JP2015052629A - 光学デバイス、光学モジュール、電子機器、光学筐体、及び光学筐体の製造方法 - Google Patents

光学デバイス、光学モジュール、電子機器、光学筐体、及び光学筐体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接合強度が強く、気密性が高い光学デバイス、光学モジュール、電子機器、光学筐体、及び光学筐体の製造方法を提供する。【解決手段】光学フィルターデバイス600は、波長可変干渉フィルターと、第二開口部631を有するリッド630と、リッド630とともに収容空間を形成するベースと、第二開口部631を覆い、リッド630に低融点ガラス634により接合された第二ガラス部材632と、リッド630に設けられた金属メッキ633と、を備え、金属メッキ633は、リッド630を第二開口部631の開口面に対する法線方向から見た平面視において、第二ガラス部材632の外周縁よりも第二開口部631から離れる側に所定寸法離れ、かつ第二ガラス部材632の外周縁に沿ったラインLの外側に設けられた。【選択図】図5

Description

本発明は、光学デバイス、光学モジュール、電子機器、光学筐体、及び光学筐体の製造方法に関する。
従来、干渉フィルターやミラーデバイス等の光学素子を、気密封止された筐体内に収納した光学デバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1の光学デバイスは、容器状の基体と、基体の開口を閉塞し、光透過用の開口部を有する金属枠体と、金属枠体の開口部を閉塞するガラス部材とを備えている。また、金属枠体のガラス部材に対向する領域には、低融点ガラスの接合材が設けられ、この接合材により金属枠体とガラス部材とが接合されている。また、金属枠体のガラス部材に対向していない領域には金属枠体の防錆のための金属メッキが設けられている。
特開2005−93675号公報
ところで、低融点ガラスにより、ガラス部材と金属枠体とを接合して良好な接合強度及び気密性を確保するためには、ガラス部材の外周に沿って低融点ガラスのフィレットを形成することが好ましい。
これに対して、上記特許文献1では、金属枠体表面におけるガラス部材に対向する領域のみに接合材が設けられているため、接合強度及び気密性が不十分であるという課題がある。
また、上記特許文献1において、フィレットを形成すると、金属枠体のガラス部材に対向していない領域には金属メッキが形成されているため、金属メッキ上に低融点ガラスのフィレットが形成されることになる。この場合、金属枠体と金属メッキとの熱膨張係数の差により、金属メッキにクラックが入り、この金属メッキのクラックが原因となって低融点ガラスにもクラックが入ることがある。この場合、やはり、ガラス部材と金属枠体との間の接合強度や気密性が低下してしまうという課題がある。
本発明は、接合強度が強く、気密性が高い光学デバイス、光学モジュール、電子機器、光学筐体、及び光学筐体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の光学デバイスは、光受光面又は光出射面を有する光学素子と、開口部を有する第一部材と、前記第一部材とともに前記光学素子を収容可能な収容空間を形成する第二部材と、前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材と、前記第一部材に設けられた金属メッキと、を備え、前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れた位置に設けられていることを特徴とする。
本発明では、第一部材に対して透光部材が接合され、第一部材において、透光部材の外周縁から所定寸法外側に金属メッキが設けられている。すなわち、透光部材の外周縁から所定寸法外側の位置から、開口部の開口縁までの領域(以降、第一領域と称する場合がある)には、金属メッキが設けられず、第一領域以外の領域(以降、第二領域と称する場合がある)に金属メッキが設けられる。なお、金属メッキは、第一領域内に設けられていなければよく、例えば第二領域全体に形成されていてもよく、第二領域の一部に設けられていてもよい。
このような構成では、透光部材及び第一部材を接合するための接合部材と金属メッキとが接しないため、例えば、金属メッキ及び接合部材の密着性が悪い場合や熱膨張係数が異なる場合でも、金属メッキにおけるクラックや劣化を抑制できる。これにより、金属メッキによる第一部材の耐食性を維持できる。また、金属メッキのクラックに起因した接合部材のクラックも発生しないので、第一部材及び透光部材を強い接合強度で、かつ高い気密性で接合することができる。
更に、透光部材の外周縁から所定寸法離れたラインの位置までが第一領域となるため、この第一領域に透光部材の外周縁に沿って接合部材のフィレットを形成することが可能となる。このようなフィレットを形成することで、第一部材及び透光部材の接合強度、及び気密性を更に向上させることが可能となる。
本発明の光学デバイスにおいて、前記透光部材は、低融点ガラスにより前記第一部材に接合されていることが好ましい。
本発明では、透光部材が低融点ガラスにより第一部材に接合されている。低融点ガラスを用いた接合により、透光部材及び第一部材の気密性の向上を図れる。
本発明の光学デバイスにおいて、前記低融点ガラスの前記透光部材及び前記第一部材に接しない面を覆う樹脂部材を備えていることが好ましい。
本発明では、低融点ガラスによる接合に加えて、更に樹脂部材により、当該低融点ガラスの透光部材や第一部材に接していない表面が覆われる。これにより、低融点ガラスの接合強度及び気密性を更に向上させることができる。
また、樹脂部材を、透光部材及び第一部材にも接するように設けることで、樹脂部材の硬化時に収縮により、透光部材を第一部材側に押圧することができ、接合強度の向上も図れる。
本発明の光学デバイスにおいて、前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に前記所定寸法離れ、かつ前記透光部材の外周縁に沿ったラインから前記開口部の開口縁までの領域以外の領域を覆って設けられ、前記樹脂部材は、前記ライン及び前記開口部の開口縁の間の領域のうち、前記低融点ガラスが設けられない領域を覆っていることが好ましい。
本発明では、第一部材は、第二領域が金属メッキにより覆われ、第一領域における低融点ガラスが接していない領域が樹脂部材により覆われる。つまり、第一部材全体が、低融点ガラス、金属メッキ、及び樹脂部材のいずれかに覆われる構成となる。このような構成とすることで、第一部材の表面が外部に露出せず、耐食性の向上を図ることができる。
本発明の光学デバイスにおいて、前記透光部材は、前記第一部材に対向する平面部と、前記平面部から当該透光部材の外周縁側に連続し、当該透光部材の外周縁に向かうに従って前記第一部材から離れる方向に傾斜する斜面部と、を備え、前記低融点ガラスは、前記平面部及び前記第一部材の間に設けられ、前記樹脂部材は、前記透光部材の前記斜面部に接していることが好ましい。
本発明では、低融点ガラスは、第一部材と平面部との間に設けられる。このような構成では、低融点ガラスのフィレットを、平面部の端部から第一部材に向かって形成することが可能となり、上記発明と同様、第一部材及び透光部材の接合強度、気密性の向上を図れる。
また、樹脂部材は、透光部材の斜面部に接する。つまり、樹脂部材は、透光部材の斜面部と第一部材との間、又は透光部材の斜面部と低融点ガラスにおける第一部材及び透光部材に接していない面(非接合面)との間に入り込む構成となる。このような構成では、樹脂部材が硬化時に収縮することで、透光部材を挟み込んで、第一部材側に押圧することができ、接合強度及び気密性の更なる向上を図れる。
本発明の光学デバイスにおいて、前記透光部材は、ガラスであり、前記第一部材は、コバールであり、前記金属メッキは、ニッケルを含むことが好ましい。
本発明では、第一部材としてコバールが用いられ、金属メッキとしてニッケルを含有するメッキ材料が用いられる。この場合、コバールに対するニッケルの密着性が高いため、金属メッキの剥離を抑制でき、コバールの耐食性を良好に維持できる。
また、熱膨張係数が近いガラス製の透光部材及びコバール製の第一部材を用いることで、接合部材として低融点ガラスを用いて接合を行った際に、熱膨張係数の差によって低融点ガラスにクラックが入る等の不都合を抑制でき、接合強度及び気密性の向上を図れる。
本発明の光学デバイスにおいて、前記光学素子は、互いに対向する一対の反射膜を備えた干渉フィルターであることが好ましい。
本発明では、干渉フィルターに用いられる反射膜は、例えば酸化等による劣化が生じると、干渉フィルターから出射される光の分解能が低下してしまう。このため、特に、光学デバイスの内部を減圧下(より好ましくは真空下)とし、気密に維持する必要がある。また、干渉フィルターとして、例えば静電アクチュエーター等により反射膜間のギャップ寸法を変更可能な構成とする場合、駆動時の応答性を向上させるために、光学デバイスの内部を減圧下(より好ましくは真空下)とし、気密に維持することが好ましい。
これに対して、本発明では、上記のように、透光部材と第一部材とが強い接合強度、かつ高い気密性で接合されるため、光学デバイスの内部を適切な環境(減圧又は真空)に維持することができ、干渉フィルターの性能低下を抑制できる。
本発明の光学モジュールは、互いに対向する一対の反射膜を備えた干渉フィルター、開口部を有する第一部材、前記第一部材とともに前記干渉フィルターを収容可能な収容空間を形成する第二部材、前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材、及び前記第一部材に設けられた金属メッキ、を備えた光学デバイスと、前記干渉フィルターから出射された光を受光する受光部と、を備え、前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れた位置に設けられていることを特徴とする。
本発明では、上記発明と同様に光学デバイスにおける第一部材及び透光部材の接合強度、気密性の向上を図ることができ、光学デバイスの内部を適切な環境に維持できる。したがって、干渉フィルターの性能低下を抑制でき、干渉フィルターから所望波長の光を高い分解能で出射させることができる。これにより、光学モジュールにおいても、受光部で前記所望波長の光の正確な光量を検出することができる。
本発明の電子機器は、互いに対向する一対の反射膜を備えた干渉フィルター、開口部を有する第一部材、前記第一部材とともに前記干渉フィルターを収容可能な収容空間を形成する第二部材、前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材、及び前記第一部材に設けられた金属メッキ、を備えた光学デバイスと、前記干渉フィルターを制御する制御部と、を備え、前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れた位置に設けられていることを特徴とする。
本発明では、上記発明と同様に光学デバイスにおける第一部材及び透光部材の接合強度及び気密性の向上を図ることができ、光学デバイスの内部を適切な環境に維持できる。したがって、制御部により干渉フィルターを制御する際に、精度の高い制御を実施することができ、電子機器の機器性能を高めることができる。
本発明の光学筐体は、開口部を有する第一部材と、前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材と、前記第一部材に設けられた金属メッキと、を備え、前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れた位置に設けられていることを特徴とする。
本発明では、上述した発明と同様に、第一部材の第一領域内において、透光部材が接合部材により接合され、第二領域に金属メッキが設けられている。このため、接合部材と金属メッキとが接触することによる、金属メッキのクラックや、接合部材のクラックがない。また、接合部材のフィレットを第一領域内に設けることも可能となり、フィレットが形成された場合でも、当該フィレットが金属メッキに接することがない。したがって、金属メッキによる第一部材の耐食性を維持できるとともに、第一部材及び透光部材の接合強度及び気密性の向上を図れる。
本発明の光学筐体の製造方法は、開口部を有する第一部材、前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材、及び前記第一部材に設けられた金属メッキを備えた光学筐体の製造方法であって、前記第一部材は、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れ、かつ前記透光部材の外周縁に沿ったラインと、前記開口部の開口縁との間の第一領域、及び前記第一領域以外の第二領域を有し、当該製造方法は、前記第一部材の前記第二領域に前記金属メッキを形成するメッキ工程と、前記開口部を覆う前記透光部材を前記第一部材の前記第一領域に接合する接合工程と、を実施することを特徴とする。
本発明では、メッキ工程により、第二領域に金属メッキを形成する。このメッキの形成方法としては、例えば第一部材全体に金属メッキを形成した後、エッチングや研磨等の各種手法により第一領域の前記メッキを除去してもよく、例えば第一領域に対応する部分をマスクした後、前記メッキを形成してもよい。そして、接合工程において、第一領域内で透光部材と第一部材とを接合部材により接合する。ここで、第一領域は、透光部材の外周縁よりも所定寸法外側に離れたラインから、開口部の開口縁までの領域に設定されている。したがって、透光部材の外周縁に沿ってフィレットを形成した場合でも、当該フィレットが金属メッキに接することがなく、フィレット及び金属メッキの接触による接合部材のクラックがない。これにより、第一部材及び透光部材を強い接合強度、高い実気密性で接合することができる。
第一実施形態の光学フィルターデバイスの概略を示す平面図。 第一実施形態の光学フィルターデバイスの断面図。 第一実施形態の波長可変干渉フィルターの平面図。 第一実施形態の波長可変干渉フィルターの断面図。 第一実施形態のリッドの一部を拡大した拡大断面図。 第一実施形態の光学フィルターデバイスの製造工程を示すフローチャート。 第二実施形態のリッドの一部を拡大した拡大断面図。 第三実施形態のリッドの一部を拡大した拡大断面図。 各実施形態における光学フィルターデバイスの内部圧力の変化を示す図。 第四実施形態の測色装置の概略構成を示すブロック図。 電子機器の一例であるガス検出装置の概略構成を示す図。 図11のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図。 電子機器の一例である食物分析装置の概略構成を示す図。 電子機器の一例である分光カメラの概略構成を示す図。
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態を図面に基づいて説明する。
[光学フィルターデバイスの構成]
図1は、本発明の光学デバイスの一実施形態である、光学フィルターデバイス600の概略構成を示す平面図である。また、図2は、当該光学フィルターデバイス600の断面図である。
光学フィルターデバイス600は、入射した検査対象光から、所定の目的波長の光を取り出して射出させる装置であり、筐体610(本発明の光学筐体)と、筐体610の内部に収納される波長可変干渉フィルター5を備えている。このような光学フィルターデバイス600は、例えば測色センサー等の光学モジュールや、測色装置やガス分析装置等の電子機器に組み込むことができる。なお、光学フィルターデバイス600を備えた光学モジュールや電子機器の構成については、後に詳述する。
[波長可変干渉フィルターの構成]
波長可変干渉フィルター5は、本発明の光学素子の一例である。
図3は、筐体610内部に収納された波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図であり、図4は、図3のIV−IV線で切断した、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図3に示すように、本発明の基板に相当する固定基板51及び可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラスや、水晶等により形成されている。そして、これらの固定基板51及び可動基板52は、図4に示すように、接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。具体的には、固定基板51の第一接合部513、及び可動基板52の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜等により構成された接合膜53により接合されている。
なお、以降の説明に当たり、固定基板51又は可動基板52の基板厚み方向から見た平面視、つまり、固定基板51、接合膜53、及び可動基板52の積層方向から波長可変干渉フィルター5を見た平面視を、フィルター平面視と称する。
固定基板51には、図4に示すように、本発明の一対の反射膜の一方を構成する固定反射膜54が設けられている。また、可動基板52には、本発明の一対の反射膜の他方を構成する可動反射膜55が設けられている。これらの固定反射膜54及び可動反射膜55は、反射膜間ギャップG1を介して対向配置されている。
そして、波長可変干渉フィルター5には、反射膜間ギャップG1の距離(寸法)を調整するのに用いられる静電アクチュエーター56が設けられている。この静電アクチュエーター56は、固定基板51に設けられた固定電極561と、可動基板52に設けられた可動電極562と、を備え、各電極561,562が対向することにより構成されている。これらの固定電極561,可動電極562は、電極間ギャップを介して対向する。ここで、これらの電極561,562は、それぞれ固定基板51及び可動基板52の基板表面に直接設けられる構成であってもよく、他の膜部材を介して設けられる構成であってもよい。
なお、本実施形態では、反射膜間ギャップG1が電極間ギャップよりも小さく形成される構成を例示するが、例えば波長可変干渉フィルター5により透過させる波長域によっては、反射膜間ギャップG1を電極間ギャップよりも大きく形成してもよい。
また、フィルター平面視において、固定基板51の辺C1−C2は、可動基板52の辺C1´−C2´よりも外側に突出し、固定側電装部514を構成する。また、可動基板52の辺C3´−C4´は、固定基板51の辺C3−C4よりも外側に突出し、可動側電装部524を構成する。
(固定基板の構成)
固定基板51には、エッチングにより電極配置溝511及び反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561及び可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
電極配置溝511は、フィルター平面視で、固定基板51のフィルター中心点Oを中心とした環状に形成されている。反射膜設置部512は、前記平面視において、電極配置溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成されている。この電極配置溝511の溝底面は、固定電極561が配置される電極設置面511Aとなる。また、反射膜設置部512の突出先端面は、反射膜設置面512Aとなる。
また、固定基板51には、電極配置溝511から固定側電装部514までの領域、及び電極配置溝511から辺C3−C4までの領域に接続電極溝511Bが設けられている。なお、本実施形態では、電極設置面511A、接続電極溝511Bの底部、及び固定側電装部514の表面は同一平面となる。
電極設置面511Aには、静電アクチュエーター56を構成する固定電極561が設けられている。より具体的には、固定電極561は、電極設置面511Aのうち、後述する可動部521の可動電極562に対向する領域に設けられている。また、固定電極561上に、固定電極561及び可動電極562の間の絶縁性を確保するための絶縁膜が積層される構成としてもよい。
そして、固定基板51には、固定電極561の外周縁に接続された固定接続電極563が設けられている。この固定接続電極563は、電極配置溝511から固定側電装部514に向かう接続電極溝511B、固定側電装部514に亘って設けられている。この固定接続電極563は、固定側電装部514において、後述する内側端子部に電気的に接続される固定電極パッド563Pを構成する。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、フィルター中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。その他、固定反射膜54上に透明電極を設ける構成や、導電性の固定反射膜54を用い、当該固定反射膜54から固定側電装部514に接続電極を形成してもよく、この場合、固定電極561として、接続電極の位置に応じて、一部が切り欠かれた構成などとしてもよい。
反射膜設置部512は、上述したように、電極配置溝511と同軸上で、電極配置溝511よりも小さい径寸法となる略円柱状に形成され、当該反射膜設置部512の可動基板52に対向する反射膜設置面512Aを備えている。
この反射膜設置部512には、図4に示すように、固定反射膜54が設置されている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO、低屈折層をSiOとした誘電体多層膜を用いてもよい。更に、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(又は合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiOやSiO等)と金属膜(又は合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
また、固定基板51の光入射面(固定反射膜54が設けられない面)には、固定反射膜54に対応する位置に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、固定基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
そして、固定基板51の可動基板52に対向する面のうち、エッチングにより、電極配置溝511、反射膜設置部512、及び接続電極溝511Bが形成されない面は、第一接合部513を構成する。この第一接合部513には、第一接合膜531が設けられ、この第一接合膜531が、可動基板52に設けられた第二接合膜532に接合されることで、上述したように、固定基板51及び可動基板52が接合される。
(可動基板の構成)
可動基板52は、フィルター中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、を備えている。
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成される。この可動部521は、フィルター平面視において、少なくとも反射膜設置面512Aの外周縁の径寸法よりも大きい径寸法に形成されている。そして、この可動部521には、可動電極562及び可動反射膜55が設けられている。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。
可動電極562は、ギャップG2を介して固定電極561に対向し、固定電極561と同一形状となる環状に形成されている。この可動電極562は、固定電極561とともに静電アクチュエーター56を構成する。また、可動基板52には、可動電極562の外周縁に接続された可動接続電極564が設けられている。この可動接続電極564は、可動部521から、固定基板51の辺C3−C4側に設けられた接続電極溝511Bに対向する位置、可動側電装部524に亘って設けられ、可動側電装部524において、内側端子部に電気的に接続される可動電極パッド564Pを構成する。
可動反射膜55は、可動部521の可動面521Aの中心部に、固定反射膜54とギャップG1を介して対向して設けられる。この可動反射膜55としては、上述した固定反射膜54と同一の構成の反射膜が用いられる。
なお、本実施形態では、上述したように、ギャップG2がギャップG1の寸法よりも大きい例を示すがこれに限定されない。例えば、測定対象光として赤外線や遠赤外線を用いる場合等、測定対象光の波長域によっては、ギャップG1の寸法が、ギャップG2の寸法よりも大きくなる構成としてもよい。
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイアフラムであり、可動部521よりも厚み寸法が小さく形成されている。このような保持部522は、可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により、可動部521を固定基板51側に変位させることが可能となる。この際、可動部521が保持部522よりも厚み寸法が大きく、剛性が大きくなるため、保持部522が静電引力により固定基板51側に引っ張られた場合でも、可動部521の形状変化が起こらない。したがって、可動部521に設けられた可動反射膜55の撓みも生じず、固定反射膜54及び可動反射膜55を常に平行状態に維持することが可能となる。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、フィルター中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
可動基板52において、第一接合部513に対向する領域は、第二接合部523となる。この第二接合部523には、第二接合膜532が設けられ、上述したように、第二接合膜532が第一接合膜531に接合されることで、固定基板51及び可動基板52が接合さる。
[筐体の構成]
筐体610は、図1及び図2に示すように、本発明の第二部材に相当するベース620と、本発明の第一部材に相当するリッド630と、を備えている。これらのベース620及びリッド630が接合されることで、内部に収容空間が形成され、この収容空間内に波長可変干渉フィルター5が収納される。
(ベースの構成)
ベース620は、例えばセラミック等により構成されている。このベース620は、台座部621と、側壁部622と、を備える。
台座部621は、フィルター平面視において例えば矩形状の外形を有する平板状に構成されており、この台座部621の外周部から側壁部622がリッド630に向かって立ち上がる。
台座部621は、厚み方向に貫通する第一開口部623を備えている。この第一開口部623は、台座部621に波長可変干渉フィルター5を収容した状態で、第一開口部623の開口面に対する法線方向から見た平面視において、反射膜54,55と重なる領域を含むように設けられている。
また、台座部621のリッド630とは反対側の面(ベース外側面621B)には、第一開口部623を覆う第一ガラス部材627が接合されている。台座部621と第一ガラス部材627との接合は、例えば、ガラス原料を高温で熔解し、急冷したガラスのかけらであるガラスフリット(低融点ガラス)を用いた低融点ガラス接合、エポキシ樹脂等による接着などを利用できる。本実施形態では、収容空間内が減圧下に維持された状態で気密に維持する。したがって、台座部621及び第一ガラス部材627は、低融点ガラス接合を用いて接合されることが好ましい。
また、台座部621のリッド630に対向する内面(ベース内側面621A)には、波長可変干渉フィルター5の各電極パッド563P,564Pに接続される内側端子部624が設けられている。内側端子部624と、各電極パッド563P,564Pとは、例えばワイヤーボンディングにより、Au等のワイヤーを用いて接続される。なお、本実施形態では、ワイヤーボンディングを例示するが、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits)等を用いてもよい。
また、台座部621は、内側端子部624が設けられる位置に、貫通孔625が形成されている。内側端子部624は、貫通孔625を介して、台座部621のベース外側面621Bに設けられた外側端子部626に接続されている。
側壁部622は、台座部621の縁部から立ち上がり、ベース内側面621Aに載置された波長可変干渉フィルター5の周囲を覆っている。側壁部622のリッド630に対向する面(接合端面622A)は、例えばベース内側面621Aに平行な平坦面となる。
そして、ベース620には、例えば接着剤等の固定材を用いて、波長可変干渉フィルター5が固定される。この際、波長可変干渉フィルター5は、台座部621に対して固定されていてもよく、側壁部622に対して固定されていてもよい。固定材を設ける位置としては、複数個所であってもよいが、固定材の応力が波長可変干渉フィルター5に伝達するのを抑制するべく、1か所で波長可変干渉フィルター5を固定することが好ましい。
(リッドの構成)
図5は、リッド630の一部を拡大した拡大断面図である。
リッド630は、リッド630の厚み方向から見た平面視において、台座部621と同様の矩形状の外形を有する板状部材である。リッド630は、例えばコバール等の合金又は金属により構成することができ、本実施形態では、コバールにより構成される。
リッド630は、図1、図2に示すように、リッド630の厚み方向に沿って貫通する第二開口部631(本発明の開口部に相当)を有する。この第二開口部631は、ベース620に波長可変干渉フィルター5が載置された状態で、第二開口部631の開口面に対する法線方向から見た平面視において、反射膜54,55と重なる領域を含むように設けられている。
そして、リッド630の外周面には、第二開口部631を覆って、第二ガラス部材632(本発明の透光部材に相当)が接合されている。
また、リッド630の表面には、金属メッキ633が被覆形成されている。
図1において、ラインLは、リッド630に第二ガラス部材632が接合された状態で、リッド30を第二開口部631の開口面に対する法線方向から見た平面視において、第二ガラス部材632の外周縁から外側(第二開口部631から離れる側)に所定寸法離れ、かつ、第二ガラス部材632の外周縁に沿った仮想ラインである。本実施形態では、ラインLから第二開口部631までの領域(第一領域Ar1)において、第二ガラス部材632がリッド630に接合され、この第一領域Ar1内には金属メッキ633が設けられない。金属メッキ633は、第一領域Ar1以外の領域(第二領域Ar2)に設けられており、好ましくは、第二領域Ar2全体に設けられる。
ここで、金属メッキ633は、可能な限りリッド630を覆うことが好ましい。したがって、ラインLと第二ガラス部材632の外周縁との距離(前記所定寸法)は、可能な限り小さく(ラインLが可能な限り第二ガラス部材632の外周縁近傍にある)、かつ、第二ガラス部材632を低融点ガラス634により接合した際に低融点ガラス634のフィレットが形成された場合でも、金属メッキ633と低融点ガラス634とが接しない距離であることが好ましい。つまり、ラインLは、低融点ガラスのフィレットと接しない程度に、第二ガラス部材632の外周縁に最も近い位置に設定される。
また、第二ガラス部材632は、第一領域Ar1内において、リッド630に低融点ガラス634により接合される。
低融点ガラス634は、図5に示すように、第二ガラス部材632のリッド630に対向する対向面632Aから、第二ガラス部材632の外周縁に沿う側面632B(対向面632Aに対して直交する面)に亘って接する。つまり、第二ガラス部材632の外周縁に亘って、第一領域Ar1内において、低融点ガラス634のフィレット634Aが設けられる。
上述したように、金属メッキ633は、第二領域Ar2に設けられるため、第一領域Ar1に設けられた低融点ガラス634は、金属メッキ633に接しない。
金属メッキ633は、上記のように、第二領域Ar2を覆って設けられている。金属メッキ633としては、リッド630に対して密着性が高い素材が選択され、本実施形態では、コバール製のリッド630に対して、ニッケルを含有した金属メッキ633が用いられている。
そして、リッド630は、ベース620の接合端面622Aに対して接合されている。この接合には、例えば金属ロウ等による接合の他、シーム接合や、レーザー溶接接合等を用いることができる。これにより、ベース620及びリッド630が接合されることで、波長可変干渉フィルター5を収容する収容空間が気密に封止される。
[光学フィルターデバイスの製造]
上述したような光学フィルターデバイス600の製造方法について説明する。
図6は、本実施形態の光学フィルターデバイス600の筐体610の製造工程を示すフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態では、ベース形成工程、フィルター固定工程、リッド形成工程、筐体接合工程により製造される。
ベース形成工程では、第一開口部623及び貫通孔625が開口形成されたセラミックシートを積層し、更に、側壁部622に対応したセラミックシートを積層し、これらを焼成する。これにより、台座部621及び側壁部622を有するベース620の基本形状が形成される。
この後、貫通孔625を導電性部材(例えば、金属ペースト等)により埋め、台座部621のベース内側面621Aに内側端子部624を形成し、ベース外側面621Bに外側端子部626を形成する。これにより、貫通孔625における気密性が維持される。
そして、ベース外側面621Bに、第一開口部623を覆う第一ガラス部材627を、低融点ガラスを用いて接合する。
フィルター固定工程では、ベース620のベース内側面621A、又は側壁部622に接着剤等の固定材を塗布する。そして、波長可変干渉フィルター5の反射膜54,55が第一開口部623の開口領域内に配置されるようにアライメントを行うとともに、波長可変干渉フィルター5を固定材により固定する。この際、波長可変干渉フィルター5の固定基板51を固定材により固定することで、固定材の応力による可動部521の傾斜等を抑制できる。
この後、波長可変干渉フィルター5の各電極パッド563P,564Pと、ベース620の内側端子部624とをワイヤーボンディングにより接続する。
リッド形成工程では、まず、第二開口部631が設けられたコバール製のリッド630に対して、金属メッキ633を形成する(メッキ工程)。
この際、リッド630において、ラインLから第二開口部631の開口縁までの第一領域Ar1以外の第二領域Ar2に金属メッキ633を形成する。具体的には、リッド630の第一領域Ar1をマスクした後、リッド630の全面に金属メッキ633を塗布し、その後、マスクを除去する。
なお、メッキ方法としてはこれに限定されず、例えば、リッド630の全面に金属メッキ633を形成した後、エッチングや研磨等により、第一領域Ar1の金属メッキ633のみを除去してもよい。
この後、リッド630の第一領域Ar1の第二ガラス部材632に対向する面に、溶融状態の低融点ガラス634を設け、第二ガラス部材632を接合する(接合工程)。
この際、第二ガラス部材632をリッド630側に押圧することで、低融点ガラス634が第二ガラス部材632の外周縁より外側にはみ出し(第一領域Ar1内)、側面632Bに沿って這い上がることで、フィレット634Aが形成される。
以上により、リッド630が形成される。
筐体接合工程では、ベース620及びリッド630を接合する。ベース620及びリッド630の接合は、例えば、真空チャンバー装置等によって真空雰囲気に設定された環境下で、シーム接合により実施される。なお、接合方法としては、上述したように、金属ロウを用いた接合、レーザー溶接接合等、各種接合方法を用いることができる。
以上により、光学フィルターデバイス600が製造される。
[第一実施形態の作用効果]
本実施形態では、リッド630の表面における第一領域Ar1に対して金属メッキ633が設けられておらず、第二領域Ar2に金属メッキ633が設けられている。このため、第二ガラス部材632を低融点ガラス634によりリッド630に接合する際に、第二ガラス部材632の外周縁に沿って、低融点ガラス634のフィレット634Aを形成しても、金属メッキ633と低融点ガラス634との接触が生じない。したがって、低融点ガラス634及び金属メッキ633の接触による金属メッキ633の劣化やクラック、低融点ガラス634のクラック等が発生しない。
また、低融点ガラス634による接合時にフィレット634Aが形成されることで、リッド630及び第二ガラス部材632の接合強度をより強くでき、気密性も高めることができる。したがって、ベース620及びリッド630により形成される収容空間の気密性を維持できる。
また、本実施形態では、収容空間内に波長可変干渉フィルター5が収容される。
波長可変干渉フィルター5は、静電アクチュエーター56に電圧を印加して駆動させる際に、反射膜54,55間に空気が存在すると、応答性が低下し、反射膜54,55が金属膜である場合は、酸化等の問題もある。これに対して、本実施形態では、上述のように、筐体610の内部の気密性が高く、真空状態を長期間維持することができる。したがって、波長可変干渉フィルター5の駆動応答性の低下を抑制でき、また、反射膜54,55の劣化も抑制できる。
[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記第一実施形態では、リッド630及び第二ガラス部材632との接合において、低融点ガラス634のみを用いていた。これに対して、本実施形態では、更に樹脂部材を用いる点で、上記第一実施形態と相違する。
図7は、第二実施形態の光学フィルターデバイス600Aにおけるリッド630の一部を拡大した拡大断面図である。なお、以降の実施形態の説明に当たり、既に説明した構成については、同一符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
本実施形態の光学フィルターデバイス600Aでは、図7に示すように、リッド630と第二ガラス部材632との接合部分に対して、更に樹脂性の接着材(樹脂部材635)で覆い、接合強度を向上させている。
具体的には、樹脂部材635は、第二ガラス部材632の上面632Cにおける外周部から、低融点ガラス634のフィレット634Aの表面、及びリッド630の第一領域Ar1を覆っている。したがって、リッド630は、第二領域Ar2において金属メッキ633により覆われ、第一領域Ar1において低融点ガラス634又は樹脂部材635により覆われることになる。この際、図7に示すように、樹脂部材635により、金属メッキ633のラインLに沿う端部を覆う構成とすることで金属メッキ633の剥がれを抑制できる。
[第二実施形態の作用効果]
本実施形態では、樹脂部材635により、低融点ガラス634の第二ガラス部材632及びリッド630に接していない面(フィレット634Aの表面)が覆われている。このため、低融点ガラス634での接合の気密性を更に向上させることができる。
また、樹脂部材635は、第二ガラス部材632の上面から、リッド630の第一領域Ar1までを覆っている。したがって、樹脂部材635の硬化時の収縮力により、第二ガラス部材632がリッド630側に付勢されることになり、接合強度を強化することができる。
更に、樹脂部材635は、第一領域Ar1を覆っている。つまり、リッド630の表面は、金属メッキ633、低融点ガラス634、樹脂部材635のいずれかにより覆われる。このため、リッド630の耐食性を向上させることができる。
[第三実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記第二実施形態では、第二ガラス部材632の側面632Bからフィレット634Aが形成され、樹脂部材635によりフィレット634Aの表面を覆う例を示した。これに対して、第三実施形態では、樹脂部材635が第二ガラス部材632とリッド630との間に入り込むことで更なる接合強度の向上を図っている。
図8は、第三実施形態の光学フィルターデバイス600Bにおけるリッド630の一部を拡大した拡大断面図である。
本実施形態の第二ガラス部材632は、図8に示すように、第一領域Ar1において、リッド630に対向する対向面632D(平面部)と、対向面632Dの端部632D1に連続し、当該第二ガラス部材632の外周縁に向かうに従ってリッド630から離れる方向に傾斜する傾斜面632E(斜面部)と、側面632Bと、上面632Cとを含んで構成されている。
また、低融点ガラス634は、図8に示すように、対向面632Dとリッド630との間に設けられ、端部632D1から外側に向かうフィレット634Bを形成し、リッド630及び第二ガラス部材632を接合する。すなわち、第二ガラス部材632の傾斜面632Eとリッド630との間に隙間が生じる。
そして、本実施形態の樹脂部材635は、第二ガラス部材632の上面632Cにおける外周部から、側面632B、及び傾斜面632E、低融点ガラス634のフィレット634Bの表面、及びリッド630の第一領域Ar1を覆っている。
つまり、樹脂部材635は、第二ガラス部材632とリッド630との間で、低融点ガラス634が設けられていない領域に入り込む構成となる。
[第三実施形態の作用効果]
本実施形態では、樹脂部材635が、第二ガラス部材632の上面632Cから傾斜面632Eを挟む構成となり、樹脂硬化時の収縮力により、第二ガラス部材632をリッド630側に付勢する付勢力がより大きくなる。このため、第二実施形態に比べて、更に強い接合強度、高い気密性を得ることができる。
[各実施形態における接合強度]
図9は、上記各実施形態における光学フィルターデバイス600,600A,600Bの内部圧力の変化を示す図である。図9において、データAは、リッドの全面に金属メッキを形成した上で、低融点ガラスにより第二ガラス部材を接合した光学フィルターデバイスの内部圧力の変化である。データBは、第一実施形態の光学フィルターデバイス600、データCは、第二実施形態の光学フィルターデバイス600A、データDは、第三実施形態の光学フィルターデバイス600Bの内部圧力の変化を示す。
図9に示すように、リッドの全面に金属メッキを施し、その上から低融点ガラスにより第二ガラス部材を接合すると、金属メッキにクラックが発生し、当該クラックにより気密性が大きく低下する。このため、時間経過とともに10Pa/dayの割合で内部圧力が変化した。これに対して、光学フィルターデバイス600では、0.2Pa/day、光学フィルターデバイス600Aでは、0.1Pa/day、光学フィルターデバイス600Bでは、0.05Pa/dayの内部圧力の変化量となり、気密性が良好に維持された。
[第四実施形態]
次に、本発明に係る第四実施形態について、図面に基づいて説明する。
第四実施形態では、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600が組み込まれた光学モジュールである測色センサー3、及び光学フィルターデバイス600が組み込まれた電子機器である測色装置1を説明する。なお、光学フィルターデバイス600の代わりに、第二及び第三実施形態の光学フィルターデバイス600A,600Bが組み込まれてもよい。
[測色装置の概略構成]
図10は、測色装置1の概略構成を示すブロック図である。
測色装置1は、本発明の電子機器である。この測色装置1は、図10に示すように、検査対象Xに光を射出する光源装置2と、測色センサー3(光学モジュール)と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4と、を備える。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出され検査対象Xにて反射された検査対象光を測色センサー3にて受光する。そして、測色装置1は、受光した測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Xの色を分析して測定する装置である。
[光源装置の構成]
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図10には1つのみ記載)を備え、検査対象Xに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Xに向かって射出する。なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Xが液晶パネル等の発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
[測色センサーの構成]
測色センサー3は、本発明の光学モジュールを構成し、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600を備えている。この測色センサー3は、図10に示すように、光学フィルターデバイス600と、光学フィルターデバイス600を透過した光を受光する検出部31と、波長可変干渉フィルター5の透過光の波長を変更する電圧制御部32と、を備える。
また、測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、検査対象Xで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、光学フィルターデバイス600内の波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
検出部31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。ここで、検出部31は、例えば回路基板311を介して、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
また、この回路基板311には、筐体610のベース外側面621Bに形成された外側端子部626が接続されており、回路基板311に形成された回路を介して、電圧制御部32に接続されている。
このような構成では、回路基板311を介して、光学フィルターデバイス600及び検出部31を一体的に構成でき、測色センサー3の構成を簡略化することができる。
電圧制御部32は、回路基板311を介して光学フィルターデバイス600の外側端子部626に接続される。そして、電圧制御部32は、制御装置4から入力される制御信号に基づいて、固定電極パッド563P及び可動電極パッド564P間に所定のステップ電圧を印加することで、静電アクチュエーター56を駆動させる。これにより、電極間ギャップに静電引力が発生し、保持部522が撓むことで、可動部521が固定基板51側に変位し、反射膜間ギャップG1を所望の寸法に設定することが可能となる。
[制御装置の構成]
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューター等を用いることができる。
そして、制御装置4は、図10に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、及び測色処理部43等を備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター56への印加電圧を設定する。
測色処理部43は、検出部31により検出された受光量から、検査対象Xの色度を分析する。
[第四実施形態の作用効果]
本実施形態の測色装置1は、上記第一実施形態のような光学フィルターデバイス600を備えている。上述したように、光学フィルターデバイス600は、収容空間の気密性が高く、内部圧力の変化を抑制することができる。したがって、波長可変干渉フィルター5の設置環境を減圧下に維持することができ、波長可変干渉フィルター5を駆動した際の高い応答性を維持することができる。また、反射膜54,55の劣化も抑制でき、分解能の低下も抑制できる。
したがって、上記のような光学フィルターデバイス600を備えた測色センサー3及び測色装置1においても、性能低下を抑制でき、長期に亘って、高分解能で取り出された目的波長の光を検出することができ、正確な色分析処理を実施することができる。
[実施形態の変形]
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記各実施形態では、リッド630の第二領域Ar2全体に金属メッキ633が設けられる例を示したが、これに限定されない。例えば、第二領域Ar2の一部に金属メッキ633が設けられる構成などとしてもよい。
上記実施形態では、第一部材をリッド630とし、第二部材をベース620としたが、これに限定されない。例えば、第一部材が光学素子を設置するベースであり、例えばコバール等の合金や金属により構成されていてもよい。この場合、第一部材に設けられた第一開口部を塞ぐ第一ガラス部材が透光部材となり、その接合において、本発明を適用することができる。
上記実施形態では、第一部材であるリッド630をコバール、透光部材である第二ガラス部材632をガラス、金属メッキ633をニッケル含有メッキにより構成する例を示したが、これに限定されない。透光部材及び第一部材は、熱膨張係数が同程度である素材を適宜選択して使用することができる。また、金属メッキに関しても、第一部材との密着性が良好であるものを適宜選択して使用することができる。
例えば、赤外光を分析対象の光とする場合では、透光部材として、赤外光を透過可能なシリコンにより構成されていてもよい。また、第一部材であるリッド630として、コバール以外に、例えばアロイやアルミ等により構成されていてもよい。さらに、金属メッキ633として、ニッケルを含有するメッキ以外に、例えば、亜鉛を含有したメッキ等を用いてもよい。
さらに、上記実施形態では、第一部材であるリッド630と、透光部材である第二ガラス部材632とを低融点ガラスにより接合する例を示したが、これに限定されない。例えば、第一部材と透光部材とがエポキシ樹脂等の接合部材により接合されていてもよい。接合部材としては、第一部材や透光部材と熱膨張係数が同程度である材料を選択することが好ましい。
第三実施形態において、第二ガラス部材632が、対向面632Dの端部632D1に連続した平面状の傾斜面632Eを有する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、傾斜面632Eが曲面状であってもよく、複数の傾斜面632Eを備える構成などとしてもよい。また、例えば、対向面632Dと平行で、リッド630からの距離が異なる複数の平坦面が階段状に設けられる構成などとしてもよい。いずれの構成でも、第二ガラス部材632とリッド630との間に樹脂部材635を充填させることができ、接合強度及び気密性の向上を図れる。
上記各実施形態において、第二開口部631の開口面に対する法線方向から見た平面視で、透光部材である第二ガラス部材632が矩形状である構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第二ガラス部材632が円形や多角形等、他の形状に形成されていてもよく、第二開口部631を覆う形状であれば、どのような形状であってもよい。また、第二開口部631も、矩形状に限定されず、円形や多角形等、他の形状であってもよい。
また、仮想ラインLも、第二ガラス部材632の形状に応じて設定されればよく、例えば曲線を含んでいてもよい。
また、上記各実施形態では、本発明に係る光学素子として、波長可変干渉フィルターや干渉フィルターを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、光学素子としては、光の反射方向を精密に変化させることができるミラーデバイス等を例示できる。
さらに、光学素子として波長可変干渉フィルター5を例示したが、静電アクチュエーター56が設けられず、反射膜54,55間のギャップ寸法が固定である干渉フィルターを用いてもよい。
また、本発明の電子機器として、第四実施形態において測色装置1を例示したが、その他、様々な分野により本発明の光学デバイス、光学モジュール、電子機器を用いることができる。
例えば、特定物質の存在を検出するための光ベースのシステムとして用いることができる。このようなシステムとしては、例えば、本発明の光学デバイスが備える波長可変干渉フィルターを用いた分光計測方式を採用して特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器等のガス検出装置を例示できる。
このようなガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
図11は、波長可変干渉フィルターを備えたガス検出装置の一例を示す概略図である。
図12は、図11のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図11に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、及び排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、光学フィルターデバイス600、及び受光素子137(検出部)等を含む検出装置と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。なお、光学フィルターデバイス600の代わりに、第二及び第三実施形態における光学フィルターデバイス600A,600Bを用いてもよい。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,レンズ135D,レンズ135Eと、により構成されている。
また、図11に示すように、ガス検出装置100の表面には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が二次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
更に、ガス検出装置100の制御部138は、図12に示すように、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149及び排出手段133を制御する排出ドライバー回路150等を備えている。
次に、上記のようなガス検出装置100の動作について、以下に説明する。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
そして、例えば利用者により操作パネル140が操作され、操作パネル140から検出処理を開始する旨の指示信号が信号処理部144へ出力されると、まず、信号処理部144は、光源ドライバー回路145に光源作動の信号を出力して光源135Aを作動させる。光源135Aが駆動されると、光源135Aから単一波長で直線偏光の安定したレーザー光が射出される。また、光源135Aには、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、その情報が信号処理部144へ出力される。そして、信号処理部144は、光源135Aから入力された温度や光量に基づいて、光源135Aが安定動作していると判断すると、排出ドライバー回路150を制御して排出手段133を作動させる。これにより、検出すべき標的物質(ガス分子)を含んだ気体試料が、吸引口120Aから、吸引流路120B、センサーチップ110内、排出流路120C、排出口120Dへと誘導される。
なお、吸引口120Aには、除塵フィルター120A1が設けられ、比較的大きい粉塵や一部の水蒸気等が除去される。
また、センサーチップ110は、金属ナノ構造体が複数組み込まれ、局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサーである。このようなセンサーチップ110では、レーザー光により金属ナノ構造体間で増強電場が形成され、この増強電場内にガス分子が入り込むと、分子振動の情報を含んだラマン散乱光及びレイリー散乱光が発生する。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が光学フィルターデバイス600に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5に印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
なお、図11及び図12において、ラマン散乱光を光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5により分光して分光されたラマン散乱光からガス検出を行うガス検出装置100を例示した。この他、ガス検出装置として、ガス固有の吸光度を検出することでガス種別を特定するガス検出装置として用いてもよい。この場合、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光学モジュールとして用いる。そして、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の電子機器とする。このような構成でも、波長可変干渉フィルターを用いてガスの成分を検出することができる。
また、特定物質の存在を検出するためのシステムとして、上記のようなガスの検出に限られず、近赤外線分光による糖類の非侵襲的測定装置や、食物や生体、鉱物等の情報の非侵襲的測定装置等の、物質成分分析装置を例示できる。
以下に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
図13は、光学フィルターデバイス600を利用した電子機器の一例である食物分析装置の概略構成を示す図である。
この食物分析装置200は、図13に示すように、検出器210(光学モジュール)と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する光学フィルターデバイス600と、分光された光を検出する撮像部213(検出部)と、を備えている。なお、光学フィルターデバイス600の代わりに、第二及び第三実施形態における光学フィルターデバイス600A,600Bを用いてもよい。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部221と、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
この食物分析装置200は、システムを駆動させると、光源制御部221により光源211が制御されて、光源211から測定対象物に光が照射される。そして、測定対象物で反射された光は、撮像レンズ212を通って光学フィルターデバイス600に入射する。光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5は電圧制御部222の制御により所望の波長を分光可能な電圧が印加されており、分光された光が、例えばCCDカメラ等により構成される撮像部213で撮像される。また、撮像された光は分光画像として、記憶部225に蓄積される。また、信号処理部224は、電圧制御部222を制御して波長可変干渉フィルター5に印加する電圧値を変化させ、各波長に対する分光画像を取得する。
そして、信号処理部224は、記憶部225に蓄積された各画像における各画素のデータを演算処理し、各画素におけるスペクトルを求める。また、記憶部225には、例えばスペクトルに対する食物の成分に関する情報が記憶されており、信号処理部224は、求めたスペクトルのデータを、記憶部225に記憶された食物に関する情報を基に分析し、検出対象に含まれる食物成分、及びその含有量を求める。また、得られた食物成分及び含有量から、食物カロリーや鮮度等をも算出することができる。更に、画像内のスペクトル分布を分析することで、検査対象の食物の中で鮮度が低下している部分の抽出等をも実施することができ、更には、食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。
そして、信号処理部224は、上述のようにして得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
また、図13において、食物分析装置200の例を示すが、略同様の構成により、上述したようなその他の情報の非侵襲的測定装置としても利用することができる。例えば、血液等の体液成分の測定、分析等、生体成分を分析する生体分析装置として用いることができる。このような生体分析装置としては、例えば血液等の体液成分を測定する装置として、エチルアルコールを検知する装置とすれば、運転者の飲酒状態を検出する酒気帯び運転防止装置として用いることができる。また、このような生体分析装置を備えた電子内視鏡システムとしても用いることができる。
更には、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
更には、本発明の波長可変干渉フィルター、光学モジュール、電子機器としては、以下のような装置に適用することができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられた波長可変干渉フィルターにより特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
また、電子機器としては、波長可変干渉フィルターにより光を分光することで、分光画像を撮像する分光カメラ、分光分析機等にも適用できる。このような分光カメラの一例として、波長可変干渉フィルターを内蔵した赤外線カメラが挙げられる。
図14は、分光カメラの概略構成を示す模式図である。分光カメラ300は、図14に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330(検出部)と、を備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、図14に示すように、対物レンズ321、結像レンズ322、及びこれらのレンズ間に設けられた光学フィルターデバイス600を備えて構成されている。なお、光学フィルターデバイス600の代わりに、第二及び第三実施形態における光学フィルターデバイス600A,600Bを用いてもよい。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
更には、波長可変干渉フィルターをバンドパスフィルターとして用いた光学デバイスとしても利用できる。例えば、発光素子が射出する所定波長域の光のうち、所定の波長を中心とした狭帯域の光のみを波長可変干渉フィルターで分光して透過させる光学式レーザー装置としても用いることができる。
また、本発明の光学デバイスに収容された波長可変干渉フィルターを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩等の認証装置にも適用できる。
更には、光学モジュール及び電子機器を、濃度検出装置として用いることができる。この場合、波長可変干渉フィルターにより、物質から射出された赤外エネルギー(赤外光)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
上記に示すように、本発明の光学デバイス、光学モジュール及び電子機器は、入射光から所定の光を分光するいかなる装置にも適用することができる。そして、上記光学デバイスは、上述のように、1デバイスで複数の波長を分光させることができるため、複数の波長のスペクトルの測定、複数の成分に対する検出を精度よく実施することができる。したがって、複数デバイスにより所望の波長を取り出す従来の装置に比べて、光学モジュールや電子機器の小型化を促進でき、例えば、携帯用や車載用の電子機器に好適に利用できる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造等に適宜変更してもよい。
1…測色装置、3…測色センサー、4…制御装置、5…波長可変干渉フィルター、31…検出部、54…固定反射膜、55…可動反射膜、100…ガス検出装置、137…受光素子、138…制御部、200…食物分析装置、213…撮像部、220…制御部、300…分光カメラ、600,600A,600B…光学フィルターデバイス、610…筐体(光学筐体)、620…ベース(第二部材)、630…リッド(第一部材)、631…第二開口部、632…第二ガラス部材(透光部材)、632A…対向面、632B…側面、632C…上面、632D…対向面(平面部)、632D1…端部、632E…傾斜面(斜面部)、633…金属メッキ、634…低融点ガラス、634A…フィレット、634B…フィレット、635…樹脂部材、Ar1…第一領域、Ar2…第二領域、L…ライン。

Claims (11)

  1. 光受光面又は光出射面を有する光学素子と、
    開口部を有する第一部材と、
    前記第一部材とともに前記光学素子を収容可能な収容空間を形成する第二部材と、
    前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材と、
    前記第一部材に設けられた金属メッキと、を備え、
    前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れた位置に設けられている
    ことを特徴とする光学デバイス。
  2. 請求項1に記載の光学デバイスにおいて、
    前記透光部材は、低融点ガラスにより前記第一部材に接合されている
    ことを特徴とする光学デバイス。
  3. 請求項2に記載の光学デバイスにおいて、
    前記低融点ガラスの前記透光部材及び前記第一部材に接しない面を覆う樹脂部材を備えている
    ことを特徴とする光学デバイス。
  4. 請求項3に記載の光学デバイスにおいて、
    前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に前記所定寸法離れ、かつ前記透光部材の外周縁に沿ったラインから前記開口部の開口縁までの領域以外の領域を覆って設けられ、
    前記樹脂部材は、前記ライン及び前記開口部の開口縁の間の領域のうち、前記低融点ガラスが設けられない領域を覆っている
    ことを特徴とする光学デバイス。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の光学デバイスにおいて、
    前記透光部材は、前記第一部材に対向する平面部と、前記平面部から当該透光部材の外周縁側に連続し、当該透光部材の外周縁に向かうに従って前記第一部材から離れる方向に傾斜する斜面部と、を備え、
    前記低融点ガラスは、前記平面部及び前記第一部材の間に設けられ、
    前記樹脂部材は、前記透光部材の前記斜面部に接している
    ことを特徴とする光学デバイス。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学デバイスにおいて、
    前記透光部材は、ガラスであり、
    前記第一部材は、コバールであり、
    前記金属メッキは、ニッケルを含む
    ことを特徴とする光学デバイス。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の光学デバイスにおいて、
    前記光学素子は、互いに対向する一対の反射膜を備えた干渉フィルターである
    ことを特徴とする光学デバイス。
  8. 互いに対向する一対の反射膜を備えた干渉フィルター、開口部を有する第一部材、前記第一部材とともに前記干渉フィルターを収容可能な収容空間を形成する第二部材、前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材、及び前記第一部材に設けられた金属メッキ、を備えた光学デバイスと、
    前記干渉フィルターから出射された光を受光する受光部と、を備え、
    前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れた位置に設けられている
    ことを特徴とする光学モジュール。
  9. 互いに対向する一対の反射膜を備えた干渉フィルター、開口部を有する第一部材、前記第一部材とともに前記干渉フィルターを収容可能な収容空間を形成する第二部材、前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材、及び前記第一部材に設けられた金属メッキ、を備えた光学デバイスと、
    前記干渉フィルターを制御する制御部と、を備え、
    前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れた位置に設けられている
    ことを特徴とする電子機器。
  10. 開口部を有する第一部材と、
    前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材と、
    前記第一部材に設けられた金属メッキと、を備え、
    前記金属メッキは、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れた位置に設けられている
    ことを特徴とする光学筐体。
  11. 開口部を有する第一部材、前記開口部を覆い、前記第一部材に接合された透光部材、及び前記第一部材に設けられた金属メッキを備えた光学筐体の製造方法であって、
    前記第一部材は、前記開口部の開口面に対する法線方向から見た平面視において、前記透光部材の外周縁よりも前記開口部から離れる側に所定寸法離れ、かつ前記透光部材の外周縁に沿ったラインと、前記開口部の開口縁との間の第一領域、及び前記第一領域以外の第二領域を有し、
    当該製造方法は、
    前記第一部材の前記第二領域に前記金属メッキを形成するメッキ工程と、
    前記開口部を覆う前記透光部材を前記第一部材の前記第一領域に接合する接合工程と、
    を実施することを特徴とする光学筐体の製造方法。
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