JP7149084B2 - 粘稠物質用容器 - Google Patents
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特に、このような問題は、内容物が排出される首部の口径が小さく、容量が300ml以下の小容量容器において多く発生する。
該容器の胴部内面が、前記粘稠物質に対して滑落性を示す滑剤が樹脂中に分散された滑剤含有樹脂層により形成されており、該容器の胴部平断面でみて、該滑剤含有樹脂層の厚みが周方向で不均一となっており、この厚みの不均一性により、該容器を倒立状態に保持したとき、該粘稠物質が相対的に速く排出される高滑落領域と、該粘稠物質が相対的に遅く排出される低滑落領域とが形成されていることを特徴とする容器が提供される。
本発明によれば、また、上記の容器に、8Pa・s以上の粘度(25℃)を有している粘稠物質を収容する粘稠物質の収容方法が提供される。
(1)300ml以下の容量を有していること。
(2)前記粘稠物質が、食品、医薬品、練り歯磨きであること。
(3)中空成形容器であること。
本発明においては、何れのタイプの容器においても、周方向でみて、粘稠物質に対する滑落性が不均一となっており、この不均一性により、この容器を倒立状態に保持したとき、粘稠物質が速く排出される高滑落領域と、粘稠物質が遅く排出される低滑落領域とが形成されている。即ち、容器を倒立状態に保持して内容物である粘稠物質を排出したとき、この粘稠物質が速やかに排出される部分と排出に時間がかかる部分とが存在する。このため、このような速度差によって容器の底部に粘稠物質によって閉じ込められた空気が容易に排出されることとなり、この結果として、例えば、粘稠物質が粘度(25℃)が8Pa・s以上の粘稠なペースト状物であったとしても、容器内にとどまることなく、その排出を常に容易に行うことが可能となる。
また、容器の形態によっても異なるが、首部3の外面には、キャップにて封止するための螺子7が形成されている。
かかる図2(a)では、液層21の厚みが周方向で不均一となっており、液層21が厚い厚みTを有する部分と、薄い厚みtを有する部分とが形成されている。即ち、T>tであり、厚い厚みTを有する部分が容器の軸方向に延びており、この部分は、高滑落領域となる。一方、薄い厚みtを有する部分も軸方向に延びており、この部分が、低滑落領域となる。
尚、かかる態様では、滑剤含有樹脂層23に滑剤の濃度分布が形成されていればよく、従って、上記の領域23aにのみ滑剤が配合され、他の領域には滑剤が配合されていなくともよい。
また、容器の形態も特に制限はされないが、好適には、中空成形により形成され、粘稠な内容物10を排出する開口(首部3の内径)が内容物10を収納する胴部断面に比べて小さいボトルやチューブなどの形態を有していることが最も好適である。即ち、内容物10を排出する開口が胴部断面より大きい又は同等な広口容器やカップなどでは、内容物10の詰まりという問題はほとんど生じないからである。
例えば、図1の例では、ブロー成形容器の形態が示されているが、チューブ容器であってもよい。
この場合、液層21の厚み分布の程度などは、予めラボ試験を行い、目的とする内容物10の詰まりなどが生じないように、スプレー条件(噴霧圧や吐出量)を定めておけばよい。
また、以下に述べる滑剤内添タイプの容器において、滑剤含有樹脂層を形成する方法を利用して、厚み分布を有する液層21を形成することも可能である。
(b)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの。
(c)ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等の脂肪族アミド系のもの。
(d)ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等の脂肪酸エステル系のもの。
(e)セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの。
(f)ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケン。
(g)ポリオルガノシロキサン。
(h)中鎖脂肪酸トリグリセライド、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリントリオレート、デカグリセリンオレート等のグリセリン脂肪酸エステル系のもの。
尚、上記の滑剤は、通常は固体であるが、これらの中には、液層21の形成に使用し得る液状物質、例えば流動パラフィンなども含まれている。このような液状の滑剤を使用したとき、これを多量に配合し、ブリーディング量を多くしたとき、液層21(即ち、連続した膜)を形成して液層タイプの容器となるが、その配合量を少なくし、滑剤分子が島状に分布させるときには、滑剤内添タイプの容器となる。
また、この方法は、液層タイプの容器の製造にも適用できる。即ち、容器の内面に形成する樹脂に潤滑液を配合して上記のように押出成形を行なえば、ブリーディングにより形成される液層21に厚み分布を形成することができる。
また、この方法も、液層タイプの容器の製造にも適用できる。即ち、容器の内面に形成する樹脂に潤滑液の配合量が多い組成物と、配合量が少ない(或いは配合されていない)組成物と用いてストライプ押出を行なえば、潤滑液の配合量が多い樹脂組成物により形成されている領域は、液層21の厚みが厚く、配合の少ない(或いは配合されていない)樹脂組成物により形成された領域は、液層21の厚みが薄い(或いは液層21が形成されていない)領域となる。
さらに、本発明の粘稠物質用容器は、その容量が70mlよりも大きいことが望ましい。即ち、この容量が小さ過ぎる場合、潤滑液の液層の厚み分布、滑剤含有樹脂層の厚み分布、さらには、滑剤の配合量の分布を形成することが困難となるおそれがあるからである。
3:首部
5:底部
10:内容物
13:空気層
21:液層
23:滑剤含有樹脂層
Claims (5)
- 粘稠物質が収容される容器において、
該容器の胴部内面が、前記粘稠物質に対して滑落性を示す滑剤が樹脂中に分散された滑剤含有樹脂層により形成されており、該容器の胴部平断面でみて、該滑剤含有樹脂層の厚みが周方向で不均一となっており、この厚みの不均一性により、該容器を倒立状態に保持したとき、該粘稠物質が相対的に速く排出される高滑落領域と、該粘稠物質が相対的に遅く排出される低滑落領域とが形成されていることを特徴とする容器。 - 300ml以下の容量を有している請求項1に記載の容器。
- 前記粘稠物質が、食品、医薬品、練り歯磨きである請求項1または2に記載の容器。
- 中空成形容器である請求項1~3の何れかに記載の容器。
- 請求項1~4の何れかに記載の容器に、8Pa・s以上の粘度(25℃)を有している粘稠物質を収容する粘稠物質の収容方法。
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