JP2015018228A - ペリクル膜及びペリクル - Google Patents

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Norikazu Miyashita
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Abstract

【課題】極端紫外光に対して高い透過性及び十分な耐久性を有すると共に、膜破片を容易に除去でき、且つコストの低減を図れるペリクル膜及びペリクルを提供する。
【解決手段】ペリクル膜1は、グラフェン膜又は黒鉛薄膜である主膜3と、グラフェン膜又は黒鉛薄膜である主膜3を支持する支持するメッシュ状の支持メッシュ膜5とが接合された複合膜である。
【選択図】図1

Description

本発明は、極端紫外光を用いたリソグラフィ用のペリクル膜及び該ペリクル膜を備えたペリクルに関する。
半導体集積回路は、1960年代に生産が開始されてから集積度の向上が図られ、1970代初頭から最近に至るまで3年毎に約4倍の高集積化が実現される、という目覚ましい高集積化が続いている。この半導体集積回路の高集積化に貢献してきた技術が、光リソグラフィと呼ばれる露光技術である。露光技術では、半導体集積回路の配線の最小線幅が解像度により決められており、この解像度は、レイリーの式に従い、露光光学系の開口数、露光装置のK1ファクターと呼ばれる装置定数と露光波長λ(以下、単にλと示す)に依存している。この結果、45nm以下の解像度を得るためには、露光波長をEUV領域と呼ばれるλ=6〜14nmの極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultra Violet)光と示す)を用いたEUVリソグラフィが最も有力なものと考えられている。
EUVリソグラフィ開発における現時点での課題としては、EUV用光源の出力に関すること、EUV用レジストに関すること、EUV用マスクの欠陥やコンタミネーション粒子に関すること等が挙げられている。その中でも、EUV用光源の出力に関すること、詳細には、EUV用光源の出力を十分大きくできないことは、全ての課題に大きく影響している。
例えば、EUV用マスクのコンタミネーション粒子に関する課題では、EUV光がほとんど全ての物質に大きく吸収されるため、従来の露光波長、436nm(g線)、365nm(i線)、248nm(KrF)、193nm(ArF)等での透過縮小投影露光技術とは異なり、EUVリソグラフィでは、反射縮小投影露光技術を用い、EUV用マスクを含む全ての露光装置のコンポーネントが真空中に配置される。そして、露光装置中に存在するコンタミネーション粒子がマスク表面に付着し、露光時にウエハ上で欠陥となるのを防ぐために防塵マスクとして用いられてきたペリクルさえも使わないことを前提に開発が進められている。
しかしながら、最近のEUVリソグラフィの実証テストから、コンポーネントが真空中に配置されていても、コンタミネーション粒子は露光装置中に多量に発生しており、EUV用マスクの洗浄が頻繁に必要となる可能性が予想されている。そのため、EUV用光源の出力(中間集光点値)が数100W以上得られるようになれば、従来通りペリクル膜が必要となる。
従来の代表的なペリクル膜としては、以下に示す4種類の膜構造を有するものがある。第1の膜構造は、EUV光に対して消光係数k(以下、単にkと示す)が低い元素、例えばカーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)等をEUV用マスク表面に柱状(数十nmの間隔、高さ数μm)に成長させている(例えば、特許文献1参照)。
第2の膜構造は、λ=13.5nmのEUV光に対してkが最も低い元素として珪素Siを用いて、膜厚tをt=20〜150nmの極めて薄い平膜を作り、これをペリクル膜としている(例えば、特許文献2参照)。
第3の膜構造は、EUV光に対してkが低い、元素(Si、ルテニウムRu、イリジウムIr、金Au、ロジウムRh、炭素C等)及び化合物(窒化アルミニウムAlN、窒化珪素SiN、炭化珪素SiC等)を用いて、t=30〜300nmの単層又は多層の平膜と、支持メッシュ膜として矩形状、ハニカム状等の開口部を有し、線径が数十μm、線と線との周期が数百μm〜数mmの膜(いわゆる、グリッド、メッシュと呼ばれるもの。以下、単にメッシュと示す)とを接合した複合膜である(例えば、特許文献3〜7、非特許文献1参照)。
第4の膜構造は、第1〜第3の膜構造の良い特徴を組み合わせたもので、EUV光に対してkが低い炭素Cの形態としてグラフェンをペリクル膜として用い、必要ならば支持メッシュ膜と接合した複合膜を用いることができるとしている(例えば、特許文献8参照)。
米国特許第7763394号明細書 特開2009−271262号公報 特開2005−43895号公報 米国特許第7153615号明細書 特開2010−256434号公報 特開2008−268956号公報 特開2014−49677号公報 特開2013−534727号公報
Shroff、YasheshA. et al.、「EUV pellicle development for mask defectcontrol」、Emerging Lithographic Technologies X、Edited by Lercel、 Michael J. Proceedings ofthe SPIE、Volume 6151、2006、p10-19
ペリクル膜に要求される性能は、EUV光に対して低消光係数(高透過率)であること、EUV光に対して耐久性(耐光性、耐熱性)を有すること、実用上十分な膜強度が確保されていることである。更に、ペリクル膜を安価に提供することも求められている。
上記の第1の膜構造は、kが低い元素として炭素C、CNTを使っているが、EUV用マスク表面に防塵保護膜が直接接触する構造であり、マスク面とペリクル膜の一部分との焦点が重なる。そのため、第1の膜構造では、ペリクルとしての性能が疑問視されるだけではなく、CNTの構造制御が極めて難しいため、製造コストが高くなることが容易に想像される。そのため、第1の膜構造は現実的ではない。
第2の膜構造は、kの低いSiから成るなるものの、ペリクル膜をEUV光が2回通過した際の透過率を50%以上確保しようとすると、膜厚を200nm以下とする必要があり、透過率を60%以上確保しようとすると、膜厚を150nm以下とする必要がある。すなわち、第2の膜構造では、高い透過率を得るためには極めて膜厚が薄い平膜が必要となり、膜自体の強度を確保することが難しい。更に、第2の膜構造では、衝撃等によりSiのペリクル膜が破損すると、その破片がEUV用マスク表面上に付着することがある。この場合、ペリクル膜として機能しないだけでなく、除去することが困難なコンタミネーション粒子となってしまう問題が生じ得る。
第3の膜構造は、膜強度を確保することについては有効な構成であり、膜厚を薄くすることを可能としている。しかしながら、第3の膜構造では、支持メッシュ膜自体がEUV用マスクへの入射光及びEUV用マスクからの反射光に対し、障害物や制限視野的なものとして働き、平膜単独時の透過率に比べ、透過率を30〜60%程度下げることとなる。したがって、具体的に高透過率のペリクル膜を得るためには、支持メッシュ膜に要求される条件、特に後述するように適切な開口率が必須となる。
しかしながら、特許文献6、特許文献7では、ペリクル膜の透過率を大きくするために、開口率を大きくする必要があることが定性的に示されているにすぎず、特許文献6、特許文献7に示された値だけでは、具体的に支持メッシュ膜に要求される開口率の値を算出できない。また、特許文献3に示された値からは、開口率が11.1〜91.8%であること、特許文献4に示された値からは、開口率が95.2%であること、特許文献5に示された値からは、開口率が82.6%であることが算出されるものの、これらの値が主膜の透過率とどのように関連し、最終的なペリクル膜の透過率がどうなるのかが示されていない。また、ペリクル膜の素材として、炭素C以外のものを用いた場合には、破損時におけるコンタミネーション粒子の問題が生じ、貴金属・希土類元素を用いた場合には、膜原料の確保が難しいといった問題も生じ得る。
第4の膜構造は、ペリクル膜として、グラフェン膜を単独で用いるか、支持メッシュ膜と接合した複合膜として用いることが記されている。しかし、支持メッシュ膜との複合膜として用いる場合、上述したように、特許文献8には用いる支持メッシュ膜に関する条件が何ら示されていないため、高透過率のペリクル膜を実現することはできない。
本発明は、EUV光に対して高い透過性及び十分な耐久性を有すると共に、膜破片を容易に除去でき、且つコストの低減を図れるペリクル膜及びペリクルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、EUV光に対し、ペリクル膜の素材として消光係数kが小さく且つ耐久性がある、グラフェン膜又は黒鉛薄膜を用いることより、EUV光に対して高い透過性及び十分な耐久性を有すると共に、万が一、膜の一部が破損し、マスク表面に付着した場合でも、その膜破片を容易に除去でき、且つコストの低減を図れることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明の一側面に係るペリクル膜は、グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、グラフェン膜又は黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜とが接合された複合膜であり、グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、グラフェン膜又は黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜との対応関係が以下の条件を満足することを特徴とする。
上記対応関係の一実施形態においては、露光波長が13.5nmの極端紫外光の場合、グラフェン膜又は黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が60以下、及び、膜厚が20.10nm以下の少なくとも一方を満たし、支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、支持メッシュ膜の開口率が95.4%以上であってもよい。
上記対応関係の一実施形態においては、露光波長が6.75nmの極端紫外光の場合、グラフェン膜又は黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が284以下、及び、膜厚が95.14nm以下の少なくとも一方を満たし、支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、支持メッシュ膜の開口率が95.2%以上であってもよい。
上記対応関係の一実施形態においては、露光波長が13.5nmの極端紫外光の場合、グラフェン膜又は黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が39以下、及び、膜厚が13.07nm以下の少なくとも一方を満たし、支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、支持メッシュ膜の開口率が96.0%以上であってもよい。
上記対応関係の一実施形態においては、露光波長が6.75nmの極端紫外光の場合、グラフェン膜又は黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が180以下、及び、膜厚が60.30nm以下の少なくとも一方を満たし、支持メッシュの線径が5〜50μmであり、支持メッシュ膜の開口率が95.6%以上であってもよい。
上記対応関係の一実施形態においては、露光波長が13.5nmの極端紫外光の場合、グラフェン膜又は黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が18以下、及び、膜厚が6.03nm以下の少なくとも一方を満たし、支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、支持メッシュ膜の開口率が96.4%以上であってもよい。
上記対応関係の一実施形態においては、露光波長が6.75nmの極端紫外光の場合、グラフェン膜又は黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が86以下、及び、膜厚が28.81nm以下の少なくとも一方を満たし、支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、支持メッシュ膜の開口率が96.0%以上であってもよい。
上記対応関係の一実施形態においては、露光波長が13.5nmの極端紫外光の場合、グラフェン膜又は黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が4以下、及び、膜厚が1.34nmの少なくとも一方を満たし、支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、支持メッシュ膜の開口率が98.0%以上であってもよい。
上記対応関係の一実施形態においては、露光波長が6.75nmの極端紫外光の場合、グラフェン膜又は黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が21以下、及び、膜厚が7.04nmの少なくとも一方を満たし、支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、支持メッシュ膜の開口率が97.5%以上であってもよい。
一実施形態においては、露光波長が極端紫外光の場合、当該ペリクル膜を1回通過したときの透過率が71%以上であってもよい。
本発明に係るペリクルは、上記のいずれかのペリクル膜と、ペリクル膜が貼付されるフレームと、を備えることを特徴とする。
一実施形態においては、フレームには、ペリクル膜が貼付される面とは反対側の面に、当該フレームの延在方向に沿って溝が設けられていてもよい。
一実施形態においては、フレームには、ペリクル膜が貼付される面とは反対側の面に、電磁石が設けられていてもよい。
本発明によれば、EUV光に対して高い透過性と実用的に十分な耐久性を有すると共に、膜破片を容易に除去できる。
一実施形態に係るペリクル膜を示す平面図である。 図1におけるII−II線での断面構成を示す図である。 炭素網面の積層数Nを説明するための図である。 Si及びCの、波長λと屈折率n及び消光係数kとの関係を示す図である。 代表的な物質の、屈折率nと消光係数kとの関係を示す図である。 代表的な物質の、光学定数(屈折率n、消光係数k)及び熱膨張率を示す表である。 (a)は、積層数Nと透過率T(G)との関係を示すグラフであり、(b)は、膜厚tと透過率T(G)との関係を示すグラフである。 図7の数値をまとめた表である。 グリッド線の材質と光学定数(n、k)、メッシュの開口部の形状、メッシュの開口率O、メッシュの線径w及び支持メッシュ膜の透過率T(M)との関係を示す表である。 Ni製正方形支持メッシュ膜の開口率Oと支持メッシュ膜の辺長Q、周期P及び透過率T(M)との関係を示す表である。 Ni製支持メッシュ膜の、メッシュ比Dと開口率Oとの関係、及び支持メッシュ膜の開口率Oと透過率T(M)との関係を示すグラフである。 主膜の透過率T(G)、支持メッシュ膜の透過率T(M)とペリクル膜Tとの関係を示すグラフである。 図12の数値をまとめた表である。 一実施形態に係るペリクルを示す斜視図である。 図14におけるXV−XV線での断面構成を示す図である。 フレームの断面構成を示す図である。 フレームの断面構成を示す図である。 支持メッシュ膜の構造パラメータの説明図である。 支持メッシュ膜の構造パラメータの説明図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1、一実施形態に係るペリクル膜を示す平面図である。図2は、図1におけるII−II線での断面構成を示す図である。図1及び図2に示すように、ペリクル膜1は、主膜3と、支持メッシュ膜5と、を備えている。本実施形態のペリクル膜1は、EUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外)光のリソグラフィで用いられるものである。
主膜3は、グラフェン膜又は黒鉛薄膜である。以下の説明では、特に説明しない限り、主膜3はグラフェン膜又は黒鉛薄膜のことを示す。支持メッシュ膜5は、主膜3を支持する膜である。ペリクル膜1は、主膜3と支持メッシュ膜5とが接着剤8により接合された複合膜である。なお、主膜3と支持メッシュ膜5との接合方法は、接着剤8によるもの限定されない。
1:本実施形態で使用する用語、前提、構造パラメータの説明
[ペリクル膜の透過率の基準値T、T、T(G)、T(M)の定義とその意味]
最初に、ペリクル膜1の、透過率(%)の基準となる基準値T、透過率T、主膜3の透過率T(G)、支持メッシュ膜5の透過率T(M)について説明する。
透過率の基準値とは、保証する透過率の下限値のことである。通常、EUVリソグラフィで用いられる1枚の反射鏡の反射率は約70%である。本実施形態では、反射鏡の反射率(70%)よりも20%低い、50%を基準値T(50)とする。また、本実施形態では、必要最低限なペリクル膜1の透過率を55%、60%、65%とした場合の基準値をそれぞれ、T(55)、T(60)、T(65)とする。露光時、EUV光はEUV用マスク面で入射及び反射され、EUV用マスク面を覆ったペリクル膜1を往復で2回通過する。ペリクル膜1をi回(iは整数)通過したときの透過率をTとした場合、EUV光がペリクル膜1を2回通過したときの透過率Tは、ペリクル膜1を1回通過した時の透過率Tの2乗、すなわち、以下の式(1)が成立すると考えられる。
=(T …(1)
上記式(1)より、T(50)では、T=50%、T=71%となる。T(55)では、T=55%、T=74%となる。T(60)では、T=60%、T=77%となる。T(65)では、T=65%、T=81%となる。以下、ペリクル膜1の設計にあたっては、現実的な使用時の値に近い透過率Tを用いることとする。なお、透過率Tは、マスクの反射率が100%である場合を前提としている。もちろん、透過率Tによりペリクル膜1の構成を規定することができる。すなわち、透過率T及び透過率Tのいずれであっても、ペリクル膜1の透過率を規定することができる。
主膜3と支持メッシュ膜5とを接合したペリクル膜1(複合膜)の透過率Tは、以下の式(2)に示すように、主膜3の透過率T(G)と支持メッシュ膜5の透過率T(M)との積で与えられるものとする。
=T(G)・T(M) …(2)
なお、主膜3の透過率T(G)に関連し、一般に、グラフェン膜及び黒鉛薄膜では、膜面が大きく、炭素網面のNが増加するに伴い、欠陥や非結晶成分の割合が多くなり、理想的な黒鉛単結晶の構造が得られない傾向がある。しかし、本実施形態の主膜3は、十分に大きな黒鉛単結晶と近似し、その光学定数は、EUV領域における黒鉛の光学定数を用いる。したがって、主膜3の透過率T(G)は、黒鉛の光学定数を用いて算出することができるものとする。また、支持メッシュ膜5の透過率T(M)は、基本的には支持メッシュ膜の構造パラメータで表される2次元格子グリッドから算出されるが、向きの異なる1次元格子グリッドの積層体として扱うこともできる。この場合、例えば、開口部が正方形となる方形グリッド(以下、正方形メッシュと示す)の透過率T(M)は、1次元格子グリッドの1回通過時の透過率を4乗すること(1次元格子グリッドの1回通過時の透過率の2乗がT(M)であり、T(M)の2乗がT(M)である)で与えられるものとする。
[グラフェン膜又は黒鉛薄膜及びその構造パラメータの定義とその説明]
グラフェン膜とは、厳密には黒鉛(グラファイト)の炭素網面が1層のことを示している。ここで、A. K. Geim、K. S. Novoselov、「the rise of graphene」、nature materials 6、2007、p183に記載されているように、炭素網面が2〜10層程度の積層した状態もグラフェン膜として扱われる。本実施形態においては、炭素網面の積層数N(以下、単にNと示すことがある)が10枚以下(N≦10)のものをグラフェン膜とする。このとき、グラフェン膜の厚みt(以下、単にtと示すことがある)は、3.40nm以下(t≦3.40nm)とする。特に、炭素網面がN=1(t=0.335nm)のものを単層グラフェン膜、炭素網面がN=2〜10のものを多層グラフェン膜とする。また、10<N≦300(3.40<t≦100nm)のものは、黒鉛薄膜とする。なお、積層数に関係なく、これらを総称する場合は、単に黒鉛、その膜を黒鉛膜とする。
現実に得られる主膜3は、数cm〜数mの単層グラフェン膜や、炭素網面の方位が揃って積層した多層グラフェン膜又は黒鉛薄膜から必ずしも構成されているわけではない。数μm〜数mmの大きさや炭素網面の積層数の異なるグラフェン膜又は黒鉛薄膜が混在し、それらが凝集して黒鉛膜となっている。本実施形態では、後述する式(3)及び式(4)で定義されるNが上記の構成を満たすものをグラフェン膜(N≦10の場合)、黒鉛薄膜(10<N≦300の場合)とする。
続いて、主膜3の構造パラメータについて説明する。主膜3の積層数Nとは、図3に示すように、大きさや炭素網面のNの異なるグラフェン膜又は黒鉛薄膜が凝集した黒鉛膜において、5ヶ所以上の観測部位iでの黒鉛膜の、炭素網面の積層数N(以下、単にNと示すことがある)の平均値である。すなわち、積層数Nは、観測部位iとして、少なくとも1点は黒鉛膜の中央部位を含み、膜内を均等間隔で離れた複数の観測部位を設定した場合、以下の式(3)で定義される。
=ΣN/Σi …(3)
ここで、ΣNは観測部位iでのNについての和を、Σiは観測部位の総数を意味する。
観測部位iでの黒鉛膜の炭素網面の積層数Nは、N≦10である場合には、飯島澄男、遠藤守信監修、「カーボンナノチューブ・グラフェンハンドブック」、株式会社コロナ社、2001年9月12日、p290−311(以下、参考文献1と示す)に記載された「12章 グラフェンと薄層グラファイト、12.1グラフェンの作製、(2)SEMを使った枚数特定法」で特定することができる。この方法を、特定法1とする。また、観測部位iでの黒鉛膜の炭素網面の積層数Nは、N≦4〜6である場合には、参考文献1に記載された、より簡便な特定法、「(1)光学顕微鏡を使ったグラフェン層数特定法」により特定する方法(以下、特定法2と示す)、A. C. Ferrari et al.、「Physical ReviewLetters」、97、2006、p187401(以下、参考文献2と示す)に記載されたラマン分光を使った枚数特定法(以下、特定法3と示す)で特定することができる。
本実施形態では、N≦10の場合、特定法1を積層数の判定法とし、特定法2及び特定法3は特定法1の補助的な特定法とする。これらの特定法間で矛盾が生じた場合は、特定法1を優先するものとする。特定法1は、見える範囲が狭く、観察が煩雑であるのに対し、特定法2及び特定法3は、特定法1と比較して精度が落ちるものの、見える範囲が広かったり、観察が簡便である特徴を有する。
一方、N>10の黒鉛膜(黒鉛薄膜を含む)の場合は、下記の方法で観察部位iの黒鉛膜の膜厚t(以下、単にtと示すことがある)を用いて、式(4)からNを算出する。黒鉛膜の膜厚tとは、観察部位iでの黒鉛膜の膜厚のことである。N>10の場合、黒鉛膜の膜厚tは、電子顕微鏡TEM又はSEMを用いて、観察部位での黒鉛膜の中倍率の断面写真を撮影し、そこから比較的容易に求めることができる。そこで、5ヶ所以上の観測部位iでのtを求め、黒鉛の層間距離0.335nmで割った値、すなわち、以下の式(4)で定義される値を積層数N>10の、観察部位iでの、黒鉛膜の炭素網面の積層数Nとする。
=t/0.335nm …(4)
また、観察部位iの黒鉛膜の膜厚をtとすれば、炭素網面の積層数N>10の黒鉛膜の膜厚tは、式(3)と同様に以下の式(5)で定義される。
=Σt/Σi …(5)
ここで、Σtは各観測部位iでのNについての和を、Σiは観測部位の総数を意味する。
一方、炭素網面の積層数N≦10のグラフェン膜の膜厚を測定するためには、電子顕微鏡TEM又はSEMを用いて、膜の断面写真を高倍率で撮影し、それを更に拡大画像処理して求める。しかし、高倍率での観察自体が極めて困難であることから、本実施形態では、特定法1〜3により、式(3)から積層数Nを算出し、その値に炭素網面の層間距離0.335nmを掛けた値、すなわち、以下の式(6)で定義される値を炭素網面の積層数N≦10のグラフェン膜の膜厚tとする。ここでは、N=1の時の単層グラフェン膜の厚み、すなわち、炭素原子の大きさ約0.33nmを黒鉛の層間距離0.335nmで代用する。
=0.335×N …(6)
なお、膜厚t、膜厚t、積層数N、積層数Nを主膜3の構造パラメータと呼ぶこととする。
[支持メッシュ膜及びその構造パラメータの定義とその説明]
支持メッシュ膜5について説明する。支持メッシュ膜5は、メッシュ構造を有する膜である。支持メッシュ膜5は、グリッド線9(ワイヤー)が1方向に並行に延在する1次元格子グリッド、あるいは、延在する方向の異なる複数の1次元格子グリッドにより形成され、開口部の形状が三角形、四角形、六角形等の多角形になるように組まれた2次元格子グリッド(以下、方形グリッドと示す)から成るものである。図1では、開口部の形状が四角形の構成を一例として示している。
支持メッシュ膜5は、2次元的膜強度を確保するという意味だけでなく、主膜3が万が一破損した際、その破片がマスク表面に落下することを防ぐという観点から、1次元格子グリッドではなく、方形グリッドであることが好ましい。支持メッシュ膜5の開口部の形状は、支持メッシュ膜5の強度の異方性を抑えるという観点から、正多角形、特にハニカム形状(正六角形)であることが好ましい。また、支持メッシュ膜5を構成するグリッド線9(縦線、横線)の断面形状は、主膜3との接合強度を確保するという観点から、平坦な面を有する方形が好ましく、更に方形グリッドを構成するにあたっては、向きの異なる1次元格子グリッドの積層体や織物体ではなく、表裏の面に凹凸が生じないように構成された平面的なものであることが好ましい。
続いて、図1、図2、図18及び図19を参照して、支持メッシュ膜5の構造パラメータを、支持メッシュ膜5の開口部の形状(以後、メッシュの開口部の形状と示す)を正多角形として説明する。支持メッシュ膜5における、線径w、辺長Q、周期P、目開きL、メッシュ比D及び開口率Oについて説明する。
支持メッシュ膜5の線径wとは、支持メッシュ膜5を構成するグリッド線9の太さのことである。グリッド線9の断面形状が方形の場合、線幅をw、線厚みをwとし、断面形状が正方形又は円形の場合、w=w=wとなる。以下、特に断らない限り、グリッド線9の断面形状は便宜上、正方形であるとする。
支持メッシュ膜5の辺長Qとは、支持メッシュ膜5を構成する正多角形(線幅wの中央線で見るものとする)の辺の寸法のことである。
支持メッシュ膜5の周期Pとは、図18及び図19に示すように、2次元平面を当該正多角形で埋め尽くすとしたときの、方形状の周期的な最小の繰り返し単位の寸法(方形の隣り合う2辺の各値)のこととする。正方形支持メッシュ膜の場合は、方形の隣り合う2辺の寸法が同じであり、周期Pは1つの値、辺長Qと同じ値となるが、正三角形支持メッシュ膜、及び正六角形支持メッシュ膜では、方向により異なる周期P、Pをとることとなる。
支持メッシュ膜5の目開きLとは、辺長Qから線径wを差し引いた値である。すなわち、支持メッシュ膜目開きLとは、グリッド線の開口部が作る正多角形の辺の寸法である。支持メッシュ膜5のメッシュ比Dとは、目開きLを辺長Qで割った値(L/Q)である。
メッシュ比D=L/Q=1−w/Q …(7)
なお、メッシュ比Dを支持メッシュ膜5の開口部の形状に対応して区別する必要がある場合は、正三角形支持メッシュ膜のメッシュ比をD(A)、正方形支持メッシュ膜のメッシュ比をD(B)、正六角形支持メッシュ膜のメッシュ比をD(C)と示す。
支持メッシュ膜5の開口率Oとは、二次元平面を埋め尽くとしたときの、正多角形メッシュの開口部の割合(通常%表記する)のことである。ただし、後述する数式に値を代入する際には0〜1の割合値を用いることとする。開口率Oを支持メッシュ膜5の開口部の形状に対応して区別する必要がある場合は、正三角形支持メッシュ膜の開口率をO(A)、正方形支持メッシュ膜の開口率をO(B)、正六角形支持メッシュ膜の開口率をO(C)と示す。開口率Oは、それぞれ、辺長Qと線径wを用いて、あるいはメッシュ比Dを用いて下記のように表せる。
O(A)=(Q−31/2w)(31/2Q−3w)/(31/2)=(4−2・31/2)+(2・31/2−6)D(A)+3D(A) …(7−2)
O(B)=(Q−w)/Q=D(B) …(7−3)
O(C)=(31/2Q−w)/(3Q)=(1/3){(4−2・31/2)+(2・31/2−2)D(C)+D(C)} …(7−4)
上記に定義した線幅w、線厚みw、線径w、辺長Q、周期P、目開きL、メッシュ比D、開口率O及びグリッド線の素材(線材)の光学定数(屈折率n、消光係数k)を支持メッシュ膜5の構造パラメータと呼ぶこととする。
2:ペリクル膜及びその製造方法
2−1:グラフェン膜又は黒鉛薄膜
最初に、主膜3(グラフェン膜、黒衣薄膜)について説明する。主膜3は、炭素から形成されている。主膜3の材料に炭素を用いることの第1の利点は、万が一ペリクル膜1が破損し、マスク上に付着した際にも容易に除去可能であることである。例えば、高木紀明等、「EUVリソグラフィ用マスク上のカーボン堆積実験:洗浄技術の評価」、2010年度ナノテクノロジーネットワークプロジェクト成果報告書、立S22−03、及び、老泉博昭、「極端紫外線(EUV)を用いたリソグラフィ基礎技術」、九州工業大学大学院工学研究科博士学位論文、平成19年3月で示されているように、有機分子を直接分解することができるVUV光(真空紫外光:Vacuum Ultra Violet光、例えば、λ=172nm)、EUV光(例えば、λ=13.5nm)自体を用いて、活性酸素により酸化させて、一酸化炭素COあるいは二酸化炭素COとする反応(酸化法)や、原子状水素Hにより還元させてメタン系炭化水素(CH)とする反応(還元法)により、EUV用マスク上に付着した炭素の除去ができることである。
主膜3の材料に炭素を用いることの第2の利点は、EUV領域λ=6〜14nmにおいて炭素の消光係数kが低いことである。一般に、EUV領域における光学定数n、kは、膜を構成する物質の種類と、膜の密度に基づいて求めることができる。この光学定数n、kは、B. L. Henke、E. M. Gullikson、J. C. Davis、「X-Ray Interactions:Photoabsorption、 Scattering、Transmission、 and Reflection at E = 50-30、000 eV、 Z = 1-92」、AtomicData and Nuclear Data Tables、Elsevier Inc、Volume 54、Issue 2、July1993、p181-342(以下、参考文献3と示す)に記載の方法により求めることができる。実際には、具体的な数値の算出に、CXRO(The Center for X-ray Optics)のウェブページ<http://henke.lbl.gov/optical_constants/getdb2.html>を用いた。
図4は、波長λと屈折率n及び消光係数kとの関係を示す図である。図4では、C(黒鉛)及びSi(珪素)について示しており、Cの密度を2.25g/cm、Siの密度を2.33g/cmとしている。図5は、代表的な物質の、屈折率nと消光係数kとの関係を示す図である。図5(a)では、λ=13.5nmについて示しており、図5(b)では、λ=6.75nmについて示している。図6は、代表的な物質の光学定数n、k及び熱膨張率を示す表である。図6(a)では、λ=1.35nmでの光学定数及び熱膨張率を示しており、図6(b)では、λ=6.75nmでの光学定数及び熱膨張率を示している。
図4に示すように、Siは、λ=12nm付近でSiのL吸収端に起因する光学定数の不連続的変化が生じるのに対し、Cの光学定数は連続的であり、nは単調増加しながらn=1に近づき、kは単調減少する。特に、kは、λ≦12nmではCの方がSiよりも小さな値となる。
図5(a)及び図6(a)に示すように、代表的な物質のEUV領域における光学定数は、λ=13.5nmでは、Siが全元素中最も小さいkの値0.00183を有するが、Cも0.00706と低い値となっている。一方、図5(b)及び図6(b)に示すように、λ=6.75nmでは、Siのkが0.00960であり、Cのkが0.00077と全元素中最も小さいkとなる。このことは、λ=13.5nm領域ではSiがペリクル膜を作製する上でCよりも適しているが、λ=6.75nm領域ではむしろCの方が優れていることを示している。
主膜3の材料に炭素を用いることの第3の利点は、熱特性(融点、熱膨張率)が好ましいことである。一般にEUV用マスクは、EUV光が長時間照射されても大きく加熱されないように冷却装置が装備されているが、マスクより離れた位置にあるペリクル膜を冷却する方法はない。そのため、ペリクル膜1には耐熱性と熱膨張率が適切であることが必要となる。常圧下での融点は、炭素Cが全ての元素の中で最も高く(常圧下では融点を持たない)、Siは1414℃であり、Cの耐熱性が優れている。また、熱膨張率は、Cが4.0〜6.0×10−6/℃、Siが2.4×10−6/℃であり、Cの方が後述する支持メッシュ膜5に用いる金属(Mo(モリブデン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、無機化合物(AlN、SiC、Al(アルミナ))の熱膨張率との差が小さく、支持メッシュ膜5と接合された際、EUV光の長時間照射によりペリクル膜全体が加温されたとしても膜に歪が生じにくい。
ペリクル膜1の主膜3としての炭素膜は、グラフェン膜又は黒鉛薄膜である。このグラフェン膜又は黒鉛薄膜の構造パラメータの範囲を設定することにより、高透過率な主膜3を得ることができる。
グラフェン膜又は黒鉛薄膜を用いることの第1の利点は、透過率T(G)が大きいことである。図7(a)は、積層数Nと透過率T(G)との関係を示すグラフである。図7(b)は、膜厚tと透過率T(G)との関係を示すグラフである。図7(a)では、参考文献3に記載されている方法に基づいて求めたλ=13.5nm及びλ=6.75nmにおけるC(密度2.25g/cm)の光学定数n、kの値(図5を参照)を用いて、格子分析ソフトウエアツール(Grating Development Company社製、製品名:G−Solver)により算出した黒鉛膜(グラフェン膜又は黒鉛薄膜を含む)の0次の透過率T(G)の、黒鉛膜の炭素網面の積層数Nの依存性を示している。また、図7(b)では、黒鉛膜の炭素網面の膜厚tの依存性を示している。図8は、図7の数値をまとめた表である。
図7及び図8に示すように、主膜3の積層数N及び厚みtが小さくなるに伴い、透過率T(G)は大きくなることが分かる。例えば、N≦10、t≦3.35nmのグラフェン膜ならば、λ=13.5nmにおいてT(G)≧95.4%、λ=6.75nmにおいてT(G)≧99.0%という極めて高い透過率が得られることが分かる。
図8に示す結果に関して、回帰ソフト(株式会社エスミ社製、製品名:EXCEL多変量解析)を使用して回帰分析を行ない、N及びtの、T(G)への影響を求めた。λ=13.5nmにおけるT(G)に関する回帰式は、
(G)=[9.986・exp(−4.434×10−3・N)]×100 …(8)
(G)=[9.986・exp(−1.324×10−2・t)]×100 …(9)
自由度修正済決定係数(以後、R*2と記す)R*2=0.999
となった。
また、λ=6.75nmにおけるT(G)に関する回帰式は、
(G)=[1.000・exp(−9.662×10−4・N)]×100 …(10)
(G)=[1.000・exp(−2.884×10−3・t)]×100 …(11)
*2=1.000
となった。
高透過率のグラフェン膜又は炭素薄膜を得るためには、炭素網面の積層数や黒鉛膜の膜厚をできるだけ小さくすることが重要であり、式(8)〜式(11)を用いることで、任意の主膜3の構造パラメータN及びtにおける、λ=13.5nm及びλ=6.75nmでの主膜3の透過率T(G)の値を容易に推定することができる。
2−2:グラフェン膜又は黒鉛薄膜の製造方法
グラフェン膜又は黒鉛薄膜を用いることの第2の利点は、既存のグラフェン膜又は黒鉛薄膜の製造方法を応用することで、目標とする透過率T(G)を有する積層数N、膜厚tの主膜3を比較的容易に作ることができることである。
積層数、膜厚を制御できる量産可能なグラフェン膜又は黒鉛薄膜の作製方法としては、以下の参考文献に記載の方法が挙げられる。参考文献1、萩野俊郎等著、「グラフェンが拓く材料の新領域」、株式会社NTS、第3編グラフェンの作製法と評価、2012年、p29−73(以下、参考文献4と示す)、斉木幸一朗監修、「グラフェンの機能と応用展望I」、株式会社CMC出版、第11章〜第13章、2009年、p147−181(以下、参考文献5と示す)、斉木幸一朗監修、「グラフェンの機能と応用展望II」、株式会社CMC出版、第4章〜第9章及び第11章、2012年、p41−100及びp111−118(以下、参考文献6と示す)、尾辻泰一監修、「グラフェンの最先端技術と拡がる応用」、株式会社フロンティア出版、第3章グラフェンの合成技術と応用展開、2012年、p49−110(以下、参考文献7と示す)。これらの参考文献に記載されたCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)、エピタキシャルグラフェン法、黒鉛単結晶の層剥離法の3つが、グラフェン膜又は黒鉛薄膜の作製方法として知られている。本実施形態のペリクル膜1は、これらの方法を用いて主膜3を基板上に作製し、その後基板から主膜3を剥離した後、支持メッシュ膜5へ転写し、更に主膜3と支持メッシュ膜5とを接合して複合化することで得られる。
グラフェン膜又は黒鉛薄膜の第1の作製方法は、CVD法であり、この方法は他の方法に比べ、量産する観点から好ましい。この方法は、参考文献4の第3編第1章第3節、参考文献5の第5章及び第11章、参考文献7の第3章3及び4、及び、特開2009−107921号公報に記載されているように、触媒金属基板表面に原料の炭化水素ガスから直接主膜3を温度600〜1000℃、圧力10〜10Paで気相反応(解離)、気相・固相反応(吸着、脱着、表面拡散析出)、固相反応(固溶、触媒作用)の結果合成する技術である。炭素固溶限が大きな遷移金属(Fe(鉄)、Co、Ni等)や炭素固溶限が小さな貴金属(Cu、Pt(白金)、Ir等)の触媒CVD法では、触媒金属表面での解離温度が低いアセチレン(C)等の炭化水素の解離ガスがCVD成長温度で触媒金属基板に吸着・固溶し、触媒金属基板の冷却過程において炭素濃度が固溶限を超える温度まで冷却された時、炭素原子が表面析出して主膜3となると考えられている。
形成される主膜3の炭素網面の積層数は、触媒金属基板への炭素固溶量(炭化水素ガスの圧力、時間、温度及び金属膜の厚さ)や冷却速度に依存、すなわち炭素の触媒金属基板での表面への析出と内部拡散との競合で支配されている。したがって、炭素固溶限が大きな遷移金属基板を使うと積層数の大きな多層グラフェンや黒鉛薄膜が得られ、炭素固溶限が小さい貴金属基板を用いると単層グラフェンや積層数の小さい多層グラフェンが得られる。
冷却速度に関しては、冷却速度が速すぎる(例えば、20℃/秒より大きい)と、クエンチされ固溶状態が保持され、炭素原子が触媒金属基板の表面に析出し難くなったり、内部拡散よりも表面析出が優先的に進んだ多層グラフェン・黒鉛薄膜が形成される。一方、冷却速度が遅すぎる(例えば、0.1℃/秒以下)と、炭素の触媒金属基板内部への拡散が進行して表面析出が生じず、黒鉛膜が得られない。本実施形態のN=1〜300(t=0.335〜100nm)の主膜3を得るためには、触媒金属の種類にも依存するが、室温〜400℃への冷却を約0.1〜200℃/秒の冷却速度で行えばよい。特に、5〜20℃/秒であれば、N=1〜4程度の欠陥の少ない均一なグラフェン膜が得られるため好ましい。
触媒金属の選択に関して、Fe、Ni等の炭素固溶限が数%の大きな遷移金属の触媒金属は、触媒金属の多結晶の結晶サイズ毎に炭素の析出量にバラツキが生じ、結果として炭素網面の積層数の制御が難しいという側面を有しているが、多層のグラフェン膜又は黒鉛薄膜を比較的低温(600℃台)で形成することができる。また、グラフェン膜又は黒鉛薄膜の積層数及び膜厚は、触媒金属層の厚み、原料ガス濃度、合成時間によりある程度制御することができる。触媒金属層が薄すぎると、CNTが形成され、触媒金属層が厚すぎると、炭素原子の表面析出が起き難くなり、グラフェン膜が得られない。実際、バルクや箔の触媒金属層ではなく、SiO/Si基板にPVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長)法により形成した20〜200nmのFe膜を用い、原料ガスとして、CとアルゴンAr(混合比1:9)の混合ガス、全ガス流量200sccm(Standard Cubic Centimeters per Minute)、圧力1kPa、温度1000℃、合成時間1時間でCVD成長させたとき、冷却後に触媒金属層の厚みに反比例して、膜厚20nm〜8nmの黒鉛薄膜が得られる。
一方、炭素固溶限が数10−1%以下の小さな貴金属Cuでは、触媒金属膜厚を厚くしても固溶している炭素原子数は低く抑えられるため、積層数及び膜厚を制御しやすく、単層グラフェン膜〜数層のグラフェン膜が得られ、大面積の基板に一様なグラフェン膜を形成するためには好ましい。例えば、SiO/Si基板に形成した500〜1000nmのCu膜を用い、原料ガスCH又はエチレンCをArとHとの混合ガス(混合比10:1)、全圧力1kPa(C分圧0.59Pa)、温度860℃、合成時間4分でCVD成長させたとき、単層グラフェン膜が得られる。なお、CHの方がCに比べ、同分圧でより大きな結晶サイズのグラフェン膜を得ることができるため好ましい。
主膜3を構成する黒鉛結晶(特に炭素網面の大きさ)を大きくするには、国際公開番号WO2011/0250045号公報に記載されているように、主膜3が成長する場としての触媒金属の結晶サイズが大きいことが重要である。通常、特開2012−6824号公報に記載されているように、触媒金属をその金属の融点より数10〜数100℃低い温度で数10分〜数時間アニール処理を行い、触媒金属の結晶サイズを大きくした触媒金属膜を用いる。例えば、Cu融点1084℃に対し、1000℃で30分間アニール処理することで、Cuの結晶サイズを約100μmまで大きくし、100μmの結晶サイズのグラフェン膜をCVD法で得ることも可能である。また、特開2011−178644号公報記載されているように、サファイヤAl(0001)基板を用いて大面積のCu(111)単結晶膜を間接的に得て、このCu(111)単結晶膜上で大面積の主膜3を得ることもできる。
グラフェン膜又は黒鉛薄膜の作製方法として、更に好ましいCVD法は、プラズマCVD法、特に電磁波による励起プラズマ法(マイクロ波プラズマ法、高周波プラズマ法)である。この方法は、参考文献1の12.1.4大面積グラフェンの低温成長、参考文献4の第3編第1章第3節、参考文献5の第6章及び第11章、参考文献7の第3章2、CARBON、50、2012年、p2615−2619、及び、国際公開番号WO2011/115197号公報に記載されているように、表面波と呼ばれるモードで励起する表面波励起マイクロ波プラズマを利用し、低圧、低温、短時間で単層〜多層グラフェン膜をロールトゥーロール(role to role)で大面積に作製することができるため、工業的大量生産を行うのに好都合な方法である。具体的には、先ず、炭素クラスターCn形成が少ないCH等の原料ガスを用い、室温〜600℃の温度で2.45GHzのマイクロ波で原料ガスを励起してプラズマ(ラジカル)を生成したり、4〜13.56MHzのラジオ波で原料ガスを励起してプラズマ(ラジカル)を生成する。
続いて、Ni、Cu触媒金属基板(特にCuが好ましい)上にプラズマ(ラジカル)を吸着させる。吸着したラジカルは基板表面拡散を経る過程で衝突・会合することでグラフェン膜の核が発生する、又は、基板表面の吸着しやすい位置にラジカルがトラップされ、その後の更なるラジカルが付着することにより、グラフェン膜の核発生に至る。グラフェン膜の核発生後は、グラフェン膜や触媒金属基板表面へのCHラジカル等の吸着、吸着ラジカルの表面拡散、グラフェン端でのラジカルのトラップ、トラップされたラジカルからのH脱離が生じ、最終的に大面積のグラフェン膜が形成される。
例えば、表面波励起プラズマCVD装置(周波数2.45GHz、出力16kW)を用いて、原料ガスCH/Ar/H=30/20/50sccm、基材温度350〜400℃、圧力30Pa、基材搬送速度5mm/秒、33μmCu箔(幅294mm)ではロールトゥーロールで1〜3層のグラフェン膜も得ることができる。この方法を更に応用した方法として、国際公開番号WO2012/108526号公報に記載されているように、原料としてアクリル樹脂やベンゾトリアゾール等の高分子樹脂を有機溶剤に溶かした溶液をCu箔に塗布し、これを表面波励起マイクロ波プラズマ装置を用いてグラフェン化し、グラフェン膜又は黒鉛薄膜を得る方法を用いることもできる。
グラフェン膜又は黒鉛薄膜の第2の作製方法は、エピタキシャルグラフェン法である。この方法は、参考文献4の第3編第1章第4節、参考文献5の第7章、参考文献7の第3章5及び6、特開2007−335532号公報、及び、特開2009−62247号公報に記載されているように、炭素含有単結晶の特定の面方位表面、通常はSiC単結晶基板の特定の面方位の表面を1200〜1600℃で超高真空下加熱又は不活性ガス下で加熱することで、Siを脱離・除去し、残留した炭素が基板表面でエピタキシャル成長し、グラフェン膜を形成する方法である。SiC上のグラフェン膜は、2〜10層程度までが比較的容易に得られる。この方法の長所は、例えば、基板として、6H−SiC(0001)や4H−SiC(0001)の特定の面方位を用いることで、グラフェンの構造及び電子物性を制御できることである。すなわち、6H−SiC(0001)や4H−SiC(0001)には最表面原子がSiであるSi面と、CであるC面が存在するが、各面でグラフェンの成長メカニズムが異なっており、超高真空中の加熱でSi面では、1200〜1600℃の広い温度範囲で概ね2層の均一なグラフェン膜が形成され、C面では10層〜10層以上のグラフェン膜又は黒鉛薄膜が容易に形成される。
更に改良法として、国際公開番号WO2010/023934号公報に記載されているように、真空下での高温加熱の際のSiC表面からのSi原子の分解・脱離を制御するための保護膜として、人工的なSiO酸化膜を形成することで、高温への昇温過程での不均一なグラフェンの核発生やSiC表面でのステップバンチングを抑制して、欠陥の少ない均質なグラフェン膜を大面積で得ることができる。また、国際公開番号WO2009/113472号公報に記載されているように、入手が容易なSi(111)、Si(110)結晶基板上に、シランガス、有機シランガスのCVD法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法を用いて立方晶3C−SiC(111)結晶薄膜を形成した後、それを真空中1200〜1400℃で加熱することでSiC表面にグラフェン膜又は黒鉛薄膜を得る方法を用いることができる。
グラフェン膜又は黒鉛薄膜の第3の作製方法は、黒鉛単結晶の層剥離法である。この方法は、参考文献4の第3編第1章第2節、参考文献4の第5編第3章、参考文献5の第13章や、参考文献7の1、特表2011−500488公報、及び、特開2011−32156号公報に記載されているように、高配向熱分解グラファイト(HOPG:Highly Ordered Pyrolytic Graphite)を原料として、これを何らかの方法で可溶化(分散液化)した後に塗布し、乾燥することでグラフェン膜又は黒鉛薄膜を得る方法である。
具体的には、第1ステップとして、Hummers法、改良Hummers法等でHOPGを水溶性の酸化グラフェンの微結晶に変えて、水中で超音波照射処理又は遠心分離による沈降分散を繰り返して水溶液(分散液)を作ったり、極性溶媒中で超音波照射処理による直接黒鉛の層剥離を行い、可溶化(分散液化)して塗工液を作製する。第2ステップとして、この塗工液を基板に、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、グラビアコート法等で薄膜塗工を行った後、乾燥し、薄膜を得る。第3ステップとして、酸化グラフェンの薄膜の場合は、1000℃で加熱還元処理を行ったり、ヒドラジン蒸気を用いた化学的還元処理、水銀ランプ(高圧、低圧)、レーザー(YAG、KrF)等の248nm、254nm、365nm、532nm等の色々な波長の光を用いた光還元処理を行うことで、グラフェン膜又は黒鉛薄膜を得ることができる。
上記の製造法によって得られたグラフェン膜又は黒鉛薄膜は、基板からグラフェン膜又は黒鉛薄膜を剥がし、支持メッシュ膜5に移す転写工程が必要となる。転写方法としては、例えば、グラフェン膜又は黒鉛薄膜/Ni触媒金属層/SiO層/Si基板(A/B/Cは、AとBとCとがこの順で積層された状態であることを意味する)を使った場合は、第1の方法として、先ず、基板と密着していない面のグラフェン膜又は黒鉛薄膜の表面にポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリジメチルシロキサン(PDMD)等の樹脂を保護膜として密着させ、第2塩化鉄FeClにより触媒金属層Niを溶解除去する。その後、グラフェン膜又は黒鉛薄膜を支持メッシュ膜5表面に転写・接合し、最後に保護膜としてのPMMAやPDMSを有機溶剤を用いて溶解除去する。
第2の方法は、先ず、フッ酸(HF)により、SiO層をエッチング(溶解除去)して、グラフェン膜又は黒鉛薄膜層/Ni触媒金属層だけ分離し、その後HFでの長時間エッチングにより、Ni触媒金属層を溶解除去し、溶液中に浮遊するグラフェン膜又は黒鉛薄膜層を支持メッシュ膜5表面にすくい取り、転写・接合して完了する。第3の方法は、第1の方法と第2の方法の中間にある方法で、グラフェン膜又は黒鉛薄膜/Ni触媒金属層/SiO層/Si基板のグラフェン膜又は黒鉛薄膜の表面を第1の方法で用いた保護膜として樹脂や熱脱着テープ、あるいはその両者を用いて支持(保護)した後、機械的に曲げを加えることで樹脂・熱脱着テープ/グラフェン膜又は黒鉛薄膜/Ni触媒金属層がSiO層/Si基板から容易に剥離できる。その後、Ni触媒金属層を酸でエッチング(溶解除去)して樹脂・熱脱着テープ/グラフェン膜又は黒鉛薄膜を形成し、これを支持メッシュ膜5に転写・接合した後、樹脂の場合は有機溶媒にて溶解除去し、熱脱着テープの場合は加熱ローラー、加熱板を接触させて剥離する。
2−3:支持メッシュ膜
続いて、支持メッシュ膜5について説明する。支持メッシュ膜5は、メッシュの構造に関するパラメータを設定することにより、高い透過率が得ることができる。
λ=13.5nmにおけるグリッド線9の線材の種類に基づく光学定数(n、k)をn=0.8864〜1.0135、k=0.001826〜0.079382、周期P(=辺長Q)をP=50〜900μm、正方形断面のグリッド線9の線幅w及び線厚みwをそれぞれ、w、w=5〜30μm、メッシュ比D(B)をメッシュ比D(B)=0.6〜0.988(開口率O(B)=36.0〜97.6%)の範囲で変化させた正方形支持メッシュ膜のモデルを作成し、前記の格子分析ソフトウエアツールを使用して、各支持メッシュ膜のモデルの透過率T(M)を計算した。更にその計算結果に対して、回帰ソフトを使用して重回帰分析を行ない、各因子の、T(M)への影響を求めた。λ=13.5nmにおけるT(M)に関する重回帰式は、
(M)=[4.97×10−1・(n)−6.49×10−1・(k)−5.70×10−3・(w)−1.76×10−3・(w)+1.95・(D(B))−1.76]×100 …(12)
*2=0.83
となった。
標準偏回帰係数の絶対値の大小関係を利用して、求めた各因子の依存率(各因子の標準偏回帰係数の絶対値を、全因子の標準偏回帰係数の絶対値の和で割った百分率の値)は、nが8.0%、kが8.3%、線幅wが24.6%、線厚みwが11.3%、メッシュ比D(B)が47.9%となった。
これらの結果より、正方形支持メッシュ膜のT(M)は、その約50%がメッシュ比D(B)で、それ以外の因子として、約36%(=24.6%+11.3%)が線幅w及び線厚みwという線径wに関する因子で決まり、光学定数の影響はそれらに比べ小さいことが分かる。
一般にメッシュ比Dが大きいことは、式(7)〜式(7−4)よりメッシュの辺長Qに対してメッシュの線幅wが小さいことを、すなわち、開口率Oが大きいことを意味する。したがって、メッシュ比D、開口率Oが大きいほど、線幅wが小さいほど、支持メッシュ膜の透過率T(M)が大きくなり、好ましいことが分かる。
図9は、グリッド線の材質(光学定数n、k)、メッシュの開口部の形状、メッシュの開口率O、メッシュの線径wと及び支持メッシュ膜の透過率T(M)との関係を示す表である。図9では、メッシュ比を「0.986」に固定し、λ=13.5nm、λ=6.75nm、線径w=5〜50nm、線材の種類をSi、C、SiO、Niとしたときの、正三角形支持メッシュ膜、正方形支持メッシュ膜、正六角形支持メッシュ膜の透過率T(M)の計算結果をまとめている。なお、計算は、RSoft社製のRCWA法による回折光学素子設計・解析ソフトウェアDiffractMODを使用して、図18及ぶ図19の各形状の支持メッシュ膜のモデルへの入射角θを6°として計算した。
例外として、λ=13.5nm、w=5nmの各形状の支持メッシュ膜でのSiと、λ=6.75nm、w=5nmの正方形支持メッシュ膜でのCとを除けば、式(12)から推察されるように、線材の種類に基づく光学定数n、k、露光波長λ、線径wに関係なく、メッシュ比D(B)=0.986では、概ね、正三角形支持メッシュ膜ではT(M)=47〜53%が、正方形支持メッシュ膜ではT(M)=65〜70%が、正六角形支持メッシュ膜ではT(M)=68〜74%が得られ、正方形支持メッシュ膜と正六角形支持メッシュ膜が好ましいことが分かる。
このことは、図10及び図11に示す事項からも知ることができる。図10は、Ni製正方形支持メッシュ膜のメッシュ比D、開口率Oと支持メッシュ膜の周期P、辺長Q、線径w及び透過率T(M)との関係を示す表である。図11は、Ni製の正三角形支持メッシュ膜、正方形支持メッシュ膜、正六角形支持メッシュ膜の、各形状のメッシュ比Dと各形状の開口率Oとの関係を示したグラフ(図11(a))と、各形状の支持メッシュ膜の開口率O、線径wと当該支持メッシュ膜の透過率T(M)との関係を示したグラフ(図11(b)、図11(c))である。なお、図11(b)、図11(c)中、線径w=xμm(xは数値)の正三角形支持メッシュ膜に関する透過率T(M)に関しては△(xμm)と、正方形支持メッシュ膜に関する透過率T(M)に関しては□(xμm)と、正六角形支持メッシュ膜支持メッシュ膜に関する透過率T(M)に関しては○(xμm)と表記している。
図10、及び、図11(b)及び(c)に示すように、正三角形支持メッシュ膜では、正三角形支持メッシュ膜の開口率O(A)≧97.2%(正三角形支持メッシュ膜のメッシュ比D(A)≧0.992)の場合に、T(M)=53〜54%の値になる。正方形支持メッシュ膜では、正方形支持メッシュ膜の開口率O(B)≧97.2%(正方形支持メッシュ膜のメッシュ比D(B)≧0.986)の場合に、T(M)=66〜67%の値になる。正六角形支持メッシュ膜では、正六角形メッシュ膜の開口率O(C)≧97.2%(正六角形支持メッシュ膜のメッシュ比D(C)≧0.976)の場合に、T(M)=64〜70%の値になる。支持メッシュ膜の開口率Oが97.2%以上では、正三角形支持メッシュ膜を除けば、露光波長λ、線径w(線径w=5〜50μmの範囲で)に関係なく、高い透過率T(M)=64〜70%が得られる。
一方、図11(a)に示すように、正三角形支持メッシュ膜、正方形支持メッシュ膜、正六角形支持メッシュ膜の順で、小さいメッシュ比Dの支持メッシュ膜で大きな開口率Oが得られるため好ましいことが分かる。メッシュ比Dが小さいことは、式(7)より、辺長Qに対して線径wが小さいことを意味する。しかし、正方形支持メッシュ膜を例に考えると、線径wが5μmより小さくなると支持メッシュ膜5としての強度が不十分となるだけでなく、主膜3との接合面積も小さくなり、接合強度が十分に取れない。したがって、5μm以上が好ましく、更に好ましくは10〜20μmである。一方で、線径wが40μm、特に50μmより大きくなると、λ=13.5nmの場合、T(M)≧50%を得るための正方形支持メッシュ膜5の周期PがP≧2083μm、T(M)≧67%を得るための正方形支持メッシュ膜5の周期PがP≧5000μmが必要となる。この様に周期Pが大きくなり過ぎると、主膜3が破損した場合、支持メッシュ膜5をすり抜けて主膜3の破片がマスク上に落下する可能性が生じる。したがって、線径wは50μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以下であり、更に好ましくは30μm以下である。
下記式(13)は、図11(b)及び図11(c)のデータ値に関して、回帰ソフトを用いて、Ni製支持メッシュ膜の透過率T(M)の開口率O、線径w、露光波長λ及び形状因子Z、Zによる重回帰分析を行った結果である。ここで、形状因子Z、Zは、支持メッシュ膜のメッシュの開口部の形状が、正三角形の場合はZ=0、Z=0、正方形の場合はZ=0、Z=1、正六角形の場合はZ=1、Z=0であるとして、重回帰分析をするために用いたダミー変数である。
(M)=[3.37・(O)−1.71×10−3・(w)−2.18×10−3・(λ)+8.10×10−2・(Z)+5.08×10−2・(Z)−2.64]×100 …(13)
*2=0.92
各因子の依存率は、開口率Oが58%、線径wが12%、露光波長λが3%、形状因子ZとZの和が27%となった。
式(13)から、一般的に、支持メッシュ膜の線径wが小さくなるに伴い、同じ透過率T(M)の値をより小さい開口率Oで実現することができることが分かる。更に、使用する露光波長λが小さくなると、同じ透過率T(M)の値をより小さい開口率Oで実現することができることも分かる。
高い透過率の支持メッシュ膜5を得るには、開口率Oを大きく、線径wを細く、露光波長λを短くすることが好ましく、支持メッシュ膜の形状は、正三角形、正方形、正六角形の順で高い透過率T(M)が得られることが分かる。また、メッシュの開口部の形状としては、正方形、正六角形が正三角形に比べて好ましいこと、更には正六角形が好ましいことも分かる。その中でも、開口率Oを高くすることが重要であり、特に開口率O≧98%(正方形支持メッシュ比ではD(B)≧0.99に相当する)とすれば、線材、露光波長λ、線径w(線径5〜50μmの範囲で)に関係なく、最大透過率T(M)=65〜68%が得られる。
更に、式(12)及び式(13)を用いることで、任意の支持メッシュ膜5の構造パラメータ、開口率O、メッシュ比D、線径w(又はw1、w2)、露光波長λ、材質(光学定数n、k)における、λ=13.5nm及びλ=6.75nmでの支持メッシュ膜5の透過率T(M)の値を容易に推定することができる。
2−4:支持メッシュ膜の製造方法
続いて、支持メッシュ膜5の製造方法について説明する。支持メッシュ膜5の製造方法としては、ビデオカメラ撮像管等に使われるスクリーンメッシュの製造で使われるフォトエッチング法、フォトエレクトロフォーミング法、蒸着法等を用いることができる。
フォトエッチング法とは、例えば、特開平8−52951号公報に記載されているように、数μm〜数10um金属箔(例えば、Ni、Cu、Au、Ag(銀)、ステンレス等)の表裏両面にフォトレジスト樹脂を塗布し、その上にグリッド状(1次元又は2次元)のポジ型パターンを貼付、露光・現像し、金属箔上にレジスト樹脂を用いたパターンを形成する。その後、金属箔の金属を溶かす第1の試薬溶液に浸漬することで、レジスト樹脂で保護されていない部位の金属箔に開口部を作る。最後にレジスト樹脂を溶解する第2の試薬溶液により樹脂を溶解除去することでメッシュを得る方法である。この方法では、線径30μm以下のメッシュを欠陥なく均一に製造することは技術的に困難であるが、例えば、線径30μmの場合、正方形支持メッシュ膜の周期Pを3000μm以上と大きくすることで、メッシュ比D(B)≧0.990の正方形支持メッシュ膜5を高い生産性(安価)で製造することができる。
フォトエレクトロフォーミング法とは、例えば、特開平4−118831号公報に記載されているように、基板上の片面にフォトレジスト樹脂を塗布し、その上にグリッド状のネガ型パターンを貼付、露光・現像し、基板上にレジスト樹脂を用いたパターンを形成する。その後、電鋳により、金属(例えば、Ni、Cu、Au、Ag等)を電着し、その表面を平坦化加工した後、基板からパターンの付いた電着膜を剥離し、レジスト樹脂を溶かす試薬溶液に浸漬することで開口部を作り、メッシュを得る方法である。フォトエレクトロフォーミング法は、フォトエッチング法と同様にフォトレジスト樹脂を用いる点で類似しているが、前者はフォトレジスト樹脂で覆われていない部分に金属を電着させるのに対し、後者はエッチングにより化学的に溶解させる点が異なる。この方法はフォトエッチング法に比べ、生産性は劣るが、精度が高く、約5〜30μmの線径の細いメッシュを製造することができる。基板には導電性を有するCu、Ni、Fe等の各種金属が用いられるが、高精度を要求される場合は、表面研磨された平滑なガラス基板が用いられ、これに無電解メッキ、真空蒸着、スッパタリング等により導電性皮膜を形成して用いることができる。
蒸着加工法とは、予めグリッド状のパターン溝が形成された耐熱性の基板、例えば、ガラス基板、耐熱性樹脂基板等に、Ni、Si、Mo、Nb、Au、Ag、Cu等のほとんど全ての金属元素、AlN、SiC、Si、SiO等の無機化合物をスパッタ法、蒸着法等のドライ薄膜形成法により、パターン溝内を埋め、表面のパターン外の部位に付着した蒸着物を除去した後、基板から蒸着物を剥離することでメッシュを得る方法である。この方法では、メッシュのグリッド線9の素材として、金属だけでなく、無機物のものも得られる特徴がある。
これらの応用として、フォトレジスト樹脂によるパターンを使わず、特開平3−232990号公報に記載されているように、安価で再利用できるマスターパターンをナノインプリント技術を用いて作製し、その後、エレクトロフォーミング法によりメッシュを作製することもできる。
支持メッシュ膜5のグリッド線9の素材としては、既存の製造法で容易に得られ、且つ高メッシュ比では透過率に与える依存度は小さいものの、消光係数が小さいものが望ましい。より重要なことは、EUV光が長時間照射されることで、主膜3だけでなく、支持メッシュ膜5も加熱されるため、主膜3の熱膨張率(4.0〜6.0×10−6/K)にできるだけ近い素材、又は主膜3とフレームの素材の熱膨張率との中間的な値を有する素材であることが好ましい。図6に示すように、具体的な金属としては、Nb(7.3×10−6/K)、Mo(3.7〜5.3×10−6/K)、Ru(6.4×10−6/K)、Au(14.2×10−6/K)、Cu(16.8×10−6/K)、Co(13×10−6/K)、Ni(12.8×10−6/K)等又はこれらの元素の合金、例えば、Ni・Mo合金、Co・Mo合金等の合金であり、無機物としては、AlN(4.5×10−6/K)、SiC(4.4〜7.7×10−6/K)、Al(7.2×10−6/K)、Si(2.6〜3.2×10−6/K)等である。中でも、Nb、Mo、Co、Ni、Cu及びそれらの合金、AlN、SiCであり、更に好ましくはロール状でメッシュを供給することができるという点で、Nb、Mo、Co、Ni、Cu及びそれらの合金である。
得られた支持メッシュ膜5の片側には、主膜3と接合するための接着剤8が塗布される。接着剤8としては、EUV光が照射された場合にも接着力が維持することができると共に耐熱性があり、分解ガスの発生が少なく、更に、支持メッシュ膜5の素材とグラフェン膜又は黒鉛薄膜との熱膨張率の値に近いものが好ましい。具体的には、金属微粒子(Ag、Au等)や無機物微粒子(C、Al(アルミナ)、ZrO(ジルコニア)、SiO等)の混ざった熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤や紫外線硬化性樹脂系接着剤、例えば、A−3/C−3(藤倉化成株式会社製)(カーボンブラックをフィラーに使用したエポキシ樹脂系接着剤)、無機物の混ざったフェノール系接着剤、FC−403R・XC−223(藤倉化成株式会社製)(黒鉛をフィラーに使用したフェノール樹脂系接着剤)、更に好ましくは、ケイ酸塩系、リン酸塩系、あるいはシリカゾル系の無機物系反応型接着剤、例えば、アロンセラミックスE(東亜合成株式会社製)(主成分がZrO、SiOのケイ酸塩系無機接着剤、熱膨張率4×10−6/K)、レズボンド940(コトロニクス社製)(主成分がAl、ZrO、SiOの無機接着剤、熱膨張率4×10−6/K)等を用いることができる。
2−5:本実施形態のペリクル膜
上記の構成を有する主膜3と支持メッシュ膜5とを接合したペリクル膜1の透過率Tは、式(2)で与えられる。T(G)、T(M)の各透過率におけるTの値を図12及び図13に示す。
本実施形態では、ペリクル膜1は、T≧50%(=基準値T(50))を満足する必要があり、図13では、T≧基準値T(65)のものを実施例として「実4」と、T≧基準値T(60)のものを実施例として「実3」と、T≧基準値T(55)のものを実施例として「実2」と、T≧基準値T(50)のものを実施例として「実1」と、また、T<基準値T(50)のものを比較例として「比」と表記した。
図12及び図13に示すように、本実施形態のペリクル膜1として、定性的にはT(G)及びT(M)に関して、以下の条件が少なくとも必要となる。
(ケースA)
・T≧50%(=T(50))の場合、T(G)>72%、T(M)>50%
(ケースB)
・T≧55%(=T(55))の場合、T(G)>80%、T(M)>56%
(ケースC)
・T≧60%(=T(60))の場合、T(G)>86%、T(M)>60%
(ケースD)
・T≧65%(=T(65))の場合、T(G)>94%、T(M)>66%
(G)に必要なグラフェンの積層数N(膜厚t)の範囲は、図8及び式(8)〜式(11)により求まり、T(M)に必要な線径wと開口率Oとの範囲は、図10、図11(b)、図11(c)及び、式(13)により求まる。
ペリクル膜1の条件として、詳細には、例えば、λ=13.5nmの場合については、以下の通りである。
(ケースA)T≧50%(=T(50))の場合
(ケースA−1)
・主膜3 N≦60(t=20.10nm)、T(G)≧76%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし (T(M)≧66%の実現不可を意味する)
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧97.6%[D(B)≧0.988]、T(M)≧66%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.9%[D(C)≧0.982]、T(M)≧66%
(ケースA−2)
・主膜3 N≦50(t=16.75nm)、T(G)≧80%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.8%[D(B)≧0.984]、T(M)≧64%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.2%[D(C)≧0.976]、T(M)≧64%
(ケースA−3)
・主膜3 N≦44(t=14.74nm)、T(G)≧82%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.4%[D(B)≧0.982]、T(M)≧62%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.8%[D(C)≧0.972]、T(M)≧62%
(ケースA−4)
・主膜3 N≦39(t=13.07nm)、T(G)≧84%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.4%[D(B)≧0.982]、T(M)≧60%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.6%[D(C)≧0.970]、T(M)≧60%
(ケースA−5)
・主膜3 N≦28(t=9.38nm)、T(G)≧88%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、T(M)≧58%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.3%[D(C)≧0.968]、T(M)≧58%
(ケースA−6)
・主膜3 N≦23(t=7.71nm)、T(G)≧90%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、T(M)≧56%
w=50μmにおいて、O(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、T(M)≧56%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.9%[D(C)≧0.964]、T(M)≧56%
(ケースA−7)
・主膜3 N≦13(t=4.36nm)、T(G)≧94%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、T(M)≧54%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.7%[D(C)≧0.962]、T(M)≧54%
(ケースA−8)
・主膜3(グラフェン膜) N≦4(t=1.34nm)、T(G)≧98%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)≧97.2%、[D(A)≧0.992]、T(M)≧52%
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧95.3%[D(B)≧0.976]、T(M)≧52%
w=50μmにおいて、O(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、T(M)≧52%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.4%[D(C)≧0.960]、T(M)≧52%
好ましい条件は以下のとおりである。
(ケースB)T≧55%(=T(55))
(ケースB−1)
・主膜3 N≦39(t=13.07nm)、T(G)≧84%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧97.6%[D(B)≧0.988]、T(M)≧66%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.9%[D(C)≧0.982]、T(M)≧66%
(ケースB−2)
・主膜3 N≦33(t=11.06nm)、T(G)≧86%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.8%[D(B)≧0.984]、T(M)≧64%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.2%[D(C)≧0.976]、T(M)≧64%
(ケースB−3)
・主膜3 N≦23(t=7.71nm)、T(G)≧90%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.4%[D(B)≧0.982]、T(M)≧62%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.8%[D(C)≧0.972]、T(M)≧62%
(ケースB−4)
・主膜3 N≦18(t=6.03nm)、T(G)≧92%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.4%[D(B)≧0.982]、T(M)≧60%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.6%[D(C)≧0.970]、T(M)≧60%
(ケースB−5)
・主膜3(グラフェン膜) N≦4(t=1.34nm)、T(G)≧98%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、T(M)≧56.5%
w=50μmにおいて、O(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、T(M)≧56.5%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.1%[D(C)≧0.966]、T(M)≧52%
より好ましい条件は以下のとおりである。
(ケースC)T≧60%(=T(60))
(ケースC−1)
・主膜3 N≦18(t=6.03nm)、T(G)≧92%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧97.6%[D(B)≧0.988]、T(M)≧66%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.9%[D(C)≧0.982]、T(M)≧66%
(ケースC−2)
・主膜3 N≦13(t=4.36nm)、T(G)≧94%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.8%[D(B)≧0.984]、T(M)≧64%、
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.2%[D(C)≧0.976]、T(M)≧64%
(ケースC−3)
・主膜3(グラフェン膜) N≦4(t=1.34nm)、T(G)≧98%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.4%[D(B)≧0.982]、T(M)≧62%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.8%[D(C)≧0.972]、T(M)≧62%
特に好ましい条件は以下のとおりである。
(ケースD)T≧65%(=T(65))
(ケースD−1)
・主膜3(グラフェン膜) N≦4(t=1.34nm)、T(G)≧98%)
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧98.0%[D(B)≧0.990]、T(M)≧67%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧98.2%[D(C)≧0.984]、T(M)≧67%
上記の(ケースD−1)は、N≦4(t=1.34nm)の主膜3と、開口率Oが98.2%以上の支持メッシュ膜5から成るペリクル膜を用いれば、メッシュの線材の種類、線径w(w=5〜50μmの範囲で)に関係なく、高い透過率T≧65%が得られるという意味で最も好ましい構造である。更に、それ以外のケースにおいても、線材の種類の影響が多少あるものの、基準値T(50)を満足できることが分かる。もちろん、(ケースA)〜(ケースD)において、支持メッシュ膜5は線径wが細いほど、同じ透過率T(M)の値をより小さい開口率のメッシュで得られる。
同様にして、λ=6.75nmの場合も求めることができる。
(ケースA)T≧50%(=T(50))
(ケースA−9)
・主膜3 N≦284(t=95.14nm)、T(G)≧76%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧96.8%[D(B)≧0.984]、T(M)≧66%
w=50μmにおいて、O(B)≧97.2%[D(B)≧0.986]、T(M)≧66%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.2%[D(C)≧0.976]、T(M)≧66%
(ケースA−10)
・主膜3 N≦231(t=77.39nm)、T(G)≧80%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.4%[D(B)≧0.982]、T(M)≧64%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.6%[D(C)≧0.970]、T(M)≧64%
(ケースA−11)
・主膜3 N≦205(t=68.68nm)、T(G)≧82%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、T(M)≧62%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.6%[D(C)≧0.970]、T(M)≧62%
(ケースA−12)
・主膜3 N≦180(t=60.30nm)、T(G)≧84%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、T(M)≧60%
w=50μmにおいて、O(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、T(M)≧60%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.9%[D(C)≧0.964]、T(M)≧60%
(ケースA−13)
・主膜3 N≦132(t=44.22nm)、T(G)≧88%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、T(M)≧58%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.7%[D(C)≧0.962]、T(M)≧58%
(ケースA−14)
・主膜3 N≦109(t=36.52nm)、T(G)≧90%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧95.3%[D(B)≧0.976]、T(M)≧56%
w=50μmにおいて、O(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、T(M)≧56%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.4%[D(C)≧0.960]、T(M)≧56%
(ケースA−15)
・主膜3 N≦64(t=21.44nm)、T(G)≧94%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧95.3%[D(B)≧0.976]、T(M)≧54%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.4%[D(C)≧0.960]、T(M)≧54%
(ケースA−16)
・主膜3 N≦21(t=7.04nm)、T(G)≧98%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)≧97.2%[D(A)≧0.992]、T(M)≧52%
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧94.9%[D(B)≧0.974]、T(M)≧52%
w=50μmにおいて、O(B)≧95.3%[D(B)≧0.976]、T(M)≧52%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.2%[D(C)≧0.958]、T(M)≧52%
好ましい条件は以下のとおりである。
(ケースB)T≧55%(=T(55))
(ケースB−6)
・主膜3 N≦180(t=60.30nm)、T(G)≧84%)
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧96.8%[D(B)≧0.984]、T(M)≧66%
w=50μmにおいて、O(B)≧97.2%[D(B)≧0.986]、T(M)≧66%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.2%[D(C)≧0.976]、T(M)≧66%
(ケースB−7)
・主膜3 N≦156(t=52.26nm)、T(G)≧86%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.4%[D(B)≧0.982]、T(M)≧64%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.6%[D(C)≧0.970]、T(M)≧64%
(ケースB−8)
・主膜3 N≦109(t=36.52nm)、T(G)≧90%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、T(M)≧62%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.6%[D(C)≧0.970]、T(M)≧62%
(ケースB−9)
・主膜3 N≦86(t=28.81nm)、T(G)≧92%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、T(M)≧60%
w=50μmにおいて、O(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、T(M)≧60%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.9%[D(C)≧0.964]、T(M)≧60%
(ケースB−10)
・主膜3(グラフェン膜) N≦42(t=14.07nm)、T(G)≧98%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧95.3%[D(B)≧0.976]、T(M)≧56.5%
w=50μmにおいて、O(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、T(M)≧56.5%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧95.7%[D(C)≧0.962]、T(M)≧56.5%
より好ましい条件は以下のとおりである。
(ケースC)T≧60%(=T(60))
(ケースC−4)
・主膜3 N≦86(t=28.81nm)、T(G)≧92%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜40μmにおいて、O(B)≧96.8%[D(B)≧0.984]、T(M)≧66%
w=50μmにおいて、O(B)≧97.2%[D(B)≧0.986]、T(M)≧66%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.2%[D(C)≧0.976]、T(M)≧66%
(ケースC−5)
・主膜3 N≦64(t=21.44nm)、T(G)≧94%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.4%[D(B)≧0.982]、T(M)≧64%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.6%[D(C)≧0.970]、T(M)≧64%
(ケースC−6)
・主膜3(グラフェン膜) N≦21(t=7.04nm)、T(G)≧98%
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、T(M)≧62%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.6%[D(C)≧0.970]、T(M)≧62%
特に好ましい条件は以下のとおりである。
(ケースD)T≧65%(=T(55))
(ケースD−2)
・主膜3 N≦21(t=7.04nm)、T(G)≧98%
・支持メッシュ膜5
w=5〜50μmにおいて、O(A)解なし
w=5〜50μmにおいて、O(B)≧97.6%[D(B)≧0.988]、T(M)≧67%
w=5〜50μmにおいて、O(C)≧97.5%[D(C)≧0.978]、T(M)≧67%
以上の条件をまとめると、本実施形態のペリクル膜1は、グラフェン膜又は黒鉛薄膜からなる主膜3と、主膜3を支持する支持メッシュ膜5とが接合された複合膜であり、主膜3と支持メッシュ膜5との対応関係が以下の条件を満足することを特徴としている。上記対応関係の一つの観点では、ペリクル膜1は、λ=13.5nmのEUV光の場合、以下の構成を有する。主膜3は、(A−1)より、炭素網面の積層数N≦60、及び、膜厚t≦20.10nmの少なくとも一方を満たすものである。支持メッシュ膜5は、(A−8)より、w=5〜50μmにおいてO(A)≧97.2%、[D(A)≧0.992]、及び、w=5〜40μmにおいてO(B)≧95.3%[D(B)≧0.976]、及び、w=50μmにおいてO(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、及び、w=5〜50μmにおいてO(C)≧95.4%[D(C)≧0.960]の少なくとも一つを満たすものである。
別の観点では、ペリクル膜1は、λ=6.75nmのEUV光の場合、以下の構成を有する。すなわち、主膜3は、(A−9)より、炭素網面の積層数N≦284、及び、膜厚t≦95.14nmの少なくとも一方を満たすものである。支持メッシュ膜5は、(A−16)より、w=5〜50μmにおいてO(A)≧97.2%[D(A)≧0.992]、及び、w=5〜40μmにおいてO(B)≧94.9%[D(B)≧0.974]、及び、w=50μmにおいてO(B)≧95.3%[D(B)≧0.976]、及びw=5〜50μmにおいてO(C)≧95.2%[D(C)≧0.958]の少なくとも一つを満たすものである。
別の観点では、ペリクル膜1は、λ=13.5nmのEUV光の場合、以下の構成を有する。すなわち、主膜3は、(B−1)より、炭素網面の積層数N≦39、及び、膜厚t≦13.07nmの少なくとも一方を満たすものである。支持メッシュ膜5は、(B−5)より、w=5〜40μmにおいてO(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、及び、w=50μmにおいてO(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、及び、w=5〜50μmにおいてO(C)≧96.1%[D(C)≧0.966]の少なくとも一つを満たすものである。
別の観点では、ペリクル膜1は、λ=6.75nmのEUV光の場合、以下の構成を有する。すなわち、主膜3は、(B−6)より、炭素網面の積層数N≦180、及び、膜厚t≦60.30nmの少なくとも一方を満たすものである。支持メッシュ膜5は、(B−10)より、w=5〜40μmにおいてO(B)≧95.3%[D(B)≧0.976]、及び、w=50μmにおいてO(B)≧95.6%[D(B)≧0.978]、及び、w=5〜50μmにおいてO(C)≧95.7%[D(C)≧0.962]の少なくとも一つを満たすものである。
別の観点では、ペリクル膜1は、λ=13.5nmのEUV光の場合、以下の構成を有する。すなわち、主膜3は、(C−1)より、炭素網面の積層数N≦18、及び、膜厚t≦6.03nmの少なくとも一方を満たすものである。支持メッシュ膜5は、(C−3)より、w=5〜50μmにおいてO(B)≧96.4%[D(B)≧0.982]、及び、w=5〜50μmにおいてO(C)≧96.8%[D(C)≧0.972]の少なくとも一方を満たすものである。
別の観点では、ペリクル膜1は、λ=6.75nmのEUV光の場合、以下の構成を有する。すなわち、主膜3は、(C−4)より、炭素網面の積層数N≦86、及び、膜厚t≦28.81nmの少なくとも一方を満たすものである。支持メッシュ膜5は、(C−6)より、w=5〜50μmにおいて、O(B)≧96.0%[D(B)≧0.980]、及び、w=5〜50μmにおいて、O(C)≧96.6%[D(C)≧0.970]の少なくとも一方を満たすものである。
別の観点では、ペリクル膜1は、λ=13.5nmのEUV光の場合、以下の構成を有する。すなわち、主膜3は、(D−1)より、炭素網面の積層数N≦4、及び、膜厚t=1.34nmの少なくとも一方を満たすものである。支持メッシュ膜5は、(D−1)より、w=5〜50μmにおいてO(B)≧98.0%[D(B)≧0.990]、及び、w=5〜50μmにおいてO(C)≧98.2%[D(C)≧0.984]の少なくとも一方を満たすものである。
別の観点では、ペリクル膜1は、λ=6.75nmのEUV光の場合、以下の構成を有する。すなわち、主膜3は、(D−2)より、炭素網面の積層数N≦21、及び、膜厚t=7.04nmの少なくとも一方を満たすものである。支持メッシュ膜5は、(D−2)より、w=5〜50μmにおいてO(B)≧97.6%[D(B)≧0.988]、及び、w=5〜50μmにおいてO(C)≧97.5%[D(C)≧0.978]の少なくとも一方を満たすものである。
2−6:本実施形態のペリクル膜の製造方法
上記のペリクル膜1は、上述のように、基板上に主膜3を作製し、その後、基板から主膜3を剥離した後、支持メッシュ膜5へ転写し、主膜3と支持メッシュ膜5とを接合し複合化することで得られる。
特に、プラズマCVD法にて、Cu箔上に連続的にロール状でグラフェン膜を形成し、更に熱脱着テープを用いた第3の方法を用いて、予め、主膜3であるグラフェン膜及び支持メッシュ膜5の両者をロール状で供給し、両者をロールトゥーロールで連続的に転写・接合することは、高い生産性を挙げる上で好ましい製造方法である。なお、主膜3と支持メッシュ膜5との接合に用いる接着剤としては、金属微粒子や無機物微粒子の混ざった熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤や紫外線硬化性樹脂系接着剤、更に好ましくは、ケイ酸塩系、リン酸塩系、あるいはシリカゾル系の無機物系反応型接着剤を用いることができる。
ペリクル膜1の製造工程中の補足処理として、ペリクル膜1を得た後、該ペリクル膜1の表面の片面又は両面に、ペリクル膜の酸化を防止する目的で、Si、SiC、SiO、Si、Y、Mo、Ru、Rh等を本実施形態の基準値Tを満足する範囲内で、公知のスパッタ法、真空蒸着法等の方法で、数nm被覆することができる。特に、Siは、EUV光の消光係数が低く、更に、炭素と反応し、炭素膜表面に強度的に優れた数nmのSiC膜を形成することから好ましい。
3:ペリクル
3−1:ペリクルの構造
続いて、上記のペリクル膜1を備えるペリクル10について説明する。図14は、ペリクルを示す斜視図である。図15は、図14におけるXV−XVでの断面構成を示す図である。図14及び15に示すように、ペリクル10は、ペリクル膜1がフレーム12に貼付されている。フレーム12は、矩形形状を呈する枠体である。ペリクル膜1は、フレーム12の一面に膜接着剤14により接着されている。接着は、万が一主膜3破損した場合、その破片がマスク面に落下しないように支持メッシュ膜5面と行う。この膜接着剤14は、主膜3と支持メッシュ膜5とを接着する接着剤8と同様のものを用いることができる。
フレーム12は、通常のペリクルで用いられているものを採用することができる。フレーム12の側面には、1個以上の通気孔15が設けられている。通気孔15は、フレーム12を貫通する貫通孔である。本実施形態では、フレーム12には複数(ここでは4つ)の通気孔15が設けられている。
フレーム12の素材としては、ZnとMgを添加してアルミ合金の中で最も強度を高めたAl−Zn系アルミ合金フレーム(7000系アルミ合金フレーム)や、EUV光がフレームに照射した際の迷光を抑えるため、EUV領域での屈折率が、真空の屈折率1.0に近く、消光係数kも大きい元素MgとSiを添加し強度、耐食性を向上させたAl−Mg−Si系アルミ合金フレーム(6000系アルミ合金フレーム)や、あるいは、アルミ合金フレームの表面をこれらの元素Si、SiC、Mg、Znで蒸着したフレームを用いることもできる。好ましくは、熱膨張率を揃えるために、メッシュのグリッド線9の素材として用いたものを用いる。この場合、フレームのコストを抑えるため、フレームの芯を方形断面のパイプ状にすることが望ましい。
フレーム12の他面(ペリクル膜1が貼付される一面とは反対側の面)には、マスク粘着剤16が設けられている。マスク粘着剤16としては、例えば、特開2011−107488公報に記載されているように、ArF用ペリクルに使われている膜接着剤(メタ)アクリル酸アルキルエステルと多官能性エポキシ化合物との反応生成物を含む接着剤を用いることができる。
マスク粘着剤16の配置形態として、一形態としては、図16(a)に示すように、フレーム12に設けられた溝17にマスク粘着剤16を配置することができる。フレーム12の他面側には、このフレーム12の延在方向に沿って、凹状の溝17が設けられている。ペリクルでは、接着剤にEUV光が照射されると接着剤の成分から分解ガスが発生する可能性がある。そのため、フレーム12の幅方向の端から接着剤がはみ出さないように、フレーム12に溝17を設けている。また、図16(b)に示すように、マスク粘着剤16が配置される溝17の両側に、更に溝18、19を設けてもよい。なお、フレーム12に溝17を設けない場合には、マスク粘着剤16をフレーム12の幅よりも狭く塗布する。
ここで、通常、ペリクル10は、EUV用マスクから剥離して再度使用されることも多く、その際EUV用マスクへのマスク粘着剤の残留が問題となることがある。そこで、一形態として、図17(a)に示すように、フレーム12に電磁石20を設けることができる。
電磁石20は、フレーム12の溝17に配置されている。電磁石20は、図17(a)及び(b)に示すように、鉄Fe、Co、Ni等の強磁性体の線芯21に導電性コイル(金属ナノワイヤー、カーボンナノワイヤ等)22を巻きつけて構成されている。電磁石20は、溝17に粘着剤等を用いて接合又は埋め込まれている。EUV用マスク側には、強磁性体面を設ける。これにより、ペリクル10とEUV用マスクとが電磁的に接合する。なお、EUV用マスクに設ける強磁性体面は、ゼロ膨張ガラス(LTEガラス)にSiとMoとを交互に40層対以上蒸着した多層膜とすることができる。この強磁性体面は、フレーム12と接着するマスクの領域に予めパーマロイ薄膜やアモルファス希土類鉄系合金膜等の強磁性からなる枠やシールを貼付したり、この強磁性体薄膜を真空蒸着法、スパッタ蒸着、電着法で作製したりすることで設置できる。
3−2:ペリクルの製造方法
続いて、ペリクル10の製造方法について説明する。まず、予め、膜接着剤14を塗布したフレーム12とペリクル膜1とを接着した後、マスク粘着剤16を使う場合には、フレームのEUV用マスクとの接着面側にマスク粘着剤16を塗布した後、その保護フィルムを貼付することで、ペリクル膜1を得ることができる。なお、フレームのEUV用マスクとの接合が電磁式等の、粘着剤を使わない場合は、この操作は不要となる。予めフレームのEUV用マスクとの接着面側に電磁コイル等を接着したフレームを用いることができる。
続いて、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
積層数N=28(t=9.38nm)の黒鉛薄膜は、λ=13.5nmにおいて、T(G)=88%(T(G)=94%相当)、λ=6.75nmにおいて、T(G)=97%(T(G)=99%相当)であった。また、開口率O(B)=96.0%、メッシュ比D(B)=0.980、線径w=40μm、辺長Q=周期P=2000μmのNi製正方形支持メッシュ膜は、λ=13.5nmにおいて、T(M)=60%(T(M)=77%相当)、λ=6.75nmにおいて、T(M)=65%(T(M)=80%相当)であった。両者を接合した複合膜の、λ=13.5nmにおける透過率Tは、T=53%(T=73%相当)≧T(50)となり、また、λ=6.75nmにおける透過率Tは、T=63%(T=79%相当)≧T(60)となった。すなわち、実施例1では、基準値を満たすペリクル膜を得ることができた。
[比較例]
一方、積層数N=62(t=20.77nm)の黒鉛薄膜は、λ=13.5nmにおいて、T(G)=76%(T(G)=87%相当)、λ=6.75nmにおいて、T(G)=94%(T(G)=97%相当)であった。また、開口率O(B)=96.0%、メッシュ比D(B)=0.980、線径w=40μm、辺長Q=周期P=2000μmのNi製正方形支持メッシュ膜は、λ=13.5nmにおいて、T(M)=60%(T(M)=77%相当)、λ=6.75nmにおいて、T(M)=65%(T(M)=80%相当)であった。両者を接合した複合膜の、λ=13.5nmにおける透過率Tは、T=46%(T=67%相当)<T(50)となり、また、λ=6.75nmにおける透過率Tは、T=61%(T=78%相当)≧T(60)となった。すなわち、比較例では、λ=13.5nmにおいては、基準値を満たすペリクル膜は得られなかった。
[実施例2]
積層数N=8(t=2.68nm)のグラフェン膜は、λ=13.5nmにおいて、T(G)=96%(T(G)=98%相当)、λ=6.75nmにおいて、T(G)=99%(T(G)=100%相当)であった。また、開口率O(B)=95.9%、メッシュ比D(B)=0.986、線径w=30μm、辺長Q=周期P=2143μmのNi製正方形支持メッシュ膜は、λ=13.5nmにおいてT(M)=66%(T(M)=81%相当)、λ=6.75nmにおいてT(M)=67%(T(M)=82%相当)であった。両者を接合した複合膜の、λ=13.5nmにおける透過率Tは、T=64%(T=80%相当)≧T(60)となり、また、λ=6.75nmにおける透過率Tは、T=66%(T=81%相当)≧T(65)となった。すなわち、実施例2では、基準値を満たすペリクル膜を得ることができた。
[実施例3]
積層数N=3(t=1.00nm)のグラフェン膜は、λ=13.5nmにおいて、T(G)=99%(T(G)=99%相当)、λ=6.75nmにおいて、T(G)=100%(T(G)=100%相当)であった。また、開口率O(B)=98.0%、メッシュ比D(B)=0.990、線径w=40μm、辺長Q=周期P=4000μmのNi製正方形支持メッシュ膜は、λ=13.5nmにおいてT(M)=67%(T(M)=82%相当)、λ=6.75nmにおいてT(M)=67%(T(M)=82%相当)であった。両者を接合した複合膜の、λ=13.5nmにおける透過率Tは、T=66%(T=81%相当)≧T(65)となり、また、λ=6.75nmにおける透過率Tは、T=67%(T=82%相当)≧T(65)となった。すなわち、実施例3では、基準値を満たすペリクル膜を得ることができた。
[実施例4]
積層数N=3(t=1.00nm)のグラフェン膜は、λ=13.5nmにおいて、T(G)=99%(T(G)=99%相当)、λ=6.75nmにおいて、T(G)=100%(T(G)=100%相当)であった。また、開口率O(B)=99.2%、メッシュ比D(B)=0.996、w=30μm、辺長Q=周期P=7500μのSi製正方形支持メッシュ膜は、λ=13.5nmにおいてT(M)=69%(T(M)=83%相当)、λ=6.75nmにおいてT(M)=68%(T(M)=82%相当)であった。両者を接合した複合膜の、λ=13.5nmにおける透過率Tは、T=68%(T=83%相当)≧T(65)となり、また、λ=6.75nmにおける透過率Tは、T=67%(T=82%相当)≧T(65)となった。すなわち、実施例4では、基準値を満たすペリクル膜を得ることができた。
本発明は、リソグラフィマスクを汚染から保護するためのペリクル膜及びペリクルとして、EUVリソグラフィの分野で好適に利用できる。
1…ペリクル膜、3…主膜(グラフェン膜又は黒鉛薄膜)、5…支持メッシュ膜、10…ペリクル、12…フレーム、17…溝、20…電磁石。

Claims (12)

  1. グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜とが接合された複合膜であり、
    露光波長が13.5nmの極端紫外光の場合、
    前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が60以下、及び、膜厚が20.10nm以下の少なくとも一方を満たし、
    前記支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、
    前記支持メッシュ膜の開口率が95.4%以上であることを特徴とするペリクル膜。
  2. グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜とが接合された複合膜であり、
    露光波長が6.75nmの極端紫外光の場合、
    前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が284以下、及び、膜厚が95.14nm以下の少なくとも一方を満たし、
    前記支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、
    前記支持メッシュ膜の開口率が95.2%以上であることを特徴とするペリクル膜。
  3. グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜とが接合された複合膜であり、
    露光波長が13.5nmの極端紫外光の場合、
    前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が39以下、及び、膜厚が13.07nm以下の少なくとも一方を満たし、
    前記支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、
    前記支持メッシュ膜の開口率が96.0%以上であることを特徴とするペリクル膜。
  4. グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜とが接合された複合膜であり、
    露光波長が6.75nmの極端紫外光の場合、
    前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が180以下、及び、膜厚が60.30nm以下の少なくとも一方を満たし、
    前記支持メッシュの線径が5〜50μmであり、
    前記支持メッシュ膜の開口率が95.6%以上であることを特徴とするペリクル膜。
  5. グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜とが接合された複合膜であり、
    露光波長が13.5nmの極端紫外光の場合、
    前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が18以下、及び、膜厚が6.03nm以下の少なくとも一方を満たし、
    前記支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、
    前記支持メッシュ膜の開口率が96.4%以上であることを特徴とするペリクル膜。
  6. グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜とが接合された複合膜であり、
    露光波長が6.75nmの極端紫外光の場合、
    前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が86以下、及び、膜厚が28.81nm以下の少なくとも一方を満たし、
    前記支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、
    前記支持メッシュ膜の開口率が96.0%以上であることを特徴とするペリクル膜。
  7. グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜とが接合された複合膜であり、
    露光波長が13.5nmの極端紫外光の場合、
    前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が4以下、及び、膜厚が1.34nmの少なくとも一方を満たし、
    前記支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、
    前記支持メッシュ膜の開口率が98.0%以上であることを特徴とするペリクル膜。
  8. グラフェン膜又は黒鉛薄膜と、前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜を支持する支持メッシュ膜とが接合された複合膜であり、
    露光波長が6.75nmの極端紫外光の場合、
    前記グラフェン膜又は前記黒鉛薄膜は、炭素網面の積層数が21以下、及び、膜厚が7.04nmの少なくとも一方を満たし、
    前記支持メッシュ膜の線径が5〜50μmであり、
    前記支持メッシュ膜の開口率が97.5%以上であることを特徴とするペリクル膜。
  9. 露光波長が極端紫外光の場合、当該ペリクル膜を1回通過したときの透過率が71%以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のペリクル膜。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載のペリクル膜と、
    前記ペリクル膜が貼付されるフレームと、を備えることを特徴とするペリクル。
  11. 前記フレームには、前記ペリクル膜が貼付される面とは反対側の面に、当該フレームの延在方向に沿って溝が設けられていることを特徴とする請求項10記載のペリクル。
  12. 前記フレームには、前記ペリクル膜が貼付される面とは反対側の面に、電磁石が設けられていることを特徴とする請求項10記載のペリクル。
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