JP2018016361A - 蓋材用撥水性積層体、蓋材および容器 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2において提案される蓋材では、付着防止層を、疎水性微粒子と、熱可塑性樹脂バインダーエマルジョンと、を含んでなるコート液を塗布、乾燥することにより形成させる際、疎水性微粒子の多くが付着防止層中に完全に埋没してしまい、付着防止性および撥水性を十分に発揮することができない場合があるという問題があった。
さらに、熱接着層の比表面積を特定の数値範囲とすることにより、付着防止性および撥水性をより顕著に向上させることができることを知見した。
したがって、本発明は、高い耐摩耗性、付着防止性および撥水性を有する蓋材用撥水性積層体を提供することをその目的とするものである。
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態による蓋材用撥水性積層体の断面模式図を示したものである。一実施形態において、蓋材用撥水性積層体10は、基材11と、撥水性微粒子13およびビーズ粒子14を含んでなる熱接着層12とを備えてなる。以下、本発明による蓋材用撥水性積層体を構成する各層について説明する。
基材として、コート紙、印刷用紙、上質紙およびクラフト紙などの紙材であったり、ポリプロピレン、ポリアミドおよびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルなどの樹脂からなるフィルムまたはアルミ箔等の金属箔を使用することができる。また、基材が酸素および水蒸気に対するバリア層としての機能を発揮することができるため、紙材やフィルムに対し、アルミニウムや酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの無機酸化物を蒸着することが好ましい。また、基材の遮光性を向上させることができるため好ましい。また、上記した紙材と、フィルムとの積層材を基材として用いてもよい。積層方法は、特に限定されず、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ヒートラミネート法などを用いることができる。
本発明の積層体が備える熱接着層は、熱可塑性樹脂、撥水性微粒子および撥水性微粒子よりも平均粒子径の大きいビーズ粒子を含んでなる。このように熱接着層が大きさの異なる2種類の粒子を含んでなるため、表面に特有の凹凸構造が形成され、粘性を有する内容物に対する付着防止性および撥水性を顕著に向上させることができる。また、撥水性微粒子よりも平均粒子径の大きいビーズ粒子を含んでなるため、熱接着層の耐摩耗性を向上させることもでき、摩擦による撥水性微粒子の滑落を防止することができる。さらに、熱接着層形成時において、熱接着層中にこれら粒子が埋没してしまうことを防止することができる。
内容物と接する面の比表面積を上記数値範囲とすることにより、粘性を有する内容物の付着防止性および撥水性を顕著に向上させることができる。
比表面積は、2.0m2/g以上であることがより好ましい。
また、非表面積は、20.0m2/g以下であることが好ましい。
熱接着層の比表面積は、熱接着層用塗工液に含まれる撥水性微粒子およびビーズ粒子の割合、熱接着層の厚みを調整することにより、調整することができる。
なお、本発明において、比表面積は、JIS K 6221に準拠し、BET法により測定することができる。
熱接着層は、上記熱可塑性樹脂を1種または2種以上含むことができる。
これらの中でも、コストの面からSiO2が好ましい。
熱接着層は、2種以上の撥水性微粒子を含んでいてもよい。
疎水化表面処理の方法としては、例えば、乾式法(CVD法、プラズマ法)を用いても、湿式法を用いてもよい。
撥水性微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡により測定することができる、算術平均径のことを指す。
また、熱接着層における撥水性微粒子の含有量は、熱接着層に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上、500質量部以下であることが好ましく、20質量部以上、200質量部以下であることがより好ましく、70質量部以上、170質量部以下であることがさらに好ましい。
ビーズ粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡により測定することができる。
熱接着層用塗工液の乾燥後塗布量は、1.1g/m2以上、10g/m2以下であることが好ましく、1.5g/m2以上、8g/m2以下であることがより好ましく、2.0g/m2以上、7g/m2以下であることがさらに好ましい。熱接着層の乾燥後塗布量を上記数値範囲とすることにより、積層体のヒートシール性を維持しつつ付着防止性および撥水性をより向上させることができる。
本発明の積層体は、基材と、熱接着層との間に1層以上のその他の層を有していてもよい。その他の層としては、例えば、バリア層、印刷層およびアンカー層等が挙げられる。
例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルーチタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料、アルミニウム、真鍮等の金属粉末からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなるパール顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
アンカー層は、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリステル系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、やこれらの樹脂の共重合体(例えば、アクリルポリエステル系樹脂)を含むことができる。
また、硬化剤、シランカップリング剤、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤およびイオン交換剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明による蓋材は、上記積層体を用いて作製することができ、液体や半固体、ゲル状物質などの粘性を有する内容物、例えば、ヨーグルトの包装容器の蓋材として好適に使用することができる。
本発明による容器20は、図2に示すように蓋材用撥水性積層体からなる蓋材21と、容器本体22と、を備えてなり、蓋材の熱接着層12と、容器本体22とがヒートシールされてなる。より具体的には、容器本体22の開口部23と、蓋材の熱接着層12とがヒートシールされてなる。
ヒートシールの方法は特に限定されるものではなく、バーシール、高周波シールや超音波シールなど従来公知の方法を使用することにより行うことができる。
基材の準備
厚さ12μmのアルミニウム蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製、商品名:BRPET1312)を準備した。
下記の組成からなる櫻宮化学製のインキWRD−5Tをアルミニウム蒸着PETフィルムの未蒸着側に、バーコート法により、乾燥後の塗布量が1.5g/m2となるよう、塗布し、乾燥炉内で100℃で3秒間乾燥させることにより熱接着層を形成し、蓋材用撥水性積層体を作製した。なお、塗工液の塗布にはミヤバー♯12(第一理化株式会社製)を用いた。
熱接着層の基材側とは反対側の面の比表面積をJIS K 6221に準拠し、BET法により測定したところ、1.2m2/gであった。熱可塑性樹脂の含有量と、撥水性微粒子およびビーズ粒子の含有量比は、質量基準で、1:1.4であった。
(インキWRD−5Tの組成)
・樹脂成分(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体およびポリエステル樹脂) 7質量部
・撥水性微粒子(疎水性SiO2、平均粒子径1〜100nm) 4質量部
・ビーズ粒子(SiO2、平均粒子径1〜30μm) 5.5質量部
・トルエン 40質量部
・メチルエチルケトン 30質量部
・酢酸エチル 10質量部
インキWRD−5Tの乾燥後の塗布量を2.0g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
実施例1同様、熱接着層の比表面積を測定したところ、2.5m2/gであった。
インキWRD−5Tの乾燥後の塗布量を2.5g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
実施例1同様、熱接着層の比表面積を測定したところ、3.9m2/gであった。
インキWRD−5Tの乾燥後の塗布量を3.0g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
実施例1同様、熱接着層の比表面積を測定したところ、4.6m2/gであった。
インキWRD−5Tの乾燥後の塗工量1.0g/m2に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
シール強度試験
実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体が備える熱接着層を、ポリスチレンシートへヒートシールした(ヒートシール温度:210℃、シール幅2mm、圧力0.3MPa、時間:0.8秒間)。ヒートシール後、蓋材用撥水性積層体を引っ張り試験機(オリエンテック社製)を用いて剥離させ、剥離時における最大強度をシール強度とした(N/15mm)(剥離角度180°、引張り速度300mm/min)。測定結果を表1に表す。
接触角計(協和界面化学製)を用いて、実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体が備える熱接着層と水滴との接触角を測定し、150°以上を○、150°未満を×として評価した。測定結果を表1に表す。
実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体を熱接着層が上方となるように45°傾け、熱接着層上に、ヨーグルト(1g)を垂らした。ヨーグルトの熱接着層への付着を目視にて観察し、以下の評価基準に従い、評価した。評価結果を表1に表す。
○:ヨーグルトの付着がなく、良好な付着防止性を発揮した。
△:ヨーグルトの付着が少しあったが、実用上問題なかった。
×:ヨーグルトの付着が多く、実用上問題があった。
実施例および比較例により得られた蓋材用撥水性積層体を熱接着層表面を手動型テープ圧着ロール(テスター産業株式会社製)を使用して、10回擦った(荷重2.5kg)。その後、熱接着層表面に水滴を垂らし、その滑落性を目視にて観察し、以下の評価基準に従い、評価した。評価結果を表1に表す。
○:撥水性微粒子の滑落がなく、良好な撥水性を発揮した。
△:撥水性微粒子の滑落が若干あったが、実用上問題のない撥水性を発揮した。
×:撥水性微粒子の滑落が多く、実用上問題があった。
―:初期状態で撥水性が低く実施しなかった。
11:基材
12:熱接着層
13:撥水性微粒子
14:ビーズ粒子
20:容器
21:蓋材
22:容器本体
23:開口部
Claims (7)
- 基材と、基材上の熱接着層とを備え、
前記熱接着層が、熱可塑性樹脂、撥水性微粒子および前記撥水性微粒子よりも平均粒子径の大きいビーズ粒子を含んでなり、
前記熱接着層の前記基材側と反対側の面の比表面積が、1.0m2/g以上であることを特徴とする、蓋材用撥水性積層体。 - 前記撥水性微粒子の平均粒子径が、1nm以上、300nm以下である、請求項1に記載の積層体。
- 前記ビーズ粒子の平均粒子径が、1μm以上、50μm以下である、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記熱接着層における前記熱可塑性樹脂の含有量と、前記撥水性微粒子および前記ビーズ粒子の含有量との比が、質量基準で、2:1〜1:5である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記熱接着層を形成するために用いられる熱接着層用塗工液の乾燥後塗布量が、1.1g/m2以上、10g/m2以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体からなる蓋材。
- 請求項5に記載の蓋材と、容器本体とを備えてなり、
前記蓋材の熱接着層と、前記容器本体とが、ヒートシールされてなる、容器。
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