以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。まず、本実施形態に係るプラスチックボトルの構成を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るプラスチックボトルの一例としてのPETボトル10が示された正面図である。なお、以下では、説明の便宜上、PETボトル10を正立させた図1の状態において、容器内に内容物が充填されるPETボトル10の口栓部15を上とする。
本実施形態に係るPETボトル10は、ボトル本体11と、ボトル本体11の上側に位置する口栓部15とを備える。有底筒状のボトル本体11は、首部11aと、肩部11bと、胴部11cと、底部11dとを有する。図1に例示されたPETボトル10は胴部11cが略円筒状のいわゆる丸ボトルである。本実施形態に係るPETボトル10においては、ボトル本体11の形状は特に限定されず、いわゆる角ボトルであっても、胴部11cが、肩部11bから底部11dに向かって拡開するボトルであっても良い。更に、PETボトル10に充填される内容物が例えば発泡性溶液の場合には底部11dがペタロイド形状であっても良い。
略円筒状の口栓部15はその下端が、ボトル本体11に連設される。口栓部15は、上端の環状の天面15aと、天面15aからボトル本体11の方向に天面15aの径方向の外側を延びる外周面15bと、天面15aからボトル本体11の方向に天面15aの径方向の内側を延びる内周面15cとを有する。天面15aは平坦に形成される。
口栓部15は、その外周面15bに、ねじ(外ねじ13)と、カブラ16と、サポートリング17と、カブラ下18とを有する。ここでは図示せぬキャップが取り付けられるための外ねじ13は、上端部13aと、下端部13bとを有して上端部13aから下端部13bまでらせん状に外方に突出する。なお、外ねじ13の上端部13aの近傍には、外ねじ13の上側が切り欠かれた不完全ねじ部13cが形成される。カブラ16は、外ねじ13の下方で周回状に外方に突出する。サポートリング17は、口栓部15の下端に位置し、カブラ16の下方で周回状に、カブラ16よりも外方に突出する。カブラ下18は、カブラ16と、サポートリング17との間で同心円状に形成される。
口栓部15はその上端において、環状の天面15aの径方向の内側に開口部19を有する。図1には、口栓部15の半径方向の中心を通る軸線Aが示される。軸線Aは、開口部19の位置に当たる。なお、外周面15bの上端には、周回状に外方に突出する環状突出部20が形成される。
図2は図1のPETボトル10の平面図である。すなわち、図2は図1の軸線Aの下方向(II方向)矢視図である。
PETボトル10の平面視において、外ねじ13の上端部13aから下端部13bまでの間を周回する角度は巻き角度θと称される。例えば、上端部13aから下端部13bまで外ねじ13が外周面15bに2周形成されている場合の巻き角度θは720度である。
外ねじ13の上端部13aから下端部13bまでの巻き角度θが550度以上、800度以下であることが好ましく、650度以上、750度以下であることが更に好ましい。巻き角度θが550度以上とされることによって、PETボトル10の内部の高い密閉性を保持することができるとともに、PETボトル10の内部の圧力によってキャップ飛びが生じることを防止することができる。そして、内容物がたとえ、発泡性溶液、例えば炭酸飲料であってもPETボトル10に問題なく充填することができる。一方で、巻き角度θが800度以下とされることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。したがって、外ねじ13の巻き角度θが上述の範囲であることによって、口栓部15の軽量化が図られ、かつ密閉性に優れたPETボトル10を提供することができる。
なお、上述の不完全ねじ部13cは、外ねじ13の上端部13aから90度を目安に形成される。すなわち、上端部13aから下端部13bの側に90度の周回をする中で完全ねじに徐々に移行するように外ねじ13が形成される。したがって、巻き角度θが750度の外ねじ13は例えば、660度の完全ねじ部と、90度の不完全ねじ部13cとによって構成される。不完全ねじ部13cが短くされることで完全ねじの領域をより長く取ることができる。しかしながら、不完全ねじ部13cが短すぎると、トルクが余計にかかってキャップが巻きにくくなる。したがって、不完全ねじ部13cは45度以上、90度以下とされることが好ましい。
図1、及び図2に例示された外ねじ13には、PETボトル10の軸線Aに対して平行に切り欠かれたベントスロット14が4本形成されている。ベントスロット14は、内容物として、炭酸飲料が充填される等PETボトル10の内圧が上昇している場合の開栓時に噴出する気体の通り道(逃げ道)となり、キャップ飛びを防止する機能を有する。したがって、PETボトル10の内圧が上昇する可能性の低い内容物例えば水が充てんされる場合には、必ずしも、ベントスロット14が設けられなくても構わない。なお、上述の巻き角度θは、ベントスロット14を有していても、外ねじ13が、上端部13aから下端部13bまで連続しているものとみなされた値とされる。
外ねじ13は、二条ねじや、三条ねじでも良いものの、図1に例示された一条ねじが、より緩みにくくて強度が高いという点でより好ましい。外ねじ13が二条ねじの場合の巻き角度θはそれぞれ90度以上、300度以下であることが好ましく、外ねじ13が三条ねじの場合の巻き角度θはそれぞれ70度以上、180度以下であることが好ましい。
本実施形態に係る口栓部15は、種々の部位の形状が変更されることによって軽量化が図られる。しかしながら、標準的に広く用いられているキャップとの嵌合性、成形装置や充填装置等によるPETボトル10の搬送適性、搬送時や充填時等に必要とされる口栓部15の各部の強度が考慮されると、口栓部15の形状の変更には様々な制限がある。
そこで、次に、口栓部15に装着されるキャップの構成を詳細に説明する。図3は、口栓部15に、ねじ込み式のキャップ60が装着された状態が示された部分断面図である。口栓部15に、キャップ60が巻き締めされて装着されることでPETボトル10が密閉される。
キャップ60は、口栓部15に装着された際に上側に位置するキャップ本体61と、その下側に位置する剥離リング70とを備える。キャップ本体61は、円板状の上部62と、上部62の周縁から垂下される円筒状の胴部63とを有する。胴部63は、その内周面に、口栓部15の外ねじ13とかみ合う内ねじ64を有する。上部62は、その内面から垂下される環状の突起としてキャップ60の径方向の内側から順にインナーリング65と、コンタクトリング66と、アウターリング67とを備える。
インナーリング65はその外周面に、キャップ60の外方に向かって突出する突出部を有し、このインナーリング65の突出部が口栓部15の内周面15cと接触する。コンタクトリング66の下方先端部は口栓部15の天面15aと接触する。アウターリング67はその内周面に、キャップ60の内方に向かって突出する突出部を有し、このアウターリング67の突出部が口栓部15の環状突出部20と接触する。そして、これらの3箇所の接触によってPETボトル10の密閉が保たれる。
剥離リング70はリング状である。剥離リング70は、その内周面から内方かつ上方に向かって突出する複数のフラップ71を備える。フラップ71は、PETボトル10が初期密閉の状態となるまで口栓部15にキャップ60が巻き締めされる際には剥離リング70の内周面の側に倒れ、その後の初期開栓の際には、剥離リング70の内周面から離れるように構成される。キャップ本体61と、剥離リング70とは、キャップ60の初期開栓時に破断可能に構成される連結部材72を介して連結されている。
初期密閉時のフラップ71は、カブラ16と、サポートリング17との間に配置される。キャップ60が開封方向に回動されると、フラップ71の上端がカブラ16に当接し、剥離リング70の上方向の移動が阻止される。更に、キャップ60が回動されると、連結部材72が破断し、キャップ本体61と、剥離リング70とが切り離される。そして、剥離リング70は、カブラ16と、サポートリング17との間に保持されるとともに、キャップ本体61が口栓部15から取り外される。このように、キャップ60は、初期開栓が行われたか否かが一目でわかる不正開封防止機能、いわゆるタンパーエビデント性を有する。
図4は、口栓部15の上端近傍が示された断面図である。図4に例示されたように、天面15aと、内周面15cとの接合部の稜線には、面取り部15dが形成されていても良い。面取り部15dが形成されることによって、口栓部15の軽量化を図ることができ、かつ口栓部15の天面15aと、内周面15cとの接合部近傍、すなわち面取り部15dが設けられた箇所近傍における打痕等の傷を低減することができる。
天面15aに対する面取り部15dの角度γは20度以上、60度以下であることが好ましい。面取り部15dの角度γが20度未満や60度を超える場合には打痕等の傷を低減する効果が得られにくくなる。更に、面取り部15dの径方向の幅w1、及び高さ方向の幅w2はいずれも0.15mm以上、0.45mm以下であることが好ましい。面取り部15dの幅w1や幅w2が0.15mm未満の場合には面取り部15dが小さいため、打痕等の傷を低減する効果が得られにくくなる。一方で、面取り部15dの幅w1や幅w2が0.45mmを超える場合には、面取り部15dが大きいためキャップ60による口栓部15の密閉やキャッピングが適切に行われなくなりやすい。
更に、面取り部15dの天面15aの側の端部15e、すなわち面取り部15dと天面15aとの接合部の稜線と、面取り部15dの内周面15cの側の端部15f、すなわち面取り部15dと内周面15cとの接合部の稜線とには、それぞれR取り部が形成されると良い。R取り部の半径は0.2mm以上、0.4mm以下であることが好ましい。R取り部が形成されることによって、口栓部15にキャップ60が装着された際に端部15eや端部15fのエッジが、キャップ60のインナーリング65やコンタクトリング66に傷を発生させることが防止される。
次に、PETボトル10の搬送を行うための構成を詳細に説明する。
PETボトル10の成形や、PETボトル10への内容物の充填は成形前のプリフォームやPETボトル10が搬送されながら行われる。口栓部15は、形状や、大きさ等が各種入り混じるボトル本体11(図1参照)と比べると種々のPETボトル10においてもその形状の違いが少なく、共通の形状や外径を有する場合が多い。このため、口栓部15が把持される搬送方法では、形状や、大きさ等が異なるPETボトル10が搬送される場合にも設備、特にグリッパと称される搬送装置の把持装置の変更が必要とされず、把持装置の更新の費用や手間がかからない。したがって、口栓部15が、共通のグリッパで把持される搬送方法が広く用いられている。
図5は、PETボトル10の搬送工程が模式的に示された概略図である。成形装置や、充填装置等は、複数の回転する円板状の搬送ホイール81、82、及び83を備える。そして、搬送ホイール81、82、及び83の各々の外周部には複数のグリッパ84、85、及び86が設けられる。グリッパ84、85、及び86は、隣接する搬送ホイール81、82、及び83の間でその高さが互い違いとなるように設けられる。
搬送ホイール81、及び83はより高い位置に設けられている。そして、搬送ホイール81、及び83のグリッパ84、及び86はPETボトル10におけるカブラ16の下面、及びカブラ下18の部分を把持するように構成される。一方で、搬送ホイール82はより低い位置に設けられている。そして、搬送ホイール82のグリッパ85はサポートリング17の下面を把持するように構成される。このようにグリッパ84、85、及び86が配置された上で搬送ホイール81、82、及び83が周回することによってグリッパ84、及び85、並びにグリッパ85、及び86が平面視で重なる位置においてPETボトル10の受け渡しが順次行われるように構成される。なお、PETボトル10が直線状に搬送される際にも、高さの互い違いのグリッパ84や85等が用意されることでPETボトル10の受け渡しを順次行うことができる。
このように、PETボトル10は、高さが互い違いに配置されるグリッパ84や85等によってそれぞれ把持が可能なカブラ16の下面、及びサポートリング17の下面の上下2箇所を有する構成が用いられてその搬送が行われている。なお、グリッパ84等は、カブラ16の下面、及びサポートリング17の下面だけでなく、各々の上下を把持するように構成されていても良い。
図6は、口栓部15が示された正面図である。図6には、外ねじ13の外径(ねじ山径d1に相当)、口栓部15の外径(ねじ谷径d2に相当)、及び内径d3、カブラ16の外径dA、並びにカブラ下18の外径dBが示される。更に、図6には、口栓部15の高さh1、サポートリング17の上端から天面15aまでの高さh2、カブラ16の下端から天面15aまでの高さh3、及び外ねじ13のピッチp(断面視で、上下の外ねじ13、13におけるそれぞれのねじ山(ねじ谷)間の距離)が示される。
これらの寸法は例えば、飲料用で標準的に用いられているPETボトル10の寸法とされることが好ましい。ねじ山径d1は、例えば26mm以上、28mm以下であることが好ましい。ねじ谷径d2、すなわち外周面15bの直径は、例えば23mm以上、25mm以下であることが好ましい。口栓部15の内径d3、すなわち内周面15cの直径は、例えば21mm以上、23mm以下であることが好ましい。カブラ16の外径dAは、例えば25mm以上、32mm以下であることが好ましい。カブラ下18の外径dBは、例えば24mm以上、27mm以下であることが好ましい。
中でも、カブラ16の外径dAが25mm以上であることによって、上述された搬送の際におけるグリッパ84等(図5参照)からのPETボトル10の落下を防止することができるとともに、搬送時や、キャップ60の装着時に必要な強度を保持することができる。一方で、カブラ16の外径dAが32mm以下であることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。なお、カブラ16の外径dAと、カブラ下18の外径dBとの間ではdA>dBという関係が成り立つ。
口栓部15の高さh1は、例えば16mm以上、22mm以下であることが好ましい。サポートリング17の上端から天面15aまでの高さh2は、例えば14mm以上、20mm以下であることが好ましい。カブラ16の下端から天面15aまでの高さh3は、例えば10mm以上、15mm以下であることが好ましい。外ねじ13のピッチpは、例えば例えば2.5mm以上、3.5mm以下であることが好ましい。
更に、口栓部15は例えば、PCO(Plastic Closure Only)1810規格や、PCO1881規格に対応した寸法とされることがより好ましい。特に、成形装置や充填装置等によるPETボトル10の搬送適性やキャップ60の不正開封防止機能の観点から、カブラ16の外径dAは、27.97mm±0.13mmであることがより好ましい。更に、広く流通するキャップ60との嵌合性の観点から、ねじ山径d1は、27.43mm±0.13mmであることがより好ましく、外ねじ13のピッチpは、3.18mm(PCO1810規格)、及び2.70mm(PCO1881規格)のいずれかであることがより好ましい。
口栓部15の各部特に、カブラ16の外径dA、ねじ山径d1、及び外ねじ13のピッチpが上述の範囲であることによって、既設の成形装置や充填装置等、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15の軽量化が図られ、かつ密閉性に優れたプラスチックボトルを提供することができる。
更に、PETボトル10に充填される内容物が例えば炭酸飲料である場合には充填時の泡立ちを抑えるために搬送ホイール81等の周回時にPETボトル10が傾けられ、より遠心力を受けることがある。しかしながら、カブラ16の外径dAが上述の範囲であることによって、PETボトル10がグリッパ84等から外れる等の不具合を防止することができる。
上述のように、ねじ山径d1が変更されることについては制限があるのに対し、ねじ谷径d2については小さくすることができる。その際に、ねじ山径d1と、ねじ谷径d2との間には、1.125≦d1/d2≦1.165という関係が成立することが好ましい。
d1/d2が1.125以上であれば、ねじ谷径d2が小さくなり、口栓部15の軽量化を図ることができる。一方で、d1/d2が1.165以下であれば、PETボトル10の作製の際に用いられるプリフォーム(予備成形体)を射出成型する際の射出成形性を良好にすることができる。更に、d1/d2が1.165以下であれば、口栓部15の強度が低下することを防止でき、PETボトル10がブロー成形される際の加熱によって口栓部15が変形する不具合を防止することができる。更に、d1/d2が1.165以下であれば、既存のキャップ60と、外ねじ13との間に隙間が生じることがなく、PETボトル10の密閉性を保持することができる。
したがって、ねじ山径d1と、ねじ谷径d2との間の関係が上述の範囲であることによって、既存のキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15の軽量化が図られるとともに強度が保持され、かつ密閉性に優れたプラスチックボトルを提供することができる。
サポートリング17は、外方に向けて下方に傾斜する上面17aと、水平方向に平坦な下面17bとを有する。上面17aには段差21が形成されることが好ましい。そして、サポートリング17は、段差21の径方向の外方に位置する外側領域22と、段差21の径方向の内方に位置する内側領域23とを含む。サポートリング17が段差21を有する構成によれば、段差21の外側の領域においてサポートリング17の体積を減らすことができ、サポートリング17を軽量化することができる。更に、サポートリング17が段差21を有する構成によれば、PETボトル10がブロー成形される際の加熱によってサポートリング17が変形する不具合を防止することができる。なお、サポートリング17は、1つの段差21を有して2段に形成されている図6等に例示の構成には限らず、2つ以上の段差21を有する多段の構成とされても良い。
図7は、サポートリング17が示された正面図である。サポートリング17の外側領域22の表面22aは外方に向けて下方に傾斜する傾斜面である。外側領域22の表面22aと、サポートリング17の下面17bとのなす角度αは10度<α<16度であることが好ましい。角度αが10度を上回ることによって、プリフォームが射出成形される際に、サポートリング17の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にするとともに製造効率を上げることができる。更に、角度αが設けられることによってつけ根の肉厚が確保でき、サポートリング17の強度が向上する。一方で、角度αが16度未満であることによって、カブラ下18の高さが短くなることを防止し、PETボトル10が搬送される際に搬送不良が発生することを防止することができる。
更に、サポートリング17の内側領域23の表面23aも外方に向けて下方に傾斜する傾斜面である。内側領域23の表面23aと、サポートリング17の下面17bとのなす角度βはβ>αであることが好ましい。更に、角度βは20度<β<60度であることが好ましい。角度βが20度を上回ることによって、射出成形性を良好にすることができる。更に、角度βが設けられることによってつけ根の肉厚が確保でき、サポートリング17の強度が向上する。一方で、角度βが60度未満であることによって、カブラ下18の高さが短くなることを防止し、PETボトル10が搬送される際に搬送不良が発生することを防止することができる。
更に、外側領域22の径方向の長さL1と、内側領域23の径方向の長さL2とに、1.5<L1/L2<4.0という関係が成り立つことが好ましい。L1/L2の値が1.5を上回ることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。一方で、L1/L2の値が4.0未満であることによって、プリフォームが射出成形される際に、サポートリング17の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にすることができる。
更に、サポートリング17の外端、すなわち外側領域22の外端における厚みtAは、1.0mm以上、1.5mm以下であることが好ましい。厚みtAが1.0mm以上であることによって、プリフォームが射出成形される際に、サポートリング17の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にするとともに製造効率を上げることができる。更に、厚みtAが1.0mm以上であることによって、サポートリング17の強度を保持することができる。一方で、厚みtAが1.5mm以下であることによって、カブラ下18の高さが短くなることを防止し、PETボトル10が搬送される際の搬送不良を防止することができる。
図6等に例示されたカブラ下18は、PETボトル10の軸線A(図1参照)の方向(上下方向)に沿って均一な外径dBを有している。しかしながら、カブラ下18はこの形状には限定されない。図8はカブラ下18の変形例が示された正面図である。
図8に例示されたように、カブラ下18は搬送時に、グリッパ84等によって把持される部分である同心円状の把持部25と、把持部25から更に、周回状に、径方向の内方へ凹む環状溝26とを有していても良い。カブラ下18に環状溝26を有する構成によれば、口栓部15の体積をより小さくすることができ、PETボトル10や、成形前のプリフォームのより軽量化を図ることができる。
次に、外ねじ13の形状を詳細に説明する。図9は、外ねじ13が示された断面図である。外ねじ13は、断面視において、外ねじ13の上端部13a(図6等参照)の側(上側)に、直線状の上面直線部13dと、カブラ16の側(下側)に、直線状の下面直線部13eと、PETボトル10の外方の側に、直線状の先端面直線部13fとを有する。上面直線部13dは、外方に向けて下方に傾斜し、下面直線部13eは、外方に向けて上方に傾斜し、先端面直線部13fは鉛直方向に延びる。外ねじ13は、直線状の上面直線部13d、下面直線部13e、及び先端面直線部13f、特に、直線状の下面直線部13eを有することによって巻き締めされるキャップ60の内ねじ64と面状に接触してPETボトル10の密閉性を向上させるように構成される。
上面直線部13dは、口栓部15の外周面15bと第1の曲線部13gを介して連接されるとともに、先端面直線部13fと第2の曲線部13hを介して連接される。下面直線部13eは、先端面直線部13fと第3の曲線部13iを介して連接されるとともに、口栓部15の外周面15bと第4の曲線部13jを介して連接される。第1の曲線部13g、及び第4の曲線部13jは口栓部15の内方に凸であり、第2の曲線部13h、及び第3の曲線部13iは口栓部15の外方に凸である。
第1の曲線部13gの上端から第4の曲線部13jの下端までの上下方向の距離が外ねじ13のねじ幅wAである。外ねじ13のねじ幅wAは0.5mm〜2.2mmであることが好ましい。ねじ幅wAが0.5mm以上であることによって、プリフォームを射出成形する際に、ショートと呼ばれるいわゆる充填不良が発生することを防止することができる。一方で、ねじ幅wAが2.2mm以下であることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。
上述されたように、本実施形態に係る外ねじ13は、ねじ山径d1についてはそのままに、ねじ谷径d2が小さくされることによって口栓部15を軽量化することができる(図6参照)。そして、断面視で上下方向に隣接する外ねじ13、13の間で最も内方に凹むねじ谷部、すなわち口栓部15の外周面15bからねじの最も外方に突出するねじ山部、すなわち先端面直線部13fまでの突出高さh4が1.0mm以上、1.7mm以下であることが好ましい。すなわち、ねじ山径d1と、ねじ谷径d2(図6参照)との差の2分の1が1.0mm以上、1.7mm以下であることが好ましい。
突出高さh4が1.0mm以上であることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。一方で、突出高さh4が1.7mm以下であることによって、射出成形性を良好にすることができるとともに、外ねじ13の強度を保持することができる。このように、ねじ谷部からねじ山部までの突出高さh4が1.0mm以上、1.7mm以下である構成によれば、既設のキャッパ等の装置、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15のより軽量化が図られたPETボトル10を提供することができる。
上面直線部13dからの延長線L3と先端面直線部13fからの延長線L5との交点である第1の交点V1と、下面直線部13eからの延長線L4と延長線L5との交点である第2の交点V2との間の距離が外ねじ13の外端の上下幅wDと定義される。
上下幅wDが0.4mm以上、0.9mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、0.7mm以下であることがより好ましい。上下幅wDが0.4mm以上、より好ましくは0.5mm以上であることによって、プリフォームが射出成形される際に外ねじ13の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にするとともに製造効率を上げることができる。更に、キャップ60の装着の際に特に必要とされる強度を外ねじ13に保持させることができる。上述されたように、ねじ谷径d2が小さくされることによって口栓部15の軽量化が図られた場合には、キャップ60の装着の際に、フラップ71等との衝突によって変形や損傷が生じやすくなる。しかしながら、外ねじ13の外端の上下幅wDが上述の範囲で構成されることによって強度が保持され、キャップ60の装着を問題なく行うことができる。
一方で、上下幅wDが0.9mm以下、より好ましくは0.7mm以下であることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。
したがって、外ねじ13の外端における上下幅wDが0.4mm以上、0.9mm以下、より好ましくは0.5mm以上、0.7mm以下である構成によって、既設の装置、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15の軽量化が図られたPETボトル10を提供することができる。
更に、延長線L4と、延長線L5との鋭角側のなす角度δが60度以上、80度以下であることが好ましい。
角度δが60度以上であることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。一方で、角度δが80度以下であることによって、プリフォームが射出成形される際に、外ねじ13の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にするとともに製造効率を上げることができる。更に、角度δが設けられることによってつけ根の肉厚が確保でき、外ねじ13の強度が向上する。そして、角度δが60度以上、80度以下の範囲内であることによって、巻き締めされるキャップ60の内ねじ64と、下面直線部13eとが面状に接触してPETボトル10の密閉性を向上させることができる。したがって、このような構成によって、既設の装置、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15のより軽量化が図られたPETボトル10を提供することができる。
なお、延長線L3と、延長線L5との鋭角側のなす角度が60度以上、80度以下であることが好ましいことも同様である。
次に、カブラ16の形状を詳細に説明する。図10は、カブラ16が示された断面図である。カブラ16は、外ねじ13の側(上側)に、外方に向けて下方に傾斜する傾斜面16aと、カブラ下18の側(下側)に略水平方向に平坦な下面16bとを有する。カブラ16は、キャップ60の巻き締めの際に、剥離リング70のフラップ71(図3参照)の乗り越えを許容し、キャップ60の初期開封の際に、フラップ71の乗り越えを規制して剥離リング70をキャップ60から分離させるように構成される。すなわち、カブラ16は、フラップ71の下方向への乗り越えを許容する傾斜面16aと、フラップ71の上方向への乗り越えを規制する下面16bとを有する。更に、カブラ16は、上述のように、PETボトル10の搬送の際にグリッパ84で把持されるように構成される。
傾斜面16aは、外ねじ13の側(上側)から第5の曲線部16cと、ストレート部16dと、第6の曲線部16eと、外周部16fと、第7の曲線部16gとを有する。第5の曲線部16cは、口栓部15の内方に凸であり、口栓部15の外周面15bに連接される。ストレート部16dは、第5の曲線部16cに連接され、口栓部15の外方、かつ下方に向けて直線状に延びている。第6の曲線部16eは、口栓部15の外方に凸であり、ストレート部16dに連接されている。外周部16fは、第6の曲線部16eに連接され、外周面15bと平行方向(鉛直方向)に直線状に延びる。第7の曲線部16gは、口栓部15の外方に凸であり、外周部16fに連接されるとともに下面16bに連接される。
このように、カブラ16の傾斜面16aは、断面視で直線状のストレート部16dを備えることが好ましい。ストレート部16dを備えることによって、第6の曲線部16eを大きく取る必要がなく、カブラ16の上側の領域においてその体積を減らすことができ、カブラ16をより軽量化することができる。したがって、このような構成によれば、既設のグリッパ84等、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15のより軽量化を図ることができる。
なお、傾斜面16aは、ストレート部16dを備える方がより好ましいものの、ストレート部16dを有さない構成であっても良い。ただし、その際には、水平方向に対して傾斜面16aが、外方に向けて下方に傾斜することを必要とする。このように構成されることによって、口栓部15の軽量化を図ることができるとともに、射出成型の際に、傾斜面16aの部分が金型から抜けない形状となることが防止される。更に、キャップ60のフラップ71が傾斜面16aを乗り越えやすくなる。
下面16bは、口栓部15の内方に凸の第8の曲線部16hを介してカブラ下18と連接される。下面16bは、外方に向けて上方に、水平線に対して0度以上、3度以下で傾斜するように構成される。このように下面16bが構成されることによって、グリッパ84等によって確実に保持することができるとともに、キャップ60のフラップ71が下面16bと当たって不正開封防止機能を確実に作用させることができる。
第5の曲線部16cの上端から下面16bの下端までの上下方向の距離がカブラ16の幅wBである。幅wBは1.2mm以上、2.0mm以下であることが好ましい。カブラ16の幅wBが1.2mm以上とされることによって、キャップ60の巻き締めの際にフラップ71が部分的に、カブラ16の上に残ってキャップ60が斜めに装着されるいわゆる斜め被りを防止することができる。一方で、カブラ16の幅wBが2.0mm以下であることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。
第8の曲線部16hと下面16bとの交点から延びる水平線と、ストレート部16dと第6の曲線部16eとの交点から延びる水平線との間の距離がカブラ16の外端の上下幅wCと定義される。
上下幅wCは0.3mm以上、1.0mm以下であることが好ましい。上下幅wCが0.3mm以上であることによって、プリフォームが射出成形される際にカブラ16の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にするとともに製造効率を上げることができる。更に、プリフォーム、及びPETボトル10の搬送の際や、キャップ60の装着の際に特に必要とされる強度をカブラ16に保持させることができる。更に、上下幅wCが1.0mm以下であることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。したがって、カブラ16の外端の上下幅wCが0.3mm以上、1.0mm以下である構成によって、既設のグリッパ84等、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15の軽量化が図られたPETボトル10を提供することができる。
第8の曲線部16hと下面16bとの交点から延びる水平線と、ストレート部16dから延びる延長線とのなす角度εは15度以上、50度以下であることが好ましく、15度以上、30度以下であることがより好ましい。
角度εが15度以上であることによって、プリフォームが射出成形される際に、カブラ16の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にすることができる。更に、角度εが設けられることによってつけ根の肉厚が確保でき、カブラ16の強度が向上する。一方で、角度εが50度以下であることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができ、角度εが30度以下であることによって、PETボトル10の重量をより軽量化することができる。したがって、このような構成によって、既設のグリッパ84等、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15のより軽量化が図られたPETボトル10を提供することができる。
更に、カブラ16の外端の外周部16fと、傾斜面16aのストレート部16dとが第6の曲線部16eで接続され、その曲率半径Rが0.2mm以上、1.4mm以下であることが好ましい。曲率半径Rが0.2mm以上であることによって、射出成形性を良好にすることができ、更に、キャップ60の巻き締めの際にフラップ71がスムースにカブラ16を乗り越えることができる。一方で、曲率半径Rが1.4mm以下であることによって、カブラ16の外端の肉厚が確保でき、カブラ16の強度が向上する。したがって、曲率半径Rが0.2mm以上、1.4mm以下である構成によれば、既設のグリッパ84等、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15のより軽量化が図られたPETボトル10を提供することができる。
更に、カブラ下18からカブラ16の外端までの突出高さh5、すなわち、カブラ16の外径dAと、カブラ下18の外径dB(図6参照)との差の2分の1が1.2mm以上、3.0mm以下であることが好ましい。突出高さh5が1.2mm以上であることによって、射出成形性を良好にすることができるとともに、搬送の際におけるグリッパ84等(図5参照)からのPETボトル10の落下を防止することができる。一方で、突出高さh5が3.0mm以下であることによって、PETボトル10の重量が増加することを防止することができる。このように、カブラ下18からカブラ16の外端までの突出高さh5が1.2mm以上、3.0mm以下である構成によれば、既設のグリッパ84等、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15のより軽量化が図られたPETボトル10を提供することができる。
以上のように構成される口栓部15が広く流通するキャップ60と嵌合した状態について詳細に説明する。図11は、比較例の口栓部115と、キャップ60とが嵌合した状態が示された断面図である。比較例の口栓部115はその外周面115bに、外ねじ113と、カブラ116と、サポートリング117とを有するものの、いずれも、本実施形態に係る特徴を有していない。
図12は、本実施形態に係る口栓部15に、比較例の口栓部115が重ね合わされて示された断面図である。なお、図12では、断面を示すハッチングの表示が省略されている。
口栓部15の上端では、面取り部15dの領域の体積が減少している。更に、外周面15bでは、ねじ谷径d2(図6参照)が小さくなった分だけ体積が減少している。更に、サポートリング17では、段差21の径方向の外方に位置する外側領域22の体積が減少している。これらの体積が減少した分だけ口栓部15の軽量化が図られる。
更に、外ねじ13の外端の上下幅wDが短く構成されることによって口栓部15は軽量化が図られる。しかしながら、キャップ60の内ねじ64と面状に接触しており、PETボトル10の密閉性は高い。
更に、カブラ16の傾斜面16aは、断面視で直線状のストレート部16dを備えることによって傾斜面16aの上側の領域における体積が減少している。しかしながら、カブラ16の外端の上下幅wCが、PETボトル10の搬送時や充填時等に必要とされる強度を保つ最低限の厚みを有するように構成されるため、既設のグリッパ84等、及びキャップ60を変更することなく用いることができる。
一方で、比較例の口栓部115は、外ねじ113の上下幅が長いためキャップ60の装着の際に、その上部、すなわちコンタクトリング66や、アウターリング67と接触しなくなりやすい。したがって、比較例の口栓部115では、本実施形態に係る口栓部15と比べると、落下などの衝撃によって密閉性が低下して内容物の漏れが生じやすい傾向がある。
次に、本実施形態に係るPETボトル10を作製する際に用いられるプリフォームについて説明する。図13は、本実施形態に係るPETボトル10を作製する際に用いられるプリフォーム30が示された正面図である。
本実施形態に係るプリフォーム30は、プリフォーム本体31と、プリフォーム本体31の上側に位置する口栓部15とを備える。有底筒状のプリフォーム本体31は、略円筒状の胴部31aと、略半球状の底部31bとを有する。プリフォーム30の口栓部15の構成は、PETボトル10の口栓部15の構成と同一である。そして、口栓部15は、その外周面15bに、ねじ(外ねじ13)と、カブラ16と、サポートリング17と、カブラ下18とを有し、外ねじ13の外端の上下幅wD(図9参照)は0.4mm以上、0.9mm以下、より好ましくは0.5mm以上、0.7mm以下であることや、カブラ16の傾斜面16aは、断面視で直線状のストレート部16dを備えることが好ましい等といった本実施形態に係るPETボトル10の有する特徴をプリフォーム30も同様に有する。したがって、本実施形態に係るプリフォーム30は、本実施形態に係るPETボトル10と同様の効果を奏する。
更に、プリフォーム30は、面取り部15d(図4参照)において、他のプリフォーム30の口栓部15の外周面15b(図4参照)や底部31bの外周面との衝突頻度がPETボトル10と比べて高まる。しかしながら、衝突部位が面取り部15dであるため、口栓部15の天面15a(図4参照)、及び内周面15c(図4参照)の傷の発生を低減することができる。そして、口栓部15の傷の発生が低減することで、キャップ60の装着時における、インナーリング65や、コンタクトリング66への傷の発生を低減することができる。したがって、本実施形態に係るプリフォーム30では、キャップ60による口栓部15の密閉性を向上することができるという効果も有する。
プリフォーム30は射出成形装置によって製造される。本実施形態に係る口栓部15は、外ねじ13、カブラ16、及びサポートリング17の各先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができるように構成されているため、射出成形性を良好にするとともに製造効率を上げることができる。更に、本実施形態に係る口栓部15は、射出成型の際に、傾斜面16aの部分等が金型から抜けない形状となることが防止されているため、容易に成形することができる。
PETボトル10は、加熱装置による加熱の後に、ブロー成形機によって製造される。本実施形態に係る口栓部15は、外ねじ13、カブラ16、及びサポートリング17の強度が保持されるように構成されているため、PETボトル10がブロー成形される際の加熱によって口栓部15が変形する不具合を防止することができる。
PETボトル10は、フィラによって内容物が充填される。本実施形態に係る口栓部15は、外ねじ13、カブラ16、及びサポートリング17の強度が保持されるように構成されているため、アセプティック充填はもちろんのこと、ホット充填にもPETボトル10を用いることができる。
更に、口栓部15は、PETボトル10の内部において高い密閉性が保持されるとともに、PETボトル10の内部の圧力によってキャップ飛びが生じることを防止される巻き角度θに形成されているため、内容物として発泡性溶液、例えば炭酸飲料を充填することもできる。そして、PETボトル10がグリッパ84等から外れることのないようにカブラ16やサポートリング17が構成されているため、PETボトル10が傾けられ、より遠心力を受けることもある炭酸飲料の充填装置でも問題なく充填することができる。したがって、本実施形態に係るPETボトル10への充填には各種充填装置を適用することができる。
PETボトル10には、キャッパによってキャップ60が装着される。キャッパは、口栓部15に、キャップ60を打栓してから巻き締めするように構成される。キャップ60が打栓される際に、外ねじ13、及びカブラ16にキャップ60の特にフラップ71が衝突する。しかしながら、本実施形態に係る口栓部15は、外ねじ13、カブラ16、及びサポートリング17の強度が充分に保持されるように構成されているため、これらが変形したり、破損したりすることはなく、その後のPETボトル10の密閉性も保たれる。更に、PETボトル10は軽量化が図られながらも、広く流通しているキャップ60とのかみ合いが良好に形成されているため、PETボトル10の内部の高い密閉性が保持される。
なお、このようにして成形されたPETボトル10と、このPETボトル10に充填される内容物と、内容物の充填されたPETボトル10の口栓部15に装着されることによってPETボトル10の内部を密閉するキャップ60とによって充填体が構成される。
本実施形態に係るPETボトル10では、外ねじ13のねじ幅wAや、外ねじ13の外端の上下幅wDがより小さく形成される。このように、外ねじ13がより細い構成である場合には、キャップ60の巻き締めトルクが同じであってもより閉まりやすくなる。そして、外ねじ13が細すぎる構成であると、キャッパの巻き締めトルクの設定値が下限であっても閉めすぎてしまうという現象が起こる。したがって、PETボトル10は、このような問題が生じない範囲で、外ねじ13のねじ幅wAや、外ねじ13の外端の上下幅wDが形成されることが好ましい。
PETボトル10の特にサポートリング17より下の形状は、図1の例示に限らず、プリフォーム30がブロー成形されることによって形成されるものであればどのような形状であっても良い。そして、胴部11cに形成される圧力吸収パネルや、横溝、縦溝の形状についても自由に設計することができる。
本実施形態に係るPETボトル10にはサイズによる限定はなく、種々のサイズに対して適用することができる。例えば、PETボトル10の容積が100ml〜2000mlであっても良い。
上述においては、本実施形態に係るPETボトル10、及びプリフォーム30に特に好適な材料としてPETが用いられた例が示された。しかしながら、本実施形態においては、ブロー成形に対する適性を有する材料であれば良い。したがって、本実施形態に係るPETボトル10の材料としては熱可塑性樹脂が用いられることが好ましい。
PETボトル10を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタラート以外にも例えば、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、又はこれらの共重合体等の熱可塑性ポリエステル、これらの樹脂、あるいは他の樹脂とのブレンド物が好適であり、特に、ポリエチレンテレフタラート等のエチレンテレフタラート系熱可塑性ポリエステルを好適に使用することができる。更に、アクリロニトリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等も使用することができる。更に、植物由来のバイオマス系プラスチック、例えば、ポリ乳酸(PLA:PolyLactic Acid)を用いることも可能である。
上述された樹脂には、成形品の品質を損なわない範囲で、種々の添加剤、例えば、着色剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、核剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を配合することができる。なお、PETボトル10は、過酸化水素、過酢酸を添加して無菌化させることが好ましい。
PETボトル10を構成するエチレンテレフタラート系熱可塑性樹脂として、エステル反復部分の大部分、一般に70モル%以上をエチレンテレフタラート単位が占めるものであり、ガラス転移点(Tg)が50〜90℃であり、融点(Tm)が200〜275℃の範囲にあるものが好適である。また、エチレンテレフタラート系熱可塑性ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタラートが耐圧性等の点で特に優れているものの、エチレンテレフタラート単位以外に、イソフタル酸や、ナフタレンジカルボン酸等の二塩基酸と、プロピレングリコール等のジオールからなるエステル単位を少量含む共重合ポリエステルも使用することができる。
更に、PETボトル10は、二層以上の熱可塑性ポリエステル層により構成することもできる。更に、PETボトル10は、二層以上の熱可塑性ポリエステル層により構成する場合には、層間にバリア層や、酸素吸収層等の中間層を備えることができる。酸素吸収層としては、酸化可能有機成分、及び遷移金属触媒の組み合わせ、あるいは実質的に酸化しないガスバリア性樹脂等を含む層を使用することができる。
本実施形態に係るプリフォーム30は、プラスチック、特に、PETである構成によれば、適度な強度と、塑性変形性を併せ持ち、汎用性の高い材料で効果的に成形することができる。そして、プラスチック、特にPETは、PETボトル10としての成形が容易であり、PETボトル10は、汎用性の高い装置で製造することができる。
以上に説明がなされたように、本実施形態に係るPETボトル10、及びプリフォーム30の略円筒状の口栓部15は、上端部13aと下端部13bとを有して上端部13aから下端部13bまでらせん状に外方に突出する外ねじ13と、外ねじ13の下方で周回状に外方に突出するカブラ16と、カブラ16の下方で周回状に外方に突出するサポートリング17と、カブラ16とサポートリング17との間で同心円状に形成されるカブラ下18とを有し、外ねじ13は、外ねじ13の上端部13aの側(上側)に、断面視において直線状の上面直線部13dと、カブラ16の側(下側)に、断面視において直線状の下面直線部13eと、PETボトル10やプリフォーム30の外方の側に、断面視において直線状の先端面直線部13fとを有し、上面直線部13dからの延長線L3と先端面直線部13fからの延長線L5との交点である第1の交点V1と、下面直線部13eからの延長線L4と延長線L5との交点である第2の交点V2との間の上下幅wDが0.4mm以上、0.9mm以下、より好ましくは0.5mm以上、0.7mm以下であるので、既設の装置、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15の軽量化が図られたPETボトル10、及びPETボトル10を作製する際に用いられるプリフォーム30を提供することができる。
更に、本実施形態に係るPETボトル10、及びプリフォーム30の口栓部15のカブラ16は、外ねじ13の側(上側)の傾斜面16aと、カブラ下18の側(下側)の略水平な下面16bとを有し、カブラ16の傾斜面16aは、断面視で直線状のストレート部16dを備えるので、既設の装置、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15の軽量化が図られたPETボトル10、及びPETボトル10を作製する際に用いられるプリフォーム30を提供することができる。
以下に、実施例を示して、本開示を更に詳細、かつ具体的に説明する。しかしながら、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
<材料>
[実施例1]
射出成形された図13に示される本実施形態に係るプリフォーム30がブロー成形された図1に示される本実施形態に係るPETボトル10が用いられた。すなわち、PETボトル10の口栓部15は、外ねじ13の外端の上下幅wDが0.4mm以上、0.9mm以下、より好ましくは0.5mm以上、0.7mm以下の範囲内の0.7mmである等といった特徴を有している。PETボトル10は、ポリエチレンテレフタラート製であり、口栓部15の重量が4.3gであった。
[比較例1]
上下幅wDが1.4mmであること以外は実施例1と同様の比較例1のPETボトルが用いられた。口栓部の重量が4.8gであった。
[比較例2]
上下幅wDが0.2mmであること以外は実施例1と同様の比較例2のPETボトルが用いられた。口栓部の重量が4.1gであった。
<方法>
実施例1、比較例1、及び比較例2のボトルが各々につき、射出成形によってプリフォームが形成され、更に、ブロー成形によってボトル状に形成されることで1万本ずつ用意された。充填装置によって、各ボトルの口栓部が把持されて搬送され、フィラによって炭酸飲料が充填され、キャッパによってキャップ60が、打栓されてから巻き締めされることによって装着された。キャップ60は、従来のキャップの1ピース仕様であり、剥離リング70を有し、巻き締め角度は255度であった。
(射出成型試験)
実施例1、比較例1、及び比較例2のボトルの各々についてその作製時の射出成形性の評価がなされた。
(軽量化評価)
実施例1、比較例1、及び比較例2のボトルの各々について軽量化の評価がなされた。表1には、軽量化の評価の結果が示され、○:4.5g未満、×:4.5g以上、で表記されている。
(キャップ巻き締め可否試験)
実施例1、比較例1、及び比較例2のボトルの各々に対してキャッパによってキャップ60の装着が行われ、その可否が確認された。
(密閉性確認試験)
実施例1、比較例1、及び比較例2のボトルの各々が水中に浸漬され、キャップ60の天面から0.7MPaの空気が注入された際に水中に泡が生じたか否かが確認された。
(落下衝撃試験)
実施例1、比較例1、及び比較例2のボトルの各々が1mの高さから、キャップ60の天面を下にして鉄板に10回落下され、内容物の漏れの有無が確認された。なお、落下衝撃試験においては、実施例1、比較例1、及び比較例2のボトルの各々につき100本ずつ行われた。
(開栓可否試験)
実施例1、比較例1、及び比較例2のボトルの各々のキャップ60が人の手によって開栓され、開栓が可能か否かが確認された。
(外観確認)
開栓可否試験と同様に、実施例1、比較例1、及び比較例2のボトルの各々のキャップ60が人の手によって開栓され、外ねじに変形や破損が生じていたか否かが目視によって確認された。
(総合評価)
上述された軽量化評価、キャップ巻き締め可否試験、密閉性確認試験、開栓可否試験、及び外観確認に基づいて、実施例1、比較例1、及び比較例2の各ボトルの総合評価がなされた。表1には、総合評価の結果が示されている。総合評価は、○:良好、×:適性なし、で表記されている。
上述された実施例から以下の点が導き出された。表1に示されたように、実施例1は、軽量化されており、射出成形性、及びキャップ60の巻き締め性は良好であり、密閉性確認試験で漏れが生じたものは存在せず、密閉性を有していた。更に、落下衝撃試験においても漏れは生じず、開栓性は良好であり、外ねじ13に変形や破損が生じることはなく、外観が良好であった。
比較例1は、射出成形性が良好であり、外ねじ13に変形や破損が生じることはなく外観は良好であったものの軽量化されていなかった。更に、キャップ60の装着不良が発生するものや、密閉性確認試験、及び落下衝撃試験において漏れが生じたものが存在した。更に、開栓できなかったものがあった。比較例2は、軽量化されていたものの、射出成形の際にショートが発生したものや、外ねじに変形や破損の生じた外観不良のものがあった。なお、キャップ60の巻き締め性は良好であり、密閉性確認試験で漏れが生じたものは存在せず、密閉性を有していた。更に、落下衝撃試験においても漏れは生じず、開栓性は良好であった。
以上の実施例の結果から、本実施形態に係るPETボトル10は、既設の装置、及びキャップ60の形状が変更されることなく、口栓部15の軽量化を図ることができることが示された。