JP2020168812A - 積層体及び包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】水系内容物に対して、高い滑落性能及び残存防止性能を有する包装材料を作製することができる積層体の提供。【解決手段】基材11と、ヒートシール層12とを備え、基材11がヒートシール性を有し、ヒートシール層12が、基材11が設けられた面とは反対の面に、滑落層13を備え、滑落層13が、HLB値が16未満の界面活性剤及び油系材料の少なくとも一方を含む包装材料10。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体及びこれを用いて作製される包装材料に関する。
食品、飲料、医薬品、及び化学品等の多くの商品分野では、それぞれの内容物に応じた包装材料が開発されている。特に、液体や半固体、ゲル状物質等の粘性体を有する内容物の包装材料としては、耐水性、耐油性、ガスバリア性、軽量、フレキシブル、及び意匠性等に優れるプラスチック材料が用いられ、包装材料に求められる内容物の保護に対して機能している。
包装材料の機能の一つとして、内容物の包装材料内面への付着抑制、すなわち包装材料内部に残存させることなく、速やかに排出させることができる高い滑落性能及び残存防止性能を有することが求められている。使い切ることができず、包装体内に残存した内容物は、包装体と共に破棄されるが、この内容物の廃棄は環境面から問題視されている。このような問題は、包装材料に充填される内容物が、含水内容物である場合に特に問題となる。
例えば、特許文献1(特開2005−306415号公報)においては、歯磨き粉等の水系内容物が包装材料内に残存することを防止するため、包装材料に使用する樹脂の種類及びその形状に特徴のある包装材料が提案されている。
しかしながら、包装体に対する内容物の身離れ性は内容物と接する最内層の樹脂特性に大きく影響するため、特許文献1において提案される包装材料の様に形状の変更のみでは、十分な残存防止効果を得ることは難しい。
特開2005−306415号公報
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、水系内容物に対して、高い滑落性能及び残存防止性能を有する包装材料を作製することができる積層体を提供することである。また、該積層体により作製される包装材料を提供することをその目的とする。
本発明の積層体は、基材と、ヒートシール層とを備え、
基材がヒートシール性を有し、
ヒートシール層が、基材が設けられた面とは反対の面に、滑落層を備え、
滑落層が、HLB値が16未満の界面活性剤及び油系材料の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
一実施形態において、滑落層は、界面活性剤を含み、該界面活性剤は、ノニオン界面活性剤である。
一実施形態において、ノニオン界面活性剤は、アルキルエーテル系界面活性剤、アルキルアミノエーテル系界面活性剤、脂肪酸エーテルエステル系界面活性剤、植物油エーテルエステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、脂肪酸アミド系界面活性剤及びグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤から選択される少なくとも1種の界面活性剤である。
一実施形態において、滑落層は、油系材料を含み、該油系材料は、植物油、動物油及び潤滑油から選択される少なくとも1種の油系材料である。
一実施形態において、滑落層の膜厚は、0.1μm以上10μm以下である。
一実施形態において、本発明の積層体は、基材と、ヒートシール層との間に、ガスバリア層を備える。
本発明の包装材料は、上記積層体を用いて作製され、ヒートシール層が備える滑落層が、内面を構成することを特徴とする。
本発明の積層体によれば、水系内容物に対して高い滑落性能及び残存防止性能を発揮し、内容物を速やかに排出させることができると共に、内部への内容物の残存を防止することができる、包装材料を作製することができる。
本発明の積層体の一実施形態を示した模式断面図である。 本発明の積層体の一実施形態を示した模式断面図である。 本発明の包装材料の一実施形態を示した斜視図である。 図3の包装材料のA−A断面図である。 滑落層の形成方法を説明するための概略図である。
<積層体>
本発明の積層体10は、図1に示すように、基材11と、ヒートシール層12とを備え、ヒートシール層12が、基材11が設けられた面とは反対の面に、滑落層13を備えることを特徴とする。
また、一実施形態において、積層体10は、図2に示すように、基材11と、ヒートシール12との間に中間層14を備える。
また、一実施形態において、積層体10は、図2に示すように、基材11と、ヒートシール層12との間にガスバリア層15を備える。
また、一実施形態において、積層体10は、任意の層間に、アンカーコート層16を備える。
さらに、一実施形態において、積層体10は、任意の層間に、接着層17を備える。
<基材>
上記積層体を構成する基材は、ヒートシール性を有し、樹脂材料により構成されることを特徴とする。
樹脂材料としては、熱により融着しうる樹脂であれば特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.9g/cm〜0.93g/cm)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.9g/cm〜0.93g/cm)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.931g/cm〜0.941g/cm)、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.942g/cm〜)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体樹脂、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体樹脂、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)樹脂、アイオノマー樹脂、ヒートシール性エチレン・ビニルアルコール樹脂、又は、共重合した樹脂メチルペンテン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン又は環状オレフィンコポリマー等のポリオレフィン、ポリオレフィンをアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂等が挙げられる。これらは単独でも2種以上の混合物としてもよい。これらの中でも、ヒートシール性という観点からは、LDPE及びLLDPE、が好ましい。
ポリエチレンを用いる場合は、環境負荷を低減できる観点から、化石燃料由来のポリエチレン樹脂に代えて、バイオマス由来のポリエチレン樹脂を用いてもよい。
また、基材は多層構造を有していてもよく、例えば、中間層として、ポリエステル樹脂からなる層を備える。このような構成とすることにより、基材の強度を向上することができる。
基材は、その特性が損なわれない範囲において、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、及び着色顔料等を含んでいてもよい。
本発明において、上記基材は、押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて単層、又は多層製膜したものを用いることができる。
樹脂フィルム等との接着性を向上させるために、基材の表面には、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、又はフレーム処理等の表面活性化処理が行われていることが好ましい。
基材は、表面に画像が形成されていてもよい。形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号及びこれらの組み合わせ等が表される。
基材への画像形成に使用することのできるインキは、特に限定されるものではなく、従来公知のインキを使用することができる。また、環境負荷低減という観点からは、バイオマス由来のインキが好ましい。
画像の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の従来公知の印刷法を挙げることができる。これらの中でも、環境負荷の観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
また、基材の膜厚は、包装用途に応じて、当業者が適宜に決定することができるが、好ましくは6μm以上、200μm以下であり、より好ましくは15μm以上、150μm以下である。
<ヒートシール層>
ヒートシール層は、樹脂材料により構成され、該樹脂材料は、基材と同様のものを適宜選択し、使用することができる。
ヒートシール層は、その特性が損なわれない範囲において、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、及び着色顔料等を含んでいてもよい。
ヒートシールの膜厚は、包装用途に応じて、当業者が適宜に決定することができるが、好ましくは6μm以上、200μm以下であり、より好ましくは30μm以上、150μm以下である。
本発明において、上記ヒートシール層は、押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて単層、又は多層製膜したものを用いることができる。
ヒートシール層は、基材が設けられた面とは反対の面に、滑落層を備える。本発明の積層体を用いて包装材料を作製したとき、この滑落層が、包装材料の内面に位置することにより、高い滑落性能及び残存防止性能を発揮する。
滑落層は、HLB値が16未満の界面活性剤及び油系材料の少なくとも一方を含み、滑落層におけるこれらの含有量は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
滑落性能及び残存防止性能という観点からは、界面活性剤のHLBは、14以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
なお、界面活性剤のHLBは、グリフィン法(即ち、HLB=20×親水部の式量の総和/分子量)により算出することができる。
内容物が、食品であったり、歯磨き粉であったりする場合、安全性の観点から、界面活性剤はノニオン界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、アルキルエーテル系界面活性剤、アルキルアミノエーテル系界面活性剤、脂肪酸エーテルエステル系界面活性剤、植物油エーテルエステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、脂肪酸アミド系界面活性剤及びグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。
アルキルエーテル系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等が挙げられる。
アルキルアミノエーテル系界面活性剤としては、例えば、(ポリオキシエチレン)ラウリルアミノエーテル乳酸塩、ステアリルアミノエーテル乳酸塩、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルメチルアミノエーテルジメチルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルメチルアンモニウムジメチルホスフェート等が挙げられる。
脂肪酸エーテルエステル系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテルエステル等が挙げられる。
植物油エーテルエステル系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
脂肪酸アミド系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、コマミドDEA、等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤としては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
滑落層は、油系材料を含んでいてもよく、好ましくは、植物油、動物油、及び鉱物油や合成油等の潤滑油等が挙げられる。
植物油としては、例えば、菜種油、桐油、亜麻仁油、ショートニング、コーン油、大豆油、胡麻油、ひまわり油、米油、椿油、ヤシ油、パーム油、クルミ油、オリーブ油、アーモンドオイル、カカオバター、シアバター、ニーム油、ベニバナ油、木蝋、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ヒマシ油及びサラダ油等が挙げられる。
動物油としては、例えば、ラード、牛脂、魚油、馬油、らに凜、バター、スクワラン及び蜜蝋等が挙げられる。
鉱物油としては、例えば、シリコーンオイル、ナフサ、軽油、灯油、重油、パラフィン、流動パラフィン、セレシン及び琥珀油等が挙げられる。
合成油としては、例えば、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン及び合成ナフタレン油等が挙げられる。
滑落層の膜厚は、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、9μm以下であることがより好ましい。滑落層の膜厚を上記数値範囲内とすることにより、滑落性能及び残存防止性能をより向上することができる。
滑落層は、上記界面活性剤及び油系材料を、必要に応じて適宜溶媒に溶解又は分散させ、これをヒートシール層表面に塗布、乾燥することにより形成することができる。
しかしながら、上記方法では、ヒートシール層のヒートシール性の低下を招くおそれがあり、包装材料の作製が困難となる場合がある。そのため、本発明の積層体により、開口部を有する包装材料を作製し、この開口部からエアブラシ等を使用することにより、内面のヒートシール層上に、界面活性剤及び油系材料を塗布し、乾燥させ、滑落層を形成することが好ましい。
<中間層>
一実施形態において、積層体は、基材と、ヒートシール層との間に中間層を備える。これにより、積層体の機械的強度を向上することができる。
中間層は、樹脂材料により構成され、樹脂材料としては、例えば、LDPE、LLDPE、MDPE、HDPE及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール及びポリビニルピロリドン(PVP)等のビニル樹脂、ロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びセルロースアセテートブチレート(CAB)等のセルロース樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート及びポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。
中間層は、その特性が損なわれない範囲において、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、及び着色顔料等を含んでいてもよい。
中間層として、延伸樹脂フィルムを使用することができる。これにより、積層体の機械的強度を向上することができる。延伸は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。
中間層の膜厚は、1μm以上、70μm以下であることが好ましく、3μm以上、50μm以下であることがより好ましい。滑落層の膜厚を上記数値範囲内とすることにより、滑落性能及び残存防止性能をより向上することができる。
<ガスバリア層>
一実施形態において、積層体は、基材と、ヒートシール層との間にガスバリア層を備えていてもよい。積層体が、ガスバリア層を備えてなることにより、作製される包装材料に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を付与又は向上させることができる。なお、積層体は、ガスバリア層を2以上備えていてもよい。ガスバリア層を2以上備えてなる場合、それぞれ同一の組成であっても、異なる組成であってもよい。
一実施形態において、ガスバリア層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂等のガスバリア性樹脂からなるガスバリア性フィルムにより構成される。ガスバリア層は、上記添加剤を含んでいてもよい。
該樹脂フィルムは、延伸フィルムであることが好ましい。これにより、積層体の機械的強度を向上することができる。延伸は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。
このようなガスバリア層の膜厚は、1μm以上、70μm以下であることが好ましく、3μm以上、50μm以下であることがより好ましい。ガスバリア層の膜厚を上記数値範囲内とすることにより、積層体の加工適性を維持しつつ、ガスバリア性をより向上することができる。
一実施形態において、ガスバリア層は、一方の面に蒸着膜を備える、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン、セルロース樹脂、(メタ)アクリル樹脂等の樹脂材料から構成されるフィルムから構成される。これらの中でも、積層体の機械的強度向上の観点からは、ポリエステル、特にはポリエチレンテレフタレートが好ましい。該樹脂フィルムは、延伸フィルムであることが好ましい。これにより、積層体の機械的強度を向上することができる。延伸は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。該樹脂フィルムは、上記添加剤を含んでいてもよい。
蒸着膜としては、アルミニウム、マグネシウム、スズ、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、鉛、イットリウム、金及びクロム等の金属、並びに酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の無機酸化物から構成される、蒸着膜を挙げることができる。
また、蒸着膜の膜厚は、1nm以上150nm以下であることが好ましく、5nm以上60nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。
蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上することができる。また、蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができる。
蒸着層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
<接着層>
本発明は、任意の層間に接着層を備えていてもよい。
一実施形態において、接着層は、接着剤により構成され、接着剤としては、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等が挙げられる。例えば、ポリ酢酸ビニルや酢酸ビニル−エチレン共重合体等のポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸とポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル等との共重合体からなるポリアクリル酸系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるエラストマー系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等が挙げられる。
また、上記接着剤は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム/シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
一実施形態において、接着層は、加熱溶融した熱可塑性樹脂を押し出すことにより形成された押出樹脂層である。このような熱可塑性樹脂としては、LDPEやLLDPEを使用することができる。
<アンカーコート層>
本発明の積層体は、アンカーコート層を備えていてもよく、これにより隣接する層との密着性を向上することができる。
アンカーコート層は、アンカーコート剤を用いて形成することができ、例えば、有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、酸変性ポリエチレン系、ポリブタジエン系のアンカーコート剤が挙げられる。
アンカーコート層の膜厚は、0.05μm以上、2μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、1μm以下であることがより好ましい。アンカーコート層の膜厚を上記数値範囲内とすることにより、隣接する層間の密着性をより向上することができる。
<包装材料>
本発明の包装材料は、上記積層体を用いて作製されたものであり、ヒートシール層が備える滑落層がその内面を構成することを特徴とする。このような構成の包装材料によれば、水系内容物の滑落性及び残存防止性能を顕著に改善することができる。
本発明の包装材料の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、チューブ形状とすることができる。
一実施形態において、本発明の包装材料20は、図3に示すように、頭部21と、胴部22と、底部23とを備える。
また、一実施形態において、本発明の包装材料は、頭部21は、頭部21及び胴部22と連続するように、肩部24を備える。
また、一実施形態において、本発明の包装材料20が備える頭部21は、キャップ25を螺着するためのネジ部26を備える。
さらに、一実施形態において、本発明の包装材料20が備える頭部21は、口部27を備える。
本発明の包装材料の胴部は、上記積層体を筒上に丸めて、その両端を重ね合わせ、重ね合わせた部分をヒートシールすることにより形成することができる(図4参照)。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法が挙げられる。
ヒートシール温度は、特に限定されるものではないが、例えば、100℃以上、250℃以下とすることができる。
一実施形態において、包装材料の頭部は、圧縮成形法(コンプレッション法)や射出成形法(インジェクション法)を利用することにより設けることができる。
一実施形態において、包装材料の頭部は、胴部をチューブ容器成形用のマンドレルに装着し、金型内において、胴部の一端に、樹脂材料を圧縮成形、射出成形することにより形成することができる。また、これに限定されるものではなく、予め成形した頭部を胴部と溶着してもよい。
頭部を構成する樹脂材料としては、例えば、LDPE、LLDPE、MDPE、HEDPE、ポリプロピレン、ビニル樹脂及び(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。
頭部は、その特性が損なわれない範囲において、樹脂材料と、各種の添加剤との混合物により構成されていてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、及び着色顔料等が挙げられる。
滑落層形成は、頭部及び胴部を備え、一端に開口を有する包装材料に対して行うことが好ましい。
具体的には、図5に示すように、包装材料20の頭部が下方、開口が上方となるように、保持部30により保持させ、開口部よりエアブラシ31を挿入し、これにより、界面活性剤又は油系材料を塗布することにより形成することができる。
エアブラシとしては、例えば、アネスト岩田製の片手自動ガンWA−0609等を使用することができる。
包装材料の底部は、開口から内容物を充填した後、該開口をヒートシールすることにより形成することができる。
<内容物>
本発明の包装材料に好適に充填される内容物は、水系内容物である。水系内容物としては、例えば、歯磨き粉、軟膏剤、ホイップ、餡子、漬物等が挙げられる。
水系内容物の含水率は、10質量%以上、80質量%以下であることが好ましく、15質量%以上、75質量%以下であることがより好ましい。
内容物の含水率の測定は、赤外線水分計(アテックス(株)製、商品名:AD−4715)を使用することにより測定することができる。
内容物の含水率が上記数値範囲であることにより、本発明による包装材料は、特に良好な滑落性能及び残存防止性能を発揮することができる。
本発明の包装材料は、油系内容物であっても、高粘性や固体形状のものであれば良好な滑落性能及び残存防止性能を発揮することができる。このような油系内容物としては、例えば、豆板醤、コチュジャン、チョコレートペースト、バター、マーガリン、チーズ、マヨネーズ等が挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
LLDPE((株)プライムポリマー製、商品名:UZ−2021)を、インフレーション法により押出製膜(押出温度:180℃)し、厚さ80μmのLLDPEフィルムA及びLLDPEフィルムBと、厚さ100μmのLLDPEフィルムCを作製した。
また、厚さ12μmのPETフィルム(東レフィルム加工(株)製、ルミラーE5200)を用意した。このPETフィルムの両面に、アンカーコート剤(東洋モートン(株)製、商品名:EL510/CAT−RT80、希釈溶媒:酢酸エチル)を乾燥後の厚さが、0.3g/mとなるように、塗布、乾燥し、アンカーコート層を形成した。
上記のようにして形成したアンカーコート層の一方上に、LDPE(日本ポリエチレン(株)製、ノバレックLC520)を溶融押出し、厚さ25μmの溶融押出樹脂層を形成すると共に、これを介して、LLDPEフィルムAを積層した。
上記のようにして形成したアンカーコート層の他方上に、LDPE(日本ポリエチレン(株)製、ノバレックLC520)を溶融押出し、厚さ25μmの溶融押出樹脂層を形成すると共に、これを介して、LLDPEフィルムCを積層し、積層体Aを得た。
厚さ12μmのガスバリア性フィルム(東レフィルム加工(株)製、VM−PET 1310)の一方の面に上記アンカーコート剤を乾燥後の厚さが、0.3g/mとなるように、塗布、乾燥し、アンカーコート層を形成すると共に、このアンカーコート層を介して、LLDPEフィルムBを積層し、積層体Bを得た。
積層体AのLLDPEフィルムCと、積層体Bのガスバリア性フィルムとを、ドライラミネート接着剤(ロックペイント(株)製、アドロックRU004/H1、塗布量3.5g/m)を介して積層体し、本発明の積層体を作製した。
上記のようにして作製した積層体を12cm×12cmの大きさにカットし、LLDPEフィルムAと、LLDPEフィルムBとを重ね合わせ、ヒートシールし、円筒形状の積層フィルムを得た。
次いで、円筒形状の積層フィルムの一端をヒートシールし、片側開口のチューブ状包装材料を得た。
界面活性剤A(理研ビタミン(株)製、ポエムOL−200V、モノジグリセライド(グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤)、HLB=3.2、ゲル状)を、エタノールに20質量%濃度となるように溶解した滑落層形成用塗工液を、片側開口のチューブ状包装材料の内面に、エアブラシを用いて塗布、乾燥し、厚さ5μmの滑落層を形成し、包装材料を得た。
実施例2
界面活性剤Aを、界面活性剤B(理研ビタミン(株)製、ポエムM−100、モノグリセライド(グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤)、HLB=7、ゲル状)に変更した以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。
実施例3
界面活性剤Aを、界面活性剤C(理研ビタミン(株)製、ポエムJ−0021、デカグリセリンステアレート(グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤)、HLB=15.5、液状)に変更した以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。
実施例4
界面活性剤Aを、界面活性剤D(竹本油脂(株)製、パイオニンD−212、ポリオキシエチレン化ヒマシ油(植物油エーテルエステル型)、HLB=7.8、液状)に変更した以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。
実施例5
界面活性剤Aを、油系材料A(理研ビタミン(株)製、アクターLO−1(潤滑油)、液状)に変更した以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。
実施例6
界面活性剤Aを、油系材料B(植物油(菜種油))に変更した以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。
比較例1
滑落層を形成させなかった以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。
比較例2
界面活性剤Aを、界面活性剤E(竹本油脂(株)製、パイオニンD−1715N、ポリオキシエチレンデシルエーテル(アルキルエーテル型)、HLB=16.1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。
<<滑落性能・残存防止性能試験>>
実施例及び比較例により得られた積層体を以下の方法により滑落性能及び内容物残存防止性能を評価した。
まず、実施例及び比較例において得られた片側開口のチューブ状包装材料を準備し、ペースト状の水系内容物A(ライオン(株)製、商品名:システマ ハグキプラス、粘度:525Pa・s @0.46(1/s))30gを開口部付近に充填し、開口部が上側となる状態で5分間静置した。
静置後、内容物の包装材料内面への付着状態を目視により観察し、下記評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1にまとめた。
また、ペースト状の水系内容物B(ライオン(株)製、商品名:クリニカ、粘度497Pa・s @0.46(1/s))、ペースト状の水系内容物C(キューピー(株)製、商品名:バナナホイップ)及び高粘性の油系内容物(S&B(株)製、豆板醤)についても同様に評価し、表1にまとめた。
(滑落性能の評価基準)
A:積層体の下部まで滑落していた。
B:積層体の中間部まで滑落していた。
C:積層体の上部で留まり、滑落していなかった。
(内容物残存防止性能の評価基準)
A:積層体上に残留物がほとんど生じていなかった。
B:積層体上に残留得物が多少生じていた。
C:積層体上に残留物が多く生じていた。
10:積層体、11:基材、12:ヒートシール層、13:滑落層、14:中間層、ガスバリア層、16:アンカーコート層、17:接着層、20:包装材料、21:頭部、22:胴部、23:底部、24:肩部、25:キャップ、26:ネジ部、27:口部、30:保持部、31:エアブラシ

Claims (7)

  1. 基材と、ヒートシール層とを備え、
    前記基材がヒートシール性を有し、
    前記ヒートシール層が、前記基材が設けられた面とは反対の面に、滑落層を備え、
    前記滑落層が、HLB値が16未満の界面活性剤及び油系材料の少なくとも一方を含むことを特徴とする、積層体。
  2. 前記滑落層が、界面活性剤を含み、
    前記界面活性剤が、ノニオン界面活性剤である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ノニオン界面活性剤が、アルキルエーテル系界面活性剤、アルキルアミノエーテル系界面活性剤、脂肪酸エーテルエステル系界面活性剤、植物油エーテルエステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、脂肪酸アミド系界面活性剤及びグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤から選択される少なくとも1種の界面活性剤である、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記滑落層が、油系材料を含み、
    前記油系材料が、植物油、動物油及び潤滑油から選択される少なくとも1種の油系材料である、請求項1に記載の積層体。
  5. 前記滑落層の膜厚が、0.1μm以上、10μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記基材と、前記ヒートシール層との間に、ガスバリア層を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体を用いて作製され、
    前記ヒートシール層が備える滑落層が、内面を構成することを特徴とする、包装材料。
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