JP2015024549A - 撥水性フィルムおよびその製造方法、積層体、ならびに包装材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明による撥水性フィルムは、 熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、加熱溶融した樹脂組成物を賦型版上に押出して加圧成形する工程と、を含んでなる方法により得られるものである。
【選択図】図1
Description
基材層と、バリア層とを有してなるバリア性フィルムであって、
前記バリア層が、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液から得られる被膜を電子線照射して形成される、バリア性フィルムが提供される。
熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、
加熱溶融した樹脂組成物を賦型版上に押出して加圧成形する工程と、
を含んでなる方法により得られる、表面に凹凸構造を有する撥水性フィルムが提供される。
基材層と、上記の撥水性フィルムからなる層と、を有してなり、前記凹凸構造を有する面が最外面である、積層体が提供される。
表面に凹凸構造を有する撥水性フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、
加熱溶融した樹脂組成物を賦型版上に押出して加圧成形する工程と、
を含んでなる、撥水性フィルムの製造方法が提供される。
本発明による撥水性フィルムは、表面に凹凸構造を有するものであり、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、加熱溶融した樹脂組成物を賦型版上に押出して加圧成形する工程と、を含んでなる方法により得られる。このように表面加工を施して、表面に凹凸構造を形成することで、フィルムに優れた撥水性能を付与することができる。
cosθA=rcosθ ・・・(1)
ここで、θは表面が平滑な場合のヤングの式から求められる接触角であり、θAは凹凸表面での見かけの接触角であり、rは粗さの比率である。
表面粗さRaが上記範囲内である賦型版を用いることで、フィルム表面の凹凸構造の表面粗さRaおよび水の接触角を所望の範囲に調節することができる。
本発明による撥水性フィルムは、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、加熱溶融した樹脂組成物を賦型版上に押出して加圧成形する工程と、を含んでなる方法により得られる。
本発明による積層体は、基材層と、上記の撥水性フィルムからなる層と、を有してなり、凹凸構造を有する面が最外面であるものである。積層体は、基材層と撥水性フィルムからなる層の間に、バリア層をさらに有してもよく、熱可塑性樹脂層等のその他の層をさらに有してもよい。
本発明による積層体を構成する基材層としては、本発明において、基材層は特に限定されないが、成形性を有する樹脂を用いて形成することができる。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン樹脂、ポリブテン樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、低結晶性の飽和ポリエステルまたは非晶性のポリエステル樹脂等を用いて形成することができる。これらのうち、成形性が良好であることから、ポリエステル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が好ましい。基材層として樹脂層を形成した場合、基材層の厚さは、成形性の観点から、好ましくは4.5〜100μmであり、より好ましくは12〜50μmの範囲である。
本発明による積層体を構成するバリア層としては、無機物または無機酸化物からなるものであることが好ましく、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜または金属箔からなるものであることがより好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。積層体が、バリア層を有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。なお、積層体は、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による積層体を構成する撥水性フィルムからなる層は、積層体の最外層であり、撥水性フィルムの凹凸構造が、最外面に位置するものである。撥水性フィルムの凹凸構造が最外面に位置することで、積層体は撥水性能を有する。撥水性フィルムについては、上記で説明したとおりである。
本発明による積層体は、基材層とバリア層の間や、バリア層と撥水性フィルムからなる層の間に、その他の層を少なくとも1層さらに有してもよい。その他の層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。その他の層としては、例えば、熱可塑性樹脂層、接着層、および印刷層等が挙げられる。
本発明による包装材料は、上記の積層体からなるものである。具体的には、蓋材や包装容器等に用いることができる。包装材料内面(内容物側)に撥水性フィルムの凹凸構造が位置するように包装材料を形成することで、液体や半固体、ゲル状物質等の粘性体を有する内容物の包装材料内面への付着や残存を抑制することができる。
まず、2軸押出機と、Tダイと、冷却器付きロール(チルロール)巻き取り装置とを備えたフィルム製膜機を用意した。チルロールには、表面に凹凸構造を有するモスアイ版を賦型版として巻き付けた。モスアイ版は、Ni製の金属版であり、各凸部の高さ230nm、各凸部の間隔は160nmであった。続いて、図2に示すように、低密度ポリエチレン(LDPE、MFR=7.5、宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名:UBEポリエチレン L719)を含む樹脂組成物からなる樹脂ペレットを240℃で加熱溶融して、50℃で温調したチルロール上に押出し、巻き取り装置のチルロール部をTダイのダイス部に近づけたハンドローラーで加圧しながらフィルムを成形した。フィルムをドライヤーで送風して冷却した後、賦型版から剥離させて、表面に凹凸構造を有したフィルムを得た。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、MFR=8、(株)プライムポリマー製、商品名:エボリュー SP1071C)を含む樹脂組成物からなる樹脂ペレットを用いて、樹脂ペレットの加熱溶融温度を210℃に変更した以外は、実施例1と同様に成形して、厚さ140μmのフィルムを得た。実施例1と同様に、得られたフィルムの水の接触角を測定した。測定結果を表1に示す。
ポリプロピレン(PP、MFR=6.5、日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP FW4BT)を含む樹脂組成物からなる樹脂ペレットを用いて、樹脂ペレットの加熱溶融温度を270℃に変更した以外は、実施例1と同様に成形して、厚さ90μmのフィルムを得た。実施例1と同様に、得られたフィルムの水の接触角を測定した。測定結果を表1に示す。測定結果を表1に示す。
表面にモスアイ版を巻き付けずに平らなチルロールを賦型版として用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。実施例1と同様に成形して、厚さ70μmのフィルムを得た。得られたフィルムの水の接触角を測定した。測定結果を表1に示す。
表面にモスアイ版を巻き付けずに平らなチルロールを賦型版として用いた以外は、実施例2と同様にして、フィルムを得た。実施例1と同様に成形して、厚さ140μmのフィルムを得た。得られたフィルムの水の接触角を測定した。測定結果を表1に示す。
表面にモスアイ版を巻き付けずに平らなチルロールを賦型版として用いた以外は、実施例3と同様にして、フィルムを得た。実施例1と同様に成形して、厚さ90μmのフィルムを得た。得られたフィルムの水の接触角を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1の樹脂ペレットの代わりに、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、東洋紡(株)製、商品名:リックス LIX−US)を用意した。続いて、該フィルムのコロナ未処理面がチルロールのモスアイ版側に向かうように、該フィルムを50℃で温調したチルロール上に押出し、巻き取り装置のチルロール部をTダイのダイス部に近づけたハンドローラーで加圧しながらフィルム表面を賦型した。得られたフィルムの水の接触角を測定した。測定結果を表1に示す。
上記の実施例および比較例で得られたフィルムを用いて、内面(内容物側)にフィルムの凹凸構造が位置するように包装材料を作製した。包装材料の内容物(液体)の撥水性能を、下記の評価基準で目視評価した。
評価基準
○:良好な撥水性能を示した。
×:撥水性能が十分ではなかった。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、MFR=8、(株)プライムポリマー製、商品名:エボリュー SP1071C)を含む樹脂組成物からなる樹脂ペレットを、図3に示すように、表面に凹凸構造を有する平板状の賦型版(表面粗さRa:0.56μm)に載せた。続いて、該樹脂ペレットを、定圧荷重プレスを用いて該賦型版と表面が平らな金属板とで、210℃で加熱溶融しながら、加圧成形することで、厚さ100μmのフィルムを得た。
賦型版の表面粗さRaを0.75μmに変更した以外は、実施例1と同様に成形して、フィルムを得た。実施例1と同様に、得られたフィルムの表面粗さRaの水の接触角を測定した。各測定結果を表2に示す。
賦型版の表面粗さRaを0.4μmに変更した以外は、実施例1と同様に成形して、フィルムを得た。実施例1と同様に、得られたフィルムの表面粗さRaの水の接触角を測定した。各測定結果を表2に示す。
上記の実施例および比較例で得られたフィルムを用いて、内面(内容物側)にフィルムの凹凸構造が位置するように包装材料を作製した。包装材料の内容物(液体)の撥水性能を、上記の評価基準で目視評価した。
実施例2で得られたフィルムサンプルの未賦型面を15μmのONフィルム(ユニチカ(株)製、商品名:エンブレムON)にドライラミネートして、積層フィルムとした。得られた積層フィルムの賦型面同士を向かい合わせにして160℃×1kg×1秒でヒートシールした後、引張圧縮試験機を用いて、シール強度を測定した。シール強度は、78N/15mmであった。
比較例2で得られたフィルムサンプルを用いて、実施例6と同様にして、積層フィルムを得た。さらに、実施例6と同様にして、シール強度を測定した。シール強度は、76N/15mmであった。
PET(東洋紡(株)製、商品名:エステルフィルムE5100)12μm基材に、実施例1および2の樹脂を共押出しし、実施例3と同様にLLDPE側の最外層表面に賦型した。実施例2と同様の撥水性をもつ積層フィルムが得られた。
実施例6の積層フィルムを用いて詰替えパウチを作成し、化粧水を充填した。開封口より化粧水を排出した際に、残液はみられなかった。
比較例6の積層フィルムを用いて詰替えパウチを作成し、化粧水を充填した。開封口より化粧水を排出した後、パウチを切り開くと、コーナー部に残液がみられた。
11 Tダイ
12 表面がマット加工されたチルロール
13 ニップロール
14 賦型点
15 剥離点
16 撥水性フィルム
20 加熱溶融した熱可塑性樹組成物
21 Tダイ
22 表面にモスアイ構造を有するチルロール
23 ニップロール
24 賦型点
25 剥離点
26 撥水性フィルム
27 モスアイ構造
30 樹脂ペレット
31 賦型版
32 平板
33 加圧方向
34 撥水性フィルム
40 積層体
41 基材層
42 バリア層
43 熱可塑性樹脂層
44 撥水性フィルムからなる層
Claims (20)
- 熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、
加熱溶融した樹脂組成物を賦型版上に押出して加圧成形する工程と、
を含んでなる方法により得られる、表面に凹凸構造を有する撥水性フィルム。 - 前記凹凸構造を有する面の水の接触角が120度以上である、請求項1に記載の撥水性フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂である、請求項1または2に記載の撥水性フィルム。
- 前記賦型版が、温度調節装置を備えてなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の撥水性フィルム。
- 前記賦型版が、ロール状の賦型版である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の撥水性フィルム。
- 前記ロール状の賦型版が、表面粗さRaが0.5〜10μmのチルロールである、請求項5に記載の撥水性フィルム。
- 前記ロール状の賦型版が、表面に凹凸形状からなるモスアイ構造を有するチルロールである、請求項5に記載の撥水性フィルム。
- 前記賦型版が、平板状の賦型版である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の撥水性フィルム。
- 前記平板状の賦型版の表面粗さRaが0.5〜10μmである、請求項8に記載の撥水性フィルム。
- 基材層と、請求項1〜9のいずれか一項に記載の撥水性フィルムからなる層と、を有してなり、前記凹凸構造を有する面が最外面である、積層体。
- 前記基材層と前記撥水性フィルムからなる層の間に、バリア層をさらに有してなる、請求項10に記載の積層体。
- 前記基材層と前記撥水性フィルムからなる層の間に、熱可塑性樹脂層をさらに有してなる、請求項10または11に記載の積層体。
- 請求項10〜12のいずれか一項に記載の積層体からなる、包装材料。
- 表面に凹凸構造を有する撥水性フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、
加熱溶融した樹脂組成物を賦型版上に押出して加圧成形する工程と、
を含んでなる、撥水性フィルムの製造方法。 - 前記賦型版が、温度調節装置を備えてなる、請求項14に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 前記賦型版が、ロール状の賦型版である、請求項14または15に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 前記ロール状の賦型版が、表面粗さRaが0.5〜10μmのチルロールである、請求項16に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 前記ロール状の賦型版が、表面に凹凸形状からなるモスアイ構造を有するチルロールである、請求項16に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 前記賦型版が、平板状の賦型版である、請求項14または15に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 前記平板状の賦型版の表面粗さRaが0.5〜10μmである、請求項19に記載の撥水性フィルムの製造方法。
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