JP2013010541A - プラスチックボトル - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物に対する滑落性に優れたプラスチックボトルを提供する。
【解決手段】プラスチックボトルは、内容物と接する基材樹脂に、HLB値が1未満の界面活性剤と不飽和脂肪酸アミドとを混合してなる滑剤が添加されている。これにより、滑剤をブリードアウトし易くすることができ、内容物に対する滑落性に優れたプラスチックボトルを得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、内容物の滑り性が良好で内容物を容易に排出することのできるプラスチックボトルに関する。
プラスチック製のボトルは、成形が容易であり安価に製造できるなどの観点から、各種の用途に広く使用されている。例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂層で形成しているプラスチックボトルは、粘稠なスラリー状、或いは、ペースト状の物質を収容するための容器として使用されている。
上記のプラスチックボトルは、滑り性を付与して耐ブロッキング性を向上させ、生産ラインでの搬送工程でのボトル同士のくっつき、或いは、ボトルと搬送ベルトなどの搬送材との接着などの不都合を防止することが必要である。
このため、例えば、特許文献1:特許第2627127号公報には、ボトルを構成する基材樹脂に、不飽和脂肪族アミド(例えば、オレイン酸アミド)などの低融点の脂肪酸アミドと、飽和脂肪族アミド(例えば、ステアリン酸アミドやベヘニン酸アミド)などの高融点の脂肪酸アミドと、を滑剤として配合することが提案されている。
また、特許文献2:特開2009-214914号公報には、ボトルを構成する最内層に、不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族アミドとを滑剤として配合することが提案されている。
特許第2627127号公報 特開2009−214914号公報
しかし、プラスチックボトルを構成する最内層に、不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族アミドとを滑剤として配合しても、内容物に対する滑落性が未だ不十分であるため、更なる改良が必要視されているのが現状である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内容物に対する滑落性に優れたプラスチックボトルを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。
本発明にかかるプラスチックボトルは、
内容物と接する基材樹脂に、HLB値が1未満の界面活性剤と不飽和脂肪酸アミドとを混合してなる滑剤が添加されていることを特徴とする。
本発明によれば、内容物に対する滑落性に優れたプラスチックボトルを得ることができる。
本実施形態のプラスチックボトルの滑り速度の測定結果を示す図である。
<本実施形態のプラスチックボトルの概要>
まず、本実施形態のプラスチックボトルの概要について説明する。
本実施形態のプラスチックボトルは、多層構造または単層構造のプラスチックボトルである。本実施形態のプラスチックボトルは、少なくとも多層構造の最内層を構成する基材樹脂、または、単層構造の単層を構成する基材樹脂(内容物と接する基材樹脂)に、HLB値が1未満の界面活性剤と不飽和脂肪酸アミドとを混合してなる滑剤が添加されている。なお、最外層にも同様に本滑剤を混入することで、ボトル成形時におけるボトル同士の滑り性を向上させ、走行性を向上させることが可能である。
本実施形態のプラスチックボトルは、従来から一般的に用いられてきた脂肪族アミド系の界面活性剤だけから構成される滑剤ではなく、HLB値が1未満の界面活性剤と、不飽和脂肪酸アミドと、を混合してなる滑剤を添加することにしている。これにより、滑剤をブリードアウトし易くすることができ、内容物に対する滑落性に優れたプラスチックボトルを得ることができる。以下、本実施形態のプラスチックボトルについて詳細に説明する。
<プラスチックボトルの構成例>
本実施形態のプラスチックボトルは、ポリオレフィン系樹脂で形成された最外面層及び最内面層と、その最外面層と最内面層との間にバリア性の機能を有する中間層と、が存在する多層構造で構成する。本実施形態のプラスチックボトルは、最外面層及び最内面層に、本実施形態特有の滑剤が含まれており、その滑剤により、内容物に対する滑落性に優れ、且つ、ボトル同士のスリップ性にも優れたプラスチックボトルを得ることを可能にしている。
<中間層>
本実施形態の中間層は、滑剤を配合せずに形成している。本実施形態の中間層を形成する樹脂としては、成形可能な任意の熱可塑性樹脂を用いることができ、ガスバリア性を有する樹脂であることが好ましい。中間層としては、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物)や芳香族ポリアミドなどを用いることができ、特に、エチレンビニルアルコール共重合体は、優れた酸素バリア性を示すため、酸素透過による内容物の酸化劣化を有効に抑制することができ、優れた滑落性を維持せしめると同時に、優れた内容物保存性を確保することができる。
上記のエチレンビニルアルコール共重合体としては、一般に、エチレン含有量が20〜60モル%、特に、25〜50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に、99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適である。
また、ガスバリア性樹脂を中間層として用いる場合は、内外層との接着性を高め、デラミネーションを防止するために、接着剤樹脂層を介して中間層を設けることが好ましい。これにより、中間層をしっかりと内外層に接着固定することができる。接着樹脂層の形成に用いる接着剤樹脂は公知の樹脂が適用可能である。
<最外面層、最内面層>
本実施形態の最外面層及び最内面層は、例えば、ポリオレフィン系樹脂から形成される。最外面層及び最内面層形成用のポリオレフィン系樹脂としては、特に限定せず、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどが適用可能である。また、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等も適用可能である。なお、ボトルにスクイズ性を付与し、ボトル内容物を絞り出しによりボトルから取り出すようにするには、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンが好適に使用することができる。
本実施形態の最外面層や最内面層の厚みは、各層の機能が効果的に発揮され、且つ、必要以上に厚くならない程度に設定することが好ましい。例えば、最外面層では、その表面に滑剤成分が効果的にブリードアウトし、優れた搬送性が確保でき、最内面層は、その表面に滑剤成分が効果的にブリードアウトし、優れた滑落性が確保でき、しかも、ボトル全体の厚みが不必要に厚くならない程度に、ボトルの層構造に応じて適宜設定する。
<滑剤>
滑剤となる界面活性剤として本実施形態では、HLB値が1未満の界面活性剤と、不飽和脂肪酸アミドと、を混合してなる滑剤を用いている。本構成により、滑剤のブリードアウト性が良好であると共に、内容物、特にケチャップなどの油性内容物に対する落下性が良好であり、内容物の排出性能を良好に維持することができる。
複数の界面活性剤で構成する滑剤の含有量は、0.05〜5重量%、特に、0.1〜1重量%の範囲が好適である。即ち、この範囲よりも少量の場合は、最外面層の表面にブリードアウトする滑剤の量が少なくなるため、良好な滑り性が付与されず、従って、ボトルの搬送性も低下してしまう。また、滑剤が上記範囲よりも多量に配合した場合には、ブリードアウト量が多すぎ、ボトル成形時にラインを汚したり、内容物の味などに影響を与えてしまったりすることになる。
また、上述した量の滑剤を含む滑剤含有層は、上述した中間層よりも外側や内側に位置する層に形成されていればよく、例えば、最外面層に隣接する層をさらに設け、その隣接層に、滑剤を添加させることもできる。即ち、この滑剤含有層が最外面に位置している場合は、ボトルの成形時に滑剤が表面にブリードアウトしてしまうことに起因し、ボトル外面にブツの発生などが生じ、ボトルの外観が損なわれてしまうことがある。しかし、最外面層に隣接する層を滑剤含有層にすることで、ボトル成形時には滑剤含有層が最外面層によって封止されるため、ボトル外面でのブツの発生を確実に防止することができる。また、ボトル成形後は、その後の経時により、滑剤が最外面層の表面に速やかにブリードアウトして良好な滑り性が付与され、優れたボトル搬送性を確保することができる。
滑剤含有層を最外面層に隣接する位置に設ける場合において、その層形成用の樹脂としては、最外面層の形成に用いたポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。他の樹脂を用いる場合には、最外面層と滑剤含有層との接着力が低下してデラミネーションを生じるおそれがあり、また、このような不都合を防止するために接着剤樹脂層を設けると、コストの増大を招くばかりか、接着剤樹脂層により滑剤含有層から最外面層への滑剤の移行が低下するおそれも生じてしまうためである。
また、上記の場合においては、ボトルの成形時に発生するリプロ(スクラップ樹脂)をバージンのポリオレフィン系樹脂とブレンドして滑剤含有層形成用の樹脂として用いることも可能である。この場合、成形性を維持しつつ、資源の再利用化を図るという観点から、リプロの量は、バージンのポリオレフィン系樹脂(例えば、前述した超低密度直鎖ポリエチレン)100重量部当り10〜60重量部程度にすることが好ましい。
<層構成例>
本実施形態のプラスチックボトルは、種々の層構成例を採り得るが、最もシンプルな層構成例としては、接着剤樹脂層をADとして、最外面層/AD/ガスバリア層/AD/最内面層の層構成例を挙げることができ、最も好適な層構成例としては、最外面層/AD/滑剤遮断層/AD/リプロ層/最内面層の層構成例を挙げることができる。リプロ層は、本実施形態のプラスチックボトルの成形時に発生するリプロ(スクラップ樹脂)とバージンのポリオレフィン系樹脂とを層形成用樹脂として用いた層である。
なお、上述した各層には、各層に要求される特性を損なわない範囲において、それ自体公知の各種の配合剤、例えば、顔料、紫外線吸収剤等を必要により配合することが可能である。また、上記では、多層構造のプラスチックボトルについて説明したが、単層構造のプラスチックボトルにすることも可能である。
<プラスチックボトルの成形及び用途>
本実施形態のプラスチックボトルは、公知の成形方法で成形することが可能であり、例えば、ブロー成形、射出成形などにより成形することができる。
本実施形態のプラスチックボトルは、例えば、ケチャップ、各種のソース、液状糊、マヨネーズなどの粘稠性(例えば、25℃での粘度が100cps以上のもの)の内容物を収納するのに好適である。このような粘稠な内容物は、ボトル内面に付着残存することなく、ボトル外に排出し得るような特性が望まれるためである。さらに、本実施形態では、このような粘稠な内容物の中でも、ケチャップ、ソース、マスタードなどの非油性の食品類に好適に適用することができる。このような食品類は、殺菌を兼ねて、熱間充填(通常、80〜90℃)されるが、上述したように、本実施形態のボトルは、このような熱履歴を受けた場合にも、優れた内容物の滑落性を維持することができる。
即ち、本実施形態のプラスチックボトルは、内容物が粘稠であったとしても、内容物をスムーズに落下させて排出することができる。また、ボトル外面への滑剤のブリードアウトにより滑り性が付与されるため、ボトルの搬送時に、ボトル同士のくっつきやボトルと搬送材との接着も有効に防止することができる。さらに、最外面層に隣接した位置に界面活性剤が配合された滑剤含有層が設けられている層構造が採用されている場合には、成形時におけるボトル外面でのブツの発生なども有効に防止することができる。
次に、本実施形態のプラスチックボトルの実施例について説明する。なお、以下に示す実施例は一例であり、本実施形態のプラスチックボトルは以下の実施例に限定するものではない。
本実施例では、後述する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルを成形した。そして、成形後のプラスチックボトルを切り開き、ボトル内面側を表側とした試料シートを作成した。そして、トマトケチャップの滑り速度を測定した。
(実施例1)
低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂として使用し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)=600ppm/400ppm(1000ppm)で構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルAを成形した。
(実施例2)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)=900ppm/100ppm(1000ppm)で構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルBを成形した。
(実施例3)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)=6000ppm/4000ppm(10000ppm)で構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルCを成形した。
(比較例1)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、滑剤を添加しなかった基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルDを成形した。
(比較例2)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルEを成形した。
(比較例3)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、グリセリン脂肪酸エステル(A2)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルFを成形した。
(比較例4)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、ポリグリセリン(A3)/エチレンオキサイド硫黄化物混合物(C)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルGを成形した。
(比較例5)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、オレイン酸アミド(B1)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルHを成形した。
(比較例6)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、エルカ酸アミド(B2)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルIを成形した。
(比較例7)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、ステアリン酸アミド(B3)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルJを成形した。
(滑り速度の測定)
実施例1〜3、比較例1〜7において成形したプラスチックボトルA〜Jから試料シートを作製し、トマトケチャップを用いて滑り速度の測定を行った。室温23℃で、1gのトマトケチャップを成形1週間後の試料シートに塗布し、この試料シートを55°傾斜させて、トマトケチャップが30mmの距離を移動する時間を測定して滑り速度(mm/min)を求めた。滑り速度の測定結果を図1に示す。
(滑り状態の判定)
トマトケチャップの滑りの状態判定は、上記の滑り速度の測定において、トマトケチャップが30mmの距離を移動した際の試料シートの状態及びトマトケチャップの状態を目視で判定した。滑り状態の判定結果を図1に示す。但し、図1に示す滑り状態は、試料シートにトマトケチャップの痕跡がある場合を×とした。また、試料シートにトマトケチャップの痕跡はないがトマトケチャップの形状に移動前後で変化がある場合を△とした。また、試料シートにトマトケチャップの痕跡がなく、トマトケチャップの形状に移動前後で変化がない場合を○とした。
図1は、実施例1〜3、比較例1〜7のトマトケチャップの滑り速度の測定結果、及び、滑り状態の判定結果を示したものである。
図1に示すように、滑剤を添加しないで成形したプラスチックボトルD(比較例1)のトマトケチャップの滑り速度は20mm/minであり、滑り状態は、×であった。また、1000ppmのグリセリントリ脂肪酸エステル(A1)のみを添加して成形したプラスチックボトルE(比較例2)のトマトケチャップの滑り速度は21mm/minであり、滑り状態は、×であった。また、1000ppmのグリセリン脂肪酸エステル(A2)のみを添加して成形したプラスチックボトルF(比較例3)のトマトケチャップの滑り速度は43mm/minであり、滑り状態は、△であった。また、1000ppmのポリグリセリン(A3)/エチレンオキサイド硫黄化物混合物(C)を添加して成形したプラスチックボトルG(比較例4)のトマトケチャップの滑り速度は32mm/minであり、滑り状態は、×であった。また、1000ppmのオレイン酸アミド(B1)のみを添加して成形したプラスチックボトルH(比較例5)のトマトケチャップの滑り速度は46mm/minであり、滑り状態は、△であった。また、1000ppmのエルカ酸アミド(B2)のみを添加して成形したプラスチックボトルI(比較例6)のトマトケチャップの滑り速度は30mm/minであり、滑り状態は、×であった。また、1000ppmのステアリン酸アミド(B3)のみを添加して成形したプラスチックボトルJ(比較例7)のトマトケチャップの滑り速度は23mm/minであり、滑り状態は、×であった。
これに対し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との複合物を添加して成形したプラスチックボトルA〜C(実施例1〜3)のトマトケチャップの滑り速度は70mm/minを超えた。更に、滑り状態は、○であった。また、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)の添加量の増加と共にトマトケチャップの滑り速度は高くなり、900ppm/100ppmのグリセリントリ脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)の比率では、84mm/minとなり、6000ppm/4000ppmのグリセリン脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)の比率では、92mm/minとなった。
図1の結果から明らかなように、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)(比較例2)や、オレイン酸アミド(B1)(比較例5)などの単体の滑剤を添加するのではなく、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との複合物(実施例1〜3)の滑剤を添加することで、トマトケチャップの滑り速度が向上すると共に、滑り状態も良好になることが判明した。
通常であれば、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)とを複合した場合は、トマトケチャップの滑り速度は、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)単体の場合(比較例2)のトマトケチャップの滑り速度の値(21mm/min)と、オレイン酸アミド(B1)単体の場合(比較例5)のトマトケチャップの滑り速度の値(46mm/min)と、の間の範囲になるのが一般的である。しかし、本実施例の試験結果から、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)とを複合した場合は、トマトケチャップの滑り速度は、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)単体の場合(比較例2)のトマトケチャップの滑り速度の値(21mm/min)や、オレイン酸アミド(B1)単体の場合(比較例5)のトマトケチャップの滑り速度の値(46mm/min)よりも飛躍的に向上することが判明した。
なお、上記実施例では、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との添加量の割合を実施例1〜3のように変更した場合について例示した。しかし、図1の結果から明らかなように、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との複合物の滑剤を添加することで、その添加量の割合に関わらず、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)単体や、オレイン酸アミド(B1)単体の滑剤を添加するよりも滑り速度が向上すると共に、滑り状態も良好になることは言うまでもない。即ち、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との添加量を製品の条件等に応じて適宜変更しても、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との複合物の滑剤を添加することで、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)単体や、オレイン酸アミド(B1)単体の滑剤を添加するよりも滑り速度が向上すると共に、滑り状態も良好になることは明らかである。
また、上記実施例では、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との総添加量を実施例1〜3のように変更した場合について例示した。しかし、グリセリン脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との添加量を変更した場合も、上述した実施例1〜3と同様な効果を奏することは言うまでもない。また、オレイン酸アミド(A1)ではなく不飽和脂肪酸アミドに属するものを適用した場合も、上述した実施例1〜3と同様な効果を奏することは言うまでもない。
なお、上述した実施形態及び実施例は、本発明の好適な実施形態及び実施例であり、上記実施形態及び実施例のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、基材樹脂に滑剤を添加することにした。しかし、基材樹脂に滑剤を塗布することも可能である。滑剤を塗布した基材樹脂であっても、内容物に対する滑落性に優れているプラスチックボトルを得ることができる。

Claims (5)

  1. 内容物と接する基材樹脂に、HLB値が1未満の界面活性剤と不飽和脂肪酸アミドとを混合してなる滑剤が添加されていることを特徴とするプラスチックボトル。
  2. 前記HLB値が1未満の界面活性剤は、グリセリントリ脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1記載のプラスチックボトル。
  3. 前記不飽和脂肪酸アミドは、オレイン酸アミドであることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチックボトル。
  4. 非油性の内容物を収容することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
  5. 複数の樹脂を用いた多層構造からなり、最外層を構成する基材樹脂に、前記滑剤が添加されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
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