JP5573377B2 - 多層プラスチック容器 - Google Patents
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Description
この多層構造ボトルは、特にマヨネーズのような油脂分を含有する油性内容物を収容するために使用されるものであり、最内層が油性内容物に対する濡れ性に優れており、この結果、ボトルを倒立させたり、或いは傾斜させたりすると、マヨネーズ等の油性内容物は、最内層表面に沿って広がりながら落下していき、ボトル内壁面(最内層表面)に付着残存することなく、綺麗に排出することができるというものである。
ック容器において、
該容器の内面について、反射法によるX線回折測定を行ったときに得られるX線プロフ
ァイル(2θ/θ)は、容器内面にブリーディングした滑剤の多分子層構造に由来のピー
クを有しており、該ピーク中の最大強度を示すピークの半値幅が0.05乃至0.3の範
囲にあり、
密度が1.00g/cm 3 以上且つガラス転移点(Tg)が35℃以上の樹脂からなる滑剤遮断層を中間層として有し、前記滑剤遮断層よりも内側にある樹脂中に含まれる脂肪族アミドの平均濃度が、0.06質量%以上であることを特徴とする多層プラスチック容器が提供される。
(1)前記最大強度を示すピークの半値幅が0.05乃至0.15の範囲にあること、
(2)前記滑剤として脂肪族アミドが使用されていること、
(3)前記滑剤遮断層よりも内側には、少なくとも2つの層を有していること、
(4)前記滑剤遮断層よりも内側の各層には、各層の樹脂に対する脂肪族アミドの濃度が
異なるように配合されていること、
(5)最内層に隣接する層が、最内層に比して脂肪族アミドの濃度が小さいこと、
(6)最内層が、最内層に隣接する層に比して脂肪族アミドの濃度が小さいこと、
(7)前記滑剤が不飽和脂肪族アミドであること、
(8)前記不飽和脂肪族アミドがオレイン酸アミドであること、
(9)前記多層プラスチック容器が非油性内容物用であること、
が好適である。
本発明においては、容器最内層のオレフィン系樹脂層には滑剤が配合されており、この滑剤のブリーディングにより容器内面に滑剤多分子層構造が形成され、この結果、粘稠な内容物、特にケチャップ等の非油性内容物に対する滑落性が向上し、例えばボトルを倒立保持させたときに速やかに粘稠な内容物を口部側に滑落させることができるわけである。
即ち、滑剤として脂肪族アミド等の両親媒性化合物を用いた場合、その分子は、親水性の極性基(アミド基)と疎水性の非極性基(炭化水素基)とを有しており、特にアミド基中の酸素原子と水素原子との間で水素結合が形成可能となっている。従って、図1の模式図に示されているように、最内層の表面にブリーディングした脂肪族アミド分子は、水素結合による極性基間の引力と、ファンデルワールス力による引力とにより多分子層を形成するものと思われる。このため、ケチャップ等の非油性の粘稠な内容物は、脂肪族アミドの多分子層上を滑落していくこととなる。この脂肪族アミドの多分子層における内容物側の表面は緻密な炭化水素基で覆われており、内容物と表面との相互作用が低減されていると思われる。また、この表面の緻密な炭化水素基は短いタイムスケールで分子運動をしていると思われる。したがって、表面と内容物(特に非油性内容物)との相互作用の低減、および、炭化水素基の短いタイムスケールの分子運動により、内容物との非付着性が発現すると考えられる。この結果として、ボトルを倒立保持したとき、粘稠な内容物は速い速度で滑落していき、優れた滑落性を示すものと信じられる。例えば、滑剤としてステアリン酸などの脂肪酸やパラフィンワックスなどは、このような多分子層を形成しないため、ボトルを倒立保持したときの滑落速度は遅く、粘稠な内容物の滑落性を向上させる機能はほとんど示さない。
また、主ピークの半値幅は、0.05が限界であり、これよりも小さい半値幅の主ピークを発現させることは困難である。
尚、半値幅とは、周知の如く、ピーク高さの1/2の点でのピーク幅を意味する。
1.最内層用の滑剤;
上記の説明から理解されるように、本発明の多層プラスチック容器では、容器内面に位置する最内層のオレフィン系樹脂層に滑剤が配合されるが、かかる滑剤としては、前述した多分子層構造を容易に形成し得る脂肪族アミドが使用される。
上記の飽和脂肪族アミドは、特に非油性内容物を上記のような熱間充填する場合に適している。これらの飽和脂肪族アミドは、不飽和脂肪族アミドに比して高融点であり、分子の熱運動性が低く、ブリーディングし難いが、熱間充填時での加熱によりブリーディングが促進され、しかも、多分子層構造が熱間充填時により崩壊し難いからである。
本発明の多層プラスチック容器では、最内層のオレフィン系樹脂層に滑剤が配合されるが、これとは別に、ボトル外面に滑り性を付与し、ボトル搬送に際して、ボトル同士の粘着を防止してボトルの搬送を高めるために、最外層(或いは、最外層に隣接する層)に滑剤を配合することができる。このような滑剤としては、種々の公知のものを使用することができ、例えば、前述した脂肪族アミド以外に、
(イ)流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワック
ス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、
(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、
(ハ)ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等
の脂肪酸エステル系のもの、
(ニ)セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、
(ホ)ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケン、
(ヘ)ポリオルガノシロキサン、
などを挙げることができ、これらは、1種単独或いは2種以上を混合して使用することもできる。特にブリーディング性が良好であるという点で、脂肪族アミドが好適であり、中でもオレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪族アミドが低融点であり、最もブリーディングし易く、上記の目的には最適である。
に配合された脂肪族アミドのブリーディングによる多分子層の形成に悪影響を及ぼさない
ように使用することが必要であり、このために、最内層とは別個の最外層或いは最外層に
隣接する層に、これらの滑剤を配合し、これらの滑剤を、最外層表面に選択的にブリーデ
ィングするように用いることが好ましい。例えば、最外層或いは最外層に隣接する隣接層
中に0.01〜0.5質量%、特に0.02〜0.1質量%の量で配合されるのがよい。
本発明のプラスチック容器は多層構造とし、容器内面の最内層のオレフィン系樹脂層に滑剤が配合されている。即ち、多層構造とすることにより、容器内面(最内層表面)への滑剤のブリーディング量を適度な範囲に調製することができ、良好な滑落性を安定して確保することが可能となる。例えば、容器壁を単層構造とした場合には、滑落性向上のために配合された滑剤が、容器内面側にブリーディングすると同時に、容器の外面側にもブリーディングしてしまうため、容器内面への滑剤のブリーディング量にバラツキを生じ易く、この結果、粘稠な内容物に対する滑落性が不安定となってしまうからである。
さらには、滑剤遮断層よりも内側には少なくとも2つの層を設け(即ち、最内層と滑剤遮断層との間に少なくとも1つの層を設ける)、最内層と滑剤遮断層との間の層(特に最内層に隣接する層)により、容器内面(最内層表面)での滑剤のブリーディング量を調整することが好適である。
即ち、本発明の容器では、最内層表面にブリーディングにより滑剤の多分子層構造を形成させることが必要であり、この多分子層構造を形成させるためには、ある程度の時間が必要である。必要な時間は、容器の層構成、滑剤濃度、保管温度によっても異なるが、例えば、22℃保管であれば7日程度、30℃保管であれば1日程度の期間を必要とする。上記のように滑剤遮断層と最内層との間に少なくとも一つの層を設けることにより、滑剤のブリーディングの程度を適度な範囲に調節することが容易となる。
本発明において、容器の内面に位置し且つ内容物と接触する位置に設けられる最内層及び容器の外面に露出した最外層は、それ自体公知のオレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどにより形成される。勿論、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等に代表されるオレフィンと極性モノマーの共重合体等であってもよい。また、上述の樹脂のブレンドでしたものであってもよい。また、前述した特許文献1(特開2007−284066号)に開示されている環状オレフィン共重合体により最外層及び最内層を形成することもできる。
本発明において、特に好適に使用されるオレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレンであり、ポリエチレンであり、特に容器をボトル形状とし、このボトルにスクイズ性を付与し、内容物を絞り出しにより取り出すようにするには、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンを用いて最外層及び最内層を形成するのがよい。
この超低密度直鎖ポリエチレンは、従来公知の低密度のポリエチレンの中でも特に低密度であり、例えば、メタロセン系触媒を用いて、エチレンと少量のα−オレフィン(炭素数が8以下であるエチレン以外のα−オレフィン)を共重合して得られる極めて特殊な低密度ポリエチレンである。即ち、このようなオレフィン系樹脂により最内層或いは最外層を形成すると、これらの層が比較的ルーズな層となり、この結果、脂肪族アミドや滑剤のブリーディング性が向上し、安定して最内層表面に一定の多分子層が形成されて良好な滑落性を得ることができ、同様に、最外層においても滑剤が速やかに表面にブリーディングし、ボトル等の容器の搬送性が高められ、搬送時における容器同士のくっつきやベルト等の搬送材への容器の接着が効果的に防止することができる。
本発明においては、最外層と最内層との間に設けられる中間層に、滑剤遮断機能を持たせることにより、最内層表面への脂肪族アミドのブリーディングと最外層表面への滑剤のブリーディングとを完全に機能分離し、内容物に対する安定した滑落性を確保することができる。即ち、最外層或いは最外層隣接層に配合された滑剤が最内層の表面にブリーディングしてしまったり、或いは最内層に配合された脂肪族アミドが最外層表面にブリーディングしたりしてしまうと、最内層表面にブリーディングした脂肪族アミドの多分子層が不安定となったり、或いはそのブリーディング量が低減してしまい、この結果、滑落性が損なわれてしまうおそれを生じる。
既に述べたように、本発明においては、容器外面に滑り性を発現させるためには、最外層に隣接する位置(例えば前述した滑剤遮断層と最外層との間)に所定量で滑剤を配合することが好適である。即ち、このような最外層隣接層を形成する樹脂としては、デラミネーションを防止するために、一般に、最外層と同種のオレフィン系樹脂が使用される。このような隣接層を最外層と接着性の乏しい樹脂を用いて形成した場合には、接着剤樹脂層を介在させることが必要となってしまい、コスト等の点で不利となってしまうからである。
本発明においては、最も好適には、最内層と滑剤遮断層との間の位置に、少なくとも1つの層を設け、特に最内層に隣接する位置の層(以下、滑剤調節層と呼ぶ)に滑剤のブリーディングを調節する機能を持たせることが好ましい。即ち、最内層のオレフィン系樹脂層には適当量の滑剤が配合され、この滑剤のブリーディングにより、前述したシャープな主ピークを有するX線回折プロファイルを示す滑剤の多分子層を容器内面に形成するのであり、主ピークの半値幅は、当然、容器内面への滑剤のブリーディング量に依存し、滑剤のブリーディング量が多いほど小さくなり、また、この量は、経時と共に低下する傾向がある。従って、最内層に配合する滑剤の量は、前述した範囲で可及的に多くすることにより、半値幅が前述した範囲内となる主ピークを確実に発現させることが可能となるが、反面、最内層の滑剤量が多くなるほど、滑剤が過剰にブリーディングしてしまい、白化を生じ易くなってしまう。従って、最内層に隣接する位置に滑剤調節層を設けることにより、容器内面上への滑剤の過剰のブリーディングを防止し、これにより白化を効果的に防止すると共に、さらに最内層への滑剤の補給により常に前述したシャープなX線回折ピークを維持し、長期間にわたって優れた滑落性を確保することが可能となるわけである。
また、最内層に配合されている滑剤(脂肪族アミド)を吸収・放出し易いという観点から、滑剤調節層を形成するオレフィン系樹脂も最内層と同様、ルーズな層であることが好ましく、従って、前述した低密度ポリエチレンもしくは超低密度直鎖ポリエチレンにより、滑剤調節層を形成することが最適である。
また、滑剤調節層に配合される滑剤量は、最内層の厚み及び最内層に配合される滑剤量
、並びに滑剤吸収層の厚みに依存するが、上述した観点から、最内層中の滑剤濃度と滑剤
調節層中の滑剤濃度は、濃度勾配を有しているべきであり、例えば、最内層の滑剤濃度よ
りも滑剤調節層の滑剤濃度を低くし、或いは最内層の滑剤濃度よりも滑剤調節層の滑剤濃
度を高くする。特に、最内層の滑剤量と滑剤調節層の滑剤量とが、以下の条件を満足する
ことが好適である。
0.06 ≦(axA+bxB)/(a+b)≦ 0.2
式中、aは、最内層の厚み(μm)であり、
Aは、最内層の滑剤量(樹脂当りの質量%)であり、
bは、滑剤吸収層の厚み(μm)であり、
Bは、滑剤吸収層の滑剤量(樹脂当りの質量%)である。
即ち、滑剤調節層に配合される滑剤量が多すぎて上記の条件を満足しなくなるような場
合には、容器内面への過度のブリーディングを抑制するという機能が損なわれてしまい、
また、滑剤調節層に配合される滑剤量が少なく、上記の条件を満足しなくなるような場合
には、最内層表面に充分な量の滑剤をブリーディングさせることが困難となってしまうと
ともに、内容物を充填した後の最表面の滑剤の内層への吸収を低減することが困難となり
、長期安定性が低下してしまう。
最外層(含滑剤)/AD/滑剤遮断性中間層/AD/最内層(含滑剤)
最外層(滑剤フリー)/隣接層(含滑剤)/AD/滑剤遮断性中間層/AD/最内層(含滑剤)
最外層(含滑剤)/AD/滑剤遮断性中間層/AD/滑剤調節層(含滑剤または滑剤フリー)/最内層(含滑剤)
最外層(滑剤フリー)/隣接層(含滑剤)/AD/滑剤遮断性中間層/AD/滑剤調節層(含滑剤または滑剤フリー)/最内層(含滑剤)
本発明の多層プラスチック容器は、粘稠な内容物の滑落性に優れていることから、ダイレクトブロー成形によりボトル形状に成形されていることが最適であり、このようなボトル形状の容器は、図2に示されている。即ち、かかる容器(ボトル)は、全体として10で示されており、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部壁15及び胴部壁15の下端を閉じている底壁17を有しており、このようなボトル10に非油性の粘稠な内容物を充填した後、首部11の上端開口部にアルミ箔等の金属箔19をヒートシールにより施し、所定のキャップ20を装着することにより、包装ボトルとして使用に供される。かかる包装ボトルでは、キャップ20を開封し、シール材が塗布された金属箔19を引き剥がし、ボトル10を傾倒乃至倒立させることにより、内容物の取り出しが行われる。
また、内容物の充填方式には、先にも述べたように、常温充填(5乃至60℃での充填)及び殺菌を兼ねた熱間充填(80乃至90℃)があるが、本発明の容器は、特に常温充填の場合に、滑落性を長期にわたって安定に維持するという本発明の効果が最大限に発揮される。熱間充填では、熱間充填時での加熱によりブリーディングした滑剤の多分子層構造が多少不安定となる傾向があるが、常温充填では、このような不都合は全く生ぜず、滑剤の多分子層構造がより安定に維持されるからである。
尚、常温充填の場合には、既に述べたように、最内層に配合される滑剤は、オレイン酸アミド等の不飽和脂肪族アミドが好適に使用される。
尚、以下の実験例等で行った各種の特性、物性等の測定方法及び容器(ボトル)の成形
に用いた樹脂等は次の通りである。
実験例2および実験例6は参考例とする。
ボトルからケチャップを取り出した後、容器内面を蒸留水で洗浄、常温下で乾燥した。このボトルの胴部から10mm×60mmの試験片を切り出した。23℃50%RHの条件下、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、試験片の内層が上になるように固定し、70mgのケチャップを試験片にのせ、85°の傾斜角における滑落挙動をカメラで測定するとともに、滑落挙動を解析し移動距離−時間のプロットから滑落速度を算出した。この滑落速度を滑落性の指標とした。前記滑落速度の値が大きい程、ケチャップの滑落性が優れている。
容器胴部から25mmx20mmの試験片を切り出し、測定用セルに取り付け、容器内面側が測定面となるようにして試料台に装着し、ターゲットとしてCuを用い、電圧40KV、電流200mAの条件で、2θ=1.5〜9°の範囲を反射法にてX線回折測定(理学電機(株)社製)を行った。得られた測定データに対し、空気散乱補正を行い、これを試料データとした。得られた試料データにおいて、最大強度を示すピークを1次ピークとし、このピークの半値幅を算出した。
樹脂A:
低密度ポリエチレン
MFR;0.4g/10min
密度;0.92g/cm3
(滑剤として、オレイン酸アミドを0.03質量%含有)
樹脂B:
低密度ポリエチレン
MFR;0.4g/10min
密度;0.92g/cm3
(滑剤として、オレイン酸アミド0.3質量%含有)
無水マレイン酸変性ポリエチレン
エチレンビニルアルコール共重合体(密度1.19g/cm3、Tg69℃)
樹脂A:
低密度ポリエチレン
MFR;0.4g/10min
密度;0.92g/cm3
(滑剤として、オレイン酸アミド0.03質量%含有)
樹脂B:
低密度ポリエチレン
MFR;0.4g/10min
密度;0.92g/cm3
(滑剤として、オレイン酸アミド0.3質量%含有)
樹脂A :
MFR;0.4g/10min
密度;0.92g/cm3
(滑剤として、オレイン酸アミド0.03質量%含有)
50mm押出機に滑剤調節層用樹脂として、オレイン酸アミドを0.03質量%含有す
る低密度ポリエチレン(樹脂A)、40mm押出機に、最外層および最内層形成用樹脂と
して、オレイン酸アミド0.3質量%含有する低密度ポリエチレン(樹脂B)、30mm
押出機Aに接着剤層形成用樹脂として無水マレイン酸変性ポリエチレン、30mm押出機
Bに滑剤遮断性中間層形成用樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体の樹脂ペレッ
トをそれぞれ供給し、温度210度の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、公知
のダイレクトブロー成形法により内容量500g、重量20gのケチャップ用4種6層の
多層ボトルを作製した。
最外層:30μm
接着材層:10μm
滑剤遮断性中間層:25μm
接着材層:10μm
最内隣接層(滑剤調節層):190μm
最内層:160μm
最内層および最外層形成用樹脂を樹脂A(オレイン酸アミド0.03質量%)とした以
外は実験例1と同様にし、ボトルを作製した。成形後のボトルを22℃60%RHの環境
下で10日保管した後、温度45℃のトマトケチャップを充填した後、口部をシールし、
22℃60%RHの環境下で所定期間保管した。保管日数が3日、14日、60日のボト
ルに対し、実験例1と同様に、内容物滑落試験およびX線回折測定を行った。また、X線
回折測定に関しては、充填前の空ボトルに対しても行った。充填前の空ボトルのX線回折
測定結果を図4に示した。以上の結果を表1に示した。また、滑落速度の保管期間依存性
を図5に示した。
以上の結果から、実験例1では、1次ピークの半値幅が0.15以下と小さい値に維持されているため、滑落速度が高く保持されるのに対し、実験例2では、1次ピークの値が大きくなり、次第にピークが消滅するため、滑落速度が低下していると言える。
層比率を変更した以外は実験例1と同様にし、ボトルを作製した。成形後のボトルを22℃60%RHの環境下で70日保管した後、温度45℃のトマトケチャップを充填した後、口部をシールし、22℃60%RHの環境下で所定期間保管した。保管日数が6日、13日、28日のボトルに対し、X線回折測定を行った。また、X線回折測定に関しては、充填前の空ボトルに対しても行った。X線回折測定の結果を表3に示した。実験例3〜6で作製したボトルの層構成、層比率および、各層へのオレイン酸アミドの仕込み濃度、滑剤遮断層より内層側の平均オレイン酸アミド濃度について、まとめて表2に示した。
11:首部
13:肩部
15:胴部壁
17:底壁
19:金属箔
20:キャップ
Claims (10)
- 最内層に滑剤含有のオレフィン系樹脂層を有する多層プラスチック容器において、
該容器の内面について、反射法によるX線回折測定を行ったときに得られるX線プロファイル(2θ/θ)は、容器内面にブリーディングした滑剤の多分子層構造に由来のピークを有しており、該ピーク中の最大強度を示すピークの半値幅が0.05乃至0.3の範囲にあり、
密度が1.00g/cm 3 以上且つガラス転移点(Tg)が35℃以上の樹脂からなる滑剤遮断層を中間層として有し、前記滑剤遮断層よりも内側にある樹脂中に含まれる脂肪族アミドの平均濃度が、0.06質量%以上であることを特徴とする多層プラスチック容器。 - 前記最大強度を示すピークの半値幅が0.05乃至0.25の範囲にある請求項1に記載の多層プラスチック容器。
- 前記滑剤として脂肪族アミドが使用されている請求項1又は2に記載の多層プラスチック容器。
- 前記滑剤遮断層よりも内側には、少なくとも2つの層を有している請求項1に記載の多層プラスチック容器。
- 前記滑剤遮断層よりも内側の各層には、各層の樹脂に対する脂肪族アミドの濃度が異なるように配合されている請求項4に記載の多層プラスチック容器。
- 最内層に隣接する層が、最内層に比して脂肪族アミドの濃度が小さい請求項4または5の何れかに記載の多層プラスチック容器。
- 最内層が、最内層に隣接する層に比して脂肪族アミドの濃度が小さい請求項4または5の何れかに記載の多層プラスチック容器。
- 前記滑剤が不飽和脂肪族アミドである請求項1〜7の何れかに記載の多層プラスチック容器。
- 前記不飽和脂肪族アミドがオレイン酸アミドである請求項1〜8の何れかに記載の多層プラスチック容器。
- 前記多層プラスチック容器が非油性内容物用である請求項1〜9の何れかに記載の多層プラスチック容器。
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