JPH09309745A - 撥水撥油性物品及びその製法 - Google Patents

撥水撥油性物品及びその製法

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JPH09309745A
JPH09309745A JP12948696A JP12948696A JPH09309745A JP H09309745 A JPH09309745 A JP H09309745A JP 12948696 A JP12948696 A JP 12948696A JP 12948696 A JP12948696 A JP 12948696A JP H09309745 A JPH09309745 A JP H09309745A
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water
repellent
oil
film
substrate
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JP12948696A
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English (en)
Inventor
Seiji Yamazaki
誠司 山崎
Toshiaki Ito
俊明 伊藤
Yasuo Moriguchi
泰夫 森口
Hideki Yamamoto
秀樹 山本
Akira Sakata
昭 坂田
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくとも格段に優れた耐摩耗性がある撥水
撥油性能を持ち、長期耐久性に優れ、自動車用窓材にも
使用可能な卓越した撥水撥油性ガラスを簡便に効率よく
得る。 【解決手段】 基板表面に撥水撥油性薄膜を形成した撥
水撥油性物品において、該基板表面に方向性を持った筋
状の微細な凹凸状面を有するようつけた疵と、該微細な
凹凸状面に、シロキサン結合を介してナノメタ─レベル
の膜厚を持つパ─フルオロアルコキシド系単分子状膜を
形成して被覆する撥水撥油性膜とから成る撥水撥油性物
品。及びその形成法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板、例えばガラ
ス、セラミックス、プラスチック等の基板の表面に方向
性をもつ筋状の微細な凹凸状面の疵を施し、この凹凸状
面上にナノメタ−レベルの膜厚をもつパ−フルオロアル
キル系単分子状膜よりなる撥水撥油性被膜を被覆成膜し
た撥水撥油性物品及びその製法に関する。
【0002】該撥水撥油性物品は、耐候性、耐擦傷性、
耐久性に優れ、高可視光透過率の構成であるので基板本
来の光沢を損なうこともなく、かつ例えば基板の可視光
透過率を変えるようなこともなく、極めて優れた撥水撥
油性能を長期にわたりその効果を持続せしめて発揮する
ものとなる等、クラック等の欠陥もなく簡便に効率よ
く、特に産業用、建築用もしくは自動車用の窓材、各種
膜付きガラス物品等に充分採用することができる有用な
撥水撥油性物品及びその製法を提供する。
【0003】
【従来の技術】各種基板上にパ−フルオロアルキキルシ
ラン系単分子被膜を形成させることで、撥水・撥油性を
付与することができるものの、所詮有機物であるため耐
候性、耐久性、耐擦傷性において必ずしも充分ではなか
った。そのため種々の試みが提案されている。
【0004】基板と撥水・撥油性膜層の結合力を向上さ
せるために中間層を設ける方法としては、例えば特開昭
60-231442 号公報には撥水処理硝子が記載されており、
有機ケイ素化合物をベ−スに用い、その処理膜の硝子側
部分には硝子との接着性が良好な重合物(接着部分、シ
ロキサン結合を有する有機ケイ素化合物の重合物)を主
に配し、処理膜の外部部分には撥水性に富む重合物(撥
水成分、前記化合物より炭素の組成割合が大きいかもし
くは酸素の組成割合が小さい有機ケイ素化合物、または
フッ素化合物の重合物の双方)を主に配することが開示
されている。
【0005】また、例えば特開平4-130032号公報には撥
水性ガラスが記載されており、ガラス本体の表面に二酸
化けい素膜(例えば蒸着による多孔質状)に形成し、こ
の膜表面上にシリコ−ン系の撥水性被膜(例えばフロロ
シリコ−ンから成る)を形成して成ることが開示されて
いる。
【0006】さらに、その効果を高めるために中間層の
表面形状を凹凸状あるいはマイクロピット状とする方法
としては、例えば特開平3-247537号公報には撥水性ガラ
スの製造方法が記載されており、ガラス基板の表面を研
磨粉(例えば1μm 以下の微細なアルミナ、酸化セリウ
ム等)を用いて研磨洗浄を行う前処理(例えば、ガラス
表面にシラノ−ル基を存在せしめる)工程と、ポリジア
ルキルシロキサンのアルキル基の水素を5%以上フッ素
原子に置換したシリコ−ン系撥水剤を前処理されたガラ
ス基板に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、該塗布
膜を硬化させてガラス基板に密着し膜厚が0.1 〜2μm
の撥水性硬化皮膜を形成する硬化工程とからなることが
開示されている。
【0007】また、例えば本出願人が既に出願提案した
特開平6-16455 号公報では、ガラス基板の表面に形成し
た薄膜が、金属アルコキシド系化合物あるいは金属アセ
チルアセトネ−ト系化合物等を用い、マイクロピット状
表層、凹凸状表層あるいは凸状表層を有するゾルゲル膜
を下地層とし、該下地層表面にフルオロカ−ボン基を有
するフッ素含有シラン化合物からなるコ−ティング液を
塗布成膜した積層膜である撥水性酸化物被膜およびその
形成法を記載した。
【0008】さらにまた、中間層を介すことなくガラス
基板の表面をサンドブラスト処理、フッ酸を用いた化学
エッチング処理あるいはサンドペ−パ−によるラピング
処理等によって凹凸をつける方法としては、例えば特開
平4-249146号公報には撥水撥油防汚性被膜及びその製造
方法が記載されており、可視光の波長未満の凹凸が形成
された基板の表面に、少なくともシロキサン結合を介し
てフッ素を含む化学吸着単分子膜が形成されていること
が記載され、基材の表面に可視光の波長400nm未満、例
えば0.1 μm 程度の凹凸を形成することが開示されてい
る。
【0009】また、例えば特開平4-239633号公報あるい
は特開平4-288349号公報には撥水撥油性被膜及びその製
造方法が記載されており、ガラス微粒子混入凹凸層ある
いは同粗面化処理の表面に、シロキシ基含有フロロカ−
ボンポリマ−層を形成することが開示されている。
【0010】また他に、例えば特開平4-124046号公報に
は、エッチング処理による凹凸面に撥水処理剤を被覆す
ること、また例えば特開平4-124047号公報には、微細な
凹凸表面金属酸化物皮膜に撥水処理剤を被覆することが
記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述した例えば中間層
を介して撥水・撥油層を形成する方法では、中間層を形
成する工程が追加され、生産性がよいとは言い難く、ま
た中間層の表面形状を制御することも格段に耐久性が向
上するものであるとは言い難く、工程も増え低コストと
はならない。
【0012】一方、基板表面を強酸でエッチングする方
法では、エッチングに使用する溶液が人体に対して極端
に危険な物質であって、その取り扱いが厄介で作業性が
劣るとともに、生産性の低下が生じる。
【0013】またさらに、ガラス表面をサンドブラスト
処理して粗面にする方法では、建築用には一般的な手法
であって、自動車用に採用するには、透視性と撥水・撥
油層との関係が難しくかつその撥水・撥油層の長期的耐
久性に難点があり、またピンホ−ルの発現等新たな問題
点も発生するので必ずしもよい方法とは言い難い。
【0014】またさらに、ガラス基板表面を研磨粉を用
いて単に研磨洗浄を行い、撥水・撥油剤をその表面に塗
布する方法では、ガラス基板表面に疵をつけるのではな
く単に洗浄により表面に付着している汚れを除去するこ
とで、ガラス基板表面に存在するシラノ−ル基と撥水・
撥油層との反応効率を上げ、密着性を向上させるように
しようとするものであり、耐摩耗性(耐擦傷性、耐摺動
性)は自動車用等の過酷な条件での使用に格段に優れる
ものとは必ずしも言い難く、また形成する撥水・撥油層
の必要な膜厚も例えば数100nm 〜数μm と比較的厚いも
のとなる。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のかかる
課題に鑑みてなしたものであって、基板表面上に特別な
中間層を原則的に必要とせず、また酸エッチングやサン
ドブラスト処理による凹凸を形成するのではなく、厄介
な工程もなく簡便な手段で効率よく基板表面上に各種方
向性を持った筋状の微細な凹凸状面を有する疵をつけ、
該疵の微細な凹凸状面上に撥水撥油性被膜層を形成する
ことにより、例えば大面積の基板がガラスの場合、撥水
撥油性被膜との反応性を高め、また方向性を持った筋状
の凹凸状面であるために優れた耐候性、耐摩耗性(耐擦
傷性、耐摺動性)を長期にわたり維持することができ、
格段に優れた撥水撥油性能を充分に発揮することがで
き、例えば車両用や船舶の窓ガラス等においても雨水等
の液滴の移動がスム−ズであるような撥水撥油性能を発
揮することとなり、視認性の大幅な向上が図れるととも
に安全性を向上するこができる等、有用な撥水撥油性物
品及びその製法を提供するものである。
【0016】すなわち、本発明は、基板表面に撥水撥油
性薄膜を形成した撥水撥油性物品において、該基板表面
に方向性を持った筋状の微細な凹凸状面を有するようつ
けた疵と、該微細な凹凸状面に、シロキサン結合を介し
てナノメタ─レベルの膜厚を持つパ─フルオロアルコキ
シド系単分子状膜を形成して被覆する撥水撥油性膜とか
ら成ることを特徴とする撥水撥油性物品。
【0017】ならびに、前記方向性を持った筋状の微細
な凹凸状面を有するようつけた疵の深さが、10nm以上40
0nm 以下であることを特徴とする上述した撥水撥油性物
品。さらに、前記基板が、ガラス、セラミックス、プラ
スチック、あるいはこれらのうちのいずれかを少なくと
も1種を含む基板であることを特徴とする上述した撥水
撥油性物品。
【0018】また、基板表面に撥水撥油性薄膜を形成し
た撥水撥油性物品の製法において、該基板表面に深さが
10nm以上400nm 以下である方向性を持った筋状の微細な
凹凸状面を形成する疵をつける工程と、フルオロカ−ボ
ン基を持つシラン化合物からなるコ−ティング溶液を調
製する工程と、該コ−ティング溶液を前記微細な凹凸状
面に塗布する工程と、該塗布した被膜を少なくとも乾燥
して単分子状膜を形成してなる撥水撥油性膜を成膜する
工程とからなることを特徴とする撥水撥油性物品の製
法。
【0019】さらに、前記方向性を持った筋状の微細な
凹凸状面を形成する疵をつける手段が、表面研磨剤を用
い、湿式あるいは乾式でブラシまたはブラシ状物による
ものであることを特徴とする上述した撥水撥油性物品の
製法。
【0020】さらにまた、前記フルオロカ−ボン基を持
つシラン化合物からなるコ−ティング溶液が、CF3(CF2)
n CH2CH2Si(OR)3 〔n=1〜7、R:アルキル基〕を溶媒で
希釈し、酸触媒により部分的に加水分解した溶液である
ことを特徴とする上述した撥水撥油性物品の製法。
【0021】またさらに、前記コ−ティング溶液におけ
る固形分濃度が、酸化物換算で0.1重量%以上5.0 重量
%以下であることを特徴とする上述した撥水撥油性物品
の製法。
【0022】さらにまた、前記溶媒が、アルコ−ル類あ
るいはエ−テル類であることを特徴とする上述した撥水
撥油性物品の製法。またさらに、前記した酸触媒が、塩
酸、硝酸あるいはしゅう酸であることを特徴とする上述
した撥水撥油性物品の製法。
【0023】さらにまた、前記した乾燥温度が、100 ℃
以上350 ℃以下の温度であることを特徴とする上述した
撥水撥油性物品の製法。さらにまた、前記した基板が、
ガラス、セラミックス、プラスチック、あるいはこれら
のうちのいずれかを少なくとも1種を含む基板であるこ
とを特徴とする上述した撥水撥油性物品の製法をそれぞ
れ提供するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】ここで、前記したように、基板表
面に撥水撥油性薄膜を形成した撥水撥油性物品におい
て、該基板表面に方向性を持った筋状の微細な凹凸状面
を有するようつけた疵と、該微細な凹凸状面に、シロキ
サン結合を介してナノメタ─レベルの膜厚を持つパ─フ
ルオロアルコキシド系単分子状膜を形成して被覆する撥
水撥油性膜とから成る撥水撥油性物品としたのは、例え
ば基板をブラシで水洗浄する際に酸化セリウムやアルミ
ナ粉を単独または併用することで、該基板表面に方向性
を持った筋状の深さ約 10 〜400nm 程度の微細な凹凸状
面を有するような疵を厄介な工程もなく簡便な手段で効
率よくつけ、該方向性を持った筋状の微細な凹凸状面上
に、フルオロカ−ボン基を持つシラン化合物からなるコ
−ティング溶液を調製した後塗布し、シロキサン結合を
介してナノメタ─レベルの膜厚を持つパ─フルオロアル
コキシド系単分子状の撥水撥油性膜を形成し被覆するこ
とにより、例えばガラス基板の場合、パ─フルオロアル
コキシド系単分子状膜と基板表面のシラノ−ル基との反
応性も高く、しかも方向性を持った筋状の微細な凹凸状
面であるため、優れた耐候性、耐擦傷性(耐摺動性)を
長期にわたり維持することができるとともに、充分な耐
摩耗性も発揮することができるなど、格段に優れた撥水
撥油性能を有する撥水撥油性物品及びその製法を、厄介
な工程もなく、高い安定性と安全性で作業効率よく、生
産性を格段に上げ、かつ確実に提供することができるも
のである。
【0025】また、前記方向性を持った筋状の微細な凹
凸状面を有する疵は、例えば基板をブラシで水洗浄する
際に酸化セリウムやアルミナ粉を単独または併用するこ
と等、表面研磨剤(粉体)を用い、湿式あるいは乾式で
ブラシまたはブラシ状物によることで成し得、該使用す
る粉体(研磨剤)の種類とその粒径、ブラシの材質およ
び基板とブラシの接触圧等を変えることで、疵の程度
(深さ、数、大きさ、形状)も制御することができる。
また例えば該操作を複数回行えば任意の方向、例えば直
線状で縦、横あるいは縦横直角なクロス、または任意の
角度に交叉したクロス等の方向を持った筋状の微細な凹
凸状面を有する疵をうることができる。
【0026】なお例えば、自動車等車両用の窓では、車
両の進行方向に平行な(横方向)疵をつけておくことに
より、雨水等の液滴の移動が極めてスム−ズとなり、透
視性や視認性の向上が大幅に図られ、安全性が向上す
る。
【0027】該疵の深さを10nm以上400nm 以下であるこ
ととしたのは、該疵の深さが10nm以上400nm 以下の範囲
から外れると、特に優れた耐候性、耐擦傷性(耐摺動
性)を長期にわたり維持することができなくなるととも
に、充分な耐摩耗性も発揮することができなくなるため
である。また横方向にある筋状の該疵の幅としては約20
〜400nm 程度の範囲にあり、凸部の幅は約50〜2000nm程
度にある。
【0028】さらに、前記フルオロカ−ボン基を持つシ
ラン化合物からなるコ−ティング溶液が、CF3(CF2)n CH
2CH2Si(OR)3 〔n=1〜7、R:アルキル基〕をアルコ−ル
類あるいはエ−テル類である溶媒で希釈し、塩酸、硝酸
あるいはしゅう酸である酸触媒により部分的に加水分解
した溶液であって、該コ−ティング溶液における固形分
濃度が、酸化物換算で0.1 重量%以上5.0 重量%以下で
あることとしたのは、0.1 重量%未満では初期の水に対
する接触角が約90°程度となって充分な撥水撥油性を発
揮することができるとは言い難く、また5.0 重量%を超
えても水に対する接触角がもはや高くならず、例えば約
115 °前後程度となるからであり、さらに溶液のゲル化
時間が早くなり、使用期間が短くなるためである。
【0029】さらにまた、前記した乾燥(焼成)温度を
100 ℃以上350 ℃以下の温度であることとしたのは、10
0 ℃未満では溶液中の溶媒の蒸発が充分ではなく、基板
との結合性も向上しないため水に対する接触角が約100
°程度となり、また350 ℃を超えると撥水撥油性を発現
しているフルオロ基の分解が徐々に起こり、接触角が低
下するからである。
【0030】さらにまた、前記した基板としては、ガラ
ス、セラミックス、プラスチック、あるいはこれらのう
ちのいずれかを少なくとも1種を含む基板であって、ガ
ラス基板としては、建築用における窓材、鏡、航空機用
あるいは船舶用の窓材、および自動車用窓材等、種々の
ガラス物品などに用いられるソ−ダライムガラス、たと
えばフロ−トガラスおよび各種成分組成のガラスを採用
することができる。
【0031】さらにまた、前記した膜の膜付け法として
は、ハケや布塗り法、ディッピング法、フローコート法
あるいはスピンコート法、ロ−ラ−コ−ト法、印刷法、
ノズルフロ−コ−ト法、スプレー法、ならびにそれらの
併用等既知の塗布手段が適宜採用し得るものである。
【0032】前述したように、本発明の撥水撥油性物品
及びその製法によれば、例えば大面積の基板がガラスの
場合、撥水撥油性被膜との反応性を高め、また方向性を
持った筋状の凹凸状面であるために優れた耐候性、耐摩
耗性(耐擦傷性、耐摺動性)を長期にわたり維持するこ
とができて耐久性が充分にあり、格段に優れた撥水撥油
性能を充分に発揮することができ、例えば車両用や船舶
の窓ガラス等においても雨水等の液滴の移動がスム−ズ
であるような撥水撥油性能を発揮することとなり、基板
本来の光沢を損なうこともなく、また可視光透過率も基
板そのもののものと変わることもなく、透視性や視認性
の大幅な向上が図れるとともに安全性を向上するこがで
き、厄介な工程もなく、高い安定性と安全性で作業効率
よく、生産性を格段に上げ、かつクラック等の欠陥を発
現することもなく簡便でかつ確実に、建築用もしくは鏡
などの産業用、さらには自動車用の窓材をはじめ、船
舶、航空機の窓材など各種ガラス物品等、種々の分野に
広く採用できる有用な撥水撥油性物品及びその製法を提
供することができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0034】実施例1 予め市販の自動洗浄機〔板東機工(株)製、WM-350H;上
水+温風乾燥〕により、大きさ約100mm ×200mm で板厚
約3.5mm のフロ−トガラス基板を洗浄したのち、自社製
のブラシ洗浄機により、乾式または湿式法でガラス基板
の表面がブラシに接触する直前にセリア微粉末(粒子
径:平均約1.3 μm 程度)を当該基板表面上にのせ、ブ
ラシでセリアを除去することで、ガラス投入方向に平行
な方向性をもつ微細な筋状の疵を全面につけ、微細な凹
凸状面を形成した。
【0035】次いで、撥水・撥油剤の出発原料は、フル
オロアルキルトリエトキシシラン〔CF3(CF2)7C2H4Si(OC
2H5)3 〕とし、イソプロピルアルコ−ル〔キシダ化学
製〕と硝酸〔キシダ化学製;60%〕で、1:25:1(重
量比)とし、室温で約1時間程度攪拌することで調製
し、撥水撥油性膜用のコ−ティング溶液とした。
【0036】次に、該撥水撥油性膜用のコ−ティング溶
液を先のガラス基板の微細な筋状の疵で成る前記微細な
凹凸状面に市販のハケで塗り広げることで塗布した。続
いて、この膜付きガラス基板を約 140℃で約30分間乾燥
し、ガラス基板における方向性を持つ微細な筋状の疵で
なる微細な前記凹凸状面に単分子状膜でなるF-SiO2膜層
を形成せしめたF-SiO2膜付きガラスを得た。
【0037】得られたF-SiO2膜付きガラスについて以下
の評価を実施した。 〔表層表面形状の観察〕 (観察機器) :走査型電子顕微鏡(SEM 、日立製
作所製S-415 、倍率約15千倍) :走査型プロ−ブ顕微鏡の原子間力顕微鏡(AFM )モ−
ド(セイコ−電子製、SPI3700 、5 μm 四方スキャンあ
るいはオリンパス製、NV2000、5 μm 四方スキャン) (評価方法) :上述した観察機器による観察を
し、撮影した写真、ならびにAFM とJIS B 0601で定義さ
れている中心線平均粗さRa値を求めた。 (凹凸状面測定) :膜表面形状の凹凸程度を目視し、
凹凸状がハッキリ観察されれば合格とした。またその寸
法(大きさ)はDEKTAK(Sloan 社製、3030)にて測定
し、測定値はnmで表した。
【0038】なお、正確度は多少落ちるものの約10nm程
度まで測定できた。 〔耐摩耗性〕 (トラバ−ス摺動試験) 試験機 :トラバ−ス式耐摩耗試験機(図3) 試料サイズ :100mm ×200mm 摩擦布への荷重 :キャンバス布に0.1kg /cm2 (JIS
L 3102-1961-1206) ストロ−ク :100mm の往復(摺動回数は往復の回
数) 摺動速度 :30往復/分 (接触角の測定) 測定機器 :協和界面科学製CA-A型 測定環境 :大気中(約25℃) 水 :純水(20μl ) (評価方法) :上記試験前、摺動回数500 回、10
00回、2000回、3500回における接触角の値(°)を測定
した。
【0039】3500回における接触角の値(°)が、約85
°以上(好ましくは約90°以上)程度を合格とした。 (転落角の測定) :45μl の水滴でその転落し始める
角度(°)。
【0040】3500回における転落角の値(°)が、約40
°以下程度を合格とした。 〔耐光性試験〕 測定機器 :ス−パ−UV(SUV )耐光促進試験に
より評価した。
【0041】条件 :約75mW/cm2 、ランプ
とサンプル間距離約25mm、温度約35℃、湿度約50%RH
で、SUV 照射時間約150 時間、約800 時間の耐久性試験
を行った。 〔膜厚の測定〕 :DEKTAK(Sloan 社製、3030)にて
測定しようとしたが、約10〜15nm以下であって測定でき
難く、単分子(ナノメタ−レベル)状膜とした。 〔その他〕:クラック等の欠陥の有無。膜の各種試
験による耐久性。可視光線透過率の変化等光学特性へ
の影響など、建築用、産業用ならびに自動車用の窓材を
はじめ、各種ガラス物品に必要な事項を評価した。
【0042】その結果、該F-SiO2膜付きガラスは、略縦
方向性をもつ微細な筋状の疵を全面につけた微細な凹凸
状面の形状が凹部の深さ約10〜300nm 程度で幅約20〜30
0nm程度、凹部と凹部の間隔(凸部)が約100 〜1500nm
程度のバラツキ範囲内にあり、また図1に示すように走
査型電子顕微鏡(以下、SEM という。)の写真(1万5
千倍)による観察でハッキリした凹凸状を呈し、さらに
原子間力顕微鏡(以下、AFM という。)による中心線平
均粗さRa値は約0.4nm 程度である凹凸状面であり、めざ
す表面疵であった。
【0043】次いで、その上のF-SiO2膜はクラック等の
欠陥の発生もなく、該F-SiO2膜の膜厚単分子(ナノメタ
−レベル)状膜であった。また、表1に示すように、F-
SiO2膜である撥水撥油膜層の耐摩耗性は、摺動回数が往
復回数で3500回のトラバ−ス摺動試験においても、試験
前の接触角112 °に対し95°となる程度であって格段に
優れた充分めざすものであり、転落角も試験前後で大き
な変化もなく、SUV 耐光促進試験による耐光性試験にお
いても高い接触角と低い転落角を保持し、格段に優れた
長期的な撥水撥油性能を示すものである等耐久性に優れ
た撥水撥油性物品を、安定かつ確実に厄介な工程もな
く、簡便な手段で効率よく得ることができ、建築用、産
業用ならびに自動車用の窓材をはじめ、各種ガラス物品
に使用可能なめざす所期の撥水撥油性物品を得た。
【0044】なお例えば、前記疵の方向と耐トラバ−ス
摺動性との関係については、疵方向と摺動方向が同じ場
合には耐摩耗性が優れたものとなり、疵方向と摺動方向
が一致しない場合には耐摩耗性が低下する傾向がみられ
る。具体的には摺動方向を左右とした場合の耐摺動性能
は横方向の疵が比較的によく、クロス方向の疵が中間的
な性能であり、縦方向の疵が比較的によくないという傾
向がみられた。
【0045】実施例2 ガラス基板の表面に疵をつけるための研磨剤をアルミナ
粉(粒子径:約0.05μm 程度)を使用し、斜めクロスの
疵をつけた以外は、実施例1と同様にした。
【0046】得られたF-SiO2膜付きガラスについて実施
例1と同様の評価を実施した。その結果、該F-SiO2膜付
きガラスは、略斜めクロスの方向性をもつ微細な筋状の
疵を全面につけた微細な凹凸状面の形状が凹部の深さ約
10〜150nm 程度で幅約20〜200nm 程度、凹部と凹部の間
隔(凸部)が約50〜1000nm程度のバラツキ範囲内にあ
り、またSEM の写真(1万5千倍)による観察でハッキ
リした凹凸状を呈し、AFM による中心線平均粗さRa値は
約0.3nm 程度である凹凸状面であり、めざす表面疵であ
った。
【0047】次いで、その上のF-SiO2膜はクラック等の
欠陥の発生もなく、該F-SiO2膜の膜厚は単分子(ナノメ
タ−レベル)状膜であった。また、表1に示すように、
F-SiO2膜である撥水撥油膜層の耐摩耗性は、摺動回数が
往復回数で3500回のトラバ−ス摺動試験においても、試
験前の接触角110 °に対し91°となる程度であって格段
に優れた充分めざすものであり、転落角も試験前後で大
きな変化もなく、SUV 耐光促進試験による耐光性試験に
おいても高い接触角と低い転落角を保持し、格段に優れ
た長期的な撥水撥油性能を示すものである等耐久性に優
れた撥水撥油性物品を、安定かつ確実に厄介な工程もな
く、簡便な手段で効率よく得ることができ、建築用、産
業用ならびに自動車用の窓材をはじめ、各種ガラス物品
に使用可能なめざす所期の撥水撥油性物品を得た。
【0048】実施例3 ガラス基板の表面に疵をつけるための研磨剤をアルミナ
粉(粒子径:約0.3 μm 程度)を使用し、略横方向の疵
をつけた以外は実施例1と同様にした。
【0049】得られたF-SiO2膜付きガラスについて実施
例1と同様の評価を実施した。その結果、該F-SiO2膜付
きガラスは、略横の方向性をもつ微細な筋状の疵を全面
につけた微細な凹凸状面の形状が凹部の深さ約10〜250n
m 程度で幅約20〜250nm 程度、凹部と凹部の間隔(凸
部)が約50〜1500nm程度のバラツキ範囲内にあり、また
SEM の写真(1万5千倍)による観察でハッキリした凹
凸状を呈し、AFMによる中心線平均粗さRa値は約0.4nm
程度である凹凸状面であり、めざす表面疵であった。
【0050】次いで、その上のF-SiO2膜はクラック等の
欠陥の発生もなく、該膜の膜厚は単分子(ナノメタ−レ
ベル)状膜であった。また、表1に示すように、F-SiO2
膜である撥水撥油膜層の耐摩耗性は、摺動回数が往復回
数で3500回のトラバ−ス摺動試験においても、試験前の
接触角111 °に対し95°となる程度であって格段に優れ
た充分めざすものであり、転落角も試験前後で大きな変
化もなく、SUV 耐光促進試験による耐光性試験において
も高い接触角と低い転落角を保持し、格段に優れた長期
的な撥水撥油性能を示すものである等耐久性に優れた撥
水撥油性物品を、安定かつ確実に厄介な工程もなく、簡
便な手段で効率よく得ることができ、建築用、産業用な
らびに自動車用の窓材をはじめ、各種ガラス物品に使用
可能なめざす所期の撥水撥油性物品を得た。
【0051】実施例4 ガラス基板の表面に疵をつけるための研磨剤をアルミナ
粉(粒子径:約5 μm程度)を使用し、略縦方向の疵を
つけた以外は実施例1と同様にした。
【0052】得られたF-SiO2膜付きガラスについて実施
例1と同様の評価を実施した。その結果、該F-SiO2膜付
きガラスは、略縦の方向性をもつ微細な筋状の疵を全面
につけた微細な凹凸状面の形状が凹部の深さ約10〜400n
m 程度で幅約20〜400nm 程度、凹部と凹部の間隔(凸
部)が約50〜2000nm程度のバラツキ範囲内にあり、また
SEM の写真(1万5千倍)による観察でハッキリした凹
凸状を呈し、図2で示すように、AFM による中心線平均
粗さRa値は約0.5nm 程度である凹凸状面であり、めざす
表面疵であった。
【0053】次いで、その上のF-SiO2膜はクラック等の
欠陥の発生もなく、該膜の膜厚は単分子(ナノメタ−レ
ベル)状膜であった。また、表1に示すように、F-SiO2
膜である撥水膜層の耐摩耗性は、摺動回数が往復回数で
3500回のトラバ−ス摺動試験においても、試験前の接触
角115 °に対し103 °となる程度であって格段に優れた
充分めざすものであり、転落角も試験前後で大きな変化
もなく、SUV 耐光促進試験による耐光性試験においても
高い接触角と低い転落角を保持し、格段に優れた長期的
な撥水撥油性能を示すものである等耐久性に優れた撥水
撥油性物品を、安定かつ確実に厄介な工程もなく、簡便
な手段で効率よく得ることができ、建築用、産業用なら
びに自動車用の窓材をはじめ、各種ガラス物品に使用可
能なめざす所期の撥水撥油性物品を得た。
【0054】実施例5 研磨剤をアルミナ粉(粒子径:約5 μm 程度)を使用
し、ガラス基板の表面に一旦ガラス投入方向に平行な微
細な疵をつけた後、再度ガラス基板を90°の角度をつけ
てブラシにより微細な疵をつけ、略縦横方向の疵をつけ
た以外は実施例1と同様にした。
【0055】得られたF-SiO2膜付きガラスについて実施
例1と同様の評価を実施した。その結果、該F-SiO2膜付
きガラスは、略縦横の方向性をもつ微細な筋状の疵を全
面につけた微細な凹凸状面の形状が凹部の深さ約10〜40
0nm 程度で幅約20〜400nm 程度、凹部と凹部の間隔(凸
部)が約50〜2000nm程度のバラツキ範囲内にあり、また
SEM の写真(1万5千倍)による観察でハッキリした凹
凸状を呈し、AFM による中心線平均粗さRa値は約0.5nm
程度である凹凸状面であり、めざす表面疵であった。
【0056】次いで、その上のF-SiO2膜はクラック等の
欠陥の発生もなく、該膜の膜厚は単分子(ナノメタ−レ
ベル)状膜であった。また、表1に示すように、F-SiO2
膜である撥水膜層の耐摩耗性は、摺動回数が往復回数で
3500回のトラバ−ス摺動試験においても、試験前の接触
角116 °に対し100 °となる程度であって格段に優れた
充分めざすものであり、転落角も試験前後で大きな変化
もなく、SUV 耐光促進試験による耐光性試験においても
高い接触角と低い転落角を保持し、格段に優れた長期的
な撥水撥油性能を示すものである等耐久性に優れた撥水
撥油性物品を、安定かつ確実に厄介な工程もなく、簡便
な手段で効率よく得ることができ、建築用、産業用なら
びに自動車用の窓材をはじめ、各種ガラス物品に使用可
能なめざす所期の撥水撥油性物品を得た。
【0057】比較例1 市販の自動洗浄機〔板東機工(株)製 WN-350H;上水+
ブラシ+温風乾燥〕により洗浄した大きさ約100mm ×20
0mm で板厚約3.5mm サイズのフロ−トガラス基板を、洗
浄した後一旦セリア研磨して、再度自動洗浄機で洗浄し
たガラス基板表面に、洗浄直後に実施例1と同様な撥水
撥油剤で被膜処理を施した。
【0058】得られたF-SiO2膜付きガラスについて、実
施例1と同様の評価を実施した。その結果、該F-SiO2
付きガラスは、方向性をもつ微細な筋状の疵ではほとん
どなく、微細な凹凸状面とは言い難いものであり、また
SEM の写真(1万5千倍)による観察でハッキリした凹
凸状面を呈していなく、AFM による観察でもフラット状
であり、めざす表面疵とは言い難いものであった。
【0059】次いで、その上のF-SiO2膜はクラック等の
欠陥の発生もなく、その膜厚は実施例1と同様の単分子
(ナノメタ−レベル)状膜であった。また、表1に示す
ように、撥水撥油膜層の耐摩耗性は摺動回数が往復回数
で3500回のトラバ−ス摺動試験において、試験前の接触
角115 °に対し34°となる等、到底長期的な撥水撥油性
能を示すものではなく、建築用、産業用ならびに自動車
用の窓材をはじめ、各種ガラス物品に安心して使用でき
るようなものではなく、めざす所期の撥水撥油性物品で
はなかった。
【0060】比較例2 比較例1と同様な洗浄を施したガラス基板上に、蒸着法
により膜厚が約10nm程度のSiO2膜を形成し、その上に、
シロキサン系ポリマ−であるメチルハイドロジエンポリ
シロキサンを浸漬法により塗布し、約300 ℃で約30分間
加熱焼成し、撥水撥油性ガラスを得た。
【0061】得られたSiO2膜付きガラスについて前記実
施例1と同様の評価を実施した。その結果、該SiO2膜付
きガラスは、表1に示すように、比較例1と同様、撥水
膜層の耐摩耗性は摺動回数が往復回数で3500回のトラバ
−ス摺動試験において、試験前の接触角112 °に対し20
°未満となる等、到底長期的な撥水撥油性能を示すもの
ではなく全く劣るものであり、、建築用、産業用ならび
に自動車用の窓材をはじめ、各種ガラス物品に安心して
使用できないものであり、到底めざす所期の撥水撥油性
物品ではなかった。
【0062】比較例3 テトラエトキシシランの加水分解溶液をディップコ−テ
ィング法によりガラス基板にコ−ティングし、約270 ℃
で約10分間乾燥処理をし、次いで約620 ℃で約10分間加
熱焼成してSiO2膜を形成した。該SiO2膜の膜厚は約200n
m であった。
【0063】次に、SiO2膜付きガラスのSiO2膜の上に、
ヘプタデカトリデシルフルオロアルキルシランの部分加
水分解溶液を塗布し、約250 ℃で約30分間加熱処理し、
撥水撥油性ガラスを得た。
【0064】得られた撥水撥油性ガラスについて、前記
実施例1と同様の評価を実施した。その結果、該撥水撥
油性ガラスは、表1に示すように、比較例1と同様、撥
水撥油膜層の耐摩耗性は摺動回数が往復回数で3500回の
トラバ−ス摺動試験において、試験前の接触角117 °に
対し28°未満となる等、到底長期的な撥水撥油性能を示
すものではなく全く劣るものであり、、建築用、産業用
ならびに自動車用の窓材をはじめ、各種ガラス物品に安
心して使用できないものであり、到底めざす所期の撥水
撥油性物品ではなかった。
【0065】比較例4 フロ−トガラス基板をアセトンまたはアルコ−ルで充分
に洗浄した後、該基板の表面をサンドブラスト処理し、
約100 〜300nm の方向性のない凹凸を形成した以外は実
施例1と同様にした。
【0066】得られたF-SiO2膜付きガラスについて、実
施例1と同様の評価を実施した。その結果、該F-SiO2
付きガラスは、表1に示すように、撥水膜層の耐摩耗性
は摺動回数が往復回数で3500回のトラバ−ス摺動試験に
おいて、試験前の接触角114 °に対し78°程度となる
等、到底充分長期的な撥水撥油性能を示すものではな
く、建築用、産業用ならびに自動車用の窓材をはじめ、
各種ガラス物品に充分安心して使用できるものとは言い
難いものであり、到底めざす所期の撥水撥油性物品では
なかった。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】以上前述したように、本発明の撥水撥油
性物品及びその製法によれば、安定かつ確実に厄介な工
程もなく手軽に容易な特定の形成手段でもって、ガラス
基板表面に特異な疵を施して方向性をもつ筋状の微細な
凹凸状面とし、該凹凸状面上に特定した単分子状膜を形
成するよう撥水撥油性膜を被覆して成るものとしたこと
により、格段に優れた耐摩耗性を有して優れた撥水撥油
性能を長期にわたり維持できる酸化物薄膜を安価に効率
よく高生産性でうることができ、クラック等の欠陥がな
くかつ充分な可視光線透過率と耐久性等に優れるものと
なるなど、建築用もしくは鏡などの産業用、さらには自
動車用の窓材をはじめ、各種ガラス物品等、種々の分野
に広く採用できる有用な撥水撥油性物品及びその製法を
提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるガラス基板表面の疵形状を、
SEM によって1万5千倍の倍率で撮影した写真で示す図
である。
【図2】実施例4におけるガラス基板表面の疵形状を、
AFM により観察し撮影した写真で示す図である。
【図3】撥水撥油性膜の耐摩耗性を評価するためのトラ
バ−ス式耐摩耗試験機を示す図である。
【符号の説明】 トラバ−ス式摩耗試験機 2 台 3 モ−タ 4 減速機 5 クランクディスク 6 摩擦布 7 荷重 8 ガラス基板 9 撥水撥油性膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 秀樹 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社硝子研究所内 (72)発明者 坂田 昭 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社硝子研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板表面に撥水撥油性薄膜を形成した撥
    水撥油性物品において、該基板表面に方向性を持った筋
    状の微細な凹凸状面を有するようつけた疵と、該微細な
    凹凸状面に、シロキサン結合を介してナノメタ─レベル
    の膜厚を持つパ─フルオロアルコキシド系単分子状膜を
    形成して被覆する撥水撥油性膜とから成ることを特徴と
    する撥水撥油性物品。
  2. 【請求項2】 前記方向性を持った筋状の微細な凹凸状
    面を有するようつけた疵の深さが、10nm以上400nm 以下
    であることを特徴とする請求項1記載の撥水撥油性物
    品。
  3. 【請求項3】 前記基板が、ガラス、セラミックス、プ
    ラスチック、あるいはこれらのうちのいずれかを少なく
    とも1種を含む基板であることを特徴とする請求項1乃
    至2記載の撥水撥油性物品。
  4. 【請求項4】 基板表面に撥水撥油性薄膜を形成した撥
    水撥油性物品の製法において、該基板表面に深さが10nm
    以上400nm 以下である方向性を持った筋状の微細な凹凸
    状面を形成する疵をつける工程と、フルオロカ−ボン基
    を持つシラン化合物からなるコ−ティング溶液を調製す
    る工程と、該コ−ティング溶液を前記微細な凹凸状面に
    塗布する工程と、該塗布した被膜を少なくとも乾燥して
    単分子状膜を形成してなる撥水撥油性膜を成膜する工程
    とからなることを特徴とする撥水撥油性物品の製法。
  5. 【請求項5】 前記方向性を持った筋状の微細な凹凸状
    面を形成する疵をつける手段が、表面研磨剤を用い、湿
    式あるいは乾式でブラシまたはブラシ状物によるもので
    あることを特徴とする請求項4の撥水撥油性物品の製
    法。
  6. 【請求項6】 前記フルオロカ−ボン基を持つシラン化
    合物からなるコ−ティング溶液が、CF3(CF2)n CH2CH2Si
    (OR)3 〔n=1〜7、R:アルキル基〕を溶媒で希釈し、酸
    触媒により部分的に加水分解した溶液であることを特徴
    とする請求項4乃至5記載の撥水撥油性物品の製法。
  7. 【請求項7】 前記コ−ティング溶液における固形分濃
    度が、酸化物換算で0.1 重量%以上5.0 重量%以下であ
    ることを特徴とする請求項4乃至6記載の撥水撥油性物
    品の製法。
  8. 【請求項8】 前記溶媒が、アルコ−ル類あるいはエ−
    テル類であることを特徴とする請求項4乃至7記載の撥
    水撥油性物品の製法。
  9. 【請求項9】 前記した酸触媒が、塩酸、硝酸あるいは
    しゅう酸であることを特徴とする請求項4乃至8記載の
    撥水撥油性物品の製法。
  10. 【請求項10】 前記した乾燥温度が、100 ℃以上350 ℃
    以下の温度であることを特徴とする請求項4乃至9記載
    の撥水撥油性物品の製法。
  11. 【請求項11】 前記した基板が、ガラス、セラミック
    ス、プラスチック、あるいはこれらのうちのいずれかを
    少なくとも1種を含む基板であることを特徴とする請求
    項4乃至10記載の撥水撥油性物品の製法。
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