JP2015151131A - 水中油型乳化物を内容物とする包装容器 - Google Patents

水中油型乳化物を内容物とする包装容器 Download PDF

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Abstract

【課題】水中油型乳化物が内容物として収容された包装容器について、内容物の排出性を高め、容器内に残存することなく、内容物を排出せしめること。
【解決手段】水中油型乳化物が収容された包装容器であって、該水中油型乳化物が接触する容器内面に、油膜が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マヨネーズに代表される水中油型乳化物を内容物とする包装容器に関する。
プラスチックは、成形が容易であり、種々の形態に容易に成形できることなどから、各種の用途に広く使用されている。特に、容器壁の内面が低密度ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂で形成されたボトル形状のオレフィン系樹脂容器は、内容物を絞り出し易いという観点から、ケチャップなどの粘稠なスラリー状或いはペースト状の内容物を収容するための容器として好適に使用されている。
また、粘稠な内容物を収容するボトルでは、該内容物を速やかに排出するため、或いはボトル内に残存させることなくきれいに最後まで使いきるために、ボトルを倒立状態で保存しておかれる場合が多い。従って、ボトルを倒立させたときには、粘稠な内容物がボトル内壁面に付着残存せずに、速やかに落下するという特性が望まれている。
このような要求を満足するボトルとして、例えば、特許文献1には、最内層が、MFR(メルトフローレート)が10g/10min以上のオレフィン系樹脂からなる多層構造のボトルが提案されている。
この多層構造ボトルは、最内層が油性内容物に対する濡れ性に優れており、この結果、ボトルを倒立させたり、或いは傾斜させたりすると、マヨネーズ等の油性内容物は、最内層表面に沿って広がりながら落下していき、ボトル内壁面(最内層表面)に付着残存することなく、綺麗に排出することができるというものである。
また、ケチャップのような植物繊維が水に分散されている粘稠な非油性内容物用のボトルについては、特許文献2或いは特許文献3に、最内層に滑剤として飽和或いは不飽和の脂肪族アミドが配合されたポリオレフィン系樹脂ボトルが提案されている。
上述した特許文献1〜3は、何れもプラスチック容器について、容器内面を形成する熱可塑性樹脂組成物の化学組成によって内容物に対する滑り性を向上させたものであり、ある程度の滑り性向上は達成されているが、用いる熱可塑性樹脂の種類や添加剤が限定される為、滑り性向上には限界があり、飛躍的な向上は達成されていないのが実情である。
特に、油滴が水に分散する水中油型(0/W型)乳化物を内容物とする場合には、この内容物が完全に排出されず、どうしても容器内に内容物が残存してしまうという問題が顕著であり、さらなる改良が望まれている。
特開2007−284066号公報 特開2008−222291号公報 特開2009−214914号公報 特開平6−345903号
従って、本発明の目的は、水中油型乳化物が内容物として収容された包装容器について、内容物の排出性を高め、容器内に残存することなく、内容物を排出せしめることにある。
本発明者は、内容物と接触する内表面に液層が形成されているプラスチック容器を提案している(例えば、特願2012−199236号、特願2013−23468号及び特願2013−091244号)。
即ち、これらは、何れも内容物と非混和性の液体による液層を形成することにより内容物に対する滑り性を従来公知のものに比して格段に向上させることに成功したものであり、容器を倒立或いは傾倒せしめることにより、容器内壁に付着・残存させることなく、内容物を速やかに容器外に排出することが可能となっている。
本発明は、これらで提案されている液層を容器内面に設けるという技術を水中油型乳化物が内容物として収容された包装容器に適用した技術である。
即ち、本発明によれば、水中油型乳化物が収容された包装容器であって、該水中油型乳化物が接触する容器内面に、油膜が形成されていることを特徴とする包装容器が提供される。
本発明の包装容器においては、
(1)前記水中油型乳化物が、脂質成分を10〜50質量%の量で含むものであること、
(2)前記油膜を形成する油性液体の分子量が、200〜2000の範囲であること、
(3)前記油性液体の表面張力が、16〜40mN/mの範囲であること、
(4)前記油性液体が、食用油、脂肪酸トリグリセライド、フッ素系界面活性剤、或いは、シリコーンオイルであること、
が好適である。
本発明の包装体容器では、後述する実施例の実験例1示されているように、この包装容器に収容されている水中油型乳化物を、容器の内面に付着・残存させることなく排出することができる。
本発明の包装容器の形態の一例を示す図。
<容器材質、形態及び層構造>
本発明の包装容器は、容器内容物が接触する内面に後述する油膜が形成されている限り、容器の材質は、各種プラスチック、紙、金属、ガラス等であってよいが、一般に、少なくとも内面がプラスチックで形成されていることが好ましい。
このような容器内面を形成するプラスチックとしては、一般に、容器内面を形成することが可能であれば特に制限されず、任意のプラスチックで形成されていてよいが、一般的には、容器素材として従来から使用されているポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルやオレフィン系樹脂などが好適であり、特に油膜の下地として最適であると同時に、可撓性に富んだ絞りだしダイレクトブローボトルの成形にも好適であるという点で、オレフィン系樹脂例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどにより形成されることが最も好適である。勿論、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等が最も好適である。また、特開2007−284066号等に開示されている環状オレフィン共重合体も好適である。
本発明の包装容器においては、その内面に油膜が形成される限り、種々の形態を採ることができる。
例えば、紙容器、ガラス容器や金属容器の内面に、前述した油膜の保持に適した前記プラスチック材料で形成されたプラスチックのコーティング層が形成された態様とすることもできるし、さらには、油膜の保持に適した前記プラスチック材料により容器壁が形成された単層構造或いは多層構造のプラスチック容器とすることもできる。
特に容器壁がプラスチックで形成されたプラスチック容器では、油膜の保持に適した前記プラスチック材料により内面層が形成され、中間層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体等からなるガスバリア層を設けた多層構造とすることが好適である。さらには、このような多層構造の容器では、容器を形成する際に生じるスクラップを含むリグラインド層を中間層として設けることもできるし、さらに、多層構造とする場合には、各層との接着性を高めるために、公知の接着剤樹脂層を適宜設けることもできる。
また、容器の形態として、カップ、ボトル状、袋状(パウチ)、シリンジ状、ツボ状、トレイ状等の、容器材質に応じた形態を有していてよく、延伸成形されていてもよい。
このような容器は、前述した各層を含む層構造の前成形体をそれ自体公知の方法により成形し、これを、ヒートシールによるフィルムの貼り付け、プラグアシスト成形等の真空成形、ブロー成形などの後加工に付して容器の形態とすることができる。
図1には、本発明の包装容器の最も好適な形態であるダイレクトブローボトルが示されている。
即ち、図1において、全体として10で示されるこのボトルは、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部壁15及び胴部壁15の下端を閉じている底壁17を有しており、このようなボトル10に後述する水中油型乳化物が内容物として充填され、次いで、首部11の上端開口部にアルミ箔等の金属箔19をヒートシールにより施し、所定のキャップ20を装着することにより、包装容器(ボトル)として使用に供される。かかる包装ボトルでは、キャップ20を開封し、シール材が塗布された金属箔19を引き剥がし、ボトル10を傾倒乃至倒立させることにより、必要により胴部壁15をスクイズすることにより内容物(水中油型乳化物)の取り出しが行われる。かかるボトル10は、胴部壁15をスクイズ可能であるため、特に内容物が高粘性のペースト状であるときにも、容易に排出することができる。
<油膜>
ところで、上記のような包装容器では、容器内に内容物として収容されている水中油型乳化物を速やかに、しかも容器壁に付着・残存することなく、その全量を排出することが求められる。本発明では、このような要求を満足させるため、容器内面に油膜を設けておくわけである。
即ち、上記の油膜は、油性液体により形成されていることが必要である。即ち、容器内面に形成する膜を油膜とすることにより、内容物である液状の水中油型乳化物が油膜に液−液接触して排出されることとなり、油膜の水中油型乳化物に対する撥液性(滑り性)が最大限に発揮され、優れた排出性を確保することが可能となる。例えば、油膜の代わりに水性膜が形成されている場合には、水中油型乳化物が排出する際、水性膜が、水中油型乳化物と混和してしまい、水中油型乳化物と共に排出されてしまう。また、膜が固体状の時には、水中油型乳化物との接触が液−液接触ではなく、固−液接触となってしまい、結果として、膜が撥液性を有するものであったとしても、その撥液性が十分に発揮されず、優れた排出性を得ることができない。
上記のような油膜を形成する油性液体は、当然のことながら、液膜の状態が安定に保持され且つ液膜を形成し得るものでなければならず、これらを考慮して適宜のものが選択される。
例えば、大気圧下での蒸気圧が小さい不揮発性の液体(例えば沸点が200℃以上)であることを条件として、その分子量が200〜2000、特に400〜1000の範囲にあるものが好適である。分子量が過度に低いものは、粘性が低いため、容器内面から流れ落ち易く、膜の状態を安定に保持することが困難となる傾向がある。一方、分子量が必要以上に大きいと、粘性が高く、この結果、内容物(水中油型乳化物)が油膜上を流れ落ちる際の抵抗が大きくなり、この結果、油膜が高い撥液性を有しているとしても、排出性が低下してしまう傾向があるからである。
また、上記油性液体の表面張力は、16〜40mN/m(23℃)の範囲にあることが望ましい。表面張力が極端に小さい液体では、液体自身の疎液性のために(自己疎液性)、安定した油膜を形成することが困難となり、水分を含む水中油型乳化物に対する撥液性が不満足となり、また表面張力が過度に大きい液体では、液膜の形成が困難となるからである。
上記のような観点から、本発明において、油膜を形成する油性液体としては、大豆油、菜種油、オリーブオイル、米油、コーン油、べに花油、ごま油、パーム油、ひまし油、アボガド油、ココナッツ油、アーモンド油、クルミ油、はしばみ油、サラダ油なども食用油もしくは植物油;脂肪酸トリグリセライド;フッ素系界面活性剤;シリコーンオイル;等が好適に使用される。特に、内容物として使用される水中油型乳化物が食品類である場合には、食用油または脂肪酸トリグリセライドがもっとも好適である。また、油膜の物性が上述の範囲内となるようにこれらの油性液体をブレンドしてもよい。
上記のような油性液体からなる油膜は、容器の形態に応じて、スプレー噴霧、浸漬等の手段で容器内面に施すことにより形成することができる。また、場合によっては、容器内面を形成するオレフィン系樹脂等のプラスチック材料に油性液体を混合し、この混合物を用いて容器を形成することにより、容器内面からのブリーディングによって油膜を形成することもできる。
このような油性液体から形成される油膜は、一般に、液量が0.2乃至50g/m、好ましくは0.2乃至30g/m、さらに好ましくは0.5至30g/m、格段に好ましくは0.5乃至10g/mの範囲となるように形成される。即ち、液量が少ないと、十分な表面特性を付与することができず、一方、液量が過度に多いと、液の脱落などを生じ易くなり、液量の変動が大きくなり、安定した表面特性を確保することができなくなるおそれがあるからである。
また、本発明においては、このような油膜は、その表面特性を安定に且つムラなく付与するために、下記式(1):
F=(cosθ−cosθ)/(cosθ−cosθ) (2)
式中、
θは、油膜が形成されている容器の内面について大気圧中で測定された水接触角
であり、
θは、油膜を形成する油性液体について、大気圧中で測定された水接触角であ
り、
θは、油膜を支持する容器内面(即ち、プラスチックの下地面)について、大
気圧中で測定された水接触角である、
で算出される液層の被覆率Fが0.5以上、好ましくは0.6以上となるように形成されるべきである。即ち、容器の内表面での水接触角θと油膜上での水の接触角θが同じである場合には、被覆率Fは1.0であり、容器の内面(プラスチックの下地)の全体が油膜で覆われていることになる。
例えば、被覆率Fが上記範囲よりも小さいと、液量が多量にあっても、表面に油性液体が点在するような形態で油膜が形成され、十分な表面特性を発揮することが困難となってしまう。
尚、本発明においては、油膜の脱落を効果的に防止し、油膜をより安定に保持するために、親油性表面層の表面を、油性液体が有効に浸透しうるような適度な凹凸面とすることもできる。即ち、油性液体が効果的に浸透し得る凹凸面は、油性液体の接触角θが90度未満であり、毛管現象が重力に比して支配的となる面である。
毛管現象が支配的である範囲は毛管長(τ−1)と呼ばれ、下記式で表される。
τ−1=(γa/ρg)1/2
式中、γaは、油性液体と気体(空気)との間の界面張力であり、
ρは油性液体の密度であり、
gは重力加速度である。
即ち、毛管長(τ−1)以下の範囲内においては重力に比べ、毛管現象(毛管力)が支配的となる。この毛管長は、上記式から理解されるように、親油性表面層の材質にかかわらず、液によって一定であり、従って、液浸透性の凹凸面とするためには、凹部の内径を毛管長(τ−1)以下に設定すればよい。この毛管長は、油膜を形成する油性液体の種類によって異なるが、多くの油性液体で1mmを超える範囲にあるので、1mm以下の内径を有する凹部を親水性表面層の表面全体にわたって分布しておけばよい。この場合、凹部の深さやピッチ及び凹部の密度(単位面積当りの凹部の数)などは、油性液体の種類によっても異なるが、通常、油膜を形成している油性液体の量が0.2乃至50g/m、好ましくは0.2乃至30g/m、さらに好ましくは0.5至30g/m、格段に好ましくは0.5乃至10g/mの範囲に維持されるように設定しておけばよい。
上記のような凹凸面を形成する手段としては、例えば、容器内面に、微粒子(金属酸化物微粒子やポリマー微粒子)や多孔質体、結晶性添加剤などをコートして凹凸面を形成することもできるし、このような剤を、容器内面を形成する樹脂やガラスに練り込み等により混合して容器を成形することにより凹凸面を形成することができる。
<水中油型乳化物>
本発明の包装容器においては、内容物として、油滴が水中に分散している水中油型乳化物が使用される。かかる乳化物は、例えば、日本農林規格(JAS)によりマヨネーズとして定められている食品や半固体状ドレッシングなどが代表的であるが、このような乳化物は、特に容器内に付着残存してしまい、その全量を排出することが困難であり、全量を使い切ることができず、排出されずに容器内に残ってしまう量が多いという問題のあるものである。
本発明の包装容器は、このような水中油型乳化物を内容物として収容されているが、前述した油膜の形成により、その排出性が著しく高められている。水中油型乳化物の代表的な状態は、水相中に油滴が分散した形態(O/W型)であるが、水相中に油滴が分散しており、さらにこの分散した油滴中に水相を有する水中油中水型乳化物(W/O/W型)も挙げられる。本発明においては、いずれの形態でも、油膜との親和性を低くできるため十分な撥液性が発揮可能である。
例えば、分散形態が逆の油中水型乳化物は、油分の特性が表面に多く反映されることに関連して、本発明による油膜ではその排出性を高めることができない。油膜と乳化物の親和性が高く、十分な撥液性を発揮させることができないからである。
また、本発明では、特に水中油型乳化物中の脂質含量が10〜50%、特には20〜40%の範囲にあることが望ましく、後述する実験例からも理解されるように、脂質含量がこの範囲内にあるものに対して、著しく優れた排出性向上効果が発揮される。例えば、脂質含量が上記範囲よりも少ないものは、水分量が多いことにも関連して、元々、高い排出性を示し、本発明による排出性向上効果は小さい。また、脂質含量が上記範囲よりも多いものでは、油分含量が多いことにも関連して、油膜との親和性が高く、このため、油膜の撥液性が小さく、やはり、油膜による排出性向上効果が小さい。
尚、水中油型乳化物中に含まれる油分としては、特に制限されず、例えば蜜蝋、木蝋、カルナバ蝋、カカオ脂、オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、ヤシ油、パーム油、菜種油、綿実油、大豆油、マッコウ鯨油、豚脂、牛脂、ロジンなどの植物及び動物性の油脂又は蝋、これらの油脂を加水分解又はエステル交換したモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの合成又は天然の飽和及び不飽和脂肪酸、更にラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、などの飽和又は不飽和アルコール、前述の脂肪酸とアルコールからなるエステルなどであってよく、2種以上の油分を含んでいるものであってもよい。
本発明の包装容器において、内容物として使用される水中油型乳化物として特に好適なものは、前述したマヨネーズや、サラダクリーミードレッシング、マヨネーズ及びサラダクリーミードレッシング以外の半固体状ドレッシングなど、特に粘度(23℃)が500mPa・s以上の高粘性のペースト状のものである。
本発明では、容器内面に油膜が設けられるため、上記のような水中油型乳化物が内容物として収容されているにもかかわらず、優れた排出性が安定に発揮される。
本発明を次の実施例にて説明する。
尚、以下の実施例等で行った各種の特性、物性等の測定方法及び包装体(ボトル)の成形に用いた樹脂等は次の通りである。
1.液体被覆率の測定
後述の方法で成形した容量500gのボトルの胴部から10mm×60mmの試験片を切り出した。23℃50%RHの条件下、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、試験片の内層が上になるように固定し、3μLの純水を試験片にのせ、水接触角θを測定した。得られた水接触角を用いて、下記式(1)より、ボトル内面の潤滑液の被覆率Fを求めた。
F=(cosθ−cosθ)/(cosθ−cosθ) (1)
θは、油膜が形成されている容器の内面について大気圧中で測定された水接触角
であり、
θは、油膜を形成する油性液体について、大気圧中で測定された水接触角であ
り、
θは、油膜を支持する容器内面(即ち、プラスチックの下地面)について、大
気圧中で測定された水接触角である。
油性液体の被覆率Fを求めるにあたり、θとθの値として、下記水接触角の値を用いた。
θ:80.3°
(中鎖脂肪酸トリグリセライドの液膜上での値)
θ:液体を含まずに最内層を有する多層ボトルを後述の実験例とは別途作製し、そ
の値を用いた。
2.ボトル形状での残存量試験
内容物として下記のAからDの水中油型乳化物を用いた。
水中油型乳化物A:脂質含有量=74.7%、粘度=2500mPa・s
水中油型乳化物B:脂質含有量=73.3%、粘度=2100mPa・s
水中油型乳化物C:脂質含有量=34.0%、粘度=1260mPa・s
水中油型乳化物D:脂質含有量=24.0%、粘度=1680mPa・s
なお、粘度は音叉型振動式粘度計SV−10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて25℃で測定した値である。
後述の方法で成形した容量500gのボトルに内容物として、水中油型乳化物A〜Dを20℃で500g充填した。
内容物充填後のボトルからシール箔を剥がし、キャップを装着して20℃にて400gの内容物を取り出した後、ボトルを倒立させて室温下で2時間放置した。
2時間放置後、ボトルを倒立した状態にして、胴部を押し、内容物を取り出す操作を2分毎に繰り返し、30分後の重量(残存内容物重量+ボトル重量)を測定した。測定後、ボトル内部に残存した内容物を水洗浄し、洗浄後のボトル重量を測定し、得られた重量の差分を求め、残存量とした。残存量が少ない程、包装体内面での滑り性に優れ、内容物が効率的に使用できる。
3.ボトル内層比測定
後述の方法で成形した多層ボトルの底から50mmの位置での胴部水平断面における層構成を偏光顕微鏡にて観察し、ボトルの胴部層構成を求めた。断面に対し、0°、90°、180°、270°の位置での層構成を観察し、4方向での平均値をボトルの層構成とした。
<実験例1>
各種層を形成する樹脂ならびに内面に液層を形成するための油性液体として、以下のものを用意した。
最内層形成用樹脂;
高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR:0.3/10min (190℃、2.16Kg)
密度:0.922g/cm
環状オレフィン系樹脂(COC);エチレン−テトラシクロドデセン共重合体
MFR:30g/10min (260℃、2.16Kg)
密度:1.02g/cm
Tg:80℃
最外層形成用樹脂;
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR:0.3g/10min
密度:0.92g/cm
第2外層用樹脂;
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR:0.3g/10min
密度:0.92g/cm
接着剤層形成用樹脂;
無水マレイン酸変性ポリエチレン
ガスバリア層形成用樹脂;
エチレンビニルアルコール共重合体
密度:1.19g/cm
Tg:69℃
油膜形成用油性液体;
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
表面張力:28.8mN/m(23℃)
粘度:33.8mPa・s(23℃)
沸点:210℃以上(引火点:242℃(参考値))
分子量:504
尚、液体の表面張力は固液界面解析システムDropMaster700(協和界面科学(株)製)を用いて23℃にて測定した値を用いた。なお、液体の表面張力測定に必要な液体の密度は、密度比重計DA−130(京都電子工業(株)製)を用いて23℃で測定した値を用いた。また、潤滑液の粘度は音叉型振動式粘度計SV−10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて23℃にて測定した値を示した。
40mm押出機に、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、MFR=0.3)と環状オレフィン系樹脂(COC)と中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)とが100/14/6(重量部)の割合からなる樹脂組成物のペレット、30mm押出機Aに最外層形成用樹脂ペレット、50mm押出機に第2外層形成用樹脂ペレット、30mm押出機Bに接着剤層形成用樹脂ペレット、及び30mm押出機Cにガスバリア層形成用樹脂ペレットをそれぞれ供給し、温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、金型温度20℃にて公知のダイレクトブロー成形法により、内容量500g、重量20gの5種6層の多層ボトルを作製した。
作製したボトルを用い、前述の液体被覆率の測定、ボトル形状での残存量試験を行った。結果をまとめて表1に示す。
このボトルの胴部層構成は以下の通りである。
最外層:40μm
第2外層:250μm
接着材層:10μm
ガスバリア層:20μm
接着材層:10μm
最内層:80μm (最内層比20%)
<実験例2>
最内層形成樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン(MFR=0.3)とを用意した。
最内層形成用樹脂を、上記の樹脂に変更した以外は実験例1と同様に多層ボトルを成形した。作製したボトルを用い、前述のボトル形状での残存量試験を行った。結果をまとめて表1に示す。
このボトルの胴部層構成は以下の通りである。
最外層:60μm
第2外層:250μm
接着材層:10μm
ガスバリア層:20μm
接着材層:10μm
最内層:80μm (最内層比19%)
Figure 2015151131
表1より、ボトル内面に油膜を形成させた実験例1は、油膜を形成させていない実験例2と比較して、水中油型乳化物AからDの全ての内容物の残存量が低減できており、包装容器内面に油膜を形成させることが内容物の残存量低減に効果があることが分かる。
また、ボトル内面に油膜を形成させることにより、脂質含有量が70%以上である水中油型乳化物では最大で10.6gの残存量が低減可能であるが、脂質含有量が10〜50%の範囲である水中油型乳化物では、油膜の形成により、最大で44.3gの内容物の残存量低減が可能となっており、容器内面に油膜を形成することにより、特に、脂質含有量が10〜50%の範囲にある水中油型乳化物の残存量の低減に多大な効果が発揮できることが分かる。

Claims (5)

  1. 水中油型乳化物が収容された包装容器であって、該水中油型乳化物が接触する容器内面に油膜が形成されていることを特徴とする包装容器。
  2. 前記水中油型乳化物が、脂質成分を10〜50質量%の量で含むものである請求項1に記載の包装容器。
  3. 前記油膜を形成する油性液体の分子量が、200〜2000の範囲である請求項1または2に記載の包装容器。
  4. 前記油性液体の表面張力が、16〜40mN/mの範囲である請求項3に記載の包装容器。
  5. 前記油性液体が、食用油、脂肪酸トリグリセライド、フッ素系界面活性剤、或いは、シリコーンオイルである請求項4に記載の包装容器。
JP2014023425A 2014-02-10 2014-02-10 水中油型乳化物を内容物とする包装容器 Active JP6375632B2 (ja)

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