JP2014225424A - 固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
Description
(i)ガス拡散層、カソード触媒層、固体高分子電解質膜、アノード触媒層およびガス拡散層をこの順に備えた膜電極接合体の両側に、ガス透過性の金属多孔質体からなる集電体層(セパレータ)を備えた固体高分子形燃料電池(特許文献1)。
(ii)ガス拡散層、カソード触媒層、固体高分子電解質膜、アノード触媒層およびガス拡散層をこの順に備えた膜電極接合体の両側に、該膜電極接合体と接する部分を金属粉末の焼結多孔体で形成したセパレータを備えた固体高分子形燃料電池(非特許文献1)。
前記第1のセパレータの平均細孔径は、20〜500μmであることが好ましい。
前記カソード中間層の厚さは、20〜60μmであることが好ましい。
前記アノード中間層の細孔径は、0.1〜2.0μmであることが好ましい。
前記第2のセパレータの平均細孔径は、20〜500μmであることが好ましい。
前記アノード中間層の厚さは、20〜60μmであることが好ましい。
また、本明細書においては、式(M1)で表される化合物を化合物(M1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本発明におけるモノマーとは、重合反応性の炭素−炭素二重結合を有する化合物を意味する。
本明細書における前駆体基とは、加水分解処理、酸型化処理等の公知の処理によりイオン交換基に変換できる基を意味する。前駆体基としては、−SO2F基等が挙げられる。
<第1実施形態>
図1は、本発明の固体高分子形燃料電池の一例を示す断面図である。
本実施形態例の固体高分子形燃料電池1(以下、「燃料電池1」と記す。)は、図1に示すように、第1のセパレータ12と、カソード中間層14と、膜電極接合体10と、アノード中間層16と、第2のセパレータ18と、を備えている。膜電極接合体10は、カソード触媒層20、アノード触媒層22、およびカソード触媒層20とアノード触媒層22との間に配置される固体高分子電解質膜24を備えている。
第1のセパレータ12は、膜電極接合体10のカソード触媒層20側に配置されている。カソード中間層14は、膜電極接合体10のカソード触媒層20と第1のセパレータ12の間に、カソード触媒層20と第1のセパレータ12に直接接するように配置されている。第2のセパレータ18は、膜電極接合体10のアノード触媒層22側に配置されている。アノード中間層16は、膜電極接合体10のアノード触媒層22と第2のセパレータ18の間に、アノード触媒層22と第2のセパレータ18に直接接するように配置されている。
第1のセパレータ12は、導電性の多孔性セパレータである。
第1のセパレータ12に用いる多孔性セパレータとしては、固体高分子形燃料電池に用いられる公知の多孔性セパレータが使用でき、例えば、発泡金属板、金属繊維の焼結体、金属粉末の焼結体等が挙げられる。
なお、第1のセパレータ12である多孔性セパレータの平均細孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡で撮影した細孔の画像において、画像寸法計測・粒子計測ソフトを用いて無作為に選んだ100個の細孔径の平均値である。
カソード中間層14は、平均繊維径が30〜300nmのカーボンファイバーとイオン交換樹脂とを含む導電性の層である。
カソード中間層14に含まれるカーボンファイバーの平均繊維径が30nm以上であれば、良好なガス拡散性、排水性を有する中間層となり、カーボンファイバーの平均繊維径が300nm以下であれば、分散媒にカーボンファイバーが良好に分散される。また、カソード中間層14がイオン交換樹脂を含むことで、カソード触媒層20および固体高分子電解質膜24が乾燥することが抑制され、また第1のセパレータ12とカソード触媒層14の間での接触抵抗が小さくなるため、高いセル電圧が得られる。
なお、カーボンファイバーの平均繊維径は、電子顕微鏡によりカーボンファイバー20本を測定したときの平均値とする。
カーボンファイバーの形態としては、チョップドファイバー、ミルドファイバー等が挙げられる。
カソード中間層14に含まれるカーボンファイバーは、1種でもよく、2種以上でもよい。
ポリマー(H)は、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」と記す。)に基づく単位と、単位(U1)とを有するコポリマーである。
ポリマー(H)は、TFEおよび下記化合物(M1)の混合物を重合して前駆体ポリマーを得た後、前駆体ポリマー中の−SO2F基をスルホン酸基に変換することにより得られる。−SO2F基のスルホン酸基への変換は、加水分解および酸型化処理により行われる。
ただし、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1である。
CF2=CFO(CF2)n1SO2F ・・・(M1−1)、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)n2SO2F ・・・(M1−2)、
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m3O(CF2)n3SO2F ・・・(M1−3)。
ただし、n1、n2、n3は1〜8の整数であり、m3は2〜3の整数である。
ポリマー(Q)は、単位(U2)と単位(U3)とを有するコポリマーである。
単結合は、CY1またはCY2の炭素原子と、SO2のイオウ原子とが直接結合していることを意味する。
有機基は、炭素原子を1以上含む基を意味する。
Q1、Q2のペルフルオロアルキレン基がエーテル性の酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。炭素数が6以下であれば、原料の含フッ素モノマーの沸点が低くなり、蒸留精製が容易となる。
Q1、Q2の少なくとも一方は、エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基を有する含フッ素モノマーは、フッ素ガスによるフッ素化反応を経ずに合成できるため、収率が良好で、製造が容易である。
ペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基が好ましい。
単位(U2)が2つ以上のRf1を有する場合、Rf1は、それぞれ同じ基であってもよく、それぞれ異なる基であってもよい。
−(SO2X1(SO2Rf1)a)−H+基としては、スルホン酸基(−SO3 −H+基)、スルホンイミド基(−SO2N(SO2Rf1)−H+基)、またはスルホンメチド基(−SO2C(SO2Rf1)2)−H+基)が挙げられる。
Y1としては、フッ素原子、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖のペルフルオロアルキル基であることが好ましい。
Q3のペルフルオロアルキレン基がエーテル性の酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。
ペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基が好ましい。
−(SO2X2(SO2Rf2)b)−H+基としては、スルホン酸基(−SO3 −H+基)、スルホンイミド基(−SO2N(SO2Rf2)−H+基)、またはスルホンメチド基(−SO2C(SO2Rf2)2)−H+基)が挙げられる。
Y2としては、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が好ましい。
ポリマー(Q)は、さらに、後述する他のモノマーに基づく繰り返し単位(以下、「他の単位」と記す。)を有していてもよい。他の単位の割合は、ポリマー(Q)の、イオン交換容量が後述の好ましい範囲となるように、適宜調整すればよい。
TFEに基づく繰り返し単位の割合は、機械的強度および化学的な耐久性の点から、ポリマー(Q)を構成する全繰り返し単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましい。
TFEに基づく繰り返し単位の割合は、電気抵抗の点から、ポリマー(Q)を構成する全繰り返し単位(100モル%)のうち、92モル%以下が好ましく、87モル%以下がより好ましい。
ポリマー(Q)は、化学的な耐久性の点から、ペルフルオロポリマーであることが好ましい。
カソード中間層14に含まれるイオン交換樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
カソード中間層14に含まれるカーボン粒子としては、カーボンブラック等が挙げられる。
カソード中間層14に含まれるカーボン粒子は、1種でもよく、2種以上でもよい。
なお、カソード中間層の細孔径は、市販のガス拡散層上に厚さ30μmとなるように形成したカソード中間層について水銀圧入法で測定した細孔分布における、カソード中間層に由来するピークトップの細孔径の値を意味する。
カソード中間層14の細孔径は、例えば、カーボンファイバーの含有量が少ないほど小さくなる。また、含有させるカーボンファイバーの繊維長が短いほどカソード中間層14の細孔径は小さくなる。
カソード中間層14が2層以上からなる場合、それぞれの層の細孔径が前記範囲を満たすようにすることが好ましい。
カソード中間層の厚さは、カソード中間層の断面をSEMによって観察し、3箇所の厚さを測定してこれらを平均した値である。
膜電極接合体10は、カソード触媒層20、固体高分子電解質膜24およびアノード触媒層22がこの順に接合された接合体である。
カソード触媒層20は、触媒およびイオン交換樹脂を含む層である。
カソード触媒層20は、1層のみからなるものでもよく、成分、組成等が異なる複数の層が積層されたものでもよい。
カーボン担体の比表面積は、200m2/g以上が好ましい。カーボン担体の比表面積は、BET比表面積装置により、カーボン表面への窒素吸着により測定する。
白金または白金合金の担持量は、担持触媒(100質量%)のうち、10〜70質量%が好ましい。
カソード触媒層20に含まれる触媒は、1種でもよく、2種以上でもよい。
カソード触媒層20に含まれるイオン交換樹脂は、カソード中間層14に含まれるイオン交換樹脂と同じであってもよく、異なってもよい。
カソード触媒層20に含まれるイオン交換樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
カソード触媒層の厚さは、カソード触媒層の断面をSEMによって観察し、3箇所の厚さを測定してこれらを平均した値である。
アノード触媒層22は、触媒およびイオン交換樹脂を含む層である。
アノード触媒層22に含まれる触媒としては、カソード触媒層20で挙げたものと同じものが挙げられ、好ましい態様も同じである。
アノード触媒層22に含まれる触媒は、カソード触媒層20に含まれる触媒と同じであってもよく、異なってもよい。また、アノード触媒層22に含まれる触媒は、1種でもよく、2種以上でもよい。
アノード触媒層22に含まれるイオン交換樹脂は、カソード触媒層20に含まれるイオン交換樹脂と同じであってもよく、異なってもよい。また、アノード触媒層22に含まれるイオン交換樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
アノード触媒層22の厚さは、カソード触媒層20の場合と同様の理由から、20μm以下が好ましく、1〜15μmがより好ましい。また、アノード触媒層22の厚さは、均一であることが好ましい。
アノード触媒層の厚さは、アノード触媒層の断面をSEMによって観察し、3箇所の厚さを測定してこれらを平均した値である。
固体高分子電解質膜24は、イオン交換樹脂、および必要に応じて補強体を含むものである。固体高分子電解質膜24は、複数のイオン交換樹脂の膜を接合した多層構造のものであってもよい。
イオン交換樹脂としては、耐久性の点から、含フッ素イオン交換樹脂が好ましく、イオン性基を有するペルフルオロカーボンポリマー(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)がより好ましく、前述のポリマー(H)またはポリマー(Q)が特に好ましい。
固体高分子電解質膜24のイオン交換樹脂のイオン交換容量は、0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、0.8〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂が特に好ましい。
固体高分子電解質膜24に含まれるイオン交換樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
補強体の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と記す。)、TFE−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、TFE−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、TFE−エチレン共重合体(以下、「ETFE」と記す。)、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。補強体の材料としては、化学的な耐久性の点から、PTFE、TFE−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、TFE−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ETFE、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系材料が好ましい。
補強体としては、機械的強度、化学的な耐久性の点から、PTFEからなる多孔質体が好ましい。
固体高分子電解質膜24は、乾燥を防ぐための保水剤として、シリカ、ヘテロポリ酸(リン酸ジルコニウム、リンモリブデン酸、リンタングステン酸等。)を含んでいてもよい。
固体高分子電解質膜24の厚さは、固体高分子電解質膜24の断面をSEMによって観察し、3箇所の厚さを測定してこれらを平均した値である。
第2のセパレータ18は、導電性の多孔性セパレータである。第2のセパレータ18と第1のセパレータ12は、同じでもよく、異なってもよい。
第2のセパレータ18に用いる多孔性セパレータとしては、例えば、第1のセパレータで挙げたものと同じものが挙げられ、好ましい態様も同じである。
アノード中間層16は、平均繊維径が30〜300nmのカーボンファイバーとイオン交換樹脂とを含む導電性の層である。
アノード中間層16に含まれるカーボンファイバーの平均繊維径が30nm以上であれば、良好なガス拡散性、排水性を有する中間層となり、カーボンファイバーの平均繊維径が300nm以下であれば、分散媒にカーボンファイバーを良好に分散させやすい。また、アノード中間層16がイオン交換樹脂を含むことで、第2のセパレータ18とアノード触媒層22の間での接触抵抗が小さくなるため、より一層高いセル電圧が得ることができる。
アノード中間層16に含まれるカーボンファイバーは、カソード中間層14に含まれるカーボンファイバーと同じでもよく、異なってもよい。また、アノード中間層16に含まれるカーボンファイバーは、1種でもよく、2種以上でもよい。
アノード中間層16に含まれるイオン交換樹脂は、カソード中間層14に含まれるイオン交換樹脂と同じでもよく、異なってもよい。また、アノード中間層16に含まれるイオン交換樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
アノード中間層16の好ましい態様は、カソード中間層の好ましい態様と同じである。
なお、アノード中間層の細孔径は、カソード中間層の場合と同様に水銀圧入法で測定した細孔分布における、アノード中間層に由来するピークトップの細孔径の値を意味する。
アノード中間層の厚さは、アノード中間層の断面をSEMによって観察し、3箇所の厚さを測定してこれらを平均した値である。
燃料電池1は、第1のセパレータ12およびカソード中間層14を通じてカソード触媒層20に酸素を含むガスを供給し、第2のセパレータ18およびアノード中間層16を通じてアノード触媒層22に水素を含むガスを供給することにより、発電が行える。また、燃料電池1は、アノード触媒層22にメタノールを供給して発電を行うこともできる。
また、燃料電池1では、アノード触媒層22側においても、アノード触媒層22にガスが均一に供給されやすく、アノード触媒層22が乾燥し難くなり、アノード触媒層22と第2のセパレータ18との間の接触抵抗が小さくなるため、高いセル電圧が得られやすい。
非多孔性セパレータとしては、公知のセパレータが使用でき、例えば、金属製セパレータ、カーボン製セパレータ、黒鉛と樹脂を混合した材料からなるセパレータ等、各種導電性材料からなるセパレータが挙げられる。
本発明の固体高分子形燃料電池の製造方法は、方法(X)と方法(Y)に分類できる。
方法(X):第1のセパレータ上にカソード中間層を形成した中間層付きセパレータと、膜電極接合体とを、カソード中間層とカソード触媒層が接するように配置する方法。
方法(Y):膜電極接合体のカソード触媒層側にカソード中間層を形成した中間層付き膜電極接合体のカソード中間層側に、第1のセパレータを配置する方法。
以下、燃料電池1の場合を例にして方法(X)と方法(Y)を具体的に説明する。
燃料電池1を製造する方法(X1)は、下記の工程(X11)〜(X14)を有する。
(X11)第1のセパレータ12上にカソード中間層14を形成してカソード中間層付きセパレータを得る。
(X12)第2のセパレータ18上にアノード中間層16を形成してアノード中間層付きセパレータを得る。
(X13)固体高分子電解質膜24の両側に、カソード触媒層20とアノード触媒層22をそれぞれ設けて膜電極接合体10を形成する。
(X14)膜電極接合体10のカソード触媒層20側に、カソード中間層付きセパレータをカソード中間層14がカソード触媒層20と接するように配置し、アノード触媒層22側に、アノード中間層付きセパレータをアノード中間層16がアノード触媒層22と接するように配置する。
塗工方法は、公知の方法を用いればよい。
乾燥温度は、40〜130℃が好ましい。
分散媒としては、アルコール類と水とを含む分散媒が好ましい。また、フッ素系溶媒(ただし、下記のフッ素系アルコール類を除く。)をさらに添加してもよい。
分散媒(100質量%)中の水の割合は、30〜60質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。水の割合が前記範囲内であれば、塗工性、分散安定性が良好となる。
カソード中間層形成用ペーストの固形分濃度は、ペーストの総質量におけるカーボンファイバーおよびイオン交換樹脂の質量の和の割合で表す。
分散媒の一部にイオン交換樹脂を分散させて、イオン交換樹脂の分散液を調製する。
カーボンファイバー、残りの分散媒、および前記イオン交換樹脂の分散液を混合した混合液を撹拌し、分散媒にカーボンファイバーを分散させてカソード中間層形成用ペーストを得る。
撹拌の際にカーボンファイバーが適当な長さに揃えられ、分散性が向上する点から、混合液の撹拌には、超音波分散機、自転・公転ミキサー、ホモジナイザー、ビーズミル等を用いることが好ましい。
アノード中間層形成用ペーストに用いる分散媒としては、例えば、カソード中間層形成用ペーストで挙げたものと同じものが挙げられ、好ましい態様も同じである。
アノード中間層形成用ペーストの固形分濃度の好ましい態様は、カソード中間層形成用ペーストの固形分濃度の好ましい態様と同じである。
工程(X14)は、カソード中間層付きセパレータおよびアノード中間層付きセパレータを用いる以外は、公知の方法を採用できる。
燃料電池1を製造する方法(Y1)は、下記の工程(Y11)〜(Y12)を有する。
(Y11)膜電極接合体10のカソード触媒層20側にカソード中間層14を形成し、アノード触媒層22側にアノード中間層16を形成した中間層付き膜電極接合体を得る。
(Y12)前記中間層付き膜電極接合体のカソード中間層14側に第1のセパレータ12を配置し、アノード触媒層22側に第2のセパレータ18を配置する。
基材上に、カソード中間層形成用ペーストを塗工し、乾燥させてカソード中間層14を形成した後、該カソード中間層14上に、カソード触媒層形成用ペーストを塗工し、乾燥してカソード触媒層20を形成して中間層付きカソード触媒層転写用デカールを得る。また、基材上に、アノード中間層形成用ペーストを塗工し、乾燥させてアノード中間層16を形成した後、該アノード中間層16上に、アノード触媒層形成用ペーストを塗工し、乾燥してアノード触媒層22を形成して中間層付きアノード触媒層転写用デカールを得る。次いで、固体高分子電解質膜の一方の側に、中間層付きカソード触媒層転写用デカールのカソード中間層およびカソード触媒層を転写し、固体高分子電解質膜の他方の側に、中間層付きアノード触媒層転写用デカールのアノード中間層およびアノード触媒層を転写する。
カソード触媒層形成用ペーストおよびアノード触媒層形成用ペースとは、公知のものを採用できる。例えば、カソード中間層形成用ペーストの説明で挙げた分散媒に、触媒およびイオン交換樹脂を分散させたもの等が挙げられる。
プレス機内のプレス板の温度は、100〜150℃が好ましい。
プレス圧力は、0.5〜4.0MPaが好ましい。
なお、燃料電池1は、カソード中間層14とアノード中間層16の一方を方法(X)によって設け、他方を方法(Y)によって設けてもよい。
本発明の固体高分子形燃料電池は、前記した燃料電池1には限定されない。
具体的には、本発明の固体高分子形燃料電池は、第1のセパレータを多孔性セパレータとし、カソード触媒層と第1のセパレータとの間に、カソード触媒層と第1のセパレータに直接接するように前記した特定のカソード中間層を配置する以外は、公知の態様を採用できる。
本実施形態例の燃料電池2は、図2に示すように、第1のセパレータ12と、カソード中間層14と、膜電極接合体10と、ガス拡散層26と、第2のセパレータ28と、を備えている。
第2のセパレータ28は、膜電極接合体10のアノード触媒層22側に配置されている。ガス拡散層26は、膜電極接合体10のアノード触媒層22と第2のセパレータ28の間に、アノード触媒層22と第2のセパレータ28に直接接するように配置されている。
ガス拡散層26は、導電性のガス拡散性基材からなる層である。
ガス拡散性基材としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
従来のガス拡散性基材は通常10μm以上の細孔を持ち、マイクロポーラス層を有するガス拡散層は前記細孔にさらに0.1μm以下の細孔も持つ。
ガス拡散層26におけるアノード触媒層22に接する表面は、膜電極接合体10の導電性の点から、撥水性の含フッ素ポリマーおよび導電性カーボンを含む分散液よって撥水処理されていることがより好ましい。
導電性カーボンとしては、カーボンブラック等が挙げられる。
ガス拡散層の厚さは、デジマチックインジケータ(ミツトヨ社製、543−250、フラット測定端子:φ5mm)を用いて4箇所の厚さを測定し、これらを平均して算出する。
第2のセパレータ28は、多孔性セパレータでもよく、非多孔性セパレータでもよい。
第2のセパレータ28が多孔性セパレータの場合、第2のセパレータ28と第1のセパレータ12は、同じでもよく、異なってもよい。
第2のセパレータ28に用いる多孔性セパレータとしては、例えば、第1のセパレータで挙げたものと同じものが挙げられ、好ましい態様も同じである。
燃料電池2においては、燃料電池1と同様に、カソード触媒層20にガスを均一に供給しやすく、平均繊維径が30〜300nmのカーボンファイバーとイオン交換樹脂とを含むカソード中間層14を配置することでカソード触媒層20が乾燥することが抑制され、また第1のセパレータ12とカソード触媒層20の間での接触抵抗が小さくなるため、高いセル電圧が得られる。
燃料電池2の製造方法としては、例えば、方法(X2)または方法(Y2)が挙げられる。
燃料電池2を製造する方法(X2)は、下記の工程(X21)〜(X23)を有する。
(X21)第1のセパレータ12上にカソード中間層14を形成してカソード中間層付きセパレータを得る。
(X22)固体高分子電解質膜24の両側に、カソード触媒層20とアノード触媒層22をそれぞれ設けて膜電極接合体10を形成する。
(X23)膜電極接合体10のカソード触媒層20側に、カソード中間層付きセパレータをカソード中間層14がカソード触媒層20と接するように配置し、アノード触媒層22側に、ガス拡散層26と第2のセパレータ28を配置する。
工程(X23)は、カソード中間層付きセパレータを用いる以外は、公知の方法を採用できる。
(Y21)膜電極接合体10のカソード触媒層20側にカソード中間層14を形成した中間層付き膜電極接合体を得る。
(Y22)前記中間層付き膜電極接合体のカソード中間層14側に第1のセパレータ12を配置し、アノード触媒層22側にガス拡散層26と第2のセパレータ28を配置する。
工程(Y22)は、工程(Y21)で得た中間層付き膜電極接合体を用いる以外は、公知の方法を採用できる。
[第1のセパレータの平均細孔径の測定]
第1のセパレータとして用いた発泡金属板をSEMで撮影した細孔の画像について、画像寸法計測・粒子計測ソフト(株式会社イノテック製 QuickGrain Standard)を用いて、無作為に選んだ100個の細孔径の平均値を求めて平均細孔径とした。
市販のガス拡散層(NOK社製X0086 T10X6)上に、厚さ30μmのカソード中間層を形成し、オートポアIV9500((株)島津製作所製)を用いて水銀圧入法により細孔分布を測定し、カソード中間層に由来するピークトップの細孔径の値をカソード中間層の細孔径とした。
(分散液(A))
TFEに基づく単位と単位(U1−21)とを有する酸型のポリマー(H1)(イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)をエタノール/水=6/4(質量比)の分散液に分散させ、固形分濃度20質量%の分散液(A)を調製した。
TFEに基づく単位と単位(U1−21)とを有する酸型のポリマー(H1)(イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)をエタノール/水=6/4(質量比)の分散媒に分散させ、固形分濃度27.0質量%の分散液(B)を調製した。
カーボン担体に白金が触媒全質量の50質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製、TEC10E50E)の10gに、窒素雰囲気下で、蒸留水の56.6g、エタノールの53.4g、分散液(A)の20.0gを添加し、よく撹拌した。さらに遊星ボールミルを用いて混合、粉砕し、カソード触媒層形成用ペーストを得た。
カーボン担体に白金が触媒全質量の20質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製、TEC10EA20E)の10gに、窒素雰囲気下で、蒸留水の10.2g、エタノールの15.4g、分散液(A)の32.0gを添加し、よく撹拌した。さらに遊星ボールミルを用いて混合、粉砕し、アノード触媒層形成用ペーストを得た。
(中間層形成用ペースト−1)
気相成長炭素繊維(平均繊維径150nm、繊維長10〜20μm、昭和電工社製、VGCF−H)の50gに分散液(A)の125.0gを添加し、さらに水の12.5gを添加し、よく撹拌した。これにさらに超音波分散機を用いてよく分散、混合し、中間層形成用ペースト−1を得た。
分散液(B)の20gと、エタノールの12.2gと、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン社製)の6.6gとを薬さじでよく混ぜた後、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎ARE−310、株式会社シンキー製)で混練処理して、ゼリー状に粘度が大きくなったポリマー(H1)分散体を得た。該ポリマー(H1)分散体の35.9gに、気相成長炭素繊維(平均繊維径150nm、繊維長10〜20μm、昭和電工社製、VGCF−H)の10g、エタノールの4.5g、蒸留水の24.8gを添加し、自転・公転ミキサーで処理し、中間層形成用ペースト−2を得た。
分散液(B)の20gと、エタノールの12.2gと、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン社製)の6.6gとを薬さじでよく混ぜた後、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎ARE−310、株式会社シンキー製)で混練処理して、ゼリー状に粘度が大きくなったポリマー(H1)分散体を得た。該ポリマー(H1)分散体の35.9gに、カーボンナノファイバーNT−5(平均繊維径50nm、繊維長5〜10μm、保土ヶ谷化学工業株式会社製)の10g、エタノールの17.1g、蒸留水の37.0gを添加し、自転・公転ミキサーで処理し、中間層形成用ペースト−3を得た。
気相成長炭素繊維の10gの代わりに、カーボンブラックVulcan(登録商標)XC72Rの10gを用いた以外は、中間層形成用ペースト−2と同様にして中間層形成用ペースト−4を得た。
カーボンファイバー(三菱化学産資社製、ダイアリード(登録商標)K223HG、平均繊維径:11μm、繊維長:6mm)の10gに、エタノールの17.1g、蒸留水の2.1g、分散液(B)の3.7gを加え、撹拌し、ホモジナイザーを用いて混合、分散した。さらに、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の9.4gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、分散し、中間層形成用ペースト−5を得た。
気相成長炭素繊維(平均繊維径150nm、繊維長10〜20μm、昭和電工社製、VGCF−H)の10gの代わりに、カーボンファイバー(東レ株式会社製、ミルドファイバー(登録商標)MLD300、平均繊維径:7μm、繊維長:130μm)の10gを用いた以外は、中間層形成用ペースト−2と同様にして中間層形成用ペースト−6を得た。
第1のセパレータである発泡金属板(三菱マテリアル社製、材質SUS316L、平均細孔径150μm、厚さ1mm、金メッキあり)の表面に、中間層形成用ペースト−2を塗工厚40μmとなるようにアプリケータで塗布し、乾燥させて、カソード中間層付き発泡金属板を得た。
また、ETFEフィルムの表面に、カソード触媒層形成用ペーストを白金量で0.2mg/cm2となるようにダイコータで塗布し、乾燥させて、カソード触媒層転写用デカールを得た。
また、ETFEフィルムの表面に、アノード触媒層形成用ペーストを白金量で0.05mg/cm2となるようにダイコータで塗布し、乾燥させて、アノード触媒層転写用デカールを得た。
固体高分子電解質膜として、−SO3 −H+を有するペルフルオロカーボン重合体からなる厚さ20μmのイオン交換膜(旭硝子社製、商品名:フレミオン、イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂、厚さ:25μm)を用いて、該固体高分子電解質膜の両側に、アノード触媒層転写用デカールのアノード触媒層と、カソード触媒層転写用デカールのカソード触媒層とをそれぞれホットプレス法により転写して、膜電極接合体(電極面積:25cm2)を得た。
第1のセパレータとして、平均細孔径300μmの発泡金属板(三菱マテリアル社製、材質SUS316L、厚さ1mm、金メッキあり)を用いた以外は、例1と同様にして発電用セルを得た。
ETFEフィルムの表面に、中間層形成用ペースト−1を固形分で3mg/cm2となるようにダイコータで塗布し、乾燥させて、厚さ40μmのカソード中間層を形成した。次いで、該カソード中間層上にカソード触媒層形成用ペーストを白金量で0.2mg/cm2となるようにダイコータで塗布し、乾燥させてカソード触媒層を形成し、中間層付きカソード触媒層転写用デカールを得た。
また、例1と同様にしてアノード触媒層転写用デカールを得た。
次いで、例1で用いたものと同じ固体高分子電解質膜の一方の側に、アノード触媒層転写用デカールのアノード触媒層をホットプレス法により転写した。さらに、該固体高分子電解質膜の他方の側に、中間層付きカソード触媒層転写用デカールのカソード中間層およびカソード触媒層を、カソード触媒層が固体高分子電解質膜と接するようにホットプレス法により転写して、カソード中間層付き膜電極接合体(電極面積:25cm2)を得た。
中間層形成用ペースト−2を塗工厚10μmとなるようにアプリケータで塗布し、乾燥させて、カソード中間層付き発泡金属板を得た以外は、例2と同様にして発電用セルを得た。
中間層形成用ペースト−2を塗工厚70μmとなるようにアプリケータで塗布し、乾燥させて、カソード中間層付き発泡金属板を得た以外は、例2と同様にして発電用セルを得た。
中間層形成用ペースト−1の代わりに中間層形成用ペースト−3を用いた以外は、例3と同様にして発電用セルを得た。
カソード中間層付き発泡金属板の代わりに、カソード中間層を形成していない発泡金属板(三菱マテリアル社製、材質SUS316L、平均細孔径300μm、厚さ1mm、金メッキあり)を用いた以外は、例1と同様にして発電用セルを得た。
例1と同様にして膜電極接合体(電極面積:25cm2)を得た。得られた膜電極接合体のカソード触媒層の外側にガス拡散層(三菱レイヨン社製GDL MFW)を配置し、さらにその外側に発泡金属板(三菱マテリアル社製、材質SUS316L、平均細孔径300μm、厚さ1mm、金メッキあり)を配置し、さらにその外側にカーボン製セパレータを配置した。また、膜電極接合体のアノード触媒層の外側にガス拡散層(NOK社製GDL X0086 IX51 CX173)を配置し、さらにその外側にカーボン製セパレータを配置した。
用いる中間層形成用ペーストを表1に示すとおりに変更した以外は、例2と同様にして発電用セルを得た。
中間層形成用ペースト−1の代わりに中間層形成用ペースト−6を用いた以外は、例3と同様にして発電用セルを得た。
得られた発電用セルに、常圧にて、水素(利用率70%)/酸素(利用率50%)を供給し、セル温度80℃において、電流密度1.0A/cm2における運転初期のセル電圧を測定した。なお、アノード触媒層側には露点53℃の水素を供給し、カソード触媒層側には露点53℃の空気をそれぞれ供給した(セル内の相対湿度:30%RH)。
また、カソード中間層の細孔分布の測定結果の一例として、例1のカソード中間層をガス拡散層上に形成したもの(カソード中間層+GDL基材)の細孔分布と、ガス拡散層単独(GDL基材のみ)の細孔分布の測定結果を図3に示す。カソード中間層+GDL基材の細孔分布におけるピーク(b)がGDL基材のみのときに見られるピークと同じであることから、ピーク(b)がガス拡散層に由来するピークであり、ピーク(a)がカソード中間層に由来するピークである。
一方、カソード中間層を形成していない例7では、セル電圧が0Vであり、発電性能が得られなかった。また、カソード中間層を形成せずにガス拡散層を用いた例8では、例1〜6に比べてセル電圧が低く、発電性能が劣っていた。また、カソード中間層がカーボンファイバーを含まない例9、カソード中間層に含まれるカーボンファイバーの平均繊維径が300μm超である例10、11においても、例1〜6に比べてセル電圧が低く、発電性能が劣っていた。
10 膜電極接合体
12 第1のセパレータ
14 カソード中間層
16 アノード中間層
18、28 第2のセパレータ
20 カソード触媒層
22 アノード触媒層
24 固体高分子電解質膜
26 ガス拡散層
Claims (8)
- カソード触媒層、アノード触媒層、および前記カソード触媒層と前記アノード触媒層との間に配置された固体高分子電解質膜を備える膜電極接合体と、
前記膜電極接合体の前記カソード触媒層側に配置された多孔性の第1のセパレータと、
前記膜電極接合体の前記アノード触媒層側に配置された第2のセパレータと、
前記カソード触媒層と前記第1のセパレータの間にそれらと直接接するように配置されたカソード中間層と、を備え、
前記カソード中間層が、平均繊維径が30〜300nmのカーボンファイバーとイオン交換樹脂とを含む、固体高分子形燃料電池。 - 前記カソード中間層の細孔径が0.1〜2.0μmである、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
- 前記第1のセパレータの平均細孔径が20〜500μmである、請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池。
- 前記カソード中間層の厚さが20〜60μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体高分子形燃料電池。
- 前記第2のセパレータが多孔性セパレータであり、前記アノード触媒層と前記第2のセパレータの間にそれらと直接接するように配置された、平均繊維径が30〜300nmのカーボンファイバーとイオン交換樹脂とを含むアノード中間層を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体高分子形燃料電池。
- 前記アノード中間層の細孔径が0.1〜2.0μmである、請求項5に記載の固体高分子形燃料電池。
- 前記第2のセパレータの平均細孔径が20〜500μmである、請求項5または6に記載の固体高分子形燃料電池。
- 前記アノード中間層の厚さが20〜60μmである、請求項5〜7のいずれか一項に記載の固体高分子形燃料電池。
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