JP6295666B2 - 多層構造体 - Google Patents
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Description
本発明の他の目的は、中間層として酸素バリア性樹脂層が形成されており、その優れた酸素バリア性が長期にわたって安定に発揮される上記多層構造体を提供することにある。
前記保護樹脂層は、100重量部の線状オレフィン系樹脂と、該線状オレフィン系樹脂中に分散された5〜90重量部の環状オレフィン系樹脂とを含み、
前記保護樹脂層の表面には、前記内容物に対する滑り性を向上させるための液体が0.2乃至50g/m 2 の量で分布して液膜が形成されていることを特徴とする多層構造容器が提供される。
(1)酸素バリア性樹脂層を中間層として有していること、
(2)前記酸素バリア性樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むこと、
(3)前記酸素バリア性樹脂層が、接着剤層を介して或は接着剤層を介さずに前記保護樹脂層に隣接していること、
(4)前記酸素バリア性樹脂層の外面側に、線状オレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂の層が設けられていること、
(5)ブロー容器の形態を有していること、
が好適である。
例えば、この保護樹脂層に隣接するようにエチレン−ビニルアルコール共重合体等の酸素バリア性樹脂を含む酸素バリア層を設けた場合、後述する実施例に示されているように、初期の酸素バリア性は、保護樹脂層を設けずに単にオレフィン系樹脂層に隣接して酸素バリア層を設けた場合に比して、1.6〜3倍程度に向上する。即ち、このような酸素バリア層は、絶乾状態で最大の酸素バリア性を示すが、水分が存在する条件下では、その酸素バリア性は大きく低下する。しかるに、本発明では、上記の保護樹脂層の存在により、水分が有効に遮断され、水分による酸素バリア性の低下が有効に回避され、酸素バリア層本来の優れた酸素バリア性が発揮されることとなる。
しかも、重要なことは、酸素バリア層によって液層の多層構造体内部への浸透拡散が有効に防止されるため、液層の消失を有効に回避し、液層による表面特性を長期間にわたって安定に保持することができる。
本発明の多層構造容器の層構造の代表的な基本構成を示す図1を参照して、全体として10で示す多層構造体(容器)は、内面に保護樹脂層1を備えており、さらに、酸素バリア層3を中間層として有しており、酸素バリア層3の外側には、外側樹脂層5が設けられている。
また、保護樹脂層1の表面には、液層(液膜)7が設けられている。
保護樹脂層1は、線状オレフィン系樹脂に環状オレフィン系樹脂を分散させたものであり、環状オレフィン系樹脂の配合により、水分遮断性が付与され、水分の浸透による特性低下を有効に回避することが可能となる。
特に好適な線状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレンであり、特に、この多層構造体10を、内容物を絞り出すスクイズ容器として使用する場合には、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンを用いることが最適である。
式中、Zは、メチレン基またはエチレン基である。
−ドデセン
08.13]−3−ヘキサデセン
09.14]−4−ヘキサデセン
上記保護樹脂1の内面に設けられる酸素バリア層3は、酸素バリア性樹脂を含む層であり、かかる層により、酸素の通過を物理的に遮断するものである。
本発明において、上記酸素バリア性樹脂層3の外側(保護樹脂層1とは反対側)に形成される外側樹脂層5は、この多層構造体10の用途に応じて適宜の成膜可能な樹脂から形成される層であり、例えば包装容器の分野では、前述した保護樹脂層1の形成に使用される線状オレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイソフタレート或いはこれらの共重合体などのポリエステル樹脂から形成される。特に、粘稠な内容物が収容され、このような内容物を絞り出しなどにより排出するという容器の特性を考慮すると、線状オレフィン系樹脂、特にポリエチレンが最適である。
既に述べたように、本発明においては、保護樹脂層1の表面に液層7が設けられており、これにより、容器の形態を有する多層構造体10の表面特性を改質することができる。例えば、この保護樹脂層1の表面(即ち、容器内容物と接触する面)に液層7が形成されていることにより、液層7を形成する液体の種類に応じて滑り性や撥水性が付与され、容器内容物を速やかに排出することができる。
F=(cosθ−cosθB)/(cosθA−cosθB) (1)
式中、
θは、前記多層構造体10の内面での水接触角であり、
θAは、前記液層7を形成する液体上での水接触角であり、
θBは、液層7を支持する保護樹脂層1を形成する樹脂組成物上での水接触角であ
る、
で算出される液層7の被覆率Fが0.5以上、好ましくは0.6以上となるように形成されるべきである。即ち、多層構造体10の内表面での水接触角θと液層7上での水の接触角水θAが同じである場合には、被覆率Fは1.0であり、保護樹脂層1の全体が液層7で覆われていることになる。
例えば、被覆率Fが上記範囲よりも小さいと、液量が多量にあっても、表面に液体が点在するような形態で液層7が形成され、十分な表面特性を発揮することが困難となってしまう。
cosθ=FAcosθA+FBcosθB
=FAcosθA+(1−FA)cosθB
式中、
A成分の割合はFA、B成分の割合はFB、FA+FB=1
A成分単体上での接触角はθA、B成分単体上での接触角はθBである。
τ−1=(γa/ρg)1/2
式中、γaは、液体と気体(空気)との間の界面張力であり、
ρは液体の密度であり、
gは重力加速度である。
即ち、毛管長(τ−1)以下の範囲内においては重力に比べ、毛管現象(毛管力)が支配的となる。この毛管長は、上記式から理解されるように、保護樹脂層1の材質にかかわらず、液によって一定であり、例えば、水では約2.7mmである。従って、例えば、液浸透性の凹凸面とするためには、凹部の内径を毛管長(τ−1)以下に設定すればよい。この毛管長は、液層7を形成する液体の種類によって異なるが、多くの液体で1mmを超える範囲にあるので、1mm以下の内径を有する凹部を保護樹脂層1の表面全体にわたって分布しておけばよい。この場合、凹部の深さやピッチ及び凹部の密度(単位面積当りの凹部の数)などは、液層7を形成する液体の種類によっても異なるが、通常、液層7を形成している液体の量が0.2乃至50g/m2、好ましくは0.2乃至30g/m2、さらに好ましくは0.5至30g/m2、格段に好ましくは0.5乃至10g/m2の範囲に維持されるように設定しておけばよい。
特に、保護樹脂層1を形成した後、液体の噴霧や塗布等により液層7を形成する場合には、上記のような凹凸面の形成は特に効果的である。
即ち、先にも述べたように、本発明では、環状オレフィン系樹脂に液層7を形成する液体を含浸したものをマスターバッチと使用し、このマスターバッチを線状オレフィン系樹脂で希釈(混合)して保護樹脂層1を形成する樹脂組成物として用いることができる。このようなマスターバッチを利用して保護樹脂層1を成形する場合、多量の液体を含浸させることができるため、成形後の保護樹脂層1からの滲出により、保護樹脂層1の表面に安定した厚みの液層7を形成することができる。
例えば、環状オレフィン系樹脂ではなく、線状オレフィン系樹脂に液体を含浸させてマスターバッチとして使用する場合には、含浸させる液体の量を多くすることが困難である。液体の量を多くすると、マスターバッチから液体が滲出してしまい、ベタつきなどによってマスターバッチの取り扱いが困難となるばかりか、液量を精度よく設定することができなくなってしまうからである。この結果、液体量を少なくせざるを得ず、結局、液層7を形成する液体の量が不安定となってしまい、目的とする表面の改質を実現することができなくなってしまう。
尚、袋状の形態を有する包装容器においては、接着樹脂層の厚みは、通常、0.01〜10μm、特には0.1〜5.0μmとかなり薄くてよい。
本発明の多層構造体10は、線状オレフィン系樹脂に環状オレフィン系樹脂を分散させた構造を有する保護樹脂層1が表面に形成されているため、水分による影響が有効に抑制されるという特性を有している。
例えば、この保護樹脂層1に隣接して酸素バリア性樹脂層3が設けられている層構造においては、この酸素バリア性樹脂層3の水分による酸素バリア性の低下が有効に抑制されている。特に、酸素バリア性樹脂層3がEVOHにより形成されている場合には、水分による酸素バリア性の低下が顕著であるが、本発明では、EVOHの水分による酸素バリア性の低下を有効に回避することができるため、EVOHの優れた酸素バリア性を最大限に発揮させることができる。
即ち、保護樹脂層1の主成分である線状オレフィン系樹脂(例えばポリエチレンやポリプロピレン)は、液体を含浸し易く、液層7を保持する下地層に適している。さらに、保護樹脂層1中に分散されている環状オレフィン系樹脂は、液層を形成する液体の滲出を抑制する性質を有しており、特にガラス転移点が35℃以上のものはこの性質が顕著である。このため、液層7を形成する液体を環状オレフィン系樹脂に含浸させ、これをマスターバッチとして使用し、このマスターバッチを線状オレフィン系樹脂と混合して保護樹脂層成形用の樹脂組成物を調製し、多層構造体10を成形することができる。即ち、多量の液体を含むマスターバッチ化が可能となるため、液体の取り扱いが容易となり、多層構造体10を容易に製造することができる。
ΔF=100×(F0−F1)/F0 (2)
式中、
F0は、試験開始から1日後の液層7の被覆率Fであり、
F1は、試験開始から14日経過後での液層7の被覆率Fである、
で表される被覆低下率ΔFが40%以下、特に20%以下、さらに10%以下に抑制されている。即ち、液層7を形成した直後は勿論のこと、液層7を形成してから長期間経過後に上記の液層持続試験を行った場合にも上記のように抑制された被覆低下率ΔFを示す。
従って、本発明では、長期間にわたって液層7により表面特性を安定に発揮させることが可能となり、このような液層7を備えた態様を包装容器に適用したときには、各種の粘稠な内容物に対する滑り性が長期間にわたって維持され、このような内容物を速やかに排出することができることとなる。
また、本発明の層構成としては、基材に紙、金属、ガラスを用いた多層構造体としてもよい。
例えば、このような容器の形態は特に制限されず、カップ乃至コップ状、ボトル状、袋状(パウチ)、シリンジ状、ツボ状、トレイ状等、容器材質に応じた形態を有していてよく、延伸成形されていてもよい。
このような容器は、前述した各層を含む層構造の前成形体をそれ自体公知の方法により成形し、これを、ヒートシールによるフィルムの貼り付け、プラグアシスト成形等の真空成形、ブロー成形などの後加工に付して容器の形態とし、さらに、その形態に応じて、液層7を形成する液体を、スプレー噴霧、浸漬等の手段で内面の保護樹脂1の表面に施すことにより、液層7を内面に備えた多層構造の容器の形態とすることができる。
また、環状オレフィン系樹脂に液体を多量に含浸させたマスターバッチを調製し、このマスターバッチを用いて保護樹脂層1を形成する樹脂組成物を調製し、液層7を形成する液体が内添されている保護樹脂層1を備えた多層構造の容器を形成することもできる。このような手段によれば、容器成形後に液体がブリーディングして表面に液層7が形成するため、液体を施す作業は省略することができる。
また、ブロー容器にあっては、ブローと同時に液体を供給することにより、保護樹脂層1の表面(容器の内面)全体にわたってムラなく液層7の薄膜を形成することもできる。
例えば、ケチャップ、各種ソース類、蜂蜜、マヨネーズ、マスタード、ジャム、チョコレートシロップ、乳液などは、水分を含む親水性物質であり、液層7を形成する液体としては、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、食用油などの食品添加物として認可されている油性液体が好適に使用される。
さらには、上述した内容物の酸化劣化も有効に防止することができる。
尚、以下の実験例等で行った各種の特性、物性等の測定方法及び多層構造体から成る容器(ボトル)の成形に用いた樹脂等は次の通りである。
後述の方法で成形した多層ボトルの酸素遮断性を評価するため、多層ボトル内に蒸留水2mLを入れ、初期酸素濃度を0.06%以下とした窒素雰囲気下で、ポリエチレン(内層)/アルミ箔/ポリエステル(外層)からなる蓋材でヒートシールして密封し、30℃−80%RHで保存した。この多層ボトル内の酸素濃度を経時日時においてガスクロマトグラフィー(GC−14A、(株)島津製作所製)を用いて測定した。30℃−80%RHでの保管期間が0日、14日、30日における多層ボトル内の酸素濃度を測定し、保管期間−酸素濃度のプロットを作成し、このプロットを直線近似し、その傾きから酸素バリア性を評価した。傾きの値が小さい程、酸素バリア性に優れている。
後述の方法で成形した多層ボトルの胴部から10mm×60mmの試験片を切り出した。23℃50%RHの条件下、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、試験片の内層が上になるように固定し、3μLの純水を試験片にのせ、水接触角θを測定した。得られた水接触角を用いて、下記式(1)より、保護樹脂層表面での液層の被覆率Fを求めた。
F=(cosθ−cosθB)/(cosθA−cosθB) (1)
式中、θは、多層構造体の内面での水接触角であり、
θAは、液層を形成する液体上での水接触角であり、
θBは、液層を支持する保護樹脂層を形成する樹脂組成物上での水接触角で
ある。
液層の被覆率Fを求めるにあたり、θAの値として、下記水接触角の値を用いた。
θA:80.3°
(中鎖脂肪酸トリグリセライド(液体)上での値)
θBについては、液体を含まない保護樹脂層を有する多層ボトルを後述の実験例とは別途作製し、その値を用いた。
後述の方法で作製した多層ボトルを22℃60%RH(大気圧下)で所定の期間保管した。その後、前述の液層の被覆率の測定を行った。
液層形成から1日後、および14日後における液層の被覆率Fから、下記式(2)より被覆低下率ΔFを求めた。
ΔF=100×(F0−F1)/F0 (2)
式中、
F0は、試験開始から1日後の前記液層の被覆率Fであり、
F1は、試験開始から14日経過後での前記液層の被覆率Fである。
ここで、被覆低下率ΔFが小さいものほど、液層の持続性が高い。ΔFが負になる場合は被覆率が増加したことを示す。
後述の方法で成形した容量500gのボトルの胴部から20mm×70mmの試験片を切り出した。23℃50%RHの条件下、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、試験片の内層が上になるように固定し、70mgの内容物(キユーピーハーフ、キユーピー(株)製、粘度=1260mPa・s(25℃))を試験片にのせ、45°の傾斜角における滑落挙動をカメラで撮影し、滑落挙動を解析し、移動距離−時間のプロットから滑落速度を算出した。この滑落速度を滑落性の指標とした。前記滑落速度の値が大きい程、内容物の滑落性が優れている。表面層上に液層が安定して形成されており、その液層の厚みが厚くなる程、滑落速度の値が大きくなる。
後述の方法で成形した容量500gのボトルの胴部から20mm×70mmの試験片を切り出した。23℃50%RHの条件下、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、試験片の内層が上になるように固定し、10μLの純水の転落角を測定した。保護樹脂層表面に液層が形成されている場合、純水の転落角の値は5度以下となる。
後述の方法で成形した多層ボトルの底から50mmの位置での胴部水平断面における層構成を偏光顕微鏡にて観察し、ボトルの胴部層構成を求めた。断面に対し、0°、90°、180°、270°の位置での層構成を観察し、4方向での平均値をボトルの層構成とした。
後述の方法で成形した多層ボトルの胴部断面における相構造を、共焦点レーザー走査型顕微鏡(LSM5 PASCAL AxioPlan2、Carl Zeiss社製)を用いて測定した。
線状オレフィン系樹脂;ポリエチレン(LDPE)
MFR:0.3g/10min (190℃、2.16Kg)
密度:0.922g/cm3
環状オレフィン系樹脂(COC);エチレン−テトラシクロドデセン共重合体
MFR:30g/10min (260℃、2.16Kg)
密度:1.02g/cm3
Tg:80℃
<最外層形成用樹脂>
ポリプロピレン(PP)
MFR:1.6g/10min (230℃、2.16Kg)
<接着層形成用樹脂>
無水酸変性ポリエチレン
<酸素バリア性層形成用樹脂>
エチレンビニルアルコール共重合体(密度:1.19g/cm3、Tg:61℃)
<液層形成用液体>
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)(表面張力28.8mN/m、粘度33.8mPa・s、いずれも23℃での値。沸点:210℃以上、引火点:242℃(参考値))
尚、液体の表面張力は固液界面解析システムDropMaster700(協和界面科学(株)製)を用いて23℃にて測定した値を用いた。なお、液体の表面張力測定に必要な液体の密度は、密度比重計DA−130(京都電子工業(株)製)を用いて23℃で測定した値を用いた。また、潤滑液の粘度は音叉型振動式粘度計SV−10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて23℃にて測定した値を示した。
40mm押出機に保護樹脂層形成材料として、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、MFR=0.3)と環状オレフィン系樹脂(COC)と中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)とが100/8.5/5.7(重量部)の割合からなる樹脂組成物を、50mm押出機に最外層形成用樹脂として、ポリプロピレン(MFR=1.6)を、30mm押出機Aに接着層形成用樹脂として無水酸変性ポリエチレンを、30mm押出機Bに酸素バリア性層形成用樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体の樹脂ペレットをそれぞれ供給し、温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、金型温度22℃にて公知のダイレクトブロー成形法により内容量500g、重量20gの5種6層の多層ボトルを作製した。作製したボトルを用い、酸素バリア性測定、液層の被覆率の測定、液層持続試験、内容物滑落速度の測定、純水の転落角測定を行った。結果をまとめて表1に示す。また、保護樹脂層における相構造観察の結果を図2に示す。
保護樹脂層:85μm
接着層:10μm
酸素バリア性樹脂層:25μm
接着層:10μm
最外層:365μm
40mm押出機に保護樹脂層形成材料として、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、MFR=0.3)と環状オレフィン系樹脂(COC)と中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)とが100/14/6(重量部)の割合からなる樹脂組成物とした以外は実験例1と同様に、多層ボトルを作製し、前述の各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
保護樹脂層:80μm
接着層:15μm
酸素バリア性樹脂層:20μm
接着層:10μm
最外層:315μm
40mm押出機に保護樹脂層形成材料として、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、MFR=0.3)と環状オレフィン系樹脂(COC)と中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)とが100/27/6.7(重量部)の割合からなる樹脂組成物とした以外は実験例1と同様に多層ボトルを作製し、前述の各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。また、保護樹脂層における相構造観察の結果を図3に示す。
保護樹脂層:85μm
接着層:15μm
酸素バリア性樹脂層:25μm
接着層:10μm
最外層:355μm
40mm押出機に保護樹脂層形成材料として、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、MFR=0.3)と環状オレフィン系樹脂(COC)と中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)とが100/90/10(重量部)の割合からなる樹脂組成物とした以外は実験例1と同様に多層ボトルを作製し、前述の各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
保護樹脂層:100μm
接着層:10μm
酸素バリア性樹脂層:25μm
接着層:10μm
最外層:330μm
40mm押出機に保護樹脂層形成材料として、環状オレフィン系樹脂(COC)を使用せず、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、MFR=0.3)と中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)とが100/5.3(重量部)の割合からなる樹脂組成物とした以外は実験例1と同様に多層ボトルを作製し、前述の各種測定を行った。結果をまとめて表1に示す。また、保護樹脂層における相構造観察の結果を図4に示す。
保護樹脂層:70μm
接着層:20μm
酸素バリア性樹脂層:20μm
接着層:15μm
最外層:360μm
また、液層被覆率の測定および液層持続試験の結果から、実験例の多層構造体の層構成とすることで、安定的に液層を表面に形成し、長期にわたり維持させることが可能となることが分かる。さらに、純水の転落角測定の結果から、中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)を含む樹脂組成物により保護樹脂層を形成させた実験例1から5においては、それらの転落角が5度以下となっており、保護樹脂層上にMCTの液層が形成されていることも確認できる。
これらのことから、保護樹脂層をLDPEにCOCを分散させた相構造とすることで、保護樹脂層によって多層構造体の水分バリア性が向上し、ボトルの酸素バリア性が向上したと解釈できる。
3:酸素バリア性樹脂層
5:外側樹脂層
7:液層
Claims (6)
- 内面に保護樹脂層が形成されている多層構造を有しており且つ水分を含む内容物が収容される多層構造容器において、
前記保護樹脂層は、100重量部の線状オレフィン系樹脂と、該線状オレフィン系樹脂中に分散された5〜90重量部の環状オレフィン系樹脂とを含み、
前記保護樹脂層の表面には、前記内容物に対する滑り性を向上させるための液体が0.2乃至50g/m2の量で分布して液膜が形成されていることを特徴とする多層構造容器。 - 酸素バリア性樹脂層を中間層として有している請求項1に記載の多層構造容器。
- 前記酸素バリア性樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む請求項2に記載の多層構造容器。
- 前記酸素バリア性樹脂層が、接着剤層を介して或は接着剤層を介さずに前記保護樹脂層に隣接している請求項2または3に記載の多層構造容器。
- 前記酸素バリア性樹脂層の外面側に、線状オレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂の層が設けられている請求項2〜4の何れかに記載の多層構造容器。
- ブロー容器である請求項1〜5の何れかに記載の多層構造容器。
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