JP6044060B2 - 熱シール性包装材料 - Google Patents
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Description
ところが、これらの特性を満たしている包装材料であっても、内容物が包装材料に付着するという問題がある。この問題によって、内容物を全て使い切ることが困難となり、それだけ無駄が生じることとなる。また、付着して残っている内容物については別途搾り出す、かき集めるなどして回収する手間がかかる上、その際に内容物が周囲へ飛散し、手や服を汚すなどして作業効率を低下させる。このため、包装材料において必要とされる上記項目に加え、内容物が付着しにくい性質(非付着性)を備えていることが望ましい。
しかしながら、上記のような蓋材はワックスを用いているものについては特に熱に弱く、加熱によって付着防止性能が失われてしまったり、また、耐摩耗性や密着性も弱く、多少のひっかきによって性能を失ってしまったりすることが懸念される。
さらに、その他の添加剤を使用しており、それらの使用量を厳密に制御しなければ付着防止効果が低減するといったものについては、実用化を進める上でさらなる改善の余地がある。また、その性能を発揮する範囲は限定的であり、脂肪分を含んだ内容物に対する効果は弱い。
本発明は、内容物を注ぎだす際の液はね、注ぎ残りによる不快感を低減することを目的とし、撥水効果を向上させることを課題とする。さらに従来のものよりも良好な非付着性能を有する包装材料を提供することを目的とする。また、付加的な効果として耐熱性や密着性に優れる。また、注ぎ残りを低減することで、ごみの削減、商品の有効利用につながり、エコな暮らしをサポートすることも可能になる。
前記微粒子含有層は、球状の粒子に粒径より小さな複数の突起を有している金平糖型ミクロン粒子と疎水性微粒子が混在することにより、ミクロンオーダーの粒子の周りにナノ粒子が付着した構造となっており、前記金平糖型ミクロン粒子は、微粒子含有層における、平面視における微粒子含有層の投影面積に対する、金平糖型ミクロン粒子の投影像の総面積が10%以上であることを特徴とする熱シール性包装材料である。
る。具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト樹脂(PEN)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)などのポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)などのポリオレフィン樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)などの延伸又は無延伸フィルム、ナイロン−6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押出しフィルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押出しフィルムなどのいずれかが好適に使用できる。
またはこれらの2つ以上のフィルムを積層した複合フィルムであっても構わない。アルミニウム箔等の金属箔や紙も単体もしくは積層して用いることが出来る。
また、基材層の厚さは、通常、加工性を考慮して3μm〜150μmの範囲内で適宜選択される。加えて、公知の材料で構成されている各層が任意の位置に積層されても良い。
例えば、印刷層、印刷保護層(いわゆるオーバープリント層)、着色層、接着剤層、接着強化層、プライマーコート層、アンカーコート層、防滑剤層、滑剤層、防曇剤層等が挙げられる。
これらの熱シール層の厚さは特に限定されないが、密封性、生産性、コスト等の観点より通常1μm〜150μm程度とすることが好ましい。
微粒子含有層に金平糖型の粒子を用いることで、粒径に対する見かけの表面積が増大する。その一次粒径が1μmから50μmであると、一次粒径が5nmから1μmの疎水性微粒子と混在することで、ミクロンオーダーの粒子の周りにナノ粒子が付着した構造をとり、より優れた非付着効果を得ることができる。さらに、粒子に突起部があることで引っかかりができるために、球状のミクロン粒子を用いた場合に比べて熱シール層への密着力が向上するという効果が得らる。
金平糖型ミクロン粒子(c)の材質表面は、必要によって表面処理を施してもよいが、素材に特に限定はない。例えば表面の官能基は、シラノール基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、メチル基、アミノ基、エポキシ基、テトラメトキシシラン、イミダゾール基、あるいはシランカップリング剤によって表面を処理したものなどが挙げられる。
金平糖型ミクロン粒子(c)の材質は、無機酸化物としては例えば酸化珪素、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄などが挙げられる。また、有機物としては例えばポリスチレン、ポリ乳酸、アクリル、キトサン、デキストラン、アルブミン、アガロース、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
金平糖型粒子(c)の一次粒径が1μmより小さすぎると、微粒子含有層(e)に埋まってしまう部分が多くなり、ミクロン凹凸形状の構造効果が得られないため、撥水性が低下する。また、金平糖型粒子(c)の一次粒径が50μmより大きすぎると、微粒子含有層(e)中での金平糖粒子の接する面積が低下するので、脱落しやすくなってしまうため蓋材として好ましくない。
金平糖型粒子(c)について、その形状はミクロン粒子の表面積に対して、小突起の表面積が15%以上あることが好ましい。例えば、一次粒径20μmのミクロン粒子の表面に、小突起の粒径が2μmのものを60個程度所持しているものが挙げられる。小突起の表面積が、ミクロン粒子の表面積の15%より少なすぎると、微粒子含有層(e)との密着性において、球状形状のミクロン粒子を用いた場合と有意な差が得られず、良好な密着性が得られない。
疎水性微粒子としては、疎水性を有するものであれば特に限定されず、表面処理により疎水化されたものであっても良い。例えば、ジメチルシリル、トリメチルシリル、アミノアルキルシリル、アルキルシリル、メタクリルシリルを有するものが挙げられる。とりわけ、より優れた非付着性が得られるという点において、表面にトリメチルシリル基を有する疎水性シリカ微粒子が好ましい。
PETフィルム(25μm)基材のコロナ処理を施した面に、グラビア印刷法により、ポリエステル系のアンカーコートを1g/m2塗布し、その上にポリアクリレートを主成
分とするラッカータイプ接着剤を3g/m2塗布することで、熱シール層とした。この熱シール層の上に、エタノール溶液に分散させた疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル;R812S 一次粒径7nm)、エタノール溶液に分散させた金平糖型のメチル基を一部持つシリカ粒子(一次粒径20μm)、熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂がそれぞれ乾燥重量で0.4g/m2、0.2g/m2、0.9g/m2となるように塗布し、80℃で1分間乾燥させることで熱シール性包装材料のサンプルを得た。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、用いた金平糖型粒子はメチル基を一部持つシリカ粒子(一次粒径30μm)とした。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、用いた金平糖型粒子はメチル基を一部持つシリカ粒子(一次粒径40μm)とした。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、用いた金平糖型粒子はメチル基を一部持つアクリル粒子(一次粒径20μm)とした。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、用いた金平糖型粒子はメチル基を一部持つシリコーン粒子(一次粒径20μm)とした。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、ミクロン粒子の占有面積が50%となるように配合を調整し塗工した。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、ミクロン粒子の占有面積が90%となるように配合を調整し塗工した。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、疎水性微粒子の表面官能基がジメチルシリル基のものを用いた。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、疎水性微粒子の表面官能基がアルキルシリル基のものを用いた。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、疎水性微粒子の一次粒径が50nmのものを用いた。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、疎水性微粒子の一次粒径が90nmのものを用いた。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、用いた熱可塑性樹脂の材質をEVAとした。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、用いた金平糖型粒子はメチル基を一部持つシリカ粒子の一次粒径が0.5μmのものを用いた。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、用いた金平糖型粒子はメチル基を一部持つシリカ粒子の一次粒径が80μmのものを用いた。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、用いたミクロン粒子は球状のものを用いた。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、ミクロン粒子の占有面積が1%となるように塗工した。
実施例1と同様の手順で熱シール性包装材料のサンプルを作製した。ただし、疎水性微粒子として一次粒径が3μmのものを用いた。
実施例1と同様の手順で、熱可塑性樹脂を用いずに熱シール性包装材料のサンプルを作製した。
《評価》
転落性については、各作製サンプルの微粒子含有層側を試験面とし、この面を上面として水平な平台に固定して準備した。そこへ水道水、もしくはヨーグルトを至近距離から垂らし、平台を水平から傾け、液滴が転げ落ちる角度(転落角)をもって転落性を評価した。転落角20度以下を◎、20度超80度以下を○、試験面に付着が一部残るものを△、付着してしまうものを×とした。結果は表1に示した。
密着性については、セロハンテープを試験面に貼り付けたのちに剥離させ、その表面にて撥水性を見ることで、微粒子含有層の表面がセロハンテープに取られていないかどうかを確認した。セロハンテープ剥離後の表面にて撥水性があるものを○、水が少量付着してしまったものを△とした。結果は表1に示した。
表1の結果から、実施例1〜12に示した本発明のフィルムでは密着性を有していることと同時に、高い非付着性を発揮していることがわかる。
ただし、比較例1,2の結果からも解るように、ミクロン粒子の一次粒径が請求項1の範囲より小さくなってしまうと、優れた非付着性が得られず、請求項1の範囲を超えると密着性が得られない。
比較例3の結果から分かるように、ミクロン粒子の形状が球状であると密着性が低下する。このことから、ミクロン粒子は金平糖型であることで、塗膜の密着性が向上していると言える。
比較例4・5の結果から解るように、用いる疎水性微粒子の一次粒径が請求項1の範囲
を超える、あるいはミクロン粒子の占有面積が請求項1の範囲外であると、表面の煩雑さが足りないために優れた非付着性が得られない。
比較例6の結果から分かるように、請求項1に記載したとおり、熱可塑性樹脂を使用しないと密着性が得られない。
(b)…熱シール層
(c)…金平糖型ミクロン粒子
(d)…疎水性微粒子および熱可塑性樹脂層
(e)…微粒子含有層
Claims (6)
- 少なくとも基材、熱シール層、微粒子含有層を有しており、微粒子含有層には、熱可塑性樹脂、一次粒径が1μmから50μmの金平糖型のミクロン粒子、および一次粒径が5nmから90nmの疎水性微粒子が少なくとも一部に含まれ、
前記微粒子含有層は、球状の粒子に粒径より小さな複数の突起を有している金平糖型ミクロン粒子と疎水性微粒子が混在することにより、ミクロンオーダーの粒子の周りにナノ粒子が付着した構造となっており、前記金平糖型ミクロン粒子は、微粒子含有層における、平面視における微粒子含有層の投影面積に対する、金平糖型ミクロン粒子の投影像の総面積が10%以上であることを特徴とする熱シール性包装材料。 - 前記の金平糖型のミクロン粒子は、材質表面の少なくとも一部にメチル基、アルキル基、フッ化アルキル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸、ヒドロキシル基のいずれかの官能基を有する無機酸化物であることを特徴とする、請求項1に記載の熱シール性包装材料。
- 前記の金平糖型のミクロン粒子は、材質表面の少なくとも一部にメチル基、アルキル基、フッ化アルキル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸、ヒドロキシル基のいずれかの官能基を有する有機物であることを特徴とする、請求項1に記載の熱シール性包装材料。
- 前記疎水性微粒子の表面は、ジメチルシリル、トリメチルシリル、アミノアルキルシリル、アルキルシリル、メタクリルシリル基のいずれかの官能基を付与するための疎水処理を施してあることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の熱シール性包装材料。
- 前記金平糖型のミクロン粒子は、微粒子含有層における、平面視における微粒子含有層の投影面積に対する、金平糖型ミクロン粒子の投影像の総面積が10%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の熱シール性包装材料。
- 前記微粒子含有層には、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、シリコーン、ポリエステルシリコーン、フッ素シリコーン、シリル化ウレタ
ンアクリル、ポバール(登録商標)、エバール(登録商標)、ウレタン、塩化酢酸ビニル、ポリアミド、アクリルシリコーンのいずれかの熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の熱シール性包装材料。
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