JP2015229496A - 包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、容器内面に液膜を形成しておくと、容器内容物は液−液接触で容器内面上を滑り落ちることとなるから、内容物に応じて液膜を形成する液体を適宜のものに選択することにより、粘稠な内容物に対しても著しく高い滑落性を確保することができ、その排出性を飛躍的に高めることができるというものである。
容器内面をこのような粗面とする手段としては、例えば特許文献3には、容器内面を形成する樹脂にシリカ等の微細粒子を配合して容器への成形を行うという手段が開示されている。かかる手段は、特別な成形型を用いたり、粗面加工等の処理を行う必要がなく、工業的実施に極めて有利である。
本発明の他の目的は、内面の全体にわたって液膜が安定に保持された包装体を提供することにある。
前記粗面化用粒状物が、少なくとも2つの極大ピークを有する複分散粒度分布を有していることを特徴とする包装体が提供される。
(1)前記複分散粒度分布は、0.2〜6μmの範囲にある第1の極大ピーク値と8〜100μmの範囲にある第2の極大ピーク値と有しており、第1の極大ピーク値と第2の極大ピーク値とは、3μm以上の間隔を有していること、
(2)前記粗面化用粒状物が、金属酸化物、金属塩、有機微粒子からなる群より選択された少なくとも一種であること、
(3)前記粗面化用粒状物が、内面を形成している樹脂100質量部当り1〜20質量部の量で分散されていること、
(4)内面を形成している樹脂が、オレフィン系樹脂であること、
(5)包装体内に収容される内容物に対して非混和性の滑り性向上液が内面にコーティングされていること、
が好適である。
本発明の包装体を説明するに先立って、粗面化用粒状物を用いてのダイレクトブロー容器内面の粗面化の原理を説明しておく。
図1を参照して、粗面化用粒状物が配合された樹脂組成物を用いての押出成形により、チューブ状のパリソンを形成すると、パリソン壁1の内部には、粒子3が分散しており、この状態では、粒子3の形状は、壁面に反映されず、従って、パリソン壁1の表面は平滑な面となっている。
このような構造のパリソンをブロー成形に供して容器の形態に賦形すると、ブロー成形による延伸によって、パリソン壁1が薄肉化され、得られる容器壁5は、ブロー(延伸)の度合いに応じて薄肉化されることとなる。このようなブロー成形(延伸成形)による薄肉化によって、粒子3の形状が表面に反映され、容器壁5の内面側が粗面となる。即ち、このような内面に所望の液体(滑性向上液)がコーティングされて滑性を高めるための液膜が形成されることとなる。
尚、図1に示されているように、外面側が粗面化されず、平滑面となっているのは、外面側は、容器形状に賦形するためのブロー型に接触して冷却されるため、ブロー型の型面が転写されるからである。
後述の実験例で示す通り、粒径の大きい大径粒子群単独で用いた場合に形成される面における最大高さPVは、粒径の小さい小径粒子群単独で用いた場合に形成される面における最大高さPVと比較して大きくなる。すなわち、大きな凹凸を形成するためには、粒径の大きい大径粒子群を用いることが有効であると言える。しかし、大径粒子群単独で用いた場合に形成される面では、その凸部の突起数は少なくなり、粗さの小さな凹凸を多数形成することは困難であり、大径粒子群を単独で用いて、大きな凹凸に重なって小さな凹凸が形成されたフラクタル状の構造面を形成することは極めて困難であると言える。
一方、小さな凹凸を形成するという観点からは、小径粒子群を用いることが有効であり、後述の実験例に示す通り、小粒径粒子の添加によって、凸部の突起数を増加させることが可能である。しかしながら、小径粒子群単独では大径粒子群のような大きな凸部を形成することが難しく、小径粒子群単独でも大きな凹凸に重なって小さな凹凸が形成されたフラクタル状構造面を得ることは極めて困難であると言える。
したがって、本発明においては、該粒状物として、少なくとも2つのピーク値を示す粒度分布を有するものを使用することで、ダイレクトブロー成形において、粒径が大きな粒子により粗さの大きな粗面を形成させ、かつ、粒径の小さな粒子により粗さの小さい細やかな粗面が形成させることにより、上述の粗さの異なる階層的な構造面(フラクタル状の構造面)を得ることができる。
このような複分散粒度分布を有する粗面化用粒状物が配合されている樹脂組成物を用いての成形により、厚い液膜を形成し得る理由は正確に解明されたわけではないが、本発明者等は次のように推定している。
即ち、本発明では、粒径の大きい大径粒子群の粒子によって形成される粗い面と粒径の小さな小径粒子群の粒子によって形成される粗さの小さな面とが複合化しており、例えば大きな凹凸に重なって小さな凹凸が形成されたフラクタル構造面が形成され、このため、この上に塗布される液体と該面との接触面積が大きく、この結果として大きなアンカー効果が発揮され、該面に保持され得る液量が多くなり、表面に形成される液膜の厚みを厚くすることが可能となるわけである。
本発明のダイレクトブロー容器は、図2に示されるように、一般にボトルの形態を有しており、このボトル10は、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部15及び胴部15の下端を閉じている底部17を有している。
このような粗面は、一般に、その最大高さPV(Peak−Valley間高さ)が4〜50μmの範囲となるように、粗面化粒状物の複分散粒度分布のピーク値が設定されていることが好ましく、これにより、この粗面の全体にわたって、多くの液量を安定に保持することができる。ここで、この最大高さPVは複分散粒度分布を有する粗面化用粒状物のうち、粒径の大きい大粒径粒子群の粒子によって形成された値となる。
また、無機微粒子は、吸湿などを回避するために、疎水化処理されていることが好ましい。このような疎水化処理は、シラン化合物、シロキサン化合物、シラザン化合物、チタンアルコキシド化合物などの疎水化剤を用い、カップリングアルキル基、アルキルシリル基、フルオロアルキル基、フルオロアルキルシリル基などの疎水性官能基により無機微粒子表面を修飾することや、無機微粒子と脂肪酸などの疎水性物質を(加熱)混合し、無機微粒子表面を被覆することにより行われる。
即ち、第1の極大ピークXや第2の極大ピークYの位置が上記範囲外である時には、最終的に形成されるボトル10の内面の最大高さPVが前述した範囲(4〜50μm)からずれてしまい、結果として、滑り性向上液の限界保持量が少なくなったり、或いは限界保持量は確保できるとしても、ボトル10の内面でのクラックの発生などの成形不良を生じ易くなってしまう。
また、第1の極大ピークXと第2の極大ピークYとの間隔dが小さすぎると、複分散による粗面化が十分に発揮されず、滑り性向上液の限界保持量を増大させることが困難となってしまうおそれがある。
この際、粗面化に影響を与えない限りにおいて、この樹脂組成物に公知の添加剤を配合してもよいことは勿論である。
さらに、ボトル10を形成するためのブロー成形では、一般に、所望の強度や柔軟性、可能性、スクイズ性等が発現し得るように、例えば胴部での厚みが200〜800μm程度となるように、周方向延伸倍率が2〜4倍程度に設定される。
また、上述した油性液体は、2種以上を混合して油膜の形成に使用してもよいし、液膜による発現する滑り性等の特性に影響を与えない限りにおいて、界面滑性剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
本発明の包装体は、種々の形態を有することができるが、特に滑り性向上液の選択により粘稠な流動性内容物に対する滑り性を向上させ、滑り性向上液を安定的に保持できることから、包装体の内面全体に亘って粗面化用粒状物が分散されていることが好ましい。
例えば、このような包装体の形態は、ダイレクトブロー容器に制限されず、カップ乃至コップ状、ボトル状、袋状(パウチ)、シリンジ状、ツボ状、トレイ状、二重構造状、二重フィルム袋状、包装体材質に応じた形態を有していてよく、延伸成形されていてもよい。
また、ガラスや金属、或いは紙等に粗面化用粒状物が分散された樹脂組成物を塗布した多層構造とすることも可能であるし、さらに、他の樹脂層と積層した多層構造とすることも可能である。何れにしろ、内面に粗面化用粒状物が分散された樹脂組成物を用いて内面が形成されていればよい。
後述の方法で作製したフィルムから50mmx50mmの試験片を切り出した。非接触表面形状測定機(NewView7300,zygo社製)を用いて、樹脂構造体の表面形状測定を行った。測定ならびに画像解析には、アプリケーションとして、MetroPro(Ver.9.1.4 64−bit)を用いた。282.75μmx212.06μmの範囲を測定した。測定データから、測定範囲内のPV値、突起数を求めた。ここでPV値とは測定範囲内の最大高さを示す。さらに突起数を算出する際、Reference Bandの値として、後述する実施例5の十点平均粗さの値を用い、粗面化用粒状物に由来する突起を突起数として数えた。
ラボプラストミルを使用して、樹脂として低密度ポリエチレン(LDPE)を押出機Aに、粗面化用粒状物としてシリカ微粒子(平均粒径:5μm)が、LDPE/シリカ微粒子=99/1(重量比)である樹脂組成物を、押出機Bにそれぞれ供給し、温度210℃のリングダイヘッドより押し出し、内側がLDPE、外側が粗面化用粒状物配合樹脂(LDPE/粗面化用粒状物の樹脂組成物)からなる円筒状の二層フィルムを作製した。フィルムの膜厚を顕微鏡にて測定したところ、内側のLDPE層は約60μm、外側の微粒子配合樹脂層は約70μm、全体で約130μmであった。作成したフィルムを用いて、表面形状測定を行った。結果を表1に示す。
LDPE/粗面化用粒状物の重量比を90/10とした以外は実験例1と同様にしてフィルムを作成し、表面形状測定を行った。結果を表1に示す。
粗面化用粒状物として架橋PMMA微粒子(平均粒径:10μm)を用いた以外は実験例1と同様にしてフィルムを作成し、表面形状測定を行った。結果を表1に示す。
LDPE/粗面化用粒状物の重量比を90/10とした以外は実験例3と同様にしてフィルムを作成し、表面形状測定を行った。結果を表1に示す。
押出機A、B共にLDPEを供給した以外は実験例1と同様にしてフィルムを作成し、表面形状測定を行った。結果を表1に示す。
以上のことから粒径の違いによって与えられる表面形状が異なり、凹凸の大きな粗面を作成するためには、粒径の大きな粗面化用粒状物を用いることが有効であり、一方で凹凸の細かな粗面を形成するためには、粒径の小さな粗面化用粒状物を用いることが有効であると言える。
3:粗面化用の粒子
10:ダイレクトブローボトル
11:首部
13:肩部
15:胴部
17:底部
Claims (7)
- 粗面化用粒状物が分散された樹脂組成物を用いて内面が形成されている包装体において、
前記粗面化用粒状物が、少なくとも2つの極大ピークを有する複分散粒度分布を有していることを特徴とする包装体。 - 前記複分散粒度分布は、0.2〜6μmの範囲にある第1の極大ピークと8〜100μmの範囲にある第2の極大ピークと有しており、第1の極大ピークと第2の極大ピークとは、3μm以上の間隔を有している請求項1に記載の包装体。
- 前記粗面化用粒状物が、金属酸化物、金属塩、有機微粒子からなる群より選択された少なくとも一種である請求項1または2に記載の包装体。
- 前記粗面化用粒状物が、内面を形成している樹脂100質量部当り1〜20質量部の量で分散されている請求項1〜3に記載の包装体。
- 内面を形成している樹脂が、オレフィン系樹脂である請求項1〜4の何れかに記載の包装体。
- 包装体内に収容される内容物に対して非混和性の滑り性向上液が内面にコーティングされている請求項1〜5の何れかに記載の包装体。
- ダイレクトブロー法で成形された請求項1〜6記載の包装体。
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