JP6907795B2 - 付着防止性積層体の製造方法 - Google Patents

付着防止性積層体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6907795B2
JP6907795B2 JP2017153220A JP2017153220A JP6907795B2 JP 6907795 B2 JP6907795 B2 JP 6907795B2 JP 2017153220 A JP2017153220 A JP 2017153220A JP 2017153220 A JP2017153220 A JP 2017153220A JP 6907795 B2 JP6907795 B2 JP 6907795B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inorganic fine
adhesion
fine particles
coat layer
base coat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017153220A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019030842A (ja
Inventor
未奈 関川
未奈 関川
中島 篤志
篤志 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Inc filed Critical Toppan Inc
Priority to JP2017153220A priority Critical patent/JP6907795B2/ja
Publication of JP2019030842A publication Critical patent/JP2019030842A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6907795B2 publication Critical patent/JP6907795B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は付着防止性積層体の製造方法に関する。この製造方法によって得られる付着防止性積層体は、親水性成分、親油性成分、界面活性剤成分のいずれに対しても、その付着を防止する。このため、ハンドソープ等の界面活性剤成分を含む内容物の容器あるいは蓋材として好適である。
例えばヨーグルト等の内容物を収容したカップ容器の蓋材として使用して、その内容物の付着を防止することができる付着防止性積層体は、特許文献1に記載されている。
この付着防止性積層体は、基材上に熱可塑性樹脂層を設け、この熱可塑性樹脂層表面に平均粒径3〜100nmの無機微粒子を付着させたものである。熱可塑性樹脂層には平均粒径0.5〜100μmの充填粒子が含まれており、この充填粒子に起因して熱可塑性樹脂層の表面には凹凸が形成されている。そして、前記無機微粒子はこの凹凸表面に付着しているため、付着防止性積層体の表面には、これら充填粒子に起因する凹凸と、この表面に付着した無機微粒子に起因する微細な凹凸とが重畳して設けられている。
そして、このため、この付着防止性積層体は、ヨーグルト等の親水性の内容物の付着を防止するのである。
特許第5674221号公報
以上のように、特許文献1に記載の付着防止性積層体は、ヨーグルト等の親水性の内容物の付着を効果的に防止する。しかしながら、内容物が親油性成分や界面活性剤成分を含む場合には、その付着防止性が極めて乏しいのである。
そこで、本発明は、親水性成分、親油性成分、界面活性剤成分のいずれに対しても、その付着防止効果に優れる付着防止性積層体の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基材上に、平均粒径1〜100μmの粒子(大粒子)を含むベースコート層を形成すると共に、このベースコート層表面に前記粒子に基づく凹凸を形成するベースコート層形成工程と、
平均粒径10nm未満の無機微粒子を溶剤に分散させた分散液を適用して、前記無機微粒子を前記ベースコート層表面に付着させる無機微粒子付着工程と、
前記無機微粒子を含めて、ベースコート層表面に、表面処理剤を適用する表面処理工程と、
を備える付着防止性積層体の製造方法において、
前記溶剤がヘキサンから成り、
前記表面処理剤がシランカップリング剤であり、このシランカップリング剤が、珪素原子に結合した有機基として1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基を有するシランカップリング剤から成る、
ことを特徴とする付着防止性積層体の製造方法である。
次に、請求項2に記載の発明は、前記シランカップリング剤がトリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランから成ることを特徴とする請求項1に記載の付着防止性積層体の製造方法である。
次に、請求項3に記載の発明は、前記ベースコート層形成工程が、前記大粒子と金属アルコキシド又はその加水分解物とを混合し、この混合液を塗布し硬化する工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の付着防止性積層体の製造方法である。
次に、請求項4に記載の発明は、前記基材がヒートシール層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の付着防止性積層体の製造方法である。
本発明によって製造される付着防止性積層体は、後述する実施例から分かるように、親水性成分、親油性成分、界面活性剤成分のいずれに対しても、優れた付着防止効果を発揮する。
その理由は次のように推測できる。すなわち、まず、平均粒径1〜100μmの粒子(大粒子)を含むベースコート層は、その表面に前記粒子に起因する凹凸を有している。この凹凸の凹部には空気層が形成されているから、表面に適用された液滴との間にこの空気層が介在して、その液滴を浮かせ、両者の接触面積を減少させる。また、このベースコート層表面には、平均粒径10nm未満の無機微粒子が付着しており、前記粒子に起因する凹凸と無機微粒子に起因する凹凸とが重畳して複雑な凹凸が形成されているから、液滴の接触面積を一層小さなものとしている。
次に、付着防止性積層体の表面は、前記無機微粒子を含めて、表面処理剤で表面処理が施されている。表面処理材はシランカップリング剤である。シランカップリング剤は、珪素原子の周囲に、無機材料と結合する官能基(無機材料結合基)とこれと結合しない官能基(非結合基)の両者が結合したもので、このうち、無機材料結合基が無機微粒子表面と反応して結合する。そして、シランカップリング剤の官能基のうち、非結合基がフッ素原子を有する場合には、この表面処理の結果、無機微粒子表面にフッ素原子を有する官能基が導入されるから、その臨界表面張力を小さくする。このため、この付着防止性積層体の表面に適用される液滴が、親水性成分である場合はもちろん、親油性成分あるいは界面活性剤成分であっても、その付着が防止されるのである。
ところで、前述のように、シランカップリング剤は、無機材料結合基と無機材料と非結合基の両者を有しているが、このうち、非結合基が長鎖で、多数のフッ素原子を有しているほど、表面処理の結果、無機微粒子表面に導入されるフッ素原子が多くなり、その付着防止性も高まると予測できる。
ところが、この非結合基が長鎖になると、立体障害のため、シランカップリング剤と無機材料結合基との反応が阻害される。このため、却って付着防止性の向上が見られないのである。後述する実施例及び比較例から分かるように、非結合基が炭素数8のオクチル基で、その末端から数えて1番目から6番目までの炭素原子に結合した13個の水素原子をフッ素原子で置換したシランカップリング剤(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基を有するシランカップリング剤)を使用すると、その表面処理の結果、親水性成分、親油性成分あるいは界面活性剤成分のいずれに対しても高い付着防止性を示すのに対して、炭素数9の非結合基を有するシランカップリング剤を使用すると、界面活性剤成分に対する付着防止性の向上が見られない。また、炭素数6の非結合基を有するシランカップリング剤を使用した場合にも、界面活性剤成分に対する付着防止性の向上が見られない
なお、無機微粒子を分散させる溶剤としてヘキサンを使用することも重要である。これ以外の溶剤、例えば、メタノールやアセトン等を使用した場合には、これも後述の比較例から分かるように、親水性成分に対する付着防止効果を発揮するものの、親油性成分や界面活性剤成分に対しては、極めて乏しい付着防止効果しか得られない。その理由は明らかではないが、メタノールやアセトン等が極性溶剤であるのに対して、ヘキサンは無極性溶剤であり、このため、この無機微粒子をベースコート層表面に付着させたとき、無機微粒子が密な状態で付着し、その比表面積が大きくなり、このため、表面処理の結果、シランパップリング剤に含まれるフッ素原子の密度が高くなるものと推測できる。
図1は本発明の付着防止性積層体の具体例を示す説明用断面図である。
以下、図面を参照して本発明の具体例を説明する。前述のように、本発明は、ベースコート層形成工程、無機微粒子付着工程及び表面処理工程を必須とする付着防止性積層体の製造方法であり、この方法で得られた付着防止性積層体10は、図1に示すように、基材1上にベースコート層2が設けられ、このベースコート層2表面に無機微粒子3が付着していると共に、この無機微粒子3を含めてベースコート層2の全面に表面処理が施されたもので、図1においては、説明の便宜上、表面処理を符号4で示している。
(ベースコート層形成工程)
ベースコート層形成工程は、基材1上に、平均粒径1〜100μmの粒子(大粒子)2aを含むベースコート層2を形成する工程である。
基材1は任意の材質から成るものであってよい。例えば、プラスチックシート、ガラス板、金属板等である。
プラスチックシートは、単一の材質から成るシートから構成されるものであっても良いし、多層構造を有するシートであってもよい。例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、セルロースアセテート、セロハン、アルミニウム箔などを使用することができる。また、これらを積層したものであってもよい。
また、基材1は、金属又は金属酸化物の薄膜を設けた蒸着フィルムを、その層構成中に含むシートであってもよい。金属としては、ケイ素、アルミニウムなどが例示できる。また、金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化マグネシウム等が例示できる。また、これらの薄膜を形成する蒸着基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、セルロースアセテート、セロハン等が使用できる。そして、これら薄膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法等の真空プロセスによって、蒸着基材上に設けることが可能である。
また、基材1がシート状を有する場合には、その片面にヒートシール層を有するものを好ましく使用することができる。ヒートシール層の材料としては、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ホットメルト樹脂等を使用することができる。
次に、ベースコート層2は、前記大粒子2aを金属アルコキシド及びその他の添加成分
を混合して混合液とし、この混合液を塗布した後、金属アルコキシドを硬化することによって形成することが望ましい。金属アルコキシドの硬化によって形成された無機バインダー2bは、熱圧によってクラックを生じるから、例えば、この無機バインダー2bで大粒子2aを固定したベースコート層2を前記ヒートシール層上に設けた場合、この付着防止性積層体10を蓋材として容器にヒートシールしたとき、ヒートシールの際の熱圧によって生じたクラックからヒートシール層が浸出してヒートシールすることができる。
大粒子2aとしては、平均一次粒径が1〜100μmの粒子が好ましく使用できる。
例えば、シリカビーズ、酸化アルミニウムの粒子、二酸化チタンの粒子、アクリル系樹脂の粒子、熱可塑性樹脂の粒子が使用できる。アクリル系樹脂の粒子は、架橋したアクリル系樹脂の粒子、又は未架橋のアクリル系樹脂の粒子のいずれであってもよい。例えば、架橋したポリメタクリル酸メチルの粒子、架橋したポリメタクリル酸ブチルの粒子、架橋したポリアクリル酸エステルの粒子等である。
また、熱可塑性樹脂の粒子としては、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等を使用することができる。なお、大粒子2aとして熱可塑性樹脂の粒子を使用する場合には、この粒子2aによってベースコート層2にヒートシール性を持たせることが可能である。
次に、金属アルコキシドとしては、化学式 M(OR)nで表される金属アルコキシドである。その一部又は全部が加水分解されていてもよい。ここで、MはSi、Al、Ti、Zr等の金属、RはCHまたはC、nは金属元素の酸化数である。その中でも、水系の溶媒中において比較的安定なものが好ましい。例えば、テトラメトキシシラン(化学式:Si(OCH)、テトラエトキシシラン(化学式:Si(OC)、トリイソプロピルアルミニウム(化学式:Al(OC)である。
また、添加成分としては、水溶性高分子やシランカップリング剤を例示することができる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を使用できる。また、シランカップリング剤としては、例えば、アミンシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等を使用することができる。また、イソシアネート基やエポキシ基を持つシランカップリング剤であってもよい。例えば、トリエトキシエポキシシラン等を使用できる。
そして、これら各成分を溶解又は分散させて混合液を作成し、この混合液を塗布した後、加熱して乾燥すると共にこれら各成分を反応させることにより形成することができる。この反応によって、金属アルコキシドは、SiO骨格を有する強固な無機皮膜を生成し、この無機皮膜がバインダーとして働き、前記大粒子2aを固定する。塗布方法としては、例えば、ロールコーティング、グラビアコーティング、バーコーティング、キスリバースコーティング、ダイコーティング、ドクターブレードコーティング、刷毛塗り、ディップコーティング、スプレーコーティングなどを用いることができる。
なお、大粒子2aと金属アルコキシドとの配合比は、大粒子2aを無機バインダー2bに固定してその脱落を防ぐと共に、その表面に大粒子2aに起因する凹凸が形成される程度である必要がある。このような理由から、大粒子2aと金属アルコキシドとは、金属アルコキシドを金属酸化物に換算したときの重量比が5:95〜95:5の範囲内となるように、配合することが望ましい。また、同じ理由から、その塗布量は、ベースコート層2の平均膜厚が1〜40μmとなる量であることが望ましい。
(無機微粒子付着工程)
無機微粒子付着工程は、平均粒径10nm未満の無機微粒子3を前記ベースコート層2の凹凸表面に付着させる工程である。この工程においては、無機微粒子3を溶剤に分散させて分散液とし、この分散液をベースコート層2の凹凸表面に塗布することで行うことができる。
無機微粒子3は前記ベースコート層2の凹凸表面に微細な凹凸を形成するものである。このため、前記大粒子2aに起因するベースコート層2の表面の凹凸と、この無機微粒子3に起因する微細な凹凸とが付着防止性積層体10の表面に形成される。そして、このように重畳して形成された凹凸と、後述する表面処理とが協働して、親油性成分や界面活性剤成分に対する付着防止性を発揮する。このような理由から、無機微粒子3は、その平均一次粒径が10nm未満でなければならない。なお、後述する比較例から分かるように、この無機微粒子3を付着させなかった場合、すなわち、ベースコート層2の凹凸表面に無機微粒子3に起因する微細な凹凸を形成しなかった場合には、親油性成分や界面活性剤成分に対する付着防止性は不十分である。
無機微粒子3としては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄などを主成分とした無機化合物を用いることができる。これらの混合物でもよい。
また、この無機微粒子3を分散させる溶剤としてはヘキサンを使用する必要がある。これ以外の溶剤、例えば、メタノールやアセトン等の極性溶剤を使用した場合には、親水性成分に対する付着防止効果を発揮するものの、親油性成分や界面活性剤成分に対する付着防止効果をほとんど発揮しない。
この無機微粒子3の分散液は、さまざまな方法で塗布することができる。例えば、ロールコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、バーコート、刷毛塗り等である。そして、塗布後、加熱乾燥することにより、前記無機微粒子3をベースコート層2表面に付着させることが可能である。
(表面処理工程)
表面処理工程は、ベースコート層2の凹凸表面とこの凹凸表面に付着した無機微粒子3の両者で構成される表面に、表面処理剤を適用して、表面改質する処理である。主に無機微粒子3の表面を改質するが、ベースコート層2が金属アルコキシドの硬化によって形成された無機バインダー2bを有する場合には、この無機バインダー2bの表面も改質されると推定できる。
この表面処理剤としては、前記非結合基として1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基を有するシランカップリング剤から成る必要がある。これ以外の表面処理剤、例えば、炭素数6の非結合基を有するシランカップリング剤や炭素数9の非結合基を有するシランカップリング剤を使用して表面処理した場合には、親水性成分に対する付着防止効果を発揮するものの、親油性成分や界面活性剤成分に対する付着防止効果はほとんど得られない。1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シラン、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シラン、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シラン等を例示できる。中でも、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランを好ましく使用することができる。
このシランカップリング剤は、溶剤に溶解させて塗布することにより、前記表面に適用
することができる。溶剤としては、例えば、ヘキサン、フッ素系溶剤等を使用することができる。また、塗布方法としては、ロールコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、バーコート、刷毛塗り等を使用することができる。そして、塗布後加熱することにより、溶剤の乾燥と同時に表面改質することができる。
なお、その塗布量は、付着防止性積層体10の表面から深さ100nmまでの範囲において、フッ素原子の量が40atomic%以上を占める量であることが望ましい。このフッ素原子の量はX線光電子分光分析法(XPS)によって測定できる。
こうして得られた付着防止性積層体10は、基材1の材質に応じて、例えば、内容物を収容する包装袋や包装容器の素材として使用することができる。また、その蓋材の素材として利用することも可能である。内容物としては液体又は粘性体を使用することができる。親水性成分を含む内容物はもちろん、親油性成分や界面活性剤成分を含むものであってもよい。界面活性剤成分を含む内容物としては、ハンドソープ、シャンプー、ボディソープ等のトイレタリー用品が例示できる。
また、この付着防止性積層体10は、親水性成分に加えて、親油性成分や界面活性剤成分にも高い付着防止性を示すことから、厨房の各種設備にも適用できる。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明する。
なお、これら実施例及び比較例は2種類の実験例に分類できる。第1の実験群は、本発明に係る実施例と、その一部を別の構成要素に置換した比較例とを対比して、親水性成分、親油性成分及び界面活性剤成分に対する付着防止性を比較したものである。また、第2の実験群は念のために行った確認実験で、炭素数8の非結合基を有するシランカップリング剤(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基を有するシランカップリング剤)を使用して表面処理を行った場合と、炭素数がこれと異なる非結合基を有するシランカップリング剤を使用して表面処理を行った場合とを比較して、得られた付着防止性積層体の表面におけるフッ素原子の量と付着防止性との関係を確認したものである。
[第1の実験群]
(実施例)
基材1としてガラス板を使用した。
ベースコート層2形成用の混合液は、次のように調製した。
すなわち、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシランを使用し、これにPH1の塩酸水溶液とメタノールを加えて攪拌し、加水分解液を作成した後、さらに水を加えて、二酸化珪素(SiO)に換算した固形分濃度が10質量%となるように調整した。
また、平均一次粒径5.0μmのアクリル系樹脂の粒子を大粒子2bとして、これをメタノールに混合して分散させた。固形分濃度は10質量%である。
そして、これら加水分解液と、粒子分散液とを、1:1の質量比で混合して混合液を調製した。
無機微粒子3としては、シリカ微粒子(日本アエロジル(株)製AELOJIL 380PE)を使用した。その平均一次粒径は7nm、比表面積は350〜410m/gである。この無機微粒子3を分散させる溶剤としてはヘキサンを使用した。分散液の濃度は1.5%w/vである。
また、表面処理剤として、Sigma−Aldrich社製フッ素系シランカップリング剤(トリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シラン)を使用した。なお、このシランカップリング剤はヘキサンに溶解した形式で使用した。濃度は1.0%w/vである。
そして、まず、ベースコート層2形成用の前記混合液をガラス板上に塗布し、加熱乾燥してベースコート層2を形成した。
そして、まず、シリカ微粒子の前記分散液をベースコート層付き基材にスプレーコートし、電気オーブンで95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させた。
次に、前記シランカップリング剤のヘキサン溶液をスプレーコートし、電気オーブンで95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例1)
この例は、実施例の表面処理剤を別の表面処理剤に変更した例である。表面処理剤としては、ダイキン工業(株)製フッ素系シランカップリング剤(オプツールDSX)を使用した。このシランカップリング剤はフッ素系溶剤に溶解した形式で使用した。濃度は20.0%w/vである。
無機微粒子の分散液は実施例と同一である。すなわち、AELOJIL 380PEの1.5%w/vヘキサン分散液である。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例2)
この例は、無機微粒子3を分散させる溶剤としてメタノールを使用した例である。無機微粒子は実施例と同じAELOJIL 380PEであり、無機微粒子分散液の濃度も、実施例と同じ1.5%w/vである。
また、表面処理剤も実施例と同じトリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例3)
この例は、無機微粒子3を分散させる溶剤としてメタノールを使用すると共に、実施例の表面処理剤を別の表面処理剤に変更した例である。
無機微粒子は実施例と同じAELOJIL 380PEであり、無機微粒子分散液の濃度も、実施例と同じ1.5%w/vである。
また、表面処理剤は、比較例1と同じオプツールDSXで、フッ素系溶剤の溶液の形式で使用した。濃度は20.0%w/vである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例4)
この例は、無機微粒子3を分散させる溶剤としてアセトンを使用した例である。無機微粒子は実施例と同じAELOJIL 380PEであり、無機微粒子分散液の濃度も、実施例と同じ1.5%w/vである。
また、表面処理剤も実施例と同じトリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例5)
この例は、無機微粒子3を分散させる溶剤としてアセトンを使用すると共に、実施例の表面処理剤を別の表面処理剤に変更した例である。
無機微粒子は実施例と同じAELOJIL 380PEであり、無機微粒子分散液の濃度も、実施例と同じ1.5%w/vである。
また、表面処理剤は、比較例1と同じオプツールDSXで、フッ素系溶剤の溶液の形式で使用した。濃度は20.0%w/vである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例6)
この例は、実施例の無機微粒子を別の無機微粒子に変更した例である。無機微粒子としてシリカ微粒子(CABOT社製CAB−O−SIL M−5)を使用した。その平均一次粒径は10〜15nm、比表面積は200m/gである。この無機微粒子3を分散させる溶剤は実施例と同じヘキサンであり、分散液の濃度も実施例と同じ1.5%w/vである。
また、表面処理剤も実施例と同じトリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例7)
この例は、実施例の無機微粒子を別の無機微粒子に変更すると共に、表面処理剤を別の表面処理剤に変更した例である。
無機微粒子として比較例6と同じCABOT社製CAB−O−SIL M−5を使用した。無機微粒子3を分散させる溶剤及び分散液の濃度は実施例と同じで、溶剤はヘキサン、分散液の濃度は1.5%w/vである。
また、表面処理剤は、比較例1と同じオプツールDSXで、フッ素系溶剤の溶液の形式で使用した。濃度は20.0%w/vである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例8)
この例は、実施例の無機微粒子を別の無機微粒子に変更すると共に、無機微粒子3を分散させる溶剤としてメタノールを使用した例である。
無機微粒子として比較例6と同じCABOT社製CAB−O−SIL M−5を使用した。この無機微粒子のメタノール分散液の濃度は1.5%w/vである。
また、表面処理剤は実施例と同じトリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例9)
この例は、実施例の無機微粒子を別の無機微粒子に変更すると共に、無機微粒子3を分散させる溶剤としてメタノールを使用した例である。また、この例では、実施例の表面処理剤を別の表面処理剤に変更した。
無機微粒子として比較例6と同じCABOT社製CAB−O−SIL M−5を使用した。この無機微粒子のメタノール分散液の濃度は1.5%w/vである。
また、表面処理剤は、比較例1と同じオプツールDSXで、フッ素系溶剤の溶液の形式で使用した。濃度は20.0%w/vである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例10)
この例は、実施例の無機微粒子を別の無機微粒子に変更すると共に、無機微粒子3を分
散させる溶剤としてアセトンを使用した例である。
無機微粒子として比較例6と同じCABOT社製CAB−O−SIL M−5を使用した。この無機微粒子のアセトン分散液の濃度は1.5%w/vである。
また、表面処理剤は実施例と同じトリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例11)
この例は、実施例の無機微粒子を別の無機微粒子に変更すると共に、無機微粒子3を分散させる溶剤としてアセトンを使用した例である。また、この例では、実施例の表面処理剤を別の表面処理剤に変更した。
無機微粒子として比較例6と同じCABOT社製CAB−O−SIL M−5を使用した。この無機微粒子のアセトン分散液の濃度は1.5%w/vである。
また、表面処理剤は、比較例1と同じオプツールDSXで、フッ素系溶剤の溶液の形式で使用した。濃度は20.0%w/vである。
そして、実施例と同様に、ベースコート層2を形成した後、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させ、次いで、前記シランカップリング剤の溶液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体を製造した。
(比較例12)
この例は、比較対照の基準として、ベースコート層2を形成せず、また、無機微粒子3の付着も表面処理も行わないガラス板を、そのまま、付着防止性積層体としたものである。
(比較例13)
この例は、ベースコート層2を形成せず、また、無機微粒子3も付着させていないガラス板に表面処理を行って、付着防止性積層体としたものである。
なお、表面処理剤は実施例と同じトリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランであり、濃度は1.0%w/vのヘキサン溶液の形式で使用した。
そして、このシランカップリング剤のヘキサン溶液をガラス板にスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体とした。
(比較例14)
この例も、ベースコート層2を形成せず、また、無機微粒子3も付着させていないガラス板に表面処理を行って、付着防止性積層体としたものである。
表面処理剤は比較例1と同じオプツールDSXで、フッ素系溶剤の溶液の形式で使用した。濃度は20.0%w/vである。
そして、このシランカップリング剤のヘキサン溶液をガラス板にスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、付着防止性積層体とした。
(比較例15)
この例は、表面処理を行わなかった例である。
すなわち、この例では、ガラス板にベースコート層2を形成し、このベースコート層2上に無機微粒子3を付着させて、表面処理を行うことなく、付着防止性積層体とした。
ベースコート層2形成用の混合液は実施例と同じである。すなわち、テトラエトキシシランの加水分解液と、平均一次粒径5.0μmのアクリル系樹脂の粒子を分散させたメタノール分散液とを、1:1の質量比で混合して調製したものである。
また、無機微粒子は実施例と同じAELOJIL 380PEである。無機微粒子3を分散させる溶剤及び分散液の濃度は実施例と同じで、溶剤はヘキサン、分散液の濃度は1.5%w/vである。
そして、ベースコート層2形成用の前記混合液をガラス板上に塗布し、加熱乾燥してベースコート層2を形成し、次に、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させた。そして、こうしてベースコート層2を形成し、シリカ微粒子を付着させたものを付着防止性積層体とした。
(比較例16)
この例も、表面処理を行わなかった例である。
すなわち、この例でも、ガラス板にベースコート層2を形成し、このベースコート層2上に無機微粒子3を付着させて、表面処理を行うことなく、付着防止性積層体とした。
ベースコート層2形成用の混合液は実施例と同じである。すなわち、テトラエトキシシランの加水分解液と、平均一次粒径5.0μmのアクリル系樹脂の粒子を分散させたメタノール分散液とを、1:1の質量比で混合して調製したものである。
また、無機微粒子3として比較例6と同じCABOT社製CAB−O−SIL M−5を使用した。無機微粒子3を分散させる溶剤及び分散液の濃度は実施例と同じで、溶剤はヘキサン、分散液の濃度は1.5%w/vである。
そして、ベースコート層2形成用の前記混合液をガラス板上に塗布し、加熱乾燥してベースコート層2を形成し、次に、このベースコート層2上に無機微粒子分散液をスプレーコートし、95℃、90分間加熱乾燥させて、シリカ微粒子を付着させた。そして、こうしてベースコート層2を形成し、シリカ微粒子を付着させたものを付着防止性積層体とした。
(評価)
これら実施例及び比較例1〜16の付着防止性積層体に対して、水、サラダ油及びハンドソープを、それぞれ、滴下した後、徐々に90度になるまで傾けて、その液滴の様子を観察した。そして、次の基準で付着防止性を評価した。
評価基準‥1:液滴が動かないで浸み込む
2:線状に液滴の跡が残る
3:点状に液滴の跡が残る
4:液滴が流れて、跡が残らない
5:液滴がころころ転がる
この結果を表1に示す。
Figure 0006907795
(考察)
平均一次粒径7nmのシリカ微粒子をヘキサンに分散させてベースコート層表面に適用すると共に、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランで表面処理を施した実施例では、水に対する付着防止性はもちろん、親油性成分を含む液体(サラダ油)及び界面活性剤成分を含む液体(ハンドソープ)のいずれに対しても優れた付着防止性を示す。これに対し、これら各条件の一つでも満たさない場合には、水に対する付着防止性が優れている場合もあるが、親油性成分を含む液体(サラダ油)及び界面活性剤成分を含む液体(ハンドソープ)に対する付着防止性は乏しい。
例えば、比較例6は、無機微粒子として平均一次粒径10〜15nmのシリカ微粒子を使用した例で、その他は実施例と同様である。また、比較例2,4は、無機微粒子を分散させる溶剤として、それぞれ、メタノール、アセトンを使用した例で、その他は実施例と同様である。また、比較例2は、表面処理剤として別のシランカップリング剤を使用した例で、その他は実施例と同様である。これらのいずれにおいても、水に対する付着防止性は優れているが、親油性成分を含む液体(サラダ油)及び界面活性剤成分を含む液体(ハンドソープ)に対する付着防止性は乏しい。このため、これら親油性成分や界面活性剤成分を含む液体に対する付着防止性を付与するためには、無機微粒子の平均粒径が10nm未満であること、この無機微粒子を分散させる溶剤がヘキサンから成ること、表面処理剤が1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基を有するシランカップリング剤から成ること、という条件を要することが理解できる。
[第2の実験群]
第2の実験群は念のために行った確認実験で、炭素数8の非結合基を有するシランカップリング剤(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基を有するシランカップリング剤)を使用して表面処理を行った場合と、炭素数がこれと異なる非結合基を有するシランカップリング剤を使用して表面処理を行った場合とを比較して、得られた付着防止性積層体の表面におけるフッ素原子の量と付着防止性との関係を確認したものである。このため、この第2の実験群は前記実施例と、これと比較するための比較例17〜19とで構成される。
(比較例17)
この例は、表面処理剤として、炭素数3の非結合基を有するシランカップリング剤、すなわち、トリメトキシ(3,3−トリフルオロプロピル)シランを使用した例で、その他は実施例と同様である。
(比較例18)
この例は、表面処理剤として、炭素数6の非結合基を有するシランカップリング剤、すなわち、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シランを使用した例で、その他は実施例と同様である。
(比較例19)
この例は、表面処理剤として、炭素数10の非結合基を有するシランカップリング剤、すなわち、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シランを
使用した例で、その他は実施例と同様である。
(評価)
これら実施例及び比較例17〜19の付着防止性積層体について、その表面から深さ100nmまでの範囲において、フッ素原子の量をX線光電子分光分析法(XPS)によって測定した。
また、比較例17〜19の付着防止性積層体について、水、サラダ油及びハンドソープに対する付着防止性を第1の実験群と同様に評価した。
これら実施例及び比較例17〜19の付着防止性積層体のフッ素原子の量(atomic%)と付着防止性とを表2に示す。なお、実施例の付着防止性積層体の付着防止性は、前述の第1の実験群と同一である。
Figure 0006907795
(考察)
この結果から、炭素数8の非結合基を有するシランカップリング剤、すなわち、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランを表面処理剤として表面処理を施した実施例の付着防止性積層体は、その表面のフッ素原子の量が多く、これに伴って、界面活性剤成分を含むハンドソープに対する付着防止性も高いことが分かる。
この理由は明らかではない。一般に非結合基が長鎖で、多数のフッ素原子を有しているほど、表面処理の結果、無機微粒子表面に導入されるフッ素原子が多くなり、その付着防止性も高まると予測できるが、一方、非結合基があまりに長鎖になると、立体障害のため、シランカップリング剤と無機材料結合基との反応が阻害され、このため、却って導入されるフッ素原子が減少し、このため、付着防止性の向上が見られないものと推測できる。
1:基材
2:ベースコート層 2a:大粒子 2b:無機バインダー
3:無機微粒子
4:表面処理

Claims (4)

  1. 基材上に、平均粒径1〜100μmの粒子(大粒子)を含むベースコート層を形成すると共に、このベースコート層表面に前記粒子に基づく凹凸を形成するベースコート層形成工程と、
    平均粒径10nm未満の無機微粒子を溶剤に分散させた分散液を適用して、前記無機微粒子を前記ベースコート層表面に付着させる無機微粒子付着工程と、
    前記無機微粒子を含めて、ベースコート層表面に、表面処理剤を適用する表面処理工程と、
    を備える付着防止性積層体の製造方法において、
    前記溶剤がヘキサンから成り、
    前記表面処理剤がシランカップリング剤であり、このシランカップリング剤が、珪素原子に結合した有機基として1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基を有するシランカップリング剤から成る、
    ことを特徴とする付着防止性積層体の製造方法。
  2. 前記シランカップリング剤がトリクロロ(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)シランから成ることを特徴とする請求項1に記載の付着防止性積層体の製造方法。
  3. 前記ベースコート層形成工程が、前記大粒子と金属アルコキシド又はその加水分解物とを混合し、この混合液を塗布し硬化する工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の付着防止性積層体の製造方法。
  4. 前記基材がヒートシール層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の付着防止性積層体の製造方法。
JP2017153220A 2017-08-08 2017-08-08 付着防止性積層体の製造方法 Active JP6907795B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017153220A JP6907795B2 (ja) 2017-08-08 2017-08-08 付着防止性積層体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017153220A JP6907795B2 (ja) 2017-08-08 2017-08-08 付着防止性積層体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019030842A JP2019030842A (ja) 2019-02-28
JP6907795B2 true JP6907795B2 (ja) 2021-07-21

Family

ID=65522691

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017153220A Active JP6907795B2 (ja) 2017-08-08 2017-08-08 付着防止性積層体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6907795B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH093442A (ja) * 1995-06-20 1997-01-07 Matsushita Electric Ind Co Ltd 表面処理剤とその使用方法
JP2005343016A (ja) * 2004-06-03 2005-12-15 Nippon Sheet Glass Co Ltd 超撥水性被膜被覆物品
JP5680900B2 (ja) * 2009-12-10 2015-03-04 株式会社Snt 撥油性コーティング物品およびその製造方法
JP6044060B2 (ja) * 2011-09-28 2016-12-14 凸版印刷株式会社 熱シール性包装材料
JP5890952B2 (ja) * 2011-09-30 2016-03-22 東洋アルミニウム株式会社 包装材料
JP6015318B2 (ja) * 2012-10-02 2016-10-26 凸版印刷株式会社 熱シール性フィルム
JP6354301B2 (ja) * 2014-05-08 2018-07-11 凸版印刷株式会社 包装材シーラント及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019030842A (ja) 2019-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6007548B2 (ja) 蓋材および該蓋材を用いて密封された密封容器
JP5994338B2 (ja) 熱シール性フィルム及び熱シール性フィルムの製造方法
JP5966519B2 (ja) 撥水性積層体及び撥水性積層体の製造方法
EP2397319A1 (en) Multilayer body and container
WO2014057712A1 (ja) 撥水・撥油性塗膜及びその塗膜を含む物品
JP5880218B2 (ja) 撥水性積層体
JPWO2008029733A1 (ja) 積層体
JP5924078B2 (ja) 撥水性積層体
JP6318631B2 (ja) 蓋材とその製造方法
WO2018003978A1 (ja) 包装シート及び包装体
JP2013071336A (ja) 熱シール性包装材料
JP6123196B2 (ja) 蓋材
JP2016002706A (ja) 包装材料とそれを蓋材として用いた包装容器
JP6064461B2 (ja) 蓋材およびそれを用いた密封容器
JP2014218007A (ja) ヒートシール性包装材料
JP2018062660A (ja) 撥水性塗料、撥水性ラミネート材、撥水性袋状容器、及び、撥水性塗膜の形成方法
JP6485993B2 (ja) 蓋材とその製造方法
JP5962362B2 (ja) 蓋材
JP6932566B2 (ja) 包装材料
JP6907795B2 (ja) 付着防止性積層体の製造方法
JP6065996B2 (ja) 積層体及び蓋材
JP5994496B2 (ja) 蓋材
JP7349785B2 (ja) 樹脂製容器の製造方法
JP6589292B2 (ja) 農薬用包装材料
JP2013189238A (ja) 蓋材と蓋材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200722

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210415

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210601

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210614

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6907795

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150