JP6036303B2 - パッケージ、光学モジュール、及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、パッケージ、光学モジュール、及び電子機器に関する。
従来、半導体素子や圧電振動子等の各種電子部品(デバイス)を、その特性を劣化させることなく長期間にわたり正常に作動させるために、当該電子部品を気密に封止して収納するための電子部品収納用容器が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の電子部品収納用容器は、上面に電子部品を電気的に接続するための配線導体を有する絶縁基体と、下面に電子部品を収納する凹部を有し下面を絶縁基体の上面に封止材を介して接合された蓋体とを備えている。この封止材は、電子部品収納用容器の外側と内側の両側において、蓋体の側壁の壁面から絶縁基体に向かうに伴って広がるフィレットを形成していた。
特開2006−210628号公報
しかし、この特許文献1に記載された電子部品収納用容器のような、ベース基板と、当該ベース基板に封止材を介して接合された蓋体(リッド)とを備える容器によって電子部品を収納したパッケージにおいて、当該パッケージの内部において、側壁の内側壁面からベース基板に向かって当該パッケージの内側に広がるように封止材のフィレットが形成されると、当該フィレットとパッケージ内部に収納されるデバイスや配線等の部材とが干渉するおそれがある。
上記干渉が発生しないようにするためには、パッケージ内部の空間を大きく設定し、フィレットを形成するための空間を確保する必要があり、パッケージのサイズが大きくなってしまうという課題があった。
また、当該パッケージの内側において、側壁からベース基板に向かって広がるようにフィレットが形成されるため、封止材の使用量も増大し、製造コストが増大するという課題があった。
本発明は、小型化可能なパッケージ、光学モジュール、及び電子機器を提供することを目的とする。
本発明のパッケージは、デバイスと、ベース基板と、前記ベース基板に接合され、前記ベース基板との間に前記デバイスを収納可能な内部空間を形成するリッドと、前記ベース基板に前記リッドを接合するろう材と、を具備し、前記リッドは、前記ベース基板と対向するベース対向面、前記ベース対向面の前記内部空間側の内側端に連続して前記内部空間に面する内側面、前記ベース対向面の前記内側端と反対側の外側端に連続する外側面、及び前記外側面の前記外側端とは反対側の上端に連続する上面を有するリッド接合部と、前記リッド接合部の前記上面から、前記ベース基板から離れる方向に立ち上がるリッド側壁部と、を備え、前記ろう材は、前記内側端から前記外側端を介して前記上端に亘って、前記ベース対向面及び前記外側面に沿って設けられていることを特徴とする。
ここで、本発明では、ベース基板とリッドとの接合はろう接によって行われる。ろう材としては、例えば銀ろう等の硬ろうを用いてもよく、はんだ等の軟ろうを用いてもよい。
本発明のパッケージは、ろう材が、リッド接合部のベース対向面の内側端から、ベース対向面の外側端を介して、外側面の上端に亘って、ベース対向面及び外側面に沿って設けられている。
このように構成されるパッケージでは、リッド接合部の内側面にはろう材が接触しておらず、リッド接合部のベース対向面の内側端から、当該内側端よりも外側で、リッド接合部に接触するようにろう材が設けられている。
従って、パッケージの内部において、リッド接合部の内側面から内側に広がるフィレットが形成されている場合と比べて、パッケージの内部に形成されるろう材の体積を少なくすることができる。これにより、フィレットとパッケージの内部に配置された各種の部材との干渉を防ぐための空間をパッケージ内部に確保する必要がないので、パッケージの小型化を図ることができる。
さらに、パッケージの内部において、リッド接合部の内側面から内側に広がるフィレットが形成されていないので、ろう材の体積を少なくすることができる。従って、ろう材の使用量を抑制でき、製造コストを抑制できる。
また、本発明のパッケージは、ろう材が、リッド接合部の外側面と上面とが接続する外側面の上端まで形成されているので、リッド接合部の外側に接合強度及び気密性を確保可能なフィレットを形成することができる。
また、リッド接合部の外側にフィレットを形成されるので、ろう接が適切に行われ、接合強度及び気密性が確保されているか否かを目視によって容易に確認できる。
本発明のパッケージにおいて、前記ベース基板を厚み方向から見た平面視において、前記ベース基板における前記デバイスと対向する領域の面積は、前記ベース基板における前記内側端と対向する位置よりも内側の領域の面積の90%以上であることが好ましい。
本発明では、ベース基板の上記平面視において、リッド接合部の内側端よりも内側の領域に対する、デバイスと対向する領域が占める割合が、90%以上である。これにより、ベース基板の厚み方向と直交する幅方向において、デバイスとリッドの内面との間の隙間のサイズを小さくすることができ、パッケージの小型化が可能である。
本発明のパッケージにおいて、前記内側面は、前記ベース対向面よりも前記ろう材に対するぬれ性が低いことが好ましい。
ろう材がリッド接合部の内側面に這い上がってしまうと、リッド接合部の外側面にフィレットを形成するために十分な量のろう材を確保することができず、所望の接合強度や気密性が得られないおそれがある。
これに対して、本発明では、リッド接合部の内側面のろう材に対するぬれ性をベース対向面よりも低くすることにより、ベース対向面の内側端から内側面へのろう材の這い上がりを抑制できる。これにより、リッドの内側に広がるフィレットの形成を抑止できる。
本発明のパッケージにおいて、前記ベース基板上に当該ベース基板よりも前記ろう材に対するぬれ性が高い金属パターンが設けられ、前記金属パターンは、前記ベース基板の厚み方向から見た平面視において、前記内側端との対向位置よりも外に設けられていることが好ましい。
本発明では、ベース基板の厚み方向から見た平面視において、リッド接合部の内側端よりも外側のベース基板上に、ろう材に対してベース基板よりもぬれ性が高い金属パターンが形成されている。この金属パターンを形成することにより、リッド接合部とベース基板との間に、金属パターンの端部からベース対向面の内側端に亘るフィレットが形成される。つまり、ベース基板において、金属パターンの内部空間側にろう材が広がらず、リッド接合部よりも内側にフィレットが形成される不都合を抑制できる。
本発明のパッケージにおいて、前記外側面と前記上面との成す角が鋭角であることが好ましい。
本発明では、リッド接合部の外側面と上面との成す角を鋭角とすることにより、ろう材が、リッド接合部の上面に這い上がることを抑制できる。これにより、リッド接合部の外側面からのフィレットの形成を好適に行うことができ、ろう材の使用量を抑制しつつ接合強度及び気密性を確保できる。
本発明のパッケージにおいて、前記ベース対向面と前記外側面との成す角が鈍角であることが好ましい。
本発明では、リッド接合部のベース対向面と外側面との成す角を鈍角とすることにより、ろう材が、リッド接合部の上面に這い上がることを抑制できる。これにより、リッド接合部の外側面へのフィレットの形成を好適に行うことができ、ろう材の使用量を抑制しつつ接合強度及び気密性を確保できる。
本発明のパッケージにおいて、前記デバイスは、第一基板、前記第一基板に対向する第二基板、前記第一基板に設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜、及び前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向し、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜を備えた干渉フィルターであることが好ましい。
本発明では、パッケージにデバイスとして干渉フィルターを収納する。この干渉フィルターを用いる場合、パッケージ内部に帯電粒子が侵入すると、第一反射膜や第二反射膜が帯電し、クーロン力の影響により反射膜間ギャップが変動して、所望の性能を得ることができないおそれがある。また、水粒子等の異物が侵入すると、第一反射膜や第二反射膜が劣化する不都合が発生する可能性も高くなる。
このような課題に対して、本発明では、上述のパッケージの内部に干渉フィルターを収納する構成とするため、上記発明と同様にパッケージの小型化を図りつつ接合強度及び気密性を確保できる。従って、干渉フィルターの劣化を抑止でき、所望の性能を得ることができる。
また、干渉フィルターとして、反射膜間のギャップ寸法を変更可能な波長可変干渉フィルターを用いてもよい。この場合、パッケージ内の空気圧を減圧することで、ギャップ寸法を変更する際の応答性を良好にできる。
本発明の光学モジュールは、第一基板、前記第一基板に対向する第二基板、前記第一基板に設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜、及び前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向し、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜を備えた干渉フィルターと、前記第一反射膜及び前記第二反射膜により取り出された光を検出する検出部と、ベース基板と、前記ベース基板に接合され、前記ベース基板との間に前記干渉フィルターを収納可能な内部空間を形成するリッドと、前記ベース基板に前記リッドを接合するろう材と、を具備し、前記リッドは、前記ベース基板と対向するベース対向面、前記ベース対向面の前記内部空間側の内側端に連続して前記内部空間に面する内側面、前記ベース対向面の前記内側端と反対側の外側端に連続する外側面、及び前記外側面の前記外側端とは反対側の上端に連続する上面を有するリッド接合部と、前記リッド接合部の前記上面から、前記ベース基板から離れる方向に立ち上がるリッド側壁部と、を備え、前記ろう材は、前記内側端から前記外側端を介して前記上端に亘って、前記ベース対向面及び前記外側面に沿って設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、上記発明と同様に、筐体の小型化を図りつつ接合強度及び気密性を確保でき、水粒子や帯電粒子等の侵入を防止できる。したがって、これら粒子の侵入による反射膜の劣化等がなく、干渉フィルターにより目的波長の光を高分解能で取り出すことができ、干渉フィルターと検出部とを一体で制御することにより、正確な光量検出を実施することができる。
本発明の電子機器は、第一基板、前記第一基板に対向する第二基板、前記第一基板に設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜、及び前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向し、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜を備えた干渉フィルターと、前記干渉フィルターを制御する制御部と、ベース基板と、前記ベース基板に接合され、前記ベース基板との間に前記干渉フィルターを収納可能な内部空間を形成するリッドと、前記ベース基板に前記リッドを接合するろう材と、を具備し、前記リッドは、前記ベース基板と対向するベース対向面、前記ベース対向面の前記内部空間側の内側端に連続して前記内部空間に面する内側面、前記ベース対向面の前記内側端と反対側の外側端に連続する外側面、及び前記外側面の前記外側端とは反対側の上端に連続する上面を有するリッド接合部と、前記リッド接合部の前記上面から、前記ベース基板から離れる方向に立ち上がるリッド側壁部と、を備え、前記ろう材は、前記内側端から前記外側端を介して前記上端に亘って、前記ベース対向面及び前記外側面に沿って設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、上記発明と同様に、筐体の小型化を図りつつ接合強度及び気密性を確保でき、水粒子や帯電粒子等の侵入を防止できる。したがって、これら粒子の侵入による反射膜の劣化等がなく、干渉フィルターにより目的波長の光を高分解能で取り出すことができ、長期間に亘って安定的に作動可能な電子機器を提供することができる。
本発明のデバイスの第一実施形態に係る光学フィルターデバイスの概略構成を示す斜視図。 第一実施形態の光学フィルターデバイスの概略構成を示す断面図。 第一実施形態の光学フィルターデバイスに収納された干渉フィルターの概略構成を示す平面図。 第一実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す断面図。 第一実施形態の接合部周辺の概略構成を示す断面図。 光学フィルターデバイスの製造工程を示す工程図。 第二実施形態の接合部周辺の概略構成を示す断面図。 前記実施形態の変形例の接合部周辺の概略構成を示す断面図。 第三実施形態の接合部周辺の概略構成を示す断面図。 第四実施形態における測色装置の概略構成を示すブロック図。 光学フィルターデバイスを備えたガス検出装置を示す概略図。 図11のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図。 光学フィルターデバイスを備えた食物分析装置の概略構成を示す図。 光学フィルターデバイスを備えた分光カメラの概略構成を示す模式図。
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態を図面に基づいて説明する。
[光学フィルターデバイスの構成]
図1は、本発明のパッケージに係る第一実施形態の光学フィルターデバイス600の概略構成を示す斜視図である。図2は、光学フィルターデバイス600の断面図である。
光学フィルターデバイス600は、入射した検査対象光から、所定の目的波長の光を取り出して射出させる装置であり、筐体601と、筐体601の内部に収納される本発明のデバイスとして波長可変干渉フィルター5(図2参照)を備えている。このような光学フィルターデバイス600は、例えば測色センサー等の光学モジュールや、測色装置やガス分析装置等の電子機器に組み込むことができる。なお、光学フィルターデバイス600を備えた光学モジュールや電子機器の構成については、後述の第二実施形態において説明する。
[波長可変干渉フィルターの構成]
波長可変干渉フィルター5は、本発明の干渉フィルターを構成する。図3は、光学フィルターデバイス600に設けられた波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図であり、図4は、図3におけるIV−IV線を断面した際の波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図3に示すように、本発明の第一基板である固定基板51、および本発明の第二基板である可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、固定基板51の第一接合部513及び可動基板の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などにより構成された接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。
なお、以降の説明に当たり、固定基板51または可動基板52の基板厚み方向から見た平面視、つまり、固定基板51、接合膜53、及び可動基板52の積層方向から波長可変干渉フィルター5を見た平面視を、フィルター平面視と称する。
フィルター平面視において、固定基板51の一辺側(例えば、図3における頂点C1−頂点C2間の辺)は、可動基板52よりも外側に突出する。この突出部分のうち、波長可変干渉フィルター5を可動基板52側から見た際に露出する面は、第一電装面514を構成する。
また、フィルター平面視において、可動基板52の辺のうち、第一電装面514に対向する一辺側(頂点C3−頂点C4間の辺)は、固定基板51よりも外側に突出する。この突出部分のうち、波長可変干渉フィルター5を固定基板51側から見た際に露出する面は、第二電装面524を構成する。
(固定基板の構成)
固定基板51は、図4に示すように、固定基板51には、電極配置溝511および反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561および可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
電極配置溝511は、フィルター平面視で、波長可変干渉フィルター5の中心点Oを中心とした環状に形成されている。反射膜設置部512は、前記平面視において、電極配置溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成されている。ここで、電極配置溝511の溝底面は、固定電極561が配置される電極設置面511Aとなる。また、反射膜設置部512の突出先端面は、反射膜設置面512Aとなり、固定反射膜54が設置されている。
また、固定基板51には、電極配置溝511から、第一電装面514及び第二電装面524に向かって延出する電極引出溝511Bが設けられている。
電極配置溝511の電極設置面511Aには、固定電極561が設けられている。この固定電極561は、電極設置面511Aのうち、後述する可動部521の可動電極562に対向する領域に設けられている。
そして、固定基板51には、固定電極561の外周縁から、電極引出溝511Bを通り、第一電装面514まで延出する固定引出電極563が設けられている。この固定引出電極563の延出先端部(固定基板51の頂点C2に位置する部分)は、第一電装面514において固定電極パッド563Pを構成する。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、平面中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。
そして、固定基板51の可動基板52に対向する面のうち、電極配置溝511、反射膜設置部512、及び電極引出溝511Bが形成されない面は、第一接合部513を構成する。この第一接合部513には、第一接合膜531が設けられ、この第一接合膜531が、可動基板52に設けられた第二接合膜532に接合されることで、上述したように、固定基板51及び可動基板52が接合される。
(可動基板の構成)
可動基板52は、図3に示すようなフィルター平面視において、平面中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521の外側に設けられ、可動部521を保持する保持部522と、保持部522の外側に設けられた基板外周部525と、を備えている。
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成されている。この可動部521は、フィルター平面視において、少なくとも反射膜設置面512Aの外周縁の径寸法よりも大きい径寸法に形成されている。そして、この可動部521には、可動電極562及び本発明の第二反射膜である可動反射膜55が設けられている。
可動電極562は、電極間ギャップG2を介して固定電極561に対向し、固定電極561と同一形状となる環状に形成されている。また、可動基板52には、可動電極562の外周縁から第二電装面524に向かって延出する可動引出電極564を備えている。この可動引出電極564の延出先端部(可動基板52の頂点C1に位置する部分)は、第二電装面524において可動電極パッド564Pを構成する。
可動反射膜55は、可動部521の可動面521Aの中心部に、固定反射膜54と反射膜間ギャップG1を介して対向して設けられる。
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイアフラムであり、可動部521よりも厚み寸法が小さく形成されている。このような保持部522は、可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により、可動部521を固定基板51側に変位させることが可能となる。
基板外周部525は、上述したように、フィルター平面視において保持部522の外側に設けられている。この基板外周部525の固定基板51に対向する面は、第一接合部513に対向する第二接合部523を備えている。そして、この第二接合部523には、第二接合膜532が設けられ、上述したように、第二接合膜532が第一接合膜531に接合されることで、固定基板51及び可動基板52が接合されている。
[筐体の構成]
図1及び図2に戻り、筐体601は、ベース基板610と、リッド620と、ベース側ガラス基板630(透光基板)と、リッド側ガラス基板640(透光基板)と、を備える。
ベース基板610は、例えば単層セラミック基板により構成される。このベース基板610には、波長可変干渉フィルター5の可動基板52が設置される。ベース基板610への可動基板52の設置としては、例えば接着層等を介して配置されるものであってもよく、他の固定部材等に嵌合等されることで配置されるものであってもよい。
ベース基板610には、波長可変干渉フィルター5の反射膜(固定反射膜54,可動反射膜55)に対向する領域に、光通過孔611が開口形成されている。
このベース基板610のリッド620に対向するベース内側面612(リッド対向面)には、波長可変干渉フィルター5の第一電装面514、第二電装面524上の各電極パッド563P,564Pと接続される内側端子部615が設けられている。
また、ベース基板610は、各内側端子部615が設けられる位置に対応して、貫通孔614が形成されており、各内側端子部615は、貫通孔614を介して、ベース基板610のベース内側面612とは反対側のベース外側面613に設けられた外側端子部616に接続されている。ここで、貫通孔614には、内側端子部615及び外側端子部616を接続する金属部材(例えば、W,Au,Ni,Agペースト等)が充填され、筐体601の内部空間650の気密性が維持される。
そして、ベース基板610の外周部には、リッド620に接合されるベース接合部617が設けられている。
リッド620は、図1及び図2に示すように、ベース基板610のベース接合部617に接合されるリッド接合部624と、リッド接合部624から連続し、ベース基板610から離れる方向に立ち上がる側壁部625と、側壁部625から連続し、波長可変干渉フィルター5の固定基板51側を覆う天面部626とを備えている。このリッド620は、例えばコバール等の合金または金属により形成することができる。
このリッド620は、リッド接合部624と、ベース基板610のベース接合部617とが、ベース基板610上に形成された金属パターン618を介してろう材660(図5参照)を用いたろう接によって接合されることで、ベース基板610に密着接合されている。本実施形態では、ろう材660は、金系はんだを用いている。なお、ろう材660としては、これに限定されず、例えば、銀ろう等の各種の硬ろうや、金系はんだ以外の各種の軟ろうを用いてもよい。
なお、ベース基板610とリッド620とがろう接によって接合されている接合部602の構成については後に詳述する。
リッド620の天面部626は、ベース基板610に対して平行となる。この天面部626には、波長可変干渉フィルター5の各反射膜54,55に対向する領域に、光通過孔621が開口形成されている。リッド620の光通過孔621から光が入射し、波長可変干渉フィルター5により取り出された光はベース基板610の光通過孔611から射出される。
ベース側ガラス基板630は、ベース基板610のベース外側面613側に、光通過孔611を覆って接合されるガラス基板である。ベース側ガラス基板630は、光通過孔611よりも大きいサイズに形成される。
同様に、リッド側ガラス基板640は、リッド620のベース基板610に対向する光通過孔621とは反対側のリッド内側面622側に、光通過孔621を覆って接合されるガラス基板である。リッド側ガラス基板640は、光通過孔621よりも大きいサイズに形成される。
ベース基板610及びベース側ガラス基板630の接合、リッド620及びリッド側ガラス基板640の接合としては、例えば、ガラス原料を高温で熔解し、急冷したガラスのかけらであるガラスフリットを用いたガラスフリット接合の他、低融点ガラスを用いた溶着、ガラス封着などによる接合が挙げられる。また、内部空間650の真空状態の維持には適さないが、例えば内部空間650への異物の侵入を抑制する目的のみであれば、エポキシ樹脂等による接着を行ってもよい。
このように構成された光学フィルターデバイス600では、ベース基板610の厚み方向から見た平面視(以下、ベース基板平面視と称する)において、ベース基板610の、リッド接合部624の内側端624F(図5参照)よりも内側の領域における、波長可変干渉フィルター5と対向する領域が占める割合が、90%以上となっている。
[接合部の構成]
図5は、ベース接合部617とリッド接合部624とを接合している接合部602の概略構成を示す断面図である。
図5に示すように、ベース基板610のベース接合部617の外周縁部はベース基板平面視において、リッド接合部624よりも外側に位置している。
そして、ベース内側面612には、ベース接合部617において、金属パターン618が設けられている。
金属パターン618は、ろう材660に対してベース基板610よりも高いぬれ性を有する金属材料によって形成された金属層である。この金属パターン618は、当該金属パターン618の外側縁部618Aが、ベース基板平面視において、リッド接合部624よりも外側に位置するように、本実施形態では、ベース接合部617の縁部と同じ位置となるように形成されている。また、金属パターン618は、ベース基板平面視において、当該金属パターン618の内側縁部618Bが、リッド接合部624の内側端624Fに対向する位置、または僅かに内側に位置するように設けられている。
リッド接合部624は、ベース基板610と対向するベース対向面624Aと、このベース対向面624Aの内部空間650側の内側端624Fに連続して内部空間650に面する内側面624Dと、ベース対向面624Aの内側端624Fと反対側の外側端624Gに連続する外側面624Bと、外側面624Bの外側端624Gとは反対側の上端624Eに連続する上面624Cとを有する。
リッド接合部624のベース対向面624A及び外側面624Bには、ろう材660に対するぬれ性が、リッド620本体よりも高い金属を用いたメッキ処理、例えば、Ni/Auメッキ処理が施されている。
一方、リッド接合部624の内側面624Dは、上述のメッキ処理が施されていない。従って、内側面624Dは、ベース対向面624Aよりも、ろう材660に対するぬれ性が低くなっている。
ろう材660は、図5に示すように、リッド接合部624の内側端624Fから外側端624Gを介して上端624Eに亘って、ベース対向面624A及び外側面624Bに沿って設けられている。
このろう材660は、上端624Eから金属パターン618の外側縁部618Aに向かって、ベース基板平面視において外側に広がるフィレット660Aを形成している。
また、ろう材660は、内側端624Fから金属パターン618の内側縁部618Bに向かって、ベース基板平面視において内側に広がるフィレット660Bを形成している。
このように設けられたろう材660は、金属パターン618を介してベース接合部617とリッド接合部624とを接合している。
なお、本実施形態では、金属パターン618は、その外側縁部618Aが、リッド接合部624の外側端624Gよりもベース基板平面視において外側に位置するように設けられている。さらに、金属パターン618は、ろう材660に対してベース基板610よりも高いぬれ性を有する。このため、フィレット660Aが、リッド接合部624の上端624Eから金属パターン618の外側縁部618Aに亘って形成される。
従って、金属パターン618は、接合性及び気密性を確保可能な良好なフィレット660Aが形成されるように、金属パターン618の外側縁部618Aが、ベース基板平面視において上端624Eよりも外側の最適な位置となるように形成される。
また、ろう材660の内側端部は、金属パターン618の内側縁部618Bと同じ位置にある。従って、金属パターン618の内側縁部618Bの位置は、ろう材660が内部空間650内に配置された各種部品と干渉しない位置であればよい。内側縁部618Bの位置を、内側端624Fよりも僅かに内側とすることにより、フィレット660Bを形成することができ、同様に、良好な接合性及び気密性を確保することができる。
[光学フィルターデバイスの製造方法]
次に、上述したような光学フィルターデバイス600の製造方法について図面に基づいて説明する。
図6は、光学フィルターデバイス600を製造する製造工程を示す工程図である。
光学フィルターデバイス600の製造では、まず、光学フィルターデバイス600を構成する波長可変干渉フィルター5を製造するフィルター準備工程(S1)、ベース基板準備工程(S2)、リッド準備工程(S3)をそれぞれ実施する。
(フィルター準備工程)
S1のフィルター準備工程では、まず、波長可変干渉フィルター5を製造するフィルター形成工程を実施する(S11)。
このS11では、固定基板51及び可動基板52を適宜エッチング処理等により形成する。そして、固定基板51に対しては、固定電極561及び固定引出電極563を成膜した後、固定反射膜54を成膜する。また、可動基板52に対しては、可動電極562を成膜した後、可動反射膜55を成膜する。
この後、固定基板51及び可動基板52を、接合膜53を介して接合することで波長可変干渉フィルター5が得られる。
この後、S11により得られた波長可変干渉フィルター5の固定電極パッド563P,可動電極パッド564Pに対して、FPC615Aを接続するFPC接続工程を実施する(S12)。FPC615Aと各電極パッド563P,564Pとの接続では、デガスが少ないAgペーストを用いる。
(ベース基板準備工程)
S2のベース基板準備工程では、まず、ベース外形形成工程を実施する(S21)。このS21では、セラミック基板の形成素材であるシートを積層した焼成前基板を適宜切削等し、光通過孔611を有するベース基板610の形状を成形する。そして、焼成前基板を焼成することで、ベース基板610を形成する。
なお、焼成形成されたベース基板610に対して、例えばYAGレーザー等の高出力レーザーを利用した加工により、光通過孔611を形成してもよい。
次に、ベース基板610に貫通孔614を形成する貫通孔形成工程を実施する(S22)。このS22では、微細な貫通孔614を形成するために、例えばYAGレーザー等を用いたレーザー加工を実施する。また、形成した貫通孔614に、密着性が高い導電性部材を充填する。
この後、ベース基板610に内側端子部615,外側端子部616を形成する配線形成工程を実施する(S23)。
このS23では、例えば、Ni/Au等の金属を用いたメッキ加工を実施して、貫通孔614及び内側端子部615を形成する。また、ベース接合部617及びリッド接合部624をろう接により接合するために、ベース接合部617にNi等のメッキを施し、接合用の金属パターン618を形成する。
この後、ベース基板610に、光通過孔611を覆うベース側ガラス基板630を接合する光学窓接合工程を実施する(S24)。
S24では、ベース側ガラス基板630を形成し、ベース側ガラス基板630の平面中心と、光通過孔611の平面中心とが一致するようにアライメント調整を実施し、フリットガラスを用いたフリットガラス接合によりベース側ガラス基板630をベース基板610に接合する。
(リッド準備工程)
S3のリッド準備工程では、まず、リッド620を形成するリッド形成工程を実施する(S31)。このS31では、コバール等により構成された金属基板をプレス加工して、光通過孔621を有するリッド620を形成する。さらに、本実施形態では、リッド接合部624のベース対向面624Aと外側面624Bとに、ろう材660に対するぬれ性が、リッド620よりも高い金属を用いたメッキ処理、例えば、Ni/Auメッキ処理を施す。
この後、リッド620に、光通過孔621を覆うリッド側ガラス基板640を接合する光学窓接合工程を実施する(S32)。
S32では、S24と同様に、ベース側ガラス基板630を形成し、リッド側ガラス基板640の平面中心と、光通過孔621の平面中心とが一致するようにアライメント調整を実施し、フリットガラスを用いたフリットガラス接合によりリッド側ガラス基板640をリッド620に接合する。
(デバイス組み立て工程)
次に、上記S1〜S3により得られた波長可変干渉フィルター5,ベース基板610,リッド620を接合して光学フィルターデバイス600を形成するデバイス組み立て工程を実施する(S4)。
このS4では、まず、ベース基板610に対して波長可変干渉フィルター5を固定するフィルター固定工程を実施する(S41)。このS41では、固定反射膜54,可動反射膜55の平面中心点Oが、光通過孔611の平面中心点Oに一致するようにアライメント調整を実施する。そして、例えば接着剤等を用いて、可動基板52の基板外周部525をベース基板610に接着固定する。
この後、配線接続工程を実施する(S42)。このS42では、S12により波長可変干渉フィルター5に接続されたFPC615Aの他端部を、ベース基板610の内側端子部615に貼り付けることで、内側端子部615と、固定電極パッド563P及び可動電極パッド564Pとを接続する。この接続においても、デガスの少ないAgペーストを用いることが好ましい。
この後、ベース基板610及びリッド620を接合する接合工程を実施する(S43)。このS43では、例えば真空チャンバー装置等において、真空雰囲気に設定された環境下で接合が行われる。具体的には、金属パターン618上に適切な量のろう材660を溶融させた状態で配置し、そこにリッド620を重ね合わせる。この時、リッド接合部624のベース対向面624A及び外側面624Bは、メッキ処理が施されており良好なぬれ性を有するため、ろう材660が外側面624Bに這い上がる。一方、メッキ処理が施されていない内側面624Dにはろう材660が這い上がらず、外側端624Gで止まる。この状態でろう材660が冷えることで、フィレット660A,660Bが形成され、ベース基板610及びリッド620が密着接合される。
以上により、光学フィルターデバイス600が製造される。
[第一実施形態の作用効果]
本実施形態の光学フィルターデバイス600では、ろう材660が、リッド接合部624の内側端624Fから外側端624Gを介して上端624Eに亘って、ベース対向面624A及び外側面624Bに沿って設けられている。
このような構成では、リッド接合部624の内側面624Dにはろう材660が接触しておらず、リッド接合部624のベース対向面624Aの内側端624Fから、当該内側端624Fよりも外側で、リッド接合部624に接触するようにろう材660が形成されている。
従って、リッド接合部624の内側面624Dから内側に広がるフィレットが形成されている場合と比べて、筐体601の内部空間650に形成されるろう材の体積を少なくすることができる。これにより、フィレットと内部空間650に配置された各種の部材との干渉を防ぐための空間を内部空間650の一部として確保する必要がないので、筐体601すなわち光学フィルターデバイス600の小型化を図ることができる。
さらに、内側面624Dから内側に広がるフィレットが形成されていないので、ろう材の体積を少なくすることができる。従って、ろう材の使用量を抑制でき、製造コストを抑制できる。
本実施形態の光学フィルターデバイス600では、リッド接合部624の外側面624Bの上端624Eまでろう材660が形成されているので、リッド接合部624の外側に接合強度及び気密性を確保可能なフィレット660Aを形成することができる。
また、フィレット660Aが形成されるので、ろう接による接合が適切に行われ、接合強度及び気密性が確保されているか否かを目視によって容易に確認できる。
ここで、接合工程S43は、ろう接によって行われる。この接合工程S43において、ろう材660がリッド接合部624の上面624Cや、内側面624Dに這い上がってしまうと、外側面624Bに沿ってフィレット660Aを形成するために十分な量のろう材を確保することができず、所望の接合強度や気密性が得られないおそれがある。
これに対して本実施形態の光学フィルターデバイス600では、リッド接合部624のベース対向面624Aと外側面624Bとに、ろう材660に対するぬれ性がリッド620本体よりも高い金属を用いたメッキ処理が施されている。リッド接合部の内側面624Dのろう材660に対するぬれ性をベース対向面624Aよりも低くすることにより、ベース対向面624Aの内側端624Fから内側面624Dへのろう材660の這い上がりを抑制できる。これにより、リッド620の内側に広がるフィレットの形成を抑止できる。
このように、本実施形態によれば、内側面624Dからフィレットが形成されることを抑止するとともに、外側面624Bの上端624Eから外側に広がるフィレット660Aを形成することができる。従って、ろう材660を所望の領域に形成できるので、ろう材の使用量をより一層抑制しつつ接合強度及び気密性を確保できる。
ところで、本実施形態では、リッド接合部624の上面624Cには上記メッキ処理が施されていないとしたが、上面624Cにもメッキ処理が施されていてもよい。この場合でも、外側面624Bと上面624Cとの成す角が鋭角であればよく(本実施形態では90度)、外側面624Bの上端624Eから上面624Cへのろう材660の這い上がりを抑止できる。なお、上面624Cにメッキ処理を施さないことにより、外側面624Bよりもろう材660に対するぬれ性を低くできるので、上面624Cへのろう材660の這い上がりをより好適に抑止できる。
なお、ぬれ性の差を設ける構成としてメッキ処理を説明したが、メッキ処理以外の方法によってぬれ性の差を設けるようにしてもよい。
本実施形態の光学フィルターデバイス600では、ベース基板610のベース基板平面視において、リッド接合部624の内側端624Fよりも内側の領域に対する、波長可変干渉フィルター5と対向する領域が占める割合が、90%以上である。これにより、ベース基板610の厚み方向と直交する幅方向において、波長可変干渉フィルター5とリッド側壁部625の内面との間に設けられた隙間のサイズを小さくすることができ、光学フィルターデバイス600の小型化を図ることができる。
本実施形態では、筐体601に波長可変干渉フィルター5を収納しており、上述のように、光学フィルターデバイス600の接合強度及び気密性を確保できる。これにより、筐体601内部に帯電粒子の侵入を防止できる。従って、固定反射膜54や可動反射膜55が帯電してクーロン力の影響により反射膜間ギャップが変動することを防ぎ、所望の性能を得ることができる。
また、水粒子等の異物の侵入を防ぎ、固定反射膜54や可動反射膜55の劣化を抑制できる。
本実施形態では、筐体601の内部空間650は、真空状態に維持されている。また、波長可変干渉フィルター5は、固定電極561及び可動電極562に電圧を印加することで、可動部521が固定基板51側に移動して、反射膜間ギャップG1の大きさを変更可能となっている。
このような構成では、内部空間650が真空状態であるため、反射膜間ギャップG1も真空状態となっている。したがって、可動部521を移動させる際に空気抵抗が作用せず、固定電極561及び可動電極562間に電圧を印加した際の応答性を向上させることができる。このため、迅速に反射膜間ギャップG1を所望の大きさに設定することができ、例えば光学フィルターデバイス600を用いた測定処理等の各種処理を実施する場合に、迅速な処理を実施することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
第二実施形態は、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600の接合部602の他の実施形態である。
図7は、第二実施形態の接合部602Aの概略構成を示す断面図である。
なお、第一実施形態と同一の部材については、同一の符号を付し、その説明は簡略化又は省略する。
[接合部の構成]
図7に示すように、リッド接合部674は、金属パターン618に沿って形成されたろう材660によってベース基板610のベース接合部617に接合されている。
本実施形態においても、リッド接合部674は、ベース基板610と対向するベース対向面674Aと、外側面674Bとに、ろう材660に対するぬれ性が、リッド620本体よりも高い金属を用いたメッキ処理が施されており、内側面674Dは、ベース対向面674Aよりもろう材660に対するぬれ性が低くなっている。
本実施形態では、図7に示すように、リッド接合部674の外側面674Bと上面674Cとの成す角αが鋭角になっている。なお、角αは、45〜90度であることが好ましい。
また、リッド接合部674のベース対向面674Aと外側面674Bとの成す角βが鈍角になっている。なお、角βは、90〜135度であることが好ましい。
ろう材660は、図7に示すように、リッド接合部674の内側端674Fから外側端674Gを介して上端674Eに亘って、ベース対向面674A及び外側面674Bに沿って設けられている。
そして、ろう材660は、リッド接合部674の外側面674Bと上面674Cとが接続する外側面674Bの上端674Eから金属パターン618の外側縁部618Aに向かって、外側に広がるフィレット660Aを形成している。
また、ろう材660は、ベース対向面674Aの内側端674Fから金属パターン618の内側縁部618Bに向かって内側に広がるフィレット660Bを形成している。
なお、本実施形態においても、内側のフィレット660Bは必ずしも形成しなくてもよく、金属パターン618は、内側縁部618Bが、ベース基板610の延在方向においてリッド接合部674の内側端674Fと同じ位置か、内側に位置するように形成してもよい。
[第二実施形態の作用効果]
本実施形態の接合部602Aを備える光学フィルターデバイスでは、前記第一実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
すなわち、リッド接合部674の外側面674Bと上面674Cとの成す角αを鋭角とすることにより、ろう材660が、外側面674Bの上端674Eからリッド接合部674の上面674Cに這い上がることをより好適に抑制できる。これにより、リッド接合部674の外側面674Bの上端674Eからのフィレット660Aの形成を好適に行うことができ、ろう材660の使用量を抑制しつつ接合強度及び気密性を確保できる。
本実施形態の接合部602Aを備える光学フィルターデバイスでは、リッド接合部674のベース対向面674Aと外側面674Bとの成す角βを鈍角とすることにより、外側面674Bと上面674Cとの成す角αを鋭角とすることができ、ろう材660がリッド接合部674の上面674Cに這い上がることをより好適に抑制できる。これにより、リッド接合部674の外側面674Bの上端674Eからのフィレット660Aの形成を好適に行うことができ、ろう材660の使用量を抑制しつつ接合強度及び気密性を確保できる。
なお、リッド接合部674の外側面674Bと上面674Cとの成す角αは、45〜90度であることが好ましい。また、ベース対向面674Aと外側面674Bとの成す角βは、90〜135度であることが好ましい。これにより、ろう材660の上面674Cへの這い上がりを抑止するとともに、リッド接合部674の強度を確保することができる。
[第二実施形態の変形例]
図8は、第二実施形態の変形例である接合部602Bの概略構成を示す断面図である。
図7に示す、第二実施形態に係る接合部602Aでは、リッド接合部674の外側面674Bと上面674Cとの成す角αが鋭角であり、ベース対向面674Aと外側面674Bとの成す角βが鈍角になっている。これに対して、本変形例では、接合部602Bは、外側面674Bと上面674Cとの成す角αが鋭角に、ベース対向面674Aと外側面674Bとの成す角βが鈍角ではなく直角になっている。
このように構成された本変形例では、角αを鋭角とすることにより、ろう材660が、外側面674Bの上端674Eからリッド接合部674の上面674Cに這い上がることを抑制できる。これにより、リッド接合部674の外側面674Bの上端674Eからのフィレット660Aの形成を好適に行うことができ、ろう材660の使用量を抑制しつつ接合強度及び気密性を確保できる。
なお、本変形例では、外側面674Bと上面674Cとの成すベース対向面674Aと外側面674Bとの成す角βが直角である例を説明したが、角αが直角に、角βが鈍角となるようにしてもよい。
この場合、角βを鈍角とすることにより、ろう材660がリッド接合部の上面に這い上がることを抑制できる。また、この場合、リッド接合部674は、ベース基板平面視において内側に向かうに従い、厚みが増大する形状となる。これにより、リッド接合部674の強度を増大させることができる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図面に基づいて説明する。
第三実施形態は、上記第一実施形態の光学フィルターデバイス600の接合部602の他の実施形態である。
図9は、第三実施形態に係る接合部602Cの概略構成を示す断面図である。
なお、第一実施形態と同一の部材については、同一の符号を付し、その説明は簡略化又は省略する。
[接合部の構成]
図9に示すように、接合部602Cでは、ベース基板平面視において、金属パターン678は、リッド接合部624の内側端624Fの対向位置よりも外に設けられ、金属パターン678の内側縁部678Bは、リッド接合部624の内側端624Fとの対向位置よりも外に位置している。
なお、本実施形態においても、リッド接合部624は、ベース対向面624Aと、外側面624Bとに、ろう材660に対するぬれ性が、リッド620本体よりも高い金属を用いたメッキ処理が施されている。
ろう材660は、第一実施形態と同様に、上端674Eから金属パターン678の外側縁部678Aに向かって、外側に広がるフィレット660Aを形成している。
一方、ろう材660は、金属パターン678の内側縁部678Bからベース対向面624Aの内側端624Fに向かって、内側に広がるフィレット660Cを形成している。
本実施形態では、ベース基板平面視における金属パターン678の内側縁部678Bの位置は、上述のフィレット660Cが形成されるように、ベース基板平面視におけるリッド接合部624の内側端624Fの位置や、ベース接合部617とリッド接合部624との距離等に応じて設定している。
なお、所望の接合強度及び気密性を確保可能であれば、ベース基板平面視における内側縁部678Bの位置は特に制限されず、内側端624Fよりも外側、かつ外側端624Gよりも内側であればよい。
[第三実施形態の作用効果]
本実施形態の接合部602Cを備える光学フィルターデバイスでは、前記第一実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
すなわち、ベース基板平面視において、リッド接合部624の内側端624Fとの対向位置よりも外に、ろう材660に対してベース基板610よりもぬれ性が高い金属パターン678が形成されている。この金属パターン678を形成することにより、リッド接合部624とベース基板610との間に、金属パターン678の内側縁部678Bから内側端624Fに亘るフィレット660Cが形成される。つまり、ベース基板610において、金属パターン678の内部空間650側にろう材660が広がらず、リッド接合部624よりも内側にフィレットが形成される不都合を抑制できる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図面に基づいて説明する。
第四実施形態では、上記第一〜第三実施形態の光学フィルターデバイス600が組み込まれた光学モジュールである測色センサー3、及び光学フィルターデバイス600が組み込まれた電子機器の一例である測色装置1を説明する。
[測色装置の概略構成]
図10は、第四実施形態の測色装置1の概略構成を示すブロック図である。
測色装置1は、本発明の電子機器である。この測色装置1は、図10に示すように、検査対象Xに光を射出する光源装置2と、測色センサー3(光学モジュール)と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備える。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を検査対象Xにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー3にて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Xの色を分析して測定する装置である。
[光源装置の構成]
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図10には1つのみ記載)を備え、検査対象Xに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Xに向かって射出する。なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Xが液晶パネル等の発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
[測色センサーの構成]
測色センサー3は、本発明の光学モジュールを構成し、図10に示すように、光学フィルターデバイス600と、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5を透過した光を受光する検出部31と、波長可変干渉フィルター5で透過させる光の波長を可変する電圧制御部32とを備える。
また、測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、検査対象Xで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、光学フィルターデバイス600内の波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を検出部31にて受光する。また、測色センサー3は、光学フィルターデバイス600に対向する位置に、検査対象Xで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
検出部31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。ここで、検出部31は、例えば回路基板311を介して、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
また、この回路基板311には、ベース基板610のベース外側面613に形成された外側端子部616が接続されており、回路基板311に形成された回路を介して、電圧制御部32に接続されている。
このような構成では、回路基板311を介して、光学フィルターデバイス600及び検出部31を一体的に構成でき、測色センサー3の構成を簡略化することができる。
電圧制御部32は、回路基板311を介して光学フィルターデバイス600の外側端子部616に接続される。そして、電圧制御部32は、制御装置4から入力される制御信号に基づいて、固定電極パッド563P及び可動電極パッド564P間に所定のステップ電圧を印加することで、静電アクチュエーター56を駆動させる。これにより、電極間ギャップG2に静電引力が発生し、保持部522が撓むことで、可動部521が固定基板51側に変位し、反射膜間ギャップG1を所望の寸法に設定することが可能となる。
[制御装置の構成]
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューター等を用いることができる。
そして、制御装置4は、図10に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、及び本発明の分析処理部を構成する測色処理部43等を備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター56への印加電圧を設定する。
測色処理部43は、検出部31により検出された受光量から、検査対象Xの色度を分析する。
[第四実施形態の作用効果]
本実施形態の測色装置1は、上記第一〜第三実施形態のような光学フィルターデバイス600を備えている。上述したように、光学フィルターデバイス600は、小型化を図りつつ接合強度及び気密性を確保でき、水粒子等の異物の侵入がないため、これらの異物による波長可変干渉フィルター5の光学特性の変化を防止することができる。したがって、測色センサー3においても、高分解能で取り出された目的波長の光を検出部31により検出することができ、所望の目的波長の光に対する正確な光量を検出することができる。これにより、測色装置1は、検査対象Xの正確な色分析を実施することができる。
また、検出部31は、ベース基板610に対向して設けられ、当該検出部31及びベース基板610のベース外側面613に設けられた外側端子部616は、1つの回路基板311に接続されている。すなわち、光学フィルターデバイス600のベース基板610は光射出側に配置されているため、光学フィルターデバイス600から射出された光を検出する検出部31と近接して配置することができる。したがって、上述のように、1つの回路基板311に配線することで、配線構造を簡略化でき、基板数も削減することができる。
また、電圧制御部32を回路基板311上に配置してもよく、この場合、更なる構成の簡略化を図ることができる。
[実施形態の変形]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記各実施形態の光学フィルターデバイスでは、ベース基板610のベース基板平面視において、リッド接合部の内側端よりも内側の領域に対する、波長可変干渉フィルター5と対向する領域が占める割合(面積比)が、90%以上であるとしたが、本発明はこれに限定されず、90%未満であってもよい。
上記各実施形態では、真空中でベース基板610及びリッド620を接合することで、内部空間650が真空状態に維持された光学フィルターデバイス600を製造したがこれに限定されない。
すなわち、リッド620やベース基板610の一部に、内部空間650及び外部空間を連通する孔部を1又は複数設け、金属球等の封止部材を当該孔部にベース外側面613側から装着することで封止する構造としてもよい。なお、金属球による封止では、金属球を孔部内に嵌入させた後、孔部で高温化させて金属球を孔部の内壁に溶着させることが好ましい。
このような光学フィルターデバイスでは、ベース基板610及びリッド620を接合した後に、内部空間650を真空状態にすることが可能となり、例えば大気圧下でろう接を行った後、内部空間650の空気を抜いて真空状態にすることができる。
また、上記各実施形態において、光学フィルターデバイス600は、固定電極561及び可動電極562に電圧を印加することで、静電引力により反射膜間ギャップG1の大きさを変更可能な波長可変干渉フィルター5が収納される例を示したがこれに限定されない。例えば、反射膜間ギャップG1を変更するギャップ変更部として、固定電極561の代わりに、第一誘電コイルを配置し、可動電極562の代わりに第二誘電コイルまたは永久磁石を配置した誘電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。
さらに、静電アクチュエーター56の代わりに圧電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。この場合、例えば保持部522に下部電極層、圧電膜、および上部電極層を積層配置させ、下部電極層および上部電極層の間に印加する電圧を入力値として可変させることで、圧電膜を伸縮させて保持部522を撓ませることができる。
また、内部空間650に収納する干渉フィルターとして波長可変干渉フィルター5を例示したが、例えば、反射膜間ギャップG1の大きさが固定された干渉フィルターであってもよい。この場合、可動部521を撓ませるための保持部522や、固定電極561を設けるための電極配置溝511等をエッチングにより形成する必要がなく、干渉フィルターの構成を簡略化できる。また、反射膜間ギャップG1の大きさが固定であるため、応答性の問題がなく、内部空間650を真空に維持する必要がなく、構成の簡略化、製造性の向上を図ることができる。ただし、この場合でも、例えば温度変化が大きい場所で光学フィルターデバイス600を使用する場合、内部空間650内の空気の膨張等により、ベース側ガラス基板630やリッド側ガラス基板640が応力を受けて撓む恐れがある。したがって、このような干渉フィルターを用いる場合であっても、内部空間650を真空、または減圧状態に維持することが好ましい。
また、上記各実施形態では、本発明に係るパッケージが収納するデバイスとして、波長可変干渉フィルター又は干渉フィルターを例示したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、上記デバイスは、光の反射方向を精密に変化させることができるミラーデバイス等のMEMSデバイスといった各種デバイスでもよい。特に、性能向上や劣化防止等により筐体601の気密性が要求されるデバイスを収容するパッケージにおいて、本発明を好適に適用できる。
また、リッド620は、リッド接合部624、側壁部625、及び天面部626を備え、天面部626がベース基板610に対して平行となる構成を示したがこれに限定されない。リッド620の形状としては、ベース接合部617にろう接可能なリッド接合部624を備え、ベース基板610との間に波長可変干渉フィルター5を収納可能な内部空間650を形成できれば、いかなる形状であってもよく、例えば天面部626が曲面形状に形成されていてもよい。ただし、この場合、内部空間650の気密性を維持するために、リッド620に接合するリッド側ガラス基板640をリッド620に合わせて曲面状に形成し、かつ、光通過孔621を閉塞する部分のみ、屈折等が生じないように平面状に形成する必要がある等、製造が煩雑になることが考えらえる。したがって、上記第一実施形態のように天面部626がベース基板610と平行となるリッド620を用いることが好ましい。
また、本発明の電子機器として、第四実施形態において測色装置1を例示したが、その他、様々な分野により本発明の光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器を用いることができる。
例えば、特定物質の存在を検出するための光ベースのシステムとして用いることができる。このようなシステムとしては、例えば、本発明の光学フィルターデバイスを用いた分光計測方式を採用して特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器等のガス検出装置を例示できる。
このようなガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
図11は、光学フィルターデバイスを備えたガス検出装置の一例を示す概略図である。
図12は、図11のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
ガス検出装置100は、図11に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、及び排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、光学フィルターデバイス600、及び受光素子137(検出部)等を含む検出装置と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,135D,135Eと、により構成されている。
また、図12に示すように、ガス検出装置100の表面には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が二次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、図12に示すように、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、波長可変干渉フィルター5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149、及び排出手段133を制御する排出ドライバー回路150などを備えている。
次に、上記のようなガス検出装置100の動作について、以下に説明する。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
そして、例えば利用者により操作パネル140が操作され、操作パネル140から検出処理を開始する旨の指示信号が信号処理部144へ出力されると、まず、信号処理部144は、光源ドライバー回路145に光源作動の信号を出力して光源135Aを作動させる。光源135Aが駆動されると、光源135Aから単一波長で直線偏光の安定したレーザー光が射出される。また、光源135Aには、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、その情報が信号処理部144へ出力される。そして、信号処理部144は、光源135Aから入力された温度や光量に基づいて、光源135Aが安定動作していると判断すると、排出ドライバー回路150を制御して排出手段133を作動させる。これにより、検出すべき標的物質(ガス分子)を含んだ気体試料が、吸引口120Aから、吸引流路120B、センサーチップ110内、排出流路120C、排出口120Dへと誘導される。なお、吸引口120Aには、除塵フィルター120A1が設けられ、比較的大きい粉塵や一部の水蒸気などが除去される。
また、センサーチップ110は、金属ナノ構造体が複数組み込まれ、局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサーである。このようなセンサーチップ110では、レーザー光により金属ナノ構造体間で増強電場が形成され、この増強電場内にガス分子が入り込むと、分子振動の情報を含んだラマン散乱光、及びレイリー散乱光が発生する。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、波長可変干渉フィルター5に印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を波長可変干渉フィルター5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
なお、上記図11及び図12において、ラマン散乱光を光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5により分光して分光されたラマン散乱光からガス検出を行うガス検出装置100を例示したが、ガス検出装置として、ガス固有の吸光度を検出することでガス種別を特定するガス検出装置として用いてもよい。この場合、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光学モジュールとして用いる。そして、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の電子機器とする。このような構成でも、光学フィルターデバイスを用いてガスの成分を検出することができる。
また、特定物質の存在を検出するためのシステムとして、上記のようなガスの検出に限られず、近赤外線分光による糖類の非侵襲的測定装置や、食物や生体、鉱物等の情報の非侵襲的測定装置等の、物質成分分析装置を例示できる。
以下に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
図13は、光学フィルターデバイス600を利用した電子機器の一例である食物分析装置の概略構成を示す図である。
この食物分析装置200は、図13に示すように、検出器210(光学モジュール)と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する光学フィルターデバイス600と、分光された光を検出する撮像部213(検出部)と、を備えている。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部221と、波長可変干渉フィルター5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
この食物分析装置200は、システムを駆動させると、光源制御部221により光源211が制御されて、光源211から測定対象物に光が照射される。そして、測定対象物で反射された光は、撮像レンズ212を通って光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5に入射する。波長可変干渉フィルター5は電圧制御部222の制御により所望の波長を分光可能な電圧が印加されており、分光された光が、例えばCCDカメラ等により構成される撮像部213で撮像される。また、撮像された光は分光画像として、記憶部225に蓄積される。また、信号処理部224は、電圧制御部222を制御して波長可変干渉フィルター5に印加する電圧値を変化させ、各波長に対する分光画像を取得する。
そして、信号処理部224は、記憶部225に蓄積された各画像における各画素のデータを演算処理し、各画素におけるスペクトルを求める。また、記憶部225には、例えばスペクトルに対する食物の成分に関する情報が記憶されており、信号処理部224は、求めたスペクトルのデータを、記憶部225に記憶された食物に関する情報を基に分析し、検出対象に含まれる食物成分、及びその含有量を求める。また、得られた食物成分及び含有量から、食物カロリーや鮮度等をも算出することができる。さらに、画像内のスペクトル分布を分析することで、検査対象の食物の中で鮮度が低下している部分の抽出等をも実施することができ、さらには、食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。
そして、信号処理部224は、上述のようにして得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
また、図13において、食物分析装置200の例を示すが、略同様の構成により、上述したようなその他の情報の非侵襲的測定装置としても利用することができる。例えば、血液等の体液成分の測定、分析等、生体成分を分析する生体分析装置として用いることができる。このような生体分析装置としては、例えば血液等の体液成分を測定する装置として、エチルアルコールを検知する装置とすれば、運転者の飲酒状態を検出する酒気帯び運転防止装置として用いることができる。また、このような生体分析装置を備えた電子内視鏡システムとしても用いることができる。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
さらには、本発明のパッケージ、光学モジュール、及び電子機器は、以下のような装置に適用することができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、本発明のパッケージの一例である、波長可変干渉フィルターを備える光学モジュールにおいて、波長可変干渉フィルターにより特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
また、電子機器としては、本発明のパッケージの一例である、光学フィルターデバイスが備える波長可変干渉フィルターにより光を分光することで、分光画像を撮像する分光カメラ、分光分析機などにも適用できる。このような分光カメラの一例として、波長可変干渉フィルターを内蔵した赤外線カメラが挙げられる。
図14は、分光カメラの概略構成を示す模式図である。分光カメラ300は、図14に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330(検出部)とを備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、図14に示すように、対物レンズ321、結像レンズ322、及びこれらのレンズ間に設けられた光学フィルターデバイス600を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、光学フィルターデバイス600の波長可変干渉フィルター5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
さらには、本発明のパッケージの一例である、波長可変干渉フィルターを備える光学フィルターデバイスをバンドパスフィルターとして用いてもよく、例えば、発光素子が射出する所定波長域の光のうち、所定の波長を中心とした狭帯域の光のみを波長可変干渉フィルターで分光して透過させる光学式レーザー装置としても用いることができる。
また、本発明のパッケージの一例である、波長可変干渉フィルターを備える光学フィルターデバイスを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩などの認証装置にも適用できる。
さらには、光学モジュール及び電子機器を、濃度検出装置として用いることができる。この場合、波長可変干渉フィルターにより、物質から射出された赤外エネルギー(赤外光)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
上記に示すように、本発明のパッケージ、光学モジュール、及び電子機器は、入射光から所定の光を分光するいかなる装置にも適用することができる。そして、本発明のパッケージの一例である、波長可変干渉フィルターを備える光学フィルターデバイスは、上述のように、1デバイスで複数の波長を分光させることができるため、複数の波長のスペクトルの測定、複数の成分に対する検出を精度よく実施することができる。従って、複数デバイスにより所望の波長を取り出す従来の装置に比べて、光学モジュールや電子機器の小型化を促進でき、例えば、携帯用や車載用の光学デバイスとして好適に用いることができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造などに適宜変更してもよい。
1…測色装置、3…測色センサー、5…波長可変干渉フィルター、31…検出部、51…固定基板、52…可動基板、54…固定反射膜、55…可動反射膜、100…ガス検出装置、200…食物分析装置、300…分光カメラ、600…光学フィルターデバイス、610…ベース基板、618、678…金属パターン、620…リッド、624,674…リッド接合部、624A,674A…ベース対向面、624B,674B…外側面、624C,674C…上面、624D,674D…内側面、624E,674E…上端、624F,674F…内側端、624G,674G…外側端、625…側壁部、650…内部空間、660…ろう材。

Claims (9)

  1. デバイスと、
    ベース基板と、
    前記ベース基板に接合され、前記ベース基板との間に前記デバイスを収納可能な内部空間を形成するリッドと、
    前記ベース基板に前記リッドを接合するろう材と、を具備し、
    前記リッドは、前記ベース基板と対向するベース対向面、前記ベース対向面の前記内部空間側の内側端に連続して前記内部空間に面する内側面、前記ベース対向面の前記内側端と反対側の外側端に連続する外側面、及び前記外側面の前記外側端とは反対側の上端に連続する上面を有するリッド接合部と、前記リッド接合部の前記上面から、前記ベース基板から離れる方向に立ち上がるリッド側壁部と、を備え、
    前記ろう材は、前記内側端から前記外側端を介して前記上端に亘って、前記ベース対向面及び前記外側面に沿って設けられている
    ことを特徴とするパッケージ。
  2. 請求項1に記載のパッケージにおいて、
    前記ベース基板を厚み方向から見た平面視において、前記ベース基板における前記デバイスと対向する領域の面積は、前記ベース基板における前記内側端と対向する位置よりも内側の領域の面積の90%以上である
    ことを特徴とするパッケージ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のパッケージにおいて、
    前記内側面は、前記ベース対向面よりも前記ろう材に対するぬれ性が低い
    ことを特徴とするパッケージ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のパッケージにおいて、
    前記ベース基板上に当該ベース基板よりも前記ろう材に対するぬれ性が高い金属パターンが設けられ、
    前記金属パターンは、前記ベース基板の厚み方向から見た平面視において、前記内側端との対向位置よりも外に設けられている
    ことを特徴とするパッケージ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のパッケージにおいて、
    前記外側面と前記上面との成す角が鋭角である
    ことを特徴とするパッケージ。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載のパッケージにおいて、
    前記ベース対向面と前記外側面との成す角が鈍角である
    ことを特徴とするパッケージ。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載のパッケージにおいて、
    前記デバイスは、
    第一基板、前記第一基板に対向する第二基板、前記第一基板に設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜、及び前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向し、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜を備えた干渉フィルターである
    ことを特徴とするパッケージ。
  8. 第一基板、前記第一基板に対向する第二基板、前記第一基板に設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜、及び前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向し、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜を備えた干渉フィルターと、
    前記第一反射膜及び前記第二反射膜により取り出された光を検出する検出部と、
    ベース基板と、
    前記ベース基板に接合され、前記ベース基板との間に前記干渉フィルターを収納可能な内部空間を形成するリッドと、
    前記ベース基板に前記リッドを接合するろう材と、を具備し、
    前記リッドは、前記ベース基板と対向するベース対向面、前記ベース対向面の前記内部空間側の内側端に連続して前記内部空間に面する内側面、前記ベース対向面の前記内側端と反対側の外側端に連続する外側面、及び前記外側面の前記外側端とは反対側の上端に連続する上面を有するリッド接合部と、前記リッド接合部の前記上面から、前記ベース基板から離れる方向に立ち上がるリッド側壁部と、を備え、
    前記ろう材は、前記内側端から前記外側端を介して前記上端に亘って、前記ベース対向面及び前記外側面に沿って設けられている
    ことを特徴とする光学モジュール。
  9. 第一基板、前記第一基板に対向する第二基板、前記第一基板に設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜、及び前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向し、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜を備えた干渉フィルターと、
    前記干渉フィルターを制御する制御部と、
    ベース基板と、
    前記ベース基板に接合され、前記ベース基板との間に前記干渉フィルターを収納可能な内部空間を形成するリッドと、
    前記ベース基板に前記リッドを接合するろう材と、を具備し、
    前記リッドは、前記ベース基板と対向するベース対向面、前記ベース対向面の前記内部空間側の内側端に連続して前記内部空間に面する内側面、前記ベース対向面の前記内側端と反対側の外側端に連続する外側面、及び前記外側面の前記外側端とは反対側の上端に連続する上面を有するリッド接合部と、前記リッド接合部の前記上面から、前記ベース基板から離れる方向に立ち上がるリッド側壁部と、を備え、
    前記ろう材は、前記内側端から前記外側端を介して前記上端に亘って、前記ベース対向面及び前記外側面に沿って設けられている
    ことを特徴とする電子機器。
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