JP7150410B2 - 蓋材用撥水性積層体、蓋材および容器 - Google Patents
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Description
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態による蓋材用撥水性積層体の断面模式図を示したものである。一実施形態において、蓋材用撥水性積層体10は、基材11と、撥水性微粒子13およびビーズ粒子14を含んでなる熱接着層12とを備えてなる。以下、本発明による蓋材用撥水性積層体を構成する各層について説明する。
基材として、コート紙、印刷用紙、上質紙およびクラフト紙などの紙材であったり、ポリプロピレン、ポリアミドおよびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルなどの樹脂からなるフィルムまたはアルミ箔等の金属箔を使用することができる。また、基材が酸素および水蒸気に対するバリア層としての機能を発揮することができるため、紙材やフィルムに対し、アルミニウムや酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの無機酸化物を蒸着することが好ましい。また、基材の遮光性を向上させることができるため好ましい。また、上記した紙材と、フィルムとの積層材を基材として用いてもよい。積層方法は、特に限定されず、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ヒートラミネート法などを用いることができる。
本発明の熱接着層は、熱可塑性樹脂、撥水性微粒子および撥水性微粒子よりも平均粒子径の大きいビーズ粒子を含んでなる。このように熱接着層が大きさの異なる2種類の粒子を含んでなるため、表面に特有の凹凸構造が形成され、粘性を有する内容物の付着防止性および撥水性を顕著に向上させることができる。また、撥水性微粒子よりも平均粒子径の大きいビーズ粒子を含んでなるため、熱接着層の耐擦過性を向上させることもでき、摩擦による撥水性微粒子の滑落を防止することができる。
これらの中でも、コストの面からSiO2が好ましい。
熱接着層は、2種以上の撥水性微粒子を含んでいてもよい。
疎水化表面処理の方法としては、例えば、乾式法(CVD法、プラズマ法)を用いても、湿式法を用いてもよい。
撥水性微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡により測定することができる。
また、熱接着層における撥水性微粒子の含有量は、熱接着層に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上、500質量部以下であることが好ましく、20質量部以上、200質量部以下であることがより好ましく、70質量部以上、170質量部以下であることがさらに好ましい。
熱接着層用塗工液の乾燥後塗布量は、0.5g/m2以上、10g/m2以下であることが好ましく、1.0g/m2以上、7g/m2以下であることがより好ましい。熱接着層の乾燥後塗布量が上記数値範囲内であれば、積層体のヒートシール性を維持しつつ付着防止性および撥水性をより向上させることができる。
本発明による蓋材は、上記積層体を用いて作製することができ、液体や半固体、ゲル状物質などの粘性を有する内容物、例えば、ヨーグルトの包装容器の蓋材として好適に使用することができる。
本発明による容器20は、図2に示すように蓋材用撥水性積層体からなる蓋材21と、容器本体22と、を備えてなり、蓋材の熱接着層12と、容器本体22とがヒートシールされてなる。より具体的には、容器本体22の開口部23と、蓋材の熱接着層12とがヒートシールされてなる。
ヒートシールの方法は特に限定されるものではなく、バーシール、高周波シールや超音波シールなど従来公知の方法を使用することにより行うことができる。
基材の作製
コロナ処理を一方の面に施したPETフィルム(東洋紡エスペット社製、商品名:E5100、厚さ:12μm)のコロナ面に、ポリエステル系接着剤(ロックペイント株式会社製、商品名:RU-004)を塗工し、AL箔(東洋アルミニウム株式会社性、商品名:1N30、厚さ:7μm)をラミネートした後、エージングし、基材を作製した。
櫻宮化学製のインキWRD-2(溶媒:トルエン50質量部、メチルエチルケトン30質量部、酢酸エチル20質量部、熱可塑性樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、撥水性微粒子として疎水性SiO2(平均粒子径1~100nm)、ビーズ粒子としてSiO2(平均粒子径1~30nm)含有、熱可塑性樹脂:撥水性微粒子+ビーズ粒子=1:1)10質量部に、トルエン50質量部、メチルエチルケトン30質量部、酢酸エチル20質量部からなる希釈溶剤を混合し、これをAL箔側に、バーコート法により、乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるよう、塗布し、乾燥炉内で100℃で3秒間乾燥させ、蓋材用撥水性積層体を作製した。なお、塗工液の塗布にはミヤバー♯3(第一理化株式会社製)を用いた。
希釈溶剤を混合せず、インキWRD-2を、乾燥後の塗布量が2.0g/m2となるよう塗布した以外は、実施例1-1と同様にして、蓋材用撥水性積層体を作製した。
希釈溶剤を混合せず、インキWRD-2をミヤバー♯8を使用し、乾燥後の塗布量が3.0g/m2となるよう塗布した以外は、実施例1-2と同様にして、蓋材用撥水性積層体を作製した。
希釈溶剤を混合せず、インキWRD-2をミヤバー♯12を使用し、乾燥後の塗布量が4.0g/m2となるよう塗布した以外は、実施例1-2と同様にして、蓋材用撥水性積層体を作製した。
基材の作製
印刷用紙(大王製紙社製、商品名:リュウオウコート、55g/m2)の一方の面に印刷インキ(DIC社製、商品名:サイアスHR)を用いて、グラビア印刷により柄を施した。印刷用紙の非印刷面に、アルミニウム蒸着PETフィルムをドライラミネートした後、エージングを行い、基材を作製した。なお、ドライラミネートには、ポリエーテル系接着剤(ロックペイント株式会社製、商品名:RU3900)を用いた。
櫻宮化学製のインキWRD-4(熱可塑性樹脂としてアクリル、ポリエステル系樹脂、撥水性微粒子として疎水性SiO2(平均粒子径1~100nm)、ビーズ粒子としてSiO2(平均粒子径1~30μm)含有)200質量部に、EVONIK社製ヒートシール剤VP4174Eを酢酸エチルにより希釈した溶液を60質量部混合し、混合物を得た(熱可塑性樹脂:撥水性微粒子+ビーズ粒子=1:1)。この混合物を、PETフィルム側に、バーコート法により、乾燥後の塗布量が4g/m2となるよう、塗布し、乾燥炉内で100℃で3秒間乾燥させ、蓋材用撥水性積層体を作製した。なお、塗工液の塗布にはミヤバー♯12を用いた。
熱接着層用塗工液における熱可塑性樹脂:撥水性微粒子+ビーズ粒子=1:1.5となるようEVONIK社製ヒートシール剤VP4174Eの混合量を変更した以外は、実施例2-1と同様にして、蓋材用撥水性積層体を作製した。
熱接着層用塗工液における熱可塑性樹脂:撥水性微粒子+ビーズ粒子=1:2となるようEVONIK社製ヒートシール剤VP4174Eの混合量を変更した以外は、実施例2-1と同様にして、蓋材用撥水性積層体を作製した。
熱接着層用塗工液における熱可塑性樹脂:撥水性微粒子+ビーズ粒子=1:3となるようEVONIK社製ヒートシール剤VP4174Eの混合量を変更した以外は、実施例2-1と同様にして、蓋材用撥水性積層体を作製した。
熱接着層用塗工液に撥水性微粒子を含有させなかった以外は、実施例2-1と同様にして、蓋材用撥水性積層体を作製した。
熱接着層用塗工液にビーズ粒子を含有させなかった以外は、実施例2-1と同様にして、蓋材用撥水性積層体を作製した。
熱接着層用塗工液に撥水性微粒子およびビーズ粒子を含有させなかった以外は、実施例2-1と同様にして、蓋材用撥水性積層体を作製した。
基材の作製
印刷用紙(大王製紙社製、商品名:リュウオウコート、55g/m2)の一方の面に印刷インキ(DIC社製、商品名:サイアスHR)を用いて、グラビア印刷により柄を施した。印刷用紙の非印刷面に、アルミニウム蒸着PETフィルムをドライラミネートした後、エージングを行い、基材を作製した。なお、ドライラミネートには、ポリエーテル系接着剤(ロックペイント株式会社製、商品名:RU3900)を用いた。
櫻宮化学製のインキWRD-1(熱可塑性樹脂としてオレフィン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、撥水性微粒子として疎水性SiO2(平均粒子径1~100nm)、ビーズ粒子としてSiO2(平均粒子径1~30μm)含有、熱可塑性樹脂:撥水性微粒子+ビーズ粒子=1:1)50質量部にトルエンとMEKと酢酸エチルを5:4:1で混合した溶液を50質量部加えて良く撹拌した。この混合物を、PETフィルム側に、バーコート法により、乾燥後の塗布量が1.5g/m2となるよう、塗布し、乾燥炉内で100℃で3秒間乾燥させ、蓋材用撥水性積層体を作製した。なお、塗工液の塗布にはミヤバー♯8を用いた。
乾燥後の塗工量を2.0g/m2となるように塗工した以外は(実施例3-1)と同様にして蓋材用撥水性積層体を作製した。
乾燥後の塗工量を2.5g/m2となるように塗工した以外は(実施例3-1)と同様にして蓋材用撥水性積層体を作製した。
シール強度試験
実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体が備える熱接着層を、ポリスチレンシートへヒートシールした(ヒートシール温度:210℃、シール幅2mm、圧力0.3MPa、時間:0.8秒間)。ヒートシール後、蓋材用撥水性積層体を引っ張り試験機(オリエンテック社製)を用いて剥離させ、剥離時における最大強度をシール強度とした(N/15mm)(剥離角度180°、引張り速度300mm/min)。測定結果を表1、2および3に表す。
接触角計(協和界面化学製)を用いて、実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体が備える熱接着層と水滴との接触角を測定した。測定結果を表1、2および3に表す。なお、液滴を弾いてしまい、測定を行うことができないほど、撥水性の高いものについては、150°以上とした。
実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体を熱接着層が上方となるように45°傾け、熱接着層上に、ヨーグルト(1g)を垂らした。ヨーグルトの熱接着層への付着を目視にて観察し、以下の評価基準に従い、評価した。評価結果を表1、2および3に表す。
○:ヨーグルトの付着がなく、良好な付着防止性を発揮した。
△:ヨーグルトの付着が少しあったが、実用上問題なかった。
×:ヨーグルトの付着が多く、実用上問題があった。
実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体を熱接着層表面を手動型テープ圧着ロール(テスター産業株式会社製)を使用して、10回擦った(荷重2.5kg)。その後、熱接着層表面に水滴を垂らし、その滑落性を目視にて観察し、以下の評価基準に従い、評価した。評価結果を表1、2および3に表す。
○:撥水性微粒子の滑落がなく、良好な撥水性を発揮した。
△:撥水性微粒子の滑落が若干あったが、実用上問題のない撥水性を発揮した。
×:撥水性微粒子の滑落が多く、実用上問題があった。
11:基材
12:熱接着層
13:撥水性微粒子
14:ビーズ粒子
20:容器
21:蓋材
22:容器本体
23:開口部
Claims (4)
- 基材と、基材上の熱接着層とを備え、
前記熱接着層が、熱可塑性樹脂、撥水性微粒子および前記撥水性微粒子よりも平均粒子径の大きいビーズ粒子を含んでなり、
前記撥水性微粒子の平均粒子径が、1nm以上、300nm以下であり、
前記ビーズ粒子の平均粒子径が、1μm以上、50μm以下であり、
前記ビーズ粒子が、シリカビーズであり、
前記熱接着層における熱可塑性樹脂の含有量と、撥水性微粒子およびビーズ粒子の含有量との比が、質量基準において1:1~1:3の範囲であることを特徴とする、蓋材用撥水性積層体。 - 前記熱接着層における前記撥水性微粒子の含有量は、前記熱接着層に含まれる前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上、500質量部以下である、請求項1に記載の積層体。
- 請求項1または2に記載の積層体からなる蓋材。
- 請求項3に記載の蓋材と、容器本体とを備えてなり、
前記蓋材の熱接着層と、前記容器本体とが、ヒートシールされてなる、容器。
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