JP6734661B2 - 凹凸表面を有するワックス層を備えた積層構造体及びその製造方法 - Google Patents

凹凸表面を有するワックス層を備えた積層構造体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、凹凸表面を有するワックス層を備えた積層構造体に関するものであり、さらには、その製造方法にも関する。
プラスチックは、成形が容易であり、種々の形態に容易に成形できることなどから、各種の用途に広く使用されており、例えば、各種飲料、食油、調味液、或いはヨーグルトのようなゲル状の粘稠な食品、さらには液体洗剤や糊などを収容するための容器として好適に使用されている。
ところで、粘稠な液状の内容物或いはゲル状の内容物が収容されている容器では、内容物の容器内面への付着残存を有効に防止し(内容物の非付着性)、或いは内容物を容器から速やかに排出すること(内容物の滑落性)が求められる場合が多い。
内容物に対する非付着性や滑落性(以下、これらの特性を滑り性と呼ぶことがある)を高めるための手段としては、内容物と接触する表面に、疎水性微粒子を分布させたり、該表面をワックス固形分で被覆するなどの手段が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
即ち、これらの公知の手段は、内容物と接触する表面に、疎水性微粒子やワックスを存在させておくことにより、水分を含有する内容物に対して、優れた滑り性を付与するというものである。特に、疎水性微粒子が表面に分布している場合には、表面に凹凸が形成され、これにより、内容物に対する滑り性が大きく向上するものとなっている。即ち、凹凸の表面を内容物が移動する場合、凹凸間に存在する空気と接触しながら内容物が移動するが、空気は最も撥水性が大きい。従って、疎水性微粒子が示す撥水性と凹凸による撥水性とが相俟って、内容物に対する滑り性が大きく増大するわけである。
特開2012−228787 特許第5490574号 特許第4348401号
しかしながら、疎水性微粒子やワックスを用いた従来公知の手段は、何れも、これらの成分を有機溶媒に溶解した塗布液を使用し、この塗布液を表面に塗布し、乾燥するという手段を使用しているため、溶媒除去のために環境に対する負荷が大きいという問題があった。
また、上記のような方法で形成されたワックス層が表面に形成されている構造体においても、前述した粘稠な物質に対して、さらに滑り性の向上が求められている。
従って、本発明の目的は、疎水性微粒子とワックスとを使用するが、有機溶媒を全く使用せずに形成された凹凸表面を有するワックス層が形成されている積層構造体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、凹凸表面を有するワックス層を表面に有しており、粘稠な流動性物質に対する滑り性がより向上した積層構造体及びその製造方法を提供することにある。
本発明によれば、表面が樹脂層で形成されている成形体と、該成形体の表面の樹脂層上に設けられた凹凸表面を有するワックス層とからなり、該成形体表面の樹脂層は、該ワックスとのSP値の差が1.5(MPa)1/2以下の樹脂により形成されており、且つ該樹脂層には、前記ワックスが吸収されていることを特徴とする積層構造体が提供される。
本発明の積層構造体においては、
(1)前記ワックス層には、粗面化材である微粒子が分布していること、
(2)前記微粒子は、4nm〜1μmの平均一次粒径を有していること、
(3)前記ワックス層が、内部に前記微粒子が分布したメタボール状に連なったメタボール立体形状を有していること、
(4)前記ワックスの融点が40℃〜110℃の範囲にあること、
(5)前記成形体が容器の形態を有しており、容器に収容される内容物と接触する側の内面に、前記ワックス層が形成されていること、
(6)前記容器がオレフィン系樹脂製のボトルであること、
或いは、
(7)前記容器が紙を基材とした容器であること、
(8)前記成形体が容器口部にヒートシールにより施される蓋材の形態を有しており、容器に収容されている内容物と接触する側の面に、前記ワックス層が形成されていること、
が好ましい。
また、本発明によれば、
微粒子が分散されているワックス溶融物と、該ワックスとのSP値の差が1.5(MPa)1/2以下の樹脂により表面層が形成されている成形体とを用意する工程、
前記ワックス溶融物を、前記成形体の表面に塗布する工程;
前記成形体の表面に塗布されたワックスを溶融状態に加熱保持することにより、該ワックスを該成形体の表面層を形成している樹脂に吸収させる工程;
次いで、前記表面層上に存在しているワックスを冷却固化することにより、該表面層上にワックス層を形成する工程、
を含むことを特徴とする表面にワックス層を備えた積層構造体を製造する方法が提供される。
上記の製造方法においては、
前記成形体の表面層を形成する樹脂の融点をX℃としたとき、前記ワックスを溶融状態に維持するための加熱保持を、下記条件式;
X−5≧Y≧X−50
を満足する温度Yで、5秒〜10分行い凹凸表面を有するワックス層を形成すること、
が好適である。
本発明の積層構造体では、成形体の表面層を形成している樹脂上に凹凸面を有しているワックス層が形成されており、ワックス自体の疎水性と凹凸面が有する疎水性とが相俟って、水分含有物質に対する滑り性が発揮されるのであるが、本発明では、特に、成形体の表面層を形成している樹脂として、前記ワックスとのSP値の差が1.5(MPa)1/2以下の樹脂が選択使用されていることが重要な特徴である。
即ち、本発明において、SP値とは、Smallにより提唱された算出方法で計算される溶解度パラメータ―δと呼ばれる指数であり、分子を構成する原子または原子団とその結合型などについてのモル牽引力定数、分子容から算出された値である(P.A.J.Small:J.Appl Chem.,3,71(1953))。因みに、このようなSP値は、物質同士の相溶性を評価するための尺度として広く利用されており、この差が小さいほど、両物質は高い親和性を示し、相溶性が高いことを意味している。
本発明では、上記のように、ワックスとのSP値の差が小さい樹脂により成形体の表面層が形成されているため、有機溶媒を用いることなく、ワックスの溶融物を成形体の表面に塗布することにより、容易に成形体の表面層を形成している樹脂中に吸収させ、このような表面層上にワックスの層を形成することが可能となる。
例えば、ワックスとのSP値の差が上記範囲よりも大きな樹脂により成形体の表面層が形成されている場合には、ワックスの溶融物を成形体表面に塗布したとしても該表面層にワックスは吸収されず、単に成形体の表面にワックス層が形成されるに過ぎない。勿論、SP値の差が大きくとも、有機溶媒を使用すれば、成形体の表面層にワックスを吸収させることは可能であるが、この場合には、成形体の表面が変形してしまう。
また、ワックス層表面の凹凸は、例えば、成形体の形態によっては、ワックス溶融物を成形体表面に塗布し、冷却固化することによりワックス層を形成した後、スタンパ等による転写やブラスト処理、エッチングなどによる後処理により形成することもできるが、上記のように、ワックスとのSP値の差が小さい樹脂により成形体の表面層が形成されている本発明では、ワックス溶融物に粗面化材である微粒子(例えばシリカ)を配合しておくことにより、後処理を行うことなく、ワックス層表面に凹凸を形成することができる。即ち、ワックス溶融物の一部のワックスは成形体の表面の樹脂層中に吸収されていくが、微粒子は、残りのワックスと共に、成形体の表面樹脂層上に残るため、結果として、該微粒子によってワックス層表面に凹凸を形成することが可能となる。
本発明においては、さらに、上記のように微粒子が配合されたワックス溶融物を用いてワックス層を形成したときには、ワックス層の形態を、内部に前記微粒子が分布したメタボール状に連なったメタボール立体形状とすることができ、このようなメタボール状の形態は、内部に空隙が形成されていることもあって、凹凸度が高く、含水物質に対して極めて優れた滑り性を発揮することとなり、これも、本発明の大きな利点である。
このように、本発明の積層構造体が有している特有の表面構造は、有機溶媒を使用せずに形成することができ、これは、加熱に際して揮散する有機溶媒の捕集等のための負担が完全に不要となり、生産効率の大幅な上昇やコストの低減を図り、環境に対する悪影響も回避することができ、工業的実施に極めて有利となり、さらには、ワックス層の形態によっては、極めて高い滑り性が発現する。
本発明の積層構造体の最も好適な表面構造を示す概略断面図。 本発明とは異なる積層構造体の表面構造を示す概略断面図。 本発明の積層構造体の好適な形態であるダイレクトブローボトルの形態を示す図。 各実験例で作製された凹凸表面構造のSEM写真。 実験例1における吸熱ピークの測定結果を示す。 実験例2における吸熱ピークの測定結果を示す。 実験例3における吸熱ピークの測定結果を示す。
<構造体の表面構造>
本発明の積層構造体の最も好適な表面構造を示す図1を参照して、全体として10で示す積層構造体は、表面層として樹脂層1(以下、下地樹脂層と呼ぶことがある)を有している成形体と、この下地樹脂層1上に設けられたワックス3により形成されたワックス層5とからなっており、ワックス層5の内部には、粗面化材である微粒子7が分布している。また、この下地樹脂層1の内部には、ワックス層5を形成しているワックス3が吸収されている。
図1から理解されているように、ワックス3により形成されているワックス層5は、ワックス3により形成された球形状のメタボール5aが連結した状態となっており、ワックス3のメタボール5aの内部には、それぞれ複数の微粒子7が分布している。この態様では、このようなメタボール形状のワックス層5により疎水性を示す凹凸面が形成されるわけであるが、一般に、かかるワックス層5におけるメタボール5aの径(円相当径)は、走査型電子顕微鏡で測定して20〜200nm、特に50〜150nmの範囲にある。また、かかるワックス層5は、ワックス3のメタボール5aの連結により形成されているため、その内部には、空隙9が存在している。このようなワックス層5は、内部に空隙を含んだ凹凸度の高い凹凸表面を有しており、しかも、疎水性のワックス3により形成されているため、高い疎水性を示し、水分含有物質や親水性の物質に対して極めて高い滑り性を示す。
上記のようなメタボール形状のワックス層5は、下地樹脂層1を形成する樹脂(下地樹脂)として、ワックス3とのSP値の差が1.5(MPa)1/2以下のものが選択されており、このような下地樹脂により形成されている下地樹脂層1上に、粒子7が配合されているワックス3の溶融物(即ち、有機溶媒は含んでいない)を塗布し、ワックス3の溶融状態が維持されるように加熱して、ワックス3の一部を下地樹脂層1に吸収させた後、冷却することにより形成される極めて特異的な構造である。
即ち、上記のようなSP値を有する樹脂により下地樹脂層1が形成されているとき、かかる下地樹脂層1上に微粒子7を含むワックス3の溶融物を塗布し、ワックス3の溶融状態が維持されるように加熱すると、ワックス3と下地樹脂との相溶性が高いため、溶融物中のワックス3は下地樹脂層1中に吸収されていく。このとき、ワックス3の溶融物中に分散している微粒子7から離れた位置にあるワックス3が優先的に下地樹脂層1に吸収され且つ拡散していき、微粒子7の近傍に存在しているワックス3は下地樹脂層1に吸収されずに、下地樹脂層1上に残る。このような状態で下地樹脂層1上に残った溶融状態のワックス3が冷却固化することにより、上記のように内部に空隙9を含んだメタボール形状のワックス層5が形成され、しかも下地樹脂層1の内部にはワックス3が吸収されていることとなる。上記のようなメタボールの形状は、例えば、物質の化学構造を空間的に示す際に広く用いられている空間充填モデル(Space−filing model)に似ており、後述する実施例に示されているように、原子間力顕微鏡や走査型電子顕微鏡により確認することができる。
また、上記の説明から理解されるように、下地樹脂層1が、ワックス3とのSP値の差が上記範囲よりも大きい樹脂により形成されている場合には、上記のように微粒子7を含むワックス3の溶融物を下地樹脂層1に塗布して加熱保持したとしても、ワックス3が下地樹脂1に吸収されず、或いは吸収されたとしても、その量は微量であるため、例えば図2に示されているように、フラットなワックス層5が形成され、その内部に微粒子7が分布しているに過ぎず、ワックス3による凹凸面が形成されず、従って、その滑り性は、凹凸面が形成されない分だけ不満足なものとなる。
さらに、SP値が上記範囲にある樹脂により下地樹脂層1が形成されていたとしても、有機溶媒により形成されたワックス3の塗布液を下地樹脂層1に塗布した場合には、ワックス3が直ちに下地樹脂層1に吸収されてしまい、この結果、下地樹脂層1の表面には、ほとんどワックス3が残らず、微粒子7が分布しているに過ぎない構造となってしまう。また、場合によっては、下地樹脂層1が溶解により変形してしまい、下地樹脂層1を有している成形体の形状が損なわれてしまうこともある。
下地樹脂層1;
上記で述べたように、成形の表面を形成している下地樹脂層1は、ワックス3とのSP値の差が1.5(MPa)1/2以下のものを使用することが必要である。即ち、SP値の差が大きな樹脂が下地樹脂層1を形成している場合では、ワックス3が下地樹脂層1に吸収されないため、図1に示すような形態のワックス層5を形成することができない。因みに、パラフィンワックス及び代表的な熱可塑性樹脂のSP値は、以下のとおりである。
SP値(MPa)1/2 SP値の差
パラフィンワックス 17.3 0
ポリエチレン(LDPE) 17.9 0.6
ポリエチレン(HDPE) 18.7 1.4
ホモポリプロピレン(h−PP) 16.4 0.9
環状オレフィン共重合体(COC) 13.8 3.5
エチレンビニルコール共重合体(EVOH) 18.9 1.6
ポリエチレンテレフタレート(PET) 22.7 5.4
PET−G 20.4 3.1
尚、PET−Gは、非晶性のポリエチレンテレフタレートであり、共重合成分を含む共重合ポリエチレンテレフタレートである。
従って、ワックス3としてパラフィンワックスが使用されるとき、成形体表面の下地樹脂層1を形成する樹脂として、ポリエチレン、およびポリプロピレンを使用することができる。
本発明において、ワックス3に対してSP値の差が上記範囲にある樹脂としては、用いるワックス3の種類によっても異なるが、ワックス3のSP値が上記のパラフィンワックスとほぼ同じであることから、一般に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体などを例示することができる。
また、マトリックスを形成する樹脂のSP値の差が上述の範囲に入る限りにおいて、種々の樹脂をブレンドして使用することも可能である。
また、下地樹脂層1を形成する樹脂は、SP値の差が上記範囲にある限りにおいて、少なくともフィルムを形成し得る程度の分子量を有していればよいが、一般的には、成形性を考慮して、成形に適したメルトフローレート(MFR)を有するものが好適に適用される。例えば、下地樹脂層1が押出成形により形成されるのであれば、押出成形に適したMFRを有するものが好適に使用される。
上記のような下地樹脂層1の厚みは、特に制限されるものではないが、一般的には、5〜200μm、特に10〜100μm程度の厚みを有していることが好ましい。この厚みが薄すぎると、ワックス3の吸収量が少なくなってしまい、この結果、メタボール形状のワックス層5が形成されにくくなってしまい、表面の凹凸による疎水性効果が低減してしまうおそれがある。また、下地樹脂層1の厚みが必要以上に厚いと、用いたワックス3のほとんど全てが下地樹脂層1に吸収されてしまい易く、この場合においても図1に示されているようなメタボール形状のワックス構造が形成されにくくなってしまう。
ワックス3;
本発明において用いるワックス3は、疎水性を示し、しかも室温で固体であるという特性を有しており、下地樹脂層1の表面上に脱落しにくい安定な層を形成し得るという性質を有しており、安定な滑り性を持続して発揮し得るという利点を有する。
例えば、パラフィンワックスの場合、石油の精製工程から製造される常温で白色の固体であり、炭素数が20〜30程度の直鎖状のパラフィンを主成分とし、少量のイソパラフィンを含むものである。
植物系ワックスの例としてカルナバワックスを挙げると、カルナバヤシから採取される淡黄色〜淡褐色の固体であり、炭素数が16〜34のヒドロキシ酸エステルを主成分とするものである。
本発明においては、このようなワックス3の中でも、融点が50〜100℃の範囲にあるものが特に好適である。即ち、ワックス3の融点が低すぎると、夏場等において、この構造体10の使用中にワックス3が流れてしまい、これと共に、図1におけるワックス層5が脱落してしまうおそれがある。また、ワックス3の融点が高すぎると、ワックス3を樹脂層1に吸収させるための加熱温度を高温としなければならず、その作業が押出成形に限定されてしまったり、或いはワックス3の樹脂層1への吸収を効果的に行うことが困難となる恐れもある。
また、本発明においては、融点が上記範囲内であることを条件として、合成炭化水素ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス等も好適に使用することができる。
本発明において、例えばワックス3として、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス或いはマイクロクリスタリンワックスを用いた場合、これらのワックスとのSP値の差が前述した範囲にある下地樹脂として、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン或いはポリプロピレンが好適に使用される。
尚、本発明において、下地樹脂層1にワックス3が吸収されていることは、樹脂層1についてのDSC昇温曲線において、低温領域に融点に由来する吸熱ピークが形成されていることや溶剤による抽出により確認することができる。
微粒子7;
図1中の微粒子7は、粗面化材として使用されるものであり、メタボール形状のワックス層5を形成させるためには必須の材料である。即ち、下地樹脂層1にワックス3を吸収させ且つ下地樹脂層1の上にワックス層5を形成させるだけであるならば、このような微粒子7を配合せず、ワックス3の溶融物を下地樹脂層1に塗布するのみでよい。しかしながら、この場合には、ワックス層3がメタボール形状を有していないため、ワックス層5の表面は凹凸面とならない。従って、ブラスト処理、エッチング等の後処理により凹凸面を形成する必要がある。このような手段でも滑り性を確保することは可能であるが、この場合には、後処理のための格別の装置が必要となってしまい、有機溶媒を使用せずにワックス層5を形成することによりコストダウンが可能となるという本発明の利点が希薄となってしまう。また、下地樹脂層1を備えた成形体が後処理に適した形態を有していなければならないという制約を受け、例えば、この成形体がボトルのような形態を有している場合には後処理が困難となってしまう。さらには、凹凸面を有するワックス層5を形成することができたとしても、内部に空隙9を有するメタボール形状は形成されないため、滑り性に関しても、図1の形態のワックス層5と比較すると劣ったものとなってしまう。
従って、本発明においては、微粒子7を粗面化材として使用し、図1に示されるようなメタボール形状のワックス層5を形成することが最も好適である。
このような粗面化材として使用される微粒子7は、ワックス3の溶融物に配合し、該溶融物を下地樹脂層1に塗布したときに、粒状形状を維持したままの状態で下地樹脂層1に吸収されずに下地樹脂層1上に残存するようなものであればよく、一般的には、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機酸化物の粒子や、炭酸カルシウムなどの炭酸塩の粒子が好適に使用される。
また、メタボール5aの径(円相当径)が前述した範囲(20〜200nm、特に50〜150nm)にあるようなメタボール形状のワックス層5を形成するためには、上記のような微粒子7の中でも、その一次粒径(あるいは、最小構成単位)が3nm〜1μm、好ましくは5nm〜500nm、より好ましくは10nm〜200nmの範囲にあることが望ましい。本発明において、微粒子7はメタボ−ル形状のワックス層5を形成しているメタボール5aのコアのようなものとして働くと推察され、メタボールのサイズは、用いる微粒子7の一次粒径に依存すると考えられるためである。したがって、本発明において、水分を含有する内容物に対して優れた滑り性を示すメタボール形状のワックス層5を形成するためには、平均一次粒子径が上記範囲にある微粒子7を用いることが好ましい。
尚、微粒子7の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡観察に測定することができる。
また、上記のような微粒子7の表面は、30mN/m以下の臨界表面張力を示す官能基、例えば、メチル基等のアルキル基、メチルシリル基などのアルキルシリル基、フルオロアルキル基、フルオロアルキルシリル基などによって修飾されて、疎水化されていることが好ましい。このような疎水性官能基の導入により、例えば、この微粒子7を溶融状態のワックス3に分散させた際に、良好な分散が得られ、微粒子7の近傍にワックス3が保持され、メタボ−ル形状のワックス層5の形成が容易となり、また、部分的な欠陥のないワックス層5を均等に形成することができる。
例えば、本発明において、このような疎水化された微粒子7を含むメタボール5aの連結により形成されるワックス層5の表面に純水20μLを滴下したとき、この純水が滑落する該表面の角度として定義される転落角が5°以下とすることができ、水分を含有する粘稠な内容物に対する滑り性を著しく高めることができる。
このような疎水性官能基による修飾は、これらの官能基を有する疎水化剤(例えばシラン化合物、シロキサン化合物、シラザン化合物、チタンアルコキシド化合物など)を用いてのカップリングや、脂肪酸・金属石鹸等を用いたコーティングにより行われる。
本発明において、特に好適に使用される疎水性微粒子7は、コストや入手のし易さから、疎水性シリカ微粒子や炭酸カルシウム微粒子であり、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基で表面修飾、あるいはシリコーンオイルで表面被覆されている疎水性シリカ微粒子、あるいは、脂肪酸や金属石鹸で表面被覆されている炭酸カルシウム微粒子が最も好ましい。
尚、上述した微粒子7は、図1に示されているようにワックス層5を形成しているメタボール5aの内部に分布して存在しているが、このような表面構造を容易に形成することができ、また優れた滑り性を発揮させるという点で、その表面分布量は、その一次粒径によっても若干異なるが、一般的には30〜900mg/m、特に300〜600mg/mの範囲にあることが好適である。
成形体の形態;
本発明の積層構造体10においては、表面に下地樹脂層1を備えた成形体が使用され、この成形体の下地樹脂層1ワックス3が吸収され且つこの下地樹脂層1上にワックス層5が形成された表面構造を有しているが、このような表面構造を有する限りにおいて、下地樹脂層1を備えた成形体は、種々の形態を取ることができる。
例えば、この成形体は、ワックス3が吸収されている樹脂層1のみによる単層構造を有するものであってもよいし、下地樹脂層1がガラスや金属箔、或いは紙等の表面に形成されている構造とすることも可能である。特に、容器の蓋材として本発明の積層構造体10を用いる場合には、下地樹脂層1が紙や金属箔に積層された形態となる場合が多い。
さらに、本発明では、下地樹脂層1を他の樹脂層と積層した多層構造とすることも可能である。
このような多層構造としては、特に、下地樹脂層1の下側に、SP値が前述した範囲外の樹脂による層を設けた構造を好適である。即ち、このようなSP値を有する樹脂は、ワックス3の吸収拡散を抑制する機能を有しており、この結果、ワックス3の吸収を下地樹脂層1に止め、前述したメタボール形状のワックス5の形成に極めて有利となるからである。
例えば、下地樹脂層1の下側に、適宜接着剤樹脂の層を介して酸素バリア層や酸素吸収層、或いはポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂の層が積層された層構造とすることができるが、これらの層に使用される樹脂は何れも、ワックス3とのSP値の差が前述した範囲外であり、ワックス3の下地樹脂層1からのさらなる吸収拡散を抑止する。勿論、このようなワックス3の吸収拡散を抑止する層を下地樹脂層1との間に挟んで、下地樹脂層1と同種の樹脂を積層した構造を採用することができる。
このような成形体の多層構造は、特に積層構造体10を容器の形態で使用するときに適用される。
尚、上記の多層構造での酸素バリア層は、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアミドなどの酸素バリア性樹脂により形成されるものであり、その酸素バリア性が損なわれない限りにおいて、酸素バリア性樹脂に他の熱可塑性樹脂がブレンドされていてもよい。
また、酸素吸収層は、特開2002−240813号等に記載されているように、酸化性重合体及び遷移金属系触媒を含む層であり、遷移金属系触媒の作用により酸化性重合体が酸素による酸化を受け、これにより、酸素を吸収して酸素の透過を遮断する。このような酸化性重合体及び遷移金属系触媒は、上記の特開2002−240813号等に詳細に説明されているので、その詳細は省略するが、酸化性重合体の代表的な例は、第3級炭素原子を有するオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレンやポリブテン−1等、或いはこれらの共重合体)、熱可塑性ポリエステル若しくは脂肪族ポリアミド;キシリレン基含有ポリアミド樹脂;エチレン系不飽和基含有重合体(例えばブタジエン等のポリエンから誘導される重合体);などである。また、遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属の無機塩、有機酸塩或いは錯塩が代表的である。
さらに、各層の接着のために使用される接着剤樹脂はそれ自体公知であり、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸もしくはその無水物、アミド、エステルなどでグラフト変性されたオレフィン樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体;イオン架橋オレフィン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;などが接着性樹脂として使用される。
上述した各層の厚みは、各層に要求される特性に応じて、適宜の厚みに設定されればよい。
さらに、上記のような多層構造の構造体10を成形する際に発生するバリ等のスクラップをオレフィン系樹脂等のバージンの樹脂とブレンドとしたリグライド層を内層として設けることも可能である。
積層構造体10の製造;
上述した本発明の積層構造体10は、先にも簡単に述べたが、微粒子7が配合されたワックス3の溶融物を成形体表面の下地樹脂層1に塗布し、ワックス3の溶融状態を加熱保持し、下地樹脂層1にワックスを吸収させた後、ワックス3を冷却固化することにより好適に製造される。
ワックス3の溶融物に配合される微粒子7の量は、微粒子が前述した量で下地樹脂層1上に分布し得るように、通常、ワックス100質量部当り3.0〜10.0質量部、特に5.0〜8.0質量部程度に設定される。
溶融物の塗布手段としては、スプレー噴霧、ローラコーティング、ナイフコーティング等の公知の方法が、成形体の形態に応じて採用することができる。例えば、成形体がボトルのような形態を有しており、その内面に下地樹脂層1が形成されている場合には、スプレー噴霧が好適に採用される。
上記の方法において、ワックス3の溶融物をワックス3の溶融状態を保持するための加熱は、下地樹脂層1中にワックス3を吸収させるために必要な処理であり、その加熱温度は、ワックス3の融点以上であることは必須であり、特に下地樹脂層1のガラス転移温度(Tg)以上且つ下地樹脂の融点よりも低い温度であることが好適であるが、特にワックス3の吸収をより効果的に行うためには、下地樹脂の融点をX℃としたとき、その加熱温度Yを、下記条件式;
X−5≧Y≧X−50
を満足するように設定することがより好ましく、このような温度で5秒〜10分間、ワックス溶融物を加熱保持することがより好適である。即ち、加熱温度Y℃が、下地樹脂の融点X℃に対して低すぎると、下地樹脂層1中に多くの結晶が残しており、残存する結晶により、下地樹脂層1へのワックス3の吸収が阻害され、図1に示される形態のワックス層5を形成するために、長時間要するようになり、生産性の点で不利となる傾向がある。また、加熱温度Y℃が下地樹脂の融点X℃に近い状態で行われると、ワックス3の吸収速度が速すぎ、溶融物中のワックス3のほとんどが下地樹脂層1中に短時間で吸収されてしまい、結果として、図1に示されるような形態のワックス層5を形成させるために必要な下地樹脂層1上のワックス3の量を確保することが困難となる傾向があるからである。因みに、上記条件を満足するような加熱条件での下地樹脂の結晶化度は60%以下、特に5〜55%となっている。このような加熱条件での下地樹脂の結晶化度は、例えばDSCの昇温曲線により求められる結晶融解ピークから算出することができる。
尚、ワックス3の溶融状態を保持するための上記加熱は、一旦、表面に塗布されたワックス溶融物が冷却されて固化した後に行うことも可能である。
また、ワックス3の溶融物は、成形体1の表面を形成している下地樹脂層1の全表面に塗布してもよいし、用途によっては、かかる下地樹脂層1の表面の一部に限定してワックス3の溶融物を塗布して、上記のような表面構造を容易に形成することができるが、ワックス溶融物の塗布位置を選択して、図1に示されているようなワックス層5を限定的に形成することもできる。
積層構造体10の形態;
本発明の積層構造体10は、下地樹脂層1を表面に有する成形体の形態に応じて種々の形態を有することができるが、特に水分含む粘稠な物質に対する滑り性(即ち、非付着性や滑落性)を向上させることができることから、包装容器や蓋材、キャップなどの包装材の形態で使用されることが好ましい。
特に蓋材では、先に述べたように、下地樹脂層1が紙や金属箔に積層された形態となる場合が多いが、蓋材の内面に前述した表面構造が形成されている態様は、粘稠なゲル状或いはプリン状の製品、例えばヨーグルトなどの付着を防止し得る上で有利である。また、かかる態様では、下地樹脂層1がワックス3を吸収することで軟化点が低下しているため、ヒートシール性が向上しているという利点もある。
さらに、本発明が好適に適用される容器の形態は特に制限されず、カップ乃至コップ状、ボトル状、袋状(パウチ)、シリンジ状、ツボ状、トレイ状等、容器材質に応じた形態を有していてよく、延伸成形されていてもよい。容器の形態以外ではスプーン、フォーク、レンゲなどの食器類、キッチン用品、蓋などがある。
このような容器は、前述した下地樹脂層1を有する前成形体をそれ自体公知の方法により成形し、これを、ヒートシールによるフィルムの貼り付け、プラグアシスト成形等の真空成形、ブロー成形などの後加工に付して容器の形態とする。
図3には、本発明の積層構造体10の最も好適な形態であるダイレクトブローボトルが示されている。即ち、図3において、全体として10で示されるこのボトル形態の積層構造体は、下地樹脂層1を備えた成形体が、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部壁15及び胴部壁15の下端を閉じている底壁17を有しており、このような成形体の内面が下地樹脂層1により形成されている。このようなボトル形状の成形体の内面の下地樹脂層1に、前述した手段によって、ワックス3を吸収せしめ且つその下地樹脂層1にワックス層5が形成される。
このような構造体10は、水分含有の粘稠な物質に対する滑り性が大きいため、特に、粘度(25℃)が100mPa・s以上の粘稠な内容物、例えば、ケチャップ、水性糊、蜂蜜、各種ソース類、マヨネーズ、マスタード、ドレッシング、ジャム、チョコレートシロップ、乳液等の化粧液、液体洗剤、シャンプー、リンス等の粘稠な内容物の充填ボトルとして最も好適である。
本発明を次の実施例にて説明する。
尚、以下の実施例等で行った各種の特性、物性等の測定方法及び構造体の材料に用いた樹脂等は次の通りである。
1.蒸留水の滑落角の測定
後述の方法で作成した積層構造体から20mm×50mmの試験片を切り出した。
23℃−50%RHの条件下にて、固液界面解析システムDropMaster700
(協和界面科学(株)製)を用い、試験片の凹凸表面構造の形成側が上になるように固定し、30mgの蒸留水を試験片にのせ、試験片を1°/sec.の速度で徐々に傾けた際に蒸留水の滑落が発生した角度、すなわち滑落角を測定した。この滑落角の値が小さい程、試験片の滑落性が優れていると評価する。
2.SEMによる凹凸表面構造の形態観察
後述の方法で作成した積層構造体から10mm×30mmの試験片を切り出した。
凹凸表面構造の形成面が上になるように固定し、イオンスパッター(E−1045形立イオンスパッター、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて放電電流20mA、処理時間40sec.の条件で、試験片表面にPtの金属薄膜コーティングを行った。
その後、試験片の凹凸表面構造の形態を、電界放出型走査型電子顕微鏡(S−4800、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて50000倍率の条件で観察し、凹凸表面構造の形態を確認した。
3.各加熱条件下における下地樹脂層の結晶性の評価
下地樹脂に用いた材料(後述のフィルム)から重量約3〜5mgの薄片を切り出し、アルミニウム製のクリンプセルへ入れ蓋をして圧着し、測定用のサンプルを作成した。作成したサンプルに関して、示差走査熱量計(DiamondDSC、PerkinElmer社製)を用いて、サンプルの昇温過程におけるプロファイルから、各温度条件下における下地樹脂の結晶性について評価した。各種の下地樹脂へ付与した昇温条件を以下に示す。
<LDPE、HDPE、h−PP>
−50℃から200℃まで10℃/minで昇温
<COC、EVOH、PET−G>
−50℃から300℃まで10℃/minで昇温
また、上記の熱履歴の付与により得られた吸熱ピークの結果から、各樹脂の結晶化度を以下の式を用いて算出した。
下地樹脂の結晶化度(%)=(ΔH/ΔHm°)×100
式中、
ΔH・・・ 測定によって得られた下地樹脂の融解熱量(J/g)
ΔHm°・・・ 各下地樹脂の完全結晶体の融解熱量(J/g)

尚、ΔHm°(J/g)の値に関しては、文献値を参照し、以下の値を適用した。
LDPE及びHDPE: ΔHm°= 293J/g
h−PP: ΔHm°= 207J/g
PET: ΔHm°= 140J/g
また、比較対象として、各樹脂の吸熱ピークと実施例における加熱温度条件下における融解熱量ΔH、すなわち60℃、90℃、120℃、150℃、180℃における樹脂の融解熱量 ΔH60、ΔH90、ΔH120、ΔH150を求め、その値からそれぞれの加熱温度条件下における残存結晶化度を算出した。
<ワックス>
パラフィンワックス(融点:50〜52℃、SP値(δ1):17.3(MPa)1/2
<下地樹脂>
各材料を用いて厚さ約400μmのフィルムを作製し、試験片とした。
(但し、PETに関しては、二軸延伸のフィルム(厚さ100μm)を用いて評価を行った。)
低密度ポリエチレン(LDPE)
融点:108℃
結晶化度:30%
ガラス転移点(Tg):−78℃
SP値(δ2):17.9(MPa)1/2
パラフィンワックスとのSP値の差:0.6
高密度ポリエチレン(HDPE)
融点:132℃
結晶化度:55%
ガラス転移点(Tg):−78℃
SP値(δ2):18.7(MPa)1/2
パラフィンワックスとのSP値の差:1.4
ホモポリプロピレン(h−PP)
融点:164℃
結晶化度:42%
ガラス転移点(Tg):約5℃
SP値(δ2):16.4(MPa)1/2
パラフィンワックスとのSP値の差:0.9
環状オレフィン共重合体(COC)
結晶化度:非結晶
ガラス転移点(Tg):80℃
SP値(δ2):13.8(MPa)1/2
パラフィンワックスとのSP値の差:3.5
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)
融点:190℃
ガラス転移点(Tg):60℃
SP値(δ2):18.9(MPa)1/2
パラフィンワックスとのSP値の差:1.6
ポリエチレンテレフタレート(PET)
融点:265℃
ガラス転移点(Tg):80℃
SP値(δ2):22.7(MPa)1/2
パラフィンワックスとのSP値の差:5.4
PET−G
結晶化度:非結晶
ガラス転移点(Tg):80℃
SP値(δ2):20.4(MPa)1/2
パラフィンワックスとのSP値の差:3.1
<粗面化材微粒子>
疎水性乾式シリカ
平均一次粒径7nm、BET比表面積220m/g
<実験例1>
容量50mlのバイアル瓶に、ワックス溶融物としてパラフィンワックス(融点50〜52℃)を供給し70℃の条件で加熱溶融させ、前述した疎水性乾式シリカを加え、微粒子が分散したワックス混合物を調製した。このワックス混合物において、ワックスと疎水性乾式シリカとの混合比(ワックス:シリカ)は93:7(重量比)である。
このワックス混合物を70℃の条件で加熱しながら溶融させ撹拌したものを、約70℃に加熱したバーコーター(#6)を用いて、下地樹脂としてLDPEを用いて作製したフィルム(厚さ約400μm)に塗布し、積層構造体を作成した。
この積層構造体を、オーブンを用いて60℃−5min、90℃−5min、120℃−5minの3つの条件で加熱し、ワックス混合物の塗布層に含まれるワックス成分を溶融させた。その後、積層構造体を室温下で冷却した。この方法により作成したオーブンでの加熱を行う前及び後の積層構造体サンプルに関して、それぞれ前述の蒸留水の滑落角の測定を行った。得られた滑落角の値をまとめて表1に示す。また、SEMによる凹凸表面構造の形態観察も行った。得られた観察画像を図4に示す。
加えて、積層構造体の作製に使用したフィルムを用いて、各加熱条件下における下地樹脂層の結晶性の評価を行い、サンプルの吸熱ピークの変化について測定を行った。その結果を図5に示す。
更に、図5の結果から各加熱温度条件下における樹脂の融解熱量ΔHを求め、結晶化度を算出した。その結果を表2に示す。
<実験例2>
下地樹脂のフィルムの材料としてHDPEを用いた他は、実験例1と同様の操作で積層構造体を作製し、蒸留水の滑落角の測定及びSEMによる凹凸表面構造の形態観察を行った。滑落角の測定結果を表1、凹凸表面構造の形態観察結果(SEM写真)を図4に示した。
また、積層構造体の作製に使用したフィルムを用いて、各加熱条件下における下地樹脂層の結晶性の評価を行い、サンプルの吸熱ピークの変化について測定を行った。その結果を図6に示す。
更に、図6の結果から各加熱温度条件下における樹脂の融解熱量ΔHを求め、結晶化度を算出した。その結果を表2に記載した。
<実験例3>
下地樹脂のフィルムの材料としてh−PPを用い、積層構造体の加熱条件として150℃−5minを加えた他は、実験例1と同様の操作で積層構造体を作製し、蒸留水の滑落角の測定及びSEMによる凹凸表面構造の形態観察を行った。滑落角の測定結果を表1、凹凸表面構造の形態観察結果(SEM写真)を図4に示した。
加えて、積層構造体の作製に使用したフィルムを用いて、各加熱条件下における下地樹脂層の結晶性の評価を行い、サンプルの吸熱ピークの変化について測定を行った。その結果を図7に示す。
更に、図7の結果から各加熱温度条件下における樹脂の融解熱量ΔHを求め、結晶化度を算出した。その結果を表2に記載した。
<実験例4>
下地樹脂のフィルムの材料としてCOCを用いた他は、実験例3と同様の操作で同様の操作で積層構造体を作製し、蒸留水の滑落角の測定及びSEMによる凹凸表面構造の形態観察を行った。滑落角の測定結果を表1、凹凸表面構造の形態観察結果(SEM写真)を図4に示した。
<実験例5>
下地樹脂のフィルムの材料としてEVOHを用い、積層構造体の加熱条件として60℃−5minを除き、180℃−5minを加えた他は、実験例4と同様の操作で積層構造体を作製し、蒸留水の滑落角の測定及びSEMによる凹凸表面構造の形態観察を行った。滑落角の測定結果を表1、凹凸表面構造の形態観察結果(SEM写真)を図4に示した。
<実験例6>
下地樹脂のフィルムの材料としてPETを用いた他は、実験例4と同様の操作で積層構造体を作製し、蒸留水の滑落角の測定を行った。結果を表1に示す。
<実験例7>
下地樹脂のフィルムの材料としてPET−Gを用いた他は、実験例4と同様の操作で積層構造体を作製し、蒸留水の滑落角の測定及びSEMによる凹凸表面構造の形態観察を行った。滑落角の測定結果を表1、凹凸表面構造の形態観察結果(SEM写真)を図4に示した。
表1の結果から、下地樹脂としてLDPEを使用した場合、60℃−5minの条件においては滑落角が22°であり、良好な撥液性が得られない結果となった。次に、90℃−5minの条件で加熱した場合、滑落角は1°となり、非常に良好な撥液性が得られた。
しかし、さらに温度を上げ、120−5minの条件で加熱を行った場合、滑落角が大幅に増加し、撥液性が失われる傾向が見られた。
また、これらのサンプル関してSEMを用いて表面の観察を行った結果を図4に示した。
60℃−5minの条件で加熱したサンプルに関しては、表面の状態が平滑である傾向であった。これに対し、良好な撥液性が得られた90℃−5minの条件で加熱したサンプルに関しては、表面に円相当の直径で100nm程度の微細なメタボール状の構造が多数形成されている様子が確認された。しかし、120℃−5minのLDPEの融点以上の温度条件で加熱したサンプルに関しては、メタボール状の凹凸構造が形成されていない傾向が見られた。
したがって、メタボール状の凹凸構造が形成されているサンプルにおいて良好な撥液性が得られ、凹凸構造が形成されていないサンプルに関しては、良好な撥液性は得られない傾向が見られた。
また、各加熱条件下における下地樹脂層の結晶性の評価を行った結果、図5に示したグラフから読み取ると、LDPEに関しては約30℃の時点で吸熱ピークが出始めているため、約30℃から結晶部分の融解が開始し、温度の上昇に伴い非晶部分が徐々に増加していることが示されている。その後、109℃の時点でピークが頂点を迎えているため109℃で融点となり、それ以上の温度領域では結晶部分が全て融解し非晶の状態であると評価できる。
このLDPEの吸熱ピークと本実施例での加熱温度である、60℃、90℃、120℃とを照合し、各温度条件下における結晶化度 ΔH60、ΔH90、ΔH120を求め、表2に記載した。この値と表面観察の結果を比較すると、60℃で加熱した際の試験片、すなわち、樹脂の結晶性がほぼ変化していない状態(ΔH60≒ΔH)である場合、表面状態が変化しない傾向が見られた。
また、90℃で加熱した際の試験片、すなわち、樹脂の結晶部分がある程度融解した状態(ΔH90<ΔH)である場合、表面構造が変化し、メタボール状の構造が形成される傾向が見られた。
さらに、120℃で加熱した際の試験片、すなわち樹脂の結晶部分全てが融解した状態
(ΔH120=0)である場合、凹凸構造が形成されない傾向が見られた。
実験例2では、下地樹脂としてHDPEを用いた例を示しているが、表1の結果から、加熱条件が60℃−5min及び90℃−5minの場合では、滑落角が17°となり、良好な撥液性は得られなかったのに対し、120℃−5minの条件で加熱した場合、滑落角が1°となり、非常に良好な撥液性が得られる傾向が見られた。
これらのサンプルに関して表面の観察を行った結果を図4に示している。
60℃−5min及び90℃−5minの条件で加熱した場合では、表面に微細な凹凸構造は見られないのに対し、120℃−5minの条件で加熱したサンプルに関しては、表面に微細なメタボール形状の構造が形成されていることが確認された。しかし、150℃−5minのHDPEの融点以上の温度条件で加熱したサンプルに関しては、メタボール形状の構造が形成されない結果が得られた。
また、各加熱条件下における下地樹脂層の結晶性の評価を行った結果、図6に示したグラフから読み取ると、HDPEに関しては約105℃の時点で吸熱ピークが出始めているため、約105℃から結晶部分の融解が開始し、温度の上昇に伴い非晶部分が徐々に増加していることが示されている。その後、131℃の時点でピークが頂点を迎えているため、131℃が融点であり、それ以上の温度領域では結晶部分が全て融解し非晶の状態であると評価できる。
このHDPEの吸熱ピークと本実施例での加熱温度である、60℃、90℃、120℃、150℃とを照合し、各温度条件下における結晶化度 ΔH60、ΔH90、ΔH120、ΔH150を求めた。その結果を表2に示している。
この値と表面観察の結果を比較すると、60℃で加熱した際の試験片、すなわち、樹脂の結晶性が変化していない状態(ΔH60≒ΔH)である場合、表面状態が変化しない傾向が見られた。
また、90℃で加熱した際の試験片に関しても、樹脂の結晶性が変化していない状態(ΔH90≒ΔH)であり、表面構造が変化せず、凹凸構造が形成されない傾向が見られた。
一方、120℃で加熱した際の試験片、すなわち樹脂の結晶部分がある程度融解した状態(ΔH120<ΔH)である場合、表面構造が変化し、メタボール状の構造が形成される傾向が見られた。
しかし、150℃で加熱した際の試験片、すなわち樹脂の結晶部分全てが融解した状態
(ΔH150=0)である場合、凹凸構造が形成されない傾向が見られた。
実験例3では、下地樹脂としてh−PPを用いた例を示しているが、表1の結果から、加熱条件が60℃−5min、90℃−5min及び120℃−5minの場合では、滑落角が約20°となり、良好な撥液性は得られなかったのに対し、150℃−5minの条件で加熱した場合、滑落角が1°となり、撥液性が向上する傾向が見られた。
これらのサンプルに関して表面の観察を行った結果を図4に示している。
60℃−5min、90℃−5min、120℃−5minの条件で加熱した場合では、表面に微細な凹凸構造は見られないのに対し、150℃−5minの条件で加熱したサンプルに関しては、表面に微細なメタボール形状の構造が形成されていることが確認された。
また、各加熱条件下における下地樹脂層の結晶性の評価を行った結果、図7に示したグラフから読み取ると、h−PPに関しては約110℃の時点で吸熱ピークが出始めているため、約110℃から結晶部分の融解が開始し、温度の上昇に伴い非晶部分が徐々に増加していることが示されている。その後、164℃の時点でピークが頂点を迎えているため、164℃が融点であり、それ以上の温度領域では結晶部分が全て融解し非晶の状態であると評価できる。
このh−PPの吸熱ピークと本実施例での加熱温度である、60℃、90℃、120℃、150℃とを照合し、各温度条件下における結晶化度 ΔH60、ΔH90、ΔH120、ΔH150を求めた。その結果をまとめて表3に示している。
この値と表面観察の結果を比較すると、60℃で加熱した際の試験片、すなわち、樹脂の結晶性が変化していない状態(ΔH60≒ΔH)である場合、表面状態が変化しない傾向が見られた。
また、90℃で加熱した際の試験片に関しても、樹脂の結晶性が変化していない状態(ΔH90≒ΔH)であり、表面構造が変化しない傾向が見られた。
さらに、120℃で加熱した際の試験片に関しても、樹脂の結晶性が変化していない状態(ΔH120≒ΔH)であり、表面構造が変化しない傾向が見られた。
これらと比較して、150℃で加熱した際の試験片、すなわち樹脂の結晶部分全てが融解した状態(ΔH150<H)である場合、表面構造が変化し、メタボール状の構造が形成される傾向が見られた。
実験例4では、下地樹脂としてCOCを用いた例を示しているが、表1の結果から、加熱条件が60℃−5min、90℃−5minの条件で加熱した場合、滑落角がそれぞれ31°及び22°となり、良好な撥液性は得られなかったのに対し、120℃−5min及び150℃−5minで加熱した場合では、滑落角が8°及び10°となり、撥液性が向上する傾向が見られた。
但し、滑落角が1°となる加熱条件はなく、LDPEやHDPE、h−PPとは異なる挙動を示す結果となった。
これらのサンプルに関して表面の観察を行った結果を図4に示している。60℃−5min、90℃−5minの条件で加熱したサンプルに関しては、表面が平滑な状態であるのに対し、120℃−5min及び150℃−5minの条件で加熱したサンプルに関しては、微粒子に由来すると見られる、粒径50nm〜200nm程度の凹凸構造が形成されている様子が見られた。但し、凹凸構造が形成された場合に関しても、表面全体に均一には形成されない傾向が見られた。
実験例5では、下地樹脂としてEVOHを用いた例を示しているが、表1に示すように、いずれの加熱条件で加熱した場合においても、滑落角が1°の様な超撥水の状態は得られない結果が見られた。
また、各温度条件で加熱した後のサンプルに関して、表面の観察を行った結果を図4に示している。この結果からわかるように、下地樹脂としてEVOHを使用した場合に関しては、いずれの条件で加熱した場合でも、表面形状が変化せず、平滑な状態であることが確認できる。
実験例6では、下地樹脂としてPETを用いた例を示しているが、表1に示すように、いずれの加熱条件で加熱した場合においても、滑落角が1°の様な超撥水の状態は得られない結果が見られた。
実験例7では、下地樹脂としてPET−Gを用いた例を示しているが、表1に示すように、いずれの加熱条件で加熱した場合においても、滑落角が1°の様な超撥水の状態は得られない結果が見られた。
また、各温度条件で加熱した後のサンプルに関して、表面の観察を行った結果を図4に示している。この結果からわかるように、下地樹脂としてPET−Gを使用した場合に関しては、いずれの条件で加熱した場合でも、表面形状が変化せず、平滑な状態であることが確認できる。
したがって、これらの結果から、良好な撥液性が得られる条件としては、
(1)分散媒であるパラフィンワックスのSP値と下地樹脂のSP値が近い、
すなわち、δ−δが2.0以下である場合、
(2)塗布後の積層構造体を加熱する際、下地樹脂の結晶がある程度融解しており、かつ結晶部分が残存している状態である場合(0<ΔH<ΔH)、すなわち、上記の状態をつくり出す条件として、樹脂の融点をX℃としたとき、
X−5≧Y≧X−50 を満足する温度Yで5〜10分加熱した場合、
(3)下地樹脂が結晶性の樹脂である場合
が挙げられ、これらの条件全てを満たした場合、メタボール状の凹凸構造が形成される傾向が見られた。
この条件により得られるメタボール状の凹凸構造に関しては、凹凸構造が立体的に積層した様な構造となり、微細な空隙を多量に有するため、内容物の液滴滴下時には、液滴との界面に多数のエアポケットを形成させることとなり、特に高い撥液性が発現されていると考えられる。
このような構造が形成される要因としては、積層構造体を加熱した際に分散媒として使用しているパラフィンワックスの下地樹脂中への拡散が発生し、吸収される現象が発生しているためと考えられる。パラフィンワックスと下地樹脂との相溶性が低い場合、すなわちδ1とδ2の差が大きい場合、下地樹脂中への拡散自体が発生しない、もしくは拡散の速度が非常に遅いため、最表面に存在するワックス成分が減少せず、表面が平滑な状態が保たれるため、メタボール形状の構造が形成されないと考えられる。
また、塗布後の積層構造体を加熱する際、下地樹脂の結晶部分が全く融解しない条件(ΔH≒ΔH)加熱した場合、下地樹脂の結晶部分はパラフィンワックスの拡散を抑制し、下地樹脂層への吸収を妨げる働きを持つと考えられる。その結果、最表面のワックス成分が減少せず、表面が平滑な状態が保たれ、メタボール形状の構造が形成されないと考えられる。
一方、下地樹脂が完全に融解する加熱条件(ΔH=0)、すなわち下地樹脂の融点以上で加熱した場合、結晶部分が完全に融解しパラフィンワックスの拡散は良好に行われると考えられるが、それと同時に下地樹脂自体も溶融し液状となるため、ワックスによる構造及び疎水性微粒子自体が下地樹脂層内に引き込まれると考えられる。その結果、メタボール形状の凹凸構造が形成されないと考えられる。
下地樹脂が非結晶性の樹脂(COC、PET−G)の場合、結晶部分が完全に融解した状態と同様の現象が発生していると推測され、凹凸構造が形成されなかったと考えられる。
したがって、本技術は下地樹脂と相溶性の高い分散媒を選定し、その分散媒中に微粒子を分散させた状態で表面に塗布を行い、その積層構造体を下地樹脂の結晶部分が十分に融解し、かつ結晶部分が残存する条件で加熱することで、ワックス成分が下地樹脂中へ吸収されることで初めて表面にメタボール形状の構造が形成されるものと推測される。
1:成形体表面の樹脂層(下地樹脂層)
3:パラフィンワックス
5:ワックス層
7:微粒子
10:積層構造体

Claims (9)

  1. 表面が樹脂層で形成されている成形体と、該成形体の表面の樹脂層上に設けられた凹凸表面を有するワックス層とからなり、該成形体表面の樹脂層は、該ワックスとのSP値の差が1.5(MPa)1/2以下の樹脂により形成されており、且つ該樹脂層には、前記ワックスが吸収されており、
    前記ワックス層が、内部に粗面化材である微粒子が分布したメタボール状に連なったメタボール立体形状を有しており、
    前記メタボール立体形状は、前記ワックスにより形成された球形状のメタボールが連結したものから成ることを特徴とする積層構造体。
  2. 前記微粒子は、4nm〜1μmの平均一次粒径を有している請求項に記載の積層構造体。
  3. 前記ワックスの融点が40℃〜110℃の範囲にある請求項1に記載の積層構造体。
  4. 前記成形体が容器の形態を有しており、容器に収容される内容物と接触する側の内面に、前記ワックス層が形成されている請求項1に記載の積層構造体。
  5. 前記容器がオレフィン系樹脂製のボトルである請求項に記載の積層構造体。
  6. 前記容器が紙を基材とした容器である請求項に記載の積層構造体。
  7. 前記成形体が容器口部にヒートシールにより施される蓋材の形態を有しており、容器に収容されている内容物と接触する側の面に、前記ワックス層が形成されている請求項1に記載の積層構造体。
  8. 微粒子が分散されているワックス溶融物と、該ワックスとのSP値の差が1.5(MPa)1/2以下の樹脂により表面層が形成されている成形体とを用意する工程、
    前記ワックス溶融物を、前記成形体の表面に塗布する工程;
    前記成形体の表面に塗布されたワックスを溶融状態に加熱保持することにより、該ワックスを該成形体の表面層を形成している樹脂に吸収させる工程;
    次いで、前記表面層上に存在しているワックスを冷却固化することにより、該表面層上にワックス層を形成する工程、
    を含むことを特徴とする表面にワックス層を備えた積層構造体を製造する方法であり、
    前記ワックス層が、内部に粗面化材である微粒子が分布したメタボール状に連なったメタボール立体形状を有しており、
    前記メタボール立体形状は、前記ワックスにより形成された球形状のメタボールが連結したものから成る、表面にワックス層を備えた積層構造体を製造する方法
  9. 前記成形体の表面層を形成する樹脂の融点をX℃としたとき、前記ワックスを溶融状態に維持するための加熱保持を、下記条件式;
    X−5≧Y≧X−50
    を満足する温度Yで、5秒〜10分行い凹凸表面を有するワックス層を形成する請求項に記載の方法。
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