JP6906888B2 - ヒートシール性樹脂フィルムおよびその製造方法、積層体、包装材料、ならびに成形ロール - Google Patents
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表面に凹凸構造を備えるヒートシール性樹脂フィルムであって、
前記凹凸構造が、表面に凹凸構造を備える成形ロールで賦形されることにより形成され、
前記樹脂フィルムの表面粗さSaが0.1〜10μmであり、
前記凹凸構造を備えた表面が最内層側となるように包装袋に使用されるヒートシール性樹脂フィルムが提供される。
1〜70μmであることが好ましい。
前記凹凸構造が、
第1のサンドブラスト粒子を前記ロール表面に吹き付け、凹凸を形成する工程と、
前記第1のサンドブラスト粒子より平均粒子径の小さい第2のサンドブラスト粒子を前記凹凸を備えるロール表面に吹きつけ、前記凹凸より微細な凹凸を形成する工程と、を含んでなるサンドブラスト処理により形成されることが好ましい。
サンドブラスト粒子を前記ロール表面に吹き付け、凹凸を形成させる工程と、
前記ロール表面に、ビッカーズ硬度が、前記ロール表面よりも高い被覆層を形成させる工程と、
前記サンドブラスト粒子を、凹凸構造および被覆層を備えるロール表面に吹きつけ、該凹凸より微細な凹凸を形成させる工程と、を含んでなるサンドブラスト処理により形成されることが好ましい。
基材層と、上記ヒートシール性樹脂フィルムからなる層と、を有してなり、前記凹凸構造を有する面が最外面である、積層体が提供される。
表面に凹凸構造を有するヒートシール性樹脂フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、
加熱溶融した樹脂組成物を押し出す工程と、
押出された樹脂組成物を凹凸構造を備えた成形ロールを用いて賦形する工程と、
を含んでなり、
前記凹凸構造を備えるロールの表面粗さRaが0.1〜10μmであるヒートシール性樹脂フィルムの製造方法が提供される。
上記ヒートシール性樹脂フィルムを製造するために用いる表面に凹凸構造を備える成形ロールであって、
表面粗さRaが0.1〜10μmであることを特徴とする、成形ロールが提供される。
第1のサンドブラスト粒子を前記ロール表面に吹き付け、凹凸を形成させる工程と、
前記第1のサンドブラスト粒子より平均粒子径の小さい第2のサンドブラスト粒子を前記凹凸を備えるロール表面に吹きつけ、前記凹凸より微細な凹凸を形成させる工程と、を含んでなるサンドブラスト処理により形成されることが好ましい。
サンドブラスト粒子を前記ロール表面に吹き付け、凹凸を形成させる工程と、
前記ロール表面に、ビッカーズ硬度が、前記ロール表面よりも高い被覆層を形成させる工程と、
前記サンドブラスト粒子を、凹凸構造および被覆層を備えるロール表面に吹きつけ、該凹凸より微細な凹凸を形成させる工程と、
を含んでなるサンドブラスト処理により形成されることが好ましい。
本発明によるヒートシール性樹脂フィルムは、その表面に凹凸構造を有するものである。このフィルム表面の凹凸構造は、凹凸構造を備えた成形ロールで賦形されることによって形成される。このような表面加工を施すことで、フィルムに対し、内容物、特には、油分に富む内容物残存防止機能を付与することができる。これは、樹脂フィルムが、特定の範囲の表面粗さRaを有するように凹凸構造を備え、包装容器などの包装材料に用いた場合、内容物との接触面積が小さく、そのため、内容物と樹脂フィルムとの間に空隙が生じ、この空隙に内容物から油分が滲み出し、内容物と樹脂フィルムとの間に油膜を形成され、内容物を取り出す際、該内容物は、この油膜上を滑るように包装材料内を移動することができるためであると考えられる。
表面に凹凸構造を有するヒートシール性樹脂フィルム製造方法は、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、加熱溶融した樹脂組成物を押し出す工程と、押出された樹脂組成物を、表面に凹凸構造を備えた成形ロールを用いて加圧成形する工程と、を含んでなる。
前記ロール表面に、ビッカーズ硬度が、前記ロール表面よりも高い被覆層を設ける工程と、
前記サンドブラスト粒子を、凹凸構造および被覆層を備えるロール表面に吹きつけ、該凹凸より微細な凹凸を形成する工程(第2のサンドブラスト)と、を含んでなる。
本発明による積層体は、基材層と、上記のヒートシール性樹脂フィルムからなる層と、を有してなり、凹凸構造を有する面が最外面であるものである。積層体は、基材層とヒートシール性フィルムからなる層の間に、バリア層をさらに有してもよく、熱可塑性樹脂層等のその他の層をさらに有してもよい。
本発明による積層体を構成する基材層としては、本発明において、基材層は特に限定されないが、成形性を有する樹脂を用いて形成することができる。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン樹脂、ポリブテン樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、低結晶性の飽和ポリエステルまたは非晶性のポリエステル樹脂等を用いて形成することができる。これらのうち、成形性が良好であることから、ポリエステル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が好ましい。基材層として樹脂層を形成した場合、基材層の厚さは、成形性の観点から、好ましくは4.5〜100μmであり、より好ましくは12〜50μmの範囲である。また、これら基材層と、ヒートシール性樹脂フィルムからなる層などとの接着性を向上させるために、その表面に対し、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、またはフレーム処理などの表面活性化処理を行うことが好ましい。
本発明による積層体を構成するバリア層としては、無機物または無機酸化物からなるものであることが好ましく、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜または金属箔からなるものであることがより好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。積層体が、バリア層を有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。なお、積層体は、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による積層体を構成するヒートシール性樹脂フィルムからなる層は、積層体の最外層であり、ヒートシール性樹脂フィルムの凹凸構造が、最外面に位置するものである。ヒートシール性樹脂フィルムの凹凸構造が最外面に位置することで、積層体は内容物残存防止機能を有する。ヒートシール性樹脂フィルムについては、上記で説明したとおりである。また、ヒートシール性樹脂フィルムからなる層と、基材層などとの接着性を向上させるために、ヒートシール性樹脂フィルムの凹凸構造を有しない面に対して、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、またはフレーム処理などの表面活性化処理を行うことが好ましい。
本発明による積層体は、基材層とバリア層の間や、バリア層とヒートシール性樹脂フィルムからなる層の間に、その他の層を少なくとも1層さらに有してもよい。その他の層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。その他の層としては、例えば、熱可塑性樹脂層、接着層、および印刷層等が挙げられる。
本発明による包装材料は、上記の積層体からなるものである。具体的には、蓋材や包装容器等に用いることができる。包装材料内面(内容物側)にヒートシール性樹脂フィルムの凹凸構造が位置するように包装材料を形成することで、内容物の包装材料内面への付着や残存を抑制することができる。
径400mm、面長500mmのSCM製の成形ロール(硬化クローム(株)社製)、の表面に、平均粒子径165μmの金剛砂で第1のサンドブラストを行い、凹凸構造を形成させた。次いで、凹凸構造を形成させた成形ロールの表面に、平均粒子径100μmの金剛砂で第2のサンドブラストを行い、前記凹凸構造より微細な凹凸構造を形成させた。こうして得られた成形ロールAの表面粗さRaは8.7μm、最大高さRzは53.9μmであった。
径400mm、面長500mmのSCM製の成形ロール(硬化クローム(株)社製)、ビッカーズ硬度:500)の表面に、平均粒子径90μmの金剛砂で第1のサンドブラストを行い、凹凸構造を形成させた。次いで、成形ロール表面に、電解メッキにより、厚さ30μmのクロムメッキ層(ビッカーズ硬度:900)を形成させた。さらに、メッキ層を備えた成形ロールの表面に、第1のサンドブラストで用いたサンドブラスト粒子で第2のサンドブラストを行い、前記凹凸構造より微細な凹凸構造を形成させた。こうして得られた成形ロールの表面粗さRaは3.8μm、最大高さRzは30.5μmであった。
<ヒートシール性樹脂フィルムの作製>
ポリプロピレン樹脂(MFR=6.5、日本ポリプロ(株)社製、商品名:ノバテックFW4BT)を用いて、上記成形ロールAをチルロールとして備えるラボ3層キャスト成膜機にて280℃で成膜を行い、厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの表面粗さSaは1.0μmであり、最大高さSzは7.5μmであった。
得られたヒートシール性樹脂フィルムの凹凸構造を有しない面にコロナ処理を行い、12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5102)のコロナ処理を施した面に2液硬化型ポリエステル系接着剤(ロックペイント(株)社製、商品名:RU004/H−1、塗布量:3.5g/m2)を塗布し、コロナ処理面同士をドライラミネートし、PETフィルム/接着剤/ヒートシール性樹脂フィルムからなる積層フィルムを得た。さらに、この2枚の積層フィルムのヒートシール性樹脂フィルムからなる層を向かい合わせ、外寸150mm×120mm、シール幅10mmであり、1方向が未シール状態の4方パウチを作製した。得られた積層体を、150mm×120mmの大きさに2枚切り取り、ヒートシール性樹脂フィルムからなる層が対向するように配置し、縦2辺、横1辺を10mm幅で熱圧着(条件210℃、1kg/cm2、11秒)し、包装材料(食品包装用袋)を得た。
実施例1において、成形ロールAを成形ロールBに変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを形成させ、次いで、包装材料を得た。得られたフィルムの厚さは70μmであり、表面粗さSaは0.8μmであり、最大高さSzは6.2μmであった。
成形ロールを表面粗さRaを0.05μm、最大高さRzを0.8μmの成形ロールに変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを成形し、次いで、包装材料を得た。得られたフィルムの表面粗さSaは0.02μmであり、最大高さSzは0.5μmであった。
第2のサンドブラスト粒子を用いたサンドブラスト処理を行わず、用いたロールの表面粗さRaを11μm、最大高さRzを80μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを成形し、次いで、包装材料を得た。得られたフィルムの表面粗さSaは6.9μmであり、最大高さSzは54.5μmであった。
上記の実施例および比較例で得られた、包装材料に、中華調味料(回鍋肉:成分が、醤油、大豆油、野菜(にんにく、しょうが)、砂糖、リンゴジュース、トウチ、豆みそ、甜麺醤、マッシュポテト、豆板醤、発酵調味料、でん粉、食塩、チキンエキス、ポークエキス、調味料(アミノ酸)、糊料(キサンタン)、カラメル色素、酸味料など)を充填し、開口辺を熱圧着(条件210℃、1kg/cm2、1秒)し、120℃で30分のレトルト殺菌を実施した。レトルト殺菌を実施した後、常温(24℃)で1日静置した。静置した後、包装材料の短辺の1辺をカッターで切り、包装材料から内容物を取り出した。各包装材料からの内容物の取り出しやすさを、以下の基準を設け、評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
○:パウチ内容物の90%以上が、30秒未満で滑落。
△:パウチ内容物の90%以上が、30〜1分以内で滑落。
×:パウチ内容物の90%以上が、1分以上かかり滑落。
11:Tダイ
12:チルロール
13:ニップロール
14:賦形点
15:剥離点
16:ヒートシール性フィルム
20:成形ロール
21:凹凸構造
22:被覆層
23微細な凹凸構造
40:積層体
41基材層
42:バリア層
43:熱可塑性樹脂層
44:ヒートシール性樹脂フィルムからなる層
Claims (6)
- 表面に凹凸構造を備えるヒートシール性樹脂フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、
加熱溶融した樹脂組成物を押し出す工程と、
押出された樹脂組成物を、成形ロールを用いて賦形することにより、前記樹脂フィルムの前記凹凸構造を形成する工程と、
を含んでなり、
前記成形ロールが、
平均粒子径が10〜150μmであるサンドブラスト粒子をロール表面に吹き付け、次いで前記ロール表面に、ビッカーズ硬度が、前記ロール表面よりも350〜900Hv高い被覆層を形成し、次いで前記サンドブラスト粒子を、前記被覆層を備えるロール表面に吹きつけ形成された凹凸構造
を表面に備え、
前記樹脂フィルムの表面粗さSaが0.8〜10μmであり、
前記樹脂フィルムが、前記凹凸構造を備える表面が最内層側となるように包装袋に使用される
ことを特徴とする、ヒートシール性樹脂フィルムの製造方法。 - 前記ヒートシール性樹脂フィルムの最大高さSzが、1〜50μmである、請求項1に記載のヒートシール性樹脂フィルムの製造方法。
- 基材層と、凹凸構造を備えるヒートシール性樹脂フィルムからなる層を有してなり、前記凹凸構造を有する面が最外面である積層体の製造方法であって、
請求項1または2に記載の製造方法により前記ヒートシール性樹脂フィルムを製造する工程を含んでなることを特徴とする、積層体の製造方法。 - 前記積層体が、前記基材層と前記ヒートシール性樹脂フィルムからなる層の間に、バリア層をさらに有してなる、請求項3に記載の積層体の製造方法。
- 前記積層体が、前記基材層と前記ヒートシール性樹脂フィルムからなる層の間に、熱可塑性樹脂層をさらに有してなる、請求項3または4に記載の積層体の製造方法。
- 積層体からなる包装材料の製造方法であって、
請求項3〜5のいずれか一項に記載の製造方法により前記積層体を製造する工程を含んでなることを特徴とする、包装材料の製造方法。
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