JP2019210392A - 撥液性表面およびその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】油などの低表面張力の付着物が、高速に滑り落ちる表面を簡便に形成することが可能な撥液性表面を提供する。【解決手段】基材と、前記基材上に設けられる撥液層を有する構造体であって、前記撥液層には少なくとも、表面処理剤が付加された多孔性微粒子とバインダー成分を含み、前記多孔性微粒子は、平均粒子径が2.5μm以上で、かつBET比表面積が100m2/g以上であり、かつフッ素化アルキル基を表面に有し、前記バインダー成分が、フッ素化アルキル基を含むことを特徴とする、撥液性表面。【選択図】図1

Description

本発明は、優れた撥液機能を持つ表面およびこれを形成する方法に関する。
近年、超撥水機能を有するコーティングの開発が盛んである。超撥水機能を有する表面の上では雨滴等の高速滑落による窓の視野確保機能、埃等固体付着物のセルフクリーニング機能や、食品等の付着防止機能、着氷防止機能など様々な機能が期待されている。これらは、微細な凹凸構造と固体の低表面エネルギー化処理の組合せにより達成される。
超撥水表面は、水のような表面張力が高い液体に対しては優れた滑落機能を示すものの、大半の場合、油のような低表面張力の液体に対しては滑落機能を示さない。油に対して150°以上の接触角、及び低い転落角を示す、いわゆる超撥液性表面の達成には、マイクロスケールの凹凸とナノスケールの凹凸が共存するミクロ・ナノ階層凹凸構造であり、かつ凹凸表面上を低表面張力材料で被覆することが好ましいとされるが、現在までにその達成事例は非常に少ない。
特許文献1には、疎水性粒子による凹凸構造が超撥水機能を示すことが述べられている。ポリジメチルシロキサン処理、2〜7μmの平均粒子径を有する湿式合成シリカ粒子を用いたものである。しかしながらこの構成では、油のような低表面張力液体は高い接触角を示さず、むしろよく浸透することが分かっている。
特許文献2には、ストーバー法により形成したサブミクロンサイズシリカ粒子とTEOS加水分解物の混合物からなる塗料への浸漬・乾燥工程と、ナノシリカ粒子とTEOSならびにフッ素化アルキル基含有アルコキシシランの加水分解物からなる塗料への浸漬・乾燥を4回繰り返すことで得られる、撥液膜の製造方法が報告されている。
このようにして得られる表面は、表面張力25mN/m程度までの付着物に対して、140°以上の高い接触角が得られると報告されているが、この方法は製造プロセスが煩雑であり実用上の制限が大きいといわざるを得ない。
また、特許文献3では、油の接触角が150度を超える超撥液状態を作製するための方法として、表面粗さを600nm以上に調整し、フルオロアルキルシランなどの表面エネルギーを低下させる材料で撥液層を形成する方法が開示されている。
具体的には、ベーマイトのエマルジョンを準備し、ガラス表面にスピンコートし焼成するサイクルを12回繰り返すことで凹凸構造を形成した後に、パーフルオロアルキルシランのCVD処理により低表面エネルギー化することで達成されるが、この方法では、工程数も多く複雑である。
またさらに、非特許文献1においては、特定撥液剤の有機溶媒を浸漬することにより、羽毛や繊維表面を撥液処理する方法で、有機溶媒を含む低表面張力液体に対して150°以上の接触角を示すと報告されている。しかし、この文献に記載されているのは、元々凹凸を有する羽毛や繊維表面に対する撥液処理であり、汎用的な表面処理であるとはいえない。
特許第4668352号公報 特許第5680900号公報 特開2006−257336号公報
Adv.Mater.2009,21,2190-2195
上記問題点に鑑み、本発明の課題は、簡便に製造できて、かつ優れた撥液機能を有する撥液性表面、およびその作製方法を提供することである。
上記の課題を達成する手段として、請求項1に記載の発明は、
基材と、前記基材上に設けられる撥液層を有し、
前記撥液層には少なくとも多孔性微粒子とバインダー成分を含み、
前記多孔性微粒子は、平均粒子径が2.5μm以上であり、BET比表面積が100m/g以上であり、かつフッ素化アルキル基をその表面に有しており、
前記バインダー成分は、フッ素化アルキル基を含むことを特徴とする、撥液性表面である。
この撥液層は、低表面エネルギー化処理された微粒子とバインダー成分を含む塗料を、基材上に塗布したのちに乾燥することで、簡便かつ大面積に形成することが可能であり、かつ優れた撥液機能が得られる。
また、請求項2に記載の発明は、
前記多孔性微粒子が、珪素、チタン、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれかの酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の撥液性表面である。
上記の材質からなる微粒子の表面は、フッ素化アルキル基の導入が容易であり、かつ安価に入手可能なため有利である。
また、請求項3に記載の発明は、
前記フッ素化アルキル基が、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基のうち少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の撥液性表面である。
多孔性微粒子の表面に含まれるフッ素化アルキル基の鎖長がブタンよりも短い場合には、低表面エネルギー化が不十分であり、またオクタンより長い場合には必要になる表面処理剤の入手が困難である。
また、請求項4に記載の発明は、
前記バインダー成分が、金属アルコキシドの加水分解物からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の撥液性表面である。
金属アルコキシドの加水分解物をバインダーに用いることで、基材と多孔性微粒子の密着に好適である。
また、請求項5に記載の発明は、
前記バインダー成分に、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基のいずれかが官能基として含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の撥液性表面である。
バインダー成分にも低表面エネルギー化のための官能基を用いることで、粒子と基材の密着と撥液性能との両立が可能になる。
また、請求項6に記載の発明は、
前記撥液層に対してバインダー成分が占める重量比率が、25wt%以上、50wt%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の撥液性表面である。
撥液性表面を構成するバインダー成分が重量比で50%を超える場合には、撥液機能が低下するためである。また、25wt%未満である場合には、撥液層として膜を塗布形成することが困難になる。
また、請求項7に記載の発明は、
前記撥液層に、前記多孔性微粒子とは異なる第2の微粒子を含み、
前記第2の微粒子は、少なくともBET比表面積が50m/g以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の撥液性表面である。
第2の微粒子を含むことで、前記多孔性微粒子と異なる特性を持たせることが可能になり、例えば膜の密着性をさらに向上すること等ができる。
また、請求項8に記載の発明は、
多孔性微粒子にフッ素化アルキル基を有するシラン化合物を混合して、該多孔性微粒子の表面を低表面エネルギー化する多孔性微粒子表面処理工程と、
金属アルコキシドの加水分解物と、フッ素化アルキル基を有するシラン化合物とを溶媒中で混合するバインダー液調製工程と、
前記多孔性微粒子と前記バインダー液とを溶媒中で混合する微粒子含有バインダー液調製工程と、
基材上に前記微粒子含有バインダー液を塗工して撥液層を形成する塗工工程とを少なくとも有することを特徴とする、撥液性表面の作製方法である。
上記のような工程により、簡便かつ低コストで撥液性表面を作製することができる。
本手法を用いることで、油などの低表面張力液体も高速に滑落する、超撥液性表面を簡便に形成することができる。このような材料は、油を多分に含むため、これまで除去することが困難だった付着物が、後残り無く高速に滑落する。
本発明に係る撥液性表面の一実施形態を示す概略断面図である。
以下に本発明について、実施形態を具体例として挙げて詳述する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1に、本発明の撥液性表面の一実施形態の概略断面図を示す。
図1で、撥液性表面3は、基材1上に撥液層2を積層してなる。この撥液層2は、低表面エネルギー化処理された多孔性微粒子と、バインダーを少なくとも含む層であり、撥液性機能を発揮する層である。
まず、本発明での撥液性表面形成のプロセスを、(1.多孔性微粒子表面処理)、(2
.バインダー液調整)、(3.粒子とバインダーの調液)、(4.塗工)の4段階に分けて説明する。
(1.多孔性微粒子表面処理)
撥液層に用いる微粒子としては、多孔性を有する微粒子が用いられる。特に微粒子の平均粒子径が2.5μm以上であり、かつBET比表面積が100m/g以上であることが望ましい。
なお、微粒子の平均粒子径はレーザー回折・散乱法により測定される値であり、BET比表面積とはBET法(ガス分子の吸着を利用して表面積を測定する手法)により測定された表面積である。平均粒子径に比べて比表面積が大きいほど、その粒子の吸着性能が大きいとされる。
多孔性微粒子の材質については、低表面エネルギー化のためのシランカップリング処理が行いやすい表面であればよく、例えば珪素、チタン、亜鉛、アルミニウムの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、湿式合成法による多孔質シリカは低価格で入手可能であり、好適である。湿式合成法の多孔質シリカとしては、以下の例に限定するものではないが、具体的には富士ゲル販売社、サイリシアシリーズ、サイロスフェアシリーズ、水澤化学工業社ミズカシルシリーズ、日本シリカ工業社ニップゲルシリーズが挙げられる。
低表面エネルギー化のためのシリカ微粒子の表面処理の方法は特に限定されるものではないが、所定の官能基を有するクロロシランと前記多孔性微粒子を有機溶媒中で混合することで反応させるもの、所定の官能基を有するクロロシランを気相反応で微粒子表面に導入するものなどがありえる。
ここで所定の官能基とは、例えばパーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基などのフッ素化アルキル基である。これらに限定の官能基に限定されないが、CF結合を多く含む官能基であればよい。
また上記の多孔性微粒子のほかに、撥液層にはそれと異なる第二の微粒子を含んでもよい。その際、第2の微粒子は、少なくともBET比表面積が50m/g以上の粒子であると好ましい。具体的には、エボニック社アエロジルシリーズなどのナノシリカ粒子が適切である。これらの粒子を併用すると、膜の密着が優れるため有利である。
(2.バインダー液調整)
撥液層形成に用いるバインダー成分は、金属アルコキシドの加水分解物により形成される。金属アルコキシドは、テトラエチルオルソシリケート(Si(OC)(TEOS)、トリイソプロピルアルミニウム(Al(OC)などの、一般式M(OR)n(Mは珪素、チタニウム、アルミニウム、ジルコニウムなどの金属、Oは酸素、Rはメチル基、エチル基などのアルキル基)で表されるものである。その中でも、Mが珪素、アルミニウム、チタニウムである金属アルコキシドの特性が優れている。
また上記バインダー成分には、フッ素化アルキル基を有するシラン化合物を含むことが望ましい。具体的には、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基などのフッ素化アルキル基を有することが望ましい。バインダー成分に、このような低表面エネルギー材料を用いることで優れた撥液性能が達成される。
また上記バインダー成分には、密着性改善のための官能基を有する金属アルコキシドを用いてもよい。具体的には3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するアルコキシシランである。
これら金属アルコキシドの加水分解は、金属アルコキシドとアルコール系溶媒中で酸性条件にすることで達成される。
(3.粒子とバインダーの調液)
前記の表面処理を行った多孔性微粒子と、バインダー液と、希釈溶媒を混合することで撥液層形成のための塗料が得られる。用いる溶媒は、特に限定されないが、いわゆる汎用溶媒で、沸点が150℃以下で十分に自然揮発するものであれば特に限定が無いが、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、などの極性溶媒であれば、バインダー成分との相溶性の観点から好適である。
また、前記の塗料中の固形分のうち、バインダー成分が占める重量比率は25wt%以上、50wt%以下に調整する。バインダー成分が占める割合が50wt%より大きくなると、撥液機能が発揮されなくなる。また、25wt%未満である場合には、撥液層として膜を塗布形成することが困難になる。
なお、バインダー成分が占める重量とは、投入した金属アルコキシド重量に対して、加水分解・縮合反応が完全に進行した場合を換算した重量である。
粒子と溶媒の比率については特に影響が無いため自由に選ぶことができるが、具体的には1wt%以上10wt%以下の混合比率が望ましい。1wt%未満の比率になると、一回のグラビアコートで、欠陥十分な塗布量を得ることができない。一方、10wt%を超える混合比率の塗布を行った場合は、過剰に塗布され、基材との密着を保つのが難しくなるためである。
(4.塗工)
まず撥液層を塗布するための基材については、支持体となる物であれば特に制限はなく、例えばガラス板や金属表面、紙、樹脂を含むフィルム、又は金属箔の少なくとも一種を有する。紙としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、又はクラフト紙等が挙げられる。樹脂を含むフィルムとしては、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテート、及びセロファン樹脂の少なくとも一種を含むフィルムが挙げられる。このフィルムは延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよい。金属箔としては、例えばアルミ箔又はニッケル箔等が挙げられる。
基材上へのコーティング方法については、グラビアコート、ダイコートに加え、スプレーコート等のウェットコーティングを用いることができる。所定量の塗料を塗布したのち、乾燥工程に移る。乾燥工程では、溶媒が十分乾燥しきれば十分であり自然乾燥を待ってもよいが、温風で乾燥するなどの手段を経てもよい。特に基材の変質が生じない範囲の温度であればよく、具体的には100℃以下の温風により乾燥することが好ましい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1.多孔性微粒子表面処理)
ヘキサン28.5g中に、1.5gの富士ゲル販売社製サイリシア310p(平均粒子
形状2.7μmの多孔性粉末シリカ、BET比表面積300m/g)、東京化成社製トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シラン0.15gを投入し、室温環境下で12時間攪拌した。その後溶媒を乾燥除去することで、パーフルオロヘキシル基を有する多孔性微粒子を得た。
(2.バインダー液調整)
バインダー液は、バインダー全重量に対するフッ素化アルキル含有シランの重量比率が25wt%であり、液の固形分濃度が20wt%になるように調整した。具体的には信越化学工業社製KBE04(テトラエトキシシラン)12.98g、東京化成社製トリエトキシ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シラン1.62g、0.1N塩酸0.52g、水6.12g、イソプロピルアルコール1.77g、エチルメチルケトンを2.0g投入し、室温環境下で1時間攪拌することでバインダー液を調整した。
なお、これらのバインダー硬化反応は、加水分解後の脱水反応によるものである。テトラエトキシシラン、(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランは、硬化反応後にエトキシ基部位が消失するために大きく重量減少する。そのため、バインダー液調整における固形分濃度、とは二つのモノマーのエトキシ基が完全に反応、消失したあとに残存する重量をもとに算出した。
(3.粒子とバインダーの調液)
最終的に得られる塗料中の固形分濃度が5wt%であり、そのうち多孔性微粒子が占める重量比率が75%になるように、多孔性微粒子とバインダー成分と溶媒を混合した。具体的には、前記のパーフルオロヘキシル基を有する多孔性微粒子を1.13g、バインダー液を1.18g、イソプロピルアルコール13.5g、エチルメチルケトン13.5gを混合し、10分間超音波照射することで、撥液層形成のための塗料を調整した。
(4.塗工)
東レ社製PETフィルム ルミラー50S10面に、ワイヤーバーを用いて塗料を塗布した。塗布後に、60℃オーブン内で60秒間乾燥することで、撥液層を形成することができた。
<実施例2>
多孔性微粒子の表面処理に用いるフッ素化アルキル基をパーフルオロブチル基に変更した以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変わって、東京化成社トリクロロ(1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシル)シランを用いた。
<実施例3>
多孔性微粒子の富士シリシア化学製シリカ粒子 サイリシア370(平均粒子径6.2μm、BET比表面積300m/g)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
<実施例4>
多孔性微粒子の東ソー製シリカ粒子 NIPSIL E-170(平均粒子径3.0μm、BET比表面積110m/g)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
<実施例5>
塗料中の固形分に占めるバインダー成分の比率が50wt%とした以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例1>
塗料にバインダー成分を用いなかったほかは、実施例1と同様に撥液層の形成を行った
。バインダー成分を除いたが、塗料の固形分濃度は5%になるように調整した。
<比較例2>
バインダー成分にフッ素化アルキル成分を用いなかったほかは実施例1と同様に撥液層の形成を行った。バインダー液の調整の際は、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランの重量をテトラエトキシシランに置き換え、固形分濃度が20wt%となるよう調整した。
<比較例3>
塗料中の固形分に占めるバインダー成分の比率が75wt%とした以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例4>
多孔性微粒子の表面処理に用いるフッ素化アルキル基をトリフルオロメチル基に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変えて東京化成社製トリクロロ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シランを用いた。
<比較例5>
多孔性微粒子の表面処理を、フッ素化アルキル基による処理から、トリメチルシリル基による表面処理に変更した以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変えて、東京化成社製クロロトリメチルシランを用いた。
<比較例6>
多孔性微粒子の表面処理を、フッ素化アルキル基による処理から、ジメチルシリル基による表面処理に変更した以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル)シランに変えて、東京化成社製ジクロロジメチルシランを用いた。
<比較例7>
多孔性微粒子の表面処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様に実施した。
<比較例8>
多孔性微粒子として東ソー製シリカ粒子 NIPSIL E−74p(平均粒子形状3.2μm、BET比表面製40m/g)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
<比較例9>
多孔性微粒子として日本アエロジル社製 AEROSIL200(平均粒子形1μm以下、BET比表面積200m/g)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
(撥液性評価)
実施例および比較例で得られた撥液基材を15°の傾斜を持つ支持台に貼り付けた。その後、純水、グリセリン、エチレングリコール、オレイン酸を100μL滴下したのちに、10秒以内に、10cm以上液滴が移動した場合を○、10秒の移動距離が10cm未満であるか、または液滴が撥液性表面上に後残りしながら滑落した場合には×として、各サンプルの撥液性能の評価を行った。
(膜強度評価)
また、撥液性能評価を行ったのち、撥液層の成分の脱落など膜の破壊が顕著であった場合があった場合に、×として評価した。
前記実施例、および比較例の実施条件と、撥液性能評価、膜強度評価結果をまとめて表1に示す。なお表中、粒子表面処理では、パーフルオロヘキシル基をC6F、パーフルオロブチル基をC4F、トリフルオロメチルをC1F、トリメチルシリル基をTMS、ジメチルシリル基をDMSと略称する。
Figure 2019210392
まず実施例1については今回試験に用いたすべての付着物に対し、優れた撥液性能が得られ、膜強度も十分であった。
比較例1は、実施例1に対して、バインダー成分を用いなかったサンプルであるがこちらは撥液性能が優れるものの、基材との密着が不十分であり、撥液性能評価後の膜の破損が顕著であった。比較例1と実施例1の比較から、今回用いたバインダーにより、撥液層の基材固定に効果的であったといえる。
比較例2はバインダー成分に、低表面エネルギー化のための表面処理剤を用いなかったものであるが、こちらはオレイン酸に対する滑落効果が認められなかった。実施例1との比較からバインダー成分にも何らかの低表面エネルギー化のための表面処理剤を用いることが、オレイン酸のような低表面張力液体を滑落に効果的であるといえる。
実施例5は塗料中の固形分のうちバインダーの重量比率を50wt%、比較例3はバインダーの重量比率を75wt%として塗料を調整したものである。実施例1との比較から、バインダー成分を50wt%まで増量した場合は、撥液性能と膜密着が両立するが、バインダー成分が75wt%まで増量した場合は、撥液性能が失われる。
実施例2は低表面エネルギー化のために用いるフッ素化アルキル鎖を、パーフルオロブチル基(C)に変更したものであり、比較例4は低表面エネルギー化のために用いるフッ素化アルキルをトリフルオロメチル基(C)に変更したものである。パーフルオロヘキシル基(C)を用いた実施例1との比較から、用いるパーフルオロアルキル鎖はCよりも短くなる場合に撥液性が得られなくなるといえる。
比較例5、比較例6は、低表面エネルギー化としてフッ素化アルキル鎖の導入ではなく、トリメチルシリル基、またはジメチルシリル基を用いたものである。これらの表面処理剤では撥液性能が得られていないことから、パーフルオロアルキル基を用いることが撥液性の達成に効果的であるといえる。また比較例7では多孔性微粒子の表面処理を行わなかったが、この場合、撥液性能が得られない。
実施例3、実施例4、比較例8、比較例9および実施例1の結果の対比から、多孔性微粒子として用いる粒子が、平均粒子径2.5μm以上であり、かつBET比表面積が100m/g以上であることを満たしている場合に、撥液性能が得られるといえる。
1・・・基材
2・・・撥液層
3・・・撥液性表面

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材上に設けられる撥液層を有し、
    前記撥液層には少なくとも多孔性微粒子とバインダー成分を含み、
    前記多孔性微粒子は、平均粒子径が2.5μm以上であり、BET比表面積が100m/g以上であり、かつフッ素化アルキル基をその表面に有しており、
    前記バインダー成分は、フッ素化アルキル基を含むことを特徴とする、
    撥液性表面。
  2. 前記多孔性微粒子が、珪素、チタン、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれかの酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の撥液性表面。
  3. 前記フッ素化アルキル基が、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基のうち少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の撥液性表面。
  4. 前記バインダー成分が、金属アルコキシドの加水分解物からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の撥液性表面。
  5. 前記バインダー成分に、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基のいずれかが官能基として含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の撥液性表面。
  6. 前記撥液層に対してバインダー成分が占める重量比率が、25wt%以上、50wt%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の撥液性表面。
  7. 前記撥液層に、前記多孔性微粒子とは異なる第2の微粒子を含み、
    前記第2の微粒子は、少なくともBET比表面積が50m/g以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の撥液性表面。
  8. 多孔性微粒子にフッ素化アルキル基を有するシラン化合物を混合して、該多孔性微粒子の表面を低表面エネルギー化する多孔性微粒子表面処理工程と、
    金属アルコキシドの加水分解物と、フッ素化アルキル基を有するシラン化合物とを溶媒中で混合するバインダー液調製工程と、
    前記多孔性微粒子と前記バインダー液とを溶媒中で混合する微粒子含有バインダー液調製工程と、
    基材上に前記微粒子含有バインダー液を塗工して撥液層を形成する塗工工程とを少なくとも有することを特徴とする、撥液性表面の作製方法。
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