JP2018062660A - 撥水性塗料、撥水性ラミネート材、撥水性袋状容器、及び、撥水性塗膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】疎水性微粒子が塗膜表面において適度に露出した状態で、撥水性塗膜を形成することによって、優れた非付着性を発揮する撥水性塗料を提供すること。【解決手段】撥水性塗料は、疎水性微粒子、熱可塑性樹脂および有機溶剤を含有する。疎水性微粒子の溶解度パラメータ(SP値)とバインダー樹脂のSP値との差を1以上、4以下にすることで、疎水性微粒子、熱可塑性樹脂および有機溶剤を含有する塗料を調製できること、および、疎水性微粒子を塗膜表面において適度に露出させた状態で塗膜が形成されること、が可能になった。また、上記のようなSP値の差になるようなバインダー樹脂としては、極性を有する熱可塑性樹脂が有効であることを見出した。【選択図】 図1

Description

本発明は、接触物との高い非付着性を発揮できる撥水性塗膜に関し、具体的には、その塗膜形成に用いる撥水性塗料、撥水性塗膜を有するラミネート材、また、このラミネート材を袋状にシール加工して形成された袋状容器に関する。
食品流通において、従来から、パウチ容器と呼ばれる袋状容器に食品を充填・密封することが行われている。袋状容器は、通常、熱シールによる接着が可能な熱シール層を有するラミネート材で構成される。具体的には、2枚のラミネート材をその内面が向かい合うように重ね合わせ、ラミネート材周縁部の一部を充填口として未接着に残して、その他の周縁部を熱シールにより接着し、袋状容器を形成する。そして、充填口から内容物を充填した後、未接着の充填口を熱シールにより最終的に接着して、内容物を密封する。
袋状容器の内面に食品が付着すると、容器内に食品が残存しやすくなり、食品の取出しに時間がかかる。そこで、袋状容器の内面に撥水加工を施して、非付着性を付与することが望ましい。
特許文献1には、良好な熱シール性を維持しながら、高い非付着性を発揮する包装材が開示されており、包装材は、基材層に熱シール層が積層され、その熱シール層に微粒子含有層が積層された構成になっている。微粒子含有層は、一次粒径が1μmから50μmの金平糖型のミクロン粒子と、一次粒径が5nmから1μmの疎水性ナノ粒子と、熱可塑性樹脂との混合層である点に特徴がある。特許文献1の実施例によると、まず、熱シール層は、PETフィルム基材上にポリエステル系のアンカーコートを塗布し、その上にポリアクリレートを主成分とするラッカータイプ接着剤を塗布することで形成される。
また、微粒子含有層については、「熱シール層の上に、エタノール溶液に分散させた疎水性シリカ微粒子(一次粒径7nm)、エタノール溶液に分散させた金平糖型のメチル基を一部持つシリカ粒子(一次粒径20μm)、熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂がそれぞれ乾燥重量で0.4g/m、0.2g/m、0.9g/mとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥させる」との記載がある。
ここで、特許文献1の微粒子含有層について検討する。一般的にシリカ粒子は、ヒドロキシ基(‐OH)がケイ素Siに結合しており表面親水性を示す。しかし、特許文献1で用いる金平糖型のシリカ粒子(ミクロン粒子)には、部分的にメチル基(‐CH)が付与されて、‐OHが‐CHに置換されている。‐OHが少なくなり、シリカ粒子は表面疎水性を示すようになる。
この金平糖型かつ表面疎水性のシリカ粒子を熱シール層に密着させるためのバインダーに、アクリル樹脂が用いられている。アクリル樹脂自体は疎水性を有するため、金平糖型のシリカ粒子とアクリル樹脂との親和性は高く、特許文献1の図1に示す塗膜のように、金平糖型のシリカ粒子の表面全体がアクリル樹脂で覆われた状態になっている。
また、疎水性シリカ微粒子(ナノ粒子)については、「(金平糖型の粒子の無数の小突起の)周りに疎水性シリカ微粒子が混在することで、複雑なフラクタル構成をとることで、これまでのものよりも優れた非付着効果を得ることができる」という記載がある。塗膜の高い非付着性を、ミクロン粒子とナノ粒子からなるフラクタル構造で担保するという説明である。このナノオーダーのシリカ微粒子は表面疎水性を示すため、この疎水性シリカ微粒子についても、金平糖型のシリカ粒子(ミクロン粒子)同様、表面全体がアクリル樹脂で覆われた状態になっていると言える。
特開2013−71336号公報
特許文献1の包装材では、粒径の異なる2種類の粒子(金平糖型のシリカ粒子、疎水性シリカ微粒子)を用いて、微粒子含有層にフラクタル構造を形成し、このフラクタル構造によって非付着性を担保している。そして、これらの粒子は、バインダーであるアクリル樹脂によって互いに密着し、かつ、熱シール層に密着している。
しかしながら、上記の通り、塗膜の表面に分布する疎水性微粒子(シリカ微粒子)の表面が、バインダー樹脂によって覆われてしまい、それ自身が備える疎水性を十分発揮できない状態になっている。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、疎水性微粒子が塗膜表面において適度に露出した状態で、撥水性塗膜を形成することによって、優れた非付着性を発揮する撥水性塗料を提供することを目的とする。また、前記撥水性塗料で形成された塗膜を有するラミネート材、そのラミネート材を袋状にシール加工して形成された袋状容器、並びに、前記塗料を用いた撥水性塗膜の形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、発明者らが鋭意検討を行った結果、疎水性微粒子の溶解度パラメータ(SP値)とバインダー樹脂のSP値との差が所定範囲に入っていれば、疎水性微粒子、バインダー樹脂および有機溶剤を含有する塗料を調製できること、および、疎水性微粒子を塗膜表面において適度に露出させた状態で塗膜が形成されること、を見出した。また、上記のようなSP値の差になるようなバインダー樹脂としては、極性を有する熱可塑性樹脂が有効であることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の撥水性塗料は、疎水性微粒子、熱可塑性樹脂および有機溶剤を含有し、前記熱可塑性樹脂は極性を有し、前記疎水性微粒子および前記熱可塑性樹脂の各溶解度パラメータ(SP値)の差が1以上、4以下であることを特徴とする。
ここで、前記疎水性微粒子の含有量が前記熱可塑性樹脂100質量部に対して60〜200質量部であることが好ましい。また、前記熱可塑性樹脂は、塩素化ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。さらに、前記疎水性微粒子および前記熱可塑性樹脂を有する固形分が撥水性塗料全体の10〜30質量%であり、前記疎水性微粒子が一次粒子の5〜30倍の平均粒子径になるまで凝集した凝集体として分散していることが好ましい。また、前記疎水性微粒子がポリジメチルシロキサンでコーティングした疎水性シリカであることが好ましい。
次に、本発明の撥水性ラミネート材は、PP,PEおよびポリエステルのうちの何れかで形成された熱シール層を有し、当該熱シール層に前記撥水性塗料による塗膜が形成されていることを特徴とする。ここで、前記熱シール層において、前記塗膜に接する面とは反対側の面に、印刷層およびバリア層が設けられていることが好ましい。
また、前記撥水性ラミネート材において、前記熱シール層および前記塗膜の間に、極性のある熱可塑性樹脂によるアンカーコート層が形成されていて、該アンカーコート層は前記疎水性微粒子を含まないことが好ましい。
次に、本発明の撥水性パウチ容器は、2枚の前記撥水性ラミネート材のそれぞれ前記塗膜が形成されている面が向かい合った状態になっており、前記撥水性ラミネート材の周縁部が熱シールされていることを特徴とする。ここで、前記撥水性ラミネート材が有する前記塗膜は、前記熱シールされる周縁部を除いた領域に形成されていることが好ましい。
次に、本発明の撥水性塗膜の形成方法は、
疎水性微粒子、熱可塑性樹脂および有機溶剤を含有し、前記熱可塑性樹脂は極性を有し、前記疎水性微粒子および前記熱可塑性樹脂の各溶解度パラメータ(SP値)の差が1以上、4以下である撥水性塗料を用いて、
前記撥水性塗料を基材に、5〜100mg/dm(0.5〜10g/m)の塗付量で塗布したのち、塗膜を加熱することを特徴とする。
また、前記撥水性塗膜の形成方法において、極性のある熱可塑性樹脂を有するアンカーコート剤を前記基材に、0.1〜0.5g/mの塗付量で塗布した後、前記撥水性塗料を前記アンカーコート層の上に塗布することが好ましい。
以上に示す疎水性微粒子、熱可塑性樹脂(極性)、有機溶媒を用いれば、疎水性微粒子および熱可塑性樹脂のそれぞれの溶解度パラメータの差が所定範囲に入っているので、以下のような作用効果が生じる。
<塗料化の実現>
有機溶剤に熱可塑性樹脂を溶かした溶液に疎水性微粒子を混ぜた場合に、疎水性微粒子を適度な大きさの凝集体として溶液中に分散させることができて、撥水性塗料の調製が可能になる。
<優れた非付着性を備えた塗膜の実現>
同時に、このような撥水性塗料を用いれば、疎水性微粒子を塗膜表面において適度に露出させた状態で塗膜が形成され、優れた非付着性を発揮する塗膜の提供が可能になる。
これらの作用効果が得られる理由は、次のように推測される。SP値の差が小さ過ぎると、両者の親和性が大きくなり、塗膜において疎水性微粒子の表面が熱可塑性樹脂に覆われてしまい、非付着性が弱くなってしまう。逆に、SP値の差が大き過ぎると、塗料において疎水性微粒子の凝集体が過大になり過ぎて塗りムラが発生するなどの問題が生じる。また、両者の親和性が小さくなり過ぎて、熱可塑性樹脂が疎水性微粒子を被塗布面に密着させるというバインダーの機能が弱くなり、塗膜の耐摩耗性に影響を与えてしまう。従って、SP値の差を所定範囲の大きさにすることで、塗料化と優れた非付着性の両方を発現できる撥水性塗膜が得られる。
また、このような撥水性塗料を用いれば、優れた非付着性を備えた撥水性ラミネート材や撥水性袋状容器を提供することができる。
本発明に係る撥水性塗料を用いた塗膜の形成メカニズムを説明するための図であり、(A)は熱シール層の表面に形成された疎水性微粒子の凹凸構造を示し、(B)は塗布直後の塗料の状態を示す図である。 パウチ容器用のラミネートフィルムの構造図である。 実施例に係る耐摩耗試験の方法を説明するための図である。 実施例に係る塗膜のXPS測定結果を示すグラフである。
以下、図面に基づき本発明に係る実施形態について説明する。図1(A)に、本実施形態に係る撥水性塗膜の微視的な構造を模式的に示す。撥水性塗膜は、基材である熱シール層の表面に塗料を塗布・乾燥することによって形成される。
熱シール層の表面には、ナノオーダーの疎水性微粒子の凝集体(二次粒子)からなる凸部(三次粒子)が複数並んで、撥水性塗膜を形成している。個々の凸部は、二次粒子が幾つも積み重なったもので、熱可塑性樹脂が二次粒子同士を接続し熱シール層の表面に密着させている。疎水性微粒子の二次粒子は、熱可塑性樹脂に完全に覆われることなく、疎水性微粒子の表面の半分以上が露出しており、二次粒子自体がナノオーダーの凹凸構造を形成している。このような二次粒子が積み重なった凸部が、熱シール層の表面に幾つも形成されることで、自然界の蓮の葉の表面微細構造に類似した超撥水性構造を実現している。
発明者らは、図1(A)のような撥水性塗膜を、塗料の塗布・乾燥によって形成できるように、塗料化および塗工性について鋭意検討した。
表1は、代表的な樹脂についての(1)塗料化、(2)塗工性および(3)撥水性に関する適正表である。なお、表1には、(4)食品衛生に関する適正、(5)熱シール層との密着性に関する適正、および、各樹脂のSP値についても示す。
(1)塗料化では、有機溶剤に可溶であれば「〇」、十分な可溶性を示さなければ「×」とした。本実施形態では、バインダー樹脂の塗料化が前提条件になっている。例えば、塗料化の適・不適の指標として、後述する溶解度パラメータ(SP値)を用いて、樹脂のSP値が有機溶剤のSP値に対して近ければ、塗料化に適するとしてもよい。多種の溶剤を混合した複合溶剤を用いる場合を考慮すると、本実施形態では、その主溶剤とバインダー樹脂のSP値の差が0.5以下となるように、主溶剤およびバインダー樹脂の組合せを選択することが好ましい。
(2)塗工性では、塗料がグラビア印刷法に適すれば「〇」、適しなければ「×」とした。
(3)撥水性では、摩耗試験機を用いて塗膜に負荷を1往復分与えた後、滴下した純水が塗膜を傾けて転落したかどうかを評価し、転落したもの(転落角を測定出来る状態)を「〇」、水が90°まで傾けても転落しないものを「×」とした。摩耗試験の具体的な条件や純水の滴下条件については、後述する試験例での条件と同じである。
(4)食品衛生とは、撥水性ラミネートフィルムを用いてパウチ容器を形成した場合に、充填した食品が衛生的に保たれる場合は「〇」、保たれない場合は「×」とした。
(5)熱シール層との密着性では、熱シール層(PP,PE又はポリエステル)への接着力がある場合は「〇」、ない場合は「×」とした。
表1の「塗料化」、「撥水性」および「食品衛生」の観点であれば、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ニトロセルロースおよびエポキシが好ましい。発明者らは、表1の「塗料化」、「塗工性」および「食品衛生」の観点から、バインダー樹脂として熱可塑性樹脂のうちの特定の材質のものに絞られると判断した。表1に列挙した材質中では、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)およびニトロセルロースが適する。これらの材質は、極性を有する熱可塑性樹脂と言える。さらに、熱シール層(PP,PE又はポリエステル)との密着性を考慮に入れれば、塩素化ポリオレフィンが最も適すると判断した。
以下において、疎水性微粒子、熱可塑性樹脂、及び、有機溶剤を含んで構成される撥水性塗料について詳しく説明する。
1.撥水性塗料
(a)疎水性微粒子
疎水性微粒子としては、無機物質でも有機物質でもかまわないが、変質しない無機物質からなるものが好ましい。nmオーダーの粒径の微粒子を得るためには、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機酸化物が好ましく、特に、シリカ微粒子の表面を疎水化処理して形成された疎水性シリカが最も好適である。また、食品向けにはポリジメチルシロキサンでコーティングした疎水性シリカが特に好適である。疎水性とは、水などの極性分子をはじく性質であり、糖蜜等の粘度の高い物質に対しても、この性質を発揮する。疎水性微粒子の平均粒子径は1〜100nm、さらには5〜20nmであることが望ましい。ここに示す平均粒子径は、一次粒子についてのものである。
微粒子シリカの市販品として、例えば、アエロジルR972,972V,R972CF,R974,R812,R805,RX200,RX300,RY200(いずれも日本アエロジル株式会社製)等の疎水性シリカを好適に用いることができる。このなかでも、特にR972,RX200,RY200が好ましい。また、その他市販の微粒子として、酸化アルミニウムC,二酸化チタンT805,二酸化チタンP25(いずれも日本アエロジル株式会社製)等を用いることもできるが、これらの微粒子のうち、表面が親水性のものは、予め高級脂肪酸、シリコーン油、シランカップリング剤等を用いて疎水化処理しておく必要がある。
(b)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂には、極性を有する樹脂と非極性の樹脂とがある。
ポリオレフィン樹脂は、無極性(すなわち疎水性)を示すため、そのままでは溶媒に溶け難く、他材料との密着性に劣る。また、塗料に含有させる疎水性微粒子との親和性があり、塗料に微粒子を均一に分散させるという点では適切と言えるが、微粒子を所定の凝集体として塗料に分散させたい場合には不適切である。さらに、形成される塗膜においては微粒子が樹脂に覆われてしまうことになり、疎水性微粒子による非付着性が発現することの支障になってしまうという問題がある。
これに対して、極性を有する熱可塑性樹脂を用いれば、上記の問題を解決することができる。すなわち、溶媒に可溶であり、他材料との密着性がある。また、微粒子を所定の凝集体として塗料に分散させることができて、さらに、形成される塗膜においては微粒子が樹脂によって不必要に覆われてしまうことがなく、適度に露出させることができて、疎水性微粒子による非付着性を発現させることができる。
疎水性微粒子と熱可塑性樹脂との親和力を評価する指標として、本実施形態では、溶解度パラメータ(SP値)を用いる。SP値は、液体のモル蒸発熱ΔH、モル体積Vを用いて、δ=(ΔH/V)1/2により定義される量δ(理論値)であり、2成分系において各成分のSP値の差が小さいほど溶解度が大きいことが経験的に知られている。
本実施形態では、疎水性微粒子および熱可塑性樹脂の各溶解度パラメータ(SP値)の差が1以上、4以下である撥水性塗料を用いている。より好ましくは、疎水性微粒子のSP値と熱可塑性樹脂のSP値の差が1以上、3以下である。これらの疎水性微粒子および熱可塑性樹脂を用いた場合に得られる作用効果として次のことが推測される。SP値の差が小さ過ぎると、両者の親和性が大きくなり、塗膜において疎水性微粒子の表面が熱可塑性樹脂に覆われてしまい、非付着性が弱くなってしまう。逆に、SP値の差が大き過ぎると、塗料において疎水性微粒子の凝集体が過大になり過ぎて塗りムラが発生するなどの問題が生じる。また、両者の親和性が小さくなり過ぎて、熱可塑性樹脂が疎水性微粒子を被塗布面に密着させるというバインダーの機能が弱くなり、塗膜の耐摩耗性に影響を与えてしまう。従って、SP値の差を所定範囲の大きさにすることで、塗料化と優れた非付着性の両方を発現できる撥水性塗膜が得られる。上述の表1の熱可塑性樹脂をこの条件にあてはめてみる。疎水性微粒子として、疎水化シリカ微粒子(表面の疎水化に用いたジメチルシロキサンのSP値:7.5)を用いた。表1の「塗料化」、「塗工性」および「食品衛生」の観点から、バインダー樹脂として適正な熱可塑性樹脂と評価されたものは、塩素化ポリオレフィン(SP値:8.8)、ポリ塩化ビニル(SP値:9.5)、ニトロセルロース(SP値:11.5)であり、これらの極性のある熱顔性樹脂と疎水化シリカ微粒子とのSP値の差は、1.3〜4である。なお、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)は、極性のある熱可塑性樹脂であるが、SP値が12.6と比較的大きいため、撥水性の観点から、バインダー樹脂には向かない。
なお、上記のSP値の差については、塗料の状態では、熱可塑性樹脂が有機溶剤に溶けた状態であるため、以下のように言い換えることもできる。疎水性微粒子のSP値と、熱可塑性樹脂の溶けた有機溶媒のSP値との差が、1以上、4以下である撥水性塗料を用いている。より好ましくは、疎水性微粒子のSP値と熱可塑性樹脂の溶けた有機溶媒のSP値の差が1以上、3以下である。
本実施形態の撥水性塗料に使用される熱可塑性樹脂として、特に限定されるものではないが、極性基を有する変性ポリオレフィン樹脂を用いるとよい。本実施形態に使用可能な変性ポリオレフィン樹脂は、炭素数2〜10の不飽和炭化水素(オレフィン)を重合して得られた高分子に酸官能基やハロゲン原子等の極性基を導入したものである。ポリオレフィン構造中の水素原子を部分的に塩素等のハロゲン原子あるいはマレイン酸等の酸含有化合物で変性することによって、極性基を有する変性ポリオレフィン樹脂が形成される。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリヘプテン、ポリオクテン、ポリノネン、ポリデセン、あるいはこれらの混合物を主骨格ポリマーとして用いることができる。分子量は特に限定されるものではないが、通常、10,000〜1,000,000程度である。
塩素化ポリオレフィンの塩素化率は、樹脂全量に対して通常10〜54質量%であり、好ましくは、20〜35質量%である。塩素化率が10質量%以上であれば、有機溶剤に対して十分な溶解性を発現することができる。一方、塩素化率が54質量%以下であることにより、熱シール層への密着性を良好に保つことが出来る。
また、熱可塑性樹脂に対する疎水性微粒子の添加量は、特に限定されるものではないが、塗膜の撥水性および耐摩耗性を考慮すると、熱可塑性樹脂100質量部に対して疎水性微粒子60〜200質量部であることが望ましい(以下、前記量単位をPHR[Per−Hundred−Resin]と表記する場合がある)。
疎水性微粒子の添加量が多すぎると、加熱・乾燥後の熱可塑性樹脂によるバインダー力が不足して、塗膜が基材から容易に剥落してしまう等、塗膜の耐摩耗性が低下する場合がある。また、チキソトロピー(thixotropy)性が高くなり、塗装ムラが出やすくなる。一方、疎水性微粒子の添加量が少ないと、撥水性を発現することができない場合がある。疎水性微粒子の添加量を前記範囲に調整することによって、塗膜表面の樹脂マトリックスから疎水性微粒子が略半球状に突出して外部に突出した状態となり、これによって優れた撥水性を発揮することができると考えられる。
本実施形態においては、食品包装向けのラミネートフィルム及びパウチ容器であることから、食品包装に対応する塩素化ポリオレフィン樹脂を用いることが望ましい。
熱可塑性樹脂に熱シール性を問わない理由は以下の通りである。袋状容器を形成する際に、熱シール性が重要になるが、本実施形態に係るラミネートフィルムを使う場合、撥水性塗膜は、熱シール層の全体に対して塗布するのではなく、パートコート(部分塗布)によって周縁部のシール部を抜いて塗工する。そのため、形成される塗膜そのものには、熱シール性を要せず、撥水性塗料を熱シール層に塗工しても熱シール性が低下することもない。このようなパートコートを実行するために撥水剤のバインダーは塗料化できる必要がある。
その他、熱可塑性樹脂に求められる特性は、基材にプライマーを使用せずに直接塗工しても、基材との密着性が確保できること、および、塗布後の乾燥工程において、基材に影響を与えない程度の温度条件であることである。
(c)有機溶剤
本実施形態の撥水性塗料に用いる有機溶剤としては、従来、一般的な塗料に用いられる公知の有機溶剤から、熱可塑性樹脂を溶解し、且つ、疎水性微粒子を凝集体として分散可能な有機溶剤を選択するとよい。撥水性塗料は、特に限定されるものではないが、疎水性微粒子と熱可塑性樹脂との合計量(固形分)が、撥水性塗料全量中10〜30質量%になるように、有機溶剤を含有することが望ましい。固形分が多すぎると粘度が高くなりすぎ、疎水性微粒子や熱可塑性樹脂を製剤中で均一に分散あるいは溶解し難くなる。固形分が少なすぎると、塗膜形成に時間がかかるほか、製剤の粘度が低くなって、1回の塗布で形成される塗膜の厚さが薄くなるため、必要な厚さを得るために、複数回の塗布を行う必要が生じるなど、塗装性が悪くなる。
本実施形態に使用可能な有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤が挙げられ、これらを単独であるいは複数を混合して用いてもよい。
以上のような構成の撥水性塗料について、各構成の関係について説明する。例示した熱可塑性樹脂と疎水性シリカの組合せの場合、両者の親和性は強くはなく、塗料中で疎水性シリカの表面全体を熱可塑性樹脂が不必要に覆ってしまうことはない。そのため、熱可塑性樹脂によって複数粒子の疎水性シリカの凝集体の形成が妨げられず、疎水性シリカは適当な大きさの二次粒子として塗料中に存在する。例えば、一次粒子の平均粒子径が5〜20nmである場合、塗料中では一次粒子の5〜30倍の平均粒子径まで凝集した二次粒子、好ましくは100〜200nmの平均粒子径の二次粒子として分散している。
なお、熱可塑性樹脂と疎水性シリカとは、全く親和性がないという関係ではなく、疎水性シリカの二次粒子において樹脂が粒子間の隙間に入ってバインダーの役目をしたり、有機溶剤が揮発した場合には、疎水性シリカの二次粒子同士を結び付けるバインダーの役目をしたりすると考えられる。従って、疎水性シリカと熱可塑性樹脂とには、ある程度の親和性が認められる。このように、本実施形態においては、熱可塑性樹脂として、疎水性微粒子との親和性が強くないものが好ましい。なお、疎水性微粒子の凝集体が所定の大きさで塗料中に分散した状態を保つために、有機溶剤の存在意義が大きい。つまり、塗料中で、有機溶剤は、熱可塑性樹脂を溶解するとともに、疎水性微粒子の凝集体(二次粒子)を均一に分散させている。
(d)その他成分
また、本実施形態の撥水性塗料には、効果に影響のない範囲で、顔料、顔料分散剤、可塑剤、増粘剤、消泡剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤、紫外線吸収剤等の各種成分を任意で適当量含有していてもよい。
(e)調製方法
撥水性塗料は、有機溶媒に熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂を溶かし込み、この溶液に疎水性微粒子を混ぜることで調製される。
2.撥水性ラミネートフィルム
撥水性ラミネートフィルムは、アルミ層と熱シール層との積層構造を有し、さらに熱シール層の表面に塗布形成された撥水性塗膜を有する。撥水性塗膜(付着防止層)は、塗料を塗布し乾燥させることによって形成される。
(a)塗膜形成方法
まず、塗料を、乾燥重量で5〜100mg/dm(0.5〜10g/m)となるように塗布する。撥水性塗料の塗付量がこの範囲よりも少ないと、撥水効果が得られない場合があり、一方で塗付量を前記範囲より多くしても、それ以上の撥水効果の向上が見られないため、経済性の点から望ましくない。
塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、グラビア印刷法、スプレーコート、ロールコート、フローコート、スピンコート、ディップコート、静電塗装、刷毛又はスポンジ塗装等が挙げられるが、対象物品の形状や大きさ等の条件に応じて、適切な塗布方法を適宜選択して行なえばよい。特に、対象物品であるラミネートフィルムを連続的にコンベヤーやローラー等で搬送しながら、連続的に塗布できるグラビア印刷法やスプレーコート等が生産性向上の面で好ましい。
塗布の後、温度50℃〜300℃、時間3秒間以上の乾燥条件で乾燥させる。乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、赤外線ヒーターや誘導加熱装置などの一般的な加熱装置を用いたり、熱風を当てたりする手法を採用することができる。
(b)塗膜の構造
有機溶剤は、塗布面において常温でも揮発するが、加熱・乾燥工程によって揮発が促進される。有機溶剤が揮発することで、疎水性微粒子の凝集体(二次粒子)は、更に成長して三次粒子になる。そして、極性を有する熱可塑性樹脂によってその三次粒子が物品表面に付着する。塗料の塗布直後は、図1(B)のように、塗料中の疎水性微粒子は、複数粒子の二次粒子として分散している。塗布後、有機溶剤が揮発することで、疎水性微粒子は三次粒子に成長し、熱可塑性樹脂によって熱シール層に固定される。その結果、物品表面には、図1(A)のように、ちょうど自然界における蓮の葉の表面凹凸構造に類似した、疎水性微粒子の三次粒子による凹凸構造が形成される。
本実施形態の撥水性塗料による塗膜形成後の物品表面において、疎水性微粒子が塗膜被覆領域の投影面積の85〜99%、より好ましくは90〜95%の領域で、その微粒子表面を外部に露出した状態で付着することが望ましい。これは、撥水性塗料中の疎水性微粒子と熱可塑性樹脂との含有比率によって調整することが可能であり、樹脂の含有比率が高すぎると、疎水性微粒子のほとんどが塗膜内部に存在することとなり、塗膜表面に十分な表面凹凸が形成されないため、撥水性を発揮することができない場合がある。他方、疎水性微粒子が塗膜表面から露出しすぎていると、軽い衝撃や軽度の摩耗によって微粒子が容易に剥落してしまうため、撥水性を保持できない。
本実施形態の撥水性塗料からなる塗膜は耐摩耗性に優れているため、この塗膜を有するラミネートフィルムを用いれば、その搬送過程で塗膜が搬送面に接触するような場合であっても、塗膜の摩耗を心配する必要がなくなる。従来の製造設備をそのまま用いて、パウチ容器などの製品に加工することが容易にできる。
(c)アンカーコート層(AC層)
以上の撥水性ラミネートフィルムの構成では、基材(熱シール層など)の表面に直接、撥水性塗膜が塗布形成されている。このような撥水性ラミネートフィルムでも、基材との密着性が十分に確保できる。しかし、疎水性微粒子(撥水剤とも呼ぶ)による撥水性を向上させると、基材に対する塗膜の密着性が低下する場合がある。
ここでは、良好な撥水性を維持したまま、基材に対する密着性を更に向上させるためのアンカーコート層(AC層)について、説明する。
AC層は、極性のある熱可塑性樹脂と有機溶剤を混合した塗料(AC剤)を用いて形成される。AC剤は、極性のある熱可塑性樹脂と有機溶剤とを混ぜた塗料であり、その樹脂成分に微量(5phr以下)の異種ポリマーや添加物などを、性能に問題が無い程度に混合してもよい。異種ポリマーは、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などである。添加物は、可塑剤、分散剤、乳化剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤などが挙げられるが、これらに限られない。ただし、AC剤は疎水性微粒子を含んでいない。
例えば、撥水性塗料が、熱可塑性樹脂として「塩素化ポリオレフィン樹脂」を含む場合、AC剤にも同じ種類の塩素化ポリオレフィン樹脂を用いるとよい。或いは、撥水性塗料とは異なる種類の塩素化ポリオレフィン樹脂を用いてもよいし、異なる種類の熱可塑性樹脂(極性)を用いても構わない。
有機溶剤は、熱可塑性樹脂に応じて適宜選択すればよい。熱可塑性樹脂が撥水性塗料とAC剤とで共通する場合は、有機溶剤も共通のものを選択するとよい。
アンカーコート層(AC層)を有する撥水性ラミネートフィルムの形成手順を説明する。まず、上記のAC剤を、基材表面に、0.1〜0.5g/mの塗付量で塗布し、所定条件で乾燥させることで、AC層が得られる。その後、撥水性塗料をAC層の上に塗布・乾燥させることで、AC層を有する撥水性ラミネートフィルムが得られる。
AC剤の塗布量の範囲については、塗布量が0.1g/mよりも少ないと、密着性が高まらない。塗布量が0.5g/mよりも多いと、密着性は十分に高まるが、疎水性微粒子を含まない層の厚みが大きくなる。そうすると、AC層の上に撥水性塗料を塗工・乾燥する際に、疎水性微粒子がAC層に沈み込んでしまう現象が発生しやすくなる。撥水性塗膜の表面に位置すべき疎水性微粒子が、下方に沈んでしまうと、撥水性能が低下する。従って、上記のAC剤の塗布量の範囲が好ましい。
なお、撥水性塗料による塗膜の下層としてAC層が形成される場合、このAC層は、疎水性微粒子を含まない熱可塑性樹脂の塗膜であるが、上記の沈み込む現象が起こり得ることから、AC層で覆われる面積は、撥水性塗料による塗膜の面積の約80%〜100%であることが好ましい。
本実施形態の撥水性塗料は、有機溶媒に熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂を溶かし込み、この溶液に疎水性微粒子を混ぜることで調製された塗料であるが、撥水性能を向上させる目的で疎水性粒子を追加してもよい。追加する疎水性粒子は、疎水性微粒子の平均粒子径の約30倍〜3000倍の平均粒子径を有する。例えば、表面を疎水化したアクリルビーズなどを追加する疎水性粒子としてもよい。
3.撥水性パウチ容器
パウチ容器用のラミネートフィルムは、図2に示すように、アルミ層(アルミニウム箔など)及びバリア層(PETフィルムなど)の積層材と、そのアルミニウム箔面側に形成された熱シール層と、熱シール層の表面にパートコートされた撥水性塗膜とを有する。アルミ層(アルミニウム箔など)及びバリア層の間には必要に応じて印刷層が形成される。
熱シール層同士が向かい合うように、ラミネートフィルムを重ねて、向かい合った熱シール層の周縁部を熱融着することでパウチ容器が形成される。この熱シール層の周縁部には撥水性塗膜が形成されていない。熱シール層は、食品接触の観点から、PE、PP、ポリエステルで構成されることが望ましい。
シール強度は、シール温度を110〜180℃の間として、シール圧を2kgf/cmとして、シール時間を1秒間とする条件で、3N/15mm以上(60N/15mm以下)であることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
<塗料中の疎水化シリカ微粒子の凝集体の平均粒径>
(1)測定装置:粒度分布計(LA-920 HORIBA製)
<塗膜の最表面の元素組成率>
(1)測定装置:X線光電子分光システム(AXIS NOVA、SHIMADZU製)
(2)測定条件
測定元素:O、C、Cl、Si
測定範囲:φ700×400μm(楕円)
<試験例1:撥水性試験+摩耗試験>(疎水性シリカ+塩素化オレフィン樹脂)
塩素化オレフィン樹脂溶液(CA−PL01:桜宮化学社製;塩素化オレフィン樹脂,溶媒:トルエン,MEK等)と平均粒径12nmの疎水化シリカ微粒子(アエロジルRY200:日本アエロジル社製、「アエロジル」(登録商標))を撹拌混合し、疎水性シリカの添加量が0PHR,10PHR,40PHR,50PHR,60PHR,80PHR,100PHR,200PHR,300PHRとなる撥水性塗料をそれぞれ調製した。
また、PET(東洋紡社製E5100、厚み12μm)とCPP(東洋紡社製P1146、厚み50μm)をウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製TOMOFLEX(登録商標)TM−250HV)にてメーカー推奨条件にて張り合わせたサンプル基材を作成した。
サンプル基材のCPP側に、それぞれの塗料を塗付量1〜2g/mとなるように、バーコート塗装し、80℃で5秒間乾燥させ試験片を作成した。
ここで、各成分のSP値は以下の通りであり、疎水化シリカ微粒子および塩素化ポリオレフィンの各SP値の差は、1.3である。
疎水化シリカ微粒子:7.5(疎水化に用いたジメチルシロキサンのSP値)
塩素化ポリオレフィン:8.8
トルエン:8.8
それぞれの試験片について水接触角と水転落角を測定し、撥水性の評価を行った。具体的には、試験片の塗膜表面に10μLの水滴を滴下し、接触角計CA−DT(協和界面科学社製)を用いて、水接触角及び水転落角をそれぞれ測定した。接触角が約150度以上であり、かつ、転落角が数度程度までである場合を、「超撥水性である」と評価し、接触角が約150度以上であり、かつ、転落角が数十度程度までである場合を、「超撥水性に準じる」と評価し、それ以外の場合を「超撥水性を示さない」と評価した。
また、各試験片について、図3に示すように、トライボギア表面測定機TYPE:38(新東科学社製)を用いて、試験片の塗膜と平面圧子の間にガーゼを挟み、平面圧子に10g/cmの荷重を負荷して塗膜を押圧する。この状態で、押圧部を200mm/minの速さで押圧面に平行に50mmの区間を所定回数だけ往復移動させた。そして、1往復毎に水接触角と水転落角を試験例1と同様に測定し、その撥水性の低下状態から耐摩耗性を評価した。
さらに、摩耗試験と同様のサンプルをヘイズメーターNDH 5000(日本電色工業株式会社)にてJIS K 7136に基づいてヘイズ測定を実施した。このヘイズ測定結果は、推奨値となる。
結果を表2に示す。測定結果は、測定回数(N)をN=3とした平均値である。ハイフン「‐」は転落無しを示す。60PHR未満では超撥水性を発現せず、60PHR以上の試験片で超撥水性が確認された。
耐摩処理を施した場合について見ると、摩耗回数1回までは、添加量80〜300PHRにおいて水接触角148度以上の超撥水性が確認された。摩耗回数2回までは、添加量100〜300PHRにおいて水接触角148度以上の超撥水性が確認された。摩耗回数が3回以上になると、明確に超撥水性を示すものは無かったが、添加量80〜300PHRにおいては、摩耗回数3回まで、水接触角145度以上、かつ、水転落角10度以下という良好な撥水性が確認された。さらに、添加量100〜200PHRにおいては、摩耗回数4回まで、水接触角140度以上、かつ、水転落角22度以下という撥水性が確認された。
なお、添加量が300PHRを超えると、塗液がペースト状になってしまって塗装性が悪化し、また、添加量を増やしたことでバインド力が低下したため、耐摩耗性がほとんど得られなかった。
<試験例2:塗布量別撥水性試験>
次に、試験片の塗布量別試験を行った。ここでは、試験例1と同じ、塩素化オレフィン樹脂溶液および疎水化シリカ微粒子を用いて、疎水性シリカの添加量が50PHR、60PHR、80PHRとなる撥水性塗料をそれぞれ作成した。そして、0.5g/m、1g/m、2g/m、3g/m、4g/m、5g/m、10g/mの塗付量で試験例1と同様のPETおよびCPPフィルムのサンプル基材の塗工面(CPP表面)に塗布した後、80℃で5秒間乾燥して試験片をそれぞれ作成した。
それぞれの試験片について水接触角と水転落角を試験例1と同様に測定し、撥水性の評価を行った。
50PHRにおいては、5g/m〜10g/mの塗布量で、超撥水性が確認された。60PHRにおいては、1g/m〜10g/mの塗布量で、超撥水性が確認された。80PHRにおいては、全て(0.5g/m〜10g/m)の塗布量で、超撥水性が確認された。
なお、何れの試験片もテープ密着試験による塗料の剥離は見られなかった。
<試験例3:撥水性試験+摩耗試験>(疎水性シリカ+塩化ビニル樹脂)
塩化ビニル樹脂溶液(関西ペイント社製57−D239AM−I;塩化ビニル樹脂,溶媒:キシレン,MEK等)と平均粒径12nmの疎水化シリカ微粒子(アエロジルRY200:日本アエロジル社製)を撹拌混合し、添加量(0PHR〜100PHR)となる撥水性塗料をそれぞれ調製した。そして、アルミ板からなるサンプル基材に、それぞれの塗料を塗付量1g/mとなるようにバーコート塗装し、250℃で8分間乾燥させ試験片を作成した。
ここで、各成分のSP値は以下の通りであり、疎水化シリカ微粒子および塩化ビニル樹脂の各SP値の差は、2.0である。
疎水化シリカ微粒子:7.5(疎水化に用いたジメチルシロキサンのSP値)
塩化ビニル(塩ビ):9.5
有機溶剤:多種混合溶媒
それぞれの試験片について試験例1と同様に、純水の水接触角と水転落角を測定し、撥水性の評価を行った。また、摩耗による撥水性の低下状態から耐摩耗性を評価した。
表4に試験例3の結果を示す。測定結果は、測定回数(N)をN=3とした平均値である。試験例3では、30PHR以上の試験片で超撥水性が確認された。
耐摩処理を施した場合について見ると、摩耗回数1回までは、添加量40〜100PHRにおいて水接触角160度以上の超撥水性が確認された。摩耗回数2〜5回までについても、添加量40〜100PHRにおいて水接触角155度以上の超撥水性が確認された。摩耗回数8回については、添加量60〜100PHRにおいて水接触角160度以上の超撥水性が確認された。さらに、摩耗回数16〜28回までについては、添加量80〜100PHRにおいて水接触角158度以上の超撥水性が確認された。そして、摩耗回数32〜54回までについては、添加量100PHRにおいて水接触角160度以上の超撥水性が確認された。水接触角150度以上を示した試験片については、ほぼ全てにおいて、水転落角10度以下の撥水性が確認された。
摩耗回数が64回以上になると、明確に超撥水性を示すものは無かったが、添加量100PHRにおいては、摩耗回数74回まで、水接触角140度以上という良好な撥水性が確認された。
<試験例4:塗布量別撥水性試験>
次に、試験例3の試験片(塩化ビニル樹脂)の塗布量別試験を行った。ここでは、疎水性シリカの添加量を10〜30PHRとして、塗付量を試験例2と同様に変化させた。それぞれの試験片について水接触角と水転落角を試験例1と同様に測定し、撥水性の評価を行った。
10PHRにおいては、超撥水性を示すものは無かったが、20PHRにおいては、2g/m〜10g/mの塗布量で、水接触角160度以上、水転落角3度以下の超撥水性が確認された。また、30PHRにおいても、2g/m〜10g/mの塗布量で、水接触角160度以上、水転落角2度以下の超撥水性が確認された。
<試験例5:XPSによる最表面分析>
次に、塩素化ポリオレフィン塗料および塩化ビニル塗料を用いてPHRの異なる2種類の試験片をそれぞれ作成し、その最表面の元素比をXPS測定した。その結果を表6および図4に示す。
塗膜の最表面におけるSi元素の存在比率を比較すると、20PHRにおいては、塩素化ポリオレフィンの塗膜(水準1)は、その最表面に現れるSiの比率が6.8%と小さいのに対し、塩化ビニルの塗膜(水準3)では、Si比率が17.2%とかなり大きい。
また、60PHRにおいては、塩素化ポリオレフィンの塗膜(水準2)では、Si比率が22.5%であるのに対し、塩化ビニルの塗膜(水準4)では、Si比率が25.9%とやや大きくなっている。
試験例1(表2)と試験例3(表4)との比較
100PHRを比較すると、塩素化ポリオレフィンの塗膜は、摩耗回数4回まで何らかの撥水性を示すが、塩化ビニルの塗膜では、摩耗回数54回まで水接触角160度以上、水転落角5度以下の超撥水性を示す。
60PHRを比較すると、塩素化ポリオレフィンの塗膜は、摩耗なしであれば超撥水性を示すが、塩化ビニルの塗膜では、摩耗回数8回まで超撥水性を示す。
また、摩耗回数2回を比較すると、塩素化ポリオレフィンの塗膜では100PHRであれば、水接触角148度以上、水転落角5度以下の超撥水性を示すが、塩化ビニルの塗膜であれば、40PHRでも水接触角158度以上、水転落角10度以下という超撥水性を示す。
試験例2(表3)と試験例4(表5)との比較
塗布量2g/mを比較すると、塩素化ポリオレフィンの塗膜は、60PHR以上であれば水接触角148度以上、水転落角2度以下の超撥水性を示すが、塩化ビニルの塗膜であれば、20PHRでも水接触角160度以上、水転落角2度以下の超撥水性を示す。
また、塗布量4g/mを比較すると、塩素化ポリオレフィンの塗膜は、50PHR以上であれば水接触角145度以上、水転落角8度以下の超撥水性を示すが、塩化ビニルの塗膜であれば、20PHRでも水接触角160度以上、水転落角3度以下の超撥水性を示す。
発明者らは、疎水性シリカのSP値(SP=7.5)を基準に、塩化ビニルのSP値(SP=9.5)の方が、塩素化ポリオレフィンのSP値(SP=8.8)よりも離れているので、同量の疎水性シリカを含む場合は塩化ビニルの方が、疎水性シリカの露出度が大きくなるだろうと予測した。
試験例1から4の結果は、塩素化ポリオレフィンの塗膜に比べて、塩化ビニルの塗膜の方が、撥水剤(Si)の量が少ないにも関わらず、優れた撥水性を発揮することを示すものであるから、上記の予測を裏付けるものと言える。
また、試験例5(XPS測定)の結果は、同量の疎水性シリカを含む場合に、塩化ビニルの塗膜の方が、塩素化ポリオレフィンの塗膜よりも、最表面に現れるSi元素の比率が高いことを示すものであるから、上記の予測を裏付けるものと言える。
本実施形態では、塗膜の超撥水性が、疎水性微粒子とバインダー樹脂のSP値の差に依存することに基づいて、SP値の差が所定の範囲になるように疎水性微粒子およびバインダー樹脂を選択することにより、優れた撥水性を示す塗膜を形成できる撥水性塗料を提供することができる。
なお、乾燥炉長さ、乾燥時間については、ラボ機から実機への長さの拡張を考慮して、ライン長さは3m以上、大体30m以内とする。また、乾燥炉内の試験片の搬送速度は、36m/min〜360m/minであることが好ましい。
<密着性の向上>
撥水性を向上させると、密着性が悪くなる場合がある。そこで、発明者らは、熱シール層と撥水性塗膜との間に、アンカーコート層を設けることによって、撥水性および密着性の両方を向上させる技術について検討した。試験例6以降において、複数の種類のアンカーコート剤(AC剤)を用いた撥水性ラミネート材の試験片を作成し、撥水性および密着性の性能を評価した。
<試験例6:密着性試験+撥水性試験>(疎水性シリカ+塩素化オレフィン樹脂)
サンプル基材として、表7に示す4種類(CPP、LLDPE、PET(ユニチカ社製)、PET(東レフィルム加工社製))のフィルムを用いる。ここで、CPPは、無延伸ポリプロピレンフィルムを指し、LLDPEは、直鎖状低密度ポリエチレンを指す。
アンカーコート剤(AC剤)としては、表8に示す4種類(CA−PL01、RSC−9F−3A、PP−Eipoc1817、TM−250HV)の塗料を用いた。
撥水性塗料は、表9に示す含有成分で構成された2種類の塗料を用いた。塩素化ポリオレフィン樹脂溶液(CA−PL01:桜宮化学社製)に、平均粒径12nmの疎水化シリカ微粒子(アエロジルRY200:日本アエロジル社製、アエロジル(登録商標))と、撥水性を向上させるための疎水性アクリルビーズ(平均粒径3μm)とを、それぞれ表8に示す添加量となるように攪拌混合し、試験番号1および2の撥水性塗料をそれぞれ調製した。
各種のサンプル基材に、バーコーターで、各種アンカーコート剤を所定の塗布量(0.1〜0.5g/m)になるように塗工し、表8の乾燥温度・乾燥時間の条件で乾燥させた。その後、アンカーコート層の上に、撥水性塗料を同じくバーコーターで所定の塗布量になるよう塗工し、表9の乾燥温度・乾燥時間の条件で乾燥させて、それぞれの試験片を作成した。電気オーブン(タバイ エスペック株式会社製 STPH−200)を用いて、各表に示す指定の温度、時間で乾燥を実施した。
密着性試験の方法
各試験片の塗工面に試験用テープを貼る。試験用テープは、JIS Z 1522に規定された粘着テープであり、呼び幅が12〜19mmであり、粘着力が幅25mm当たり、約8Nのものを使用する。テープ全長のうちの30〜40mm分を塗工面に貼り付けて、残りの30〜50mm分を貼り付けない部分として残す。貼り付けの際、テープと塗工面との間に気泡が生じないように注意しながら指で約10秒間テープを強く押し続ける。
試験用テープのうちの貼り付けなかった部分を手でつまんで、その部分が塗工面に垂直になるように強く引っ張って、塗工面からテープを瞬間に引き剥がす。引き剥がす際、塗工面が撓まないように手で塗工面を抑えながら実施する。
密着性の判定方法
試験用テープの粘着面を密着性試験の評価対象面とする。引き剥がしたテープの粘着面には、サンプル基材から剥がされた撥水性塗膜が付着している。粘着面の全面積に対して、その粘着面に付着した撥水剤の占める面積を%で表す。例えば、付着なしの場合は0%になり、全面に付着している場合は100%になる。
撥水性試験
密着性試験と同様の方法でサンプル基材にアンカーコート層および撥水性塗膜を塗工・乾燥させたものを試験片として、平らな面に置く。試験片の塗工面に試験液(ヨーグルトA(表面張力:30.1mN/m、粘度:21632mPa・S)、ヨーグルトB(表面張力:34.0mN/m、粘度:81623mPa・S))を撥水剤塗工面にスポイトで約2g垂らし、所定時間経時させる。なお、各ヨーグルトの表面張力は室温20℃で測定した値であり、ヨーグルトAの方がヨーグルトBより粘性が高く密着性が高い。所定時間経時後、直ちに45°に傾けている面に試験片を乗せ換えて試験液が転落するかどうかを確認する。
撥水性の評価方法
撥水性塗膜の塗工面から転落せずに付着したまま残存している試験液の面積について、撥水性塗膜の全面積に対する割合を%で表した。例えば、付着なしの場合は0%になり、全面に付着している場合は100%になる。
試験結果を表10に示す。
AC剤の種類によって撥水性塗料と基材(フィルム)の密着性が上がるものと下がるものがあり、CAPL01とTM−250HVについてはAC剤によって密着性が向上した。
密着性が良い理由は、AC層(CAPL01)の樹脂成分(塩素化ポリオレフィン)と、撥水性塗膜のバインダーの樹脂成分とがまったく同じもので、AC層と撥水性塗膜との違いが、疎水性シリカおよび粗大粒子(疎水性アクリルビーズ)の有無だけであるからと考えられる。CAPL01をAC剤として使用すれば、撥水性塗膜と同じ樹脂同士になるため、撥水性塗膜との密着性が良く、疎水性シリカや粗大粒子が入っていない分、サンプル基材との密着性が良いと推測される。
また、TM−270HVは、従来のパウチ容器等に使用されている耐熱用の接着剤であるため、サンプル基材と強く密着することができることが密着性の良い理由であると推測される。
一方、CAPL01をAC剤として使用しても撥水性が低下しなかったことに対し、TM−250HVをAC剤として使用すると撥水性を著しく低下した。
推測ではあるが、CAPL01と違ってTM−270HVの場合は、AC剤の樹脂成分が撥水性塗膜の樹脂成分と異なるため、TM−270HVの成分が撥水性塗膜の乾燥時にブリードアウトしてしまい、撥水性に悪い影響を与えていること、または、TM−270HVの樹脂が柔らかいためにその上に塗った撥水剤(疎水性シリカや粗大粒子)が下に沈んでしまうことが考えられる。
以上のことから、アンカーコート剤として密着性を向上させようとするとCAPL01とTM−270HVとが良い結果になったが、TM−270HVでは撥水性を低下させてしまうため、密着性を向上させ撥水性を低下させないCAPL01(塩素化ポリオレフィン)がアンカーコート剤として適正であることが判った。
次に、撥水性を向上させた場合の密着性の評価を行った。通常は、塗料の撥水剤(疎水性シリカや粗大粒子)の含有量を増やすと撥水性が向上するが、基材との密着性が低下する傾向がある。そこで、AC剤を用いることによって、撥水剤の含有量が多い塗料を使用した場合にも、基材との密着性が確保されるかどうかを確認した。具体的には、撥水剤の含有量のことなる2つの撥水性塗料(表9の試験番号1および2)による試験片を用いた。
AC剤を使用することで、撥水剤の含有量が多い塗料(試験番号2)を使用しても良好な密着性が得られることが判った。

Claims (12)

  1. 疎水性微粒子、熱可塑性樹脂および有機溶剤を含有し、
    前記熱可塑性樹脂は極性を有し、
    前記疎水性微粒子および前記熱可塑性樹脂のそれぞれの溶解度パラメータ(SP値)の差が1以上、4以下であることを特徴とする撥水性塗料。
  2. 前記疎水性微粒子の含有量が前記熱可塑性樹脂100質量部に対して60〜200質量部であることを特徴とする請求項1記載の撥水性塗料。
  3. 前記熱可塑性樹脂が極性基を有する変性ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の撥水性塗料。
  4. 前記疎水性微粒子および前記熱可塑性樹脂を有する固形分が撥水性塗料全体の10〜30質量%であり、前記疎水性微粒子が一次粒子の5〜30倍の平均粒子径になるまで凝集した凝集体として分散していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撥水性塗料。
  5. 前記疎水性微粒子がポリジメチルシロキサンでコーティングした疎水性シリカであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の撥水性塗料。
  6. ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)およびポリエステルのうちの何れかで形成された熱シール層を有し、当該熱シール層に請求項1から5のいずれかに記載の撥水性塗料による塗膜が形成されていることを特徴とする撥水性ラミネート材。
  7. 前記熱シール層および前記塗膜の間に、極性のある熱可塑性樹脂によるアンカーコート層が形成されていて、該アンカーコート層は前記疎水性微粒子を含まないことを特徴とする請求項6記載の撥水性ラミネート材。
  8. 前記熱シール層において、前記塗膜に接する面とは反対側の面に、印刷層およびバリア層が積層されていることを特徴とする請求項6または7記載の撥水性ラミネート材。
  9. 請求項6から8のいずれかに記載の2枚の撥水性ラミネート材のそれぞれ前記塗膜が形成されている面が向かい合った状態になっており、前記撥水性ラミネート材の周縁部が熱シールされていることを特徴とする撥水性パウチ容器。
  10. 前記撥水性ラミネート材が有する前記塗膜は、前記熱シールされる周縁部を除いた領域に形成されていることを特徴とする請求項9記載の撥水性パウチ容器。
  11. 疎水性微粒子、熱可塑性樹脂および有機溶剤を含有し、前記熱可塑性樹脂は極性を有し、前記疎水性微粒子および前記熱可塑性樹脂の各溶解度パラメータ(SP値)の差が1以上、4以下である撥水性塗料を用いて、
    前記撥水性塗料を基材に、5〜100mg/dm(0.5〜10g/m)の塗付量で塗布したのち、塗膜を加熱することを特徴とする撥水性塗膜の形成方法。
  12. 極性のある熱可塑性樹脂を有するアンカーコート剤を前記基材に、0.1〜0.5g/mの塗付量で塗布した後、前記撥水性塗料を前記アンカーコート層の上に塗布することを特徴とする請求項11記載の撥水性塗膜の形成方法。
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