JP6446889B2 - 樹脂製表面を有する容器 - Google Patents

樹脂製表面を有する容器 Download PDF

Info

Publication number
JP6446889B2
JP6446889B2 JP2014150842A JP2014150842A JP6446889B2 JP 6446889 B2 JP6446889 B2 JP 6446889B2 JP 2014150842 A JP2014150842 A JP 2014150842A JP 2014150842 A JP2014150842 A JP 2014150842A JP 6446889 B2 JP6446889 B2 JP 6446889B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wax
layer
olefin
resin
container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014150842A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016023298A (ja
Inventor
洋介 阿久津
洋介 阿久津
晋也 岩本
晋也 岩本
耕太 岡本
耕太 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Group Holdings Ltd filed Critical Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Priority to JP2014150842A priority Critical patent/JP6446889B2/ja
Publication of JP2016023298A publication Critical patent/JP2016023298A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6446889B2 publication Critical patent/JP6446889B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

本発明は、樹脂製表面を有する容器に関するものであり、より詳細には、該表面の表面特性を改質する技術に関するものである。
プラスチックは、成形が容易であり、種々の形態に容易に成形できることなどから、各種の用途に広く使用されている。特に、容器壁の内面がポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステルで形成されているボトルは、各種飲料、食油、調味液等を収容するための容器として好適に使用されている。
ところで、特に粘度の高い液体を収容するボトルでは、該内容物を速やかに排出し且つボトル内に残存させることなくきれいに最後まで使いきるために、内容液に対してボトル内面が高い滑り性を示すことが求められる。
最近になって、樹脂製の基材表面に液層を形成することによって、粘稠な物質に対する滑り性を高める技術が種々提案されている(例えば特許文献1,2)。
かかる技術によれば、基材表面を形成する樹脂に滑剤などの添加剤を加える場合と比して、滑り性を飛躍的に高めることができるため、現在注目されている。
しかしながら、上記のように樹脂製表面に液層を形成して表面特性を改質する手段では、改質された表面特性を長期にわたって持続させることが困難であるという問題がある。即ち、液層を形成している液体が、徐々に下地の樹脂層中に徐々に浸透拡散していき、この結果、経時と共に、改質された表面特性が消失していくこととなる。
また、上記のように樹脂製表面に液層を形成する手段は、生産ラインに大きな制限を与えるという問題がある。即ち、このような液層が表面に形成されている構造体を搬送或いは保管するに際して、液層が接触するロール等の部材が汚染されてしまったり、或いはこのような構造体を重ねて保管することもできないからである。
尚、本出願人は、上記のような液層による表面特性の経時的消失を回避するために、容器内面の液層の下地樹脂層の下側に液の浸透拡散を防止する液拡散防止層を設けることを提案している(特願2013−109059)。
WO2012/100099 WO2013/022467
本発明の目的は、樹脂製表面を内面に有する容器に関して、その表面に液層を形成した場合と同じように表面特性を飛躍的に改質することができ、且つ生産ライン等に与える制限も有効に解消された容器を提供することにある。
本発明によれば、樹脂製表面が内面に形成されている容器において、該樹脂製表面には、25〜80℃の融点を有する2種以上のオレフィン系ワックスを含むワックス層が1〜30μmの厚みで形成されており、且つ前記2種以上のオレフィンワックスは、少なくとも一部が35〜55℃の温度で液状で存在するように選択されていることを特徴とする容器が提供される。
本発明の容器においては、
(1)前記樹脂製表面は、オレフィン系樹脂で形成されていること、
(2)前記オレフィン系樹脂がポリエチレンであり、前記オレフィン系ワックスが少なくともエチレン系ワックスを含むこと、
(3)前記オレフィン系樹脂がポリプロピレンであり、前記オレフィン系ワックスが少なくともプロピレン系ワックスを含むこと、
(4)前記容器の内面は、水平面に対する傾斜角45度となるように傾斜した状態で、粘度(25℃)が100mPa・s以上の粘稠な物質70mgを、45℃において滑落させたときの滑落速度が4mm/min以上となる表面特性を有していること、
(5)45℃において前記粘稠な物質を滑落させたときの滑落速度が55℃において滑落させたときの滑落速度に比して大であること、
が好適である。
本発明の容器では、内面の樹脂製表面にオレフィン系ワックス層が形成されているため、このワックス層を形成する成分中の少なくとも一部が液状になるような加熱環境下で使用することにより、親水性流動物質に対するオレフィン系ワックスの優れた撥水性や滑り性を発揮することができ、その表面に親水性流動性物質が付着するなどの不都合を有効に防止することができる。即ち、このオレフィン系ワックス層は、常温で固体であるが、融点は極めて低く、適度に加熱することにより、液状となり、親水性流動性物質と液−液接触することができるため、その撥水性や滑り性を最大限に発揮させることができる。
ところで、上記のような優れた表面特性の改質効果は樹脂製表面に液層(例えば食用油などの液層)を形成した場合と同様であるが、本発明では、このオレフィン系ワックスの層が室温下で固体である点が、液層を形成する場合と根本的に異なっている。即ち、オレフィン系ワックス層は、常温で固体のため、例えばフィルムの貼り合わせにより作製されるパウチなどの容器の生産ラインに格別の制限を与えることはなく、例えば、環境温度がコントロールされている限り、ロールによる搬送等も可能であるし、重ねて保管することもでき、これは、本発明の大きな利点である。
さらに、オレフィン系ワックス層は、常温で固体であるため、液層のように、表面を形成する樹脂中に拡散浸透することもなく、該ワックス層が経時的に消失することもなく、オレフィン系ワックス層による表面特性を長期間にわたって安定に発揮させることができる。
即ち、本発明は、このような表面特性を容器に適用したものであり、内容物として親水性の粘稠な内容物(例えばケチャップやマヨネーズなど)を選択し、該オレフィン系ワックス層が液状化する適度な加熱環境下で使用することにより、該内容物に対する滑り性を高め、容器の内面に内容物が付着残存せず、速やかに内容物を排出せしめ、しかも、容器内の内容物のほぼ全量を使い切ることができる。特に、業務用の厨房などは、このオレフィン系ワックス層の少なくとも一部を固体から液状にし得る程度の高温環境(35〜55℃)になるため、このような容器は、特に業務用に適している。
本発明の容器の好適な形態であるダイレクトブローボトルの形態を示す図。 本発明で用いた代表的なワックスの示差走査熱量測定における昇温プロファイルを示す図。
本発明の容器(以下、構造体と呼ぶことがある)は、樹脂製表面を下地としてオレフィン系ワックス層が形成されており、このワックス層によって下地樹脂の表面特性が大きく改質されているというものである。
1.下地樹脂;
かかる構造体において、表面を形成する下地樹脂は、成形可能な任意の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であってよいが、一般的には、成形が容易であり且つオレフィン系ワックス層を脱落することなく安定に保持できるという観点から、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものを例示することができる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を、下地樹脂として使用することもできる。
本発明においては、上記の熱可塑性樹脂の中でも、特にオレフィン系ワックス層に対する親和性が高く、高い濡れ性を示し、均一な厚みのオレフィン系ワックス層を表面全体に形成できるという点で、オレフィン系樹脂が好適である。
なお、このオレフィン系樹脂は、押出し成形や射出成形などの熱成形に適した流動特性を有するものであり、オレフィン系ワックスとは異なり、融点が高く、且つ数平均分子量も20000以上と極めて大きい。
特に、上記のオレフィン系樹脂は、PET等のポリエステル樹脂と比較してガラス転移点(Tg)が低く(一般に20℃以下)、室温下での分子の運動性が高いため、食用油などの液層を表面に形成する場合には、液層を形成する液体が内部に拡散浸透し易く、液層の経時的消失を生じ易いが、本発明で形成するオレフィン系ワックス層は、常温で固体であるため、このようなオレフィン系樹脂により表面が形成されている場合にも、このような経時的消失の問題は全く生じない。
上記のような点を考慮して、特に本発明の容器では、前述した種々の熱可塑性樹脂の中でも、オレフィン系樹脂やポリエステル樹脂が好適に使用され、特に粘稠な内容物の排出に好適に使用されるダイレクトブローボトルとして使用する場合には、オレフィン系樹脂が下地樹脂として最適である。
2.オレフィン系ワックス層;
本発明においては、上述した下地樹脂の表面にオレフィン系ワックス層が設けられ、これにより、オレフィン系ワックス層が形成される側を容器内面側とすることにより、親水性流動物質に対して優れた滑り性や撥水性が付与され、容器内容物を速やかに排出することができる。
このようなオレフィン系ワックスは、前述したオレフィン系樹脂と同様、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、或いは環状オレフィンなどの各種のオレフィンの重合体、或いはこれらオレフィン同士の共重合体、または主成分として、構造上、直鎖状、分岐鎖状、環状の3つに大別される飽和炭化水素からなる。例えば、エチレン系ワックスとしては、低分子量エチレン系(共)重合体、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、合成ワックス(Fishcher−Tropschワックス)等が挙げられる。このようなオレフィン系ワックスの中でも、分子量が10000以下、特に300〜1000のものが好適に用いられる。好適に用いられるオレフィン系ワックスの炭素数としては、20〜60程度である。いずれにせよ、上述のオレフィン系ワックスは下地樹脂として使用されるオレフィン系樹脂と比較すると分子量が低く、室温で固体であり、一般に、融点が30〜80℃、特には40〜80℃の範囲にあるものが好適に使用される。
即ち、この融点が高すぎると、オレフィン系ワックス層を液状化するのにかなりの高温に加熱する必要があり、その実用性に難を生じるおそれがある。一方、融点が低すぎると、生産ライン等で液状化が生じ易くなってしまい、生産ラインの汚染などの不都合を生じ易くなってしまう。なお、この融点は、DSC昇温曲線でのピークトップで示される。
さらに、かかるオレフィン系ワックスの(融点+20)℃での粘度は、20Pa・s以下であることが好ましい。この粘度が高すぎると、下地樹脂層の表面に均一な厚みの層を形成するためには、該ワックスを高温に加熱しなければならず、この結果、下地樹脂の変形等を生じ易くなるおそれがある。
上述のオレフィン系ワックス層として、本発明においては、融点が25〜80℃の融点を有する複数のワックスを配合しておき、35〜55℃で少なくとも一部のワックスが液状となるようにする。ワックス層が複数の融点を有することにより、ワックス層中の低融点成分が液状化する比較的低い温度から、その撥水性や滑り性を発揮できるためである。また、35〜55℃で少なくとも一部のワックスが液状化する限りにおいて、融点が80℃以上のワックス成分をさらに含有していても構わない。例えば、下地樹脂がポリプロピレンである場合、オレフィン系ワックス層として、低融点成分からなるエチレン系ワックスと高融点成分からなるプロピレン系ワックスを併用することで、下地樹脂とオレフィン系ワックス層の密着性を向上させるとともに、ワックス中の低融点成分の液状化により、撥水性や滑り性を発揮することが可能となる。いずれにせよ、オレフィン系ワックス層として、ワックス層中のいずれかの成分が液状化し、撥水性や滑り性を発揮できるように調製してあればよい。
また、本発明において、上記のオレフィン系ワックスは、例えば融点が上記範囲内であり且つ親水性物質に対する撥液性や滑り性が損なわれない限りにおいて、無水マレイン酸や(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸或いはその誘導体(無水物やエステルなど)によって変性されていてもよい。特に変性されているものは、ポリエステルなどに対する親和性が高く、ポリエステル製の下地表面にワックス層を形成する場合に適している。
上述したオレフィン系ワックスからなる層は、その厚みが1〜30μm、特に1〜20μmの範囲にあることが好ましい。即ち、オレフィン系ワックス層が適度な厚みを有することで、下地樹脂により表面が形成されている構造体の特性を損なわず、しかもオレフィン系ワックス層の脱落を生じることなく、安定してオレフィン系ワックス層による表面特性を発揮させることができる。厚みの範囲よりも小さいと所望の性能を発揮できなく、厚みの範囲よりも大きいと下地樹脂性表面との密着性、曲げ性、ヒートヒール性が低下してしまう。
3.構造体の層構造;
本発明の構造体は、上述したオレフィン系ワックス層が下地樹脂の表面に形成されている限りにおいて、その層構造は制限されない。
例えば、本発明の構造体は、下地樹脂のみによる単層構造の上にオレフィン系ワックス層を有していてもよいし、下地樹脂をガラスや金属、或いは紙等に塗布して下地樹脂層が形成されている構造とすることも可能であるし、さらに、他の樹脂層と積層した多層構造とすることも可能である。何れにしろ、下地樹脂の表面にオレフィン系ワックス層が形成されていればよい。
上記のような多層構造としては、例えば、オレフィン系ワックス層が設けられた下地樹脂の表面側とは反対側の面に、適宜接着剤樹脂の層を介して、酸素バリア層や酸素吸収層を積層し、さらに、下地樹脂と同種の樹脂を積層した構造を例示することができる。
かかる多層構造での酸素バリア層は、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアミドなどの酸素バリア性樹脂により形成されるものであり、その酸素バリア性が損なわれない限りにおいて、酸素バリア性樹脂に他の熱可塑性樹脂がブレンドされていてもよい。
また、酸素吸収層は、特開2002−240813号等に記載されているように、酸化性重合体及び遷移金属系触媒を含む層であり、遷移金属系触媒の作用により酸化性重合体が酸素による酸化を受け、これにより、酸素を吸収して酸素の透過を遮断する。このような酸化性重合体及び遷移金属系触媒は、上記の特開2002−240813号等に詳細に説明されているので、その詳細は省略するが、酸化性重合体の代表的な例は、第3級炭素原子を有するオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレンやポリブテン−1等、或いはこれらの共重合体)、熱可塑性ポリエステル若しくは脂肪族ポリアミド;キシリレン基含有ポリアミド樹脂;エチレン系不飽和基含有重合体(例えばブタジエン等のポリエンから誘導される重合体);などである。また、遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属の無機塩、有機酸塩或いは錯塩が代表的である。
さらに、各層の接着のために使用される接着剤樹脂はそれ自体公知であり、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸もしくはその無水物、アミド、エステルなどでグラフト変性されたオレフィン樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体;イオン架橋オレフィン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;などが接着性樹脂として使用される。
上述した各層の厚みは、各層に要求される特性に応じて、適宜の厚みに設定されればよい。
さらに、上記のような多層構造の構造体を成形する際に発生するバリ等のスクラップをオレフィン系樹脂等のバージンの樹脂とブレンドとしたリグライド層を内層として設けることも可能である。
4.構造体の形態;
本発明の構造体は、種々の形態を有することができるが、特に液層を形成する液体の選択により粘稠な流動性物質に対する滑り性を向上させることができることから、包装容器や蓋材、キャップなどの包装材の形態で使用されることが好ましい。
例えば、このような容器の形態は特に制限されず、カップ乃至コップ状、ボトル状、袋状(パウチ)、シリンジ状、ツボ状、トレイ状等、容器材質に応じた形態を有していてよく、延伸成形されていてもよい。
このような容器は、前述した下地表面を有する前成形体をそれ自体公知の方法により成形し、これを、ヒートシールによるフィルムの貼り付け、プラグアシスト成形等の真空成形、ブロー成形、インフレーション成形などの後加工に付して容器の形態とし、さらに、先にも簡単に述べたように、その形態に応じて、加熱されて液状となっているオレフィン系ワックスを、スプレー噴霧、或いはローラやナイフコーターなどを用いての塗布により、内面の下地表面に施すこと、また、特願2013−91244(PCT/JP2014/61565)に記載のようにブロー流体と共にブロー流体用の供給管からミスト状に供給することや、下地を構成する樹脂と共押出して内面に供給することにより、オレフィン系ワックス層を内面に備えた容器の形態とすることができる。
図1には、本発明の容器の最も好適な形態であるダイレクトブローボトルが示されている。
即ち、図1において、全体として10で示されるこのボトルは、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部壁15及び胴部壁15の下端を閉じている底壁17を有しており、このようなボトル10の内面に前述した液層が形成され、且つ粘稠な内容物が充填されることとなる。
上述したオレフィン系ワックス層が下地樹脂表面(即ち内面)に設けられているボトル10においては、オレフィン系ワックスの少なくとも一部が液状化する加熱下で、その表面特性を十分に発揮させることができるため、特に、粘度(25℃)が100mPa・s以上の粘稠な内容物、例えば、ケチャップ、水性糊、蜂蜜、各種ソース類、マヨネーズ、マスタード、ドレッシング、ジャム、チョコレートシロップ、乳液等の化粧液、液体洗剤、シャンプー、リンス等の粘稠な内容物の充填ボトルとして最も好適であり、特に厨房などの高温環境下で使用される用途に最適であり、ボトル10内に、これらの内容物が付着することなく、速やかに排出でき、さらには、粘稠な内容物をボトル内に残存することなく、そのほぼ全量を使い切ることができる。
本発明を次の実験例にて説明する。
尚、実験例で行った各種の評価或いは測定、及び用いた材料等は以下の通りである。
1.示差走査熱量測定
使用するオレフィン系ワックス(各々約7mg)について、示差走査熱量計(PERKIN ELMER社製Diamond DSC)を用いて融点測定を行った。
試料を、25℃から120℃まで昇温速度10℃/minで走査し、120℃にて3分間保持した。次に、120℃から−50℃まで降温速度10℃/minで走査し、−50℃にて3分間保持した。その後、−50℃から120℃まで昇温速度10℃/minで走査した際に得られたプロファイルから、各ワックスの融点(融解ピーク温度)と融解熱を求めた。得られたプロファイルにおいて、融解ピークが複数現れた場合は、ピーク高さが最も大きいものをメインピークとし、それ以外はサブピークとした。
2.流動性内容物の滑落速度測定
後述の方法で作製した、オレフィン系ワックス層が表面に被覆された多層フィルムから20mmx70mmの試験片を切り出した。切り出した試験片を温度変調可能な治具にワックス層が表面に被覆された面が上になるように固定し、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、70mgの流動性内容物を試験片にのせ、45°の傾斜角における滑落挙動をカメラで撮影し、滑落挙動を解析し、移動距離−時間のプロットから滑落速度を算出した。この滑落速度を滑落性の指標とした。前記滑落速度の値が大きい程、内容物の滑落性が優れている。なお、測定温度は23℃、45℃、55℃とした。
用いた流動性内容物は下記の通りである。なお、内容物の粘度として、音叉型振動式粘度系SV−10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて25、46℃で測定した値も共に示す。
用いた流動性内容物;
ソース(お好みソース、オタフクソース(株)製)
粘度:560mPa・s(25℃)、410mPa・s(46℃)
3.金属への移行性試験
後述の方法で作製したオレフィン系ワックス層が表面に被覆された多層フィルムをステンレス製のブロックに接触させ、ワックス層がブロックcに移行するかを目視にて確認した。接触後も移行が確認されなかったものを○、移行が確認されたものを×とした。
<ポリエチレン系多層フィルム>(以下、多層フィルムと呼ぶ)
総厚み:150μm
層構成:ナイロン/接着/AL/接着/LDPE
<オレフィン系ワックス>
用いたオレフィン系ワックスの物性値を下記に示す。融点および結晶の融解熱は前述の示差走査熱量測定によって測定した。代表的な例としてエチレン系ワックスB、Cおよび炭化水素系ワックスBの昇温プロファイルを図2に示す。
エチレン系ワックスA:融点=45℃(メイン)、29℃(サブ)、24℃(サブ)
エチレン系ワックスB:融点=51℃(メイン)、28℃(サブ)
エチレン系ワックスC:融点=59℃(メイン)、42℃(サブ)
炭化水素系ワックスA:融点=55℃(メイン)、74℃(サブ)
炭化水素系ワックスB:融点=69℃(メイン)
ここで、前述の流動性内容物の滑落速度測定の各温度において、用いたオレフィン系ワックスの状態を把握するため、得られた全融解熱のうち、23℃以下、45℃以下、55℃以下の温度域に存在する融解熱の割合を融解率として求めた。結果をまとめて表1に示す。例えば、ある温度Tで融解率が0%となる場合、温度T以下の融解熱が存在せず、オレフィン系ワックスは固体状態であること、また、ある温度Tで融解率が20%の場合、温度Tにおいては、全結晶成分のうち20%は融解しており、液状化した成分が20%存在することを示す。
(実験例1)
エチレン系ワックスA5gとヘプタン(特級、和光純薬工業(株)製)45gをガラス瓶中に秤量し、スターラーを用いて攪拌し、エチレン系ワックスA10wt%の溶液を調製した。調製した溶液は室温下でエチレン系ワックスAがヘプタン中に均一に溶解し、透明な溶液となった。
100mmx150mmのポリエチレン系多層フィルムのLDPE面上に調製した溶液をバーコートし、40℃で5分乾燥した後、室温下で充分に乾燥させて、ワックス被覆多層フィルムを作製した。乾燥後、膜厚計を用いて、ワックス層の厚みを測定した。ワックス層の厚みは4μmであった。
作製したワックス被覆フィルムを用いて、前述の流動性内容物の滑落速度測定、金属への移行性試験を行った。結果を表2に示す。
(実験例2)
エチレン系ワックスB5gとヘプタン(特級、和光純薬工業(株)製)45gをガラス瓶中に秤量した。エチレン系ワックスBは室温下でヘプタンに溶解しなかったため、ホットスターラーを用いて加熱攪拌し、エチレン系ワックスB10wt%の溶液を調製した。調製した溶液は加熱下でエチレン系ワックスBがヘプタン中に均一に溶解し、透明な溶液となった。この透明な溶液を攪拌しながら徐冷し、エチレン系ワックスBがヘプタン中に微分散した分散液を得た。
100mmx150mmのポリエチレン系多層フィルムのLDPE面上に調製した分散液をバーコートし、40℃で5分乾燥した後、室温下で充分に乾燥させて、ワックス被覆多層フィルムを作製した。乾燥後、膜厚計を用いて、ワックス層の厚みを測定した。ワックス層の厚みは3μmであった。
作製したワックス被覆フィルムを用いて、前述の流動性内容物の滑落速度測定、金属への移行性試験を行った。結果を表2に示す。
(実験例3)
エチレン系ワックスCを用いた以外は実験例2と同様の手順でワックス被覆多層フィルムを作製した。ワックス層の厚みは4μmであった。
作製したワックス被覆フィルムを用いて、前述の流動性内容物の滑落速度測定、金属への移行性試験を行った。結果を表2に示す。
(実験例4)
炭化水素系ワックスAを用いる点、バーコーターの番手を変更した以外は実験例2と同様の手順でワックス被覆多層フィルムを作製した。ワックス層の厚みは10μmであった。
作製したワックス被覆フィルムを用いて、前述の流動性内容物の滑落速度測定、金属への移行性試験を行った。結果を表2に示す。
(実験例5)
炭化水素系ワックスBを用いる点、バーコーターの番手を変更した以外は実験例2と同様の手順でワックス被覆多層フィルムを作製した。ワックス層の厚みは15μmであった。
作製したワックス被覆フィルムを用いて、前述の流動性内容物の滑落速度測定、金属への移行性試験を行った。結果を表2に示す。
(実験例6)
多層フィルムにワックスを被覆せず、前述の流動性内容物の滑落速度測定、金属への移行性試験を行った。結果を表2に示す。
表2の流動性内容物の滑落速度測定の結果から、23℃においては、いずれの実験例においても、滑落速度は1.5mm/min前後と小さい値を示しており、LDPE上へのワックス被覆の有無に依らず、同等の値である。このことから、23℃においては、ワックス被覆を行った実験例1から5、およびワックスを被覆していない実験例6、いずれの場合においても、内容物と多層フィルム表面との界面、すなわち接触形態は、ほぼ液/固接触となっており、この状態で、内容物が滑落しているものと推察される。一方、55℃においては、ワックス被覆を行った実験例1から5では、滑落速度の値として、5mm/min以上と高い値を示しているのに対し、ワックス被覆を行っていない実験例6では2.5mm/minと実験例1から5よりも小さい値を示している。このことから、ワックス被覆の有無によって、内容物と多層フィルム表面との接触状況が異なっていることが示唆される。
実験例6では、ワックス被覆は行っていないため、55℃においても、内容物と多層フィルム表面との接触形態は液/固接触であるといえる。一方、実験例1から5においては、表面に被覆したワックス成分の少なくとも一部は液状化しており、内容物との接触形態が液/液接触となっていることと考えられる。このため、実験例1から5では実験例6に比べ、明らかに大きな滑落速度を示したと解釈できる。
また、ワックス被覆を行った実験例1から3および5において、45℃での滑落速度の値が55℃よりも大きくなっている。この滑落速度の違いは用いるワックスの物性(融点、融点の数、(一部)液状化時における粘度)に依存しているものと考えられる。この結果から、例えば、本構造体を容器として用いる場合、使用環境(温度)に応じてワックスの物性をあらかじめ調整することで、使用温度において最大限の滑落性を発現可能となることが示唆されている。
一般的に、オレフィン系ワックスにおいて、低融点成分は高融点成分よりも低分子量であるため、融解後の液状時における粘度は高融点成分よりも低くなる。従って、ワックス層を形成するワックス成分に融点の異なる複数の成分を混合させておくことにより、ワックス成分中の全成分が液状化しうるような高い温度域でなく、ワックス成分中の一部が液状化した比較的低い温度からも、本発明による表面特性の改質効果を発現することが可能であることが分かる。
さらに、表2の移行性試験の結果から、室温下で固体状態をとるワックス層では金属への移行がほとんど見られず、生産ラインにうまく適応できることが分かる。
以上のことから、樹脂製表面にワックス層を形成させることで表面特性を飛躍的に改質することができ、且つ生産ライン等に与える制限も有効に解消された構造体を提供することが可能となると言える。
10:ボトル
11:首部
13:肩部
15:胴部壁
17:底壁

Claims (6)

  1. 樹脂製表面が内面に形成されている容器において、該樹脂製表面には、25〜80℃の融点を有する2種以上のオレフィン系ワックスを含むワックス層が1〜30μmの厚みで形成されており、且つ前記2種以上のオレフィン系ワックスは、少なくとも一部が35〜55℃の温度で液状で存在するように選択されていることを特徴とする容器
  2. 前記樹脂製表面は、オレフィン系樹脂で形成されている請求項1に記載の容器
  3. 前記オレフィン系樹脂がポリエチレンであり、前記オレフィン系ワックスが少なくともエチレン系ワックスを含む請求項2に記載の容器
  4. 前記オレフィン系樹脂がポリプロピレンであり、前記オレフィン系ワックスが少なくともプロピレン系ワックスを含む請求項2に記載の容器
  5. 前記容器の内面は、水平面に対する傾斜角45度となるように傾斜した状態で、粘度(25℃)が100mPa・s以上の粘稠な物質70mgを、45℃において滑落させたときの滑落速度が4mm/min以上となる表面特性を有している請求項1〜4の何れかに記載の容器
  6. 45℃において前記粘稠な物質を滑落させたときの滑落速度が55℃において滑落させたときの滑落速度に比して大である請求項5に記載の容器
JP2014150842A 2014-07-24 2014-07-24 樹脂製表面を有する容器 Active JP6446889B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014150842A JP6446889B2 (ja) 2014-07-24 2014-07-24 樹脂製表面を有する容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014150842A JP6446889B2 (ja) 2014-07-24 2014-07-24 樹脂製表面を有する容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016023298A JP2016023298A (ja) 2016-02-08
JP6446889B2 true JP6446889B2 (ja) 2019-01-09

Family

ID=55270357

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014150842A Active JP6446889B2 (ja) 2014-07-24 2014-07-24 樹脂製表面を有する容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6446889B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004209756A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Unitika Ltd ウレタン発泡体製造用離型フィルム
JP2008539317A (ja) * 2005-04-29 2008-11-13 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 改善されたブロッキング防止特性を示すポリマーフィルム及び製造方法
JP5146082B2 (ja) * 2008-04-28 2013-02-20 住友化学株式会社 ガラス容器用蓋材及びガラス容器
JP5573377B2 (ja) * 2010-06-04 2014-08-20 東洋製罐株式会社 多層プラスチック容器
JP5793936B2 (ja) * 2011-04-25 2015-10-14 凸版印刷株式会社 熱シール性フィルム、及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016023298A (ja) 2016-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6589863B2 (ja) 表面に潤滑層が形成されている構造体
US10392138B2 (en) Method of filling viscous content
JP6105820B1 (ja) 外添領域を表面に有する構造体
JP6587823B2 (ja) 表面に固体粒子が分布している容器
AU2016240764C1 (en) Structured body having hydrophobic surface, and method for producing the same
WO2016185804A1 (ja) 表面にゲル状被覆を有する構造体
JP5968491B1 (ja) 液膜を有する構造体及びその製造方法
JP6734661B2 (ja) 凹凸表面を有するワックス層を備えた積層構造体及びその製造方法
JP6446889B2 (ja) 樹脂製表面を有する容器
WO2017094123A1 (ja) 低温環境下に保管される包装体及びその使用方法
JPWO2015182383A1 (ja) 液層を表面に有する構造体
JP6677274B2 (ja) 包装体の使用方法
JP6417721B2 (ja) 包装体
JP6307129B2 (ja) 表面にゲル状被覆を有する構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170616

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180320

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180514

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6446889

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150