JP6206391B2 - 表面に液層を有する構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に液層が形成されている構造体に関するものである。
プラスチック容器は、成形が容易であり、安価に製造できることなどから、各種の用途に広く使用されている。特に、容器壁の内面が低密度ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂で形成され且つダイレクトブロー成形で成形されたボトル形状のオレフィン系樹脂容器は、内容物を絞り出し易いという観点から、ケチャップなどの粘稠なスラリー状或いはペースト状の内容物を収容するための容器として好適に使用されている。
また、粘稠な内容物を収容するボトルでは、該内容物を速やかに排出するため、或いはボトル内に残存させることなくきれいに最後まで使いきるために、ボトルを倒立状態で保存しておかれる場合が多い。従って、ボトルを倒立させたときには、粘稠な内容物がボトル内壁面に付着残存せずに、速やかに落下するという特性が望まれている。
このような要求を満足するボトルとして、例えば、特許文献1には、最内層が、MFR(メルトフローレート)が10g/10min以上のオレフィン系樹脂からなる多層構造のボトルが提案されている。
この多層構造ボトルは、最内層が油性内容物に対する濡れ性に優れており、この結果、ボトルを倒立させたり、或いは傾斜させたりすると、マヨネーズ等の油性内容物は、最内層表面に沿って広がりながら落下していき、ボトル内壁面(最内層表面)に付着残存することなく、綺麗に排出することができるというものである。
また、ケチャップのような植物繊維が水に分散されている粘稠な非油性内容物用のボトルについては、特許文献2或いは特許文献3に、最内層に滑剤として飽和或いは不飽和の脂肪族アミドが配合されたポリオレフィン系樹脂ボトルが提案されている。
上述した特許文献1〜3は、何れもプラスチック容器について、容器内面を形成する熱可塑性樹脂組成物の化学組成によって内容物に対する滑り性を向上させたものであり、ある程度の滑り性向上は達成されているが、用いる熱可塑性樹脂の種類や添加剤が限定される為、滑り性向上には限界があり、飛躍的な向上は達成されていないのが実情である。
このような観点から、最近では物理的な観点からも滑り性向上の検討がなされている。
例えば、特許文献4には、一次粒子平均径が3〜100nmの疎水性酸化物微粒子が内面に付着している容器が提案されている。
また、特許文献5には、平均粒径が1μm〜20μmの樹脂粒子により形成された樹脂膜の表面に平均粒径が5nm〜100nmの酸化物微粒子が分散付着している構造の撥水性膜が表面に形成されている蓋体が提案されている。
特許文献5で提案されている技術は、何れも内容物が接触する面に微細な凹凸を形成し、微細な凹凸面により撥水性(疎水性)を発現させている。即ち、この凹凸面を形成する材料の疎水性に加え、凹凸面に存在する空隙中に空気層が形成され、この空気層は容器を形成する材料よりも撥水性が高く、この結果、水性の内容物に対する非付着性が高められるというものである。
しかるに、このような微細な凹凸面を形成した場合では、水性の内容物に対する非付着性が高められるものの、内容物と微細な凹凸面が常時接触する場合、微細な凹凸面の凹部では水分の凝縮が非常におこりやすく、水分凝縮により凹部が埋まるためにその滑り性が悪化していく問題があり、さらなる滑り性の向上が求められている。
また、本発明者等は、表面に液層が形成されているプラスチック容器或いは樹脂構造体を提案している(例えば、特願2012−199236号、特願2013−23468号、特願2013−091244号、特願2013−109059号)。
即ち、これらは、何れも内容物と非混和性の液体による液層を形成することにより内容物に対する滑り性を従来公知のものに比して格段に向上させることに成功したものであり、容器を倒立或いは傾倒せしめることにより、容器内壁に付着・残存させることなく、内容物を速やかに容器外に排出することが可能となっている。
このように表面に液層を形成した構造の成形体は、容器の形態に限らず、フィルム等の形態を有する成形体にも適用できるものであり、液体の種類を適宜選択することにより、表面の性質を大幅に改質することができる。
しかしながら、液層を表面に有するプラスチック容器などの樹脂構造体に関しては、未だ十分な解析が行われておらず、どのような形態で液層が形成されている場合に、表面の性質を大幅に且つ安定して改善できるか、十分に解明されておらず、このため目下、種々の改良等が行われているのが現状である。
特開2007−284066号公報 特開2008−222291号公報 特開2009−214914号公報 特開2010−254377号公報 特許第4878650号
従って、本発明の目的は、成形体の表面に液層が形成され且つ液層表面に流動体が存在する構造体であって、成形体表面の性質、例えば種々の物質に対する滑り性や非付着性が液層によって安定的に改善されている構造体を提供することにある。
本発明者等は、成形体の表面に液層が形成されている構造体に関して、粘稠な物質に対する滑り性について多くの実験を行った結果、液面が局部的に突出するように液層を形成するときには、フラットな液面を有するように液層を形成した場合よりも優れた滑り性が得られるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、表面に液層を有する成形体からなり、該液層上に流動体が存在している構造体において、
前記液層は、前記流動体と非混和性の液体により形成されており、
前記液層を支持している表面には、局部的に突出している部分が形成されており、この突出している部分に対応して、該液層の表面にも局部的に突出している部分が形成されていることを特徴とする構造体が提供される。
本発明の構造体においては、
(1)前記液層の表面には、0.7μm以上の高さを有する微細突起が20〜100個/mmの密度で分布していること、
(2)前記液層の表面には、0.7μm以上の高さの微細突起が、平均して100〜300μmの間隔で観測されること、
(3)前記液層は、0.5乃至30g/mの量で前記成形体表面に存在していること、
(4)前記液層を支持している表面が樹脂製であること、
(5)前記流動体が収容された容器の形態を有していること、
が好適である。
尚、本発明において、液層の表面が局部的に突出しているとは、液層の表面(即ち、液面)がフラットではなく、該液層を形成している液体による凸部(液状凸部)が形成されていることを意味しており、このような液状凸部は、液層を支持している下地の樹脂の表面が露出しているのではない。このような液状凸部は、波のように、液体の移動により形成されるものではなく、一定の位置に安定して存在しているものであり、原子間力顕微鏡、レーザー顕微鏡や白色干渉顕微鏡などにより確認することができる。
本発明の構造体では、表面に液層が形成されているため、この液層によって多層構造体に種々の表面特性を発現させることができるのであるが、特に液層表面に局部的に突出した部分(液状凸部)が形成されているため、特に表面特性の改善効果が著しい。
例えば、フッ素系液体、フッ素系の界面活性剤、シリコーンオイルや植物油などの油性の液体により形成されている場合には、水等の水性物質に対する滑り性や非付着性を大幅に向上させることができるのであるが、後述する実施例及び比較例の実験結果に示されているように、液状凸部が形成されているときのマヨネーズの滑り速度は、液状凸部が形成されていない場合に比して、約2倍も向上していることが判る。同様に、本発明では、液層が撥油性の液体により形成されているときには、油性物質に対する滑り性や非付着性を大幅に高めることができる。
また、本発明においては、液層を支持している成形体の表面樹脂層の下側に、液層を形成している液体の拡散を抑制もしくは遮断する液拡散防止層を設けることにより、液層を長期間にわたって安定に保持することができ、その表面改質効果を長期間にわたって発揮させることができる。
このような本発明の構造体は、その表面改善特性を活かして、適宜の液体により液層を形成することにより種々の用途に適用することができるが、特に粘稠な液体(例えばケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングなど)が収容される包装容器として好適に使用される。
本発明の構造体の要部である表面の形態を示す図。 本発明の原理を説明するための図。 本発明の構造体を備えた多層構造体の層構成の一例を示す図。 本発明の構造体を備えた多層構造体の層構成の一例を示す図。 走査型白色干渉顕微鏡を用いて、実施例1の樹脂成形体の表面を観察した結果を示す図であり、表面の3次元像を示す図である。 走査型白色干渉顕微鏡を用いて、実施例1の樹脂成形体の表面を観察した結果を示す図であり、断面での形状プロファイルを示す図である。 走査型白色干渉顕微鏡を用いて、比較例1の樹脂成形体の表面を観察した結果を示す図であり、表面の3次元像を示す図である。 走査型白色干渉顕微鏡を用いて、比較例1の樹脂成形体の表面を観察した結果を示す図であり、断面での形状プロファイルを示す図である。
<樹脂構造体の表面形態>
図1を参照して、本発明の樹脂構造体(全体として10で示す)は、樹脂成形体1と、該樹脂成形体1の表面を被覆している液層3とから形成されているものであるが、特に重要な特徴は、液層3の表面に液状凸部3aが形成されており、液状凸部3aの間はフラットな面3bとなっている。即ち、図1から理解されるように、樹脂成形体1の表面には、比較的大きな突起1aと比較的小さな突起1bとが混在しているが、液層3の表面は、大まかに言って、このような突起1a,1bが混在している樹脂成形体1の表面に沿った形態を有しており、比較的大きな突起1aに対応して液状凸部3aが形成され、フラットな面3bの部分では、比較的小さな突起1bを覆っている。
表面に液層3を形成する場合、その液面はフラットになるのが技術常識といってよく、例えば突起1a,1bが混在するような面に液層3が形成されるときには、突起1a,1bの全てを覆うように液層3が形成されるか、或いは比較的高い突起1a露出しているが、比較的低い突起1bは覆うように液層3が形成され、いずれの場合も液層3の表面(液面)はフラットな面となるのが一般的である。しかるに、本発明では、液層3の表面がフラットな面のみならず、液状凸部3aが形成されており、極めて特異的なものとなっている。
本発明では、このような液層3の特異的な表面形状により、優れた滑り性を発現させることができるのである。
本発明の原理を説明するための図2を参照して、流動体5に対する樹脂成形体1の表面の滑り性等の表面特性を液層3により改善する場合、従来では、図2(a)に示されているように、液層3の表面に流動体5が全面接触し、これにより、流動体5の材質に応じて液層3を形成する液体の種類を選択することによって表面特性が大きく改善されるというものである。即ち、液層3を形成する液体の流動体5に対する性質によって流動体5に対する表面特性の改善を図っていたわけである。
しかるに、本発明では、図2(b)に示されているように、流動体5が樹脂成形体1上を滑るとき、流動体5は液層3に接触するものの、全面接触とはならず、液状凸部3aが形成されている部分で部分的に液層3に接触して滑ることとなる。即ち、本発明では、液層3の表面に液状凸部3aが形成され、流動体5と液層3とが部分的に接触して滑ることにより、図2(a)のように、流動体5と液層3とが全面接触して滑る場合に比して、流動体5に対する滑り性がさらに大幅に向上することとなる。
このように、流動体5と液層3とが部分的に接触して滑ることにより滑り性のさらなる向上がもたらされる理由については完全に解明されたわけではないが、本発明者等は、次のように推定している。
即ち、流動体5が液層3の表面を滑るときの流動体5の流れは流速が直線分布となるクエット流に相当するので、流動体5が液層3から受ける摩擦力Fは、下記式;
F=ηVA/h
式中、ηは液層3を形成する液体の粘性、
Vは、流動体5の流速V、
Aは、流動体5と液層3との接触面積、
hは、液層3の厚みである、
で表される。
この摩擦力Fを、図2(a)の場合の流動体5の流れと図2(b)の場合の流れとで比較すると、図2(b)の流れの場合の方が接触面積が著しく小さく(ηは液の種類によるものであるから両者は同じである)、従って、摩擦力Fは、図2(b)の流れの方がかなり小さくなることが理解される。即ち、本発明のように、液状凸部3aを液層3の表面に形成することにより、流動体5の滑りに対する摩擦力Fが極めて小さくなっており、この結果、滑り速度は極めて大となり、滑り性が大幅に向上するものと推定される。要するに、図2(a)の場合は、液層3を形成する液体の化学的性質のみによって滑り性が向上するのであるが、本発明では、液体の化学的性質に加え、接触面積減少による摩擦力低減という物理的な作用も加わっているため、さらなる滑り性の向上が得られるのである。
ところで、本発明による滑り性向上効果を考察する際、流動体5と液層3との間に空気が巻き込まれることにより、滑り性が向上することも考えられる。しかしながら、液層3の表面に形成される液状凸部3aは極めて微細で背の低いものである(フラットな面3bとの高低差Δhが小さい)。このため、流動体5と液層3との間に空気を巻き込むような大きな空間が形成されるとは考えられず、従って、上記のように、摩擦力Fが低減されることにより、滑り性が向上するものと考えるのが妥当である。
上述した本発明の樹脂構造体における表面構造は、後述する実施例で説明するように、原子力間顕微鏡、レーザ顕微鏡や白色干渉顕微鏡などによって解析することができ、また、液層3の存在は水の接触角(WCA)を測定することによって簡単に確認することができる。
このような表面構造の解析によると、本発明においては、液層3の表面には、0.7μm以上の高さΔhの液状凸部3a(微細突起)が、20〜100個/mmの密度で分布していることが望ましく、さらには、平均して100〜300μmの間隔(L)で観測されることが望ましい。尚、液状凸部3aの高さΔhとは、該凸部3aとフラットな面3bとの高低差である。
即ち、上記のような高さの液状凸部3aの間隔(L)が上記範囲よりも狭い(液状凸部3aが密に形成されている)ときには、流動体5が滑り落ちるときの液層3との接触面積が大きくなってしまうため、摩擦力Fの低減化が望めず、滑り性向上効果が小さくなってしまう傾向がある。また、液状凸部3aの間隔Lが上記範囲よりも大きい(液状凸部3aが疎に形成されている)ときにも、流動体5が滑り落ちるときの液層3との接触面積は大きくなってしまう。液状凸部3a間が広くなってしまうため、当然、フラットな面3b上でも流動体5と液層3との接触を生じてしまうからである。特に、流動体5が粘稠な流動体のような場合には、その形状が変化するため、接触面積の増大傾向は特に著しい。従って、この場合にも、摩擦力Fの低減は望めず、滑り性向上効果が小さくなってしまう。
また、上記のような間隔Lを満足するように液状凸部3aが形成されていたとしても、その高さΔhが上記範囲よりも低い場合には、やはり、流動体5が滑り落ちるときの液層3との接触面積が大きくなってしまい、摩擦力Fの低減化が望めず、滑り性向上効果が小さくなってしまう。
尚、上記のような液状凸部3aの高低差Δhには限界があり、通常、その上限は、50〜100μm程度である。即ち、液層3を支持している樹脂成形体1の表面に大きな高さの突起1aを形成することはできるが、このような高さの突起1a上に液層3を形成する場合には、液層3を形成する液体の量を多くしなければならず、この結果、液層3のほぼ全面がフラットな面3bとなってしまい、大きな高低差Δhを実現することができないからである。
上述した本発明において、液層3はかなり薄層であり、例えば、液層3を形成する液体の量は、0.5乃至30g/m、特に0.5乃至20g/m、特に0.5乃至10g/mの範囲にあることが好ましい。即ち、この液量が少ないと、液層3が不連続層となってしまい、この液体の流動体5に対する化学的性質(例えば撥水性、撥油性など)を十分に活かすことが困難となり、大きな滑り性向上効果を得ることが困難となってしまう。また、液量が多すぎると、液状凸部3aの高さΔhが小さくなってしまい、この結果、接触面積の低減による摩擦力Fの低減化が不十分となり、大きな滑り性向上効果を得ることが困難となってしまう。
また、本発明においては、上述した液層3は、液体による表面特性を安定に且つムラなく付与するために、下記式(1):
F=(cosθ−cosθ)/(cosθ−cosθ) (1)
式中、
θは、前記樹脂構造体10表面での水接触角であり、
θは、前記液層3を形成する液体上での水接触角であり、
θは、前記樹脂成形体1を形成するプラスチック単体上での水接触角である、
で算出される液層3の被覆率Fが0.5以上、好ましくは0.6以上となるように形成されるべきである。即ち、樹脂構造体10の表面での水接触角θと液層3上での水の接触角水θが同じである場合には、被覆率Fは1.0であり樹脂成形体1の全体が液層3で覆われていることになる。
例えば、被覆率Fが上記範囲よりも小さいと、液量が多量にあっても、表面に液体が点在するような形態で液層3が形成され、十分な表面特性を発揮することが困難となってしまう。
ここで、上述の式(1)は、表面が2種類の成分(A、B)から形成された複合表面上における見かけの接触角θを表現するCassie−Baxterの式を変形して得られる。これは下記式で表現される。
cosθ=Fcosθ+Fcosθ
=Fcosθ+(1−F)cosθ
式中、
は、A成分の割合を示し、
は、B成分の割合を示し(但し、F+F=1)、
θは、A成分単体上での液体の接触角を示し
θは、B成分単体上での液体の接触角を示す。
本発明においては、液層3の表面に上述した液状凸部3aが形成されていることに関連して、液層3を支持している樹脂成形体1の表面(以下、下地面と呼ぶことがある)には、比較的大きな突起1aと比較的小さな突起1bが混在しており、先にも述べた通り、比較的大きな突起1aに対応して液状凸部3aが形成され、比較的小さな突起1b上に、液層3のフラットな面3bが形成されている。このような突起1a及び1bについても原子力間顕微鏡、レーザ顕微鏡や白色干渉顕微鏡などによって解析することができる。
例えば、白色干渉顕微鏡により1.4mmx1.05mmの範囲を走査して得られる樹脂成形体1の表面の3次元表面形状プロファイルにおいて、0.7μm以上の高さの突起密度が20〜100個/mmの範囲にあり、さらに、このような突起の間隔(L)は、平均して100〜300μmの範囲にあることが望ましい。また、かかる突起の最大突起高さは1.5乃至40μm、特に2.5乃至30μmの範囲にあることが、液層5を下地面全体にわたって安定に保持すると共に、前述した条件を満足する液状凸部3aを形成するために好ましい。即ち、突起密度が上記範囲よりも小さく、かつ最大突起高さが上記範囲より小さい場合には、突起間隔Lが大きくなり、液状凸部3aに対応する大きな突起1aが形成されず、前述した液状凸部3aの形成が困難となり、フラットな面3bとの接触面積が大きくなり本発明の効果が発現しなくなってしまう。また、突起密度が上記範囲よりも大きい場合には、突起間隔Lが小さくなるため、液層の被覆量にも依るが、突起間の空間を液体が埋めてしまう傾向が強くなるため、液状凸部3aが形成されず、フラットな面3bとの接触面積が大きくなり、本発明の効果が発現しなくなってしまうおそれがある。
<表面構造の形成>
本発明において、上述した樹脂構造体10の表面構造は、樹脂成形体1(下地面)を形成するための樹脂に、粗面化用添加剤と液層3を形成するための液体とを配合し、このような樹脂組成物を用いての成形により樹脂成形体1の表面(下地面)を形成することにより実現できる。
樹脂成形体1(下地面)を形成するための樹脂としては、樹脂構造体10の用途に応じた形状に成形可能である限り、特に制限されず、任意の樹脂を使用することができるが、特に液体の滲出による液層3の形成を可能とするという点で、比較的低密度(例えば約1.7g/cm以下程度)の熱可塑性樹脂が好ましく、特に、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどのオレフィン系樹脂や、これらのオレフィン類の共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート等のポリエステル樹脂が好ましい。特に、この樹脂構造体10を、内容物を絞り出すスクイズ容器として使用する場合には、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンに代表されるオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
上記の樹脂に配合される粗面化用添加剤は、下地面の表面を前述した突起密度(1/mm)と最大突起高さが所定の範囲にある粗面とするために使用されるものであり、通常、平均粒子径が40μm以下、特に0.2〜20μmの微細粒子が使用される。例えば、上記範囲にある微細粒子の中でも、シリカなどの無機微粒子は粒子の構成単位として、一次粒子径が0.003〜0.2μmの非常に小さい微細粒子であり、一次粒子間に強い引力が働くため一次粒子径のまま単独で存在することができず、通常、凝集して高比表面積で且つ細孔容積の大きい二次粒子の形で存在している。このため、このような微細粒子を樹脂に配合して成形を行ったとき、これらの微細粒子が連なった突起1a,1bを形成し、しかも、微細粒子により形成された突起は、液体を保持し易く、例えば背の高い大きな突起1a上にも液層3を形成し、液層3の表面に液状凸部3aを容易に形成することができる。
尚、微細粒子の平均粒子径は、微細粒子の種類や大きさによっても異なるが、一般的には、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡など電子顕微鏡観察による方法や、レーザ回折式粒度分布測定装置などのレーザ回折・散乱法による方法等によって測定することができる。微粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡観察による測定においては測定した粒子の平均径として定義され、また、レーザ回折・散乱法による測定においては得られた粒度分布における体積換算での積算値50%での粒子径として定義される。なお、シリカなどの一次粒子径が0.2μm以下の微粒子においては、一次粒子のまま単独で存在させることが極めて困難であるため、二次粒子の粒子径が平均粒子径として定義される。
上記のような微細粒子としては、平均粒子径が上記範囲にある限り特に制限されないが、一般的には、例えば酸化チタン、アルミナ、シリカ等の金属酸化物粒子、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、カーボンブラックなどの炭素系微粒子、ポリメチル(メタ)アクリレートや、ポリエチレン、ポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン粒子などから成る有機微粒子が代表的であり、これらは、シランカップリング剤やシリコーンオイル等により疎水化処理されていてもよい。本発明においては、ダイレクトブロー成形に代表される押出成形によっても実施可能であるため、溶融成形後に粒子径が保持できれば良く、例えば、疎水化処理されている微細粒子、特に疎水性シリカ、ポリメチルメタクリレート硬化物、超高分子量ポリエチレン、ポリオルガノシルセスキオキサン、シリコーン粒子が好適に使用される。
このような粗面化用添加剤として使用される微細粒子は、通常、樹脂100重量部当り0.1乃至30重量部、好ましくは0.3乃至20重量部、さらに好ましくは0.3乃至10重量部の量で使用される。この範囲外での使用量では、液状凸部3aを好適に形成し得る粗面を形成することが困難である。
さらに、液層3の形成に使用される液体としては、この樹脂構造体(樹脂成形体1)の表面に付与しようとする表面特性に応じて適宜のものが使用されるが、かかる液体は、当然、大気圧下での蒸気圧が小さい不揮発性の液体、例えば沸点が200℃以上の高沸点液体でなければならない。揮発性液体を用いた場合には、容易に揮散して経時と共に消失し、液層3を形成することが困難となってしまうからである。
このような液体の具体例としては、上記のような高沸点液体であることを条件として、種々のものを挙げることができるが、特に表面張力が、滑り性の対象となる物質と大きく異なるものほど、潤滑効果が高く、本発明には好適である。例えば、水や水を含む親水性物質に対する滑り性を高めるには、表面張力が10乃至40mN/m、特に16乃至35mN/mの範囲にある液体を用いるのが良く、フッ素系液体、フッ素系界面活性剤、シリコーンオイル、脂肪酸トリグリセライド、各種の植物油などが代表的である。植物油としては、大豆油、菜種油、オリーブオイル、米油、コーン油、べに花油、ごま油、パーム油、ひまし油、アボガド油、ココナッツ油、アーモンド油、クルミ油、はしばみ油、サラダ油などが好適に使用できる。
この液体は、一般に、前述した樹脂100重量部当り0.3〜20重量部、特に1〜10重量部の量で使用される。この量が少ないと、液層3の形成自体が困難となり、使用量が多すぎると、液層3を形成することはできても、所定の高さΔhの液状凸部3aを液層3の表面に形成することが困難となる。
本発明の樹脂構造体10は、上述した樹脂と粗面化用添加剤及び液層形成用液体とを混合することにより調製された樹脂組成物を使用し、押出成形、ダイレクトブロー成形等のそれ自体公知の手段で所定形状に成形することにより製造することができる。また、適当な低沸点有機溶剤(例えば炭化水素系溶剤やアルコール系溶剤など)を用いて上記の樹脂組成物が溶解乃至分散された塗布液を調製し、この塗布液を、予め所定形状に成形された成形体上にコーティングし、乾燥するという手段によっても製造することができる。
このようにして、適度に粗面化された樹脂成形体1の下地面上に液体が滲出し、液状凸部3aを表面に有する液層3が形成されることとなる。
尚、レーザ加工やサンドブラスト等の機械加工により樹脂成形体1の表面を適度な粗面とする手法も考えられるが、液状凸部3aを形成するに適した表面の粗さは、かなり微細なものであり、機械加工による形成には適しておらず、前述したように微細粒子が粗面化用添加剤として内添されている樹脂組成物を用いるのがよい。
また、液層3を形成する液体をスプレーや浸漬等の方法により外添することにより液層3を形成する手法も考えられるが、液状凸部3aを有する液層3はかなり薄層であり、このような液体を外添する手法には適しておらず、かかる液層3の形成も液体を内添した樹脂組成物を用いるのがよい。
<多層構造体>
上述した表面構造を有する本発明の樹脂構造体10は、そのまま単独で使用することもできるが、通常は、この表面構造を残したまま、他の材料からなる層が積層された多層構造体として使用することが好ましい。例えば、液層3を支持する下地面を形成している樹脂成形体の下側に液拡散防止層を設けた多層構造を採用することが好適である。
例えば、図3の例では、全体として30で示す構造体は、前述した液状凸部3a(図3では省略)を有する液層3を面上に備えた下地樹脂層1’を有しており、この下地樹脂層1’は、液拡散防止層20上に積層されており、液拡散防止層20は、適宜の材質からなる基材23上に設けられている。
即ち、下地樹脂層1’は前述した樹脂成形体1に相当し、下地樹脂層1’と液層3との組み合わせが図1の樹脂構造体10に相当する。
かかる図3の層構造において、液拡散防止層20は、液層3を形成する液体の浸透・拡散を遮断するものであり、このような層を形成することにより、液層3により付与される表面特性が長期間にわたって安定に維持されることとなる。
即ち、一定の量の液体が下地樹脂層1’に配合され、この液体の滲出により液層3が形成されていたとしても、該液体が下地樹脂層1’の反対側の面にも徐々に移行していくため、その液層3を形成している液量が経時と共に減少し、この結果、液層3に付与される表面特性が経時と共に失われていくおそれがある。しかるに、図3の態様では、液拡散防止層20の存在により、液層3(或いは下地樹脂層1’)からの液の浸透拡散が遮断されるため、液層3の液量減少が有効に抑制され、表面特性の経時的損失を回避することが可能となる。
このような液拡散防止層20の材質は、液の浸透拡散を防止し得るものであれば、特に制限されず、例えば金属箔、金属蒸着膜或いはガラスやセラミックス類などの無機材料から形成されていてもよいし、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)蒸着膜、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの有機材料から形成されていてもよいが、無機材料により形成されている場合、成形手段が限定され、多層構造体30或いは下地樹脂層1’の形態がフィルムなどに限定されてしまうため、一般的には、有機材料、特に熱可塑性樹脂により形成されていることが好ましい。即ち、熱可塑性樹脂は成形性が優れ、多層構造体30の形態が制限されず、例えばブロー成形容器などの形態も採り得るからである。
上記のような液拡散防止層20を形成するための熱可塑性樹脂としては、密度が1.00g/cm以上であり且つガラス転移点(Tg)が35℃以上のものあるいは、結晶化度が0.5以上のものが使用される。即ち、このような熱可塑性樹脂は緻密であり、樹脂中での液体の移動拡散が非常に制限されると考えられるため、液体の浸透拡散を有効に抑制することができる。例えば、密度及びガラス転移点(Tg)が上記範囲を下回る樹脂では、液拡散防止層がルーズな層となり、液体の移動拡散の制限が弱まってしまい、液の浸透拡散を効果的に防止することが困難となる。また、結晶化度が0.5未満の樹脂では、樹脂中での液体の移動拡散を制限する結晶成分が少なく、制限が弱まってしまうため、液の浸透拡散を効果的に防止することが困難となる。
尚、上記の熱可塑性樹脂は金属箔、金属蒸着膜やガラスなどの無機材料と比較すると、液拡散防止性能は劣るため、液拡散防止層20の厚みを比較的厚くする必要があり、例えば2μm以上、特に5〜80μm程度の厚みで液拡散防止層20を形成することが好ましい。即ち、この厚みが薄すぎると液拡散防止能が不満足となってしまうおそれがあり、また過度に厚くしても、多層構造体30が不必要に厚肉となってしまい、コスト的にもメリットが無いからである。この液拡散防止層20の厚みは、必要とする表面特性の維持期間に応じて調整することができる。
本発明において、上記のような密度及びガラス転移点(Tg)を有する熱可塑性樹脂は特に制限されないが、一般的には、エチレン・ビニルアルコール共重合体(エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物)、芳香族ポリアミド及び環状ポリオレフィンなどのガスバリア性樹脂や、ポリエチレンテレフタレートや液晶ポリマーのようなポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。例えば、このようなガスバリア性樹脂により液拡散防止層20を形成した場合には、液拡散防止層20に酸素などのガスの透過を防止するガス遮断性をも付与することができ、特に容器のような形態で構造体20を用いる場合には、内容物の酸化劣化を防止することができ、極めて有利となる。中でもエチレン・ビニルアルコール共重合体は、特に優れた酸素バリア性を示すため、最も好適である。
上記のようなエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、一般に、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適であり、これらの中から、密度且つガラス転移点(Tg)が前述した範囲にあるものが選択的に使用するのがよい。
尚、前述したガスバリア性樹脂は、それぞれ単独で使用することもできるし、また、密度やガラス転移点(Tg)が前記範囲内にある限り、ポリエチレン等のポリオレフィンとガスバリア性樹脂とをブレンドして液拡散防止層20を形成することもできる。
ところで、上記のようなガスバリア性樹脂を液拡散防止層20として用いる場合には、下地樹脂層1’(或いは基材23)との接着性を高め、デラミネーションを防止するために、液拡散防止層20に隣接して接着剤樹脂層(図視せず)を設けることが好ましい。これにより、液拡散防止層20をしっかりと下地層樹脂層1或いは基材23に接着固定することができる。このような接着樹脂層の形成に用いる接着剤樹脂はそれ自体公知であり、例えば、カルボニル基(>C=O)を主鎖若しくは側鎖に1乃至100meq/100g樹脂、特に10乃至100meq/100g樹脂の量で含有する樹脂、具体的には、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸もしくはその無水物、アミド、エステルなどでグラフト変性されたオレフィン樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体;イオン架橋オレフィン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;などが接着性樹脂として使用される。このような接着剤樹脂層の厚みは、適宜の接着力が得られる程度でよく、一般的には、0.5乃至20μm、好適には1乃至8μm程度の厚みでよい。
また、フィルムの形態で上述のようなガスバリア性樹脂を液拡散防止層20として用いる場合には、接着剤樹脂として、例えば、ドライラミネーション用やアンカーコート用、プライマー用として一般に用いられるものであればよく、特に限定されないが、例えばそれ自体公知である、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、セルロース系樹脂、イソシアネート樹脂などを用いることができる。これら接着剤樹脂は単独で使用してもよいし、また必要に応じ、ブレンドしてもよい。また、基材との密着や濡れが確保できる限り、水系と溶剤系のどちらでも使用できる。また上記成分の他に、接着剤としての性能を損なわない限り、それ自体公知である、硬化促進触媒、充填剤、軟化剤、老化防止剤、シランカップリング剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、無機フィラー、粘着付与性樹脂などを使用することもできる。これら接着剤の塗布量は、塗装性や経済性を損なわない範囲であれば特に限定されず、好ましくは0.01乃至10μmの範囲、さらに好ましくは、0.1乃至5.0μmの範囲で、例えばスプレー塗装、浸漬、或いはスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター等により塗布すればよい。
尚、このような接着剤樹脂も、通常、前述した範囲の密度とガラス転移点、結晶化度を有しており、従って、液拡散防止層20としての機能を有している。即ち、前述した液拡散防止層20がガスバリア性樹脂で形成されている場合、このようなガスバリア性樹脂の層の厚みと接着剤樹脂層との厚みの合計が、前述した厚みの範囲(2μm以上、特に5〜80μm程度)となるように厚み設定することにより、液拡散防止層20として十分な機能を発揮させることができる。
また、本発明においては、上述した液拡散防止層20は、下地樹脂層1’の表面(下地樹脂層1’と液層3との界面)からの間隔dが200μm以下、好ましくは150μm以下の範囲となるように形成されていることが好適である。即ち、この間隔dが大きすぎると、液拡散防止層20により液の浸透拡散が防止されるとしても、液拡散防止層20と下地樹脂層1’の表面との間に存在し得る量が多量となってしまい、この結果、液層3の形成や液層3の経時的消失を効果的に抑制することが困難となるおそれがあるからである。
また、上述した説明から理解されるように、下地樹脂層1’は、その表面(液層3との界面)と液拡散防止層20との間隔dが一定値以下となるように形成されるが、液層3に対して適度なアンカー効果を発現させるため、少なくとも5μm以上、特に10μm以上の厚みを有していることが好ましい。
また、図3の多層構造において、液拡散防止層20の他方側に形成されている基材23は、特に必要ではないが、多層構造体30の使用形態に応じて適宜設けられる。
この基材23の材質は、多層構造体30の使用形態に応じて選択されるが、一般的には、各種プラスチックや紙などから形成され、複数の層から形成されていてもよい。例えば、この基材23を、前述した液拡散防止層20と同じ機能を有する樹脂層を含む多層構造とすることもできるし、さらに、この構造体30を成形する際に生じるバリなどのスクラップ樹脂を含むリプロ層を基材23中に形成することもできる。
即ち、この多層構造体30を、内容物を絞り出すスクイズ容器として使用する場合には、スクイズ性の観点から、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレンを用いて基材23が形成される。この場合、基材23と液拡散防止層20との間に適宜接着材樹脂層を設けることもできるし、上記で説明したように、基材23よりも内部の層(液層3とは逆側の層)として、さらにガスバリア―樹脂層(液拡散防止層としても機能する)やリプロ層を設けることができる。
上述した構造体20の層構成は、図3に示される層構成に限定されるものではなく、例えば図4に示されているように、下地樹脂層1’と液拡散防止層20との間に液拡散調節層25を設けることができる。
既に述べたように、下地樹脂層1’中には液層3を形成する液体がブレンドされており、下地樹脂層1’からの液の滲出により液層3が形成されるが、図4の態様では、液拡散調節層25中にも液体が浸透し拡散していくこととなり、下地樹脂層1’の表面に滲出する液の量を適度な範囲に調節し、過剰量の液の滲出を防止し、適正な液量により液状凸部3aを液面に有する液層3を形成する上で有利である。
このような液拡散調節層25を形成する樹脂は、液層3を形成する液体が浸透・拡散し得る限り、基本的にはどのような樹脂であってもよいが、通常は、下地樹脂層1’を形成する樹脂と同種の樹脂で形成される。
尚、上記のような液拡散調節層25が設けられている場合も、液拡散防止層20と下地樹脂層1’の表面との間隔dは前述した範囲にあることが好ましく、このような範囲に間隔dが維持されていることを条件として、液拡散調節層15の厚みtと下地樹脂層3の厚みtとの厚み比t/tは0.1〜10の範囲に設定することが液拡散調節層15の機能を十分に発揮させる上で好ましい。
尚、上述した下地樹脂層1’、液拡散防止層20及び液拡散調整層25、さらには基材23には、これを形成する材料の種類に応じて、各層の特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤などの添加剤が適宜配合されていてもよい。
上記のような層構成を有している多層構造体30は、その形態や用途によっても液層3を形成する液体の種類は異なるが、液層3による表面特性を十分に発揮させるために、液層3の液面には液状凸部3aが形成されており、前記式(1)で表される液層3の被覆率Fは、0.5以上、特に0.6以上、最も効果的には0.8以上に保持されている。
<樹脂構造体10及び多層構造体30の用途>
本発明の樹脂構造体10及びこの樹脂構造体10が積層されている多層構造体30は、種々の形態を有することができ、その形態に応じて液層3を形成する液体を選択して所望の表面特性を発揮させることができる。
例えば、樹脂構造体10或いは多層構造体30をフィルムの形態とし、これを所定の場所に貼り付けて使用することができる。
このような場合、多層構造体30の下地樹脂層1’の表面及び液拡散防止層20(或いは基材23)の裏面には、適宜、粘着剤などを介してシリコンペーパーやポリエステルフィルムなどの剥離フィルムを設けておき、使用に先立って、この剥離フィルムを引き剥がし、下地樹脂層1’の表面が露出するように所定の表面に貼り付ければよい。このような形態で本発明の多層構造体30を使用する場合には、任意の場所に液層3による表面特性を発現させることができる。例えば、液層3を形成する液体としてフッ素系界面活性剤を使用し、浴室の鏡などに多層構造体30を貼付すれば、水滴が鏡の表面に付着せず、速やかに流れ落ちるため、鏡の曇り止めとしての機能を発揮させることができる。
上記の使用形態は、図1に示す単層構造の樹脂構造体10においても全く同様である。
尚、剥離フィルムを下地樹脂層1’の表面(図1の樹脂成形体1)に設ける場合には、剥離フィルムを引き剥がすことにより、下地樹脂層1’(或いは樹脂成形体1)に内添されている液体が表面に滲出して液層3が形成されることとなる。
上記のようなフィルム形態の多層構造体30は、キャスト法、Tダイ法、カレンダー法又はインフレーション法などの通常の方法により、下地樹脂層1’、液拡散防止層20及び液拡散調整層15、さらには基材23となるフィルムを成形し、これを加熱圧着することにより形成し、或いは、これらの層を形成する樹脂を同時押出することにより形成することができる。
また、フィルム形状の多層構造体30の2枚を貼り付けることにより、袋状の容器とすることもできる。
図1の単層構造の樹脂成形体も基本的には同じである。
また、本発明においては、液層3による表面特性を十分に活用するという観点から、この多層構造体30(或いは樹脂構造体10)を容器の形態で使用することが好適である。即ち、容器内に収容される内容物に対して非混和性の液体を用い、容器の内面(内容物と接触する面)に液層3を形成することにより、容器壁への内容物の付着を防止し、容器の形態によっては内容物を速やかに短時間で排出することができる。
容器の形態は特に制限されず、カップ乃至コップ状、ボトル状、袋状(パウチ)、シリンジ状、ツボ状、トレイ状等、容器材質に応じた形態を有していてよく、延伸成形されていてもよい。
上述した包装容器では、液層3による表面特性を十分に発揮させることができるため、特に、ケチャップ、水性糊、蜂蜜、各種ソース類、マヨネーズ、マスタード、ドレッシング、ジャム、チョコレートシロップ、乳液等の化粧液、液体洗剤、シャンプー、リンス等の粘稠な内容物が充填された容器として最も好適である。即ち、内容物の種類に応じて適宜の液により液層3を形成しておくことにより、容器を傾斜或いは倒立させることにより、これらの内容物が容器内壁に付着することなく、速やかに排出できるからである。
例えば、ケチャップ、各種ソース類、蜂蜜、マヨネーズ、マスタード、ジャム、チョコレートシロップ、乳液などは、水分を含む親水性物質であり、液層5を形成する液体としては、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、食用油などの食品添加物として認可されている油性液体が好適に使用される。
本発明を次の実施例にて説明する。
尚、以下の実施例等で行った各種の特性、物性等の測定方法及び樹脂構造体(容器)の成形に用いた樹脂等は次の通りである。
1.液層の被覆率の測定
後述の方法で作製した容量500gの樹脂構造体である多層容器の胴部から10mm×60mmの試験片を切り出した。23℃50%RHの条件下、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、試験片の内層が上になるように固定し、3μLの純水を試験片にのせ、水接触角θを測定した。得られた水接触角を用いて、下記式(1)より、樹脂構造体表面での液層の被覆率Fを求めた。
F=(cosθ−cosθ)/(cosθ−cosθ) (1)
式中、θは、樹脂構造体表面での水接触角であり、
θは、液層を形成する液体上での水接触角であり、
θは、樹脂成形体を形成するプラスチック単体上での水接触角である。
液層の被覆率Fを求めるにあたり、θとθの値として、下記水接触角の値を用いた。
θ:100.1°
(樹脂成形体を形成する高圧法低密度ポリエチレン(MFR=0.3)単体での値)
θ:80.3°
(中鎖脂肪酸トリグリセライド(液体)上での値)
2.液層被覆量の測定
後述の方法で作製した容量500gの多層容器を用いて、容器内面に形成された液層を、液層と混和性の溶剤(ヘプタン)30mLで回収し、エバポレーターを用いて濃縮した後、残留物を蒸発皿へ移し取り、液層成分の重さを求めた。得られた重さを容器内面の面積で除し、ボトル内面における液層被覆量(g/m)とした。この値が小さい程、容器内面には薄い液層が形成されている。
3.流動性内容物の滑落速度測定
後述の方法で作製した容量500gの樹脂構造体である多層容器の胴部から20mmx70mmの試験片を切り出した。23℃50%RHの条件下、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、試験片の内層が上になるように固定し、70mgの流動性内容物を試験片にのせ、45°の傾斜角における滑落挙動をカメラで撮影し、滑落挙動を解析し、移動距離−時間のプロットから滑落速度を算出した。この滑落速度を滑落性の指標とした。前記滑落速度の値が大きい程、内容物の滑落性が優れている。用いた流動性内容物は下記の通りである。なお、内容物の粘度として、音叉型振動式粘度系SV−10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて25℃で測定した値も共に示す。
用いた流動性内容物;
キユーピーハーフ
キユーピー(株)製マヨネーズ風低カロリー食品
粘度=1260mPa・s
4.樹脂構造体における液拡散防止層の深さ・厚み、および全体厚みの測定
後述の方法で成形した樹脂構造体である多層容器の底から50mmの位置での胴部水平断面における層構成を偏光顕微鏡にて観察し、多層樹脂構造体中における液拡散防止層の深さ・厚み、および全体厚みを求めた。断面に対し、0°、90°、180°、270°の位置での構成を観察し、4方向での平均値を多層樹脂構造体中における液拡散防止層の深さ・厚み、および全体厚みとした。
5.樹脂構造体の表面形状測定
後述の方法で作製した容量500gの樹脂構造体である多層容器の胴部から10mmx10mmの試験片を切り出した。非接触表面形状測定機(NewView7300,zygo社製)を用いて、樹脂構造体の表面の画像解析及び形状測定を行った。
画像解析及び表面形状の測定には、アプリケーションとして、MetroPro(Ver.9.1.4 64−bit)を用いた。
1.40mmx1.05mmの範囲を測定し、得られた生データから、ノイズ除去のため高周波成分の波長6.576μm以下をカットし、測定データとした。測定データから、0.7μm以上の高さの突起に対し、突起密度(1mm面積当たりの突起個数)、平均突起間隔、最大突起高さ、平均突起高さ、および突起高さの標準偏差を求めた。
<液層形成用液体>
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
表面張力:28.8mN/m(23℃)
粘度:33.8mPa・s(23℃)
沸点:210℃以上
引火点:242℃(参考値)
尚、液体の表面張力は固液界面解析システムDropMaster700(協和界面科学(株)製)を用いて23℃にて測定した値を用いた。また、液体の表面張力測定に必要な液体の密度は、密度比重計DA−130(京都電子工業(株)製)を用いて23℃で測定した値を用いた。さらに、液体の粘度は音叉型振動式粘度計SV−10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて23℃にて測定した値を示した。
<下地面形成用樹脂>
低密度ポリエチレン(LDPE)
密度:0.922g/cm
結晶化度:0.37
<液拡散防止層形成用樹脂>
エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)
密度:1.20g/cm
Tg:60℃
<接着層形成用樹脂>
無水マレイン酸変性ポリエチレン
<基材>
低密度ポリエチレン(LDPE)
密度:0.922g/cm
結晶化度:0.37
<粗面化用添加剤>
疎水性シリカ
架橋ポリメタクリル酸メチルA(架橋PMMA−A)
平均粒子径:3μm
架橋ポリメタクリル酸メチルB(架橋PMMA−B)
平均粒子径:20μm
超高分子量ポリエチレン(超高分子量PE)
平均粒子径:10μm
<樹脂の結晶化度測定>
使用した樹脂のうち、低密度ポリエチレンに対しては、示差走査熱量計(PERKIN ELMER社製Diamond DSC)を用いて、下記条件で測定を行い、樹脂の結晶化度を求めた。
樹脂約7mgの試料に対し、25℃から200℃まで昇温速度10℃/minで走査し、200℃にて3分間保持し、200℃から−50℃まで降温速度10℃/minで走査し、−50℃にて3分間保持した。その後、−50℃から200℃まで昇温速度10℃/minで走査した際に得られたプロファイルから、樹脂の融解熱(ΔH)を求めた。測定で得られた融解熱(ΔH)を低密度ポリエチレンに対しては、完全結晶の融解熱(ΔH)=293J/gで除し、各々の結晶化度を算出した。
<実施例1>
下記組成の下地層形成用樹脂組成物を用意した。
低密度ポリエチレン(LDPE) 95重量部
粗面化用添加剤 1重量部
日本アエロジル(株)製R972
(ジメチルシリル基被覆疎水性シリカ)
液層形成用液体 4重量部
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
40mm押出機に上記の下地層形成用樹脂組成物、30mm押出機Aに接着層形成用樹脂(無水マレイン酸変性ポリエチレン)、30mm押出機Bに液拡散防止層形成用樹脂(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、50mm押出機に基材形成用樹脂(低密度ポリエチレン)を、それぞれ供給し、温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、金型温度20℃にてダイレクトブロー成形を行い、内容量500g、重量20gの多層構造体から成る容器を作製した。
作製した容器を用い、液層の被覆率、液層の被覆量、流動性内容物の滑落速度、液拡散防止層の深さ・厚み、および全体厚みの測定、ならびに容器内面の表面観察を行った。
得られた表面形状の3次元像と任意断面での形状プロファイルを図5に示す。
成形後1日区の段階において、液層の被覆率の測定の結果から、成形した多層構造体の表面には液層が形成されていることが確認された。
また、成形後の容器を22℃60%RHに所定の期間保管し、液層の被覆率の測定および流動性内容物の滑落速度測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
多層構造体であるこの容器の層構成は、液層を内面として以下の通りである。
液層/下地層(35)/接着層(10)/液拡散防止層(20)/接着層(10)
/基材(340)、
液拡散防止層の深さ(45)
全体厚み(415)
ここで、括弧内は各層の厚み(μm)を示す(以下同様)。
<実施例2>
下記組成の下地層形成用樹脂組成物を用意した。
低密度ポリエチレン(LDPE) 94.7重量部
粗面化用添加剤 0.3重量部
架橋PMMA−A
液層形成用液体 5重量部
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
上記の下地層形成用樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に多層構造体から成る容器を作製した。作製した容器を用いて実施例1と同様に各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
尚、これらの容器の層構成は、液層を内面としており、以下の通りである。
液層/下地層(80)/接着層(10)/液拡散防止層(25)/接着層(10)
/基材(370)
液拡散防止層の深さ(90)
全体厚み(495)
<実施例3>
下記組成の下地層形成用樹脂組成物を用意した。
低密度ポリエチレン(LDPE) 94重量部
粗面化用添加剤 1重量部
架橋PMMA−B
液層形成用液体 5重量部
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
上記の下地層形成用樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に多層構造体から成る容器を作製した。作製した容器を用いて実施例1と同様に各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
尚、これらの容器の層構成は、液層を内面としており、以下の通りである。
液層/下地層(80)/接着層(10)/液拡散防止層(20)/接着層(10)
/基材(300)
液拡散防止層の深さ(90)
全体厚み(420)
<実施例4>
下記組成の下地層形成用樹脂組成物を用意した。
低密度ポリエチレン(LDPE) 92重量部
粗面化用添加剤 3重量部
架橋PMMA−B
液層形成用液体 5重量部
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
上記の下地層形成用樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に多層構造体から成る容器を作製した。作製した容器を用いて実施例1と同様に各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
尚、これらの容器の層構成は、液層を内面としており、以下の通りである。
液層/下地層(80)/接着層(10)/液拡散防止層(20)/接着層(10)
/基材(350)
液拡散防止層の深さ(90)
全体厚み(470)
<実施例5>
下記組成の下地層形成用樹脂組成物を用意した。
低密度ポリエチレン(LDPE) 94.5重量部
粗面化用添加剤 0.5重量部
超高分子量PE
液層形成用液体 5重量部
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
上記の下地層形成用樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に多層構造体から成る容器を作製した。作製した容器を用いて実施例1と同様に各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
尚、これらの容器の層構成は、液層を内面としており、以下の通りである。
液層/下地層(80)/接着層(15)/液拡散防止層(25)/接着層(10)
/基材(340)
液拡散防止層の深さ(95)
全体厚み(470)
<実施例6>
下記組成の下地層形成用樹脂組成物を用意した。
低密度ポリエチレン(LDPE) 94重量部
粗面化用添加剤 1重量部
超高分子量PE
液層形成用液体 5重量部
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
上記の下地層形成用樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に多層構造体から成る容器を作製した。作製した容器を用いて実施例1と同様に各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
尚、これらの容器の層構成は、液層を内面としており、以下の通りである。
液層/下地層(85)/接着層(10)/液拡散防止層(25)/接着層(10)
/基材(350)
液拡散防止層の深さ(95)
全体厚み(480)
<比較例1>
下記組成の下地層形成用樹脂組成物を用意した。
低密度ポリエチレン(LDPE) 96重量部
液層形成用液体 4重量部
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
上記の下地層形成用樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に多層構造体から成る容器を作製した。作製した容器を用いて実施例1と同様に各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。また、容器(樹脂構造体)内面の表面観察から得られた表面形状の3次元像と任意断面での形状プロファイルを図6に示す。
尚、これらの容器の層構成は、液層を内面としており、以下の通りである。
液層/下地層(40)/接着層(10)/液拡散防止層(20)/接着層(10)
/基材(320)
液拡散防止層の深さ(50)
全体厚み(400)
<比較例2>
下記組成の下地層形成用樹脂組成物を用意した。
低密度ポリエチレン(LDPE) 95重量部
液層形成用液体 5重量部
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
上記の下地層形成用樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に多層構造体から成る容器を作製した。作製した容器を用いて実施例1と同様に各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
尚、これらの容器の層構成は、液層を内面としており、以下の通りである。
液層/下地層(50)/接着層(10)/液拡散防止層(10)/接着層(10)
/基材(335)
液拡散防止層の深さ(60)
全体厚み(415)
表1ならびに図5、6に示した表面形状測定の結果から、実施例1から6においては、0.7μm以上の高さの微細突起が20〜100個/mmの密度範囲で存在し、かつ平均突起間隔Lが100〜300μmの範囲にあることが分かる。また、液層被覆率の結果から、それらの表面は液層によって0.80以上の割合で被覆されていることが確認できる。一方、比較例1、2においては、0.7μm以上の高さ微細突起の突起密度が20個/mm未満であって、液層被覆率が0.80以上であることが確認できる。
これらの表面上での滑落性を見ると、0.7μm以上の高さの微細突起が20〜100個/mmの密度範囲で存在し、かつ平均突起間隔Lが100〜300μmの範囲にある微細突起表面上に液膜を形成させた実施例1〜6においては、いずれの例においても12mm/min以上の滑落速度を示すのに対し(最大で18.5mm/min)、0.7μm以上の高さの微細突起の突起密度が2個/mm未満である表面上に液膜を形成させた比較例1、2においては、滑落速度が最大でも8.5mm/minとなっており、実施例1〜6において滑落速度が向上していることが理解できる。
以上の結果から、本発明においては、液層表面に局部的に突出部分(液状凸部)が形成されているため、流動性内容物との接触面積が低減し、該内容物との摩擦力が低減したため、優れた滑り性が発現されたと考えられる。
1:樹脂成形体
3:液層
3a:液状凸部
5:物質
10:樹脂構造体
20:液拡散防止層
23:基材
25:液拡散調節層
30:多層構造体

Claims (6)

  1. 表面に液層を有する成形体からなり、該液層上に流動体が存在している構造体において、
    前記液層は、前記流動体と非混和性の液体により形成されており、
    前記液層を支持している表面には、局部的に突出している部分が形成されており、この突出している部分に対応して、該液層の表面にも局部的に突出している部分が形成されていることを特徴とする構造体。
  2. 前記液層の表面には、0.7μm以上の高さを有する微細突起が20〜100個/mmの密度で分布している請求項1記載の構造体。
  3. 前記液層の表面には、0.7μm以上の高さの微細突起が、平均して100〜300μmの間隔で観測される請求項2に記載の構造体。
  4. 前記液層は、0.5乃至30g/mの量で前記成形体表面に存在している請求項1に記載の構造体。
  5. 前記液層を支持している表面が樹脂製である請求項1〜4の何れかに記載の構造体。
  6. 前記流動体が収容された容器の形態を有している請求項1〜5の何れかに記載の構造体。
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