実際の測定の際、圧力源から供給された気体(窒素)の圧力が、圧力計で一定となるように維持させた状態で消火剤貯蔵容器の変化の有無を確認する方法が採用された。他方、比較例として、ポリエチレンナフタレート(PEN)製の市販のビール用ボトル(比較例1)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の市販の清涼飲料用ボトル(比較例2)についても、上記の各実施形態の消火剤貯蔵容器と同様の測定が行われた。
Figure 0005160479
表1に示すとおり、上述の各実施形態のポリエチレンナフタレート(PEN)製の消火剤貯蔵容器及びポリエチレンテレフタレート(PET)製の消火剤貯蔵容器は、少なくとも2.6MPaの圧力を加えたときに亀裂又は破壊しないことが分かる。すなわち、上述の各実施形態の消火剤貯蔵容器の強度が、市販の樹脂製ボトルの強度に比べて格段に高められたことが分かる。なお、市販の各ボトルの破壊状況は延性破壊であったが、上述の各実施形態の消火剤貯蔵容器の破壊は脆性破壊であった。また、水圧による試験も行われた。具体的には、水圧力源として、株式会社キョーワ製の手動テストポンプ(型式T−300N)が用いられ、右下精機株式会社製の圧力計(型式S41又はGLT41)を用いて測定された。その結果、前述のいずれの樹脂が採用されても、消火剤貯蔵容器に対して2.6MPaの水圧力を加えたときに、その消火剤貯蔵容器が亀裂又は破壊しないことが確認されている。また、特にポリエチレンナフタレート(PEN)製の消火剤貯蔵容器については、3.0MPaの水圧力が加えられても、その消火剤貯蔵容器が亀裂又は破壊しないことが確認されている。
<その他の実施形態>
ところで、上述の各実施形態では、消火剤貯蔵容器を構成する樹脂としてポリエチレンナフタレート(PEN)とポリエチレンテレフタレート(PET)が単独で採用されていたが、これに限定されない。例えば、ジカルボン酸成分として主にナフタレンジカルボン酸またはテレフタル酸、ジオール成分として主にエチレングリコール又はブタンジオールを用いて重縮合させて得られたポリエステル樹脂又はこれらのポリエステル樹脂を主とする材料が消火剤貯蔵容器の材料として採用されても、本発明の少なくとも一部の効果が奏されると考えられる。換言すれば共重合ポリエステル樹脂であれば、本発明の少なくとも一部の効果が奏されると考えられる。
また、他の採用し得る材料の一例として、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスチレン、又はポリカーボネートが挙げられる。但し、上述の全ての材料の中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)を採用することが、強度の観点から好ましい。また、透明性を高めるためには、ポリエチレンナフタレート(PEN)を単独で、又はポリエチレンナフタレート(PEN)を主とし、ポリエチレンテレフタレート(PET)を従とするブレンド材料が採用されることが好ましい。さらに、透明性、強度、及びガスバリア性の観点から、ポリエチレンナフタレート(PEN)が単独で採用されることが最も好ましい。すなわち、ポリエチレンナフタレート(PEN)を採用することにより、高い強度と高い安全性を有する消火剤貯蔵容器がより確度高く得られる。
また、上述の各実施形態の消火器の消火剤貯蔵容器に充填される消火剤の種類は特に限定されない。消火剤容器を構成する樹脂への影響がない限り、公知のいかなる消火剤も採用することできる。例えば、粉末消火器としても使用することができる。また、消火剤の充填方法、及びホースやノズルなどの構成部品の材質と形状等については、従来から提案されているものを適宜採用することができる。
また、消火剤の放射方式として、加圧式又は蓄圧式のどちらも採用され得る。但し、上述の各実施形態のような蓄圧式消火器が採用された場合、消火剤貯蔵容器内の圧力により、熱に起因して消火器が破壊される際の上述の飛行の影響が大きくなる。従って、本発明が蓄圧式消火器に適用されることは、従来の消火器との比較において、より際立った効果を発揮させることになる。また、上述の各実施形態の消火器が、その優れた耐圧性により、従来の消火器と同等以上の高圧の消火剤にも対応しうる蓄圧式消火器として適用される点も特筆に値する。なお、消火剤貯蔵容器を構成する樹脂は、変色の防止や耐候性の向上のために、光安定剤、紫外線吸収剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。以上、述べたとおり、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明の消火器は、高い強度と高い安全性を備えた樹脂製の消火剤貯蔵容器が採用されているため、消火器産業において極めて有用である。
10,20 消火剤貯蔵容器
11 消火剤貯蔵部
12 雄ネジ部
30 消火器用ハンドレバー
31 蓋体
32 固定レバー
33 起動レバー
34 起倒杆
35 安全栓
40 消火剤ホース
50 支持台
60 消火剤
70 サイホン管
91 口部
92 肩部
93 胴部
94 底部
100,200 消火器

Claims (6)

  1. 消火剤貯蔵容器を有する蓄圧式消火器であって、
    前記消火剤貯蔵容器が、開口部となる口部、肩部、円筒形状の胴部、及び底部とを有するとともに継ぎ目のない樹脂によって成形され、
    前記肩部及び前記胴部の樹脂の結晶化率が13%以上30%以下であり、かつ
    前記胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であるとともに、蓄圧された前記蓄圧式消火器が火炎の外縁の領域に配置されたときに、前記消火剤貯蔵容器の前記肩部、前記胴部、又は前記底部の一部が溶断により破壊される、
    蓄圧式消火器。
  2. 前記胴部の肉厚が1mm以上3mm以下である、
    請求項1に記載の蓄圧式消火器
  3. 前記樹脂が、ポリエチレンナフタレート及びポリエチレンテレフタレートの群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂である、
    請求項1又は請求項2に記載の蓄圧式消火器
  4. 蓄圧式消火器用の消火剤貯蔵容器であって、
    開口部となる口部、肩部、円筒形状の胴部、及び底部とを有するとともに継ぎ目のない樹脂によって成形され、
    前記肩部及び前記胴部の樹脂の結晶化率が13%以上30%以下であり、かつ
    前記胴部の肉厚が1mm以上5mm以下であるとともに、蓄圧された前記消火剤貯蔵容器を備える蓄圧式消火器が火炎の外縁の領域に配置されたときに、前記消火剤貯蔵容器の前記肩部、前記胴部、又は前記底部の一部が溶断により破壊される、
    蓄圧式消火器用の消火剤貯蔵容器
  5. 前記胴部の肉厚が1mm以上3mm以下である、
    請求項4に記載の蓄圧式消火器用の消火剤貯蔵容器。
  6. 前記樹脂が、ポリエチレンナフタレート及びポリエチレンテレフタレートの群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂である、
    請求項4又は請求項5に記載の蓄圧式消火器用の消火剤貯蔵容器
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