JP2022131259A - 水性内容物用プラスチック容器 - Google Patents

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【課題】水性の内容物に対して優れた滑落性を有する水性内容物用プラスチック容器を提供する。【解決手段】本発明によれば、水性の内容物を収容するための水性内容物用プラスチック容器であって、前記内容物と接する最内層は、ポリオレフィン系樹脂にシリコーンを添加した樹脂組成物で構成され、前記最内層の前記内容物と接する側の表面は、前記シリコーンにより形成された凹凸構造を連続して有するように構成されることを特徴とする、水性内容物用プラスチック容器が提供されるが提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、水性内容物用プラスチック容器に関する。
ソースやマヨネーズ等を収容するために、容器の内面をポリオレフィン系樹脂で構成した容器が一般に使用されている。内容物をロスなく使い切るため、このような容器に対しては内容物が容器の内面上を速やかに落下する滑落性が要求される。特許文献1には、粘性の高い内容物に対して優れた滑落性を示すプラスチック容器として、特定構造の多価アルコール脂肪酸エステルが容器の最内層に添加されたものが開示されている。
特開2014-5003号広報
プラスチック容器の滑落性は、内容物の組成によって変化する。水分率が高い水性の内容物に対し、優れた滑落性を示すプラスチック容器が望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、水性の内容物、例えば、ウスターソース、オイスターソース等の水性物質を収容するためのプラスチック容器であって、内容物と接する層に内容物が付着残存しにくい、滑落性に優れた水性内容物用プラスチック容器を提供するものである。
本発明によれば、水性の内容物を収容するための水性内容物用プラスチック容器であって、前記内容物と接する最内層は、ポリオレフィン系樹脂にシリコーンを添加した樹脂組成物で構成され、前記最内層の前記内容物と接する側の表面は、前記シリコーンにより形成された凹凸構造を連続して有するように構成されることを特徴とする、水性内容物用プラスチック容器が提供される。
内容物と接する最内層をポリオレフィン系樹脂にシリコーンを添加した樹脂組成物で構成し、最内層の内容物と接する側の表面に当該シリコーンの存在に起因する凹凸構造を連続して形成することにより、水性の内容物を収容した場合に優れた滑落性を示すことを見出し、本発明の完成に至った。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記最内層における前記シリコーンの添加量は、2.5~10質量%である。
好ましくは、前記最内層の前記表面の最小自己相関長さは、40~70μmである。
好ましくは、前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレンである。
好ましくは、前記ポリオレフィン系樹脂は、低密度ポリエチレンである。
本発明の実施形態に係るプラスチック容器1の正面図である。 プラスチック容器1の容器本体2の層構成の一例を示す図である。 プラスチック容器1の容器本体2の層構成の別の例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
1.プラスチック容器の構成
図1は、本発明の実施形態に係るプラスチック容器1の構成の一例を示す図である。プラスチック容器1に収容される内容物は、特に限定されないが、好適には水性の内容物であり、例えば、ウスターソース、オイスターソース等のソースが挙げられる。なお、本発明における水性の内容物とは、内容物中の水分が30質量%以上、且つ脂質が20質量%未満であるものを指す。プラスチック容器1は、上記の水性の内容物に対して優れた滑落性を示し、また水分が50質量%以上、且つ脂質が20質量%未満であり、粘度が150mPa・s以上の比較的粘性の高い内容物に対して特に優れた滑落性を示す。
本発明の実施形態に係るプラスチック容器1は、容器本体2及びキャップ3を備える。容器本体2は、内容物を収容する収容部21、及び収容部21から内容物を吐出するための開口部を有する口部22を備える。口部22の外面には、容器ネジ部23が設けられている。
キャップ3は、キャップ本体32及びキャップカバー31を備える。キャップ本体32とキャップカバー31は連結部33において連結されていて、キャップカバー31が開閉可能になっている。キャップ本体32は、上部32aと、上部32aに設けられた吐出口32bと、及び上部32aの外周から筒状に延びる筒部32cを備え、筒部32cの内面には容器ネジ部23に螺合可能に構成されたキャップネジ部(不図示)が形成されている。
図2は、容器本体2の層構成の一例を示す図である。容器本体2は、複数の層を含む多層構成を有し、内側から順に、最内層4、中間層5、接着樹脂層6、バリア層7、接着樹脂層8、及び最外層9を備える。各層の厚さの比率は、例えば、以下の通りである。
最内層4:10~40%
中間層5:30~60%
接着樹脂層6:1~10%
バリア層7:5~10%
接着樹脂層8:1~15%
最外層9:20~60%
以下、各層について説明する。
(最内層4)
最内層4は、内容物と接する層であり、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物で構成される。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等が例示される。また、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体等であってもよく、さらには、いわゆる環状オレフィン樹脂(シクロオレフィンポリマー(COP:Cyclo-Olefin Polymer))や環状オレフィンとα-オレフィン(鎖状オレフィン)等との共重合体である、いわゆる環状オレフィンコポリマー(シクロオレフィンコポリマー(COC:Cyclo-Olefin Copolymer))等であってもよい。これらのポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
例示されたポリオレフィン系樹脂の中では、ポリエチレン又はポリプロピレンを使用することが好ましく、ポリエチレンやポリプロピレンを樹脂成分中の主成分とすること、つまり、樹脂組成物全体の50質量%以上とすることが好ましい。内容物がソースのように比較的高温の状態で充填されるものである場合には、耐熱性が良好なポリプロピレンを使用することが好ましい。また、ポリエチレンとしては、透明性やスクイズ性(絞り性)等を考慮し、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンを使用することが好ましい。
当該ポリオレフィン系樹脂には、滑剤としてシリコーン(シリコーン化合物を含む)が添加される。シリコーンを添加し、最内層の内容物と接する側の表面を、シリコーンにより形成された凹凸構造を連続して有するように構成することにより、最内層4の滑落性が良好となる。添加されるシリコーンとしては、例えば、オルガノポリシロキサン(ポリオルガノシロキサン)が挙げられ、分子構造は直鎖状(線状)又は一部分岐状のものを使用することができ、オルガノポリシロキサンの中でも、ジオルガノポリシロキサンを使用することが好ましい。
ジオルガノポリシロキサンのケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシキロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基が例示される。この中では、アルキル基、特にメチル基が好ましい。ジオルガノポリシロキサンの末端には水酸基やアルコキシ基が結合していてもよい。このようなジオルガノポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、片末端がシラノール基で封鎖され、もう一方の片末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン/メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体等が例示される。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリコーンの重量平均分子量(Mw)は、100万(1000000)以上であることが好ましく、100万(1000000)~1000万(10000000)とすることがより好ましく、150万(1500000)~1000万(10000000)とすることがさらに好ましく、500万(5000000)~1000万(10000000)とすることが特に好ましい。シリコーンの重量平均分子量が上記範囲である場合にはシリコーンがブリードアウトしにくく、内容物に移行することなく、また添加したシリコーンが最内層の表面に凹凸構造を連続して形成可能であり、その結果ソース等の水性の内容物に対して良好な滑落性を維持することができる。なお、重量平均分子量の測定は、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー等の従来公知の方法で行うことができる。
また、シリコーンの粘度は、600万(6000000)cS以上であることが好ましく、600万(6000000)~1000万(10000000)cSであることが特に好ましい。
シリコーンの添加量は、最内層4を構成する樹脂組成物全体に対して2.5~10.0質量%とすることが好ましく、5~10質量%とすることがより好ましく、8~10質量%とすることが特に好ましい。滑剤の添加量を上記範囲とすることにより、水性の内容物に対して滑落性が良好に発揮される一方、シリコーンの添加量が多すぎることで成形性の低下や樹脂組成物の白濁といった問題も生じにくい。なお、シリコーンはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やこれ以外の樹脂からなるベース樹脂と混合されたマスターバッチ(MB)を使用して添加される場合もあり、その場合、マスターバッチとシリコーンの配合比(通常、マスターバッチ全体に対してシリコーンは10~70質量%)に応じてシリコーンの含有量を上記範囲に調整するようにすればいい(目安としては、最内層4を構成する樹脂組成物全体に対してマスターバッチを0.01~20質量%添加することが好ましく、0.5~8.0質量%添加することが特に好ましいが、この範囲に特に制限されるものではない)。
また、最内層4の内容物と接する側の表面は、最小自己相関長さSalが40~70μmであることが好ましく、45~65μmであることがより好ましく、50~60μmであることが特に好ましい。
最小自己相関長さSalは、ISO25178に規定される表面性状の三次元パラメータの一つで、自己相関関数が最も早く特定の値に減衰する方向の水平距離を表すものである。最小自己相関長さSalの測定により、表面の高さの変化の緩急を数値化可能であり、その値が小さいほど表面性状が面内方向においてより短周期の微細な凹凸構造を有していることを示し、その値が大きいほど表面性状が面内方向においてより長周期の形状を有していることを示す。
最内層4の内容物と接する側の表面には、添加したシリコーンに由来する凹凸構造が連続的に形成される。当該表面の最小自己相関長さSalを上記範囲とすることにより、水性の内容物に対して滑落性が良好に発揮される。また、最内層4の当該表面の最小自己相関長さSalは、最内層4を構成する樹脂組成物に含まれるポリオレフィン系樹脂の種類、及びポリオレフィン系樹脂に滑剤として添加されるシリコーンの量によって変化する。シリコーンの添加量を上記の好ましい範囲とすることで、最小自己相関長さSalが上記範囲内であるような最内層4を得ることが可能となる。
(最外層9)
最外層9は、容器本体2の最も外側に配置される層であり、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物で構成される。好ましいポリオレフィン系樹脂は、最内層4と同様であり、最内層4及び最外層9を構成するポリオレフィン系樹脂が同一であることがより好ましい。
当該ポリオレフィン系樹脂には、滑剤として脂肪酸アミドを添加することが好ましい。脂肪酸アミドの添加により、プラスチック容器1の成形から、内容物の充填、移送、包装の各工程において、様々な環境温度に応じた滑り性を発揮できるようになり、各工程においてプラスチック容器1表面の滑り不良等による問題をなくすことができる。最外層9には、例えば、主としてステンレス等の金属材料で構成されている食品充填ライン等での滑り性を付与するために、滑剤(特に、後記する脂肪酸アミド系滑剤)をポリオレフィン系樹脂中に添加、混合して練りこんだ樹脂組成物を使用することが好ましい。
脂肪酸アミドとしては、飽和脂肪酸アミドや不飽和脂肪酸アミドを使用することができる。飽和脂肪酸アミドとしては、ブチルアミド、ヘキシルアミド、デシルアミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。これらの飽和脂肪酸アミドの中では、ステアリン酸アミドを使用することが好ましい。これらの飽和脂肪酸アミドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
不飽和脂肪酸アミドとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、イソクロトンアミド、ウンデシレン酸アミド、セトレイン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、オレイルパルミトアミド、ステアリルエルカミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、アラキドン酸アミド等が挙げられる。この中で、炭素数が14~24の範囲にあるもの、例えばセトレイン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、アラキドン酸アミド等を使用することが好ましく、中でもオレイン酸アミドを使用することが特に好ましい。これらの不飽和脂肪酸アミドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
最外層9における脂肪酸アミドの含有量は、最外層9を構成する樹脂組成物全体に対して500~100000ppmとすることが好ましい。脂肪酸アミドの添加量を上記範囲とすることにより、良好な滑り性を発揮することができる。脂肪酸アミドは、最外層9を構成する樹脂組成物全体に対して1000~50000ppmとすることが特に好ましい。
(中間層5)
中間層5は、最内層4と最外層9との間に配置される層であり、熱可塑性樹脂含む樹脂組成物で構成される。中間層5は、プラスチック容器1の成形時に発生するスクラップを再生して得られるリプロ材料を含む樹脂組成物で構成されることが好ましい。スクラップにはプラスチック容器1の全層が含まれているため、リプロ材料は各層を構成する樹脂組成物を混合したものとなる。
中間層5を構成する樹脂組成物は、リプロ材料とバージンの熱可塑性樹脂の混合物であることが好ましい。この場合、成形性を維持しつつ、資源の再利用化を図るという観点から、リプロ材料の量は、バージンの熱可塑性樹脂(例えば、最内層4又は最外層9のポリオレフィン系樹脂)100重量部当り10~60重量部程度にすることが好ましい。
(バリア層7)
バリア層7は、最内層4と最外層9との間に配置される層であり、ガスバリア性が高い樹脂で構成される。このような樹脂としては、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH:エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物等を指す)や芳香族ポリアミド等が挙げられる。バリア層7を設けることによって、酸素透過による内容物の酸化劣化を有効に抑制することができる。
バリア層7は、図2に示すように中間層5と最外層9との間に配置されてもよいし、図3に示すように最内層4と中間層5との間に配置されてもよい。バリア層7を中間層5と最外層9との間、つまり中間層5よりも最外層9に近い位置に配置した場合、内容物の水分によってバリア層7の相対湿度が高まることが抑制される。EVOHは相対湿度が高くなると酸素透過速度が大きくなるので、バリア層7を中間層5よりも最外層9に近い位置に配置することによって、酸素透過速度の増大を抑制することができる。
(接着樹脂層6,8)
接着樹脂層6,8は、接着性樹脂で構成される。接着性樹脂としては、酸変性ポリオレフィン樹脂(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン)等が挙げられる。接着樹脂層6,8を設けることによってバリア層7と、最内層4、中間層5、又は最外層9との接着性が向上する。接着樹脂層6,8を設ける代わりに、バリア層7に接着性樹脂を配合してもよい。
なお、前記した各層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲において、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、増核剤、離型剤、着色剤及び中和剤等、樹脂材料の分野で一般に使用される各種添加剤を添加してもよい。
2.プラスチック容器1の製造方法
プラスチック容器1は、パリソンのブロー成形によって形成することができる。ブロー成形は、ダイレクトブロー成形であってもよく、インジェクションブロー成形であってもよい。ダイレクトブロー成形では、押出機から押し出された溶融状態の筒状パリソンを一対の分割金型で挟んでパリソン内部にエアーを吹き込むことによってプラスチック容器1を製造する。インジェクションブロー成形では、プリフォームと呼ばれる試験管状の有底パリソンを射出成形によって形成し、このパリソンを用いてブロー成形を行う。
何れのブロー成形においても、パリソンの層構成は、プラスチック容器1の層構成と同様である。多層のパリソンは、共押出成形や多層射出成形等によって形成可能である。
1.サンプルの製造
図1に示す形状を有し、図3に示すように内側から順に最内層4、接着樹脂層6、バリア層7、接着樹脂層8、中間層5、及び最外層9を備える層構成を有するプラスチック容器1(容量400ml)を製造した。最内層4、バリア層7、及び最外層9は、表1のように構成した。プラスチック容器1は、容器本体2をブロー成形によって、キャップ3を射出成形によって形成することによって製造した。
Figure 2022131259000002
最内層4の樹脂組成物に含まれるポリオレフィン系樹脂として、実施例1~3及び比較例1においてはポリプロピレン(PP)を、実施例4~6及び比較例2においては低密度ポリエチレン(LDPE)を用いた。具体的には、以下を用いた。
実施例1~3、比較例1:住友化学株式会社製、ノーブレン(登録商標)FSX16E9
実施例4~6、比較例2:旭化成株式会社製、サンテック(登録商標)M2206
最内層4には、シリコーン及びベース樹脂(実施例1~3及び比較例1においてはポリプロピレン、実施例4~6及び比較例2においては低密度ポリエチレン)が50質量%:50質量%の割合で配合されたマスターバッチを使用してシリコーンを添加した。表1中のシリコーン添加量は、最内層4を構成する樹脂組成物全体に対するシリコーンの添加量を示している。用いたシリコーンは、重量平均分子量(Mw)は、100万(1000000)以上であり、粘度は600万(6000000)cS以上である。具体的には、以下のマスターバッチを用いた。
実施例1~3、比較例1:株式会社ヘキサケミカル製、ML-350
実施例4~6、比較例2:株式会社ヘキサケミカル製、ML-950
最外層9を構成するポリオレフィン系樹脂として、全ての実施例及び比較例において低密度ポリエチレンを用いた。具体的には、旭化成株式会社製、サンテック(登録商標)F2206を用いた。
中間層5は、プラスチック容器1の成形時に発生するスクラップを再生して得られるリプロ材料及び最外層9を構成するポリオレフィン系樹脂の混合物により構成した。
バリア層7を構成する樹脂として、全ての実施例及び比較例においてエチレンビニルアルコール共重合体(三菱ケミカル株式会社製、SF7503B)を用いた。
接着樹脂層6は、以下の接着性樹脂を用いて構成した。
実施例1~3、比較例1:三菱ケミカル株式会社製、P674V
実施例4~6、比較例2:三菱ケミカル株式会社製、モディック(登録商標)L522
接着樹脂層8は、以下の接着性樹脂を用いて構成した。
実施例1~3、比較例1:三菱ケミカル株式会社製、モディック(登録商標)L522
実施例4~6、比較例2:三菱ケミカル株式会社製、モディック(登録商標)L522
2.最小自己相関長さSalの測定
製造したプラスチック容器1の最内層4の最小自己相関長さSal[μm]を測定した。測定結果を表1に示した。
3.滑落性評価
製造したプラスチック容器1に、ウスターソース類に分類されるお好みソース(オタフクソース株式会社製、含水率:約60質量%、粘度:840mPa・s(23℃)、原材料:野菜、果実、香辛料等)を内容物としてプラスチック容器1の容量の約1/3の量充填し、キャップ3を装着した。プラスチック容器1を回転及び倒立(キャップ3が容器本体2に対して鉛直下側にある状態)させ、内容物を容器内面の全体に付着させ、且つ内容物の大部分を口部22側に移動させた後、プラスチック容器1を正立(キャップ3が容器本体2に対して鉛直上側にある状態)した状態で静置し、内容物の滑落を観察した。正立した状態の容器本体2のうち内容物が充填されていない部分の内面上に付着している内容物を目視で確認し、当該内面のうち80%以上の部分において内容物が付着していないと確認できる状態になるまでの時間t[h]を測定した。測定結果を以下の基準に基づき評価し、その結果を表1に示した。
A:t≦1[h]
B:1[h]<t≦3[h]
C:3[h]<t≦12[h]
D:12[h]<t
最内層4にシリコーンを添加した実施例1~6において、シリコーンを添加していない比較例1,2と比較して、滑落性の向上が認められた。また、実施例2~6においてはさらに優れた滑落性が、実施例4~6において特に優れた滑落性が認められた。シリコーンを添加していない比較例1の最内層4の最小自己相関長さSalは、実施例4~6と同等であるが、比較例1の滑落性は低かった。これは、添加したシリコーンに由来する凹凸構造が滑落性の向上に寄与することを示唆すると考えられる。
1 :プラスチック容器
2 :容器本体
3 :キャップ
4 :最内層
5 :中間層
6 :接着樹脂層
7 :バリア層
8 :接着樹脂層
9 :最外層
21 :収容部
22 :口部
23 :容器ネジ部
31 :キャップカバー
32 :キャップ本体
32a :上部
32b :吐出口
32c :筒部
33 :連結部

Claims (5)

  1. 水性の内容物を収容するための水性内容物用プラスチック容器であって、
    前記内容物と接する最内層は、ポリオレフィン系樹脂にシリコーンを添加した樹脂組成物で構成され、
    前記最内層の前記内容物と接する側の表面は、前記シリコーンにより形成された凹凸構造を連続して有するように構成されることを特徴とする、水性内容物用プラスチック容器。
  2. 請求項1に記載の水性内容物用プラスチック容器であって、
    前記最内層における前記シリコーンの添加量は、2.5~10質量%である、水性内容物用プラスチック容器。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の水性内容物用プラスチック容器であって、
    前記最内層の前記表面の最小自己相関長さは、40~70μmである、水性内容物用プラスチック容器。
  4. 請求項1~請求項3の何れか1つに記載の水性内容物用プラスチック容器であって、
    前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレンである、水性内容物用プラスチック容器。
  5. 請求項1~請求項4の何れか1つに記載の水性内容物用プラスチック容器であって、
    前記ポリオレフィン系樹脂は、低密度ポリエチレンである、水性内容物用プラスチック容器。
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