JP6183696B2 - 撥水性フィルム、積層体、及び包装材料 - Google Patents
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Description
表面に凹凸構造を有する撥水性フィルムであって、
前記凹凸構造を有する面の表面粗さRaが、0.5〜15μmであり、
前記凹凸構造を有する面の水の接触角が120度以上である、撥水性フィルムが提供される。
基材層と、上記の撥水性フィルムからなる層と、を有してなり、前記凹凸構造を有する面が最外面である、積層体が提供される。
本発明による撥水性フィルムは、表面に凹凸構造を有するものであり、凹凸構造を有する面の表面粗さRaが、0.5〜15μm、好ましくは0.7〜14μm、より好ましくは1〜13μmであり、さらに好ましくは5〜12μmであり、凹凸構造を有する面の水の接触角が120度以上、好ましくは130度以上、より好ましくは140度以上180度以下である。凹凸構造を有する面の表面粗さRaおよび水の接触角が上記範囲内にあれば、フィルムに優れた撥水性能を付与することができる。
cosθA=rcosθ ・・・(1)
ここで、θは表面が平滑な場合のヤングの式から求められる接触角であり、θAは凹凸表面での見かけの接触角であり、rは粗さの比率である。
表面粗さRaが上記範囲内である賦型版を用いることで、フィルム表面の凹凸構造の表面粗さRaおよび水の接触角を所望の範囲に調節することができる。
本発明による撥水性フィルムは、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、加熱溶融した樹脂組成物を賦型版上に押出して加圧成形する工程と、を含んでなる方法により得られる。
本発明による積層体は、基材層と、上記の撥水性フィルムからなる層と、を有してなり、凹凸構造を有する面が最外面であるものである。積層体は、基材層と撥水性フィルムからなる層の間に、バリア層をさらに有してもよく、熱可塑性樹脂層等のその他の層をさらに有してもよい。
本発明による積層体を構成する基材層としては、本発明において、基材層は特に限定されないが、成形性を有する樹脂を用いて形成することができる。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン樹脂、ポリブテン樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、低結晶性の飽和ポリエステルまたは非晶性のポリエステル樹脂等を用いて形成することができる。これらのうち、成形性が良好であることから、ポリエステル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が好ましい。基材層として樹脂層を形成した場合、基材層の厚さは、成形性の観点から、好ましくは4.5〜100μmであり、より好ましくは12〜50μmの範囲である。
本発明による積層体を構成するバリア層としては、無機物または無機酸化物からなるものであることが好ましく、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜または金属箔からなるものであることがより好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。積層体が、バリア層を有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。なお、積層体は、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による積層体を構成する撥水性フィルムからなる層は、積層体の最外層であり、撥水性フィルムの凹凸構造が、最外面に位置するものである。撥水性フィルムの凹凸構造が最外面に位置することで、積層体は撥水性能を有する。撥水性フィルムについては、上記で説明したとおりである。
本発明による積層体は、基材層とバリア層の間や、バリア層と撥水性フィルムからなる層の間に、その他の層を少なくとも1層さらに有してもよい。その他の層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。その他の層としては、例えば、熱可塑性樹脂層、接着層、および印刷層等が挙げられる。
本発明による包装材料は、上記の積層体からなるものである。具体的には、蓋材や包装容器等に用いることができる。包装材料内面(内容物側)に撥水性フィルムの凹凸構造が位置するように包装材料を形成することで、液体や半固体、ゲル状物質等の粘性体を有する内容物の包装材料内面への付着や残存を抑制することができる。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、MFR=8、(株)プライムポリマー製、商品名:エボリュー SP1071C)を含む樹脂組成物からなる樹脂ペレットを、図3に示すように、表面に凹凸構造を有する平板状の賦型版(表面粗さRa:0.56μm)に載せた。続いて、該樹脂ペレットを、定圧荷重プレスを用いて該賦型版と表面が平らな金属板とで、210℃で加熱溶融しながら加圧成形することで、厚さ100μmのフィルムを得た。
賦型版の表面粗さRaを1.1μmに変更した以外は、実施例1と同様に成形して、フィルムを得た。実施例1と同様に、得られたフィルムの表面粗さRaの水の接触角を測定した。各測定結果を表1に示す。
賦型版の表面粗さRaを4.7μmに変更した以外は、実施例1と同様に成形して、フィルムを得た。実施例1と同様に、得られたフィルムの表面粗さRaの水の接触角を測定した。各測定結果を表1に示す。
賦型版の表面粗さRaを6.5μmに変更した以外は、実施例1と同様に成形して、フィルムを得た。実施例1と同様に、得られたフィルムの表面粗さRaの水の接触角を測定した。各測定結果を表1に示す。
賦型版の表面粗さRaを0.4μmに変更した以外は、実施例1と同様に成形して、フィルムを得た。実施例1と同様に、得られたフィルムの表面粗さRaの水の接触角を測定した。各測定結果を表1に示す。
賦型版の表面粗さRaを12.3μmに変更した以外は、実施例1と同様に成形して、フィルムを作成したが、フィルムを賦型版から剥離できなかった。
上記の実施例および比較例で得られたフィルムを用いて、内面(内容物側)にフィルムの凹凸構造が位置するように包装材料を作製した。包装材料の内容物(液体)の撥水性能を、下記の評価基準で目視評価した。
評価基準
◎:非常に良好な撥水性能を示した。
○:良好な撥水性能を示した。
×:撥水性能が十分ではなかった。
11 Tダイ
12 表面がマット加工されたチルロール
13 ニップロール
14 賦型点
15 剥離点
16 撥水性フィルム
20 加熱溶融した熱可塑性樹組成物
21 Tダイ
22 表面にモスアイ構造を有するチルロール
23 ニップロール
24 賦型点
25 剥離点
26 撥水性フィルム
27 モスアイ構造
30 樹脂ペレット
31 賦型版
32 平板
33 加圧方向
34 撥水性フィルム
40 積層体
41 基材層
42 バリア層
43 熱可塑性樹脂層
44 撥水性フィルムからなる層
Claims (7)
- 基材層と、表面加工によって形成された凹凸構造を有する撥水性フィルムからなる層とを有してなり、前記凹凸構造を有する面が最外面である積層体であって、
前記凹凸構造を有する面の表面粗さRaが、0.5〜15μmであり、
前記凹凸構造を有する面の水の接触角が120度以上であり、
前記凹凸構造が、加熱溶融した熱可塑性樹脂を賦型版上に押出して加圧成形して、形成されてなる、積層体。 - 前記撥水性フィルムが、熱可塑性樹脂を含んでなる、請求項1に記載の積層体。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂である、請求項2に記載の積層体。
- 前記賦型版の表面粗さRaが0.5〜10μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記基材層と前記撥水性フィルムからなる層の間に、バリア層をさらに有してなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記基材層と前記撥水性フィルムからなる層の間に、熱可塑性樹脂層をさらに有してなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体からなる、包装材料。
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