JP2015025942A - 光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及びmemsデバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学フィルターデバイス600は、固定反射膜が設けられた固定基板51及び可動反射膜が設けられた可動基板52を備える波長可変干渉フィルター5と、波長可変干渉フィルター5を収納可能な内部空間611を有する筐体610と、筐体610に対して波長可変干渉フィルター5を固定する固定部7と、を備えている。また、固定部7は、固定基板51の厚み方向に沿う側面517と、筐体610(内面627B)との間に設けられている。
【選択図】図1
Description
上述の各種MEMSデバイスにおいても、MEMS素子を構成する基板に撓みが生じると、当該撓みの影響によりMEMS素子の性能が低下するという課題がある。
これに対して、本発明によれば、干渉フィルターの基板は、側面に設けられた固定部によって、筐体に対して固定されている。このため、基板表面よりも、撓みに対する剛性が高い側面に固定部が設けられることになり、応力の影響を受けにくい。したがって、固定部の収縮応力や、基板と固定部との間の線膨張係数差による基板の撓みを抑制できる。これにより、基板に設けられた反射膜の歪みや、反射膜間のギャップ寸法の変化を抑制でき、干渉フィルターの分光精度の低下を抑制できる。
本発明では、干渉フィルターは、第一基板及び第二基板を有する。これら第一基板及び第二基板は、互いに対向するように配置されている。このような構成において、第一基板及び第二基板の両方の側面に亘って固定部を設けると、第一基板及び第二基板を接離させる方向に固定部からの応力が加わり、第一基板及び第二基板を平行に維持できなかったり、反射膜間のギャップ寸法が変動するおそれがある。
これに対して、本発明では、第一基板及び第二基板のいずれかの側面に固定部を設けることにより、基板間の平行を維持でき、反射膜間のギャップ寸法の変動も抑制でき、干渉フィルターの分光精度を維持できる。
本発明では、一方の基板は、他方の基板に対して突出する突出部を有する。そして、固定部は、この突出部に設けられる。これにより、第一基板及び第二基板の両方に固定部が設けられることを抑制でき、より確実に一方の基板の側面にのみ固定部を設けることができる。したがって、上述のように、基板間の平行をより確実に維持できる。
本発明では、第二基板は可動部を厚み方向に変位可能に保持する保持部を有する。このような干渉フィルターは、保持部によって可動部を厚み方向に変位させることで、第一反射膜及び第二反射膜間に形成されたギャップの寸法(以下、ギャップ寸法とも称する)を変更可能となる。一方、このような干渉フィルターにおいて、第二基板には、保持部が設けているため、第一基板の基板厚み方向に対する剛性に比べて、第二基板の基板厚み方向に対する剛性が小さくなる。従って、第二基板に固定部を設けると、固定部の応力により第二基板が撓むおそれがある。これに対して、本発明では、第二基板よりも剛性が大きい第一基板に固定部を設けることにより、基板に撓みが発生することを抑制でき、干渉フィルターの分光精度の低下を抑制できる。
本発明では、基板は、側面の少なくとも一部に、平面状の第一側面を有し、この第一側面に固定部が設けられている。このような構成では、上記第一側面に固定部を形成する接着剤等の部材を配置した後、筐体の内壁等に基板の第一側面を押し当てた状態で、固定部を形成する。この際、平面状の第一側面が、筐体の内面に2以上の点又は全面で当接されることで、筐体に対する基板の固定位置が決まる。ここで、側面の全面が曲面で構成される場合、位置合わせを行うための突出部等を設ける際に、側面の曲面形状を考慮して、突出部の形状を決定する必要がある。これに対して、平面状の第一側面では、上記突出部を設けるような場合でも、突出部の寸法等の設定が容易である。また、筐体内面を平面に形成した場合でも位置合わせが容易である。以上から、第一側面を有することで、基板の位置合わせが容易となり、基板を筐体に対して、容易に位置合わせしつつ固定できる。したがって、光学フィルターデバイスの設計の容易性や、組み立て効率性を向上させることができる。
本発明では、電装部の側面が、固定部が設けられる第一側面となる。したがって、電装部の側面が固定部によって筐体に固定されているので、光学フィルターデバイスに衝撃が加わったり、光学フィルターデバイスの駆動によって、光学フィルターデバイスが振動した場合でも、接続端子が設けられた電装部の振動を抑制できる。したがって、接続端子と筐体側端子との配線が断線する等の不都合を抑制できる。
本発明では、第一側面において、固定部は一カ所で設けられている。これにより、固定部からの基板へ加わる応力を低減でき、基板の撓みをより効果的に抑制できる。
本発明では、複数の固定部が設けられている。このように固定部を複数設けることにより、筐体に対する基板の固定力を増大させることができ、筐体に対して基板をより確実に固定できる。
本発明では、固定部は、平面状で、かつ平行な関係にある第一側面及び第二側面のそれぞれに設けられている。これによれば、一対の側面のそれぞれで基板を筐体に対して固定するので、筐体に対する基板の固定力を増大させることができ、より確実に基板を固定できる。
本発明では、固定部は、基板中心を通る仮想平面に対して、対象となる位置(第一側面及び第二側面の互いに対向する位置)に設けられている。したがって、各固定部から基板に加えられる応力がつり合って、応力が相殺される。これにより、基板の撓みをより効果的に低減できる。
本発明では、固定部は、連続する第一側面及び第三側面に跨って設けられている。
これによれば、固定部を形成する接着剤等の部材を、第一側面から、第一側面と第三側面とが交差する角部とを介し、第三側面に亘るまで配置した状態で、筐体の内壁等に基板を押し当てることにより、基板を筐体に対して固定できる。したがって、簡単な作業で、筐体に対して基板を固定できる。
また、交差する二つの側面のそれぞれで基板を筐体に対して固定するので、筐体に対する基板の固定力を増大させることができ、より確実に基板を固定できる。
本発明では、筐体が、光学フィルターデバイスを支持する支持部を備えており、固定部は、側面と支持部との間に設けられている。これにより、筐体の形状に関わらず、任意の筐体に対して、干渉フィルターを基板の側面で固定できる。
本発明では、上記発明と同様に、基板の側面に固定部が設けられているので、上述のように、固定部からの応力による基板の撓みの発生を抑制でき、干渉フィルターの性能の低下を抑制できる。これにより、所望の性能を有する光学モジュールをより確実に提供できる。
本発明では、上記発明と同様に、基板の側面に固定部が設けられているので、上述のように、固定部からの応力による基板の撓みの発生を抑制でき、干渉フィルターの性能の低下を抑制できる。これにより、所望の性能を有する電子機器をより確実に提供できる。
本発明によれば、上記発明と同様に、MEMS素子の基板は、側面に設けられた固定部によって、筐体に対して固定されている。このため、上述のように、基板の撓みを抑制でき、MEMS素子に歪みが生じることによる性能の低下を抑制できる。
以下、本発明に係る第一実施形態を図面に基づいて説明する。
[光学フィルターデバイスの構成]
図1は、本発明の光学フィルターデバイスの一実施形態である、光学フィルターデバイス600の概略構成を示す断面図である。
光学フィルターデバイス600は、入射した検査対象光から、所定の目的波長の光を取り出して射出させる装置であり、筐体610と、筐体610の内部に収納される波長可変干渉フィルター5を備えている。このような光学フィルターデバイス600は、例えば測色センサー等の光学モジュールや、測色装置やガス分析装置等の電子機器に組み込むことができる。なお、光学フィルターデバイス600を備えた光学モジュールや電子機器の構成については、後に詳述する。
波長可変干渉フィルター5は、本発明の干渉フィルターに相当する。図2は、筐体610内部に収納された波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図であり、図3は、図2のIII−III線で切断した、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図2に示すように、例えば矩形板状の光学部材である。この波長可変干渉フィルター5は、本発明の基板に相当する固定基板51及び可動基板52を備えている。また、各基板51,52のうち、固定基板51は本発明の第一基板に相当し、可動基板52は本発明の第二基板に相当する。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラスや、水晶等により形成されている。そして、これらの固定基板51及び可動基板52は、図3に示すように、接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。具体的には、固定基板51の第一接合部513、及び可動基板の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜等により構成された接合膜53により接合されている。
なお、以降の説明に当たり、固定基板51又は可動基板52の基板厚み方向から見た平面視、つまり、固定基板51、接合膜53、及び可動基板52の積層方向から波長可変干渉フィルター5を見た平面視を、フィルター平面視と称する。
そして、波長可変干渉フィルター5には、反射膜間ギャップG1の距離(寸法)を調整するのに用いられる静電アクチュエーター56が設けられている。この静電アクチュエーター56は、固定基板51に設けられた固定電極561と、可動基板52に設けられた可動電極562と、を備え、各電極561,562が対向することにより構成されている(図2の斜線で示す領域)。これらの固定電極561,可動電極562は、電極間ギャップを介して対向する。ここで、これらの電極561,562は、それぞれ固定基板51及び可動基板52の基板表面に直接設けられる構成であってもよく、他の膜部材を介して設けられる構成であってもよい。
なお、本実施形態では、反射膜間ギャップG1が電極間ギャップよりも小さく形成される構成を例示するが、例えば波長可変干渉フィルター5により透過させる波長域によっては、反射膜間ギャップG1を電極間ギャップよりも大きく形成してもよい。
固定基板51は、厚みが例えば500μmに形成されたガラス基材を加工することで形成される。具体的には、図3に示すように、固定基板51には、エッチングにより電極配置溝511及び反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561及び可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
また、固定基板51には、電極配置溝511から、電装面524に向かって延出する電極引出溝511Bが設けられている。
そして、固定基板51には、固定電極561のC字開口部付近の外周縁から、図2に示す頂点C3−頂点C4間の辺に向かって延出する、固定引出電極563Aが設けられている。この固定引出電極563Aの延出先端部(固定基板51の辺C3−C4に位置する部分)は、可動基板52側に設けられた固定接続電極563Bに、バンプ電極563Cを介して電気的に接続される。この固定接続電極563Bは、電極引出溝511Bを通り電装面524まで延出し、電装面524において本発明の接続端子に相当する固定電極パッド563Pを構成する。固定電極パッド563Pは、後述する、筐体610の内部に設けられた内側端子部624に接続される。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、平面中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)等としてもよい。
この反射膜設置部512には、図3に示すように、固定反射膜54が設置されている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いてもよい。さらに、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(又は合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiO2やSiO2等)と金属膜(又は合金膜)とを積層した反射膜等を用いてもよい。
この固定ミラー電極541Aの延出先端部(固定基板51の辺C3−C4に位置する部分)は、可動基板52側に設けられた固定ミラー接続電極541Bに、バンプ電極541Cを介して電気的に接続される。この固定ミラー接続電極541Bは、電極引出溝511Bを通り電装面524まで延出し、電装面524において、本発明の接続端子に相当する固定ミラー電極パッド541Pを構成する。なお、固定ミラー電極パッド541Pは、後述する、台座部621に設けられた内側端子部624に接続され、さらに、不図示のグランド回路に接続される。これにより固定反射膜54がグランド電位(0V)に設定されている。
更に、固定基板51の光入射面516には、図3に示すように、例えばCr等により形成される非透光性部材515が設けられる(なお、図2においては、非透光性部材515の図示が省略されている。)。この非透光性部材515は、環状に形成され、好ましくは円環状に形成される。そして、非透光性部材515の環内周径は、固定反射膜54及び可動反射膜55により光干渉させるための有効径に設定されている。これにより、非透光性部材515は、光学フィルターデバイス600に入射した入射光を絞るアパーチャーとして機能する。
可動基板52は、厚みが例えば200μmに形成されるガラス基材を加工することで形成されている。
具体的には、可動基板52は、図2に示すようなフィルター平面視において、平面中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521の外側に設けられ、可動部521を保持する保持部522と、保持部522の外側に設けられた基板外周部525と、を備えている。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。また、本実施形態では、可動部521の固定基板51と対向する面が、可動面521Aである。
可動基板52は、固定ミラー電極541Aと同様に、可動反射膜55に接続され、可動電極562のC字開口部を通り、電装面524に向かって延出する可動ミラー電極551を備えている。この可動ミラー電極551の延出先端部は、電装面524において本発明の接続端子に相当する、可動ミラー電極パッド551Pを構成する。なお、可動ミラー電極パッド551Pは、後述する、台座部621に設けられた内側端子部624に接続され、さらに、固定ミラー電極パッド541P同様に、不図示のグランド回路に接続される。これにより可動反射膜55がグランド電位(0V)に設定されている。
このような保持部522は、可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により、可動部521を固定基板51側に変位させることが可能となる。この際、可動部521の厚み寸法は、保持部522の厚み寸法よりも大きく、剛性が大きくなる。そのため、保持部522が静電引力により固定基板51側に引っ張られた場合でも、可動部521の形状変化が起こらない。したがって、可動部521に設けられた可動反射膜55の撓みも生じず、固定反射膜54及び可動反射膜55を常に平行状態に維持することが可能となる。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、平面中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成等としてもよい。
筐体610は、図1に示すように、ベース620と、リッド630と、を備え、内部に波長可変干渉フィルター5を収納する。
ベース620は、台座部621と、側壁部627と、を備える。
台座部621は、フィルター平面視において矩形状の外形を有する板状の部分である。台座部621のリッド630と対向するベース内側面621Aには、波長可変干渉フィルター5が載置される。台座部621は、その中央部に、厚み方向に貫通する光射出孔622が開口形成されている。この光射出孔622には射出側ガラス窓623が接合されている。
また、ベース内側面621Aには、波長可変干渉フィルター5の各電極パッド541P,551P,563P,564Pに接続される内側端子部624(本発明の筐体側端子に相当)が設けられている。内側端子部624と、各電極パッド541P,551P,563P,564Pとは、例えばワイヤーボンディングにより、Au等のワイヤー612を用いて接続される。なお、本実施形態では、ワイヤーボンディングを例示するが、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits)等を用いてもよい。
また、台座部621は、内側端子部624が設けられる位置に、貫通孔625が形成されている。内側端子部624は、貫通孔625を介して、台座部621のベース外側面621B(ベース内側面621Aとは反対側の面)に設けられた外側端子部626に接続されている。
側壁部627は、矩形状の台座部621の縁部から立ち上がり、ベース内側面621Aに載置された波長可変干渉フィルター5の周囲を覆っている。側壁部627のリッド630に対向する面(以下、端面627Aとも称する)は、ベース内側面621Aに平行な平坦面に形成されている。
このように構成された、光学フィルターデバイス600では、リッド630側から入射した光が、波長可変干渉フィルター5に入射する。そして、波長可変干渉フィルター5で分光された光が、光射出孔622から射出される。
波長可変干渉フィルター5は、図1及び図2に示すように、固定部7によって筐体610に対して固定されている。具体的には、固定部7は、例えば、エポキシ系やシリコーン系の接着剤で形成されている。この固定部7は、波長可変干渉フィルター5の、各電極パッド541P,551P,563P,564Pが形成された側とは反対側である、辺C1−C2に連続する固定基板51の側面517(本発明の第一側面に相当)に設けられている。特に、図示例では、固定部7は、辺C1−C2に沿った方向における、側面517の中央部分の一カ所に設けられている。また、固定部7は、固定基板51の突出部514に設けられている。このように構成された固定部7は、側面517と、当該側面517に対向する筐体610の側壁部627の内面627Bとを接合している。
先ず、予め作成された波長可変干渉フィルター5の側面517に、固定部7を形成する接着剤を塗布する。そして、可動基板52をベース内側面621Aに接触させつつ、側面517を側壁部627の内面627Bに押し当てる。そして、接着剤が硬化して形成された固定部7によって、側面517と内面627Bとが接合される。このようにして、波長可変干渉フィルター5が、固定部7によってベース620に対して固定される。
なお、ワイヤーボンディングとして、ボールボンディングを用いて接続を行う例について説明したが、ウェッジボンディング等を用いてもよい。また、ワイヤーボンディングによる接続に限らず、例えば、FPCを用いることができ、Agペースト、ACF(Anisotropic Conductive Film)、ACP(Anisotropic Conductive Paste)等により接合してもよい。
以上により、光学フィルターデバイス600が製造される。
本実施形態では、波長可変干渉フィルター5は、固定基板51の側面517に設けられた固定部7によって、筐体610に対して固定されている。このような構成では、基板(例えば、可動基板52)の下面に固定部7を設けて、波長可変干渉フィルター5を固定する場合と比べて、固定基板51に撓みが発生することを抑制でき、波長可変干渉フィルター5の分光精度の低下を抑制できる。
図4は、比較例として、基板の下面を固定部で固定した状態を模式的に示す断面図である。また、図5は、本実施形態の構成を模式的に示す断面図である。なお、図5では、波長可変干渉フィルター5の固定基板51のみを示し、可動基板52等の他の部材は省略している。
図4に示す比較例のように、基板8の下面8Aに固定部7を設けた場合、基板8は、固定部7が設けられた位置C5を中心として、位置C5に向かう応力f1を受ける。その結果、基板8は、位置C5を中心として、基板厚み方向に撓む。
これに対して、図5に示すように、固定基板51の側面517に固定部7を設けた場合、固定基板51は、側面517に沿った方向に、固定部7が設けられた位置C6に向かう応力f2を固定部7から受けることとなる。この応力は、位置C6を中心として当該側面517と直交する方向に、固定基板51に撓みを発生させようとする力である。ここで、固定基板51は、板状の部材であり、平面方向の寸法が、厚み寸法よりも十分に大きく、厚み方向の剛性と比較して、平面方向の剛性が大きくなる。したがって、側面517に固定部7を設けることで、固定基板51の撓みを抑制できる。
このように、固定基板51の撓みが抑制されることで、固定基板51に接合された可動基板52の撓みも抑制でき、波長可変干渉フィルター5の光学特性、すなわち分光精度の低下を抑制できる。
なお、図4及び図5は、固定部7を形成する接着剤が硬化したことにより、固定基板51が圧縮される応力を受けた場合を例示したが、例えば、固定基板51と固定部7との線膨張係数の差により応力を受ける場合も同様である。なお、線膨張係数の差による応力は、固定基板51を圧縮させる応力とは反対方向の、伸長させる応力が発生する場合もある。例えば、固定基板51よりも固定部7の膨張率が大きい場合である。この伸長させる応力は、圧縮させる応力とは反対方向に、基板を撓ませようとする応力である。
これに対して、本実施形態では、固定基板51の側面517に固定部7を設けることにより、上述のように、固定基板51及び可動基板52を接離方向に変位させる応力が、固定部7から加わらない。したがって、上述のような問題がなく、波長可変干渉フィルター5の分光精度の低下が生じない。
また、固定基板51を一個所で固定するため、例えば複数個所に固定部7を設ける場合に比べて、固定基板51に加わる応力が小さく、固定基板51の撓みをより抑制できる。
次に、本発明に係る第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態では、固定部7は、波長可変干渉フィルター5の、電装部526が形成された側(辺C3−C4)の可動基板52の側面に設けられている。
図6は、本発明に係る第二実施形態の光学フィルターデバイス600Aの概略構成を示す平面図である。なお、図6では、リッド630の図示を省略する。また、以降の実施形態の説明にあたり、既に説明した構成については、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
本実施形態では、固定部7は、各電極パッド541P,551P,563P,564Pが設けられた電装部526の辺C3−C4に対応した側面528を、筐体610Aに固定する。
このため、波長可変干渉フィルター5に衝撃が加わった際や、静電アクチュエーター56を駆動させた際の、電装部526の振動を抑制できる。したがって、電装部526上の各電極パッド541P,551P,563P,564Pに接続されたワイヤー612が、振動により断線してしまう不都合を抑制できる。
次に、本発明に係る第三実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記第二実施形態では、筐体側突出部628が波長可変干渉フィルターのC4に対応した角のみに設けられる例を示した。これに対して、本実施形態は、筐体610Bのベース620Bに二つの筐体側突出部が設けられ、固定部7が、各筐体側突出部に対向する位置にそれぞれ設けられる点で相違する。
図7は、本発明に係る第三実施形態の光学フィルターデバイス600Bの概略構成を示す平面図である。なお、図7では、リッド630の図示を省略する。
筐体側突出部629は、筐体側突出部628と同様に構成され、ベース620Bの波長可変干渉フィルター5の頂点C3に対応した角に設けられ、側壁部627から離れる方向に、内部空間611に向かって突出している。そして、筐体側突出部629には、波長可変干渉フィルター5の辺C3−C4に対向する平坦面が設けられ、当該平坦面が内側端子部624の配列方向と平行となる。
固定部7は、辺C3−C4に連続する可動基板52の側面528と、各筐体側突出部628,629と、の間にそれぞれ設けられ、これらの2つの固定部7により、波長可変干渉フィルター5がベース620Bに固定されている。
本実施形態では、側面528に複数の固定部7が設けられている。これにより、筐体610Bに対する固定力を増大させることができ、より確実に、筐体610Bに対する基板の固定を行うことができる。
ここで、複数の固定部7を設ける場合、これらの固定部7からそれぞれ応力を受けることになるが、上述したように、固定部7を側面528に設けることで、その応力の影響を十分に抑えることができる。これにより、本実施形態では、基板の撓みを抑えつつ、固定力の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、一つの側面528に対して、複数の固定部7を設けている。このため、筐体610Bの筐体側突出部628,629、又は側面528の少なくともいずれか一方に接着剤等の固定部7を設けたのち、波長可変干渉フィルター5を筐体側突出部628,629側に押し当てることで、容易に波長可変干渉フィルター5を固定することができる。
次に、本発明に係る第四実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記第二及び第三実施形態では、電装部526の辺C3−C4に対応した側面528に固定部7を設ける例を示した。これに対して、本実施形態では、辺C1−C4の電装部526に相当する部分に、固定部7を設ける点で、上記実施形態と相違する。
図8は、本発明に係る第四実施形態の光学フィルターデバイス600Cの概略構成を示す平面図である。
本実施形態では、可動基板52の側面529の一カ所に固定部7が設けられている。これにより、第一実施形態と同様に、筐体610に対する固定を簡単な作業で行うことができ、各基板51,52の撓みも抑制できる。
本実施形態では、固定部7は、側面529における、電装部526の辺C3−C4の一方の頂点C4近傍に設けられている。これにより、第二実施形態と同様に、上述の可動基板52の側面528側の振動を抑制でき、ワイヤー612が外れることを抑制できる。
次に、本発明に係る第五実施形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態では、一対の固定部7が、対向する位置に設けられている点で上記第四実施形態と相違する。
図9は、本発明に係る第五実施形態の光学フィルターデバイス600Dの概略構成を示す平面図である。
本実施形態では、可動基板52の一対の側面529A,529Bのそれぞれに、互いに対向するように固定部7が設けられている。このような構成では、固定部7が複数設けられており、複数位置で基板が筐体610に固定されているので、筐体610に対する固定力を増大させることができ、より確実に、筐体610に対する基板の固定を行うことができる。
また、固定部7は、互いに対向する位置に設けられているので、一方の固定部7から可動基板52に加わる応力を、他方の固定部7からの応力によって相殺することができ、可動基板52の撓みをより効果的に抑制できる。
次に、本発明に係る第六実施形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態では、固定部が、波長可変干渉フィルターの角部(頂点)と、ベースの側壁部の角部との間に設けられる点で、上記実施形態と相違する。
図10は、本発明に係る第六実施形態の光学フィルターデバイス600Eの概略構成を示す平面図である。
本実施形態では、固定部7は、図10に示すように、固定基板51の頂点(例えば頂点C2)が位置する角部519を含み、当該角部519に隣接する側面517,518に亘って設けられている。そして、固定部7は、角部519において、側面517,518と、側壁部627の内面627Bとを接合している。つまり、本実施形態では、側面517が本発明の第一側面に相当する。また、側面518は、本発明の第三側面に相当し、側面517に交差する平面に沿って、側面517に交差して角部519を形成する。固定部7は、これらの側面517(第一側面)及び側面518(第三側面)に跨って設けられている。
本実施形態では、固定部7は、隣接する2つの側面517,518に亘って、固定基板51の角部519を跨って設けられている。このような構成では、基板の一つの側面のみ固定部を設けた上記第一、第二、及び第四実施形態と同様に、接着剤を塗布した固定基板51を内面627Bに押し当てるという簡単な作業で、波長可変干渉フィルター5を固定できる。
また、2つの側面517,518の複数位置で固定基板51が筐体610に固定されているので、筐体610に対する固定力を増大させることができ、より確実に、筐体610に対する波長可変干渉フィルター5の固定を行うことができる。
そして、固定部7は、フィルター平面視において、固定基板51の中心位置(平面中心点O)から離れた角部519に配置されているため、平面中心点Oの周囲に設けられた上記主要な部材への固定部7の応力の伝達を抑制でき、分光精度の低下をより効果的に抑制できる。
次に、本発明に係る第七実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記各実施形態では、筐体が、波長可変干渉フィルター5を固定可能な側壁部627を備え、この側壁部627の内面627Bに波長可変干渉フィルター5を固定部7で固定していた。本実施形態の光学フィルターデバイスでは、筐体が、波長可変干渉フィルター5を固定可能な側壁部を備えておらず、それに代わり、波長可変干渉フィルター5を支持する支持部を備える。
図11は、本発明に係る第七実施形態の光学フィルターデバイス600Fの概略構成を示す断面図である。
筐体640は、ベース基板650と、リッド660と、ベース側ガラス基板670と、リッド側ガラス基板680と、を備える。
ベース基板650は、波長可変干渉フィルター5の可動基板52が設置されるものであり、例えば単層セラミック基板により構成される。また、ベース基板650には、有効領域Ar0に対向する領域に、光通過孔651が開口形成される。そして、この光通過孔651を覆うように、ベース側ガラス基板670が接合される。ベース側ガラス基板670の接合方法としては、例えば、ガラス原料を高温で熔解し、急冷したガラスのかけらであるガラスフリットを用いたガラスフリット接合、エポキシ樹脂等による接着等を利用できる。
図12に示すように、このベース基板650のリッド660に対向するベース内側面621Aには、波長可変干渉フィルター5の各電極パッド541P,551P,563P,564Pのそれぞれに対応して、内側端子部654が設けられている。なお、各引出電極563,564と内側端子部654との接続は、ワイヤーボンディングにより実施する。また、ワイヤーボンディングによる接続に限らず、例えば、FPC等を用いることができる。
また、ベース基板650は、各内側端子部654が設けられる位置に対応して、図示しない貫通孔が形成されている。各内側端子部654は、貫通孔に充填された導電性部材を介して、ベース基板650のベース内側面652とは反対側のベース外側面653に設けられた外側端子部655(図11参照)に接続されている。
そして、ベース基板650の外周部には、リッド660に接合されるベース接合部656が設けられている。
このリッド660は、リッド接合部662と、ベース基板650のベース接合部656とが、接合されることで、ベース基板650に密着接合されている。
この接合方法としては、例えば、レーザー溶着の他、銀ロウ等を用いた半田付け、共晶合金層を用いた封着、低融点ガラスを用いた溶着、ガラス付着、ガラスフリット接合、エポキシ樹脂による接着等が挙げられる。これらの接合方法は、ベース基板650及びリッド660の素材や、接合環境等により、適宜選択することができる。
本実施形態では、筐体640が、波長可変干渉フィルター5を支持する支持部690を備えており、固定部7により、波長可変干渉フィルター5が当該支持部690に固定されている。これにより、波長可変干渉フィルター5が配置されるベース基板650が、側壁部を備えていない筐体640のような構成であっても、波長可変干渉フィルター5の可動基板52の側面を固定部7で固定できる。
次に、本発明に係る第八実施形態について、図面に基づいて説明する。
第八実施形態では、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600が組み込まれた光学モジュールである測色センサー3、及び光学フィルターデバイス600が組み込まれた電子機器である測色装置1を説明する。
図13は、測色装置1の概略構成を示すブロック図である。
測色装置1は、本発明の電子機器である。この測色装置1は、図13に示すように、検査対象Xに光を射出する光源装置2と、測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4と、を備える。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出され検査対象Xにて反射された検査対象光を測色センサー3にて受光する。そして、測色装置1は、受光した測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Xの色を分析して測定する装置である。
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図13には1つのみ記載)を備え、検査対象Xに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Xに向かって射出する。なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Xが液晶パネル等の発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
測色センサー3は、本発明の光学モジュールを構成し、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600を備えている。この測色センサー3は、図13に示すように、光学フィルターデバイス600と、光学フィルターデバイス600を透過した光を受光する検出部31と、波長可変干渉フィルター5の透過光の波長を変更する電圧制御部32と、を備える。
また、測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、検査対象Xで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、光学フィルターデバイス600内の波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
また、この回路基板311には、筐体610のベース外側面621Bに形成された外側端子部626が接続されており、回路基板311に形成された回路を介して、電圧制御部32に接続されている。
このような構成では、回路基板311を介して、光学フィルターデバイス600及び検出部31を一体的に構成でき、測色センサー3の構成を簡略化することができる。
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューター等を用いることができる。
そして、制御装置4は、図13に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、及び測色処理部43等を備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター56への印加電圧を設定する。
測色処理部43は、検出部31により検出された受光量から、検査対象Xの色度を分析する。
本実施形態の測色装置1は、上記第一実施形態のような光学フィルターデバイス600を備えている。上述したように、光学フィルターデバイス600によれば、波長可変干渉フィルター5の固定基板51の側面517に固定部7を設け、波長可変干渉フィルター5を筐体610に固定するため、固定基板51及び可動基板52の撓みを抑制できる。そのため、波長可変干渉フィルター5の分光精度の低下を抑制できる。また、光学フィルターデバイス600は、内部空間の気密性が高く、水粒子等の異物の侵入がないため、これらの異物による波長可変干渉フィルター5の光学特性の変化も防止できる。したがって、測色センサー3においても、高分解能で取り出された目的波長の光を検出部31により検出することができ、所望の目的波長の光に対する正確な光量を検出することができる。これにより、測色装置1は、検査対象Xの正確な色分析を実施することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記各実施形態では、固定基板51及び可動基板52のいずれかを固定部7で固定する構成としたが、これに限定されず、固定基板51及び可動基板52の両方を固定部7で固定する構成としてもよい。ただし、この場合、固定部7として線膨張係数差が固定基板51や可動基板52と大きく異なる素材を用いたり、接合膜53の剛性よりも厚み方向の圧縮力が大きくなるような接着剤を用いたりすると、固定基板51及び可動基板52の傾斜や、ギャップ寸法の変動の原因となる。したがって、上述した各実施形態のように、固定部7は、固定基板51や可動基板52のいずれか一方に設けられる構成とすることが好ましい。
例えば、固定基板51の隣り合う頂点C1,C2のそれぞれの近傍に固定部7を設ける構成等としてもよい。
例えば、固定基板51の頂点C2,C3の位置に固定部7を設ける構成としてもよい。また、第二実施形態に示すように、筐体側突出部628を設け、可動基板52の頂点C3の位置に固定部7を設ける構成、筐体側突出部628,629を設け、可動基板52の頂点C3,C4に固定部7を設ける構成等としてもよい。
なお、上記実施形態のように、可動基板52を台座部621に配置することで、可動基板52の保持部522と対向する位置に光射出孔622の開口縁を配置することができる。この場合、例えばベース620の形成時において、開口縁に沿ってバリ等の突起が生じた場合でも、保持部522のエッチング空間に当該突起を逃がすことができ、可動基板52の傾斜等を抑制できる。
さらに、静電アクチュエーター56の代わりに圧電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。この場合、例えば保持部522に下部電極層、圧電膜、及び上部電極層を積層配置させ、下部電極層及び上部電極層の間に印加する電圧を入力値として可変させることで、圧電膜を伸縮させて保持部522を撓ませることができる。
また、上記各実施形態では、矩形状の基板51,52を備える波長可変干渉フィルター5を例示したが、これに限定されない。例えば、基板51,52は、フィルター平面視における形状が、矩形以外の各種多角形状であってもよく、円形又は楕円形であってもよい。また、基板51,52は、側面が曲面を含む構成でもよい。
また、上記各実施形態では、波長可変干渉フィルター5として、一対の基板51,52と、各基板51,52のそれぞれに設けられた一対の反射膜54,55を備える構成を例示したが、これに限定されない。例えば、可動基板52が設けられない構成とし、固定基板51を筐体610に固定する構成としてもよい。この場合、例えば、基板(固定基板)の一面に第一反射膜、ギャップスペーサ、及び第二反射膜を積層形成し、第一反射膜と第二反射膜とがギャップを介して対向する構成とする。当該構成では、一枚の基板からなる構成となり、分光素子をより薄型化することができる。
例えば、MEMS素子を筐体に収納したMEMSデバイスについても、本発明を好適に適用できる。
MEMS素子としては、例えば、光の反射方向を精密に変化させることができるミラーデバイス等の光学素子を例示できる。このような構成でも、光学素子が備える基板の撓みを抑制でき、光学素子が備える光学部材に応力が加わることを抑制できる。したがって、光学素子の光学特性の低下を抑制できる。
圧電振動素子では、基板が撓みを抑制することで、振動子に応力が加わることを抑制でき、振動特性の変化を抑制できる。圧力センサー素子では、ダイアフラムに応力がわることを抑制でき、これによりダイアフラムが変形による検出精度の低下を抑制できる。加速度センサー素子やジャイロセンサー素子においても、同様に、加速度や角速度を検出するために基板上に設けられた検出部に応力が加わることを抑制でき、検出精度の低下を抑制できる。
以下、本発明の光学フィルターデバイスを利用した電子機器の変形例について説明する。なお、以下に例示する電子機器は、上記光学フィルターデバイス600を備え、波長可変干渉フィルター5が固定部7によって筐体610に固定されている。
このようなガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
図15は、図14のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図14に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、及び排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、光学フィルターデバイス600、及び受光素子137(検出部)等を含む検出装置と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,レンズ135D,レンズ135Eと、により構成されている。
また、図14に示すように、ガス検出装置100の表面には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が二次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、図15に示すように、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149及び排出手段133を制御する排出ドライバー回路150等を備えている。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
なお、吸引口120Aには、除塵フィルター120A1が設けられ、比較的大きい粉塵や一部の水蒸気等が除去される。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が光学フィルターデバイス600に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5に印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
以下に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
この食物分析装置200は、図16に示すように、検出器210(光学モジュール)と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する光学フィルターデバイス600と、分光された光を検出する撮像部213(検出部)と、を備えている。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部221と、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
そして、信号処理部224は、上述のようにして得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられた波長可変干渉フィルターにより特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
図17は、分光カメラの概略構成を示す模式図である。分光カメラ300は、図17に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330(検出部)と、を備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、図17に示すように、対物レンズ321、結像レンズ322、及びこれらのレンズ間に設けられた光学フィルターデバイス600を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
また、本発明の光学フィルターデバイスが備える波長可変干渉フィルターを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩等の認証装置にも適用できる。
Claims (15)
- 第一反射膜、前記第一反射膜に対向する第二反射膜、及び、前記第一反射膜及び前記第二反射膜のいずれかが設けられた基板を備えた干渉フィルターと、
前記干渉フィルターを収納可能な内部空間を有する筐体と、
前記筐体に対して前記干渉フィルターを固定する固定部と、を備え、
前記固定部は、前記基板の厚み方向に沿う前記基板の側面と、前記筐体との間に設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項1に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記干渉フィルターは、前記基板として、前記第一反射膜が設けられた第一基板と、前記第一基板に対向し、前記第二反射膜が設けられた第二基板と、を備え、
前記固定部は、前記第一基板及び前記第二基板のいずれかの前記側面に設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項2に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記第一基板及び前記第二基板のいずれか一方の基板は、前記基板を厚み方向から見た平面視において、他方の基板に対して突出する突出部を有し、
前記固定部は、前記突出部に設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項2又は請求項3に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられた可動部と、前記可動部を前記厚み方向に変位可能に保持する保持部と、を備え、
前記固定部は、前記第一基板の前記側面に設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記側面の一部は、平面状の第一側面を構成し、
前記固定部は、前記第一側面に設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項5に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記基板は、当該基板を基板厚み方向から見た平面視において、当該基板の外周縁に沿った一部に、前記筐体に設けられた筐体側端子に対して電気的に接続された接続端子を有する電装部を備え、
前記第一側面は、前記電装部の側面である
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項5又は請求項6に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記固定部は、前記第一側面の一カ所に設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項5又は請求項6に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記固定部は、前記第一側面の複数個所に設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記側面は、平面状の第一側面、及び前記第一側面に平行な第二側面を含み、
前記固定部は、前記第一側面及び第二側面にそれぞれ設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項9に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記第一側面に設けられた前記固定部、及び前記第二側面に設けられた前記固定部は、前記基板の中心を通り、前記第一側面及び前記第二側面と平行な仮想平面に対して対称となる位置に設けられている
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記側面は、平面状の第一側面と、前記第一側面に連続し、前記第一側面に交差する平面に沿った第三側面と、を含み、
前記固定部は、前記第一側面及び第三側面に跨って設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項1から請求項11のいずれかに記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記筐体は、前記干渉フィルターを前記筐体に対して支持する支持部を備え、
前記固定部は、前記側面と、前記支持部との間に設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 第一反射膜、前記第一反射膜に対向する第二反射膜、及び、前記第一反射膜及び前記第二反射膜のいずれかが設けられた基板を備えた干渉フィルターと、
前記干渉フィルターを収納可能な内部空間を有する筐体と、
前記筐体に対して前記干渉フィルターを固定する固定部と、
前記干渉フィルターにより取り出された光を検出する検出部と、を備え、
前記固定部は、前記基板の厚み方向に沿う前記基板の側面と、前記筐体との間に設けられた
ことを特徴とする光学モジュール。 - 第一反射膜、前記第一反射膜に対向する第二反射膜、及び、前記第一反射膜及び前記第二反射膜のいずれかが設けられた基板を備えた干渉フィルターと、
前記干渉フィルターを収納可能な内部空間を有する筐体と、
前記筐体に対して前記干渉フィルターを接着固定する固定部と、
前記干渉フィルターを制御する制御部と、を備え、
前記固定部は、前記基板の厚み方向に沿う前記基板の側面と、前記筐体との間に設けられた
ことを特徴とする電子機器。 - 基板を備えたMEMS素子と、
前記MEMS素子を収納可能な内部空間を有する筐体と、
前記筐体に対して前記MEMS素子を固定する固定部と、を備え、
前記固定部は、前記基板の厚み方向に沿う前記基板の側面と、前記筐体との間に設けられた
ことを特徴とするMEMSデバイス。
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