JP2019034462A - 蓋材用撥水性積層体、蓋材および容器 - Google Patents
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Description
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態による蓋材用撥水性積層体の断面模式図を示したものである。一実施形態において、蓋材用撥水性積層体10は、基材11と、撥水性微粒子13およびウレタンビーズ粒子14を含んでなる熱接着層12とを備えてなる。以下、本発明による蓋材用撥水性積層体を構成する各層について説明する。
基材として、コート紙、印刷用紙、上質紙およびクラフト紙などの紙材であったり、ポリプロピレン、ポリアミドおよびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルなどの樹脂からなるフィルムまたはアルミ箔等の金属箔を使用することができる。また、基材が酸素および水蒸気に対するバリア層としての機能を発揮することができるため、紙材やフィルムに対し、アルミニウムや酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの無機酸化物を蒸着することが好ましい。また、基材の遮光性を向上させることができるため好ましい。また、上記した紙材と、フィルムとの積層材を基材として用いてもよい。積層方法は、特に限定されず、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ヒートラミネート法などを用いることができる。
本発明の熱接着層は、熱可塑性樹脂、撥水性微粒子および撥水性微粒子よりも平均粒子径の大きいウレタンビーズ粒子を含んでなる。
熱接着層に2種類の粒子を含有させることにより、表面に特有の凹凸構造が形成させることができ、粘性を有する内容物の付着防止性および撥水性を顕著に向上させることができる。また、撥水性微粒子よりも平均粒子径の大きいウレタンビーズ粒子を含んでなるため、熱接着層への撥水性微粒子およびウレタンビーズ粒子の密着性を向上させることもでき、摩擦や衝撃等による撥水性微粒子の滑落を防止することができる。
これらの中でも、コストの面からSiO2が好ましい。
熱接着層は、2種以上の撥水性微粒子を含んでいてもよい。
疎水化表面処理の方法としては、例えば、乾式法(CVD法、プラズマ法)を用いても、湿式法を用いてもよい。
撥水性微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡により測定することができる。
その他のビーズ粒子としては、例えば、有機樹脂ビーズまたは無機ビーズなどが挙げられる。有機樹脂ビーズとしては、アクリル樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ、ポリスチレン樹脂ビーズ、スチレン−アクリル共重合体ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、メラミン樹脂ビーズ、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合体ビーズ、メラミン−ホルムアルデヒド縮合体ビーズ、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合体ビーズおよびベンゾグアナミン−メラミン縮合体ビーズなどが挙げられる。また、無機ビーズとしては、ガラスビーズ、シリカビーズ、アルミナシリケート、タルク、マイカなどが挙げられる。
内容物と接する面の比表面積を上記数値範囲とすることにより、粘性を有する内容物の付着防止性および撥水性を顕著に向上させることができる。
熱接着層の比表面積は、熱接着層用塗工液に含まれる撥水性微粒子およびビーズ粒子の割合、熱接着層の厚みを調整することにより、調整することができる。
なお、本発明において、比表面積は、JIS K 6221に準拠し、BET法により測定することができる。
熱接着層表面のSiの元素濃度を上記数値範囲とすることにより、熱接着層のヒートシール性を維持しつつ、撥水性および付着防止性を向上させることができ、さらに撥水性微粒子およびウレタンビーズ粒子の脱落を防ぐことが出来る。
熱接着層表面のSi元素濃度は、これに限定されるものではないが、熱可塑性樹脂、撥水性微粒子、ビーズ粒子等の構成材料の種類やその使用量、熱接着層の厚さや、熱接着層を形成する際に加える熱量を変更することにより、調整することができる。
なお、本発明において、熱接着層表面のSiの元素濃度は、X線電子分光分析装置を使用して以下の条件により測定した。
(測定条件)
・X線源:MgのKα線(1253.6eV)
・X線出力:300W(12kV、25mA)
本発明の積層体は、基材と、熱接着層との間に1層以上のその他の層を有していてもよい。その他の層としては、例えば、バリア層、印刷層およびアンカー層等が挙げられる。
例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルーチタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料、アルミニウム、真鍮等の金属粉末からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなるパール顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
アンカー層は、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、やこれらの樹脂の共重合体(例えば、アクリルポリエステル系樹脂)を含むことができる。
また、硬化剤、シランカップリング剤、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤およびイオン交換剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明の蓋材用撥水性積層体の製造方法は、基材を準備する工程と、基材上に熱接着層を形成させる工程と、を含む。また、一実施形態において、本発明の蓋材用撥水性積層体の製造方法は、基材と、熱接着層との間に、バリア層、印刷層およびアンカー層等のその他の層を形成させる工程を含んでいてもよい。
一実施形態において、本発明の蓋材用撥水性積層体に用いる基材は、Tダイ成形法やインフレーション成形法等の従来公知の方法を利用することにより作製することができる。また、市販されるものを使用してもよい。
熱接着層の形成工程は、基材上に上記した材料を含んでなる熱接着層用塗工液をバーコート法など、公知の方法により塗工する工程と、乾燥炉等内において、塗工した熱接着層用塗工液を乾燥させる工程と、を含んでなる。
熱接着層用塗工液の乾燥後塗工量は、1.5g/m2以上であることが好ましく、1.8g/m2以上であることがより好ましく、2.0g/m2以上であることがさらに好ましい。
また、熱接着層用塗工液の乾燥後塗工量は、10g/m2以下であることが好ましく、7g/m2以下であることがより好ましい。
熱接着層の乾燥後塗工量が上記数値範囲内であれば、積層体のヒートシール性を維持しつつ付着防止性および撥水性をより向上させることができる。
本発明による蓋材は、上記積層体を用いて作製することができ、液体や半固体、ゲル状物質などの粘性を有する内容物、例えば、ヨーグルトの包装容器の蓋材として好適に使用することができる。
本発明による容器20は、図2に示すように蓋材用撥水性積層体からなる蓋材21と、容器本体22と、を備えてなり、蓋材の熱接着層12と、容器本体22とがヒートシールされてなる。より具体的には、容器本体22の開口部23と、蓋材の熱接着層12とがヒートシールされてなる。
ヒートシールの方法は特に限定されるものではなく、バーシール、高周波シールや超音波シールなど従来公知の方法を使用することにより行うことができる。
基材を準備する工程
印刷用紙(大王製紙社製、商品名:リュウオウコート、55g/m2)の一方の面に印刷インキ(DIC社製、商品名:サイアスHR)を用いて、グラビア印刷により柄を施した。印刷用紙の非印刷面に、アルミニウム蒸着PETフィルムのアルミ蒸着面をドライラミネートした後、エージングを行い、基材を作製した。なお、ドライラミネートには、ポリエーテル系接着剤(ロックペイント株式会社製、商品名:RU3900)を用いた。
ウレタンビーズ粒子(平均粒子径20μm)、SiO2微粒子(平均粒子径1〜300μm)、ポリエステル樹脂、塩酸ビニル−酢酸ビニル共重合体、トルエン、メチルエチルケトンおよび酢酸エチルを混合し、熱接着層形成用塗工液を得た。該塗工液における固形分含有量は、17%であり、ウレタンビーズ粒子、SiO2微粒子:熱可塑性樹脂は、7:2:5.5であった。
上記のようにして作製した基材のPETフィルム上に、該塗工液を乾燥後の塗工量が1.5g/m2となるよう、塗工し、乾燥炉内において乾燥させ、熱接着層を形成し、蓋材用撥水性積層体を作製した。なお、乾燥炉内において、塗工した塗工液に対し、3.0kJ/m2の熱量を加えた。
塗工量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして蓋材用撥水性積層体を作製した。
乾燥時に加えた熱量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして蓋材用撥水性積層体を作製した。
乾燥時に加えた熱量を6.0kJ/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして蓋材用撥水性積層体を作製した。
ウレタンビーズ粒子に代え、シリコーン粒子(平均粒子径20μm)を熱接着層用塗工液に含有させた以外は、実施例1と同様にして蓋材用撥水性積層体を作製した。
ビーズ粒子を加えなかった以外は実施例1と同様にして蓋材用撥水性積層体を作製した。
SiO2微粒子を熱接着層用塗工液に含有させなかった以外は、実施例1と同様にして蓋材用撥水性積層体を作製した。
シール強度試験
実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体が備える熱接着層を、ポリスチレンシートへヒートシールした(ヒートシール温度:210℃、シール幅2mm、圧力0.3MPa、時間:0.8秒間)。ヒートシール後、蓋材用撥水性積層体を引っ張り試験機(オリエンテック社製)を用いて剥離させ、剥離時における最大強度をシール強度とした(N/15mm)(剥離角度180°、引張り速度300mm/min)。測定結果を表1に表す。
接触角計(協和界面化学製)を用いて、実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体が備える熱接着層と水滴との接触角を測定し、下記評価基準に従い、評価した。測定結果を表1に表す。
○:接触角150°以上
△:接触角100°〜150°
×:接触角100°以下
実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体を熱接着層が上方となるように45°傾け、熱接着層上に、ヨーグルト(1g)を垂らした。ヨーグルトの熱接着層への付着を目視にて観察し、以下の評価基準に従い、評価した。評価結果を表1に表す。
○:ヨーグルトの付着がなく、良好な付着防止性を発揮した。
△:ヨーグルトの付着が少しあったが、実用上問題なかった。
×:ヨーグルトの付着が多く、実用上問題があった。
実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体の熱接着層表面にセロハンテープを手動型テープ圧着ロール(テスター産業株式会社製、荷重2.5kg)を用いて貼り付けた。貼り付けたテープを剥離して、剥離したテープに撥水性微粒子およびウレタンビーズ粒子が付着しているかどうか確認した。
○:撥水性微粒子およびウレタンビーズ粒子が付着せず良好な密着性を示した。
△:撥水性微粒子およびウレタンビーズ粒子が多少付着した。
×:密着性が悪く撥水性微粒子およびウレタンビーズ粒子が付着した。
11:基材
12:熱接着層
13:撥水性微粒子
14:ウレタンビーズ粒子
20:容器
21:蓋材
22:容器本体
23:開口部
Claims (11)
- 基材と、前記基材上の熱接着層とを備え、
前記熱接着層が、熱可塑性樹脂、撥水性微粒子および前記撥水性微粒子よりも平均粒子径のウレタンビーズ粒子を含んでなることを特徴とする、蓋材用撥水性積層体。 - 前記撥水性微粒子の平均粒子径が、1nm以上、300nm以下である、請求項1に記載の積層体。
- 前記ウレタンビーズ粒子の平均粒子径が、1μm以上、50μm以下である、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記熱接着層における前記熱可塑性樹脂の含有量と、前記撥水性微粒子および前記ウレタンビーズ粒子の含有量との比が、質量基準で、2/1以上、1/5以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記熱接着層の前記基材側と反対側の面の比表面積が、1.0m2/g以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
- X線光電子分光法により測定された、前記熱接着層表面のSi元素濃度が、17%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記熱接着層の形成に使用される塗工液の乾燥後塗工量が、1.5g/m2以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体の製造方法であって、
基材を準備する工程と、
前記基材上に熱接着層用塗工液を塗工する工程と、
前記塗工した熱接着層用塗工液を乾燥する工程と、を含み、
前記熱接着層が、熱可塑性樹脂、撥水性微粒子および前記撥水性微粒子よりも平均粒子径のウレタンビーズ粒子を含んでなり、
前記乾燥工程において、前記熱接着層用塗工液に加えられる熱量が、0.5kJ/m2以上、5.5kJ/m2以下である、蓋材用撥水性積層体の製造方法。 - 前記塗工工程において、前記熱接着層用塗工液の乾燥後塗工量が、1.5g/m2以上ある、請求項8に記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体からなる蓋材。
- 請求項10に記載の蓋材と、容器本体とを備えてなり、
前記蓋材の熱接着層と、前記容器本体とが、ヒートシールされてなる、容器。
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