JP7304690B2 - 包装用多層構造体 - Google Patents
包装用多層構造体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7304690B2 JP7304690B2 JP2018228095A JP2018228095A JP7304690B2 JP 7304690 B2 JP7304690 B2 JP 7304690B2 JP 2018228095 A JP2018228095 A JP 2018228095A JP 2018228095 A JP2018228095 A JP 2018228095A JP 7304690 B2 JP7304690 B2 JP 7304690B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lubricant
- layer
- resin layer
- resin
- liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Wrappers (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
このような要求を満足するために、従来は、特許文献1等に記載されているように、容器内面を形成するオレフィン系樹脂層に、脂肪族アミド等の両親媒性化合物からなる常温で固体状の滑剤を配合するという手段が採用されていたのであるが、最近では、特許文献2,3等に開示されているように、流動パラフィンや食用油等による液膜を、内面を形成しているオレフィン系樹脂層の表面に形成するという手段が種々提案されている。
即ち、パウチなどの袋状容器は、フィルムをヒートシールに貼り付けて開口部を有する袋状体に成形し、この後、この袋状体に内容物を充填し、最後に袋状体の開口部を熱融着して閉じることにより製造される。この場合、この袋状容器の形成に用いるフィルムの表面に液膜が形成されていると、このフィルムをロールで巻き取る際に、表面の液膜が裏移りしてしまうという問題がある。このような問題は、カップを形成するために使用されるシートについても生じる。
また、チューブ容器では、内容物の充填に先立って、容器の外面に印刷を施すという工程が必要である。この印刷工程では、チューブ容器の内部に、チューブ容器の胴部壁を安定に保持するために、所定の治具が挿入され、この状態で印刷作業が行われることとなる。しかるに、このチューブ容器の内面に液膜が形成されていると、印刷のためにチューブ容器の内部に挿入された治具に液膜が転写されてしまうという問題がある。
包装される物質が存在する側の面を内面、その反対側の面を外面としたとき、
前記滑剤供給用樹脂層の内面側には、該包装用多層構造体の内面を形成している内面樹脂層が形成されており、
前記内面樹脂層は、エチレン系樹脂から形成されており、厚みが10~100μmであり、
前記内面樹脂層と前記滑剤供給用樹脂層が隣接しており、
前記滑剤供給用樹脂層の外面側には、ガスバリア性樹脂層が配置され、
前記包装用多層構造体に含まれる前記液状滑剤の含有量が、前記滑剤供給用樹脂層と前記内面樹脂層とを合わせての25℃での液状滑剤飽和含有量以下であり、前記液状滑剤飽和含有量の10%以上に設定され、
前記包装される物質が、スラリー状或いはペースト状の物質であることを特徴とする包装用多層構造体が提供される。
(1)前記滑剤供給用樹脂層が、樹脂成分としてオレフィン系樹脂を含むこと。
(2)前記滑剤供給用樹脂層の外面側には、オレフィン系樹脂層が隣接して設けられていること。
(3)前記滑剤供給用樹脂層に隣接して前記ガスバリア性樹脂層が配置されている場合には、該滑剤供給用樹脂層には、酸変性オレフィン系樹脂がブレンドされていること。
(4)前記滑剤供給用樹脂層は、1~200μmの厚みを有していること。
(5)フィルムもしくはシート、チューブ、袋或いはカップの形態を有していること。
しかしながら、このような手法を採用した場合においても、最終的には、十分な厚みの液膜を形成するために、かなりの量の液状滑剤が中間層(液状滑剤供給層)に配合されており、裏移り防止性は液膜が形成するまえの段階で限定的に生じているに過ぎず、被包装物に対する滑り性と同時に裏移り防止性を発揮させることはできない。
このような現象は実験的に確認されたものであり、その理由は、正確に解明されてはいないが、本発明者等は次のように推定している。
尚、液状滑剤飽和含有量を特定する温度を25℃に設定したのは、この包装用多層構造体は、成形後から市販されるまでは、通常、常温(25℃)もしくは常温以下の温度に保持され、さらに、飽和量は、樹脂の融点未満の温度であれば、その変動はほとんど誤差レベルであり、25℃での飽和含有量を基準値としておけば、問題がないからである。
本発明において使用される液状滑剤αは、被包装物、例えば流れにくく、包装体の表面に付着し易い高粘性もしくはペースト状の被包装物質に対して滑り性を発揮するために使用される液状物質であり、少なくとも被包装物が包装されている状態(即ち、使用状態)で液状を有しているものでなければならない。具体的には、0℃以下の融点を有しており、少なくとも常温(25℃)で液状の物質であり、さらに、揮散するような物質ではなく、その沸点が200℃以上の高沸点液体である。
食用油の具体例としては、大豆油、菜種油、オリーブオイル、米油、コーン油、べに花油、ごま油、パーム油、ひまし油、アボガド油、ココナッツ油、アーモンド油、クルミ油、はしばみ油、サラダ油などを例示することができる。
また、被包装物に対して安定した滑り性を発揮させる上で、この液状滑剤αの量は、滑剤供給用樹脂層1の25℃での液状滑剤飽和量以上であって、特に上記トータル飽和量の10%以上に設定されていることが好ましく、40%以上に設定されていることがより好ましい。この液状滑剤αの含有量に対しては、後述する。
上記の液状滑剤αを内蔵し、液状滑剤αの供給源となる滑剤供給用樹脂層1は、液状滑剤αを均一に分散させ且つ液状滑剤αをブリードし得るような液状滑剤移行性を示す熱可塑性樹脂により形成されるものであり、このような特性を有していれば特に制限なく使用することができるが、一般的には、成形性などの観点から、オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテンなどを挙げることができる。勿論、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等であってもよいし、また、特開2007-284066号等に開示されている環状オレフィン共重合体を使用することもできる。
また、液状滑剤αに対するブリーディング性が損なわれない限りにおいて、上記のようなオレフィン系樹脂(特にエチレン系樹脂)をバージン樹脂とし、この構造体10を成形する際に発生するバリ等のスクラップ樹脂を配合したものを滑剤供給用樹脂層1のベース樹脂として使用することも可能である。
本発明において、上記の滑剤供給用樹脂層1の内面側に隣接している内面樹脂層3は、この多層構造体10の被包装物と接触する内面を形成する層であり、この内面樹脂層3中に、滑剤供給用樹脂層1中に分散されている液状滑剤αが移行して分布することにより、被包装物に対して優れた滑り性が発揮される。
尚、この内面樹脂層3に分布する液状滑剤αは、滑剤供給用樹脂層1中に配合された液状滑剤αが移行したものである。この内面樹脂層1に直接液状滑剤αが配合されていると、内面樹脂層1の表面(被包装物)に液状滑剤の膜を防止することができず、被包装物に対する滑り性を発揮すると同時に液状滑剤の液膜による裏移りを防止することができなくなってしまう。
また、上記のアンチブロック剤として、通常、メッシュ粒径が20μm以下の微粒子が使用されるが、このような微粒子は、内面樹脂層1の滑剤移行性を低下させる性質がある。即ち、このような微粒子は、オレフィン系樹脂の分子の自由度の高い非晶部の間隙に充填され、これにより、このような非晶部を通る液状滑剤αの通過が制限されるからである。従って、このようなアンチブロッキング剤の配合量は、比較的少量であることが好ましく、例えば、内面樹脂層3を形成するオレフィン系樹脂100質量部当り、10質量部以下、特に0.1~1質量部程度の量とするのがよい。
本発明の包装用多層構造体10においては、図1及び図2に示されているように、滑剤供給用樹脂層1は中間層として存在しており、この滑剤供給用樹脂層1が外面にも露出しないように設計されていることが必要である。即ち、滑剤供給用樹脂層1は液状滑剤αに対する移行性を示しているため、滑剤供給用樹脂層1が外面に露出していると、外面に液状滑剤αの液膜が形成され、ベタツキなどを生じてしまい、例えば構造体10の外面への印刷、或いはラベル等の貼付等の作業が困難となってしまう。このために、滑剤供給用樹脂層1の外面に隣接して外面層5或いは7を設け、滑剤供給用樹脂層1の外面への露出を防止することが必要となる。
滑剤遮断性外面層5は、密度が1.00g/cm3以上且つガラス転移点(Tg)が35℃以上の樹脂により形成されるが、本発明では、特に、ガスバリア性樹脂を用いることが好ましく、エチレンビニルアルコール共重合体を用いることが最も好適である。即ち、このようなガスバリア性樹脂を用いることにより、より確実な滑剤遮断性と共に酸素バリア性を付与することができ、特にエチレンビニルアルコール共重合体は、特に優れた酸素バリア性を示すため、酸素透過による被包装物の酸化劣化をも有効に抑制することができる。
ただし、このような無機材により滑剤遮断性外面層5が形成されている場合、成形手段が制限されるため、多層構造体10の形態はフィルムもしくはシートに限定される。また、このような無機材からなる滑剤遮断性外面層5は、ウレタン系接着剤等のドライラミネート接着剤を用いて設けることもできる。
本発明においては、上述した滑剤遮断性外面層5の代わりに、滑剤移行性外面層7を設けることもできる。即ち、図2に示されているように、滑剤移行性外面層7を設けた場合には、製造後、一定時間経過した後は、この滑剤移行性外面層7中にも液状滑剤αが分布することとなる(図2(b)参照)。
上述したように、本発明の包装用多層構造体10は、内面樹脂層3に隣接して滑剤供給用樹脂層1が中間層として配置されている限りにおいて、種々の層構成を取り得るが、その好適な例として、以下の層構造を例示することができる。尚、以下の例において、BASは、内面樹脂層3/滑剤供給用樹脂層1からなる基本二層構造を示し、ADは接着剤樹脂層、RGは、リグラインドとバージンのポリオレフィン系樹脂とを層形成用樹脂として用いた層であり、POは、オレフィン系樹脂層、BARは、ガスバリア性樹脂層である。
(内面) BAS/BAR (外面)
(内面) BAS/AD/BAR
(内面) BAS/AD/BAR/AD/PO (外面)
(内面) BAS/PO (外面)
(内面) BAS/RG/AD/BAR/PO (外面)
(内面) BAS/無機材滑剤遮断層 (外面)
本発明の多層構造体10は、各層を形成する樹脂もしくは樹脂組成物を用いて、それ自体公知の成形手段により、目的とする用途に応じた形態に成形されるが、滑剤供給用樹脂層1を形成する樹脂中には、前述した液状滑剤αが配合され、このような樹脂組成物を用いて成形が行われる。
フィルムは、袋状容器の作成に用いるものであり、各層に応じた数の押出機を用いての共押出成形により製造することができる。また、外面層7が無機材料から成る滑剤遮断層である場合には、このような滑剤遮断層が設けられたフィルム乃至シートを用い、ドライラミネート接着剤を用い、この無機滑剤遮断層面を、成形後のフィルムに貼り付けることにより製造することができる。
かかるフィルムは、適宜、最外面層の表面に適宜印刷を施した後、適当な大きさに裁断し、ヒートシールにより製袋し、被包装物である内容物を充填した後、密封して販売される。
また、シートは、特にカップ状の容器を成形するために使用され、共押出によりシート成形した後、真空成形、プラグアシスト成形などによりカップの形態に賦形される。
さらに、チューブは、押出機を用いて筒状のプリフォームを溶融押出し、次いで圧縮成形によりネジ部などを含む頭部及び肩部を圧縮成形等により形成し、頭部にキャップを装着した状態で他方側の開口部から内容物を充填し、最後に開口部を融着して閉じることとなる。
液状滑剤;
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
融点:-6℃以下
直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE);
密度:0.91g/cm3
MCTに対する飽和含有量:2.8wt%
低密度ポリエチレン(LDPE);
密度:0.92g/cm3
MCTに対する飽和含有量:2.0wt%
ガスバリア性樹脂;
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)
アンチブロッキング剤(AB剤);
疎水性無機粒子(メッシュ粒径5μm)
接着剤(AD剤);
無水マレイン酸変性ポリエチレン
後述する実施例及び比較例におけるフィルム作製は、以下の手法により行った。
ラボプラストミルを使用して、内面樹脂層(最内層)を形成する樹脂組成物を押出機Aに、滑剤供給用樹脂層(中間層)を形成する樹脂組成物を押出機Bに、外面層(最外層)用の樹脂を押出機Cに供給し、温度210℃のTダイヘッドより押し出し、内面樹脂層、MCT含有の滑剤供給用樹脂層(中間層)及び外面層(最外層)からなる三層フィルムを作製した。
各樹脂ペレットを約20g量り取り(浸漬前の重量)、30gの中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)に浸漬し、50℃で10日間その後100℃で15分間加熱し、室温(25℃)で2時間放冷した。樹脂ペレットを取り出し、表面についたMCTをヘプタンで洗い流した後、室温で1日乾燥させた。重量を量り取り(浸漬後の重量)、浸漬前の重量との差分を出し、下記式により、前述した各樹脂の飽和含有量(飽和吸油量)を算出した。
アルミホイル表面をFT―IR測定装置(FTS7000e、Varian(Agilent)製)で測定した。
測定法:ATR法
アタッチメント:DuraScope
アルミホイルにフィルムの最内層側が接触するように、これら二つを重ね、上から重さ4kg、接触面積8cm×8cmの重りを3分間乗せた。アルミホイル表面の5箇所を上記方法でIR測定することで液体の付着の有無を確認した。IR測定にて5箇所全てで液体を観測しなかったものを裏移りがないと判断し○、1箇所以上で液体を観測したものを裏移りしたと判断し×とした。
フィルムを4×7cmに切り出し、最内層側のフィルム表面にソースを1g乗せたところ、およそ2.5cm2の面積にソースが広がった。1分後フィルムを90°に傾斜させ、ソースが垂れ落ちる様子を確認した。フィルムの傾斜前にソースが広がっていた部分のうち、傾斜から5分後にソースが付着したままの部分の面積が10%未満のときを滑落性が良好であると判断し○、11~89%のときを滑落性があると判断し△、90%以上のときを滑落性がないと判断し×とした。
最内層を直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる層、中間層を中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)5wt%含有させたオレフィンからなる層、最外層をエチレンビニル共重合体樹脂(EVOH)からなる層とし、表1に記載する組成となるように3層フィルムを作製した。
フィルムの各層の膜厚を顕微鏡にて測定したところ、最内層50μm、中間層50μm、最外層50μmであった。これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりに含まれるMCT量(MCT含有量)を計算すると、2.3g/m2であった。また、これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりで吸油可能なMCT量(飽和含有量)を計算すると、2.8g/m2であった。よって作製したフィルムが飽和含有量>MCT含有量であることを確認した。作製してから1週間後および3ヶ月後に滑落試験を、3ヶ月後に裏移り試験を行った。結果を表1に示す。
最内層をLLDPE、LDPE、AB剤からなる層、中間層をMCT10wt%含有させたオレフィンからなる層、最外層をEVOHからなる層とし、表1に記載する組成となるように3層フィルムを作製した。
フィルムの各層の膜厚を顕微鏡にて測定したところ、最内層50μm、中間層15μm、最外層50μmであった。これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりに含まれるMCT量(MCT含有量)を計算すると、1.4g/m2であった。また、これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりで吸油可能なMCT量(飽和含有量)を計算すると、1.5g/m2であった。よって作製したフィルムが飽和含有量>MCT含有量であることを確認した。作製してから1週間後および3ヶ月後に滑落試験を、3ヶ月後に裏移り試験を行った。結果を表1に示す。
中間層をMCT12wt%含有する層となるように表1-実施例3に記載する組成にし、最内層の膜厚を70μmにした以外は実施例2と同様に3層フィルムを作製した。
これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりに含まれるMCT量(MCT含有量)を計算すると、1.7g/m2であった。
また、これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりで吸油可能なMCT量(飽和含有量)を計算すると、2.0g/m2であった。よって作製したフィルムが飽和含有量>MCT含有量であることを確認した。作製してから1週間後および3ヶ月後に滑落試験を、3ヶ月後に裏移り試験を行った。結果を表1に示す。
最内層の膜厚を50μmにした以外は実施例3と同様に3層フィルムを作製した。
これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりに含まれるMCT量(MCT含有量)を計算すると、1.7g/m2であった。また、これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりで吸油可能なMCT量(飽和含有量)を計算すると、1.5g/m2であった。よって作製したフィルムが飽和含有量<MCT含有量であることを確認した。作製してから1週間後および3ヶ月後に滑落試験を、3ヶ月後に裏移り試験を行った。結果を表1に示す。
MCTを含有する層を中間層とせず、内面に露出するようにして2層構成のフィルムを作製した。このMCTを含有する層は、表1において中間層の欄に示されている。即ち、MCT2.5wt%含有させたオレフィンからなる層、最外層をEVOHからなる層とし、表1に記載する組成となるように2層フィルムを作製した。
フィルムの各層の膜厚を顕微鏡にて測定したところ、最内層50μm、最外層50μmであった。
これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりに含まれるMCT量(MCT含有量)を計算すると、1.1g/m2であった。また、これらの樹脂組成、膜厚からフィルム1m2あたりで吸油可能なMCT量(飽和含有量)を計算すると、1.2g/m2であった。よって作製したフィルムが飽和含有量>MCT含有量であることを確認した。作製してから1週間後および3ヶ月後に滑落試験を、3ヶ月後に裏移り試験を行った。結果を表1に示す。
LLDPEのみからなる膜厚100μmのフィルムを作製した。MCTを含まないためMCT含有量は0g/m2であった。作製してから1週間後および3ヶ月後に滑落試験を、3ヶ月後に裏移り試験を行った。結果を表1に示す。
一方で比較例1のようにMCT含有量が飽和含有量を上回っていたとき、滑落試験の結果は良好であったが、裏移り試験にて裏移りがあった。
また、比較例2のように飽和含有量がMCT含有量を上回っていたときでも、滑剤供給用樹脂層が内面に露出している最内層となる場合は、滑落試験の結果は良好であったが、裏移り試験にて裏移りがあった。比較例3のようにMCTを含まない場合は滑落試験の結果が不良となった。
以上から、内面樹脂層(最内層)に隣接して液状滑剤を含有する滑剤供給用樹脂層を中間層として設けた場合、樹脂の飽和含有量がMCT含有量を上回っていたとき、滑落性が良好であると同時に、裏移りも抑制できるフィルムとなることがわかった。
3:内面樹脂層
5:外面側滑剤移行制御層
7:外面層
10:包装用多層構造体
α:液状滑剤
Claims (7)
- 包装される物質に対しての滑り性を向上させるための液状滑剤が分散されている滑剤供給用樹脂層を中間層として有する包装用多層構造体において、
包装される物質が存在する側の面を内面、その反対側の面を外面としたとき、
前記滑剤供給用樹脂層の内面側には、該包装用多層構造体の内面を形成している内面樹脂層が形成されており、
前記内面樹脂層は、エチレン系樹脂から形成されており、厚みが10~100μmであり、
前記内面樹脂層と前記滑剤供給用樹脂層が隣接しており、
前記滑剤供給用樹脂層の外面側には、ガスバリア性樹脂層が配置され、
前記包装用多層構造体に含まれる前記液状滑剤の含有量が、前記滑剤供給用樹脂層と前記内面樹脂層とを合わせての25℃での液状滑剤飽和含有量以下であり、前記液状滑剤飽和含有量の10%以上に設定され、
前記包装される物質が、スラリー状或いはペースト状の物質であることを特徴とする包装用多層構造体。 - 前記滑剤供給用樹脂層が、樹脂成分としてオレフィン系樹脂を含む請求項1に記載の包装用多層構造体。
- 前記滑剤供給用樹脂層の外面側には、オレフィン系樹脂層が隣接して設けられている請求項1または2に記載の包装用多層構造体。
- 前記滑剤供給用樹脂層に隣接して前記ガスバリア性樹脂層が配置されている場合には、該滑剤供給用樹脂層には、酸変性オレフィン系樹脂がブレンドされている請求項1に記載の包装用多層構造体。
- 前記滑剤供給用樹脂層は、1~200μmの厚みを有している請求項1~4の何れかに記載の包装用多層構造体。
- 前記液状滑剤は、前記滑剤供給用樹脂層を供給源としてのブリーディングにより内部に分布している請求項1~5の何れかに記載の包装用多層構造体。
- フィルムもしくはシート、チューブ、袋或いはカップの形態を有している請求項1~6の何れかに記載の包装用多層構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018228095A JP7304690B2 (ja) | 2018-12-05 | 2018-12-05 | 包装用多層構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018228095A JP7304690B2 (ja) | 2018-12-05 | 2018-12-05 | 包装用多層構造体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020090018A JP2020090018A (ja) | 2020-06-11 |
JP7304690B2 true JP7304690B2 (ja) | 2023-07-07 |
Family
ID=71012171
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018228095A Active JP7304690B2 (ja) | 2018-12-05 | 2018-12-05 | 包装用多層構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7304690B2 (ja) |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003119329A (ja) | 2001-10-05 | 2003-04-23 | Mitsubishi Chemicals Corp | 接着性重合体組成物及びそれを用いた積層体 |
JP2005163021A (ja) | 2003-11-12 | 2005-06-23 | Showa Denko Plastic Products Co Ltd | ポリエチレン系フィルム、及び該フィルムを用いた積層体、容器、容器包装用包装体、容器包装体、並びにエチレン系重合体組成物 |
JP2012030497A (ja) | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Hosokawa Yoko Co Ltd | 共押出フィルムおよびこれを用いた袋 |
JP2014084389A (ja) | 2012-10-23 | 2014-05-12 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた包装容器 |
JP2016215439A (ja) | 2015-05-18 | 2016-12-22 | グンゼ株式会社 | ポリプロピレン系延伸フィルムおよび包装用袋 |
JP2017019516A (ja) | 2015-07-09 | 2017-01-26 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 内面がオレフィン系樹脂層により形成されている容器 |
WO2018135476A1 (ja) | 2017-01-18 | 2018-07-26 | 東洋製罐株式会社 | 表面に油膜を有する構造体 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2656818B2 (ja) * | 1988-12-02 | 1997-09-24 | 三井東圧化学株式会社 | 接着性ポリプロピレン組成物 |
JP4029444B2 (ja) * | 1997-10-20 | 2008-01-09 | 東レ株式会社 | 積層ポリプロピレンフィルム |
JPH11334004A (ja) * | 1998-03-26 | 1999-12-07 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | ポリプロピレン系多層フィルムおよび複合フィルム |
-
2018
- 2018-12-05 JP JP2018228095A patent/JP7304690B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003119329A (ja) | 2001-10-05 | 2003-04-23 | Mitsubishi Chemicals Corp | 接着性重合体組成物及びそれを用いた積層体 |
JP2005163021A (ja) | 2003-11-12 | 2005-06-23 | Showa Denko Plastic Products Co Ltd | ポリエチレン系フィルム、及び該フィルムを用いた積層体、容器、容器包装用包装体、容器包装体、並びにエチレン系重合体組成物 |
JP2012030497A (ja) | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Hosokawa Yoko Co Ltd | 共押出フィルムおよびこれを用いた袋 |
JP2014084389A (ja) | 2012-10-23 | 2014-05-12 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた包装容器 |
JP2016215439A (ja) | 2015-05-18 | 2016-12-22 | グンゼ株式会社 | ポリプロピレン系延伸フィルムおよび包装用袋 |
JP2017019516A (ja) | 2015-07-09 | 2017-01-26 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 内面がオレフィン系樹脂層により形成されている容器 |
WO2018135476A1 (ja) | 2017-01-18 | 2018-07-26 | 東洋製罐株式会社 | 表面に油膜を有する構造体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020090018A (ja) | 2020-06-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6665084B2 (ja) | 粘稠内容物の充填方法 | |
KR20080046083A (ko) | 포장 필름용 박리가능 복합 열가소성 밀봉재 | |
CA2982912C (en) | Structure having externally added regions on the surface thereof | |
JP5573377B2 (ja) | 多層プラスチック容器 | |
WO2012137755A1 (ja) | ポリオレフィン系包装容器 | |
JP2013071779A (ja) | 蓋材 | |
KR101950006B1 (ko) | 수성 액상체에 대한 미끄러짐성이 뛰어난 중공 성형체 | |
WO2019031171A1 (ja) | 内面に油膜を形成して使用されるブロー容器 | |
JP5434176B2 (ja) | 非油性内容物用多層プラスチック容器 | |
JP5598098B2 (ja) | 非油性内容物用オレフィン系樹脂ボトル | |
JP7180969B2 (ja) | 包装用多層構造体の製造方法 | |
JP7304690B2 (ja) | 包装用多層構造体 | |
JP2019214692A (ja) | 撥液層形成用樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体、包装材及び容器 | |
JP2018162073A (ja) | 蓋材用無延伸共押出積層フィルム | |
JP6376313B1 (ja) | 表面に油膜を有する構造体 | |
JP2009029434A (ja) | 二重袋包装体用インフレーションフィルムおよび二重袋包装体 | |
JP7356803B2 (ja) | 液状滑剤を含む包装用構造体 | |
JP7412088B2 (ja) | 吸収性透明蓋材 | |
JP5926569B2 (ja) | 二重袋包装体用インフレーションフィルムおよび二重袋包装体 | |
JP5428615B2 (ja) | 内容物による着色が抑制されたプラスチック容器 | |
JP2020175935A (ja) | 内容物入りブリスターパック | |
JP6369265B2 (ja) | 二重袋用インフレーションフィルムおよび二重袋包装体 | |
JP7512572B2 (ja) | 積層体及び包装材料 | |
JP2018104071A (ja) | パウチ用フィルム成形体 | |
JP4152037B2 (ja) | 積層体及び密封容器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20211115 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220722 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220726 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220922 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20220922 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20220922 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20221129 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230228 |
|
C60 | Trial request (containing other claim documents, opposition documents) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60 Effective date: 20230228 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20230308 |
|
C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21 Effective date: 20230314 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230411 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230525 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230606 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230627 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7304690 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |