JP2015227968A - 光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び光学フィルターデバイスの製造方法 - Google Patents
光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び光学フィルターデバイスの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】干渉フィルターの分解能の低下を抑制できる光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び光学フィルターデバイスの製造方法を提供する。【解決手段】光学フィルターデバイス600は、基板(固定基板及び可動基板)を備える波長可変干渉フィルター5と、ベース620と、基板の厚み方向に見た平面視における、基板の端部の一箇所に設けられ、波長可変干渉フィルター5をベース620に固定する第一固定部材640と、上記端部の一箇所を固定端とした波長可変干渉フィルター5の振動で振幅が最大となる位置において波長可変干渉フィルター5をベース620に固定し、かつ第一固定部材640より剛性が小さい第二固定部材641と、を備えた。【選択図】図1
Description
本発明は、光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び光学フィルターデバイスの製造方法に関する。
従来、一対の基板の互いに対向する面に、それぞれ反射膜を所定のギャップを介して対向配置した干渉フィルターを筐体内に収納した光学フィルターデバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の光学フィルターデバイスでは、筐体は、干渉フィルターが固定部材で固定されるベース基板を備えている。干渉フィルターの基板は、ベース基板に対向する対向面の一箇所で、当該ベース基板に対して接着固定されている。
特許文献1に記載の光学フィルターデバイスでは、筐体は、干渉フィルターが固定部材で固定されるベース基板を備えている。干渉フィルターの基板は、ベース基板に対向する対向面の一箇所で、当該ベース基板に対して接着固定されている。
この光学フィルターデバイスでは、例えば接着剤を用いて接着固定した場合でも、基板の対向面の略全面を接着した構成と比べて、接着剤から受ける応力を小さくすることができる。すなわち、基板の対向面の接着面積が小さいほど、硬化時に収縮する接着剤からの引張応力や、基板とベース基板との熱膨張係数差により生じる応力の影響を抑制することができる。
しかしながら、干渉フィルターの基板を一箇所で固定しているため、例えば、光学フィルターデバイスに、干渉フィルターの固有振動数に近い周波数の外乱が加わると、当該干渉フィルターが、固定箇所を中心として振動する場合がある。このような振動が生じると、基板が歪んだり、捻じれたりすることにより、反射膜間のギャップの寸法の反射面に沿った面内の均一性が低下するため、干渉フィルターの分解能が低下するという課題がある。
本発明の目的は、干渉フィルターの分解能の低下を抑制できる光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び光学フィルターデバイスの製造方法を提供することである。
本発明の一適用例である光学フィルターデバイスは、基板を備える干渉フィルターと、ベース部と、前記基板の厚み方向に見た平面視における、前記基板の端部の一箇所に設けられ、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定する第一固定部材と、前記端部の一箇所を固定端とした前記干渉フィルターの振動で振幅が最大となる位置において前記干渉フィルターを前記ベース部に固定し、かつ前記第一固定部材より剛性が小さい第二固定部材と、を備えたことを特徴とする。
本適用例では、干渉フィルターは、第一固定部材と第二固定部材とによりベース部に対して固定されている。この第二固定部材は、干渉フィルターが、第一固定部材によって基板の一箇所で固定された際に生じる振動の振幅が最大となる位置に設けられている。
ここで、干渉フィルターの基板を第一固定部材のみの一箇所で固定した場合、この位置を固定端とした基板厚み方向の振動が生じるおそれがある。例えば、干渉フィルターには、固定端を節とした振動(1次モード振動)が生じる場合がある。このような振動が干渉フィルターに生じると、上述のように、干渉フィルターの分解能が低下するおそれがある。
また、このような分解能の低下の影響を避けるため、ベース部に対する干渉フィルターの振動が収束して、干渉フィルターの分解能が所望の範囲となるまで待機することも考えられる。しかしながら、この場合、干渉フィルターから所望波長の光を出射させるまでの時間(待機時間)が長くなる。
これに対して、本適用例では、干渉フィルターの上記振幅が最大となる位置に第二固定部材を設けることにより、振動振幅が低減され、干渉フィルターの振動を抑制できる。これにより、干渉フィルターの分解能の低下を抑制でき、かつ、上記待機時間を短縮できる。
また、本適用例では、第二固定部材は、第一固定部材よりも剛性が小さい。これにより、基板とベース部との熱膨張係数差により、第一固定部材及び第二固定部材における熱膨張の膨張量(又は収縮量)に差が生じたとしても、第二固定部材が変形することで、基板の歪みを抑制でき、干渉フィルターの分解能低下を抑制できる。
以上から、本適用例によれば、上記振幅が最大となる位置に、第一固定部材よりも剛性が小さい第二固定部材を設けることで、上記振動の抑制と、熱膨張係数差による基板の歪みの抑制とを両立でき、干渉フィルターの分解能の低下を好適に抑制できる。
ここで、干渉フィルターの基板を第一固定部材のみの一箇所で固定した場合、この位置を固定端とした基板厚み方向の振動が生じるおそれがある。例えば、干渉フィルターには、固定端を節とした振動(1次モード振動)が生じる場合がある。このような振動が干渉フィルターに生じると、上述のように、干渉フィルターの分解能が低下するおそれがある。
また、このような分解能の低下の影響を避けるため、ベース部に対する干渉フィルターの振動が収束して、干渉フィルターの分解能が所望の範囲となるまで待機することも考えられる。しかしながら、この場合、干渉フィルターから所望波長の光を出射させるまでの時間(待機時間)が長くなる。
これに対して、本適用例では、干渉フィルターの上記振幅が最大となる位置に第二固定部材を設けることにより、振動振幅が低減され、干渉フィルターの振動を抑制できる。これにより、干渉フィルターの分解能の低下を抑制でき、かつ、上記待機時間を短縮できる。
また、本適用例では、第二固定部材は、第一固定部材よりも剛性が小さい。これにより、基板とベース部との熱膨張係数差により、第一固定部材及び第二固定部材における熱膨張の膨張量(又は収縮量)に差が生じたとしても、第二固定部材が変形することで、基板の歪みを抑制でき、干渉フィルターの分解能低下を抑制できる。
以上から、本適用例によれば、上記振幅が最大となる位置に、第一固定部材よりも剛性が小さい第二固定部材を設けることで、上記振動の抑制と、熱膨張係数差による基板の歪みの抑制とを両立でき、干渉フィルターの分解能の低下を好適に抑制できる。
本適用例の光学フィルターデバイスにおいて、前記第二固定部材は、前記平面視において、前記第一固定部材から最も離れた位置に設けられていることが好ましい。
本適用例では、干渉フィルターは、第一固定部材による固定位置から最も離れた位置(以下、最遠部とも称する)において、第二固定部材によって固定されている。すなわち、第二固定部材は、上述の1次モード振動の振幅が最大となる位置に設けられている。
このような構成では、干渉フィルターの一端を第一固定部材で固定したことによって1次モード振動が生じたとしても、最遠部に第二固定部材を設けることにより、その振幅を低減でき、1次モード振動を好適に抑制することができる。
本適用例では、干渉フィルターは、第一固定部材による固定位置から最も離れた位置(以下、最遠部とも称する)において、第二固定部材によって固定されている。すなわち、第二固定部材は、上述の1次モード振動の振幅が最大となる位置に設けられている。
このような構成では、干渉フィルターの一端を第一固定部材で固定したことによって1次モード振動が生じたとしても、最遠部に第二固定部材を設けることにより、その振幅を低減でき、1次モード振動を好適に抑制することができる。
本適用例の光学フィルターデバイスにおいて、前記平面視において、前記第二固定部材よりも前記第一固定部材に近い位置に設けられ、前記第一固定部材よりも剛性が小さい第三固定部材を備えたことが好ましい。
本適用例では、第三固定部材は、第二固定部材よりも第一固定部材に近い位置に設けられている。干渉フィルターに発生する振動としては、上記1次モード振動以外に、固定端と最遠部とを結ぶ仮想線に対して交差する方向に捻じれる振動(2次モード振動)や、屈曲する振動(3次モード振動等)が生じる場合がある。これに対して本適用例では、第三固定部材によって、上記2次モード振動や3次モード振動の振幅を低減でき、これらの振動を抑制することができる。
また、本適用例では、第三固定部材は、第一固定部材よりも剛性が小さい。これにより、第二固定部材と同様に、基板とベース部との熱膨張係数差により、基板に作用する応力を抑制でき、干渉フィルターの分解能が低下することを抑制できる。
本適用例では、第三固定部材は、第二固定部材よりも第一固定部材に近い位置に設けられている。干渉フィルターに発生する振動としては、上記1次モード振動以外に、固定端と最遠部とを結ぶ仮想線に対して交差する方向に捻じれる振動(2次モード振動)や、屈曲する振動(3次モード振動等)が生じる場合がある。これに対して本適用例では、第三固定部材によって、上記2次モード振動や3次モード振動の振幅を低減でき、これらの振動を抑制することができる。
また、本適用例では、第三固定部材は、第一固定部材よりも剛性が小さい。これにより、第二固定部材と同様に、基板とベース部との熱膨張係数差により、基板に作用する応力を抑制でき、干渉フィルターの分解能が低下することを抑制できる。
本適用例の光学フィルターデバイスにおいて、前記第二固定部材は、前記第三固定部材よりも剛性が小さいことが好ましい。
ここで、第一固定部材からより離れた位置ほど、第一固定部材の固定位置に対する上記膨張量(又は収縮量)の差がより大きくなる。
これに対して、本発明では、第一固定部材から第三固定部材より離れた位置に設けられた第二固定部材は、当該第三固定部材よりも剛性が小さい。このため、第二固定部材の変形量を第三固定部材よりも大きくすることができ、基板及びベース部の熱膨張係数差によって加わる基板への応力を抑制でき、干渉フィルターの分解能の低下を抑制できる。
ここで、第一固定部材からより離れた位置ほど、第一固定部材の固定位置に対する上記膨張量(又は収縮量)の差がより大きくなる。
これに対して、本発明では、第一固定部材から第三固定部材より離れた位置に設けられた第二固定部材は、当該第三固定部材よりも剛性が小さい。このため、第二固定部材の変形量を第三固定部材よりも大きくすることができ、基板及びベース部の熱膨張係数差によって加わる基板への応力を抑制でき、干渉フィルターの分解能の低下を抑制できる。
本適用例の光学フィルターデバイスにおいて、前記第三固定部材は、前記平面視において、前記第一固定部材及び前記第二固定部材による各固定位置を通る仮想線に対して最も離れ、かつ前記第一固定部材から最も離れた位置に設けられていることが好ましい。
本適用例では、第三固定部材は、第一固定部材及び第二固定部材による各固定位置を通る仮想線に対して、上記平面視で最も離れた位置のうち、第一固定部材からも最も離れた位置に設けられている。すなわち、上記2次モード振動や3次モード振動においては、前記仮想線が節となり、仮想線から最も遠い点が振動振幅が最大となる自由端となるので、この位置に第三固定部材を設けることで効率よく振動を低減することができる。
本適用例では、第三固定部材は、第一固定部材及び第二固定部材による各固定位置を通る仮想線に対して、上記平面視で最も離れた位置のうち、第一固定部材からも最も離れた位置に設けられている。すなわち、上記2次モード振動や3次モード振動においては、前記仮想線が節となり、仮想線から最も遠い点が振動振幅が最大となる自由端となるので、この位置に第三固定部材を設けることで効率よく振動を低減することができる。
本適用例の光学フィルターデバイスにおいて、前記第二固定部材及び前記第三固定部材は、前記干渉フィルターの前記厚み方向に沿った側面に設けられていることが好ましい。
ここで、固定部材を基板の厚み方向に交差する面、例えば、ベース部に対向する対向面に設けた場合、基板とベース部との熱膨張係数差により膨張量(又は収縮量)に差が生じると、当該膨張量(又は収縮量)の差に応じた曲げモーメントが、各固定部材から干渉フィルターに作用する場合がある。そして、この曲げモーメントによって、反射膜に歪みが生じ、分解能が低下するおそれがある。
これに対して、本発明では、各固定部材が干渉フィルターの側面をベース部に固定している。このような構成では、膨張量(又は収縮量)の差が生じた場合に、各固定部材から干渉フィルターに曲げモーメントが作用することを抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
ここで、固定部材を基板の厚み方向に交差する面、例えば、ベース部に対向する対向面に設けた場合、基板とベース部との熱膨張係数差により膨張量(又は収縮量)に差が生じると、当該膨張量(又は収縮量)の差に応じた曲げモーメントが、各固定部材から干渉フィルターに作用する場合がある。そして、この曲げモーメントによって、反射膜に歪みが生じ、分解能が低下するおそれがある。
これに対して、本発明では、各固定部材が干渉フィルターの側面をベース部に固定している。このような構成では、膨張量(又は収縮量)の差が生じた場合に、各固定部材から干渉フィルターに曲げモーメントが作用することを抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
本適用例の光学フィルターデバイスにおいて、前記干渉フィルターは、互いに対向する一対の反射膜と、前記一対の反射膜のギャップ寸法を変更するギャップ変更部と、を有し、前記基板は、前記一対の反射膜のいずれか一方が設けられる第一基板と、前記一対の反射膜の他方が設けられる第二基板とを含み、前記ギャップ変更部は、前記第二基板を前記第一基板側に撓ませることで、前記ギャップ寸法を変更することが好ましい。
本適用例では、干渉フィルターは、基板が第一基板及び第二基板を含み、第一基板に一対の反射膜の一方が設けられ、第二基板に一対の反射膜の他方が設けられている。そして、干渉フィルターには、第二基板を第一基板側に撓ませて一対の反射膜のギャップ寸法を変更するギャップ変更部が設けられている。このような構成の干渉フィルターは、第二基板を撓ませることで反射膜間のギャップの寸法を変更し、当該寸法に応じた波長を選択的に出射させることができる。
ところで、上記のような波長可変型の干渉フィルターは、第二基板のばね力に基づいた固有振動数を有する。また、上記のような波長可変型の干渉フィルターでは、ギャップ変更部の駆動によって、干渉フィルター全体が振動することもある。ここで、このようなギャップ変更部に起因する振動や、外部から光学フィルターデバイスに加わる外乱振動による上記1次モード振動や2次モード振動の振動数と、干渉フィルターの固有振動数とが近い値となると、共振によりギャップ寸法の変動が大きくなるという課題がある。
これに対して、本適用例では、上述のように、第一固定部材に加えて、第二固定部材を設けることで、1次モード振動や2次モード振動の振動数を、固有振動数から遠ざけることができ、干渉フィルターの振動や共振を抑制できる。
本適用例では、干渉フィルターは、基板が第一基板及び第二基板を含み、第一基板に一対の反射膜の一方が設けられ、第二基板に一対の反射膜の他方が設けられている。そして、干渉フィルターには、第二基板を第一基板側に撓ませて一対の反射膜のギャップ寸法を変更するギャップ変更部が設けられている。このような構成の干渉フィルターは、第二基板を撓ませることで反射膜間のギャップの寸法を変更し、当該寸法に応じた波長を選択的に出射させることができる。
ところで、上記のような波長可変型の干渉フィルターは、第二基板のばね力に基づいた固有振動数を有する。また、上記のような波長可変型の干渉フィルターでは、ギャップ変更部の駆動によって、干渉フィルター全体が振動することもある。ここで、このようなギャップ変更部に起因する振動や、外部から光学フィルターデバイスに加わる外乱振動による上記1次モード振動や2次モード振動の振動数と、干渉フィルターの固有振動数とが近い値となると、共振によりギャップ寸法の変動が大きくなるという課題がある。
これに対して、本適用例では、上述のように、第一固定部材に加えて、第二固定部材を設けることで、1次モード振動や2次モード振動の振動数を、固有振動数から遠ざけることができ、干渉フィルターの振動や共振を抑制できる。
本発明の一適用例である光学モジュールは、基板を備える干渉フィルターと、ベース部と、前記基板の厚み方向に見た平面視における、前記基板の端部の一箇所に設けられ、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定する第一固定部材と、前記端部の一箇所を固定端とした前記干渉フィルターの振動で振幅が最大となる位置において前記干渉フィルターを前記ベース部に固定し、かつ前記第一固定部材より剛性が小さい第二固定部材と、前記干渉フィルターにより取り出された光を検出する検出部と、を備えたことを特徴とする。
本適用例では、上記のように、光学フィルターデバイスにおける干渉フィルターの分解能の低下を抑制でき、分解能を維持した状態で光学フィルターデバイスから光を出射させることができる。したがって、光学モジュールにおいて、受光部で高い分解能で、所望波長の光の光量を検出することができる。
本適用例では、上記のように、光学フィルターデバイスにおける干渉フィルターの分解能の低下を抑制でき、分解能を維持した状態で光学フィルターデバイスから光を出射させることができる。したがって、光学モジュールにおいて、受光部で高い分解能で、所望波長の光の光量を検出することができる。
本発明の一適用例である電子機器は、基板を備える干渉フィルターと、ベース部と、前記基板の厚み方向に見た平面視における、前記基板の端部の一箇所に設けられ、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定する第一固定部材と、前記端部の一箇所を固定端とした前記干渉フィルターの振動で振幅が最大となる位置において前記干渉フィルターを前記ベース部に固定し、かつ前記第一固定部材より剛性が小さい第二固定部材と、前記干渉フィルターを制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
本適用例では、上記のように、光学フィルターデバイスにおける干渉フィルターの分解能の低下を抑制でき、分解能を維持した状態で光学フィルターデバイスから光を出射させることができる。したがって、光学フィルターデバイスから出力される高い分解能の光に基づいた、高精度な処理を実施可能な電子機器を提供できる。
本適用例では、上記のように、光学フィルターデバイスにおける干渉フィルターの分解能の低下を抑制でき、分解能を維持した状態で光学フィルターデバイスから光を出射させることができる。したがって、光学フィルターデバイスから出力される高い分解能の光に基づいた、高精度な処理を実施可能な電子機器を提供できる。
本発明の一適用例である光学フィルターデバイスの製造方法は、基板を備える干渉フィルターと、ベース部と、を備える光学フィルターデバイスの製造方法であって、前記基板の厚み方向に見た平面視における、前記基板の端部の一箇所に第一固定部材を設け、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定し、前記端部の一箇所を固定端とした前記干渉フィルターの振動で振幅が最大となる位置に、前記第一固定部材よりも剛性が小さい第二固定部材を設け、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定することを特徴とする。
ここで、通常、接着剤等の固定部材は熱負荷が大きいほど硬化し、剛性が増大する。このような固定部材を用いて、干渉フィルターをベース部に対して固定する本発明では、剛性が大きい第一固定部材による固定工程を、剛性が小さい第二固定部材による固定工程よりも先に実施する。これにより、第二固定部材への熱負荷の増大を抑制でき、第二固定部材の剛性が所望の値よりも大きくなることを抑制できる。したがって、分解能の低下を抑制可能な本発明の光学フィルターデバイスを製造することができる。
ここで、通常、接着剤等の固定部材は熱負荷が大きいほど硬化し、剛性が増大する。このような固定部材を用いて、干渉フィルターをベース部に対して固定する本発明では、剛性が大きい第一固定部材による固定工程を、剛性が小さい第二固定部材による固定工程よりも先に実施する。これにより、第二固定部材への熱負荷の増大を抑制でき、第二固定部材の剛性が所望の値よりも大きくなることを抑制できる。したがって、分解能の低下を抑制可能な本発明の光学フィルターデバイスを製造することができる。
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態を図面に基づいて説明する。
[光学フィルターデバイスの構成]
図1は、本発明の光学フィルターデバイスの第一実施形態である、光学フィルターデバイス600の概略構成を示す平面図である。図2は、図1のA−A線における断面図である。
光学フィルターデバイス600は、入射した検査対象光から、所定の目的波長の光を取り出して射出させる装置であり、筐体610と、筐体610の内部に収納される波長可変干渉フィルター5を備えている。このような光学フィルターデバイス600は、例えば測色センサー等の光学モジュールや、測色装置やガス分析装置等の電子機器に組み込むことができる。なお、光学フィルターデバイス600を備えた光学モジュールや電子機器の構成については、後に詳述する。
以下、本発明に係る第一実施形態を図面に基づいて説明する。
[光学フィルターデバイスの構成]
図1は、本発明の光学フィルターデバイスの第一実施形態である、光学フィルターデバイス600の概略構成を示す平面図である。図2は、図1のA−A線における断面図である。
光学フィルターデバイス600は、入射した検査対象光から、所定の目的波長の光を取り出して射出させる装置であり、筐体610と、筐体610の内部に収納される波長可変干渉フィルター5を備えている。このような光学フィルターデバイス600は、例えば測色センサー等の光学モジュールや、測色装置やガス分析装置等の電子機器に組み込むことができる。なお、光学フィルターデバイス600を備えた光学モジュールや電子機器の構成については、後に詳述する。
[波長可変干渉フィルターの構成]
図3は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図である。図4は、図3のB−B線で切断した波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図3及び図4に示すように、本発明の第一基板に相当する固定基板51、及び本発明の第二基板に相当する可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば各種ガラスや、水晶等により形成されており、本実施形態では、石英ガラスにより構成されるものとする。そして、これらの基板51,52は、図4に示すように、接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。具体的には、固定基板51の第一接合部513、及び可動基板52の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜等により構成された接合膜53により接合されている。
なお、以降の説明に当たり、固定基板51又は可動基板52の基板厚み方向から見た平面視、つまり、固定基板51、接合膜53、及び可動基板52の積層方向から波長可変干渉フィルター5を見た平面視を、フィルター平面視と称する。
図3は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図である。図4は、図3のB−B線で切断した波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図3及び図4に示すように、本発明の第一基板に相当する固定基板51、及び本発明の第二基板に相当する可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば各種ガラスや、水晶等により形成されており、本実施形態では、石英ガラスにより構成されるものとする。そして、これらの基板51,52は、図4に示すように、接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。具体的には、固定基板51の第一接合部513、及び可動基板52の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜等により構成された接合膜53により接合されている。
なお、以降の説明に当たり、固定基板51又は可動基板52の基板厚み方向から見た平面視、つまり、固定基板51、接合膜53、及び可動基板52の積層方向から波長可変干渉フィルター5を見た平面視を、フィルター平面視と称する。
固定基板51には、図4に示すように、本発明の一対の反射膜の一方を構成する固定反射膜54が設けられている。また、可動基板52には、本発明の一対の反射膜の他方を構成する可動反射膜55が設けられている。これらの固定反射膜54及び可動反射膜55は、反射膜間ギャップG1を介して対向配置されている。
そして、波長可変干渉フィルター5には、反射膜54,55間のギャップG1の距離(ギャップ寸法)を調整するのに用いられる、本発明のギャップ変更部に相当する静電アクチュエーター56が設けられている。この静電アクチュエーター56は、固定基板51に設けられた固定電極561と、可動基板52に設けられた可動電極562と、を備え、各電極561,562が対向することにより構成されている。これらの固定電極561,可動電極562は、電極間ギャップを介して対向する。ここで、これらの電極561,562は、それぞれ固定基板51及び可動基板52の基板表面に直接設けられる構成であってもよく、他の膜部材を介して設けられる構成であってもよい。
なお、本実施形態では、反射膜間ギャップG1が電極間ギャップよりも小さく形成される構成を例示するが、例えば波長可変干渉フィルター5により透過させる波長域によっては、反射膜間ギャップG1を電極間ギャップよりも大きく形成してもよい。
また、フィルター平面視において、可動基板52の一辺側(例えば、図3における辺C3−C4)は、固定基板51の辺C3´−C4´よりも外側に突出する。この可動基板52の突出部分は、固定基板51と接合されない電装部525であり、波長可変干渉フィルター5を固定基板51側から見た際に露出する面は、後述する電極パッド564P,565Pが設けられる電装面524となる。
同様に、フィルター平面視において、固定基板51の一辺側(電装部525とは反対側)は、可動基板52よりも外側に突出する。
そして、波長可変干渉フィルター5には、反射膜54,55間のギャップG1の距離(ギャップ寸法)を調整するのに用いられる、本発明のギャップ変更部に相当する静電アクチュエーター56が設けられている。この静電アクチュエーター56は、固定基板51に設けられた固定電極561と、可動基板52に設けられた可動電極562と、を備え、各電極561,562が対向することにより構成されている。これらの固定電極561,可動電極562は、電極間ギャップを介して対向する。ここで、これらの電極561,562は、それぞれ固定基板51及び可動基板52の基板表面に直接設けられる構成であってもよく、他の膜部材を介して設けられる構成であってもよい。
なお、本実施形態では、反射膜間ギャップG1が電極間ギャップよりも小さく形成される構成を例示するが、例えば波長可変干渉フィルター5により透過させる波長域によっては、反射膜間ギャップG1を電極間ギャップよりも大きく形成してもよい。
また、フィルター平面視において、可動基板52の一辺側(例えば、図3における辺C3−C4)は、固定基板51の辺C3´−C4´よりも外側に突出する。この可動基板52の突出部分は、固定基板51と接合されない電装部525であり、波長可変干渉フィルター5を固定基板51側から見た際に露出する面は、後述する電極パッド564P,565Pが設けられる電装面524となる。
同様に、フィルター平面視において、固定基板51の一辺側(電装部525とは反対側)は、可動基板52よりも外側に突出する。
(固定基板の構成)
固定基板51には、図4に示すように、エッチングにより電極配置溝511及び反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561及び可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
固定基板51には、図4に示すように、エッチングにより電極配置溝511及び反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561及び可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
電極配置溝511は、フィルター平面視で、固定基板51のフィルター中心点Oを中心とした環状に形成されている(図3参照)。この電極配置溝511の溝底面は、固定電極561が配置される電極設置面511Aとなる。
反射膜設置部512は、前記平面視において、電極配置溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成されている。この反射膜設置部512の突出先端面は、反射膜設置面512Aとなる。
反射膜設置部512は、前記平面視において、電極配置溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成されている。この反射膜設置部512の突出先端面は、反射膜設置面512Aとなる。
電極設置面511Aには、静電アクチュエーター56を構成する固定電極561が設けられている。この固定電極561は、電極設置面511Aのうち、後述する可動部521の可動電極562に対向する領域に設けられている。また、固定電極561上に、固定電極561及び可動電極562の間の絶縁性を確保するための絶縁膜が積層される構成としてもよい。
そして、固定基板51には、図3に示すように、固定電極561の外周縁に接続された固定引出電極563が設けられている。この固定引出電極563は、電極配置溝511から辺C3´−C4´側(電装部525側)に向かって形成された接続電極溝(図示略)に沿って設けられている。この接続電極溝には、可動基板52側に向かって突設されたバンプ565Aが設けられ、固定引出電極563は、バンプ565A上まで延出する。そして、バンプ565A上で可動基板52側に設けられた固定接続電極565に当接し、電気的に接続される。この固定接続電極565は、接続電極溝に対向する領域から電装面524まで延出し、電装面524において固定電極パッド565Pを構成する。
そして、固定基板51には、図3に示すように、固定電極561の外周縁に接続された固定引出電極563が設けられている。この固定引出電極563は、電極配置溝511から辺C3´−C4´側(電装部525側)に向かって形成された接続電極溝(図示略)に沿って設けられている。この接続電極溝には、可動基板52側に向かって突設されたバンプ565Aが設けられ、固定引出電極563は、バンプ565A上まで延出する。そして、バンプ565A上で可動基板52側に設けられた固定接続電極565に当接し、電気的に接続される。この固定接続電極565は、接続電極溝に対向する領域から電装面524まで延出し、電装面524において固定電極パッド565Pを構成する。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、フィルター中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。その他、固定反射膜54上に透明電極を設ける構成や、導電性の固定反射膜54を用い、当該固定反射膜54から固定側電装部に接続電極を形成してもよく、この場合、固定電極561として、接続電極の位置に応じて、一部が切り欠かれた構成などとしてもよい。
反射膜設置部512は、上述したように、電極配置溝511と同軸上で、電極配置溝511よりも小さい径寸法となる略円柱状に形成され、当該反射膜設置部512の可動基板52に対向する反射膜設置面512Aを備えている。
この反射膜設置部512には、図4に示すように、固定反射膜54が設置されている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いてもよい。さらに、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(又は合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiO2やSiO2等)と金属膜(又は合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
この反射膜設置部512には、図4に示すように、固定反射膜54が設置されている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いてもよい。さらに、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(又は合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiO2やSiO2等)と金属膜(又は合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
また、固定基板51の光入射面(固定反射膜54が設けられない面)には、固定反射膜54に対応する位置に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、固定基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
そして、固定基板51の可動基板52に対向する面のうち、エッチングにより、電極配置溝511、反射膜設置部512、及び接続電極溝が形成されない面は、第一接合部513を構成する。この第一接合部513には、第一接合膜531が設けられ、この第一接合膜531が、可動基板52に設けられた第二接合膜532に接合されることで、上述したように、固定基板51及び可動基板52が接合される。
(可動基板の構成)
可動基板52は、フィルター中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、を備えている。
可動基板52は、フィルター中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、を備えている。
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成される。この可動部521は、フィルター平面視において、少なくとも反射膜設置面512Aの外周縁の径寸法よりも大きい径寸法に形成されている。そして、この可動部521には、可動電極562及び可動反射膜55が設けられている。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。
可動電極562は、所定の電極間ギャップを介して固定電極561に対向し、固定電極561と同一形状となる環状に形成されている。この可動電極562は、固定電極561とともに静電アクチュエーター56を構成する。また、可動基板52には、可動電極562の外周縁に接続された可動接続電極564が設けられている。この可動接続電極564は、可動部521から、固定基板51に設けられた接続電極溝(図示略)に対向する位置に沿って、電装面524に亘って設けられており、電装面524において、内側端子部に電気的に接続される可動電極パッド564Pを構成する。
また、可動基板52には、上述したように、固定接続電極565が設けられており、この固定接続電極565は、バンプ565A(図3参照)の形成位置で固定引出電極563に接続されている。
また、可動基板52には、上述したように、固定接続電極565が設けられており、この固定接続電極565は、バンプ565A(図3参照)の形成位置で固定引出電極563に接続されている。
可動反射膜55は、可動部521の可動面521Aの中心部に、固定反射膜54とギャップG1を介して対向して設けられる。この可動反射膜55としては、上述した固定反射膜54と同一の構成の反射膜が用いられる。
なお、本実施形態では、上述したように、電極間ギャップが反射膜間ギャップG1の寸法よりも大きい例を示すがこれに限定されない。例えば、測定対象光として赤外線や遠赤外線を用いる場合等、測定対象光の波長域によっては、ギャップG1の寸法が、電極間ギャップの寸法よりも大きくなる構成としてもよい。
なお、本実施形態では、上述したように、電極間ギャップが反射膜間ギャップG1の寸法よりも大きい例を示すがこれに限定されない。例えば、測定対象光として赤外線や遠赤外線を用いる場合等、測定対象光の波長域によっては、ギャップG1の寸法が、電極間ギャップの寸法よりも大きくなる構成としてもよい。
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイアフラムであり、可動部521よりも厚み寸法が小さく形成されている。このような保持部522は、可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により、可動部521を固定基板51側に変位させることが可能となる。この際、可動部521が保持部522よりも厚み寸法が大きく、剛性が大きくなるため、保持部522が静電引力により固定基板51側に引っ張られた場合でも、可動部521の形状変化が起こらない。したがって、可動部521に設けられた可動反射膜55の撓みも生じず、固定反射膜54及び可動反射膜55を常に平行状態に維持することが可能となる。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、フィルター中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、フィルター中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
可動基板52において、第一接合部513に対向する領域は、第二接合部523となる。この第二接合部523には、第二接合膜532が設けられ、上述したように、第二接合膜532が第一接合膜531に接合されることで、固定基板51及び可動基板52が接合される。
[筐体の構成]
筐体610は、図2に示すように、本発明のベース部に相当するベース620と、リッド630と、を備え、内部に波長可変干渉フィルター5を収納する。
ベース620は、セラミック薄層を積層して焼成することで形成されたセラミック基板である。このベース620は、図1及び図2に示すように、ベース620は、リッド630に対向する面に、フィルター平面視において枠状となる側壁部621が設けられている。また、ベース620は、当該側壁部621に囲まれて形成された凹部622を有する。また、側壁部621のリッド630側の面であるリッド接合面621Aにリッド630が接合される。
筐体610は、図2に示すように、本発明のベース部に相当するベース620と、リッド630と、を備え、内部に波長可変干渉フィルター5を収納する。
ベース620は、セラミック薄層を積層して焼成することで形成されたセラミック基板である。このベース620は、図1及び図2に示すように、ベース620は、リッド630に対向する面に、フィルター平面視において枠状となる側壁部621が設けられている。また、ベース620は、当該側壁部621に囲まれて形成された凹部622を有する。また、側壁部621のリッド630側の面であるリッド接合面621Aにリッド630が接合される。
この凹部622の底部622Aには、可動基板52を底部622A側に向けた状態で、波長可変干渉フィルター5が載置される。
波長可変干渉フィルター5は、第一固定部材640と第二固定部材641によって、二箇所でベース620に対して固定される。
第一固定部材640は、可動基板52の頂点C4を含む角部に設けられている。この第一固定部材640は、図2に示すように、可動基板52の基板厚み方向に沿った面である基板側面52A、可動基板52のベース620に対向する面であるベース対向面52B、及びベース620の底部622Aに接している。
この第一固定部材640は、例えば、剛性が1GPa以上の、ポリイミド系の接着剤である。
波長可変干渉フィルター5は、第一固定部材640と第二固定部材641によって、二箇所でベース620に対して固定される。
第一固定部材640は、可動基板52の頂点C4を含む角部に設けられている。この第一固定部材640は、図2に示すように、可動基板52の基板厚み方向に沿った面である基板側面52A、可動基板52のベース620に対向する面であるベース対向面52B、及びベース620の底部622Aに接している。
この第一固定部材640は、例えば、剛性が1GPa以上の、ポリイミド系の接着剤である。
第二固定部材641は、第一固定部材640が設けられた頂点C4から最も離れた位置である固定基板51の頂点C2´を含む角部に設けられている。また、第二固定部材641は、図1及び図2に示すように、固定基板51の基板厚み方向に沿った基板側面51Aと、側壁部621とを接合している。
この第二固定部材641は、第一固定部材640よりも剛性が小さい部材である。第二固定部材641としては、例えば、剛性が0.01GPa以上、かつ、10GPa未満のシリコーン系の接着剤である。なお、第二固定部材641は、固定基板51やベース620に対して、剛性が100分の1以下であることが好ましい。これにより、固定基板51とベース620との間で熱膨張係数差により、膨張量(又は収縮量)に差が生じた場合、固定基板51とベース620とを接合している第二固定部材641を変形させることができ、上記熱膨張係数差に起因して固定基板51に作用する応力を抑制できる。
この第二固定部材641は、第一固定部材640よりも剛性が小さい部材である。第二固定部材641としては、例えば、剛性が0.01GPa以上、かつ、10GPa未満のシリコーン系の接着剤である。なお、第二固定部材641は、固定基板51やベース620に対して、剛性が100分の1以下であることが好ましい。これにより、固定基板51とベース620との間で熱膨張係数差により、膨張量(又は収縮量)に差が生じた場合、固定基板51とベース620とを接合している第二固定部材641を変形させることができ、上記熱膨張係数差に起因して固定基板51に作用する応力を抑制できる。
凹部622の底部622Aには、波長可変干渉フィルター5から出射された光(又は波長可変干渉フィルターに入射される光)を通過させるための光通過孔628が設けられている。光通過孔628には、例えば低融点ガラス等の接合剤により、例えばガラス板等の透光性部材629が接合されている。
また、凹部622の底部622Aには、筐体610外部に貫通する封止孔622Bが設けられている。この封止孔622Bは、光学フィルターデバイス600の製造時において、例えば筐体610内部の気体を吸引したり、不活性ガスに置換するための孔部であり、筐体610の内部を真空又は減圧した状態で、例えばAu等の封止部材622C(図2参照)により金属封止することができる。
さらに、凹部622の底部622Aには、波長可変干渉フィルターの電極パッド564P,565Pに接続される内部端子622D(図1参照)が設けられている。この内部端子622Dの形成部分には、例えば筐体610の外部に貫通する貫通孔(図示略)が設けられ、当該貫通孔には内部端子622Dと電気的に接続される例えばAg等の金属部材が充填されている。この金属部材は、ベース620の外部に設けられた外部端子(図示略)に接続されており、これにより、内部端子622Dと外部端子とが電気接続されている。
リッド630は、フィルター平面視において、ベース620と同様の矩形状の外形を有し、光を透過可能なガラスによって形成されている。このリッド630は、ベース620に波長可変干渉フィルター5が配置された状態で、リッド接合面621Aに接合される。
[波長可変干渉フィルターの振動と第二固定部材との関係]
以下、波長可変干渉フィルター5を第一固定部材640の一箇所で固定した際に生じる振動における、各モード振動について説明する。
図5は、波長可変干渉フィルター5における1次モード振動における振動状態を模式的に示す図である。
頂点C4側の一箇所で固定された波長可変干渉フィルター5では、図5に示すように1次モード振動による振動が生じる場合がある。すなわち、波長可変干渉フィルター5には、頂点C4が固定端となり、当該頂点C4の対角である頂点C2´が自由端となる基板厚み方向の振動である1次モード振動が生じる場合がある。1次モード振動では、図5に示すように、固定端である頂点C4から頂点C2´側に向かうにしたがって振幅が大きくなる。
以下、波長可変干渉フィルター5を第一固定部材640の一箇所で固定した際に生じる振動における、各モード振動について説明する。
図5は、波長可変干渉フィルター5における1次モード振動における振動状態を模式的に示す図である。
頂点C4側の一箇所で固定された波長可変干渉フィルター5では、図5に示すように1次モード振動による振動が生じる場合がある。すなわち、波長可変干渉フィルター5には、頂点C4が固定端となり、当該頂点C4の対角である頂点C2´が自由端となる基板厚み方向の振動である1次モード振動が生じる場合がある。1次モード振動では、図5に示すように、固定端である頂点C4から頂点C2´側に向かうにしたがって振幅が大きくなる。
図6は、波長可変干渉フィルター5における2次モード振動における振動状態を模式的に示す図である。
頂点C4側の一箇所や、頂点C4及び頂点C2´側の二箇所で固定された波長可変干渉フィルター5では、図6に示すように2次モード振動による振動が生じる場合がある。すなわち、フィルター平面視において頂点C4及び頂点C2´を通過する仮想線Vを軸とし、頂点C4を固定端とした捻じれによる振動が生じる場合がある。2次モード振動では、図6に示すように、各基板51,52の厚み方向に直交する面に沿って、仮想線Vから離れるにしたがって振幅が大きくなる。
頂点C4側の一箇所や、頂点C4及び頂点C2´側の二箇所で固定された波長可変干渉フィルター5では、図6に示すように2次モード振動による振動が生じる場合がある。すなわち、フィルター平面視において頂点C4及び頂点C2´を通過する仮想線Vを軸とし、頂点C4を固定端とした捻じれによる振動が生じる場合がある。2次モード振動では、図6に示すように、各基板51,52の厚み方向に直交する面に沿って、仮想線Vから離れるにしたがって振幅が大きくなる。
本実施形態では、第一固定部材640による固定位置から最も離れた位置である固定基板51の頂点C2´に第二固定部材641が設けられている。すなわち、第二固定部材641は、1次モード振動に対して、振幅が最大となる位置に設けられている。この第二固定部材641により、1次モード振動を抑制することができる。
また、第二固定部材641を設けることにより、第一固定部材640の一箇所のみで固定されている場合と比べて、第一固定部材640を固定端とする波長可変干渉フィルター5の捻じれを抑制することができ、2次モード振動を抑制することができる。
また、第二固定部材641を設けることにより、第一固定部材640の一箇所のみで固定されている場合と比べて、第一固定部材640を固定端とする波長可変干渉フィルター5の捻じれを抑制することができ、2次モード振動を抑制することができる。
[光学フィルターデバイスの製造方法]
まず、第一固定部材640を塗布する。そして、波長可変干渉フィルター5を位置合わせしながら、底部622Aに配置する。この後、第一固定部材640を硬化させる。これにより、第一固定部材640によって、波長可変干渉フィルター5をベース620に対して位置決め固定できる。
その後、第二固定部材641を塗布し、第二固定部材641を硬化させる。
このように、各固定部材による固定の工程を、固定に用いる固定部材の剛性が高い順から順次実施する。これにより、波長可変干渉フィルター5をベース620に対して固定する。
まず、第一固定部材640を塗布する。そして、波長可変干渉フィルター5を位置合わせしながら、底部622Aに配置する。この後、第一固定部材640を硬化させる。これにより、第一固定部材640によって、波長可変干渉フィルター5をベース620に対して位置決め固定できる。
その後、第二固定部材641を塗布し、第二固定部材641を硬化させる。
このように、各固定部材による固定の工程を、固定に用いる固定部材の剛性が高い順から順次実施する。これにより、波長可変干渉フィルター5をベース620に対して固定する。
この後、波長可変干渉フィルター5の各電極パッド564P,565Pと、内部端子622Dとをワイヤボンディング等により電気的に接続する。
そして、ベース620及びリッド630を、例えば低融点ガラス等を用いて接合する。
この後、封止孔622Bから筐体610内部の気体を吸引し、筐体内部空間を真空又は減圧状態とする。そして、その状態を維持したまま、例えばAu等の封止部材622Cを封止孔622Bに挿通し、溶融させて封止孔622Bを閉塞する。
以上により、本実施形態の光学フィルターデバイス600が製造される。
そして、ベース620及びリッド630を、例えば低融点ガラス等を用いて接合する。
この後、封止孔622Bから筐体610内部の気体を吸引し、筐体内部空間を真空又は減圧状態とする。そして、その状態を維持したまま、例えばAu等の封止部材622Cを封止孔622Bに挿通し、溶融させて封止孔622Bを閉塞する。
以上により、本実施形態の光学フィルターデバイス600が製造される。
[第一実施形態の作用効果]
本実施形態では、波長可変干渉フィルター5は、第一固定部材640と第二固定部材641とによりベース620に対して固定されている。この第二固定部材641は、波長可変干渉フィルター5が、第一固定部材640によって一箇所で固定された際に生じる振動、(例えば本実施形態では1次モード振動)の振幅が最大となる位置に設けられている。
ここで、波長可変干渉フィルター5を一箇所で固定した場合に、上述のように1次モード振動(図5参照)や2次モード振動(図6参照)が生じる場合がある。このような振動が波長可変干渉フィルター5に生じると、当該振動により各基板51,52が歪み、当該基板51,52に設けられた各反射膜54,55も歪むため、反射膜間のギャップG1の寸法の反射面に沿った面内均一性が低下し、波長可変干渉フィルター5の分解能が低下するおそれがある。また、発生した振動の振動数と、波長可変干渉フィルターの固有振動数(例えば、上記各モードの振動における固有振動数)とが近い場合は、波長可変干渉フィルター5が共振することにより、やはりギャップG1の寸法の面内均一性が低下して、分解能が低下するおそれがある。
また、このような分解能の低下の影響を避けるため、波長可変干渉フィルター5の振動が収束して、分解能が所望の範囲となるまで待機することも考えられる。しかしながら、この場合、波長可変干渉フィルター5から所望波長の光を出射させるまでの待機時間が長くなる。
これに対して、本実施形態では、波長可変干渉フィルター5の上記振幅が最大となる位置に第二固定部材641を設けることにより、波長可変干渉フィルター5の振動振幅を低減でき、振動を抑制できる。これにより、分解能の低下を抑制でき、かつ、上記待機時間を短縮できる。
本実施形態では、波長可変干渉フィルター5は、第一固定部材640と第二固定部材641とによりベース620に対して固定されている。この第二固定部材641は、波長可変干渉フィルター5が、第一固定部材640によって一箇所で固定された際に生じる振動、(例えば本実施形態では1次モード振動)の振幅が最大となる位置に設けられている。
ここで、波長可変干渉フィルター5を一箇所で固定した場合に、上述のように1次モード振動(図5参照)や2次モード振動(図6参照)が生じる場合がある。このような振動が波長可変干渉フィルター5に生じると、当該振動により各基板51,52が歪み、当該基板51,52に設けられた各反射膜54,55も歪むため、反射膜間のギャップG1の寸法の反射面に沿った面内均一性が低下し、波長可変干渉フィルター5の分解能が低下するおそれがある。また、発生した振動の振動数と、波長可変干渉フィルターの固有振動数(例えば、上記各モードの振動における固有振動数)とが近い場合は、波長可変干渉フィルター5が共振することにより、やはりギャップG1の寸法の面内均一性が低下して、分解能が低下するおそれがある。
また、このような分解能の低下の影響を避けるため、波長可変干渉フィルター5の振動が収束して、分解能が所望の範囲となるまで待機することも考えられる。しかしながら、この場合、波長可変干渉フィルター5から所望波長の光を出射させるまでの待機時間が長くなる。
これに対して、本実施形態では、波長可変干渉フィルター5の上記振幅が最大となる位置に第二固定部材641を設けることにより、波長可変干渉フィルター5の振動振幅を低減でき、振動を抑制できる。これにより、分解能の低下を抑制でき、かつ、上記待機時間を短縮できる。
ここで、第二固定部材641として第一固定部材640と同一の剛性を備える材料を用いた場合、波長可変干渉フィルター5は、各固定部材640,641によって二点で強固に固定されることになる。このような構成では、固定基板51とベース620との熱膨張係数差により、熱膨張の膨張量(又は収縮量)に差が生じた際に、各固定部材640,641が同じ材料のため、膨張量(又は収縮量)に対して、固定部材640,641の変形量が小さく、各基板51,52に歪みが生じる場合がある。
これに対して、本実施形態では、第二固定部材641は、第一固定部材640よりも剛性が小さい。これにより、熱膨張の膨張量(又は収縮量)に差が生じたとしても、第一固定部材640よりも剛性が小さい第二固定部材641が変形することで、各基板51,52の歪みを抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
これに対して、本実施形態では、第二固定部材641は、第一固定部材640よりも剛性が小さい。これにより、熱膨張の膨張量(又は収縮量)に差が生じたとしても、第一固定部材640よりも剛性が小さい第二固定部材641が変形することで、各基板51,52の歪みを抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
本実施形態では、波長可変干渉フィルター5は、第一固定部材640による固定位置(頂点C4)から最も離れた位置、すなわち、1次モード振動の振幅が最大となる位置で、第二固定部材641によって固定されている。これにより、波長可変干渉フィルター5に1次モード振動が生じたとしても、その振幅を低減でき、1次モード振動を好適に抑制することができる。
ここで、第二固定部材641を基板厚み方向に交差する面(例えば、ベース620に対向する下面)に設けた場合、熱膨張係数差により膨張量(又は収縮量)に差が生じると、当該膨張量(又は収縮量)の差に応じた曲げモーメントが、第二固定部材641から波長可変干渉フィルター5に作用する場合がある。そして、この曲げモーメントによって、各反射膜54,55に歪みが生じ、分解能が低下するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、第二固定部材641が波長可変干渉フィルター5の固定基板51の基板側面51Aをベース620に固定している。このような構成では、膨張量(又は収縮量)の差が生じた場合に、第二固定部材641から波長可変干渉フィルター5に曲げモーメントが作用することを抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
これに対して、本実施形態では、第二固定部材641が波長可変干渉フィルター5の固定基板51の基板側面51Aをベース620に固定している。このような構成では、膨張量(又は収縮量)の差が生じた場合に、第二固定部材641から波長可変干渉フィルター5に曲げモーメントが作用することを抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
本実施形態では、波長可変干渉フィルター5は、一対の基板51,52を備えている。この可動基板52では、可動反射膜55が形成された可動部521が、保持部522によって移動可能に保持されている。
このような波長可変干渉フィルター5が外乱等により振動した(例えば1次モード振動や2次モード振動が生じた)場合、可動部521は、波長可変干渉フィルター5と一体的に振動せずに、波長可変干渉フィルター5の振動に遅延し、追随するように振動する場合がある。このような波長可変干渉フィルター5では、可動部521及び保持部522を備えない干渉フィルターと比べて、当該振動に応じて反射膜間のギャップG1の寸法が変動しやすく、分解能が低下しやすい。
また、静電アクチュエーター56によって、可動部521を移動させた際に、その反動により波長可変干渉フィルター5に振動が発生する場合がある。そして、波長可変干渉フィルター5が振動すると、上述のように、分光精度が低下することになる。
これに対して、本実施形態では、上述のように波長可変干渉フィルター5の振動や共振を抑制できる。したがって、波長可変干渉フィルター5の振動に応じた可動部521の変動による分解能の低下を抑制できる。また、静電アクチュエーター56による可動部521の移動に応じて波長可変干渉フィルター5が共振することを抑制でき、当該共振による分解能の低下を抑制できる。
このような波長可変干渉フィルター5が外乱等により振動した(例えば1次モード振動や2次モード振動が生じた)場合、可動部521は、波長可変干渉フィルター5と一体的に振動せずに、波長可変干渉フィルター5の振動に遅延し、追随するように振動する場合がある。このような波長可変干渉フィルター5では、可動部521及び保持部522を備えない干渉フィルターと比べて、当該振動に応じて反射膜間のギャップG1の寸法が変動しやすく、分解能が低下しやすい。
また、静電アクチュエーター56によって、可動部521を移動させた際に、その反動により波長可変干渉フィルター5に振動が発生する場合がある。そして、波長可変干渉フィルター5が振動すると、上述のように、分光精度が低下することになる。
これに対して、本実施形態では、上述のように波長可変干渉フィルター5の振動や共振を抑制できる。したがって、波長可変干渉フィルター5の振動に応じた可動部521の変動による分解能の低下を抑制できる。また、静電アクチュエーター56による可動部521の移動に応じて波長可変干渉フィルター5が共振することを抑制でき、当該共振による分解能の低下を抑制できる。
本実施形態では、光学フィルターデバイス600を製造する際に、第一固定部材640による固定工程を実施した後に、第二固定部材641による固定工程を実施する。
ここで、通常、第一固定部材640及び第二固定部材641は、熱負荷が大きいほど硬化し、剛性が増大する。本実施形態では、剛性が大きい第一固定部材640による固定工程を、剛性が小さい第二固定部材641による固定工程よりも先に実施する。これにより、第二固定部材641への熱負荷の増大を抑制でき、第二固定部材の剛性が所望の値よりも大きくなることを抑制できる。したがって、分解能の低下を抑制可能な光学フィルターデバイス600を製造することができる。
ここで、通常、第一固定部材640及び第二固定部材641は、熱負荷が大きいほど硬化し、剛性が増大する。本実施形態では、剛性が大きい第一固定部材640による固定工程を、剛性が小さい第二固定部材641による固定工程よりも先に実施する。これにより、第二固定部材641への熱負荷の増大を抑制でき、第二固定部材の剛性が所望の値よりも大きくなることを抑制できる。したがって、分解能の低下を抑制可能な光学フィルターデバイス600を製造することができる。
[第一実施形態に係る実施例]
以下、第一実施形態の光学フィルターデバイス600に係る実施例について説明する。
下記表1に、光学フィルターデバイス600に係る実施例1,2と、その比較例1,2のそれぞれについて、固定部材による固定箇所の数(固定数)と、各固定部材の弾性率(剛性)とを記載している。
以下、第一実施形態の光学フィルターデバイス600に係る実施例について説明する。
下記表1に、光学フィルターデバイス600に係る実施例1,2と、その比較例1,2のそれぞれについて、固定部材による固定箇所の数(固定数)と、各固定部材の弾性率(剛性)とを記載している。
表1に示すサンプル1は、波長可変干渉フィルター5が、第一固定部材640によって、頂点C4を含む角部の一箇所でベース620に対して固定された、固定数が1の場合の比較例1である。
サンプル2,3,4は、光学フィルターデバイス600のように、二箇所で固定された、固定数が2の場合の例である。
なお、サンプル2は、各固定部材の弾性率が同値である比較例である。一方、サンプル3,4は、第一固定部材640の弾性率が、他の固定部材よりも大きい、本発明の一実施例(それぞれ実施例1,2)である。
サンプル2,3,4は、光学フィルターデバイス600のように、二箇所で固定された、固定数が2の場合の例である。
なお、サンプル2は、各固定部材の弾性率が同値である比較例である。一方、サンプル3,4は、第一固定部材640の弾性率が、他の固定部材よりも大きい、本発明の一実施例(それぞれ実施例1,2)である。
図7は、比較例1の光学フィルターデバイスにおける、反射膜間のギャップG1の寸法の周波数応答特性の一例を示すグラフである。なお、周波数応答特性は、反射膜54,55間の静電容量を検出することで測定できる。
図7に示すように、波長可変干渉フィルター5は、3kHz(周波数f1)、11kHz(周波数fm)、21kHz(周波数f2)、40kHz(周波数f3)の4箇所にピークを有する。
周波数fmは、可動基板52が有する固有振動数に相当する。すなわち、可動基板52に設けられた可動部521の振動における固有振動数である。この固有振動数は、可動部521の質量や、保持部522のばね係数等の主に可動基板52の構成に応じた値である。以下、周波数fmをミラー振動数fmとも称する。
図7に示すように、波長可変干渉フィルター5は、3kHz(周波数f1)、11kHz(周波数fm)、21kHz(周波数f2)、40kHz(周波数f3)の4箇所にピークを有する。
周波数fmは、可動基板52が有する固有振動数に相当する。すなわち、可動基板52に設けられた可動部521の振動における固有振動数である。この固有振動数は、可動部521の質量や、保持部522のばね係数等の主に可動基板52の構成に応じた値である。以下、周波数fmをミラー振動数fmとも称する。
一方、周波数f1,f2,f3は、それぞれ1次モード振動、2次モード振動、及び3次モード振動の固有振動数に相当する。なお、3次モード振動については、第二実施形態で詳述するが、仮想線Vを節とし、基板厚み方向に振動する屈曲振動である。
波長可変干渉フィルター5に振動が発生すると、当該振動により可動部521が振動し、ギャップG1の寸法が変動する。図7に示す例では、1次モード振動、2次モード振動、及び3次モード振動のそれぞれに対応するピークが検出される。このように、比較例1では、波長可変干渉フィルター5をベース620に対して一箇所で固定しているため、当該固定位置を固定端として、上記各モードの振動が発生する。
なお、以下の説明では、周波数f1を1次振動数f1、周波数f2を2次振動数f2、周波数f3を3次振動数f3とも称する。
波長可変干渉フィルター5に振動が発生すると、当該振動により可動部521が振動し、ギャップG1の寸法が変動する。図7に示す例では、1次モード振動、2次モード振動、及び3次モード振動のそれぞれに対応するピークが検出される。このように、比較例1では、波長可変干渉フィルター5をベース620に対して一箇所で固定しているため、当該固定位置を固定端として、上記各モードの振動が発生する。
なお、以下の説明では、周波数f1を1次振動数f1、周波数f2を2次振動数f2、周波数f3を3次振動数f3とも称する。
図8は、図7同様に比較例1の光学フィルターデバイスにおいて、静電アクチュエーター56を駆動させた際の、可動反射膜55の変位量(ギャップG1の変動量に相当)と、駆動開始からの経過時間との関係の一例を示すグラフである。
図8に示すように、可動反射膜55の変位量は、駆動直後で最大となり、その後、減衰するものの、所定時間Tが経過しても幅L1程度の振動が残留していることがわかる。なお、所定時間Tは、例えば、ギャップG1の寸法が所望の測定精度に対する許容範囲に安定するまでの安定化時間である。
図8に示すように、可動反射膜55の変位量は、駆動直後で最大となり、その後、減衰するものの、所定時間Tが経過しても幅L1程度の振動が残留していることがわかる。なお、所定時間Tは、例えば、ギャップG1の寸法が所望の測定精度に対する許容範囲に安定するまでの安定化時間である。
図8に示す残留振動は、静電アクチュエーター56を駆動させた際の可動部521の移動に伴い、波長可変干渉フィルター5のフィルター振動が発生し、当該フィルター振動によって、可動部521が振動するという共振現象を含む。
すなわち、1次振動数f1がミラー振動数fmよりも小さいため、静電アクチュエーター56を駆動した際に、1次モード振動が励起されやすい。その上、1次振動数f1及び2次振動数f2が、ミラー振動数fmに比較的近い値であるため、上述の共振現象が発生し易い。その結果、所定時間Tを経過しても図10に示すような大きな残留振動が存在する。
すなわち、1次振動数f1がミラー振動数fmよりも小さいため、静電アクチュエーター56を駆動した際に、1次モード振動が励起されやすい。その上、1次振動数f1及び2次振動数f2が、ミラー振動数fmに比較的近い値であるため、上述の共振現象が発生し易い。その結果、所定時間Tを経過しても図10に示すような大きな残留振動が存在する。
図9は、比較例2(サンプル2)の光学フィルターデバイスにおける、波長可変干渉フィルター5の周波数応答特性の一例を示すグラフである。
比較例2では、1次振動数f1における1次モード振動のピークが略無くなる。これは、第一固定部材640と同じ弾性率の固定部材を設けることにおり、1次モード振動が抑制されたためである。
また、2次振動数f2が大きくなり、ミラー振動数fmとの差が大きくなる。これは、2つの固定部材が、波長可変干渉フィルター5の振動に応じて変形することがない程度の高い弾性率を有し、波長可変干渉フィルター5が各固定部材によって完全固定されることにより、2次モード振動(捻じれによる振動)が抑制されるためである。
比較例2では、1次振動数f1における1次モード振動のピークが略無くなる。これは、第一固定部材640と同じ弾性率の固定部材を設けることにおり、1次モード振動が抑制されたためである。
また、2次振動数f2が大きくなり、ミラー振動数fmとの差が大きくなる。これは、2つの固定部材が、波長可変干渉フィルター5の振動に応じて変形することがない程度の高い弾性率を有し、波長可変干渉フィルター5が各固定部材によって完全固定されることにより、2次モード振動(捻じれによる振動)が抑制されるためである。
図10は、実施例2(サンプル4)の光学フィルターデバイスにおける、波長可変干渉フィルター5の周波数応答特性の一例を示すグラフである。
図10に示すように、実施例2では、比較例2と同様に、1次振動数f1における1次モード振動のピークが略無くなる。また、2次振動数f2が小さくなり、かつ、2次モード振動のピークが小さくなる。
つまり、第二固定部材641が、第一固定部材640よりも弾性率が小さいことにより、1次モード振動(1次振動数f1)による曲げ方向の振動と、2次モード振動(2次振動数f2)による捻じれ方向の振動とに対して、中間的な振動特性を有する振動が発生しやすくなる。このため、2次振動数f2が小さくなり、かつ、2次モード振動のピークが小さくなる。
以上から、干渉フィルターが、1次モード振動及び2次モード振動に対して共振することを抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
図10に示すように、実施例2では、比較例2と同様に、1次振動数f1における1次モード振動のピークが略無くなる。また、2次振動数f2が小さくなり、かつ、2次モード振動のピークが小さくなる。
つまり、第二固定部材641が、第一固定部材640よりも弾性率が小さいことにより、1次モード振動(1次振動数f1)による曲げ方向の振動と、2次モード振動(2次振動数f2)による捻じれ方向の振動とに対して、中間的な振動特性を有する振動が発生しやすくなる。このため、2次振動数f2が小さくなり、かつ、2次モード振動のピークが小さくなる。
以上から、干渉フィルターが、1次モード振動及び2次モード振動に対して共振することを抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
図11は、実施例2(サンプル4)の光学フィルターデバイスにおいて、静電アクチュエーター56を駆動させた際の、可動反射膜55の変位量と、駆動開始からの経過時間との関係の一例を示すグラフである。
また、図11に示すように、実施例2では、可動反射膜55の変位量は、図8に示す比較例1と同様に、駆動直後で最大となる。その後、本実施形態では、図8に示す比較例1とは異なり、可動反射膜55の変位量の変動が急激に減衰し、所定時間Tが経過する前に急激に減衰する。そして、所定時間Tの経過後では、可動反射膜55の変位量の変動幅は、図10の幅L1よりも小さい幅L2となる。
つまり、上述のように、干渉フィルターが、1次モード振動及び2次モード振動に対して共振することを抑制できるため、残留振動が抑制される。特に、1次モード振動が略発生しないため、静電アクチュエーター56の駆動により励起される残留振動をより好適に抑制できる。
また、図11に示すように、実施例2では、可動反射膜55の変位量は、図8に示す比較例1と同様に、駆動直後で最大となる。その後、本実施形態では、図8に示す比較例1とは異なり、可動反射膜55の変位量の変動が急激に減衰し、所定時間Tが経過する前に急激に減衰する。そして、所定時間Tの経過後では、可動反射膜55の変位量の変動幅は、図10の幅L1よりも小さい幅L2となる。
つまり、上述のように、干渉フィルターが、1次モード振動及び2次モード振動に対して共振することを抑制できるため、残留振動が抑制される。特に、1次モード振動が略発生しないため、静電アクチュエーター56の駆動により励起される残留振動をより好適に抑制できる。
図12は、各実施例及び各比較例における、静電アクチュエーター56の駆動から所定時間Tが経過した際の残留振動の振幅の一例を示すグラフである。図12では、サンプル1(比較例1;固定数1)に対する比を示している。
図13は、各実施例及び各比較例における、温度変化に伴う、波長可変干渉フィルター5からの出射光の波長における半値幅の増加率を示している。
なお、図12及び図13の各データ点の近傍には、当該データ点に対応するサンプル番号を記載している。また、サンプル5〜8(比較例3及び実施例3〜5)については、第二実施形態に係る実施例において説明する。
図13は、各実施例及び各比較例における、温度変化に伴う、波長可変干渉フィルター5からの出射光の波長における半値幅の増加率を示している。
なお、図12及び図13の各データ点の近傍には、当該データ点に対応するサンプル番号を記載している。また、サンプル5〜8(比較例3及び実施例3〜5)については、第二実施形態に係る実施例において説明する。
図12に示すように、固定数が1のサンプル1(比較例1)と比べると、固定数が2の全サンプルにおいて、残留振動の振幅が50%以下に減少している。
また、図13に示すように、第二固定材料の弾性率が小さくなるほど、半値幅の増加率が小さくなる。これは、第二固定材量の弾性率が大きいほど、固定基板51及びベース620間の熱膨張量(熱収縮量)の差の影響を受け易くなるためである。
また、例えば、サンプル2(比較例2)及びサンプル3(実施例1)の比較から、第一固定部材640よりも第二固定部材641の弾性率が小さいと、半値幅の増加率が小さくなる。これは、第二固定部材641を変形させることにより、熱膨張量(熱収縮量)の差の影響を抑制できるためである。
また、図13に示すように、第二固定材料の弾性率が小さくなるほど、半値幅の増加率が小さくなる。これは、第二固定材量の弾性率が大きいほど、固定基板51及びベース620間の熱膨張量(熱収縮量)の差の影響を受け易くなるためである。
また、例えば、サンプル2(比較例2)及びサンプル3(実施例1)の比較から、第一固定部材640よりも第二固定部材641の弾性率が小さいと、半値幅の増加率が小さくなる。これは、第二固定部材641を変形させることにより、熱膨張量(熱収縮量)の差の影響を抑制できるためである。
以上から、第二固定部材641の弾性率を、第一固定部材640よりも小さい値の範囲から適宜設定することにより、残留振動の振幅の許容範囲(例えば、図12の一点鎖線以下の範囲)や、半値幅の増加率の許容範囲(例えば、図13の一点鎖線以下の範囲)とすることができる。なお、これら許容範囲は、波長可変干渉フィルター5の分解能の所望値に応じて、適宜設定すればよい。
[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
第一実施形態では、第一固定部材640及び第二固定部材641を用いて、波長可変干渉フィルター5をベース620に対して二箇所で固定していた。これに対して、本実施形態では、第三固定部材を加えた三箇所で固定している点で相違している。
次に、本発明に係る第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
第一実施形態では、第一固定部材640及び第二固定部材641を用いて、波長可変干渉フィルター5をベース620に対して二箇所で固定していた。これに対して、本実施形態では、第三固定部材を加えた三箇所で固定している点で相違している。
図14は、本発明の光学フィルターデバイスの第二実施形態である、光学フィルターデバイス600Aの概略構成を示す平面図である。
図14に示すように、第三固定部材642は、固定基板51の頂点C1´を含む角部に設けられている。この第三固定部材642は、第二固定部材641と同様に、固定基板51の基板厚み方向に沿った基板側面51Aと、側壁部621とを接合している。
この第三固定部材642は、フィルター平面視において、第二固定部材641よりも第一固定部材640に近い位置に設けられている。本実施形態では、図14に示すように、第三固定部材642は、フィルター平面視において、頂点C4及び頂点C2´を通過する仮想線Vに対して最も離れた位置に設けられている。
図14に示すように、第三固定部材642は、固定基板51の頂点C1´を含む角部に設けられている。この第三固定部材642は、第二固定部材641と同様に、固定基板51の基板厚み方向に沿った基板側面51Aと、側壁部621とを接合している。
この第三固定部材642は、フィルター平面視において、第二固定部材641よりも第一固定部材640に近い位置に設けられている。本実施形態では、図14に示すように、第三固定部材642は、フィルター平面視において、頂点C4及び頂点C2´を通過する仮想線Vに対して最も離れた位置に設けられている。
この第三固定部材642は、第一固定部材640よりも剛性が小さい部材である。
第三固定部材642は、第二固定部材641と同様に、例えば、剛性が0.01GPa以上、かつ、10GPa未満の、シリコーン系の接着剤である。
この第三固定部材642は、第二固定部材641と同様に、固定基板51やベース620に対して、剛性が100分の1以下であることが好ましい。これにより、固定基板51とベース620との間で熱膨張係数差により、膨張量(又は収縮量)に差が生じた場合、固定基板51とベース620とを接合している第三固定部材642を変形させることができ、上記熱膨張係数差に起因して固定基板51に作用する応力を抑制できる。
第三固定部材642は、第二固定部材641と同様に、例えば、剛性が0.01GPa以上、かつ、10GPa未満の、シリコーン系の接着剤である。
この第三固定部材642は、第二固定部材641と同様に、固定基板51やベース620に対して、剛性が100分の1以下であることが好ましい。これにより、固定基板51とベース620との間で熱膨張係数差により、膨張量(又は収縮量)に差が生じた場合、固定基板51とベース620とを接合している第三固定部材642を変形させることができ、上記熱膨張係数差に起因して固定基板51に作用する応力を抑制できる。
なお、第三固定部材642よりも第二固定部材641の方が、剛性が小さいことが好ましい。つまり、固定基板51とベース620との間で熱膨張係数差により、膨張量(又は収縮量)に差が生じた場合、頂点C4からの距離が頂点C1´よりも遠い、頂点C2´の方が、上記膨張量(又は収縮量)の差が大きい。したがって、頂点C1´に設けられた第三固定部材642よりも、頂点C2´に設けられた第二固定部材641の剛性を小さくすることにより、第三固定部材642よりも第二固定部材641を大きく変形させることができ、上記熱膨張係数差に起因して固定基板51に作用する応力を抑制できる。
[波長可変干渉フィルターの振動と第三固定部材との関係]
図15は、波長可変干渉フィルター5における3次モード振動における振動状態を模式的に示す図である。
頂点C4側の一箇所や、頂点C4から頂点C2´の二箇所で固定された波長可変干渉フィルター5では、図15に示すように3次モード振動による振動が生じる場合がある。すなわち、波長可変干渉フィルター5には、頂点C4が固定端となり、仮想線Vから離れるにしたがって振幅が大きくなる、基板厚み方向の振動(以下、3次モード振動とも称する)が生じる場合がある。なお、3次モード振動では、フィルター平面視において、仮想線Vから最も離れた位置である頂点C1´及び頂点C3のうち、第一固定部材640による固定位置である頂点C4(固定端)から遠い方の頂点C1´で振幅が最大となる。
なお、頂点C4から頂点C2´の二箇所で固定された波長可変干渉フィルター5でも、上述の2次モード振動(図6参照)が生じる場合がある。
図15は、波長可変干渉フィルター5における3次モード振動における振動状態を模式的に示す図である。
頂点C4側の一箇所や、頂点C4から頂点C2´の二箇所で固定された波長可変干渉フィルター5では、図15に示すように3次モード振動による振動が生じる場合がある。すなわち、波長可変干渉フィルター5には、頂点C4が固定端となり、仮想線Vから離れるにしたがって振幅が大きくなる、基板厚み方向の振動(以下、3次モード振動とも称する)が生じる場合がある。なお、3次モード振動では、フィルター平面視において、仮想線Vから最も離れた位置である頂点C1´及び頂点C3のうち、第一固定部材640による固定位置である頂点C4(固定端)から遠い方の頂点C1´で振幅が最大となる。
なお、頂点C4から頂点C2´の二箇所で固定された波長可変干渉フィルター5でも、上述の2次モード振動(図6参照)が生じる場合がある。
本実施形態では、フィルター平面視において仮想線Vから最も離れた位置のうち、第二固定部材641による固定位置である頂点C2´に近い(第一固定部材640による固定位置である頂点C4から遠い)位置である頂点C1´に第三固定部材642が設けられている。すなわち、第三固定部材642は、2次モード振動及び3次モード振動における振幅が最大となる位置に設けられている。この第三固定部材642により、2次モード振動及び3次モード振動を抑制することができる。
[第二実施形態の作用効果]
本実施形態では、第三固定部材642は、第二固定部材641よりも第一固定部材640に近い位置に設けられている。このような構成では、第三固定部材642によって、上記2次モード振動及び3次モード振動の振幅を低減でき、各モードの振動を抑制することができる。
また、第三固定部材642を設けることにより、当該2次モード振動に対する境界条件を変更でき、2次モード振動の固有振動数を変更することができる。ここで、波長可変干渉フィルター5には、可動部521が共振する固有振動数であるミラー振動数が存在する。このミラー振動数と、2次振動数との差を大きくするように、2次振動数を変更することができる。これにより可動部521の共振を抑制することができ、波長可変干渉フィルター5の分解能の低下を抑制できる。
また、第三固定部材642は、第一固定部材640よりも剛性が小さい。これにより、第二固定部材641と同様に、固定基板51とベース620との熱膨張係数差により、固定基板51に作用する応力を抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
本実施形態では、第三固定部材642は、第二固定部材641よりも第一固定部材640に近い位置に設けられている。このような構成では、第三固定部材642によって、上記2次モード振動及び3次モード振動の振幅を低減でき、各モードの振動を抑制することができる。
また、第三固定部材642を設けることにより、当該2次モード振動に対する境界条件を変更でき、2次モード振動の固有振動数を変更することができる。ここで、波長可変干渉フィルター5には、可動部521が共振する固有振動数であるミラー振動数が存在する。このミラー振動数と、2次振動数との差を大きくするように、2次振動数を変更することができる。これにより可動部521の共振を抑制することができ、波長可変干渉フィルター5の分解能の低下を抑制できる。
また、第三固定部材642は、第一固定部材640よりも剛性が小さい。これにより、第二固定部材641と同様に、固定基板51とベース620との熱膨張係数差により、固定基板51に作用する応力を抑制でき、分解能の低下を抑制できる。
ここで、第一固定部材640からより離れた位置ほど、第一固定部材640の固定位置に対する上記膨張量(又は収縮量)の差がより大きくなる。
これに対して、本実施形態では、第一固定部材640から、第三固定部材642よりも離れた位置に設けられた第二固定部材641は、当該第三固定部材642よりも剛性が小さい。このため、第二固定部材641の変形量を第三固定部材642よりも大きくすることができ、波長可変干渉フィルター5の膨張量(又は収縮量)の差に応じて、第二固定部材641及び第三固定部材642を適宜変形させることができる。これにより、各固定部材640,641,642から固定基板51に加わる応力を抑制でき、波長可変干渉フィルター5の分解能の低下を抑制できる。
これに対して、本実施形態では、第一固定部材640から、第三固定部材642よりも離れた位置に設けられた第二固定部材641は、当該第三固定部材642よりも剛性が小さい。このため、第二固定部材641の変形量を第三固定部材642よりも大きくすることができ、波長可変干渉フィルター5の膨張量(又は収縮量)の差に応じて、第二固定部材641及び第三固定部材642を適宜変形させることができる。これにより、各固定部材640,641,642から固定基板51に加わる応力を抑制でき、波長可変干渉フィルター5の分解能の低下を抑制できる。
本実施形態では、第三固定部材642は、第一固定部材640及び第二固定部材641による各固定位置を通る仮想線Vに対して、フィルター平面視で最も離れた位置のうち、第一固定部材640からも最も離れた位置に設けられている。すなわち、2次モード振動における振幅が最大となる位置に設けられている。すなわち、二次モード振動や三次モード振動においては、仮想線Vが節となり、仮想線Vから最も遠い点が振動振幅が最大となる自由端となるので、この位置に第三固定部材642を設けることで効率よく振動を低減することができる。
[第二実施形態に係る実施例]
以下、第二実施形態の光学フィルターデバイス600Aに係る実施例について説明する。
下記表2に、光学フィルターデバイス600Aに係る実施例3〜5と、その比較例1,3のそれぞれについて、固定部材による固定箇所の数(固定数)と、各固定部材の弾性率(剛性)とを記載している。
以下、第二実施形態の光学フィルターデバイス600Aに係る実施例について説明する。
下記表2に、光学フィルターデバイス600Aに係る実施例3〜5と、その比較例1,3のそれぞれについて、固定部材による固定箇所の数(固定数)と、各固定部材の弾性率(剛性)とを記載している。
表2に示すサンプル1は、第一実施形態に係る実施例で説明した通りである。
また、サンプル5,6,7,8は、第二実施形態の光学フィルターデバイス600Aのように、三箇所で固定された、固定数が3の場合の例である。サンプル5は、各固定部材の弾性率が同値である比較例(比較例3)である。一方、サンプル6〜8は、第一固定部材640の弾性率が、他の固定部材よりも大きい、本発明の一実施例(それぞれ実施例3〜5)である。
また、サンプル8(実施例5)は、固定数が3であり、第一固定部材640から離れた位置に設けられた固定部材ほど弾性率が小さくなっている。
また、サンプル5,6,7,8は、第二実施形態の光学フィルターデバイス600Aのように、三箇所で固定された、固定数が3の場合の例である。サンプル5は、各固定部材の弾性率が同値である比較例(比較例3)である。一方、サンプル6〜8は、第一固定部材640の弾性率が、他の固定部材よりも大きい、本発明の一実施例(それぞれ実施例3〜5)である。
また、サンプル8(実施例5)は、固定数が3であり、第一固定部材640から離れた位置に設けられた固定部材ほど弾性率が小さくなっている。
図16は、実施例5(サンプル8)の光学フィルターデバイスにおける、波長可変干渉フィルター5の周波数応答特性の一例を示すグラフである。
図16に示すように、実施例5では、図11に示す実施例2と同様に、1次振動数f1における1次モード振動のピークが略無くなる。また、比較例2と比べると、2次振動数f2が大きくなり、かつ、2次モード振動のピークが小さくなる。また、3次振動数f3も大きくなっている。
つまり、実施例2のサンプル4に対して、さらに、第二固定部材641よりも弾性率が大きい第三固定部材642を設けることで、2次モード振動による捻じれ方向の振動や、3次モード振動による曲げ方向の振動が発生しにくくなる。このため、2次振動数f2及び3次振動数f3が大きく、かつ、2次モード振動のピークが小さくなる。
図16に示すように、実施例5では、図11に示す実施例2と同様に、1次振動数f1における1次モード振動のピークが略無くなる。また、比較例2と比べると、2次振動数f2が大きくなり、かつ、2次モード振動のピークが小さくなる。また、3次振動数f3も大きくなっている。
つまり、実施例2のサンプル4に対して、さらに、第二固定部材641よりも弾性率が大きい第三固定部材642を設けることで、2次モード振動による捻じれ方向の振動や、3次モード振動による曲げ方向の振動が発生しにくくなる。このため、2次振動数f2及び3次振動数f3が大きく、かつ、2次モード振動のピークが小さくなる。
また、図12に示すように、サンプル1(比較例1)と比べると、サンプル1よりも固定数が多い他のサンプルの全てにおいて、残留振動の振幅が50%以下に減少している。一方で、図13に示すように、固定数が増えるほど、半値幅の増加率が大きくなる傾向がある。これは、固定数が多いほど、固定基板51及びベース620間の熱膨張量(熱収縮量)の差の影響を受け易くなるためである。
また、例えば、上述のサンプル2(比較例2)及びサンプル3(実施例1)の比較と同様に、サンプル5(比較例3)及びサンプル6(実施例3)の比較からも、第一固定部材640よりも第二固定部材641の弾性率が小さいと、半値幅の増加率が小さくなることがわかる。これは、第二固定部材641を変形させることにより、熱膨張量(熱収縮量)の差の影響を抑制できるためである。
また、例えば、上述のサンプル2(比較例2)及びサンプル3(実施例1)の比較と同様に、サンプル5(比較例3)及びサンプル6(実施例3)の比較からも、第一固定部材640よりも第二固定部材641の弾性率が小さいと、半値幅の増加率が小さくなることがわかる。これは、第二固定部材641を変形させることにより、熱膨張量(熱収縮量)の差の影響を抑制できるためである。
以上から、第二固定部材641及び第三固定部材642の弾性率を、第一固定部材640よりも小さい値の範囲から適宜設定することにより、残留振動の振幅の許容範囲(例えば、図12の一点鎖線以下の範囲)や、半値幅の増加率の許容範囲(例えば、図13の一点鎖線以下の範囲)とすることができる。なお、これら許容範囲は、波長可変干渉フィルター5の分解能の所望値に応じて、適宜設定すればよい。
例えば、サンプル6(実施例3)及びサンプル8(実施例8)の比較から、第二固定部材641の弾性率を、第三固定部材642の弾性率と同じ1GPaから(実施例3)、0.2GPa(実施例8)に小さくすることにより、図13に示すように、半値幅の増加率を許容値とすることができる。
例えば、サンプル6(実施例3)及びサンプル8(実施例8)の比較から、第二固定部材641の弾性率を、第三固定部材642の弾性率と同じ1GPaから(実施例3)、0.2GPa(実施例8)に小さくすることにより、図13に示すように、半値幅の増加率を許容値とすることができる。
[第三実施形態]
次に、本発明に係る第三実施形態について、図面に基づいて説明する。
第三実施形態では、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600が組み込まれた光学モジュールである測色センサー3、及び光学フィルターデバイス600が組み込まれ
た電子機器である測色装置1を説明する。なお、本実施形態では、一例として、第一実施形態の光学フィルターデバイス600を用いる構成を例示するが、これに限定されず、第二実施形態の光学フィルターデバイス600Aを用いる構成を採用してもよい。
次に、本発明に係る第三実施形態について、図面に基づいて説明する。
第三実施形態では、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600が組み込まれた光学モジュールである測色センサー3、及び光学フィルターデバイス600が組み込まれ
た電子機器である測色装置1を説明する。なお、本実施形態では、一例として、第一実施形態の光学フィルターデバイス600を用いる構成を例示するが、これに限定されず、第二実施形態の光学フィルターデバイス600Aを用いる構成を採用してもよい。
[測色装置の概略構成]
図17は、測色装置1の概略構成を示すブロック図である。
測色装置1は、本発明の電子機器である。この測色装置1は、図17に示すように、検査対象Xに光を射出する光源装置2と、測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4と、を備える。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出され検査対象Xにて反射された検査対象光を測色センサー3にて受光する。そして、測色装置1は、受光した測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Xの色を分析して測定する装置である。
図17は、測色装置1の概略構成を示すブロック図である。
測色装置1は、本発明の電子機器である。この測色装置1は、図17に示すように、検査対象Xに光を射出する光源装置2と、測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4と、を備える。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出され検査対象Xにて反射された検査対象光を測色センサー3にて受光する。そして、測色装置1は、受光した測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Xの色を分析して測定する装置である。
[光源装置の構成]
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図17には1つのみ記載)を備え、検査対象Xに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Xに向かって射出する。なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Xが液晶パネル等の発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図17には1つのみ記載)を備え、検査対象Xに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Xに向かって射出する。なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Xが液晶パネル等の発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
[測色センサーの構成]
測色センサー3は、本発明の光学モジュールを構成し、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600を備えている。この測色センサー3は、図17に示すように、光学フィルターデバイス600と、光学フィルターデバイス600を透過した光を受光する検出部31と、波長可変干渉フィルター5の透過光の波長を変更する電圧制御部32と、を備える。
また、測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、検査対象Xで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、光学フィルターデバイス600内の波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
測色センサー3は、本発明の光学モジュールを構成し、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600を備えている。この測色センサー3は、図17に示すように、光学フィルターデバイス600と、光学フィルターデバイス600を透過した光を受光する検出部31と、波長可変干渉フィルター5の透過光の波長を変更する電圧制御部32と、を備える。
また、測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、検査対象Xで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、光学フィルターデバイス600内の波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
検出部31は、本発明の受光部であり、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。ここで、検出部31は、例えば回路基板311を介して、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
また、この回路基板311には、筐体610の外側表面に形成された外側端子が接続されており、回路基板311に形成された回路を介して、電圧制御部32に接続されている。
このような構成では、回路基板311を介して、光学フィルターデバイス600及び検出部31を一体的に構成でき、測色センサー3の構成を簡略化することができる。
また、この回路基板311には、筐体610の外側表面に形成された外側端子が接続されており、回路基板311に形成された回路を介して、電圧制御部32に接続されている。
このような構成では、回路基板311を介して、光学フィルターデバイス600及び検出部31を一体的に構成でき、測色センサー3の構成を簡略化することができる。
電圧制御部32は、回路基板311を介して光学フィルターデバイス600の外側端子に接続される。そして、電圧制御部32は、制御装置4から入力される制御信号に基づいて、電極パッド564P,565Pに所定のステップ電圧を印加することで、静電アクチュエーター56を駆動させる。これにより、電極間ギャップに静電引力が発生し、保持部522が撓むことで、可動部521が固定基板51側に変位し、反射膜間ギャップG1を所望の寸法に設定することが可能となる。
[制御装置の構成]
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューター等を用いることができる。
そして、制御装置4は、図17に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、及び測色処理部43等を備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター56への印加電圧を設定する。
測色処理部43は、検出部31により検出された受光量から、検査対象Xの色度を分析する。
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューター等を用いることができる。
そして、制御装置4は、図17に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、及び測色処理部43等を備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター56への印加電圧を設定する。
測色処理部43は、検出部31により検出された受光量から、検査対象Xの色度を分析する。
[第三実施形態の作用効果]
本実施形態の測色装置1は、上記第一実施形態のような光学フィルターデバイス600を備えている。上述したように、光学フィルターデバイス600は、接合時における可動基板52の撓みや反りを低減でき、波長可変干渉フィルター5から所望波長の光を精度よく出射させることができる。
したがって、光学モジュールである測色センサー3は、検出部31により所望波長の光量を高精度に検出することが可能となる。これにより、電子機器である測色装置1は、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御することで、検査対象Xに対する高精度な測色処理を実施できる。
本実施形態の測色装置1は、上記第一実施形態のような光学フィルターデバイス600を備えている。上述したように、光学フィルターデバイス600は、接合時における可動基板52の撓みや反りを低減でき、波長可変干渉フィルター5から所望波長の光を精度よく出射させることができる。
したがって、光学モジュールである測色センサー3は、検出部31により所望波長の光量を高精度に検出することが可能となる。これにより、電子機器である測色装置1は、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御することで、検査対象Xに対する高精度な測色処理を実施できる。
[実施形態の変形]
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記第一実施形態では、第二固定部材641を波長可変干渉フィルター5の側面に設ける構成を例示し、上記第二実施形態では、さらに、第三固定部材642も波長可変干渉フィルター5の側面に設ける構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第二固定部材641や第三固定部材642を、波長可変干渉フィルター5の基板厚み方向に交差する上面や下面に設ける構成としてもよい。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記第一実施形態では、第二固定部材641を波長可変干渉フィルター5の側面に設ける構成を例示し、上記第二実施形態では、さらに、第三固定部材642も波長可変干渉フィルター5の側面に設ける構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第二固定部材641や第三固定部材642を、波長可変干渉フィルター5の基板厚み方向に交差する上面や下面に設ける構成としてもよい。
上記第二実施形態では、フィルター平面視において、仮想線Vから最も離れた位置のうちの、第一固定部材640から最も離れた位置に、第三固定部材642を設ける構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。第三固定部材642は、第二固定部材641よりも第一固定部材640に近い位置に設ければよい。なお、フィルター平面視において、仮想線V及び第一固定部材640の両方に対して最も離れた位置に、第三固定部材642を設けることにより、2次モード振動及び3次モード振動を好適に抑制することができる。
上記第二実施形態では、第三固定部材642よりも第二固定部材641の剛性が小さい構成を第二実施形態におけるより好ましい構成として例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、波長可変干渉フィルター5の分解能が所望値の範囲であれば、第二固定部材641及び第三固定部材642の剛性が同じでもよいし、第三固定部材642よりも第二固定部材641の剛性が大きい構成としてもよい。
上記各実施形態では、第一固定部材640によって波長可変干渉フィルター5の可動基板52をベース620に接着固定する構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、波長可変干渉フィルター5の各基板51,52の少なくともいずれかを、一箇所で、ベース620に完全固定すればよい。また、固定方法も接着固定に限らず、例えば、挟持して固定する構成等を採用してもよい。なお、接着固定する固定部材を用いることで、波長可変干渉フィルター5をベース620に対して容易に固定することができる。
上記各実施形態では、ギャップ変更部として、固定電極561、及び可動電極562に電圧を印加することで、静電引力により反射膜間ギャップG1の大きさを変更する静電アクチュエーター56を備える構成を例示したが、これに限定されない。
例えば、ギャップ変更部として、誘導アクチュエーターを用いてもよい。この場合、固定電極561の代わりに、第一誘導コイルを配置し、可動電極562の代わりに第二誘導コイル又は永久磁石を配置する構成を例示できる。
さらに、ギャップ変更部として、圧電アクチュエーターを用いてもよい。この場合、保持部522に下部電極層、圧電膜、及び上部電極層を積層配置させ、下部電極層及び上部電極層の間に印加する電圧を入力値として可変させることで、圧電膜を伸縮させて保持部522を撓ませる構成を例示できる。
また、上記各実施形態では、ギャップ変更部としての静電アクチュエーター56を一対の基板の一方のみに設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、ギャップ変更部を両方の基板に設けてもよい。
例えば、ギャップ変更部として、誘導アクチュエーターを用いてもよい。この場合、固定電極561の代わりに、第一誘導コイルを配置し、可動電極562の代わりに第二誘導コイル又は永久磁石を配置する構成を例示できる。
さらに、ギャップ変更部として、圧電アクチュエーターを用いてもよい。この場合、保持部522に下部電極層、圧電膜、及び上部電極層を積層配置させ、下部電極層及び上部電極層の間に印加する電圧を入力値として可変させることで、圧電膜を伸縮させて保持部522を撓ませる構成を例示できる。
また、上記各実施形態では、ギャップ変更部としての静電アクチュエーター56を一対の基板の一方のみに設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、ギャップ変更部を両方の基板に設けてもよい。
上記各実施形態では、反射膜間ギャップG1を変更可能に構成された波長可変干渉フィルター5を例示したが、これに限定されず、反射膜間ギャップG1の大きさが固定された干渉フィルターであってもよい。
また、上記各実施形態では、波長可変干渉フィルター5として、一対の基板51,52と、各基板51,52のそれぞれに設けられた一対の反射膜54,55を備える構成を例示したが、これに限定されない。例えば、可動基板52が設けられない構成とし、固定基板51を筐体610に固定する構成としてもよい。この場合、例えば、基板(固定基板)の一面に第一反射膜、ギャップスペーサ、及び第二反射膜を積層形成し、第一反射膜と第二反射膜とがギャップを介して対向する構成とする。当該構成では、一枚の基板からなる構成となり、分光素子をより薄型化することができる。
また、上記各実施形態では、波長可変干渉フィルター5として、一対の基板51,52と、各基板51,52のそれぞれに設けられた一対の反射膜54,55を備える構成を例示したが、これに限定されない。例えば、可動基板52が設けられない構成とし、固定基板51を筐体610に固定する構成としてもよい。この場合、例えば、基板(固定基板)の一面に第一反射膜、ギャップスペーサ、及び第二反射膜を積層形成し、第一反射膜と第二反射膜とがギャップを介して対向する構成とする。当該構成では、一枚の基板からなる構成となり、分光素子をより薄型化することができる。
また、本発明の電子機器として、第三実施形態において測色装置1を例示したが、その他、様々な分野により本発明の光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器を用いることができる。
以下、本発明の光学フィルターデバイスを利用した電子機器の変形例について説明する。なお、以下に例示する電子機器は、上記光学フィルターデバイス600を備え、波長可変干渉フィルター5が筐体610に収納されている。
以下、本発明の光学フィルターデバイスを利用した電子機器の変形例について説明する。なお、以下に例示する電子機器は、上記光学フィルターデバイス600を備え、波長可変干渉フィルター5が筐体610に収納されている。
本発明の電子機器は、例えば、特定物質の存在を検出するための光ベースのシステムとして用いることができる。このようなシステムとしては、例えば、本発明の光学フィルターデバイスが備える波長可変干渉フィルターを用いた分光計測方式を採用して特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器等のガス検出装置を例示できる。
このようなガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
このようなガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
図18は、波長可変干渉フィルターを備えたガス検出装置の一例を示す概略図である。
図19は、図18のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図18に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、及び排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、光学フィルターデバイス600、及び受光素子137(検出部)等を含む検出装置と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,レンズ135D,レンズ135Eと、により構成されている。
また、図18に示すように、ガス検出装置100の表面には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が2次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、図19に示すように、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149及び排出手段133を制御する排出ドライバー回路150等を備えている。
図19は、図18のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図18に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、及び排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、光学フィルターデバイス600、及び受光素子137(検出部)等を含む検出装置と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,レンズ135D,レンズ135Eと、により構成されている。
また、図18に示すように、ガス検出装置100の表面には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が2次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、図19に示すように、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149及び排出手段133を制御する排出ドライバー回路150等を備えている。
次に、上記のようなガス検出装置100の動作について、以下に説明する。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
そして、例えば利用者により操作パネル140が操作され、操作パネル140から検出処理を開始する旨の指示信号が信号処理部144へ出力されると、まず、信号処理部144は、光源ドライバー回路145に光源作動の信号を出力して光源135Aを作動させる。光源135Aが駆動されると、光源135Aから単一波長で直線偏光の安定したレーザー光が射出される。また、光源135Aには、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、その情報が信号処理部144へ出力される。そして、信号処理部144は、光源135Aから入力された温度や光量に基づいて、光源135Aが安定動作していると判断すると、排出ドライバー回路150を制御して排出手段133を作動させる。これにより、検出すべき標的物質(ガス分子)を含んだ気体試料が、吸引口120Aから、吸引流路120B、センサーチップ110内、排出流路120C、排出口120Dへと誘導される。なお、吸引口120Aには、除塵フィルター120A1が設けられ、比較的大きい粉塵や一部の水蒸気等が除去される。
また、センサーチップ110は、金属ナノ構造体が複数組み込まれ、局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサーである。このようなセンサーチップ110では、レーザー光により金属ナノ構造体間で増強電場が形成され、この増強電場内にガス分子が入り込むと、分子振動の情報を含んだラマン散乱光及びレイリー散乱光が発生する。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が光学フィルターデバイス600に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5に印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光され
ると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が光学フィルターデバイス600に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5に印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光され
ると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
なお、図18及び図19において、ラマン散乱光を光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5により分光して分光されたラマン散乱光からガス検出を行うガス検出装置100を例示した。この他、ガス検出装置として、ガス固有の吸光度を検出することでガス種別を特定するガス検出装置として用いてもよい。この場合、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光学モジュールとして用いる。そして、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の電子機器とする。このような構成でも、波長可変干渉フィルターを用いてガスの成分を検出することができる。
また、特定物質の存在を検出するためのシステムとして、上記のようなガスの検出に限られず、近赤外線分光による糖類の非侵襲的測定装置や、食物や生体、鉱物等の情報の非侵襲的測定装置等の、物質成分分析装置を例示できる。
以下に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
以下に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
図20は、光学フィルターデバイス600を利用した電子機器の一例である食物分析装置の概略構成を示す図である。
この食物分析装置200は、図20に示すように、検出器210(光学モジュール)と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する光学フィルターデバイス600と、分光された光を検出する撮像部213(検出部)と、を備えている。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部221と、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
この食物分析装置200は、図20に示すように、検出器210(光学モジュール)と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する光学フィルターデバイス600と、分光された光を検出する撮像部213(検出部)と、を備えている。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部221と、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
この食物分析装置200は、システムを駆動させると、光源制御部221により光源211が制御されて、光源211から測定対象物に光が照射される。そして、測定対象物で反射された光は、撮像レンズ212を通って光学フィルターデバイス600に入射する。光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5は電圧制御部222の制御により所望の波長を分光可能な電圧が印加されており、分光された光が、例えばCCDカメラ等により構成される撮像部213で撮像される。また、撮像された光は分光画像として、記憶部225に蓄積される。また、信号処理部224は、電圧制御部222を制御して波長可変干渉フィルター5に印加する電圧値を変化させ、各波長に対する分光画像を取得する。
そして、信号処理部224は、記憶部225に蓄積された各画像における各画素のデータを演算処理し、各画素におけるスペクトルを求める。また、記憶部225には、例えばスペクトルに対する食物の成分に関する情報が記憶されており、信号処理部224は、求めたスペクトルのデータを、記憶部225に記憶された食物に関する情報を基に分析し、検出対象に含まれる食物成分、及びその含有量を求める。また、得られた食物成分及び含有量から、食物カロリーや鮮度等をも算出することができる。さらに、画像内のスペクトル分布を分析することで、検査対象の食物の中で鮮度が低下している部分の抽出等をも実
施することができ、さらには、食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。
そして、信号処理部224は、上述のようにして得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
施することができ、さらには、食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。
そして、信号処理部224は、上述のようにして得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
また、図20において、食物分析装置200の例を示すが、略同様の構成により、上述したようなその他の情報の非侵襲的測定装置としても利用することができる。例えば、血液等の体液成分の測定、分析等、生体成分を分析する生体分析装置として用いることができる。このような生体分析装置としては、例えば血液等の体液成分を測定する装置として、エチルアルコールを検知する装置とすれば、運転者の飲酒状態を検出する酒気帯び運転防止装置として用いることができる。また、このような生体分析装置を備えた電子内視鏡システムとしても用いることができる。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
さらには、本発明の波長可変干渉フィルター、光学モジュール、電子機器としては、以下のような装置に適用することができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられた波長可変干渉フィルターにより特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられた波長可変干渉フィルターにより特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
また、電子機器としては、本発明の光学フィルターデバイスが備える波長可変干渉フィルターにより光を分光することで、分光画像を撮像する分光カメラ、分光分析機等にも適用できる。このような分光カメラの一例として、波長可変干渉フィルターを内蔵した赤外線カメラが挙げられる。
図21は、分光カメラの概略構成を示す模式図である。分光カメラ300は、図21に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330(検出部)と、を備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、図21に示すように、対物レンズ321、結像レンズ322、及びこれらのレンズ間に設けられた光学フィルターデバイス600を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
図21は、分光カメラの概略構成を示す模式図である。分光カメラ300は、図21に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330(検出部)と、を備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、図21に示すように、対物レンズ321、結像レンズ322、及びこれらのレンズ間に設けられた光学フィルターデバイス600を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
さらには、本発明の光学フィルターデバイスが備える波長可変干渉フィルターをバンドパスフィルターとして用いてもよく、例えば、発光素子が射出する所定波長域の光のうち、所定の波長を中心とした狭帯域の光のみを波長可変干渉フィルターで分光して透過させる光学式レーザー装置としても用いることができる。
また、本発明の光学フィルターデバイスが備える波長可変干渉フィルターを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩等の認証装置にも適用できる。
また、本発明の光学フィルターデバイスが備える波長可変干渉フィルターを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩等の認証装置にも適用できる。
さらには、光学モジュール及び電子機器を、濃度検出装置として用いることができる。この場合、波長可変干渉フィルターにより、物質から射出された赤外エネルギー(赤外光
)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
上記に示すように、本発明の光学フィルターデバイス及び電子機器は、入射光から所定の光を分光するいかなる装置にも適用することができる。そして、上記光学フィルターデバイスは、上述のように、1デバイスで複数の波長を分光させることができるため、複数の波長のスペクトルの測定、複数の成分に対する検出を精度よく実施することができる。したがって、複数デバイスにより所望の波長を取り出す従来の装置に比べて、光学モジュールや電子機器の小型化を促進でき、例えば、携帯用や車載用の電子機器に好適に利用できる。
上述の測色装置1、ガス検出装置100、食物分析装置200、及び分光カメラ300の説明では、第一実施形態の光学フィルターデバイス600を適用した例を示したが、これに限定されない。もちろん、他の実施形態の光学フィルターデバイスも同様に測色装置1等に適用できる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造等に適宜変更してもよい。
1…測色装置(電子機器)、3…測色センサー(光学モジュール)、4…制御装置(制御部)、5…波長可変干渉フィルター(干渉フィルター)、31…検出部(受光部)、51…固定基板、52…可動基板、54…固定反射膜、55…可動反射膜、56…静電アクチュエーター(ギャップ変更部)、100…ガス検出装置(電子機器)、137…受光素子(受光部)、138…制御部、200…食物分析装置(電子機器)、213…撮像部(受光部)、220…制御部、300…分光カメラ(電子機器)、330…撮像部(受光部)、521…可動部、522…保持部、600,600A…光学フィルターデバイス、620…ベース(ベース部)、640…第一固定部材、641…第二固定部材、642…第三固定部材。
Claims (10)
- 基板を備える干渉フィルターと、
ベース部と、
前記基板の厚み方向に見た平面視における、前記基板の端部の一箇所に設けられ、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定する第一固定部材と、
前記端部の一箇所を固定端とした前記干渉フィルターの振動で振幅が最大となる位置において前記干渉フィルターを前記ベース部に固定し、かつ前記第一固定部材より剛性が小さい第二固定部材と、を備えた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項1に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記第二固定部材は、前記平面視において、前記第一固定部材から最も離れた位置に設けられている
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項2に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記平面視において、前記第二固定部材よりも前記第一固定部材に近い位置に設けられ、前記第一固定部材よりも剛性が小さい第三固定部材を備えた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項3に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記第二固定部材は、前記第三固定部材よりも剛性が小さい
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項3又は請求項4に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記第三固定部材は、前記平面視において、前記第一固定部材及び前記第二固定部材による各固定位置を通る仮想線に対して最も離れ、かつ前記第一固定部材から最も離れた位置に設けられている
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記第二固定部材及び前記第三固定部材は、前記干渉フィルターの前記厚み方向に沿った側面に設けられている
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学フィルターデバイスにおいて、
前記干渉フィルターは、互いに対向する一対の反射膜と、前記一対の反射膜のギャップ寸法を変更するギャップ変更部と、を有し、
前記基板は、前記一対の反射膜のいずれか一方が設けられる第一基板と、前記一対の反射膜の他方が設けられる第二基板とを含み、
前記ギャップ変更部は、前記第二基板を前記第一基板側に撓ませることで、前記ギャップ寸法を変更する
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。 - 基板を備える干渉フィルターと、
ベース部と、
前記基板の厚み方向に見た平面視における、前記基板の端部の一箇所に設けられ、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定する第一固定部材と、
前記端部の一箇所を固定端とした前記干渉フィルターの振動で振幅が最大となる位置において前記干渉フィルターを前記ベース部に固定し、かつ前記第一固定部材より剛性が小さい第二固定部材と、
前記干渉フィルターにより取り出された光を検出する検出部と、を備えた
ことを特徴とする光学モジュール。 - 基板を備える干渉フィルターと、
ベース部と、
前記基板の厚み方向に見た平面視における、前記基板の端部の一箇所に設けられ、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定する第一固定部材と、
前記端部の一箇所を固定端とした前記干渉フィルターの振動で振幅が最大となる位置において前記干渉フィルターを前記ベース部に固定し、かつ前記第一固定部材より剛性が小さい第二固定部材と、
前記干渉フィルターを制御する制御部と、を備えた
ことを特徴とする電子機器。 - 基板を備える干渉フィルターと、ベース部と、を備える光学フィルターデバイスの製造方法であって、
前記基板の厚み方向に見た平面視における、前記基板の端部の一箇所に第一固定部材を設け、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定し、
前記端部の一箇所を固定端とした前記干渉フィルターの振動で振幅が最大となる位置に、前記第一固定部材よりも剛性が小さい第二固定部材を設け、前記干渉フィルターを前記ベース部に固定する
ことを特徴とする光学フィルターデバイスの製造方法。
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JP2014113815A JP2015227968A (ja) | 2014-06-02 | 2014-06-02 | 光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び光学フィルターデバイスの製造方法 |
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