JP2005343016A - 超撥水性被膜被覆物品 - Google Patents
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Abstract
超撥水性と透明性を両立させた、超撥水性被膜被覆物品を提供すること。
【解決手段】
基材表面に超撥水性被膜を被覆した超撥水性被膜被覆物品において、
前記超撥水性被膜は、突起体及び撥水性膜を備え、前記被膜の被覆領域において、前記突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、前記突起体が存在する部分の被膜表面に前記突起体による凹凸が形成されている超撥水性被膜被覆物品。
【選択図】 なし
Description
一般に固体表面の濡れ性は、表面の粗度によって影響を受ける。すなわち、固体表面が親水的な場合には粗表面の親水性は向上し、逆に疎水的な場合には粗表面の撥水性は向上する。この現象は、表面がフラクタル構造を持つ場合に顕著に現れ、その結果、フラクタル表面はその材質によって、超撥水表面あるいは超親水表面となり得るとされている。
疎水性基材において、表面に凹凸を形成し、その表面の粗さを大きくすればするほど、水の接触角は大きくなる。水の接触角度が150度を超えると、水滴がその表面に留まることが困難になるほどの撥水性の状態となり、一般に「超撥水性」と呼ばれている。このような超撥水性を発現させるためには、表面凹凸と水滴の間に空気を多く保持できる形状が必要であるといわれている。
例えば、プラスチックフィルムの表面にプラズマ処理によって微小な突起を形成し、その後にフッ素化合物を化学吸着させる方法(特許文献1参照)、金属アルコキシドの重縮合物、金属酸化物微粒子、及び、フルオロアルキル基を有するシラン化合物を含む処理液をガラス表面に塗布し乾燥させることで、その表面に微細な凹凸構造を形成させる方法(特許文献2参照)、トリアルコキシシランの重縮合物を含む塗布液を基板上に塗布し熱処理することにより、表面に凹凸を形成させる方法(特許文献3参照)、アルミニウム化合物を含む溶液を基体に塗布して被膜を形成し、温水に浸漬することにより、表面に微細な凹凸を形成させる方法(特許文献4参照)、金属アルコキシドと、溶媒中でこれらと分相し、かつ室温から700℃までの温度で分解、燃焼、昇華する特性を有する物質が溶剤に添加された溶液を基材に塗布して、熱処理することにより、平均孔径100nm〜2μmの微小多孔層を形成させる方法(特許文献5参照)等が挙げられる。
また特許文献3及び特許文献5に開示された技術では、塗布液を基材に塗布した後、高温で熱処理する必要があるため、基材は耐熱性の高い材料に限られる。また熱処理が必要となってしまう。
さらに、特許文献1に開示された方法では、プラズマ処理で凹凸を形成させるため、このための処理装置が必要となってしまう。
また、特許文献4に開示された方法では、温水浸漬で凹凸を形成させるため、温水の供給装置が必要となってしまう。
1.基材表面に超撥水性被膜を被覆した超撥水性被膜被覆物品において、
前記超撥水性被膜は、突起体及び撥水性膜を備え、前記被膜の被覆領域において、前記突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、前記突起体が存在する部分の被膜表面に前記突起体による凹凸が形成されている超撥水性被膜被覆物品。
2.前記突起体は、微粒子集合体である上記1に記載の超撥水性被膜被覆物品。
3.前記被覆処理領域における、突起体が存在する部分の面積割合が20〜90%である上記1又は2に記載の超撥水性被膜被覆物品。
4.前記微粒子の直径が5〜100nmである上記1〜3に記載の超撥水性被膜被覆物品。
5.前記超撥水性被膜の平均膜厚(H)が30nm以上200nm以下であり、かつ該超撥水性被膜表面における最大高さ(Ry)と平均膜厚(H)の差が50nm以上である上記1〜4に記載の超撥水性被膜被覆物品。
6.前記被膜被覆物品のヘイズ値が1%以下である上記1〜5に記載の超撥水性被膜被覆物品。
7.前記撥水性膜は、フルオロアルキル基及び/又はアルキル基を含有し、かつ加水分解可能な官能基を有するシラン化合物から生成されるものである上記1〜6に記載の超撥水性被膜被覆物品。
8.基材は、透明なガラス板、樹脂板又は樹脂フィルムのいずれかである上記1〜7に記載の超撥水性被膜被覆物品。
前記超撥水性被膜は、突起体及び撥水性膜を備え、前記被膜の被覆領域において、前記突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、前記突起体が存在する部分の被膜表面に前記突起体による凹凸が形成されている超撥水性被膜被覆物品。
本発明の超撥水性被膜被覆物品は、突起体及び撥水性膜を備える超撥水性被膜によって被覆処理した物品であって、該被膜表面は、突起体による微小な凹凸を有していること、及び、該被覆処理領域において該突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在することを特徴とする。
突起体である微粒子集合体を構成する微粒子は、珪素酸化物を主成分(50質量%以上をいう。)とする金属酸化物である。さらに他の成分、例えばチタン酸化物、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物等の金属酸化物を含んでいてもよい。
微粒子の大きさは、直径5〜100nmの範囲とすることが好ましく、さらに10〜100nmの範囲、特には10〜50nmの範囲とすることが好ましい。微粒子の大きさが直径5nm未満であると、有効な凹凸が得られない場合があり、一方、微粒子の大きさが100nmを超えると、被膜の透明性が損なわれ、ヘイズ値が上がる場合がある。
本発明においては、かかる微粒子が一次元から三次元形状に結合したものを使用することで、基材表面に不均一な堆積状態の微粒子集合体を得る。
従来技術のように、球状のシリカ微粒子分散液を基材表面に塗布したのでは、微粒子が比較的均一に積層しやすいため、得られる被膜は超撥水性を発現させる程度の凹凸は形成されない。
基材表面に前記微粒子をランダムに堆積させる方法としては、珪素酸化物微粒子の種類とその微粒子を分散させる溶媒の次のような組み合わせを選択することにより、好適に実現することができる。
このときの微粒子は、直径5〜100nm、好ましくは10〜100nmの球状の微粒子が30〜300nmの長さで三次元的に結合したものが好ましく、さらに、直径10〜50nmの球状の微粒子が40〜200nmの長さで三次元的に結合したものが好ましく用いられる。また、三次元的に結合した形状とは、例えば、三次元の環状が挙げられる。
この微粒子分散液を基材表面に塗布すると、三次元的に結合した形状の微粒子同士が絡み合って基材表面に積層するため、形成された被膜は、微粒子が不均一でランダムに堆積された形状になると考えられる。
このときの溶媒は、前記微粒子が分散できる溶媒であれば、特に限定されないが、例えば親水性溶媒を含むものを用いることができ、親水性溶媒のなかでは取り扱いに優れるアルコール系溶媒が好ましく用いられる。
このときの微粒子は、直径5〜100nm、好ましくは10〜100nmの球状の微粒子が30〜300nmの長さで一次元から三次元的に結合したものが好ましく、さらに、直径10〜50nmの球状の微粒子が40〜200nmの長さで一次元から三次元的に結合したものが好ましく用いられる。ここで、一次元又は二次元に結合した形状とは、例えば、一次元又は二次元の鎖状が挙げられ、三次元的に結合した形状とは、例えば、三次元の環状が挙げられる。
溶液中の微粒子は、微粒子が分散できる溶媒に分散された状態で存在し、本溶液を基材表面に塗布すると、先に微粒子が分散できる溶媒が揮発することで、基材表面には微粒子が分散できない溶媒だけが残り、微粒子は分散できなくなって、ガラス基板に堆積する仕組みである。このとき、溶液中から押し出される様に微粒子が基材表面に堆積されるため、微粒子は不均一でランダムに堆積されると考えられる。
ここで、微粒子が分散できる溶媒と、分散できない溶媒の混合比率については、珪素酸化物微粒子が分散されていれば特に限定されないが、微粒子が分散できる溶媒/微粒子が分散できない溶媒の比で、0.3〜10であることが好ましく、さらには0.6〜5が好ましい。該混合比率が0.3以上であると、混合溶媒中に微粒子が十分に分散され、沈殿することがなく好ましい。一方、該混合比率が10以下であると、微粒子が不均一で、かつランダムに堆積されやすく、好適である。
また、第2の方法における混合溶媒は、前述の通り、微粒子が分散できない溶媒より、分散できる溶媒の方が揮発しやすくすることが好ましい。
このときの微粒子が分散できる溶媒は、例えば親水性溶媒を含むものが挙げられ、取り扱いに優れるアルコール系溶媒を含むものが好ましく用いられる。また、微粒子が分散できない溶媒は、前記微粒子が分散できる溶媒と混合できる溶媒でかつ前記微粒子が分散できる溶媒より高沸点の媒体であれば、特に限定されないが、例えば、炭化水素系溶媒及び/又はシリコーン系溶媒等の非水系溶媒が挙げられる。
第2の方法では、前記溶液を基材表面に塗布した後、少なくとも微粒子が分散できる溶媒が揮発するまで、前記基材表面を前記溶液で濡らした状態を維持することが好ましい。溶液を塗らした状態で維持する時間が短いと、微粒子が基材表面に十分堆積できない場合があり、好ましくない。
本発明において、撥水性膜を生成する化合物(「撥水性材料」ということがある。)としては、フルオロアルキル基及び/又はアルキル基を含有し、珪素酸化物を主成分とする微粒子の集合体と相性のよい加水分解可能な基を含有するシラン化合物が好ましい。加水分解可能な基としては、アルコキシ基、アシロキシ基、塩素基などが挙げられる。これら加水分解可能な基を含有するシラン化合物が、部分的に加水分解した加水分解物や、縮重合した重合物を用いることも可能である。
これらのうち、特に反応性と撥水性の高い、CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3が好ましい。
フルオロアルキル基含有シラン化合物を用いた場合には、撥水性被膜の表面に2mgの水滴を滴下して測定した水の接触角が150度以上となるようにすることが好ましい。
アルキル基含有シラン化合物は、フルオロアルキル基含有シラン化合物を用いた場合より、水の接触角が小さくても超撥水性を示すため、好適である。
アルキル基含有シラン化合物を用いた場合には、撥水性被膜の表面に2mgの水滴を滴下して測定した水の接触角が145度以上となるようにすることが好ましい。
本発明における超撥水性被膜全体の平均膜厚(H)は、30nm以上200nm以下であることが好ましく、かつ、該超撥水性被膜における最大高さ(Ry)と該平均膜厚(H)の差が50nm以上であることが好ましい。このことにより反射色調がニュートラルであり、かつヘイズ値が低くなり好適である。超撥水性被膜の平均膜厚(H)が30nm以上であると、撥水性が低下することがなく、超撥水性被膜の平均膜厚(H)が200nm以下であると反射が虹色に見え、反射色が目立つ等の不都合がない。当該平均膜厚(H)は30nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。
超撥水性被膜全体の最大高さ(Ry)としては、100nm以上とすることがさらに好ましい。
前記超撥水性被膜は、突起体及び撥水性膜を備え、前記被膜の被覆領域において、前記突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、前記突起体が存在する部分の被膜表面に前記突起体による凹凸が形成されている超撥水性被膜被覆物品。
本発明における超撥水性被膜被覆物品は、突起体及び撥水性膜を備える超撥水性被膜によって被覆処理した物品であって、該被膜表面は、突起体による微小な凹凸を有していること、及び、該被覆処理領域において該突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在することを特徴とする。このことにより、本発明の優れた超撥水性を発現させ、かつ、超撥水性被膜全体のヘイズ値が低くなる(透明性がよい)。上記効果を十分達成するためには、微粒子が堆積されている部分の面積割合が20〜90%の範囲であることが好ましく、さらには30〜50%の範囲であることが好ましい。
なお、前記突起体(微粒子集合体)が存在しない部分は、被膜の被覆領域が超撥水性を示すのであれば、基材表面そのままであっても、あるいは、撥水性材料に由来する撥水性膜がその一部又は全部を覆うものであってもよい。
本発明の超撥水性被膜被覆物品は、前記微粒子集合体を得る第1又は第2の方法で用いる溶媒中に、珪素酸化物微粒子と撥水性膜を生成する化合物を添加した分散液からなる超撥水性被膜形成用塗工材料を基材表面に被覆処理することにより得ることができる。被覆処理を行った領域では、微粒子集合体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、撥水性膜は微粒子集合体表面と、微粒子集合体が存在しない基材表面の一部又は全部に形成される。微粒子集合体による微小な凹凸は超撥水性被膜表面に微小な凹凸を与えるため、超撥水性が発現し、微粒子集合体が存在しない部分すなわち凹凸がない平滑な部分が存在するため、透明性が高くなる。
さらに、珪素酸化物微粒子が水に分散される場合には、水分含有量を減らすために水分散された珪素酸化物微粒子を溶媒で希釈した後、モレキュラーシーブ等を用いて脱水処理を行なうことが好ましい。
また、撥水性材料の少なくとも1部が溶液中で珪素酸化物粒子に結合していることが好ましい。溶液中で撥水性材料と珪素酸化物微粒子を結合させることにより、本溶液を基材表面に塗布した後、超撥水性等の機能が発現されるまでの時間を短縮することが可能となる。
また、これらの基材の表面に親水性基が少ない場合には、その表面を予め酸素を含むプラズマ又はコロナ雰囲気で処理して親水性化するとよい。あるいは、基材表面を、酸素を含む雰囲気中で、200〜300nm付近の波長の紫外線を照射して、親水性化処理を行った後に、本発明を適用するとよい。
また本発明における珪素酸化物を主成分とする微粒子の集合体は、その低い屈折率と表面凹凸の効果で、低反射性も示す。
実施例1
1次粒径10〜15nmの球状コロイダルシリカが、三次元に結合したパールスライク(パールネックレス状)コロイダルシリカ(PS−SO;日産化学工業(株)製)15.0gをイソプロピルアルコール33.37gに添加し、さらに、デシルトリメトキシシラン(KBM−3103C;信越シリコーン(株)製)1.08gとヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3;信越シリコーン(株)製)0.05gを加えて5分間撹拌し、さらに1規定の塩酸0.50gを加えて1時間攪拌し、その後室温で3日間静置して、撥水材料と珪素酸化物微粒子の共加水分解・縮重合物を得た。この共加水分解・縮重合物0.49gをイソプロピルアルコール24.51gに加えて5分間撹拌し、撥水処理用分散液を得た。
この撥水処理用分散液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度50%、室温下でフローコート法にて塗布し、自然乾燥させ、撥水処理ガラス板を得た。
こうして得られた撥水処理ガラス板の断面状態を、走査型電子顕微鏡(「S−4700型」、(株)日立製作所製)を用いて、加速電圧5kV、エミッション電流10μA、傾斜角度10度、観察倍率100,000倍の条件で観察し、その画像(複数)から、被膜の最大高さ(Ry)、平均膜厚(H)及び微粒子集合体が存在しない部分の有無を測定又は確認した。
本実施例においては、撥水処理ガラス板の表面には、基材に微粒子集合体が存在する部分と存在しない部分を有することが確認できた。最大高さ(Ry)、平均膜厚(H)の測定結果は表1に示す。
得られた撥水処理ガラス板の表面を、前記走査型電子顕微鏡を用いて加速電圧5kV、エミッション電流10μA、傾斜角度30度、観察倍率5000倍の条件で観察した。その結果を図1に示す。
図1の撥水処理ガラス板の平面画像を画像解析法により、被覆処理領域の表面に微粒子集合体が存在する部分の面積割合を求めた。
図1の画像を画像センサ(CV−550、KEYENCE製)に取り込み、2値化のレベル設定(上255、下110)の条件で白黒の画素数を測定し、白の画素(微粒子集合体が存在する部分)数の全体の画素数に対する比率を「被膜の面積割合」とした。
[接触角]:
さらに撥水処理ガラス板について、その撥水性能を水の接触角で評価した。接触角計(「CA−DT」、協和界面科学(株)製)を用い、2mgの質量の水滴をガラス板表面に滴下して、接触角を測定した。なおこの接触角の値が大きいほど、静的な撥水性が優れていることを表している。
[ヘイズ値]:
また、得られた撥水処理ガラス板について、撥水処理領域の透明性をヘイズ値(曇価)で評価した。ヘイズ値は、直読ヘイズコンピューター(「HGM−2DM」、スガ試験機(株) 製)を用いて測定した。なおこのヘイズ値の値が小さいほど、撥水処理領域の透明性が高いことを表している。
イソプロピルアルコール294.0gに、実施例1で用いたパールスライクコロイダルシリカ6.0gを加えて5分間攪拌し、さらにモレキュラーシーブ(ビーズ径2mm、穴径0.3nm;関東化学(株)製)50gを加えて、5分間攪拌した後、28日間静置して、シリカ微粒子分散液の脱水処理物を得た。
得られたシリカ微粒子分散液の脱水処理物の水分量をカールフィッシャー法で測定したところ、脱水処理前の水分量が1.78質量%であったのに対し、脱水処理後の水分量は0.1質量%であり、水分量が少なくなっていることを確認した。
次いで、イソプロピルアルコール0.48gにイソパラフィン(「アイソゾール200」日本石油化学(株)製)10.0gと前記シリカ微粒子分散液の脱水処理物14.25gと実施例1で用いたデシルトリメトキシシラン0.02gとヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン0.001gを加えて5分間攪拌し、さらに0.1規定の塩酸0.25gを加えて5分間攪拌して撥水処理用分散液を得た。
この撥水処理用分散液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度70%、室温下でフローコート法にて塗布し、自然乾燥させ、撥水処理ガラス板を得た。
撥水処理ガラス板の表面の被膜の構造、物性等を実施例1と同様に測定し、その結果を図2及び表1に示す。
市販されている自動車用サイドミラーの撥水剤(ガラスミラーコート;SOFT99コーポレーション製;シリカ系撥水剤)を洗浄したガラス基板の表面に、相対湿度50%、室温下でスプレーコート法にて塗布し、自然乾燥させ、撥水処理ガラス板を得た。
得られた撥水処理ガラス板を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
市販されている自動車用サイドミラーの撥水剤(siv−speed;(株)カーメイト製;シリカ系撥水剤)を洗浄したガラス基板の表面に、相対湿度50%、室温下でスプレーコート法にて塗布し、自然乾燥させ、撥水処理ガラス板を得た。
得られた撥水処理ガラス板を実施例1と同様に評価した結果を図3及び表1に示す。
なお、比較例1,2においては、走査型電子顕微鏡による断面状態の観察(100,000倍)において、微粒子集合体が存在しない部分がなかったため、図3からの画像解析法による「被膜の面積割合」の算出は行わなかった。
また、本発明によれば、微粒子分散液を基材表面に塗布して自然乾燥させることで当該被膜を形成することができるので、簡便であり生産性に優れる。
Claims (8)
- 基材表面に超撥水性被膜を被覆した超撥水性被膜被覆物品において、
前記超撥水性被膜は、突起体及び撥水性膜を備え、前記被膜の被覆領域において、前記突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、前記突起体が存在する部分の被膜表面に前記突起体による凹凸が形成されている超撥水性被膜被覆物品。 - 前記突起体は、微粒子集合体である請求項1に記載の超撥水性被膜被覆物品。
- 前記被覆処理領域における、突起体が存在する部分の面積割合が20〜90%である請求項1又は2に記載の超撥水性被膜被覆物品。
- 前記微粒子の直径が5〜100nmである請求項1〜3に記載の超撥水性被膜被覆物品。
- 前記超撥水性被膜の平均膜厚(H)が30nm以上200nm以下であり、かつ該超撥水性被膜表面における最大高さ(Ry)と平均膜厚(H)の差が50nm以上である請求項1〜4に記載の超撥水性被膜被覆物品。
- 前記被膜被覆物品のヘイズ値が1%以下である請求項1〜5に記載の超撥水性被膜被覆物品。
- 前記撥水性膜は、フルオロアルキル基及び/又はアルキル基を含有し、かつ加水分解可能な官能基を有するシラン化合物から生成されるものである請求項1〜6に記載の超撥水性被膜被覆物品。
- 基材は、透明なガラス板、樹脂板又は樹脂フィルムのいずれかである請求項1〜7に記載の超撥水性被膜被覆物品。
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