JP6410123B2 - プラスチックボトルおよびプリフォーム - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチックボトル、およびこのようなプラスチックボトルを作製する際に用いられるプリフォームに関する。
従来より外ねじと、外ねじの下方に位置するカブラと、カブラの下方に位置するサポートリングとを有する口栓部と、口栓部下方に設けられたボトル本体とを備えたプラスチックボトルが知られている。
このようなプラスチックボトルは、水平に配置されたグリッパにより挟持されて搬送される。この場合、グリッパは口栓部のうちカブラとサポートリングとを保持している。
ところで現在プラスチックボトルについて軽量化の要請があり、例えばプラスチックボトルの口栓部のうち、カブラとサポートリングとの間に形成された環状凹部の肉厚を薄くすることが考えられている(例えば特許文献1参照)。
他方、プラスチックボトルを挟持するグリッパは、プラスチックボトルの成形ラインおよび充填ラインに予め設置されており、プラスチックボトルの形状の変化に合わせてグリッパの形状を変更することは難しい。また、従来、プラスチックボトルの口栓部に装着するキャップは、所定の形状に定められており、キャップの形状をプラスチックボトルの口栓部の形状に合わせて変更することも困難である。このため、プラスチックボトルの口栓部を軽量化する場合には様々な制約を受けてしまう。
特開2010−95269号公報
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、既設のグリッパおよびキャップの形状を変更することなく、口栓部の一部を薄くして全体の軽量化を図ることが可能な、プラスチックボトルおよびプリフォームを提供することを目的とする。
本発明は、プラスチックボトルにおいて、外ねじと、外ねじの下方に位置するカブラと、カブラの下方に位置するサポートリングとを有する口栓部と、口栓部下方に設けられたボトル本体とを備え、口栓部のカブラとサポートリングとの間の外面に、凹状環状面が形成され、サポートリングのうち凹状環状面側の面は、段差を有して多段に形成され、サポートリングは、段差の半径方向外方に位置する外側領域と、段差の半径方向内方に位置する内側領域とを含むことを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、サポートリングの外側領域の表面とサポートリングの下面とのなす角度をαとしたとき、10°<α<16°となることを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、サポートリングの外側領域の半径方向長さをLとし、サポートリングの内側領域の半径方向長さをLとしたとき、1.5<L/L<4.0となることを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、サポートリングの外端における厚みは、1.0mm〜1.5mmであることを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、凹状環状面に、半径方向内方へ凹む環状溝が形成されていることを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、プリフォームにおいて、外ねじと、外ねじの下方に位置するカブラと、カブラの下方に位置するサポートリングとを有する口栓部と、口栓部下方に設けられたプリフォーム本体とを備え、口栓部のカブラとサポートリングとの間の外面に、凹状環状面が形成され、サポートリングのうち凹状環状面側の面は、段差を有して多段に形成され、サポートリングは、段差の半径方向外方に位置する外側領域と、段差の半径方向内方に位置する内側領域とを含むことを特徴とするプリフォームである。
本発明は、サポートリングの外側領域の表面とサポートリングの下面とのなす角度をαとしたとき、10°<α<16°となることを特徴とするプリフォームである。
本発明は、サポートリングの外側領域の半径方向長さをLとし、サポートリングの内側領域の半径方向長さをLとしたとき、1.5<L/L<4.0となることを特徴とするプリフォームである。
本発明は、サポートリングの外端における厚みは、1.0mm〜1.5mmであることを特徴とするプリフォームである。
本発明は、凹状環状面に、半径方向内方へ凹む環状溝が形成されていることを特徴とするプリフォームである。
本発明によれば、サポートリングのうち凹状環状面側の面は、段差を有して多段に形成され、サポートリングは、段差外方の外側領域と、段差内方の内側領域とを含んでいる。このため口栓部の一部(サポートリング)の厚みを薄くすることができ、プラスチックボトルおよびプリフォーム全体の軽量化を図ることができる。
図1は、本発明の一実施の形態によるプラスチックボトルを示す側面図。 図2は、本発明の一実施の形態によるプラスチックボトルを示す平面図(図1のII方向矢視図)。 図3は、本発明の一実施の形態によるプラスチックボトルの口栓部を示す拡大側面図。 図4は、本発明の一実施の形態によるプラスチックボトルのサポートリングを示す拡大側面図。 図5は、本発明の一実施の形態によるプリフォームを示す側面図。 図6(a)(b)は、加熱時のサポートリングの作用を示す拡大図。 図7(a)(b)は、キャップ装着時のサポートリングの作用を示す拡大図。 図8は、プラスチックボトルの変形例を示す側面図。 図9は、プリフォームの変形例を示す側面図。 図10は、プリフォーム加熱する加熱装置を示す概略断面図。
実施の形態
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
まず図1乃至図4により、本実施の形態によるプラスチックボトル10について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれプラスチックボトル10を正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示すように、プラスチックボトル10は、口栓部15と、口栓部15下方に設けられたボトル本体11とを備えている。このうち口栓部15は、外ねじ13と、外ねじ13の下方に位置するカブラ16と、カブラ16の下方に位置するサポートリング17とを有している。
口栓部15には、図示しないいたずら防止機能付キャップが装着され、このキャップは開封時に剥離される剥離リングを有している。キャップを取外して開封する場合、キャップの剥離リングが口栓部15のカブラ16に当接して剥離リングがキャップ本体から剥離し、キャップ本体から剥離した剥離リングは環状面18まで落下してこのサポートリング17上に保持される。
また、外ねじ13は、一条ねじであるとともに上方端13aと下方端13bとを有している。この外ねじ13には、プラスチックボトル10の軸線Aに対して平行にベントスロット14が形成されている。ベントスロット14は、プラスチックボトル10内に充填する内容液として炭酸飲料を用いたり、仮に内容液が腐敗して内圧が上昇した場合、開栓時に内部の圧力を逃がし、キャップ飛びを防止する役割を果たす。したがって、内容液として例えば水等を用いる場合には、必ずしもベントスロット14を設けなくても良い。
外ねじ13は、上方端13aから下方端13bまでの所定の巻き角度θ(図2参照)を有している。この巻き角度θは、550°〜850°とすることが好ましく、650°〜780°とすることが更に好ましい。なお、巻き角度θは、平面方向から見て(図2参照)、外ねじ13が上方端13aから下方端13bまで配設された角度をいい、例えば巻き角度θが720°の場合、外ねじ13は口栓部15の周囲を2周することになる。この巻き角度θを550°以上とすることにより、内容液の圧力によってキャップ飛びが生じることを防止することができる。一方、巻き角度θを850°以下とすることにより、プラスチックボトル10の重量が増加することを防止することができる。
なお、外ねじ13が二条ねじである場合、巻き角度θは、それぞれ90°〜300°とすることが好ましく、外ねじ13が三条ねじである場合、各ねじの巻き角度θは、それぞれ70°〜180°とすることが好ましい。
また、外ねじ13のねじ幅w(図3参照)は、0.5mm〜1.1mmとすることが好ましい。ねじ幅wを0.5mm以上とすることにより、プリフォーム30(後述)を射出成形する際に、ショート(充填不良)と呼ばれる不具合が発生することを防止することができる。一方、ねじ幅wを1.1mm以下とすることにより、プラスチックボトル10の重量が増加することを防止することができる。
ところで、口栓部15は、上述したように、上方部のカブラ16と下方部のサポートリング17とを有している。
図3に示すように、カブラ16は、キャップ装着時に剥離リングが乗り越える傾斜面16aを有している。このカブラ16の直径であるカブラ径dは、25mm〜32mmとすることが好ましい。カブラ径dを25mm以上とすることにより、プラスチックボトル10の成形ラインおよび充填ラインにおいてプラスチックボトル10を搬送する際、グリッパ(図示せず)からプラスチックボトル10が落下する不具合を防止することができる。一方、カブラ径dを32mm以下とすることにより、プラスチックボトル10の重量が増加することを防止することができる。
また、カブラ16の幅wは、1.2mm〜2.0mmとすることが好ましい。カブラ16の幅wを1.2mm以上とすることにより、キャップ装着時に剥離リングが部分的にカブラ16上に残りキャップが斜めに装着される不具合(斜め被り)を防止することができる。一方、カブラ16の幅wを2.0mm以下とすることにより、プラスチックボトル10の重量が増加することを防止することができる。
ところで、図3に示すように、口栓部15のカブラ16とサポートリング17との間の外面に、半径方向内方に凹む凹状環状面18が形成されている。凹状環状面18は、口栓部15の全周にわたって形成されており、この凹状環状面18の直径dはプラスチックボトル10の軸線Aに沿って上下方向に均一となっている。
凹状環状面18の直径dは、24mm〜27mmとすることが好ましい。凹状環状面18の直径dを24mm以上とすることにより、プラスチックボトル10の成形ラインおよび充填ラインにおいてプラスチックボトル10を搬送する際、グリッパ(図示せず)からプラスチックボトル10が落下する不具合を防止することができる。一方、凹状環状面18の直径dを27mm以下とすることにより、プラスチックボトル10の重量が増加することを防止することができる。なお、凹状環状面18の直径dとカブラ径dとの間で、d/d<1という関係が成り立つ。
さらに、図1および図3に示すように、サポートリング17のうち上面17a(すなわち凹状環状面18側の面)は、段差21を有して多段に形成されている。この場合、サポートリング17は1つの段差21を有して2段に形成されているが、これに限らず、2つ以上の段差21を有していても良い。一方、サポートリング17のうち下面17b(ボトル本体11側の面)は、水平な平坦面からなっている。
また、サポートリング17は、段差21の半径方向(図3の左右方向)外方に位置する外側領域22と、段差21の半径方向内方に位置する内側領域23とを含んでいる。このようにサポートリング17が段差21を有することにより、この段差21の分だけサポートリング17の体積を減らすことができる。このため、段差21が設けられていない場合と比較して、サポートリング17を軽量化することができる。
図4に示すように、サポートリング17の外側領域22の表面22aは傾斜面からなっている。この場合、外側領域22の表面22aとサポートリング17の下面17bとのなす角度をαとしたとき、10°<α<16°とすることが好ましい。角度αが10°を上回ることにより、プリフォーム30を射出成形する際に、サポートリング17の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にすることができる。また、角度を設ける事によりつけ根の肉厚が確保でき、サポートリングの強度が向上する。一方、角度αが16°未満であることにより、凹状環状面18の高さが短くなることを防止し、プラスチックボトル10を搬送する際に搬送不良が発生することを防止することができる。
また、サポートリング17の内側領域23の表面23aは傾斜面からなっている。この場合、内側領域23の表面23aとサポートリング17の下面17bとのなす角度をβとしたとき、β>αとなることが好ましい。また、角度βは、20°<β<60°とすることが好ましい。角度βが20°を上回ることにより、射出成形性を良好にすることができる。また、角度を設ける事によりつけ根の肉厚が確保でき、サポートリングの強度が向上する。一方、角度βが60°未満であることにより、凹状環状面18の高さが短くなることを防止し、プラスチックボトル10を搬送する際に搬送不良が発生することを防止することができる。
さらに、図4に示すように、外側領域22の半径方向長さをLとし、内側領域23の半径方向長さをLとしたとき、1.5<L/L<4.0という関係が成り立つことが好ましい。L/Lの値が1.5を上回ることにより、プラスチックボトル10の重量が増加することを防止することができる。一方、L/Lの値が4.0未満であることにより、プリフォーム30を射出成形する際に、サポートリング17の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にすることができる。
さらにまた、サポートリング17の外端(すなわち外側領域22の外端)における厚みtは、1.0mm〜1.5mmとすることが好ましい。厚みtを1.0mm以上とすることにより、プリフォーム30を射出成形する際に、サポートリング17の先端まで充分に樹脂を行き渡らせることができ、射出成形性を良好にすることができる。また、厚みtを1.5mm以下とすることにより、凹状環状面18の高さが短くなることを防止し、プラスチックボトル10を搬送する際の搬送不良を防止することができる。
ところで、ボトル本体11の形状は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種形状をもっていても良い。例えば、図1において、ボトル本体11は、首部11aと肩部11bと胴部11cと底部11dとを有している。
また、プラスチックボトル10のサイズ(容量)は限定されるものではなく、どのようなサイズのボトルからなっていても良いが、例えば500ml〜600mlとすることができる。
なお、プラスチックボトル10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)を使用する事が好ましく、植物由来のバイオマス系プラスチック、例えばPLA(ポリ乳酸)を用いる事も可能である。なお、プラスチックボトル10は、過酸化水素、過酢酸を添加して無菌化させることが好ましい。
次に、図5により、本実施の形態によるプリフォーム30について説明する。図5は、図1乃至図4に示すプラスチックボトル10を作製する際に用いられるプリフォーム30を示す図である。
図5に示すように、プリフォーム30は、口栓部15と、口栓部15下方に設けられたプリフォーム本体31とを備えている。このうち口栓部15は、外ねじ13と、外ねじ13の下方に位置するカブラ16と、カブラ16の下方に位置するサポートリング17とを有している。またプリフォーム本体31は、上述したボトル本体11に対応するものであり、略円筒状の胴部31aと、略半球状の底部31bとを有している。なお、プリフォーム本体31は、これに限られるものではなく、従来公知の各種形状を有していても良い。
口栓部15のカブラ16とサポートリング17との間の外面に、凹状環状面18が形成されている。また、サポートリング17のうち凹状環状面18側の面は、段差21を有して多段に形成されている。サポートリング17は、段差21の半径方向外方に位置する外側領域22と、段差の半径方向内方に位置する内側領域23とを含んでいる。
図5において、口栓部15の構成は、図1乃至図4に示すプラスチックボトル10の口栓部15の構成と同一である。図5において、図1乃至図4に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂製ペレットを図示しない射出成形機に投入し、このペレットが射出成形機によって加熱溶融および加圧される。その後ペレットは溶融プラスチックとなって、プリフォーム30(図5参照)に対応する内部形状を有する射出成形金型内に射出される。
所定時間の経過後、射出成形金型内で溶融プラスチックが硬化し、プリフォーム30が形成される。その後、射出成形金型を分離し、射出成形金型内から図5に示すプリフォーム30を取り出す。
プリフォーム30は、次にブロー成形機内の加熱装置50において加熱される(図10参照)。このとき、プリフォーム30は、マンドレル51によって口栓部15を下方に向けた状態で搬送され、中心軸を中心に回転しながら、加熱装置50のヒーター52によって周方向に均等に加熱される。なお、符号53は、ヒーター52からの熱をプリフォーム30側に反射させるための反射板、符号54は、ヒーター52からの熱を加熱装置50外方へ逃がさないようにするための遮蔽部材である。なお、マンドレル51やブロー成形機の構造によっては、口栓部15は上方に向けた状態で搬送されても良い。
この間、プリフォーム30は加熱装置50のヒーター52によって例えば80℃〜140℃の温度に加熱される。その後、加熱されたプリフォーム30は、図示しないブロー成形部に送られる。
ブロー成形部に送られたプリフォーム30は、ブロー成形部のブロー成形金型内に挿着される。その後、プリフォーム30内に挿入された延伸ロッドからプリフォーム30内へ高圧エアを供給するとともに、延伸ロッドが伸長することによってプリフォーム30を延伸させ、2軸延伸ブロー成形が行なわれる(ブロー成形工程)。このようなブロー成形によって、図1および図2に示すプラスチックボトル10が得られる。
ところで、ヒーター52によってプリフォーム30が加熱される際、プリフォーム30のうち口栓部15は、延伸されない部分であるため、本来加熱されないことが好ましい。しかしながら、実際には、プリフォーム本体31に近接するサポートリング17がヒーター52により加熱され、サポートリング17に熱変形が生じることが考えられる。
これに対して本実施の形態によれば、図6(a)に示すように、サポートリング17が加熱された場合であっても、段差21が支点(図6(a)の丸印)となり、段差21より外側に位置する外側領域22のみが変形し、内側領域23の変形は抑えられる。このため、サポートリング17の体積を小さくしているにも関わらず、サポートリング17の熱変形を軽減することができる。これにより、サポートリング17に等の不具合が生じることを防止することができる。これに対して、比較例として図6(b)に示すように、サポートリング17に段差21を設けない場合、サポートリング17の付け根部分が支点(図6(b)の丸印)となる。このため、サポートリング17が支点を中心に湾曲し、サポートリング17全体としての熱変形が大きくなってしまう。この場合、ブロー成形機又は搬送ラインで詰まりが発生するおそれがある。
ブロー成形ラインで成形されたプラスチックボトル10は、エア搬送手段またはネック搬送手段により、ブロー成形部から図示しない充填機内に搬送される。その後、充填機内でプラスチックボトル10内に内容液を充填し、次いで、キャッパーを用いて、プラスチックボトル10にキャップが装着される。この際、プラスチックボトル10はサポートリング17の下面17bにおいて支持され、キャップが口栓部15を覆うようにして装着される。このとき、キャップの剥離リングは、カブラ16を乗り越え、サポートリング17の上面17aに当接して停止する。剥離リングがサポートリング17の上面17aに当接した際、サポートリング17に対して上方から下方に向けて力が加わるため、サポートリング17に変形が生じるおそれがある。
これに対して本実施の形態によれば、図7(a)に示すように、サポートリング17に対して上方から下方に向けて(矢印参照)力が加わった場合であっても、段差21が支点(図7(a)の丸印)となり、段差21より外側に位置する外側領域22のみが変形し、内側領域23の変形は抑えられる。このため、サポートリング17の体積を小さくしているにも関わらず、サポートリング17の変形を軽減することができる。これにより、サポートリング17に割れ等の不具合が生じることを防止することができる。これに対して、比較例として図7(b)に示すように、サポートリング17に段差21を設けない場合、サポートリング17の付け根部分が支点(図7(b)の丸印)となる。このため、サポートリング17が支点を中心に湾曲し、サポートリング17全体としての変形が大きくなってしまう。この場合、サポートリング17に割れが生じる要因になるおそれがある。
このように本実施の形態によれば、サポートリング17の上面17aは、段差21を有して多段に形成され、サポートリング17は、段差21の半径方向外方に位置する外側領域22と、段差21の半径方向内方に位置する内側領域23とを含んでいる。このためサポートリング17の厚みを薄くすることができ、プラスチックボトル10およびプリフォーム30全体の軽量化を図ることができる。この場合、プラスチックボトル10の成形ラインおよび充填ラインにおいて、既設のグリッパおよび既設のキャップをそのまま用いることができるので、グリッパおよびキャップの形状を変更する必要が生じない。
変形例
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
上述した実施の形態において、凹状環状面18は、上下方向(軸線A方向)に沿って均一な直径を有しているが、これに限られるものではない。
図8および図9に示すように、凹状環状面18に、半径方向内方へ凹む環状溝26が形成されていても良い。この凹状環状面18は、搬送時にグリッパによって挟持される部分である挟持部25と、挟持部25より直径が小さい環状溝26とを有している。すなわち、挟持部25と環状溝26とは、互いに直径の異なる円形状断面をそれぞれ有している。なお、環状溝26は、凹状環状面18の周方向全域にわたり形成されている。
このように、凹状環状面18に環状溝26を設けたことにより、口栓部15の体積をより小さくすることができ、プラスチックボトル10およびプリフォーム30全体の軽量化を図ることができる。
なお、図8および図9に示す形態は、凹状環状面18の形状を除き、上述した実施の形態と略同一である。図8および図9において、図1乃至図7に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
(実施例)
次に、本実施の形態の具体的実施例について説明する。
まず、以下に挙げる6種類のプラスチックボトル(実施例1〜5および比較例1)を作製した。
(実施例1)
図5に示す本実施の形態によるプリフォーム30を射出成形により作製し、このプリフォーム30をブロー成形することにより、図1乃至図4に示すプラスチックボトル10(実施例1)を得た。このプラスチックボトル10(実施例1)において、サポートリング17の外側領域22の表面22aとサポートリング17の下面17bとのなす角度αを14°とした。また、外側領域22の半径方向長さLの、内側領域23の半径方向長さLに対する比(L/L)を3.10とした。プラスチックボトル10(実施例1)の重量は、18gであった。
(実施例2)
角度αを8°としたこと、以外は実施例1と同様にして、プラスチックボトル10(実施例2)を作製した。
(実施例3)
角度αを18°としたこと、以外は実施例1と同様にして、プラスチックボトル10(実施例3)を作製した。
(実施例4)
/Lの値を1.30としたこと、重量が19gであったこと、以外は実施例1と同様にして、プラスチックボトル10(実施例4)を作製した。
(実施例5)
/Lの値を4.50としたこと、以外は実施例1と同様にして、プラスチックボトル10(実施例5)を作製した。
(比較例1)
サポートリング17の上面17aに段差21が形成されていないこと、以外は実施例1と同様にして、プラスチックボトル(比較例1)を作製した。なお、プラスチックボトル(比較例1)の重量は、18gであった。
ここで上記6種類のプラスチックボトル(実施例1〜5および比較例1)をそれぞれ1万本ずつ作製した。次に、各プラスチックボトルにそれぞれ緑茶を充填し、その後、キャッパーを用いて各プラスチックボトルを閉栓した。
実施例1〜5および比較例1のそれぞれについて、プリフォームの射出成形性について評価した。また、プラスチックボトルの成形ラインおよび充填ラインにおいて、サポートリングが変形してプラスチックボトルに詰まりが生じたか否かを調査した。さらに、閉栓されたプラスチックボトルのうち、サポートリングに割れが生じたものの割合を算出した。
この結果、実施例1、4のプラスチックボトル10については、射出成形性が良好であり、成形ラインおよび充填ラインでプラスチックボトルの詰まりが発生することがなく、しかもサポートリングに割れが生じたものは存在しなかった。
また、実施例2、5のプラスチックボトル10については、射出成形性が良好であり、成形ラインおよび充填ラインでプラスチックボトルの詰まりが発生することがなかったが、それぞれ4%、3%のものにサポートリングの割れが発生した。
また、実施例3のプラスチックボトル10については、射出成形性が良好であり、サポートリングに割れが生じたものは存在しなかったが、成形ラインおよび充填ラインでプラスチックボトルの詰まりが発生した。
一方、比較例1のプラスチックボトルについては、射出成形性が良好であったが、成形ラインおよび充填ラインでプラスチックボトルの詰まりが発生した。また、その17%のものにサポートリングの割れが発生した。
以上の結果をまとめて表1に示す。表1において、評価基準「◎」は「優(excellent)」を示し、評価基準「○」は「良(good)」を示し、評価基準「×」は「不可(poor)」を示す。
10 プラスチックボトル
11 ボトル本体
11a 首部
11b 肩部
11c 胴部
11d 底部
13 外ねじ
14 ベントスロット
15 口栓部
16 カブラ
17 サポートリング
18 環状面
21 段差
22 外面領域
23 内面領域
25 挟持部
26 環状溝
30 プリフォーム
31 プリフォーム本体
31a 胴部
31b 底部

Claims (4)

  1. プラスチックボトルにおいて、
    外ねじと、外ねじの下方に位置するカブラと、カブラの下方に位置するサポートリングとを有する口栓部と、
    口栓部下方に設けられたボトル本体とを備え、
    口栓部のカブラとサポートリングとの間の外面に、凹状環状面が形成され、
    サポートリングのうち凹状環状面側の面は、段差を有して多段に形成され、
    サポートリングは、段差の半径方向外方に位置する外側領域と、段差の半径方向内方に位置する内側領域とを含み、
    サポートリングの外側領域の表面とサポートリングの下面とのなす角度をαとしたとき、10°<α<16°となり、
    サポートリングの外側領域の半径方向長さをL とし、サポートリングの内側領域の半径方向長さをL としたとき、1.5<L /L <4.0となり、
    凹状環状面に、搬送時にグリッパによって挟持される部分である挟持部と、挟持部から半径方向内方へ凹む環状溝が形成され、
    環状溝は、凹状環状面の周方向全域にわたり形成され、上下方向全域にわたり均一な直径を有することを特徴とするプラスチックボトル。
  2. サポートリングの外端における厚みは、1.0mm〜1.5mmであることを特徴とする請求項1記載のプラスチックボトル。
  3. プリフォームにおいて、
    外ねじと、外ねじの下方に位置するカブラと、カブラの下方に位置するサポートリングとを有する口栓部と、
    口栓部下方に設けられたプリフォーム本体とを備え、
    口栓部のカブラとサポートリングとの間の外面に、凹状環状面が形成され、
    サポートリングのうち凹状環状面側の面は、段差を有して多段に形成され、
    サポートリングは、段差の半径方向外方に位置する外側領域と、段差の半径方向内方に位置する内側領域とを含み、
    サポートリングの外側領域の表面とサポートリングの下面とのなす角度をαとしたとき、10°<α<16°となり、
    サポートリングの外側領域の半径方向長さをL とし、サポートリングの内側領域の半径方向長さをL としたとき、1.5<L /L <4.0となり、
    凹状環状面に、搬送時にグリッパによって挟持される部分である挟持部と、挟持部から半径方向内方へ凹む環状溝が形成され、環状溝は、凹状環状面の周方向全域にわたり形成されて、上下方向全域にわたり均一な直径を有することを特徴とするプリフォーム。
  4. サポートリングの外端における厚みは、1.0mm〜1.5mmであることを特徴とする請求項記載のプリフォーム。
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