JP2014226990A - 車両用ホイール - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ホイール径やホイール幅が減少した場合でも副気室の容積を十分に確保することができる副気室部材を備える車両用ホイールを提供する。【解決手段】ホイールの第1の縦壁面16aと第2の縦壁面16bとの間に嵌まり込む本体部13と、本体部13から第1の縦壁面16aに向けて延出する第1の縁部14aと、本体部13から第2の縦壁面16bに向けて延出する第2の縁部14bと、を備える車両用ホイールであって、一方の縁部14bの幅方向の長さを他方の縁部14aの前記幅方向の長さよりも短くしたことを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明は、車両用ホイールに関する。
従来、タイヤ空気室内での気柱共鳴に起因するロードノイズを低減するホイールとしては、本願の出願人が既に開示した、タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとして機能する副気室部材をウェル部の外周面に固定したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このホイールは、ウェル部の外周面に立設される縦壁に、前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、ウェル部の一方の立上り部に周方向に延びるように形成され、第1の縦壁面と前記外周面の幅方向で対向する第2の縦壁面と、を備えている。また、第1の縦壁面と第2の縦壁面のそれぞれには周方向に延びる溝部が形成され、副気室部材は、第1の縦壁面と第2の縦壁面との間に嵌まり込んでいる。
また、副気室部材は、副気室と、この副気室をタイヤ空気室に連通させる連通孔とからなる樹脂製の本体部を備えている。また、副気室部材は、本体部から前記第1の縦壁面に向けて延出すると共に前記周方向に延びるように形成されて、前記第1の縦壁面の溝部に係止される第1の縁部を備えている。また、副気室部材は、本体部から前記第2の縦壁面に向けて延出すると共に前記周方向に延びるように形成されて、前記第2の縦壁面の溝部に係止される第2の縁部を備えている。そして、副気室部材は、第1の縁部を前記第1の縦壁面の溝部に係止させると共に、第2の縁部を前記第2の縦壁面の溝部に係止させることで、ウェル部の外周面に固定されている。このような副気室部材は、前記幅方向の断面が左右対称に形成されている。
特開2012−51397号公報(図2、図3、図9等)
ところで、ホイール径やホイール幅は、車両の大きさや形態によって異なる。したがって、ホイール径やホイール幅が小さい車両に従来のホイール(例えば、特許文献1参照)を取り付けることを想定すると、ホイール径やホイール幅の減少に合わせて副気室の容積が減少する。
しかしながら、副気室の容積が減少すると、副気室部材はタイヤ空気室の気柱共鳴音に対する消音効果が低下してタイヤ空気室の気柱共鳴音に起因するロードノイズを十分に低減できなくなる問題を生じる。
そこで、本発明の課題は、ホイール径やホイール幅が減少した場合でも副気室の容積を十分に確保することができる副気室部材を備える車両用ホイールを提供することにある。
前記課題を解決した本発明は、タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材をウェル部の外周面に有する車両用ホイールであって、前記ウェル部の前記外周面に立設された縦壁に前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、前記ウェル部の一方の立上り部に前記周方向に延びるように形成され、第1の縦壁面と前記外周面の幅方向で対向する第2の縦壁面と、を備え、第1の縦壁面と第2の縦壁面のそれぞれに前記周方向に延びる溝部が形成され、前記副気室部材は、第1の縦壁面と第2の縦壁面との間に嵌まり込み、副気室と、前記副気室を前記タイヤ空気室に連通する連通孔と、からなる樹脂製の本体部と、前記本体部から第1の縦壁面に向けて延出すると共に前記周方向に延びるように形成され、第1の縦壁面の前記溝部に係止される第1の縁部と、前記本体部から第2の縦壁面に向けて延出すると共に前記周方向に延びるように形成され、第2の縦壁面の前記溝部に係止される第2の縁部と、を備え、第1の縁部と第2の縁部のうちの一方の縁部を、当該一方の縁部側の前記縦壁面の前記溝部に部分的に係止させた状態で、第1の縁部と第2の縁部のうちの他方の縁部全体を前記外周面側に押圧することにより前記一方の縁部全体を、当該一方の縁部側の前記縦壁面の前記溝部に係止させると共に、前記他方の縁部全体を、当該他方の縁部側の前記縦壁面の前記溝部に係止させて、前記副気室部材を前記外周面に固定するものにおいて、前記一方の縁部の前記幅方向の長さを前記他方の縁部の前記幅方向の長さよりも短くしたことを特徴とする。
このような車両用ホイールによれば、第1の縁部と第2の縁部のうちの一方の縁部の前記幅方向の長さを他方の縁部の前記幅方向の長さよりも短くしたので、左右対称で同じ長さの第1及び第2の縁部を有する従来のもの(例えば、特許文献1参照)に比べ、長さの短い一方の縁部側に副気室を拡張することができる。これにより、本発明の車両用ホイールは、ホイール径やホイール幅が減少した場合でも、副気室の容積の必要量を確保することができるようになり、副気室の容積が減少することによってタイヤの気柱共鳴音に対する消音効果が低下して、ロードノイズを十分に低減できなくなるという問題が解消される。
また、前記したように、副気室部材のウェル部への固定時には他方の縁部全体が前記外周面側へ押圧されるが、この他方の縁部の前記幅方向の長さは、前記一方の縁部の前記幅方向の長さよりも長いため、押圧時に他方の縁部が撓みやすく、副気室部材の固定時における作業性も良好となる。
この車両用ホイールにおいては、ホイール回転中心を挟んで一対の副気室部材を互いに対向するように配置した構成とすることもできる。
このような車両用ホイールによれば、一対の副気室部材のうちの一方により生ずるホイールアンバランス(静バランス)を他方により生じるホイールアンバランス(静バランス)によって相殺するので、ホイールバランス修正時に副気室部材に対向させるためのカウンタウエイトが不要になる。
本発明によれば、ホイール径やホイール幅が減少した場合でも副気室の容積を十分に確保することができる副気室部材を備える車両用ホイールを提供することができる。
本発明の実施形態に係る車両用ホイールの斜視図である。 副気室部材の全体斜視図である。 (a)は図2の凸側から見た副気室部材の上面図であり、(b)は図2の凹側から見た副気室部材の下面図である。 図3のIV−IV線で切り欠いた副気室部材を示す斜視図である。 図3のV−V断面図である。 図1のVI−VI断面図であり、図3の副気室部材のVI−VI断面を含む図である。 (a)は副気室部材の突出部付近、及びウェル部の縦壁に形成された切欠き部付近の部分拡大斜視図であり、(b)は切欠き部に嵌め込まれた突出部を示す部分拡大斜視図である。 (a)は本発明の実施形態に係る車両用ホイールにおいて副気室部材がウェル部上に配置された様子を示す模式図であり、(b)は他の実施形態に係る車両用ホイールにおいて副気室部材がウェル部上に配置された様子を示す模式図である。 (a)及び(b)は、リムのウェル部に対する副気室部材の取付方法を説明する工程説明図である。
本発明の車両用ホイールは、タイヤ空気室内での気柱共鳴に起因するロードノイズを消音する副気室部材(ヘルムホルツレゾネータ)をウェル部の外周面に有するものである。
この車両用ホイールは、ウェル部に係止させる副気室部材の一対の縁部のうち、一方の縁部の長さを他方の縁部の長さよりも短くしたことを主な特徴とする。以下では、車両用ホイールの全体構成について説明した後に、副気室部材について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ホイール100の斜視図である。
車両用ホイール100は、図1に示すように、リム11と、このリム11をハブ(図示省略)に連結するためのディスク12とを備えている。
リム11は、図1に示すホイール幅方向Yの両端部に形成されるタイヤのビードシート部(図示省略)同士の間で、ホイール径方向の内側(回転中心側)に向かって凹んだウェル部11cを有している。
ウェル部11cは、図示しないタイヤをリム11に組み付けるリム組み時に、タイヤのビード部(図示省略)を落とし込むために設けられている。ちなみに、本実施形態でのウェル部11cは、ホイール幅方向Yに亘って略同径となる円筒形状に形成されている。
図1中、符号11dは、ウェル部11cの外周面である。符号18は、後記する連通孔20(図2参照)が形成される管体であり、符号15は、リム11の周方向に延びるようにウェル部11cの外周面11dに設けられる環状の縦壁である。ちなみに、副気室部材10は、後記するように、縦壁15に係止される。符号15aは、副気室部材10が縦壁15に係止される際に、副気室部材10の突出部26が嵌め込まれる縦壁15の切欠き部である。なお、図1中、符号Xは、ホイール周方向である。
次に、副気室部材10について説明する。
図2は、副気室部材10の全体斜視図である。
副気室部材10は、図2に示すように、一方向に長い部材であって、内側に後記する副気室SC(図4参照)を有する中空の本体部13と、縁部14a,14bと、を備えている。
なお、縁部14aは、特許請求の範囲にいう「第1の縁部」に相当し、縁部14bは、特許請求の範囲にいう「第2の縁部」に相当する。
副気室部材10は、長手方向に湾曲しており、ウェル部11c(図1参照)の外周面11d(図1参照)に取り付けられた際に、ホイール周方向Xに沿うようになっている。符号18は、本体部13の一部を構成する管体であり、その内側には副気室SC(図4参照)と連通する連通孔20が形成されている。符号26は、縁部14aに設けられる後記の突出部であり、符号Yはホイール幅方向である。
次に参照する図3(a)は図2の凸側から見た副気室部材10の上面図であり、図3(b)は図2の凹側から見た副気室部材10の下面図である。
図3(a)に示すように、副気室部材10は、平面視で長い矩形を呈している。本体部13の平面形状は、管体18の形成領域(後に詳しく説明する結合部35の形成領域を含む)を合わせると、副気室部材10の平面形状よりも一回り小さい略矩形を呈している。
内側に後記する副気室SC(図4参照)が形成される本体部13、つまり管体18及び結合部35を除く本体部13は、図3(a)に示す上面視(平面視)で略ハット形状(略凸字形状)を呈している。
そして、副気室SC(図4参照)が形成される本体部13部分は、前記略ハット形状の山高部分と、略ハット形状のつば部分とで構成されている。言い換えれば、最大幅でホイール周方向Xに延びる全幅部分13a(山高部分に対応)と、ホイール幅方向Yに管体18と並列に設けられ、全幅部分13aからホイール周方向Xに膨出する膨出部分13b(つば部分に対応)と、で主に構成されている。
図3(a)に示すように、本体部13の上面側(副気室部材10の凸側)には、その長手方向の中央で幅方向(ホイール幅方向Y)に本体部13を横切るように溝D1が延在している。この溝D1は、後記するように、本体部13の上板25a(図4参照)が底板25b(図4参照)側に窪んで形成されたものである。
また、図3(b)に示すように、本体部13の下面側(副気室部材10の凹側)には、その長手方向の中央で幅方向(ホイール幅方向Y)に本体部13を横切るように溝D2が延在している。この溝D2は、後記するように、本体部13の底板25b(図4参照)が上板25a(図4参照)側に窪んで形成されたものである。
ちなみに、これら溝D1及び溝D2は、上板25aと底板25bとを部分的に結合させて後記の仕切り壁W(図4参照)を構成しており、この仕切り壁Wが本体部13の中空部を二分することで、本体部13内には後記する一対の副気室SC(図4参照)が形成される。
図3(a)に示すように、一対の管体18のそれぞれは、副気室部材10の長手方向(ホイール周方向X)の両端部であって、副気室部材10の短手方向(ホイール幅方向Y)の一方の側縁に偏倚して配置されている。具体的には、本実施形態での管体18は、2つの縁部14a,14bのうち一方の縁部14b側寄りに配置されている。
管体18は、副気室部材10の長手方向(ホイール周方向X)に沿って延在している。そして、一対の管体18に形成される連通孔20(図3(b)参照)のそれぞれは、一対の副気室SC(図4参照)を個別に外部と連通させている。つまり、副気室部材10は、溝D1及び溝D2を境に2つのヘルムホルツレゾネータ19a,19b同士が一体に形成された構成となっている。
縁部14a,14bのそれぞれは、副気室部材10の短手方向(ホイール幅方向Y)に向けて本体部13から延出している。これら縁部14a,14bは、副気室部材10をウェル部11c(図1参照)に係止するものである。この縁部14a,14bについては後に詳しく説明する。
図3(a)中、符号26は、後に詳しく説明する突出部である。符号33aは、上側結合部であり、図3(b)中、符号30は、ビードであり、符号33bは、下側結合部である。これら上側結合部33a、ビード30、及び下側結合部33bについては、次の図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、図3のIV−IV線で切り欠いた副気室部材10を示す斜視図である。図5は、図3のV−V断面図である。
図4及び図5に示すように、副気室部材10の本体部13は、底板25bと、この底板25bとの間に副気室SCを形成する上板25aとを備えている。なお、本実施形態での上板25a及び底板25bを構成する樹脂材料のそれぞれは、同じ厚さとなっているが、これらの厚さは相互に異なっていてもよい。
上板25aは、ウェル部11cの外周面11d側に沿うように配置された底板25bの上方で膨らみをもつように湾曲することで、副気室SCを形成している。
ちなみに、ホイール周方向Xに延在する管体18の連通孔20は、図4に示すように、ホイール周方向Xの一端側で副気室SCと連通し、他端側で外部に開口している。
各副気室SC,SCの容積は、50〜250cc程度が望ましい。副気室SCの容積をこの範囲内に設定することで、ヘルムホルツレゾネータ19a,19bのそれぞれは、消音効果を充分に発揮しつつ、その重量の増大を抑制して車両用ホイール100の軽量化を図ることができる。また、ホイール周方向Xの副気室部材10の長さは、リム11(図1参照)の周長(ウェル部11cの外周面11dの周長)の2分の1の長さを最大として、車両用ホイール100の重量の調整やウェル部11cに対する組付け容易性を考慮して適宜に設定することができる。
連通孔20はウェル部11c(図1参照)上で、図示しないタイヤとの間に形成されることとなるタイヤ空気室MC(図6参照)と、副気室SCとを連通させることとなる。
連通孔20の断面形状は、特に制限はなく、楕円形、円形、多角形、D字形状等のいずれであってもよい。連通孔20の直径は、断面が円形の場合には、5mm以上が望ましい。また、円形以外の断面形状の連通孔20は、その断面積で同じ断面積の円形に換算して直径5mm以上のものが望ましい。
連通孔20の長さは、次の(式1)で示されるヘルムホルツレゾネータの共鳴振動周波数を求める式を満たすように設定される。
=C/2π×√(S/V(L+α×√S))・・・(式1)
(Hz):共鳴振動周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m):副気室SCの容積
L(m):連通孔20の長さ
S(m):連通孔20の開口部断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴振動周波数fは、タイヤ空気室MCの共鳴振動周波数に合わせられる。
図4に示すように、上板25aには、本体部13を構成する部分に、上側結合部33aが形成されている。この上側結合部33aは、上板25aが底板25b側に向かって窪むように形成されたものであり、平面視で円形を呈している。この上側結合部33aは、図2に示すように、副気室部材10の長手方向(ホイール周方向X)に沿って本体部13の幅方向に2列に並ぶように形成されている。具体的には、図3(a)に示すように、全幅部分13aでは、2列合計20個の上側結合部33aが形成され、両膨出部分13bでは、それぞれ1個、合計2個の上側結合部33aが形成されている。
図4に示すように、底板25bには、上側結合部33aと対応する位置に、下側結合部33bが形成されている。
これらの下側結合部33bは、底板25bが上板25a側に向かって窪むように形成されたものであり、平面視で円形を呈している。これらの下側結合部33bは、その先端部が、上板25aの上側結合部33aの先端部と一体になって、上板25aと底板25bとを部分的に結合している。
ちなみに、副気室SC内で相互に結合された上側結合部33aと下側結合部33bは、副気室部材10の機械的強度を向上させると共に、副気室SCの容積の変動を抑制して後記する消音機能を、より効果的に発揮させる構成となっている。
なお、本発明においては、このような上側結合部33a及び下側結合部33bを有しない構造とすることもできる。
図4及び図5に示すように、副気室部材10は、本体部13の中空部が仕切り壁Wで2つの副気室SCに仕切られている。
そして、前記したように、副気室部材10は、仕切り壁Wを境に2つのヘルムホルツレゾネータ19a,19b同士が一体に形成された構成となっている。
ちなみに、仕切り壁Wは、前記したように、上板25a側に形成された溝D1と底板25b側に形成された溝D2とが接合し合って形成されたものであり、本実施形態での仕切り壁Wは、本体部13の中空部を二分することで一対の副気室SCを形成している。
なお、仕切り壁Wは、本体部13の中空部を仕切って2つ副気室SCを形成することができればよく、例えば、溝D2を形成することなく溝D1のみで上板25aと底板25bとを接合して形成したものでもよい。また、仕切り壁Wは、溝D1を形成することなく溝D2のみで上板25aと底板25bとを接合して形成したものでもよい。
次に、本体部13の膨出部分13bと、管体18との間に形成される結合部35について説明する。
結合部35は、図4及び図5に示すように、膨出部分13bと管体18との間で上板25aと底板25bとが部分的に一体となるように接合されて形成されたものである。
具体的には、結合部35は、図5に示すように、本体部13の全幅部分13aのホイール周方向Xの端部で上板25aと底板25bとが接合されて1つになって基端35aを形成している。また、結合部35は、この基端35aからホイール周方向Xに向けて延出する途中でホイール径方向Zの外側に突出する屈曲部を形成する屈曲板体で構成されている。ちなみに、本実施形態での結合部35の基端35aと先端35bとは、底板25bと同じ高さで(ホイール周方向Xの同じ湾曲面上に)形成されている。
前記のビード30(図3(b)参照)は、図5に示すように、底板25bが上板25a側に部分的に窪んで形成されたものである。本実施形態でのビード30は、図3(b)に示すように、下側結合部33bの形成位置で副気室部材10の幅方向(ホイール幅方向Y)に延在している。つまり、ビード30は、下側結合部33bと接合することによって、底板25b(図5参照)の面剛性を高めている。
次に、ウェル部11c(図1参照)に対する副気室部材10の取付態様について説明する。図6は、図1のVI−VI断面図であり、図3の副気室部材10のVI−VI断面を含む図である。
図6に示すように、縁部14a及び縁部14bは、前記したように、上板25a及び底板25bで形成される本体部13からホイール幅方向Yに延出するように形成されている。
そして、縁部14aは、本体部13から第1の縦壁面16aに向けて延出してその先端が第1の縦壁面16aの溝部17aに嵌り込んでいる。また、縁部14bは、本体部13から第2の縦壁面16bに向けて延出してその先端が第2の縦壁面16bの溝部17bに嵌り込んでいる。
ちなみに、第1の縦壁面16aは、縦壁15のホイール幅方向Yの内側(図6の紙面左側)の側面で規定される。また、第2の縦壁面16bは、第1の縦壁面16aと対向するウェル部11cの側面部(立上り部)11eに規定される。また、溝部17a,17bは、ウェル部11cの外周面11dの周方向に沿って形成されて環状の周溝を形成している。本実施形態での縦壁15及び側面部11eは、リム11(図1参照)を鋳造する際にウェル部11cと一体に成形され、溝部17a,17bは、縦壁15及び側面部11eのそれぞれに機械加工を施して形成される。
そして本実施形態においては、縁部14a及び縁部14bのうち、一方の縁部14bの長さL2が他方の縁部14aの長さL1よりも短くなっている。ここで縁部14aの長さL1は、本体部13の、第1の縦壁面16a側の外端から溝部17aの底までの距離に等しく、本実施形態では本体部13の外端から第1の縦壁面16aまでの距離に等しい。また、縁部14bの長さL2は、本体部13の、第2の縦壁面16b側の外端から溝部17bの底までの距離に等しく、本実施形態では本体部13の外端から第2の縦壁面16bまでの距離に等しい。
これら第1の縦壁面16a及び第2の縦壁面16bに向かって延出する縁部14a及び縁部14bは、湾曲する底板25bと一体になってウェル部11cの外周面11d側に凸となる湾曲面を形成している。そして、これらの縁部14a,14bは、その厚さや材料を適宜に選択することでバネ弾性を有している。
図6中、符号SCは、副気室であり、符号MCは、図示しないタイヤとウェル部11cとの間に形成されるタイヤ空気室である。符号26は、縦壁15の切欠き部15aに嵌め込まれる突出部である。
次に参照する図7(a)は副気室部材10の突出部26付近、及びウェル部11cの縦壁15に形成された切欠き部15a付近の部分拡大斜視図であり、図7(b)は切欠き部15aに嵌め込まれた突出部26を示す部分拡大斜視図である。
図7(a)に示すように、突出部26は、副気室部材10の縁部14aの先端において、ホイール径方向Zの外側(矢印Zの上方)に突出するように形成される切片(ホイール周方向Xに長い直方体)で構成されている。この突出部26のホイール周方向Xの幅は、縦壁15に形成される切欠き部15aに収まる程度の幅で形成されている。
また、突出部26の突出高さは、図7(b)に示すように、縁部14aの先端が縦壁15の溝部17aに嵌め込まれた際に、切欠き部15aの内側上部15bに突出部26が当接可能な高さに設定される。
これにより、突出部26は、副気室部材10が縁部14aを介して縦壁15に係止された際に、縦壁15の切欠き部15aに嵌り込むことで、副気室部材10のホイール周方向Xへの回り止めとして機能する。
以上のような本実施形態に係る副気室部材10は、樹脂成形品を想定している。なお、樹脂製の場合は、その軽量化や量産性の向上、製造コストの削減、副気室SCの気密性の確保等を考慮すると、軽量で高剛性のブロー成形可能な樹脂が望ましい。中でも、繰り返しの曲げ疲労にも強いポリプロピレンが特に望ましい。
次に、本実施形態の車両用ホイール100における副気室部材10の位置について説明する。
図8(a)は本発明の実施形態に係る車両用ホイール100において副気室部材10がウェル部11c上に配置された様子を示す模式図であり、(b)は他の実施形態に係る車両用ホイール100において副気室部材10がウェル部11c上に配置された様子を示す模式図である。
図8(a)に示すように、本実施形態に係る車両用ホイール100は、前記したように、2つのヘルムホルツレゾネータ19a,19b同士が一体に形成された構成となっており、ヘルムホルツレゾネータ19aの連通孔20aと、ヘルムホルツレゾネータ19bの連通孔20bとは、ホイール回転中心Ax周りに90°をなす角度で互いに周方向に離間して設けられている。
符号Bは、カウンタウエイトであり、ウェル部11cに副気室部材10を取り付けたことによって生ずるホイールアンバランス(静バランス)を相殺するものである。
このような車両用ホイール100によれば、連通孔20a,20b同士がホイール回転中心Ax周りに90°をなす角度で互いに周方向に離間して設けられることで、いわゆる消音ムラの発生を防止することができる。
また、図8(b)に示すように、他の実施形態に係る車両用ホイール100は、第1の副気室部材10aと第2の副気室部材10bが、ホイール回転中心Axを挟んで対向するようにウェル部11cに取り付けられている。ちなみに、第1の副気室部材10a及び第2の副気室部材10bは、前記の副気室部材10と同様の構造を有するものである。
そして、第1の副気室部材10aの2つのヘルムホルツレゾネータ19a,19bの各連通孔20a,20b、及び第2の副気室部材10bの2つのヘルムホルツレゾネータ19c,19dの各連通孔20c,20dは、ホイール回転中心Ax周りに90°をなす角度で互いに周方向に離間して設けられている。
このような他の実施形態に係る車両用ホイール100によれば、消音ムラの発生を防止することができると共に、第1の副気室部材10aと第2の副気室部材10bのうちの一方により生ずるホイールアンバランス(静バランス)を他方により生じるホイールアンバランス(静バランス)によって相殺するので、ホイールバランス修正時に副気室部材10に対向させるためのカウンタウエイトBが不要になる。
次に、ウェル部11cに対する副気室部材10の取付方法について説明する。図9(a)及び(b)は、ウェル部11cに対する副気室部材10の取付方法を説明する工程説明図である。
なお、本実施形態でウェル部11cに対する副気室部材10の取付けには、図9(a)及び(b)に示すように、溝部17a寄りの位置で縁部14aをウェル部11cの外周面11dに向けて押圧するプッシャ(押圧装置)60を使用することを想定している。
このプッシャ60としては、例えば、エアシリンダのエア圧で縁部14a(図9(a)及び(b)参照)を押圧するものが挙げられる。
なお、図9(a)及び(b)中、プッシャ60は、作図の便宜上、仮想線(二点鎖線)で示している。
本実施形態で使用するプッシャ60としては、例えば、副気室部材10の長手方向(図2のホイール周方向X)の湾曲率に倣った円弧形状の輪郭を有するエッジ部分を備える板状部材が挙げられるが、本発明に適用できるプッシャ60はこれに限定するものではなく適宜に設計変更することができる。
この取付方法では、図9(a)に示すように、先ず、副気室部材10を傾斜させて、長さの短い縁部14bを部分的に溝部17bに嵌め込む。
そして、図9(a)中、仮想線で示すプッシャ60が長さの長い縁部14aに当てられる。符号11dは、ウェル部11cの外周面である。
次に、図9(b)に示すように、プッシャ60が縁部14aをウェル部11cの外周面11dに向けて押圧すると、副気室部材10は、ウェル部11cの外周面11dに対する傾斜角が小さくなるに従って、縁部14bが溝部17bに徐々に嵌り込んでいく。
この際、バネ弾性を有する長さの長い縁部14aは、プッシャ60の押圧力の大きさに応じて撓むこととなる。
更に、プッシャ60が縁部14aをウェル部11cの外周面11dに向けて押圧すると、図6に示したように、縁部14aが第1の縦壁面16aに形成された溝部17aに嵌り込む。この際、突出部26は、縦壁15の切欠き部15a(図7(b)参照)に嵌り込む。そして、縁部14aと縁部14bとが溝部17aと溝部17bとにそれぞれ完全に嵌り込むことで副気室部材10がウェル部11cに取り付けられる。
次に、本実施形態の車両用ホイール100の奏する作用効果について説明する。
この車両用ホイール100によれば、縁部14a(第1の縁部)と縁部14b(第2の縁部)のうちの一方の縁部14b(第2の縁部)のホイール幅方向Yの長さを他方の縁部14a(第1の縁部)のホイール幅方向Yの長さよりも短くしたので、左右対称で同じ長さの第1及び第2の縁部を有する従来のもの(例えば、特許文献1参照)に比べ、長さの短い一方の縁部14b(第2の縁部)側に副気室SCを拡張することができる。これにより、車両用ホイール100は、ホイール径やホイール幅が減少した場合でも、副気室SCの容積の必要量を確保することができるようになる。そして、この車両用ホイール100によれば、副気室SCの容積が減少することによってタイヤの気柱共鳴音に対する消音効果が低下して、ロードノイズを十分に低減できなくなるという問題を解消することができる。
また、車両用ホイール100によれば、副気室部材10をウェル部11cの外周面11dに固定するときに、プッシャ60により前記外周面11d側に向けて押圧される他方の縁部14aのホイール幅方向Yの長さは、一方の縁部14bのホイール幅方向Yの長さよりも長い。このため、車両用ホイール100によれば、他方の縁部14a全体を外周面11d側へ押圧したときに他方の縁部14aは撓みやすく、副気室部材10を外周面11dに固定するときの作業性も良好に維持することができる。
また、この車両用ホイール100によれば、副気室SCの容積を大きく確保することができるので、前記の消音ムラの発生を防止するように連通孔20a,20b同士を90°で離間させる際の設計自由度を向上させることができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、縁部14aの長さL1よりも短い長さL2の縁部14b側を第2の縦壁面16bに部分的に係止させた状態で、縁部14a全体をプッシャ60で押圧することを想定しているが、本発明は縁部14aの長さL1を縁部14bの長さL2よりも短くし、縁部14aを第1の縦壁面16aに部分的に係止させた状態で、縁部14b全体をプッシャ60で押圧する構成とすることもできる。
なお、前記実施形態では副気室部材10は2つのヘルムホルツレゾネータ19a,19b同士が一体に形成された構成になっているが、本発明の車両用ホイールが有する副気室部材は1つのヘルムホルツレゾネータのみが形成されるものであってもよい。
10 副気室部材
10a 第1の副気室部材
10b 第2の副気室部材
11c ウェル部
11d 外周面
13 本体部
13a 全幅部分
13b 膨出部分
14a 縁部(第1の縁部)
14b 縁部(第2の縁部)
15 縦壁
15a 切欠き部
16a 第1の縦壁面
16b 第2の縦壁面
17a 溝部
17b 溝部
18 管体
19a ヘルムホルツレゾネータ
19b ヘルムホルツレゾネータ
19c ヘルムホルツレゾネータ
19d ヘルムホルツレゾネータ
20 連通孔
20a 連通孔
20b 連通孔
20c 連通孔
20d 連通孔
25a 上板
25b 底板
26 突出部
35 結合部
60 プッシャ
100 車両用ホイール
MC タイヤ空気室
SC 副気室
X ホイール周方向
Y ホイール幅方向
W 仕切り壁
Z ホイール径方向

Claims (2)

  1. タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材をウェル部の外周面に有する車両用ホイールであって、
    前記ウェル部の前記外周面に立設された縦壁に前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、
    前記ウェル部の一方の立上り部に前記周方向に延びるように形成され、第1の縦壁面と前記外周面の幅方向で対向する第2の縦壁面と、
    を備え、
    第1の縦壁面と第2の縦壁面のそれぞれに前記周方向に延びる溝部が形成され、
    前記副気室部材は、
    第1の縦壁面と第2の縦壁面との間に嵌まり込み、
    副気室と、前記副気室を前記タイヤ空気室に連通する連通孔と、からなる樹脂製の本体部と、
    前記本体部から第1の縦壁面に向けて延出すると共に前記周方向に延びるように形成され、第1の縦壁面の前記溝部に係止される第1の縁部と、
    前記本体部から第2の縦壁面に向けて延出すると共に前記周方向に延びるように形成され、第2の縦壁面の前記溝部に係止される第2の縁部と、
    を備え、
    第1の縁部と第2の縁部のうちの一方の縁部を、当該一方の縁部側の前記縦壁面の前記溝部に部分的に係止させた状態で、第1の縁部と第2の縁部のうちの他方の縁部全体を前記外周面側に押圧することにより前記一方の縁部全体を、当該一方の縁部側の前記縦壁面の前記溝部に係止させると共に、前記他方の縁部全体を、当該他方の縁部側の前記縦壁面の前記溝部に係止させて、前記副気室部材を前記外周面に固定するものにおいて、
    前記一方の縁部の前記幅方向の長さを前記他方の縁部の前記幅方向の長さよりも短くしたことを特徴とする車両用ホイール。
  2. 請求項1に記載の車両用ホイールにおいて、
    ホイール回転中心を挟んで一対の前記副気室部材を互いに対向するように配置したことを特徴とする車両用ホイール。
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