JP2009051174A - 撥水性被膜被覆物品およびその製造方法 - Google Patents

撥水性被膜被覆物品およびその製造方法 Download PDF

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健一 山田
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豊幸 寺西
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Abstract

【課題】被膜表面におけるワイパーの動作性に優れ、かつ優れた撥水性および耐久性を有する撥水性被膜被覆物品を提供する。また、優れた生産性で上記撥水性被膜被覆物品を製造する撥水性被膜被覆物品の製造方法を提供する。
【解決手段】基材と、該基材表面に被覆された撥水性被膜とからなる撥水性被膜被覆物品であって、前記撥水性被膜が酸化珪素を主成分とし、その表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.5<Ra≦3.0nmであり、前記算術平均粗さ(Ra)の測定範囲に含まれる表面形状の高さのヒストグラムにおける頻度が最大となる前記表面形状の高さの区間をZとした場合に、該区間(Z)を超える区間に含まれる頻度の合計(a)と、該区間(Z)未満の区間に含まれる頻度の合計(b)との比が、a/b>1.0であることを特徴とする撥水性被膜被覆物品および当該撥水性被膜被覆物品を製造する方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス基材表面に撥水性被膜を形成した撥水性被膜被覆物品およびその製造方法に関する。
自動車のウインドシールドやリアガラスに撥水性ガラスを使用した場合、通常のガラスと比較してワイパーの動作が悪化し、ワイパー摺動時に大きな脈動(ジャダー)が発生することがある。これは通常のガラスでは、雨で濡れるとワイパーとガラスとの間に均一に水膜が形成され、その水膜が潤滑剤の役割(流体潤滑)を果たして摩擦力が全体的に低下するのに対し、撥水性ガラスでは、ワイパーとガラスとの間に水膜を形成し難いため摩擦力が部分的に低下せず、通常ガラスに比べて撥水性ガラスでのワイパーの動作が悪化すると考えられている。
撥水性ガラスにおいて、その表面のワイパー動作性を向上させるべく、例えば、基材上に、算術平均粗さを特定の範囲とした撥水性被膜を設けた撥水性被膜被覆物品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、動摩擦係数を特定の範囲とすることで、撥水性被膜の寿命およびワイパー動作性の改善を図っている。
しかし、特許文献1の撥水性被膜被覆物品では、表面粗さが大きいほどワイパー動作を改善する効果が大きくなるが、初期転落角が高くなるため、撥水性が低下することがある。撥水性被膜の平滑性によって転落角が高くなったり、低くなったりすることも知られている(例えば、特許文献2参照)。これは、表面粗さが大きくなるにつれて、撥水性被膜の平滑性が劣ってくるため、初期転落角が高くなると考えられる。
国際公開第2007/018184号パンフレット 国際公開第99/63022号パンフレット
本発明は、被膜表面におけるワイパーの動作性に優れ、かつ優れた撥水性および耐久性を有する撥水性被膜被覆物品を提供することを目的とする。また、本発明は、優れた生産性で上記撥水性被膜被覆物品を製造する撥水性被膜被覆物品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記本発明に想到し、当該目的を達成し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)基材と、該基材表面に被覆された撥水性被膜とからなる撥水性被膜被覆物品であって、前記撥水性被膜が酸化珪素を主成分とし、その表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.5<Ra≦3.0nmであり、前記算術平均粗さ(Ra)の測定範囲に含まれる表面形状の高さのヒストグラムにおける頻度が最大となる前記表面形状の高さの区間をZとした場合に、該区間(Z)を超える区間に含まれる頻度の合計(a)と、該区間(Z)未満の区間に含まれる頻度の合計(b)との比が、a/b>1.0であることを特徴とする撥水性被膜被覆物品、
(2)(A)シリコンアルコキシドおよび/またはその加水分解物0.01〜2質量%(シリカ換算)、(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物0.00001〜0.15質量%(シリカ換算)、および(C)水0〜20質量%を含有し、酸濃度が0.001〜3規定であるコーティング液、または、(D)クロロシリル基含有化合物と(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物を、(E)アルコールおよび/または水分を含む溶媒に溶解し、前記クロロシリル基含有化合物のクロロ基を、アルコキシル基または水酸基に置換したコーティング液を、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で基材にスプレーコートし、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で乾燥する撥水性被膜被覆物品の製造方法、
(3)(A)シリコンアルコキシドおよび/またはその加水分解物0.01〜3質量%(シリカ換算)、および(C)水0〜20質量%を含有し酸濃度が0.001〜3規定である下地層コーティング液を、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で基材にスプレーコートし、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で乾燥することにより下地層を形成することを特徴とする撥水性被膜被覆物品の製造方法、を提供するものである。
本発明によれば、被膜表面におけるワイパーの動作性に優れ、かつ優れた撥水性および耐久性を有する撥水性被膜被覆物品を提供することができる。また、優れた生産性で上記撥水性被膜被覆物品を製造する撥水性被膜被覆物品の製造方法を提供することができる。
[撥水性被膜被覆物品]
本発明の撥水性被膜被覆物品は、基材と、該基材表面に被覆された酸化珪素を主成分とする撥水性被膜からなる。そして、その表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.5<Ra≦3.0nmとなっている。
ガラス表面におけるワイパー動作を改善する方法としては、(1)ガラスとワイパーラバーとの間の動摩擦係数を下げること、(2)ガラス表面の水滴のある場所(濡れた場所)と水滴のない場所(乾いた場所)との間で、動摩擦係数の差の絶対値を少なくすることが挙げられる。通常、ガラスの表面は親水性であるので、表面に置かれた水が水膜を形成するため、撥水性被膜を有しないガラスでは、上記(2)による改善効果は小さいと考えられる。しかし、撥水性被膜を有するガラスでは、表面に置かれた水が広がらずに水滴となるので、上記(2)の方法により改善されることが考えられる。
本発明では、撥水性被膜の算術平均粗さ(Ra)を0.5<Ra≦3.0nmに制御することによって、上記(1)および(2)を達成する。この範囲では、算術平均粗さ(Ra)が大きいほどワイパー動作を改善する効果は大きくなる。このようなことを考慮して、撥水性被膜の算術平均粗さ(Ra)の下限値は0.6nm以上が好ましく、さらには0.7nm以上が好ましい。一方、表面粗さ(Ra)の上限値は2.4nm以下が好ましく、さらには1.5nm以下、特には1.3nm以下が好ましい。なお、本発明においては、特に断らない限り、表面粗さは算術平均粗さを指すものとする。
撥水性被膜の表面粗さ(Ra)と摩擦係数との関係は、被膜とワイパーラバーとの接触面積が影響していると推察される。本発明に係るガラス表面に形成された撥水性被膜の表面粗さは、前述のように、数nm以下である。このように、極めて平滑性の高い撥水性被膜が、乾燥状態で他の物質、例えば、ワイパーラバーと接触する場合には、接触面積が広くなる。したがって、表面粗さが数nmの領域では、表面粗さが小さいほど、撥水性被膜とワイパーラバーとの間の動摩擦係数が大きくなると推察される。
一方、撥水性被膜が、湿潤状態で他の物質、例えば、ワイパーラバーと接触する場合には、撥水性被膜とワイパーラバーとの間に水が浸入し、その水が撥水性被膜とワイパーラバーとの間の直接の接触面積を狭くすると考えられる。さらに、その水が流体潤滑として働くことにより、乾燥状態の場合より、撥水性被膜とワイパーラバーとの間の動摩擦係数が低下するものと推察される。
湿潤状態の場合は、前述の水の流体潤滑としての働きが、摩擦力による抵抗を緩和していることが考えられる。したがって、湿潤状態の方が、乾燥状態よりも、表面粗さに対する動摩擦係数の変化が小さくなることが推察される。よって、乾燥状態と湿潤状態との動摩擦係数の差の絶対値は、表面粗さが小さいほど、大きくなると推察される。
実際の降雨時において、雨量が比較的少ない場合には、撥水性被膜とワイパーラバーとの間に、水分が多い部分と少ない部分が存在することが考えられる。水分の多い部分は、前述の湿潤状態に近いので、動摩擦係数は小さくなるが、水分の少ない部分は、前述の乾燥状態に近いので、動摩擦係数は大きくなる。このような動摩擦係数の違いにより、ワイパー動作が悪化するものと推察される。
前述した事柄を考慮して、本発明の撥水性被膜被覆物品は、撥水性被膜の表面をワイパーラバーが移動する速度を50cm/minとしたとき、撥水性被膜の表面とワイパーラバーとの間の乾燥状態の動摩擦係数が0.5以下であることが好ましく、0.45以下であることがより好ましい。また、同条件で撥水性被膜の表面とワイパーラバーとの間の、乾燥状態と湿潤状態との動摩擦係数の差の絶対値が0.1以下であることが好ましい。ここで、乾燥状態とは、撥水性被膜およびワイパーラバーがともに乾燥した状態をいい、湿潤状態とは、撥水性被膜とワイパーラバーとの接触部の境界付近に十分な水が溜まった状態をいう。
本発明に係る表面形状の高さに関する比(以下、単に「表面高さの比」という)(a/b)は、1.0超となっている。表面高さの比(a/b)が1以下であると、撥水性の性能を表す転落角(TA)の値が安定しにくくなる。表面高さの比(a/b)は、1.1以上が好ましく、1.4以上がより好ましい。また、上限としては、3が好ましい。
本発明に係る表面高さの比(a/b)は、撥水性被膜の表面粗さ(Ra)を求める際に測定される表面形状の表面高さのヒストグラムを基にして求めることができる。
以下に、具体的に、ヒストグラムの作成や区間(Z)の決定、表面高さの比(a/b)などの計算について説明する。
まず、表面粗さ(Ra)を求める際に測定される表面形状データ(例えば、測定点数512×256)の中から、例えば測定点数が128×128となるように等間隔にデータを抽出してサンプルデータとする。表面形状データからサンプルデータを抽出する理由は、ヒストグラムの作成や区間(Z)の決定や表面高さの比(a/b)などの計算を、市販の表計算ソフトウェアにより行うためである。市販の表計算ソフトウェアには、扱えるデータ点数(配列)に制限がある場合がある。データ点数が128×128のデータであれば、殆どの表計算ソフトウェアで問題なく扱うことができる。なお、ソフトウエアを自作する場合には、全ての表面形状データを扱えるように考慮すれば、このようなサンプルデータの抽出は必要でない。
次に、サンプルデータから、データ区間が例えば0.5nm間隔である表面高さの第1のヒストグラムを作成する。この第1のヒストグラムから頻度が最大となる区間を抽出する。この区間をさらに例えば0.1nm間隔で分割し第2のヒストグラムを作成する。第2のヒストグラムから頻度が最大となる区間(Z)を抽出する。
この区間(Z)を超える全区間に含まれる頻度(データの数)の合計(a)と、区間(Z)未満の全区間に含まれる頻度の合計(b)とをそれぞれ求めればよい。ここで、区間(Z)に含まれる頻度は最大であるので、これをAまたはBのどちらかに含めると表面高さの比(a/b)に大きな影響を及ぼすことがある。従って、本発明に係る表面高さの比(a/b)おいては、区間(Z)に含まれる頻度を除外することとする。
ヒストグラムを2段階で評価する理由を説明する。最初から細かい間隔でヒストグラムを作成する場合、頻度の大きな区間が多数存在する可能性があるので、頻度が最大となる区間が、ヒストグラムの全体的な分布の最適位置と言い難いことがある。従って、本発明においては、粗い間隔の第1のヒストグラムと細かい間隔の第2のヒストグラムとの2段階の処理を行うこととする。
また、データ区間の間隔を0.5nmと0.1nmとするのは、本発明に係る撥水性被膜の表面粗さが数nm程度であるからである。
上述の基材表面の表面粗さ(Ra)を上記範囲内に制御する方法は、後述する1コートタイプおよび2コートタイプにおいて、塗布および乾燥条件を特定の条件とすることで達成し得る。具体的には、塗布および乾燥の温度をそれぞれ10〜40℃とし、絶対湿度をそれぞれ4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)とすることで達成し得る。さらに好ましくは、塗布および乾燥の温度がそれぞれ15〜35℃であり、絶対湿度はそれぞれ5×10-3〜12×10-3kg/kg(DA)である。
なお、ここで絶対湿度とは、空気中に含まれる水蒸気の量を乾き空気1kg当たりの質量割合で表した湿度をいう。この乾き空気1kgを基準としていることを示すために、単位として[kg/kg(DA)]が用いられる。
また、a/b>1.0とするには、上記塗布の際にスプレーコート法を適用することが好ましい。スプレーコート法については後述するが、当該コーティングを採用することで、従来の撥水性被膜と同等の表面粗さにも関わらず、従来のものより、高い突起の割合を多くすることができる。その結果、a/bが1.0超となり、撥水性被膜の転落角をより低くすることができる。なお、スプレーコート法以外にもフローコート法などで適宜塗布条件を設定すれば、a/bを1.0超とすることは可能であるが、処理の簡便性、良好な再現性といった優れた生産性を考慮すると、スプレーコート法が好ましい。
本発明の被膜被覆物品における撥水性被膜は、酸化珪素を主成分とし、撥水層がフルオロアルキル基を含有することが撥水性被膜の耐久性に優れる点から好ましい。さらに詳細には、酸化珪素を主成分とする下地層と、その上に被覆された撥水層を有し、かつ撥水層は下地層に結合されている構造を有することが好ましい。撥水層には、フルオロアルキルシランまたは加水分解可能な基を有するオルガノシランを含有することが好ましく、特に、フルオロアルキルシランを含有することが撥水性被膜の耐久性に優れる点から好ましい。
また、撥水層がフルオロアルキル基を含有する場合には、撥水性被膜の表面におけるフッ素濃度が、フッ素原子と珪素原子との原子比で0.8以上であることが、初期撥水性の点から好ましい。以上の点から、撥水性被膜の表面におけるフッ素原子と珪素原子との原子比は、さらに1.0以上であることが好ましい。一方、該原子比の上限値については、特に限定されないが、該原子比は1.5以下であることが好ましい。該原子比が1.5以下であると、撥水基が下地層上を完全に覆い、その上に余剰分として残る可能性が低く、ワイパーのジャダーをより抑制することができる。
本発明の被膜被覆物品に用いる基材としては特に限定されないが、透明なガラス板、樹脂板または樹脂フィルム等を好適に用いることができる。基材の厚さは、用途に応じ適宜選定されるものであり、特に限定されないが、0.01〜10mm程度であることが好ましい。
ここで、ワイパー動作性の指標ともなる動摩擦係数の測定方法について説明する。動摩擦係数の測定については、種々の方法があり、特に限定されないが、例えば下記の摩擦係数測定方法を用いて、乾燥状態および湿潤状態における撥水性ガラス表面の撥水性被膜とワイパーラバーとの間の動摩擦係数を測定することができる。
図3に、平らなガラス板を用いた場合の測定方法について概略図を示す。図3は、平らなガラス板(11)上に撥水性被膜(12)が形成された撥水性被膜被覆物品(1)の動摩擦係数を測定する場合を示したものである。以下、具体例を挙げて説明する。
まず、ワイパーラバー(21)を貼りつけたワイパーラバー試験体(2)を以下のようにして製作する。15×15cmの板状体(22)の下面側中央付近に、10cmの間をあけて、長さ10cmに切断した2本の撥水性ガラス用ワイパーラバー(例えば、「品番85214−22420」、トヨタ自動車製自動車の交換部品)を平行になるように、両面テープで貼りつける。ここで、2本のワイパーラバーを平行にして用いるのは、ワイパーラバー試験体(2)を安定させるためである。そして、例えばガラス板のような板状体(22)の上面側中央部に、板状体とワイパーラバーを含めて総荷重が400g(20gf/cm)となるように、重り(23)を乗せる。通常、ワイパーラバーの先端の断面は、三角形状をしており、柔軟性を有しているので、ワイパーラバー(21)と撥水性被膜(12)との接触面積は、正確に測定することが難しい。このような場合には、撥水性被膜に接触するワイパーラバーの面積の代わりに長さを用いて、ワイパーラバーに加わる力を、単位長さ当たりに加わる重さにより表わすことが有効である。
乾燥状態の動摩擦係数の測定については、上記で製作したワイパーラバー試験体(2)を30×30cmの大きさを有する撥水性被膜被覆物品(撥水性ガラス板)(1)の表面の撥水性被膜(12)上に置き、牽引具(3)により測定装置(4)に接続する。ワイパーラバー(21)の長さ方向に垂直な方向に、50cm/minの速度で、水平に引っ張る。ワイパーラバー試験体(2)を引っ張りながら、引っ張り力を、測定装置(4)であるオートグラフ(「DSS−10T」、島津製作所製)により測定する。引っ張り力が安定したときの測定値から、乾燥状態の動摩擦係数(総荷重/引張り力)を求める。
次に、湿潤状態の動摩擦係数について、この測定は、撥水性被膜(12)上に霧吹き(図示しない)で十分な水滴を散布し、ワイパーラバー試験体(2)を撥水性被膜(12)上に置き、各ワイパーラバー(21)の進行方向側に、水を散布して、ワイパーラバー(21)と撥水性被膜(12)との接触部に水が十分溜まった状態で行う。その他の条件は、乾燥状態の場合と同様である。
平らなガラス板上に撥水性被膜が形成された撥水性被膜被覆物品の動摩擦係数を測定する場合について上述したが、一般的に、自動車の窓ガラスには、湾曲したガラス板(湾曲ガラス板)が用いられる。そして、ワイパーラバーはこのような湾曲ガラス板の表面に隙間なく接触可能なように、その形状と堅さが工夫されている。
図4に、このような湾曲ガラス板(13)上に撥水性被膜(12)が形成された撥水性被膜被覆物品(1)の動摩擦係数を測定する場合の概略図を示す。
湾曲ガラス板(13)を測定したい場所(測定点)が頂点となるように、置き台(図示せず)の上に配置し、その引具が水平になるように測定装置(4)を配置する。撥水性被膜被覆物品(1)の頂点がわかる場所(例えば置き台の側面)と、この頂点に対応するワイパーラバー試験体(2)(例えば、板状体(22)の側面)とに、それぞれマーク(中心マーク)(24)を付しておく。図4に示すように中心マーク(24)として例えば三角形のものを、頂点が向きあうように配置すると確認しやすくなる。
頂点位置よりも測定位置(4)に遠い位置から近い位置まで、ワイパーラバー試験体(2)を牽引し、測定を行う。ワイパーラバー試験体(2)が頂点位置に到達したときの判断は、2つの中心マークの一致により行うことができる。牽引の開始から頂点位置までの距離を測定し、測定装置(4)の結果と対比することにより、ワイパーラバー試験体(2)が頂点位置に到達したときの測定結果が得られ、動摩擦係数を計算することができる。
このように撥水性被膜被覆物品(1)の頂点位置における動摩擦係数を求めることにより、湾曲した撥水性被膜被覆物品であっても、動摩擦係数を測定することができる。
[撥水性被膜被覆物品の製造方法]
本発明の撥水性被膜被覆物品の製造方法は、まず、(A)シリコンアルコキシドおよび/またはその加水分解物0.01〜2質量%(シリカ換算)、(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物0.00001〜0.15質量%(シリカ換算)、および(C)水0〜20質量%を含有し、酸濃度が0.001〜3規定であるコーティング液、または、(D)クロロシリル基含有化合物と(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物を、(E)アルコールおよび/または水分を含む溶媒に溶解し、前記クロロシリル基含有化合物のクロロ基を、アルコキシル基または水酸基に置換したコーティング液を作製する。その後、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で上記コーティング液を基材上にスプレーコートし、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で乾燥して、撥水性被膜被覆物品を作製する。
本発明の撥水性被膜被覆物品の他の製造方法は、まず、(A)シリコンアルコキシドおよび/またはその加水分解物0.01〜3質量%(シリカ換算)、および(C)水0〜20質量%を含有し酸濃度が0.001〜3規定である下地層コーティング液を作製する。その後、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で上記コーティング液基材上にスプレーコートし、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で乾燥することにより下地層を形成して、この下地層表面には撥水層コーティング液を塗布し、乾燥することにより撥水性被膜被覆物品を作製する。
上述のような下地層と撥水層の2層構造を有する撥水性被膜は、下地層を形成した後、撥水層をその上に形成する2コートタイプと、下地層成分と撥水層成分を一つの液に混合し、1コートで下地層と撥水層を形成させる1コートタイプに大別される。
本発明係る撥水性被膜は上記のいずれのタイプでもよいが、後に詳述する被膜表面の好適な算術平均粗さ(Ra)を得ることができ、また、ワイパーのジャダーを効果的に防止するためには、1コートタイプであることが好ましい。通常、前記2コートタイプで撥水性被膜を形成する場合には、撥水層を形成する際に、撥水層コーティング液が過剰に塗布されることがある。そのような場合には、下地層との結合に使用されなかった余剰分の撥水剤(撥水層コーティング液が乾燥したもの)を除去するための工程が必要となる。余剰分の撥水剤の除去が不十分な場合には、ワイパーの動作時に、ワイパーラバーに付着したり、また、基材表面に不均一に存在することになる。このため、基材表面での摩擦係数が不均一となり、ワイパーのジャダーの原因となることが考えられる。
以上のように、2コートタイプの場合は、余剰の撥水剤を完全に除去することが重要であり、余剰の撥水剤を除去する方法としては、エタノール等の有機溶剤を布にしみこませて数十回以上撥水性被膜の表面を擦ることが好ましい。また、その際に布を何度も交換し、拭き上げ途中に撥水性被膜表面の接触角と転落角を測定し、その接触角と転落角の値が安定するまで拭き上げを繰り返すことが好ましい。また、エタノール、アセトン、トルエン、およびフッ素系溶剤等に順番に浸漬させ、数分から30分程度、超音波洗浄した後に、上記エタノールによる拭き上げを行うことがさらに好ましい。
これに対し、1コートタイプで撥水性被膜を形成する場合には、余剰分の撥水剤(コーティング液が乾燥したもの)は、2コートタイプほど多くない。したがって、余剰分の撥水剤を除去する工程も2コートタイプに比べて簡略化することができ、場合によっては、省略することが可能である。
次に、より好ましい態様である1コートタイプによる撥水性被膜において、撥水性被膜がフルオロアルキル基を有する場合の、被膜の材料について詳述する。撥水性被膜を形成するための材料としては、種々の材料を用いることができるが、本発明においては、(A)シリコンアルコキシドおよび/またはその加水分解物、(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物、(C)水を含有し、酸濃度が0.001〜3規定であるコーティング液を基材に塗布し、乾燥することで容易に得ることができる。
(A)成分であるシリコンアルコキシドとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができる。これらの中で、比較的分子量の小さいもの、例えば炭素数が3以下のアルコキシル基からなるテトラアルコキシシランが、緻密な膜となり易いので好ましく用いられる。またこれらテトラアルコキシシランの重合体で、平均重合度が5以下のものでもよい。なお、コーティング液中の(A)成分の含有量は、後に詳述するように、シリカ換算で0.01〜2質量%が好ましく、0.01〜0.6質量がさらに好ましい。
(B)成分であるフルオロアルキル基含有シラン化合物としては、フルオロアルキル基を含有し、かつ、アルコキシル基、アシロキシ基、または塩素基のような加水分解性基を含有するシラン化合物を好ましく使用することができ、例えば下記化学式(I)で示される化合物を挙げることができる。
CF3−(CF2n−R−SiXp3-p・・・(I)
ここで、nは0から12の整数、好ましくは3から12の整数、Rは炭素原子数2〜10の二価の有機基(例えばメチレン基、エチレン基など)、またはケイ素原子および酸素原子を含む基、Xは水素原子または炭素原子数1〜4の一価炭化水素基(例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリル基)もしくはこれらの誘導体から選ばれる置換基、pは0、1または2、Yは炭素原子数が1〜4のアルコキシル基、アシロキシ基、またはハロゲン原子である。
より具体的には、C613CH2CH2Si(OCH33、C715CH2CH2Si(OCH33、C817CH2CH2Si(OCH33、C919CH2CH2Si(OCH33、C1021CH2CH2Si(OCH33、C613CH2CH2SiCl3、C715CH2CH2SiCl3、C817CH2CH2SiCl3、C919CH2CH2SiCl3、C1021CH2CH2SiCl3、C817CH2CH2Si(CH3)(OCH32、C817CH2CH2Si(OC2H5)3、C817CH2CH2Si(OCOCH33、(CF32CF(CF28CH2CH2Si(OCH33などが挙げられ、これらの中では、C817CH2CH2Si(OCH33(ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン)、C817CH2CH2Si(CH3)(OCH32(ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン)、C817CH2CH2SiCl3(ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン)およびC817CH2CH2Si(CH3)Cl2(ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン)が好ましく、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランおよびヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランが特に好ましく用いられる。これらは単独でまたは複数の物質を組み合わせて使用することができる。
なお、コーティング液中の(B)成分の含有量は、後に詳述するように、シリカ換算で0.00001〜0.15質量%が好ましく、0.0001〜0.03質量%がさらに好ましい。
酸濃度を調整するための酸としては、常温の乾燥で揮発して膜中に残らないという観点から、塩酸、フッ酸、硝酸、酢酸等の揮発性の酸が好ましく、なかでも塩酸は、高い揮発性を有し、得られる撥水膜の外観も比較的良く、高耐久性を示し、さらに取り扱う際にも比較的安全であるので特に好ましい。なお、コーティング液中の酸濃度は、後に詳述するように、0.001〜3規定であることが好ましく、0.01〜1規定であることがさらに好ましい。また、(C)成分である水は、酸を溶解するため、必要に応じて含有されるものであり、通常精製水が用いられる。なお、コーティング液中の(C)成分の含有量は、後に詳述するように、0〜20質量%の範囲が好ましく、0〜10質量%がさらに好ましく、0〜5質量%が特に好ましい。
上記(A)成分および(B)成分は、コーティング組成物を調製する際に、溶媒に溶解することが取り扱いにおいて便利である。該溶媒としては、種々のものを用いることができ、例えば、ヘキサン、トルエン、シクロヘキサンのような炭化水素;塩化メチル、四塩化炭素、トリクロルエチレンのようなハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン;ジエチルアミンのような含窒素化合物;アルコール類;酢酸エチルのようなエステル等の有機溶媒を用いることができる。これらの中で、酸が溶解しやすいアルコール系溶媒が好ましく用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブチルアルコール、アミルアルコール等を挙げることができるが、それらの中で、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのような炭素数が3以下の鎖式飽和1価アルコールが、常温における蒸発速度が大きいので更に好ましく用いられる。
本発明における1コートタイプのコーティング液は、(A)シリコンアルコキシド、(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物および酸の他に、例えば、少量のメチルトリアルコキシシラン、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシランなどを、シリカに換算して、前記シリコンアルコキシド含有量の50質量%以下の量、含有することができる。
本発明において、シリコンアルコキシド、フルオロアルキル基含有のシラン化合物、酸、溶媒および水(酸を溶解するためのものの他、溶媒中の不純物、雰囲気の湿度から入るものを含む)を含有するコーティング液内部で、その調合中、貯蔵中および塗布後において、酸を触媒として、シリコンアルコキシドと水との間で、式(II)に示す加水分解反応が起こる。
(−Si−OR)+(H2O)→(−Si−OH)+(ROH)・・・(II)
式中、Rはアルキル基である。
また、この加水分解反応で生成したシラノール基(−Si−OH)同士が、式(III)に示すように脱水縮合反応してシロキサン結合(−Si−O−Si−)を形成する。
(−Si−OH)+(−Si−OH)→(−Si−O−Si−)+(H2O)・・・(III)
なお、シリコンアルコキシド、フルオロアルキル基含有シラン化合物、酸、溶媒および水を含むコーティング液中で、上記式(II)のようにシリコンアルコキシドのアルコキシル基が加水分解反応するかどうか、および同じように加水分解反応したシラノール基(−Si−OH)同士が、上記コーティング液中で上記式(III)に示すような脱水縮合反応をするかどうかは、溶液の酸濃度、シリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度、水分量によって大きく左右される。具体的には、溶液の酸濃度が0.001規定〜3規定の範囲にあるときは上記反応が起こり難く、シリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度および水分量が低いほど上記反応が起こり難い。
本発明において、コーティング液中のシリコンアルコキシドは上記脱水縮合反応を抑制し、極力単量体のまま保持し、このコーティング液を基材表面に塗布、乾燥する時に急激に上記式(II)、式(III)の反応を起こしてシロキサン結合を形成させるため、常温で緻密な被膜を形成することを可能にした。従来技術のように溶液中でシリコンアルコキシドを加水分解、縮重合反応させた場合、溶液を基材表面に塗布、乾燥する時に重合体同士の結合が起きるために、隙間があきやすくなり、緻密な被膜にならず、緻密な被膜にするための焼成硬化が必要であった。従って、本発明において、コーティング液中のシリコンアルコキシドまたはその加水分解物は、単量体または20量体未満の重合体であることが好ましい。しかし、単量体、加水分解物、および20量体未満の重合体の合計がシリコンアルコキシド全体に対して80質量%以上を占める場合には、20量体以上の重合体が含まれていても差し支えない。
本発明において、上記コーティング液中の酸触媒の濃度は0.001〜3規定、好ましくは0.01〜1規定に保たれる。それにより、上記式(II)の残りのアルコキシル基の加水分解反応、および上記式(III)の脱水縮合反応が塗布前のコーティング液中で起こりにくくなり、コーティング液が塗布された直後に急激にこれらの反応が進行する。
また、コーティング液中のシリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度は、できるだけ低い方が、上記コーティング液の酸濃度と相俟って、上記式(II)の残りのアルコキシル基の加水分解反応、および式(III)の脱水縮合反応が塗布前のコーティング液中で起こりにくくなるので好ましい。しかしこの濃度があまり低すぎると撥水膜の厚みが小さくなり過ぎて、例えば膜厚が5nm未満になって、基材がアルカリ成分を含む場合にアルカリ成分の拡散を防止する能力が低下して、耐久性能が劣る傾向がある。またシリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度が2質量%を超えると、得られる撥水膜の厚みが200nmを超え、撥水膜に傷がつき易く強固な膜とならない。従ってコーティング液中のシリコンアルコキシドまたはその加水分解物の濃度(20量体未満の重合体も含む)の好ましい範囲は、シリカに換算して0.01〜2質量%であり、更に好ましい範囲は、0.01〜0.6質量%である。
撥水膜の厚みは、上記のようにあまり大きすぎると、膜硬度が低下しやすくなり、あまり小さすぎると膜の耐久性が低下しやすくなる。従って撥水膜の膜厚は好ましくは5〜200nm、より好ましくは5〜100nm、さらに好ましくは5〜50nmである。
コーティング液中のフルオロアルキル基含有シラン化合物の濃度は低すぎると撥水性が低下し、多すぎると膜の硬度が小さくなるので、コーティング液中のフルオロアルキル基含有シラン化合物の好ましい濃度範囲は、シリカに換算して、0.00001〜0.15質量%、更に好ましくは0.0001〜0.03質量%である。また前記コーティング液中のシリコンアルコキシド含有量(シリカに換算した質量)に対するフルオロアルキル基含有シラン化合物の含有量(シリカに換算した質量)の比率は、塗布乾燥された撥水膜の中の、シリカに対するフルオロアルキル基の含有量にほぼ対応する。従って、前記コーティング液中のシリコンアルコキシド含有量に対するフルオロアルキル基含有シラン化合物の含有量は小さすぎると撥水膜の撥水性能が低下し、また多すぎると撥水膜の耐久性能が低下する。従ってコーティング液中で、質量で表して、[フルオロアルキル基含有シラン化合物量(シリカ換算)]/[シリコンアルコキシドまたはその加水分解物量(シリカ換算)]の値は、0.0005〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.0005〜0.3であり、更に好ましくは0.0005から0.05である。
コーティング液中に多量の水が存在すると、塗布前のコーティング液中で、シリコンアルコキシドの加水分解物の加水分解反応が促進され、かつ脱水縮合反応が起こりやすくなり、またコーティング液塗布後の乾燥の際に膜厚のムラが生じ易くなるので、コーティング溶液中の水の濃度はできるだけ小さい方が好ましい。従って、コーティング液中の水の濃度は0〜20質量%であることが好ましく、0〜10質量%であることがさらに好ましく、0〜5質量%であることが最も好ましい。このようにコーティング溶液中の水の濃度を維持することにより、上記のコーティング液の酸濃度維持およびコーティング液中のシリコンアルコキシド(またはその加水分解物)の濃度維持と相俟って、上記式(II)の残りのアルコキシル基の加水分解反応、および式(III)の脱水縮合反応が塗布前のコーティング液中で起こりにくくなるので好ましい。コーティング液中の水の濃度がゼロであっても、基材に塗布された後の塗布膜には空気中の水分が吸収されるので加水分解反応が阻害されることはない。しかし、溶媒として、アルコールを使用する場合には、アルコール中には元々若干の水が含まれ、また、酸は水溶液の形で添加することが多いので、コーティング液中の水の濃度は通常は0.1質量%以上となる。
本発明にかかるコーティング液は、前記酸および前記水を、酸/水の質量比が好ましくは0.002以上、さらに好ましくは0.02以上であるように含有することが好ましい。その理由は上記式(II)の残りのアルコキシル基の加水分解反応、および式(III)の脱水縮合反応が塗布前のコーティング液中で起こりにくくなるからである。シリコンアルコキシド、フルオロアルキル基含有シラン化合物、および酸を上記の割合で溶媒に溶解した溶液を攪拌すると、溶液中では、上記式(II)の反応により主としてシリコンアルコキシドが加水分解物を形成し、かつ、前記式(III)の反応によりその加水分解物の一部が脱水縮合反応する。
このようにしてコーティング液が調製され、このコーティング液中には、シリコンアルコキシドが単量体(加水分解物を含む)または20量体未満の重合体の形で存在する。上記コーティング液が基材に塗布されると、塗布されて膜状となった液の比表面積が増大するので、膜中の溶媒が急速に蒸発して、シリコンアルコキシドおよびその加水分解物の塗膜中濃度が急に高くなり、それまで抑制されていた加水分解反応および脱水縮合反応(上記20量体未満の重合体の更なる縮重合反応を含む)が急激に起こってシロキサン結合(‥Si−O−Si‥)が塗布膜内で多数生成され、その結果、基材表面と撥水膜との間の結合が強固な、膜厚が5〜200nmのシリカを主成分とする緻密性の高い膜が形成される。このように、本発明においては、成膜時の反応性が高く、室温で反応して、非常に緻密な膜が形成され、その後の焼成は必要ではない。従来のように塗布前のコーティング液中に、すでに脱水縮合反応によるシロキサン結合が多数存在して、20以上の重合度の重合体が含有される場合には、得られた撥水膜中にシロキサン結合は存在するが、基材表面と撥水膜とをつなぐシロキサン結合はそれほど多く生成されないので、基材表面と撥水膜との間の結合はそれほど強固ではない。そしてこの結合を強固にするために、従来技術では、更に高温度の焼成を必要とする。
また、1コートタイプによる撥水性被膜を形成する他の材料として、(D)クロロシリル基含有化合物と(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物を、(E)アルコールおよび/または水分を含む溶媒に溶解させ、クロロシリル基含有化合物のクロロ基を、アルコキシル基または水酸基に置換させて、シリコンアルコキシドまたはその加水分解物が単量体または19量体以下の重合体で含有する溶液を用いることもできる。
ここで、(D)クロロシリル基含有化合物とは、クロロシリル基を分子内に少なくとも1個有する化合物であり、クロロシリル基とは、−SiCln3-nで示される基であって、nは1、2、または3、Xは水素、またはそれぞれ炭素数が1〜10のアルキル基、アルコキシル基、またはアシロキシ基である。
そのなかでも、少なくとも2個の塩素を有する化合物が好ましく、シランSin2n+2(ここでnは1〜5の整数)のなかの少なくとも2個の水素を塩素で置換し、他の水素を必要に応じて前記アルキル基、アルコキシル基、またはアシロキシ基で置換したクロロシラン、およびその部分加水分解物、およびその縮重合物が好ましい。
具体的には、テトラクロロシラン(SiCl4)、トリクロロシラン(SiHCl3)、トリクロロモノメチルシラン(Si(CH3)Cl3)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、およびCl−(SiCl2O)n−SiCl3(nは1〜10の整数)等を挙げることができる。これらのなかから、単独でまたは複数を組み合わせて使用することができる。最も好ましいクロロシリル基含有化合物は、テトラクロロシランである。
次に、溶媒については、クロロシリル基含有化合物のクロロ基を、アルコキシル基または水酸基に置換し脱塩化水素反応を起こしうる、アルコールおよび/または水分を含む溶媒が用いられる。例えば、アルコール系の親水性溶媒、ケトン系の親水性溶媒などが好ましく用いられる。
これらのうち、アルコール系が好ましく、特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのような炭素数が3以下の鎖式飽和1価アルコールは、常温における蒸発速度が大きく好ましい。また、ケトン系の親水性溶媒として、アセトンやメチルエチルケトンなどを挙げることができる。
なお、溶媒には、前記脱塩化水素反応を起こしうるに必要な水分を含む溶媒であれば、必ずしもアルコールを含む必要はない。さらに溶媒は、親水性溶媒のみで構成される必要はなく、炭化水素系やフッ素系等の非水系溶媒を含んでいてもかまわない。
クロロシリル基含有化合物を用いて撥水性被膜を製造する方法においては、クロロシリル基含有化合物、フルオロアルキル基含有シラン化合物を親水性溶媒に溶解した溶液を、基材、例えばガラス基板の表面に塗布する。そのときに、基材表面の−OH基と、塗布された膜中のフルオロアルキル基含有シラン化合物、クロロシリル基含有化合物および親水性溶媒の間で、種々の化学反応が起こる。
すなわち、以下に詳述するように、クロロシリル基は溶液内において、その調合中、貯蔵中および成膜中に反応して、シロキサン結合(−Si−O−Si−)に変化する。その変化したシロキサン結合の一部がフルオロアルキル基含有のシラン化合物と、他の一部が基板表面とそれぞれシロキサン結合を形成する。
例えば、溶媒としてアルコール系溶媒を使用した場合、溶液中のクロロシリル基含有化合物は、式(IV)に示すように、アルコール系溶媒と脱塩化水素反応により、アルコキシドを形成する。また、クロロシリル基含有化合物は、アルコール系溶媒中や雰囲気中に微量含まれる水分によって、加水分解反応を起こし、式(V)に示すように、塩化水素がとれる(脱塩化水素反応)。このときに、シラノール(・・Si−OH)が生成される。なお、式中のRはアルキル基である。
(・・Si−Cl)+(ROH)→(・・Si−OR)+(HCl)・・・(IV)
(・・Si−Cl)+(H2O)→(・・Si−OH)+(HCl)・・・(V)
アルコール溶媒中で、式(IV)、(V)により生成した塩酸は、上記式(II)の反応の触媒として作用し、(・・Si−OR)の一部はさらにシラノールを生成する。
そして、式(V)および上記式(II)で生成されたシラノールの一部は、下記式(VI)のように反応して、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を形成する。また生成されたシラノールのある一部は、上記式(III)に示すように脱水縮合反応して、やはりシロキサン結合を形成する。
(・・Si−Cl)+(・・Si−OH)→(・・Si−O−Si・・)+(HCl)・・・(VI)
クロロシリル基含有化合物のクロロ基の反応性は極めて高い。このため、アルコール溶媒中のクロロシリル基含有化合物は、クロロ基のほとんどが反応して、(・・Si−OR)、(・・Si−OH)、(・・Si−O−Si・・)、(HCl)に変化している。つまり、上述の溶液では、アルコール溶媒中にシリコンアルコキシドまたはその加水分解物、フルオロアルキル基含有シラン化合物のほかに、塩酸も含有していることになる。また、溶媒がアルコール系以外の親水性溶媒の場合でも、前記クロロ基は親水性溶媒中に不可避的に含まれる水分と反応して、式(V)、式(III)のように(・・Si−OH)、(・・Si−O−Si・・)、(HCl)に変化する。
したがって、反応性の極めて高いクロロ基は、ほとんど残存しないことになるので、溶液のポットライフを長くすることができる。さらにまた、作業中の雰囲気の湿度の影響も受けにくくなるので、その管理も容易となる。
次に、2コートタイプによる撥水性被膜における、被膜の材料について詳述する。2コートタイプにおいては、まず下地層形成用のコーティング液(以下「下地層コーティング液」という場合がある。)の塗布により下地層を形成し、その上に撥水層形成用のコーティング液(以下「撥水層コーティング液」という場合がある。)を塗布することで、本発明の撥水性被膜被覆物品を得る。
下地層コーティング液は、1コートタイプにおけるコーティング液のうち(B)成分を除いたものを使用することが好ましい。具体的には、(A)シリコンアルコキシドおよび/またはその加水分解物、(C)水からなり、酸濃度が0.001〜3規定であるコーティング液である。それぞれの成分の好ましい態様は、上記と同様であり、それぞれの成分の含有量は、(A)成分が0.01〜3質量%(シリカ換算)、および(C)成分が0〜10質量%であることが好ましい。
また、撥水層コーティング液は、撥水性官能基としてのフルオロアルキル基および/または加水分解可能な基を含有するオルガノシランを含むことが好ましい。
フルオロアルキル基を含有するオルガノシランとしては、CF3(CF211(CH22SiCl3、CF3(CF210(CH22Si(Cl)3、CF3(CF29(CH22SiCl3、CF3(CF28(CH22SiCl3、CF3(CF27(CH22SiCl3、CF3(CF26(CH22SiCl3、CF3(CF25(CH22SiCl3、CF3(CF24(CH22SiCl3、CF3(CF23(CH22SiCl3、CF3(CF22(CH22SiCl3、CF3CF2(CH22SiCl3、CF3(CH22SiCl3のようなパーフルオロアルキル基含有トリクロロシラン;
CF3(CF211(CH22Si(OCH33、CF3(CF210(CH22Si(OCH33、CF3(CF29(CH22Si(OCH33、CF3(CF28(CH22Si(OCH33、CF3(CF27(CH22Si(OCH33、CF3(CF26(CH22Si(OCH33、CF3(CF25(CH22Si(OCH33、CF3(CF24(CH22Si(OCH33、CF3(CF23(CH22Si(OCH33、CF3(CF22(CH22Si(OCH33、CF3CF2(CH22Si(OCH33、CF3(CH22Si(OCH33、CF3(CF211(CH22Si(OC253、CF3(CF210(CH22Si(OC253、CF3(CF29(CH22Si(OC253、CF3(CF28(CH22Si(OC253、CF3(CF27(CH22Si(OC253、CF3(CF26(CH22Si(OC253、CF3(CF25(CH22Si(OC253、CF3(CF24(CH22Si(OC253、CF3(CF23(CH22Si(OC253、CF3(CF22(CH22Si(OC253、CF3CF2(CH22Si(OC253、CF3(CH22Si(OC253のようなパーフルオロアルキル基含有トリアルコキシシラン;
CF3(CF211(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF210(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF29(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF28(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF27(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF26(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF25(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF24(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF23(CH22Si(OCOCH33、CF3(CF22(CH22Si(OCOCH33、CF3CF2(CH22Si(OCOCH33、CF3(CH22Si(OCOCH33のようなパーフルオロアルキル基含有トリアシロキシシラン;
CF3(CF211(CH22Si(NCO)3、CF3(CF210(CH22Si(NCO)3、CF3(CF29(CH22Si(NCO)3、CF3(CF28(CH22Si(NCO)3、CF3(CF27(CH22Si(NCO)3、CF3(CF26(CH22Si(NCO)3、CF3(CF25(CH22Si(NCO)3、CF3(CF24(CH22Si(NCO)3、CF3(CF23(CH22Si(NCO)3、CF3(CF22(CH22Si(NCO)3、CF3CF2(CH22Si(NCO)3、CF3(CH22Si(NCO)3のようなパーフルオロアルキル基含有トリイソシアネートシランを例示することができる。
また、撥水層コーティング液中に加水分解可能な基を含有するオルガノシランを含むことが好ましい。オルガノシランとしては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜30の直鎖状のアルキル基および加水分解可能な基を含有するオルガノシランが好ましく利用できる。
アルキル基を含有するオルガノシランとしては、CH3(CH230SiCl3、CH3(CH220SiCl3、CH3(CH218SiCl3、CH3(CH216SiCl3、CH3(CH214SiCl3、CH3(CH212SiCl3、CH3(CH210SiCl3、CH3(CH29SiCl3、CH3(CH28SiCl3、CH3(CH27SiCl3、CH3(CH26SiCl3、CH3(CH25SiCl3、CH3(CH24SiCl3、CH3(CH23SiCl3、CH3(CH22SiCl3、CH3CH2SiCl3、(CH3CH22SiCl2、(CH3CH23SiCl、CH3SiCl3、(CH32SiCl2、(CH33SiClのようなアルキル基含有クロロシラン;
CH3(CH230Si(OCH33、CH3(CH220Si(OCH33、CH3(CH218Si(OCH33、CH3(CH216Si(OCH33、CH3(CH214Si(OCH33、CH3(CH212Si(OCH33、CH3(CH210Si(OCH33、CH3(CH29Si(OCH33、CH3(CH28Si(OCH33、CH3(CH27Si(OCH33、CH3(CH26Si(OCH33、CH3(CH25Si(OCH33、CH3(CH24Si(OCH33、CH3(CH23Si(OCH33、CH3(CH22Si(OCH33、CH3CH2Si(OCH33、(CH3CH22Si(OCH32、(CH3CH23SiOCH3、CH3Si(OCH33、(CH32Si(OCH32、(CH33SiOCH3、CH3(CH230Si(OC253、CH3(CH220Si(OC253、CH3(CH218Si(OC253、CH3(CH216Si(OC253、CH3(CH214Si(OC253、CH3(CH212Si(OC253、CH3(CH210Si(OC253、CH3(CH29Si(OC253、CH3(CH28Si(OC253、CH3(CH27Si(OC253、CH3(CH26Si(OC253、CH3(CH25Si(OC253、CH3(CH24Si(OC253、CH3(CH23Si(OC2H5)3、CH3(CH22Si(OC253、CH3CH2Si(OC253、(CH3CH22Si(OC252、(CH3CH23SiOC25、CH3Si(OC253、(CH32Si(OC252、(CH33SiOC25のようなアルキル基含有アルコキシシラン;
CH3(CH230Si(OCOCH33、CH3(CH220Si(OCOCH33、CH3(CH218Si(OCOCH33、CH3(CH216Si(OCOCH33、CH3(CH214Si(OCOCH33、CH3(CH212Si(OCOCH33、CH3(CH210Si(OCOCH33、CH3(CH29Si(OCOCH33、CH3(CH28Si(OCOCH33、CH3(CH27Si(OCOCH33、CH3(CH26Si(OCOCH33、CH3(CH25Si(OCOCH33、CH3(CH24Si(OCOCH33、CH3(CH23Si(OCOCH33、CH3(CH22Si(OCOCH33、CH3CH2Si(OCOCH33、(CH3CH22Si(OCOCH32、(CH3CH23SiOCOCH3、CH3Si(OCOCH33、(CH32Si(OCOCH32、(CH33SiOCOCH3のようなアルキル基含有アシロキシシラン;
CH3(CH230Si(NCO)3、CH3(CH220Si(NCO)3、CH3(CH218Si(NCO)3、CH3(CH216Si(NCO)3、CH3(CH214Si(NCO)3、CH3(CH212Si(NCO)3、CH3(CH210Si(NCO)3、CH3(CH29Si(NCO)3、CH3(CH28Si(NCO)3、CH3(CH27Si(NCO)3、CH3(CH26Si(NCO)3、CH3(CH25Si(NCO)3、CH3(CH24Si(NCO)3、CH3(CH23Si(NCO)3、CH3(CH22Si(NCO)3、CH3CH2Si(NCO)3、(CH3CH22Si(NCO)2、(CH3CH23SiNCO、CH3Si(NCO)3、(CH32Si(NCO)2、(CH33SiNCOのようなアルキル基含有イソシアネートシランを例示することができる。
さらに、ポリアルキレンオキシド基および加水分解可能な基を分子内に有するオルガノシランも好適に用いることができる。これを用いた場合には、水滴の転がり始める転落角が低く、かつ、汚れが吸着あるいは付着しにくい撥水層を得ることができる。ポリアルキレンオキシド基としては、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基などが主に使用される。これらの基を有するオルガノシランとして、例えば、[アルコキシ(ポリアルキレンオキシ)アルキル]トリアルコキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、[アルコキシ(ポリアルキレンオキシ)アルキル]トリクロロシラン、N−(トリクロロシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタンのようなオルガノシランが挙げられるが、より具体的には[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリエトキシシラン、[ブトキシ(ポリプロピレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン等が好ましく用いられる。
これらのオルガノシランをアルコール溶媒に溶解し、酸触媒を用いて加水分解した溶液を前記下地層上に塗布することによって、特に熱処理を施すことなく、下地層表面のアルコキシル基とオルガノシランのシラノール基との脱アルコール反応が起こり、シロキサン結合を介して下地層とオルガノシランが結合される。また、上記オルガノシランの加水分解性官能基の反応性が高い場合、例えば、上記オルガノシランがクロル基、イソシアネート基、アシロキシ基等を有する場合は、下地層表面にアルコキシル基とともに存在するシラノールや微量の水と反応することにより、下地層とオルガノシランの結合が形成されるので、上記オルガノシランを、希釈しないでそのままで塗布したり、またはパーフルオロカーボン、塩化メチレン、炭化水素、シリコーンのような非水系溶媒で希釈しただけの液を塗布したりしてもよい。このようにアルコキシル基が表面に残存するシリカ系膜を下地層とすることにより、撥水層を基材に強固に付着させることができる。
基材上へのコーティング液の塗布方法としては、フローコート法、ロールコート法、スプレーコート法、手塗り法、刷毛塗り法などの方法が知られている。自動車の窓ガラスへの塗布方法には、自動車の窓ガラスが曲面形状を有していることや生産性の点からフローコート法またはスプレーコート法が適している。
フローコート法は、基材上に多くのコーティング液を一度に塗布することができる。そのため、任意の微小な範囲についてみるとその範囲全体が同時にむらなくコーティング液で覆われることとなる。
スプレーコート法は、コーティング液を霧状にして基材の表面に吹き付けるため、霧の大きさ、塗布形状、塗布時間、そして塗布回数などを調整することにより、塗布量を調整することができる。そのため、任意の微小な範囲についてみるとその範囲全体が同時にむらなくコーティング液で覆われるのではなく、霧状のコーティング液が時間差をおいて基材上に散布される。そして、散布された霧状のコーティング液は、広がりながらつながり合いその範囲全体を覆うこととなる。
基材上に塗布されたコーティング液に含まれる溶媒が揮発していくときに、気化熱で基材の塗布面が急激に冷やされ、それと同時に空気中の水分が塗布面に結露する。この結露水が直接表面を荒らすか、または、結露水により局所的に加水分解・縮重合反応が起こることで、乾燥後の被膜被覆物品の表面に微小な凹凸が形成されることが考えられる。
フローコート法は、前述したように任意の範囲全体が同時にむらなくコーティング液で覆われるため、前述した微小な凹凸が均一になりやすいことが考えられる。
これに対して、スプレーコート法は、前述したように任意の範囲においてコーティング液が基材上に塗布される時間に差が生じるため前述した微小な凹凸が均一にならず、場所によって周辺よりも高い突起が不規則に形成されることが考えられる。
この不規則な突起、すなわち、不規則な凹凸構造の違いが転落角の低下と良好なワイパー動作性という本発明の効果に影響していると推察される。
従って、本発明に係る被膜被覆物品の製造においては、1コートタイプのコーティング液の塗布と2コートタイプの下地層コーティング液の塗布方法として、スプレーコート法を採用する。2コートタイプの撥水層コーティング液の塗布方法としては、特にスプレーコート法に限定されることはない。これは、本発明に係る被膜被覆物品の下地層と撥水層とはシロキサン結合により結びつくので、2コートタイプにおいでも余剰分の撥水剤を取り除けば、下地層の形状に沿って撥水層が形成されるからである。
なお、スプレーコート法には、フローコート法に比べてコーティング液の使用量が少なくてすむという利点があるので、2コートタイプの撥水層コーティング液の塗布方法としても好適に用いることができる。
スプレーコート法の環境条件としては、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件とすることが好ましい。その他の条件(例えば、コーティング液の射出の圧力、射出口の大きさや形状、基材表面と射出口との間隔、そして重ね塗りの回数など)は、コーティング液の粘度、目標とする塗布量、そして基材の面積などを考慮して適宜決めることができる
コーティング液の塗布形状は、細長い形状が好ましく、基材とスプレー装置との相対的な移動は、この細長い形状の短辺方向に行うことが好ましい。このような細長い形状であれば、円形状の揚合に比べて幅方向(移動方向に対して垂直な方向)の塗布むらを少なくすることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。以下に、各実施例および比較例で得られた撥水性被膜被覆物品に関する各物性値の測定方法を示す。
[測定方法]
(手順1)下記(測定方法1)及び(測定方法2)に従い、撥水性被膜表面の接触角と転落角を測定した。
(手順2)エタノール2mLをベンコット(「LINTFREE AZ−8」、旭化成社製)につけ、得られた撥水性ガラスの表面を10回擦り、その後新しいベンコットで10回乾拭きした。そして、撥水性被膜表面の接触角と転落角を測定した。
(手順3)前回の測定結果と比較して、測定値が安定するまで、(手順2)を繰り返した。これは、撥水性被膜表面の汚れと余剰の撥水剤を除去することを目的としている。
(手順4)接触角と転落角が安定したら、下記の(測定方法3)および(測定方法4)に従い表面粗さの測定を行った。また、(測定方法5)によりワイパー動作性の評価を行った。
上記の手順によって得られた各測定値を初期状態の測定値とした。
(測定方法1)接触角(CA)の測定
接触角測定機(「CA−V150型」、協和界面科学社製)を用いて、静滴法により、3μLの水滴の接触角を測定した。この接触角の値が大きいほど、静的な撥水性が優れていることを表している。
(測定方法2)転落角(TA)の測定
水滴が撥水性ガラス板の表面を転がる性能を示す尺度として転落角を用いる。以下にその測定方法を示す。転落角の測定は、水平に配置した撥水性ガラス板表面に直径5mmの水滴を置き、撥水性ガラス板を徐々に傾斜させて行った。そして、その表面に置かれた水滴が転がり始めるときのガラス板の傾斜角度を水滴の転落角とした。転落角が小さい程、動的な撥水性が優れており、例えば走行中の自動車のフロントガラス窓に付着した雨滴が飛散しやすくなって運転者の視界が妨げられないことを表している。
(測定方法3)表面粗さ(Ra)の測定
原子間力顕微鏡(「SPI3700」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、サイクリックコンタクトモードにて、表面形状を測定し、算術平均粗さRaの値として算出した。使用したカンチレバーは、シリコン製「SI−DF20」であり、試料の測定面積は1μm×1μmの正方形、測定点数は512×256、スキャン速度1.02Hz、ローパスフィルターによる補正と、測定データのレベリング補正を行い、表面粗さ(Ra)を算出した。なお、測定データのレベリング補正は、最小二乗近似によって曲面を求めてフィッティングし、データの傾きを補正し、さらに高さ方向の歪みを除去した。
(測定方法4)比(a/b)の測定
上述した表面高さの比(a/b)の計算方法により、測定した。(測定方法3)で測定した表面形状データの測定点数が512×256であったので、サンプルデータのデータ点数は、128×128とし、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムのデータ区間の間隔はそれぞれ0.5nmと0.1nmとした。
(測定方法5)ワイパー動作性の評価
ワイパー動作性の評価は、実際の自動車での使用を考慮して、ウインドシールド(窓ガラス)を着脱可能に改造し、そしてワイパーの速度を調整可能に改造したテスト用自動車を用いて行った。ワイパーラバーは、撥水性ガラス用として市販されている「品番85214−22420」(トヨタ自動車製自動車の交換部品)を用いた。テスト用自動車の車体に取り付けた評価対象である窓ガラスの上辺部の上方には、水を散布するためのスプレー装置を設置した。
窓ガラスにスプレー装置から水を散布しながら、ワイパーの駆動装置に一定の電圧を印加することによりワイパーを一定のリズムで往復運動させた。ワイパーの往復回数が3000回の時に、ワイパー動作にジャダーが発生しているかを目視で確認し、後述の表3に示すように4段階で評価した。
なお、当該評価は目視による官能評価であるため、評価担当者毎に評価が分かれる可能性がある。そこで、客観性を担保するために、3名の検査担当者の話し合いにより評価を決定した。
[実施例1]
エタノール(水分含有率0.35質量%)97.38gに、シリコンアルコキシドとしてテトラエトキシシラン(信越シリコーン社製)0.6gとフルオロアルキル基を含有するオルガノシランとしてヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(CF3(CF27(CH22Si(OCH33、信越シリコーン社製)0.02gとを添加し、30分間攪拌し、次いで、攪拌しながら、濃塩酸(濃度35質量%、関東化学社製)2.0gを添加することにより、撥水性被覆用溶液(組成1)を得た。水は主にエタノールおよび濃塩酸に含まれており、合わせて1.64gであり、したがって、この撥水性被覆用溶液に含まれる水の含有率は、1.64質量%であった。そして、塩酸は、0.15規定に相当した。また、この撥水性被覆用溶液に含まれるテトラエトキシシランは、シリカ換算で、0.173質量%であり、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランは、シリカ換算で、0.0021質量%であった。
この撥水性被覆用溶液を洗浄したガラス基板を略垂直に立ててその表面上に、温度20℃、相対湿度40%RHの条件で、スプレーコート法にて塗布した。この条件での絶対湿度は、5.9×10-3kg/kg(DA)である。同条件下で約30分乾燥させて撥水性ガラス板(撥水性被膜被覆物品)を得た。得られた撥水性ガラス板について、上記評価方法を用いて測定した。測定結果を下記表2に示す。
[実施例2〜実施例10、参考例1、2および比較例1、2]
撥水性被膜用溶液の組成およびこれを塗布する際の条件として、下記表1および表2のように変えたこと以外は実施例1と同様にして撥水性ガラス板を得た。実施例1と同様に測定した結果を下記表3に示す。
また、それぞれの実施例および比較例について、表面粗さと転落角との関係を図2に示し、表面粗さの比(a/b)と転落角との関係を図1に示す。
Figure 2009051174
Figure 2009051174
Figure 2009051174
表3に示したワイパー動作性の評価指標は、下記の基準に基づく。
◎:ジャダーが全くないレベル
○:ジャダーが少しあるが気にならないレベル
△:ジヤダーが気になるレベル
×:ジャダーを不快に感じるレベル
本発明に係る実施例と、参考例および比較例とには、このうち、◎と×に相当する撥水性ガラス板はなかった。実施例1〜10のワイパー動作性の評価は全てOであり、参考例1と参考例2の評価はOであり、比較例1と比較例2の評価は△であった。
スプレーコート法による実施例1〜7の撥水性ガラス板は撥水性能(転落角(T
A)7〜9°)とワイパー動作性(全て○)の両方に優れていることが分かる。スプレーコート法による比較例2の撥水性ガラス板は、転落角(TA)が5°であり撥水性能が最も優れていたが、ワイパー動作性の評価が△でありジャダーが気になるレベルであった。
フローコート法による実施例8〜10、参考例1および参考例2の撥水性ガラス板は撥水性能(転落角(TA)9〜14°)とワイパー動作性(全て○)の両方に優れていることが分かる。フローコート法による比較例1の撥水性ガラス板は、転落角(TA)が9°であり撥水性能は優れていたが、ワイパー動作性の評価が△でありジャダーが気になるレベルであった。
(表面粗さ(Ra)における対比)
表面粗さ(Ra)とワイパー動作性との関係について、実施例、参考例および比較例を対比する。
ワイパー動作性の評価が○であった実施例1〜10、参考例1および参考例2の撥水性ガラス板は、表面粗さ(Ra)が0.5nmを超えていた。これに対して、ワイパー動作性の評価が△であった比較例1および比較例2の撥水性ガラス板は、表面粗さ(Ra)が0.5nm未満であった。
従って、表面粗さ(Ra)が0.5nmを超えると良好なワイパー動作性が得られることが分かる。
(表面高さの比(a/b)における対比)
表面高さの比(a/b)と転落角(TA)との関係について、実施例、参考例および比較例を対比する。
図1に表面高さの比(a/b)と転落角(TA)との関係を表すグラフを示す。このグラフには、傾向を示すために最小二乗法による線形近似曲線を付加した。
全体的な傾向としては、表面高さの比(a/b)の値が大きくなると転落角(TA)の値の分布のばらつきが小さくなり、値も小さくなっている。
表面高さの比(a/b)が1.0未満の範囲においては、転落角(TA)の値が5〜14°と広い範囲にあることが分かる。これに対して、表面高さの比(a/b)が1.0を超える範囲においては、転落角(TA)の値が7〜11°とより狭い範囲にあることが分かる。
従って、表面高さの比(a/b)が1.0を超えると、転落角(TA)の分布のばらつきがより狭い範囲に収まるので、撥水性能を一定水準に保ちやすくできることが分かる。
(塗布方法における対比)
塗布方法について、実施例、参考例および比較例を対比する。図2に表面粗さ(Ra)と転落角(TA)との関係を表すグラフを示す。このグラフは、実施例1〜10、参考例1,2および比較例1、2の測定結果を塗布方法により区分したグラフである。ひし形の記号はスプレーコート法の測定結果(実施例1〜7および比較例2)を表し、正方形の記号はフローコート法の測定結果(実施例8〜10、参考例1,2および比較例1)を表している。それぞれのグラフには、傾向を示すために最小二乗法による線形近似曲線を付加した。これらのグラフにより、スプレーコート法による撥水性ガラス板とフローコート法による撥水性ガラス板とは、表面粗さ(Ra)と転落角(TA)との関係が2つのグループに分かれていることが分かる。
そして、スプレーコート法による撥水性ガラス板は、フローコート法による撥水性ガラス板に比べてより大きな表面粗さ(Ra)の値で転落角(TA)の値を同等かそれ以下(つまり撥水性能を同等かそれ以上)にすることができたことが分かる。
また、スプレーコート法による測定結果から、ワイパー動作性の評価が△(ジャダーが気になるレベル)である比較例2の測定結果(表面粗さ(Ra)の値が0.5nm以下である0.3nm)を除外すると、表面粗さ(Ra)の測定範囲0.7〜1.8nmの広い範囲において、転落角(TA)の値が8±1°の範囲にあることが分かる。つまり、表面粗さ(Ra)の値が多少変動したとしても、撥水性能を一定水準に保つことが可能なことを示している。言い換えると、製造時の諸条件に幅を持たせることが可能なことを示している。
従って、スプレーコート法は、フローコート法に比べて撥水性ガラス板(撥水性被膜被覆物品)の製造に適している。
表面高さの比(a/b)と転落角(TA)との関係を示すグラフである。 表面粗さ(Ra)と転落角(TA)との関係を示すグラフである。 動摩擦係数の測定方法を示す概略図である(平らなガラス板)。 動摩擦係数の測定方法を示す概略図である(湾曲したガラス板)。
符号の説明
1 撥水性被膜被覆物品
2 ワイパーラバー試験体
3 牽引具
4 測定装置
11 ガラス板(平板)
12 撥水性被膜
13 ガラス板(湾曲)
21 ワイパーラバー
22 板状体
23 重り
24a 中心マーク
24b 中心マーク

Claims (3)

  1. 基材と、該基材表面に被覆された撥水性被膜とからなる撥水性被膜被覆物品であって、
    前記撥水性被膜が酸化珪素を主成分とし、その表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.5<Ra≦3.0nmであり、
    前記算術平均粗さ(Ra)の測定範囲に含まれる表面形状の高さのヒストグラムにおける頻度が最大となる前記表面形状の高さの区間をZとした場合に、該区間(Z)を超える区間に含まれる頻度の合計(a)と、該区間(Z)未満の区間に含まれる頻度の合計(b)との比が、a/b>1.0であることを特徴とする撥水性被膜被覆物品。
  2. (A)シリコンアルコキシドおよび/またはその加水分解物0.01〜2質量%(シリカ換算)、(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物0.00001〜0.15質量%(シリカ換算)、および(C)水0〜20質量%を含有し、酸濃度が0.001〜3規定であるコーティング液、または、(D)クロロシリル基含有化合物と(B)フルオロアルキル基含有シラン化合物を、(E)アルコールおよび/または水分を含む溶媒に溶解し、前記クロロシリル基含有化合物のクロロ基を、アルコキシル基または水酸基に置換したコーティング液を、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で基材にスプレーコートし、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で乾燥する撥水性被膜被覆物品の製造方法。
  3. (A)シリコンアルコキシドおよび/またはその加水分解物0.01〜3質量%(シリカ換算)、および(C)水0〜20質量%を含有し酸濃度が0.001〜3規定である下地層コーティング液を、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で基材にスプレーコートし、温度10〜40℃、絶対湿度4.5×10-3〜18×10-3kg/kg(DA)の条件で乾燥することにより下地層を形成することを特徴とする撥水性被膜被覆物品の製造方法。
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