JP6015318B2 - 熱シール性フィルム - Google Patents
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たとえば、ヨーグルト、ゼリー、プリン、シロップなどの容器蓋材や、お粥、スープなどのレトルト食品用包装材、化学品や医薬品等の液体、半固体、ゲル状物質などの保存容器用に用いるフィルム材料に関する。
具体的には、表面にミクロン粒子を塗布した凹凸を付与することで、易開封性を保ちながらシール不良による内容物の漏洩やシール後の誤開封を防止することが出来る開封容器の蓋材において、易開封性と十分なシール強度を保持するとともに、内容物の付着を低減して外部へ飛び出しにくくした熱シール性フィルムに関する。
ところが、これらの特性を満たしている包装材料であっても、次のような問題がある。すなわち、内容物が包装材料に付着するという問題である。内容物が包装材料に付着すれば、内容物をすべて使い切ることが困難になり、それだけ無駄が生じることになる。
また、内容物をすべて使い切るためには包装材料に付着した内容物を別途に回収しなければならず、手間がかかる。このため、包装材料では、上記のような密封性等のほか、内容物が包装材料に付着しにくい性質(非付着性)を備えていることが望ましい。
しかしながら、この疎水性粒子による撥水性付与の方法は疎水性酸化物の微粒子が3次元網目状に配してあるため機械的強度が弱く、疎水性粒子が基材から剥離しやすいという欠点を有していた。
しかし、内容物付着防止層をワックス+微粒子の構成としたこの方法でもまだ、表面凹
凸が不十分なために撥水性が不足する場合があった。
しかしながら、この容器は特許文献1の包装材料と同様に、120℃〜200℃の熱で固着させないと膜凝集力が上がらない。高温にすると、シーラント層が熱溶解しやすく形状も変化しやすいという問題点を有している。
しかしながら、この疎水性粒子による撥水性付与の方法も特許文献1の方法と同様にバインダーを使用していないので、固着強度が弱く疎水性粒子が基材から剥離しやすいという欠点を有していた。
また、フッ素材やシリコーンでは、撥水性や付着防止効果はあるものの、シール性に乏しく、蓋やパウチといった容器包装材に使用することが困難であった。
また、安全衛生上の観点から、表面エネルギーの小さいハロゲン系の撥水剤は、C8系の主鎖を持つ撥水剤が体内残存率が高い可能性があるため、やや撥水性の劣ると思われるC6系やシリコーン系がよく使われ、その分撥水性もやや劣るという欠点があった。
また、疎水性微粒子を使用した撥水コート剤は膜凝集力および密着力が弱く粒子の脱離が起こりやすい。
さらにシール剤の上に撥水剤をコートする方法では、撥水層が熱シール阻害を起こしやすく、輸送中に蓋材が剥離したり、シール不良による内容物の漏洩等が懸念される。
、その上から撥水コート層により被覆されていることを特徴とする熱シール性フィルムである。
さらに表面に撥水処理を施すことで、表面形状を崩すことなく低表面エネルギーを有する撥水性表面が形成でき、表面凹凸と撥水処理の効果でフラットな基材の上に撥水剤層を設けたフィルムよりも撥水性を向上させることが可能となった。
熱シール実施時において、無機バインダーを使用した微細凹凸付与層が粒子凹凸上に存在するので、シール圧がかかる局面で無機層が壊れ、撥水コート層がシール阻害することなく、シール層中のシール樹脂が被着体表面に届きやすく、強固な熱シールが可能となる。
図1は本発明の熱シール性フィルムの一例の断面模式図である。図の上部が包装体に用いた場合の内容物側で下部が外側となるような向きである。
アルミニウム箔等の単体又はこれらの複合材料・積層材料を好適に用いることができる。
これらの材料には、公知の包装材料で採用されている各層が任意の位置に積層されていても良い。例えば、印刷層、印刷保護層(いわゆるOP層)、着色層、接着剤層、接着強化層、プライマーコート層、アンカーコート層、防滑剤層、滑剤層、防曇剤層等が挙げられる。
基材層の厚みは限定されないが、包装材料としての強度、柔軟性、コスト等の観点より通常15μm〜500μmの範囲内で適宜設定すれば良い。
熱シール樹脂層(2)の厚みは特に限定されないが、密封性、生産性、コスト等の観点より通常2〜150μm程度とすることが好ましい。
球形粒子(3)は、熱シール層表面から直径の半分以上の高さで露出していて、熱シール後も形状を保持し、被シール基材に埋め込まれる。
すなわち、この凝集状態は、熱接着層に付着した後も維持されるので、優れた非付着性を発揮することができる。
酸化物の種類も、疎水性を有するものであれば限定されない。例えばシリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ、チタニア等の少なくとも1種を用いることができる。
これに対応する市販品としては、例えば「AEROSIL R300」、「AEROSIL R812S」(いずれもエボニック デグサ社製)等が挙げられる。
無機バインダー層(4)に用いるバインダーとしては、たとえば、テトラエトキシシラン加水分解溶液からなるシリカゾルバインダーが挙げられる。
これらのコート方法によって、酸化物微粒子(5)を含む無機バインダー層(4)の凹凸表面上をトリメチルシリル、ジメチルシリル、ジメチルシロキサン、ジメチルポリシロキサン、アルキルシリル、メタクリルシリルのいずれかのうち少なくとも1つを含む疎水性官能基を付着させて、球形粒子ならびに酸化物微粒子により形成されている表面凹凸を崩すことなく単分子コートすることが出来る。
また撥水コート層の撥水処理は、乾式、湿式等の手法によってメチル基を含む疎水性官能基を主体とする単分子膜を付与することにより行われる。
あるいは、球形粒子(3)と熱シール性樹脂とを混合した熱シール性塗工液を基材(1)上に塗布し乾燥する。
球形粒子(3)の平均粒径は、熱シール樹脂層(2)の樹脂の厚さに対し2倍以上の大きさを有するものである。
さらにその後の撥水処理を単分子膜オーダーのコーティングによりおこなうことによって、基材表面の凹凸を変化させることなく疎水性官能基を全面に付着させ、撥水性と撥乳性の高い熱シール性フィルムとすることが可能となる。
また、撥水コート層が表面の凹凸に沿って配置されているため、熱シール時にシール圧力により撥水コート層が一部破壊されやすく、下部の熱シール樹脂が表面上に滲みだして被シール基材との密着性を保持することが出来る。
このようにして本発明の熱シール性フィルムは、良好な熱シール性を保ちながら優れた撥水性を有し、蓋材やパウチとして利用した場合には内容物の残量の低減や付着防止効果等の優れた効果を有する。
厚み15μmのアルミニウム箔(AL)の片面にポリウレタン系ドライラミネート接着剤(乾燥後塗布量3.5g/m2)を用いて、裏印刷を施した厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の印刷面と貼り合わせ、基材(20)を作成した。
ドライラミネートで作成したPET/AL基材(20)上に、ウレタン系アンカーコートを塗布した上から、アクリル樹脂からなる平均粒子径20μmの球形粒子とアクリル樹脂からなるヒートシール剤を酢酸エチルに分散して30質量%の固形分に調整した分散液を、ヒートシール剤の乾燥後の塗布量が4.0g/m2になるようにグラビアコートにより塗布し、球形樹脂(3)による凹凸を付与した熱シール性基材を作成した。
さらに、ヘキサメチルジシロキサンを0.01N塩酸とメタノールの混合溶媒に10質量%溶解させた撥水コート剤を上記凹凸付与熱シール基材の上にディップコートし、撥水性を付与した熱シール性フィルム(17)とした(図3参照)。
厚み15μmのアルミニウム箔(AL)の片面にポリウレタン系ドライラミネート接着剤(乾燥後塗布量3.5g/m2)を用いて、裏印刷を施した厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の印刷面と貼り合わせ、基材(20)を作成した。
ドライラミネートで作成したPET/AL基材(20)上に、ウレタン系アンカーコートを塗布した上から、アクリル樹脂からなるヒートシール剤を酢酸エチルに分散して20
質量%の固形分に調整した分散液を、乾燥後の塗布量が2.0g/m2の塗布量になるようにグラビアコートにより塗布してヒートシール性基材とした基材フィルムの上に、アクリル樹脂からなる平均粒子径20μmの球形粒子(3)を酢酸エチルによって分散した粒子分散液をバーコートにより均一に塗布し、凹凸を付与した熱シール性基材を作成した。
さらに、ヘキサメチルジシロキサンを0.01N塩酸とメタノールの混合溶媒に10質量%溶解させた撥水コート剤を上記凹凸付与熱シール基材の上にディップコートし、撥水性を付与した熱シール性フィルム(27)とした(図4参照)。
厚み15μmのアルミニウム箔(AL)の片面にポリウレタン系ドライラミネート接着剤(乾燥後塗布量3.5g/m2)を用いて、裏印刷を施した厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の印刷面と貼り合わせ、基材(20)を作成した。
ドライラミネートで作成したPET/AL基材(20)上に、ウレタン系アンカーコートを塗布した上から、アクリル樹脂からなるヒートシール剤を酢酸エチルに分散して20質量%の固形分に調整した分散液を、乾燥後の塗布量が2.0g/m2になるようにグラビアコートにより塗布してヒートシール性基材とした基材フィルムの上に、疎水性シリカ微粒子とTEOS加水分解溶液からなるシリカゾルバインダーを混合した酸化物微粒子コート剤を、グラビアコートにより塗布し、撥水性を付与した熱シール性フィルム(37)とした(図5参照)。
厚み15μmのアルミニウム箔(AL)の片面にポリウレタン系ドライラミネート接着剤(乾燥後塗布量3.5g/m2)を用いて、裏印刷を施した厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の印刷面と貼り合わせ、基材(20)を作製した。
ドライラミネートで作成したPET/AL基材(20)上に、ウレタン系アンカーコートを塗布した基材上に、アクリル樹脂からなる平均粒子径15μmの球形粒子(3)とアクリル樹脂からなるヒートシール剤を酢酸エチルに分散して30質量%の固形分に調整した分散液を、20.0g/m2の塗布量でグラビアコートにより塗布し、球形樹脂(3)による凹凸が熱シール樹脂層(2)内にほぼ埋没した形状の熱シール性基材を作成した。
さらに、ヘキサメチルジシロキサンを0.01N塩酸とメタノールの混合溶媒に10質量%溶解させた撥水コート剤を上記凹凸付与熱シール基材の上にディップコートし、撥水性を付与した熱シール性フィルム(47)とした(図6参照)。
<シール強度>
各実施例及び比較例で得られたサンプルについてシール強度を調べた。
実施例1,2および比較例1,2で作成した熱シール性フィルムを、フランジ付きポリスチレン製容器のフランジ上にインパルスシーラーにてヒートシールし、シール強度を引
張試験機(テンシロン)にて測定した。
ヒートシール条件は、温度210℃及び圧力2kg/cm2にて1.0秒間、シール強度の測定条件は、引張速度300mm/min、剥離角度180度、シール幅10mm、測定フィルム幅15mm、n=3の平均としその平均値を求めた。
各フィルムの内容物側を試験面とし、この面を上面として水平な平台にクリップで固定し、水滴およびヨーグルト(ダノンヨーグルト/プレーン加糖)を滴下し、その接触角ならびに転落角(目視)を測定した。純水とヨーグルトの接触角は接触角測定装置を用いて測定した。
純水とヨーグルトの転落角は各フィルムの内容物側を試験面とし、水滴およびヨーグルトを至近距離から垂らし、水平な平台を傾け、ヨーグルト液滴が転げ落ちた場合はその角度を目視で判定し、平台を90度傾けても転げ落ちずに垂れ流れた場合を付着残りとした。
熱シール性フィルムの内容物に接する面の撥水処理の密着強度試験として、学振形耐磨耗試験機(JISK5701)で往復回数100回、荷重200g、相手材:クロムメッキ面の条件にて耐磨耗試験を実施した。
耐磨耗試験後に前記のヨーグルトの転落角試験を行い、ヨーグルト液滴が転げ落ちた場合は○、平台を90度傾けても転げ落ちずに付着が残った場合を付着(不合格)とした。
以上の結果を表1及び表2に示す。
また非付着性については実施例と比較例では接触角と転落角において全般に差があり、本発明の熱シール性フィルムが優れていることが示されている。
とくに収納物にヨーグルトを選んだ場合には、比較例では付着残りがあるが実施例では転落角が10°未満と高い非付着性を発揮していることがわかる。
以上の結果より、本発明の熱シール性フィルムによれば、包装材の内容物に接するシーラント層に安定した撥水性を付与することにより、内容物の付着を防止して取り出し後の残存を低減し、取り出し性の向上を可能とした熱シール性フィルムを提供することが可能になった。
2…熱シール樹脂層
3…球形粒子
4…無機バインダー層
5…酸化物微粒子
6…撥水コート層
7…熱シール性フィルム
8…アルミニウム箔
9…接着剤
10…基材
11…熱接着層
12…疎水性酸化物微粒子
13…裏印刷
14…ポリエステルフィルム
17…熱シール性フィルム
20…基材
27…熱シール性フィルム
37…熱シール性フィルム
47…熱シール性フィルム
Claims (5)
- 少なくとも基材フィルムの片面に熱シール樹脂層が形成されており、平均粒子径10μm〜50μmの球形粒子が熱シール樹脂層表面に露出した状態で分散されて表面凹凸を形成している熱シール性フィルムの熱シール樹脂層上に、平均一次粒子径5nm〜1μmの酸化物微粒子を分散させた無機バインダー層が形成され、その上から撥水コート層により被覆されていることを特徴とする熱シール性フィルム。
- 上記熱シール性フィルムに含まれる球形粒子が、シリコーン、金属酸化物あるいはポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれたプラスチックからなることを特徴とする請求項1に記載の熱シール性フィルム。
- 上記熱シール性フィルムに含まれる球形粒子が、熱シール樹脂層表面から直径の半分以上の高さで露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の熱シール性フィルム。
- 上記熱シール性フィルムに含まれる球形粒子が、熱シール後も形状を保持し、被シール基材に埋め込まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の熱シール性
フィルム。 - 上記熱シール性フィルムにおける撥水コート層の撥水処理が、乾式、湿式等の手法によってメチル基を含む疎水性官能基を主体とする単分子膜を付与することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の熱シール性フィルム。
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