JP2015195187A - 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法および中間層形成用ペースト - Google Patents

固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法および中間層形成用ペースト Download PDF

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Abstract

【課題】触媒層とガス拡散層との間に中間層を設けたことによる発電性能の向上効果が充分に発揮された固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を製造できる方法、および該製造方法に好適な中間層形成用ペーストを提供する。【解決手段】(a)第1のキャリアフィルム50の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜134を形成する工程と、(b)第1のウェット膜134の表面に、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含む触媒層形成用ペーストを塗布し、第2のウェット膜132を形成する工程と、(c)第1のウェット膜134および第2のウェット膜132を乾燥させ、中間層34および触媒層32を形成する工程とを有する膜電極接合体の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法、および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の電極を構成する中間層の形成に用いられるペーストに関する。
固体高分子形燃料電池は、たとえば、2つのセパレータの間に膜電極接合体を挟んでセルを形成し、複数のセルをスタックしたものである。膜電極接合体は、触媒層およびガス拡散層を有するアノードおよびカソードと、アノードとカソードとの間に配置された高分子電解質膜とを備えたものである。
電極、特にカソードにおける導電性、ガス拡散性、排水性等を改善し、膜電極接合体の発電性能を向上させるために、触媒層とガス拡散層との間に、炭素材料およびポリマーを含む中間層を設けることがある(特許文献1等)。
国際公開第2011/114949号
中間層を有する電極は、下記方法によって製造される。
ガス拡散層を構成するガス拡散性基材の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含む中間層形成用ペーストを塗布、乾燥し、中間層を形成した後、中間層の表面に、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含む触媒層形成用ペーストを塗布、乾燥し、触媒層を形成する方法(特許文献1の段落[0078])。
しかし、該方法によって製造される電極においては、中間層と触媒層との界面の密着性が低い。また、ガス拡散性基材に中間層形成用ペーストが浸透するため、中間層に斑状のムラが発生し、その結果、触媒層にも斑状のムラが発生する。そのため、中間層を設けたことによる膜電極接合体の発電性能の向上効果が、充分に発揮されないという問題がある。
本発明は、触媒層とガス拡散層との間に中間層を設けたことによる発電性能の向上効果が充分に発揮された固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を製造できる方法、および該製造方法に好適な中間層形成用ペーストを提供する。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、触媒層およびガス拡散層を有するアノードと、触媒層およびガス拡散層を有するカソードと、前記アノードの触媒層と前記カソードの触媒層との間に配置された高分子電解質膜とを備え、前記アノードおよび前記カソードのいずれか一方または両方が、前記触媒層と前記ガス拡散層との間に中間層を有する固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を製造する方法であって、下記工程(a)、工程(b)および工程(c)を有することを特徴とする。
(a)基材の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜を形成する工程。
(b)前記工程(a)よりも後に、前記第1のウェット膜の表面に、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含む触媒層形成用ペーストを塗布し、第2のウェット膜を形成する工程。
(c)前記工程(b)よりも後に、前記第1のウェット膜および前記第2のウェット膜を乾燥させ、中間層および触媒層を形成する工程。
前記固体高分子形燃料電池用膜電極接合体においては、少なくとも前記カソードが、前記中間層を有することが好ましい。
前記工程(b)は前記第1のウェット膜中の液状媒体の残存率が40%以上であるうちに行われることが好ましい。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、前記工程(a)が、下記工程(a’)であり、下記工程(f’)および工程(g’)をさらに有する方法であってもよい。
(a’)キャリアフィルムの表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜を形成する工程。
(f’)前記工程(c)よりも後に、前記中間層および前記触媒層が表面に形成されたキャリアフィルムと、高分子電解質膜とを、前記触媒層が前記高分子電解質膜に接するように接合し、中間層付き膜触媒層接合体を得る工程。
(g’)前記工程(f’)よりも後に、キャリアフィルムを取り除き、前記中間層付き膜触媒層接合体と、ガス拡散層を構成するガス拡散性基材とを、前記中間層が前記ガス拡散性基材に接するように接合する工程。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、前記工程(a)が、下記工程(a”)であり、下記工程(f”)をさらに有する方法であってもよい。
(a”)ガス拡散層を構成するガス拡散性基材の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜を形成する工程。
(f”)前記工程(c)よりも後に、前記中間層および前記触媒層が表面に形成されたガス拡散性基材と、高分子電解質膜とを、前記触媒層が前記高分子電解質膜に接するように接合する工程。
前記中間層形成用ペーストが、前記液状媒体として有機溶媒および水を含み、前記有機溶媒と前記水との比(有機溶媒:水)が、55:45〜30:70(質量比)であることが好ましい。
前記触媒層形成用ペーストが、前記液状媒体として有機溶媒および水を含み、前記有機溶媒と前記水との比(有機溶媒:水)が、70:30〜45:55(質量比)であることが好ましい。
本発明の中間層形成用ペーストは、触媒層およびガス拡散層を有するアノードと、触媒層およびガス拡散層を有するカソードと、前記アノードの触媒層と前記カソードの触媒層との間に配置された高分子電解質膜とを備え、前記アノードおよび前記カソードのいずれか一方または両方が、前記触媒層と前記ガス拡散層との間に中間層を有する固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造に用いられる、中間層形成用ペーストであって、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sであることを特徴とする。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法によれば、触媒層とガス拡散層との間に中間層を設けたことによる発電性能の向上効果が充分に発揮された固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を製造できる。
本発明の中間層形成用ペーストは、本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法に好適な中間層形成用ペーストである。
固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の一例を示す断面図である。 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の他の例を示す断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の工程の一部を示す断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の工程の一部を示す断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の工程の一部を示す断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の工程の一部を示す断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
本明細書においては、式(U1)で表される構成単位を、単位(U1)と記す。他の式で表される構成単位も同様に記す。
また、式(M1)で表されるモノマーを、モノマー(M1)と記す。他の式で表されるモノマーも同様に記す。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「ポリマー」とは、複数の構成単位から構成された構造を有する化合物を意味する。
「構成単位」とは、モノマーが重合することによって形成された該モノマーに由来する単位を意味する。構成単位は、モノマーの重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「モノマー」とは、重合反応性の炭素−炭素二重結合を有する化合物を意味する。
「イオン交換基」とは、H、一価の金属カチオン、アンモニウムイオン等を有する基を意味する。イオン交換基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、スルホンメチド基等が挙げられる。
「ウェット膜」とは、液状媒体の残存率が40質量%以上である膜を意味する。
「液状媒体の残存率」は、ペーストを塗布した直後のウェット膜に含まれる液状媒体の質量をX1とし、液状媒体がある程度揮発した後のウェット膜に含まれる液状媒体の質量をX2としたとき、下式から求められる。
液状媒体の残存率=(X2/X1)×100
X1は、ペーストの塗布量およびペーストの固形分濃度とから算出できる。X2は、ペーストを塗布した直後のウェット膜を有する物品全体の質量と、液状媒体がある程度揮発した後のウェット膜を有する物品全体の質量との差(すなわち、液状媒体の揮発量(X1−X2))から算出できる。
<膜電極接合体>
本発明の製造方法で得られる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(以下、単に膜電極接合体とも記す。)は、触媒層およびガス拡散層を有するアノードと、触媒層およびガス拡散層を有するカソードと、アノードの触媒層とカソードの触媒層との間に配置された高分子電解質膜とを備え、アノードおよびカソードのいずれか一方または両方が、触媒層とガス拡散層との間に中間層を有するものである。
膜電極接合体においては、下記の理由から、少なくともカソードが中間層を有することが好ましい。
固体高分子形燃料電池における反応は、下式(R1)、(R2)で表わされる。
アノード:H → 2H + 2e ・・・(R1)、
カソード:2H + 1/2O + 2e → HO ・・・(R2)。
固体高分子形燃料電池においては、式(R2)で表わされるカソードでの反応が律速となるといわれており、該反応を促進するために、反応場におけるプロトン濃度および酸素濃度を高める必要がある。そのため、カソードには、充分な導電性およびガス拡散性が要求される。そしてカソードの導電性を保つために、カソードには加湿器等で加湿を行った高加湿度の酸化剤ガス(空気)が供給される。また、カソードにおいては反応によって水蒸気が発生するため、水蒸気の凝縮による細孔の閉塞(フラッディング)が発生しやすい。そのため、カソードには、充分な排水性も要求される。
よって、少なくともカソードが、導電性、ガス拡散性、排水性等を改善する中間層を触媒層とガス拡散層との間に有することが好ましい。
図1は、膜電極接合体の一例を示す断面図である。
膜電極接合体10は、触媒層22およびガス拡散層26を有するアノード20と;触媒層32、中間層34およびガス拡散層36を順に有するカソード30と;アノード20の触媒層22とカソード30の触媒層32との間に配置される高分子電解質膜40とを備えたものである。
(触媒層)
触媒層22および触媒層32(以下、まとめて触媒層とも記す。)は、触媒およびイオン交換樹脂を含む層である。触媒層22および触媒層32は、成分、組成、厚さ等が同じ層であってもよく、異なる層であってもよい。
触媒としては、固体高分子形燃料電池における酸化還元反応を促進するものであればよく、白金を含む触媒が好ましく、白金または白金合金がカーボン担体に担持された担持触媒が特に好ましい。
カーボン担体としては、活性炭、カーボンブラック等が挙げられ、化学的耐久性が高い点から、熱処理等によりグラファイト化したものが好ましい。
カーボン担体の比表面積は、200m/g以上が好ましい。カーボン担体の比表面積は、BET比表面積装置により、カーボン表面への窒素吸着により測定する。
白金合金としては、白金を除く白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、金、銀、クロム、鉄、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、およびスズからなる群から選ばれる1種以上の金属と、白金との合金が好ましい。該白金合金には、白金と合金化される金属と、白金との金属間化合物が含まれていてもよい。
白金または白金合金の担持量は、担持触媒(100質量%)のうち、10〜70質量%が好ましい。
イオン交換樹脂としては、耐久性の点から、含フッ素イオン交換樹脂が好ましく、イオン交換基を有するペルフルオロカーボンポリマー(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)がより好ましい。該ペルフルオロカーボンポリマーとしては、後述するポリマー(H)、後述するポリマー(Q)、国際公開第2011/013577号等に記載された、イオン交換基および5員環を有するペルフルオロモノマーに由来する構成単位を有するポリマー等の公知のポリマーが挙げられ、入手のしやすさや製造のしやすさの点から、ポリマー(H)またはポリマー(Q)が好ましい。
ポリマー(H):
ポリマー(H)は、単位(U1)を有するポリマーである(ただし、ポリマー(Q)を除く)。
Figure 2015195187
ただし、Qは、単結合、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であり、Rf2は、エーテル性の酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキル基であり、Xは、酸素原子、窒素原子または炭素原子であり、bは、Xが酸素原子の場合0であり、Xが窒素原子の場合1であり、Xが炭素原子の場合2であり、Yは、フッ素原子または1価のペルフルオロ有機基であり、tは、0または1である。単結合は、CFYの炭素原子と、SOのイオウ原子とが直接結合していることを意味する。有機基は、炭素原子を1以上含む基を意味する。
のペルフルオロアルキレン基がエーテル性の酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。
f2のペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
ペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基等が好ましい。
−(SO(SOf2基は、イオン交換基である。
−(SO(SOf2基としては、スルホン酸基(−SO 基)、スルホンイミド基(−SON(SOf2基)、またはスルホンメチド基(−SOC(SOf2基)が挙げられる。
としては、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が好ましい。
単位(U1)としては、単位(U1−1)が好ましく、ポリマー(H)の製造が容易であり、工業的実施が容易である点から、単位(U1−11)、単位(U1−12)、単位(U1−13)または単位(U1−14)がより好ましい。
Figure 2015195187
ただし、Zは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは、0〜3の整数であり、nは、1〜12の整数であり、pは、0または1であり、かつ、m+p>0である。
ポリマー(H)は、さらに、他のモノマーに由来する構成単位(以下、他の単位と記す。)を有していてもよい。他の単位の割合は、ポリマー(H)のイオン交換容量が後述の好ましい範囲となるように、適宜調整すればよい。
他の単位としては、機械的強度および化学的な耐久性の点から、ペルフルオロモノマーに由来する構成単位が好ましく、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)に由来する構成単位がより好ましい。
ポリマー(H)は、化合物(M1)および必要に応じて他のモノマーを重合して前駆体ポリマーを得た後、前駆体ポリマー中の−SOF基をスルホン酸基に変換することによって製造できる。−SOF基のスルホン酸基への変換は、加水分解および酸型化処理により行われる。
CF=CF−(CFOCF−CFY−Q−SOF ・・・(M1)。
ポリマー(Q):
ポリマー(Q)は、単位(U2)を有するポリマーである。
Figure 2015195187
ただし、Qは、エーテル性の酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であり、Qは、単結合、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であり、Rf1は、エーテル性の酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキル基であり、Xは、酸素原子、窒素原子または炭素原子であり、aは、Xが酸素原子の場合0であり、Xが窒素原子の場合1であり、Xが炭素原子の場合2であり、Yは、フッ素原子または1価のペルフルオロ有機基であり、sは、0または1である。単結合は、CYの炭素原子と、SOのイオウ原子とが直接結合していることを意味する。有機基は、炭素原子を1以上含む基を意味する。
、Qのペルフルオロアルキレン基がエーテル性の酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。炭素数が6以下であれば、原料の含フッ素モノマーの沸点が低くなり、蒸留精製が容易となる。
は、エーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。Qがエーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であれば、Qが単結合である場合に比べ、長期にわたって固体高分子形燃料電池を運転した際に、発電性能の安定性に優れる。
、Qの少なくとも一方は、エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基を有する含フッ素モノマーは、フッ素ガスによるフッ素化反応を経ずに合成できるため、収率が良好で、製造が容易である。
f1のペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
ペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基等が好ましい。
単位(U2)が2つ以上のRf1を有する場合、Rf1は、それぞれ同じ基であってもよく、それぞれ異なる基であってもよい。
−(SO(SOf1基は、イオン交換基である。
−(SO(SOf1基としては、スルホン酸基(−SO 基)、スルホンイミド基(−SON(SOf1基)、またはスルホンメチド基(−SOC(SOf1基)が挙げられる。
としては、フッ素原子、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖のペルフルオロアルキル基であることが好ましい。
単位(U2)としては、単位(U2−1)が好ましく、ポリマー(Q)の製造が容易であり、工業的実施が容易である点から、単位(U2−11)、単位(U2−12)または単位(U2−13)がより好ましい。
Figure 2015195187
ただし、RF11は、単結合、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖状のペルフルオロアルキレン基であり、RF12は、炭素数1〜6の直鎖状のペルフルオロアルキレン基である。
ポリマー(Q)は、さらに他の単位を有していてもよい。他の単位の割合は、ポリマー(Q)のイオン交換容量が後述の好ましい範囲となるように、適宜調整すればよい。
他の単位としては、機械的強度および化学的な耐久性の点から、ペルフルオロモノマーに由来する構成単位が好ましく、TFEに由来する構成単位がより好ましい。
ポリマー(Q)は、たとえば、国際公開第2007/013533号等に記載の方法によって製造できる。
含フッ素イオン交換樹脂のイオン交換容量は、導電性およびガス透過性の点から、0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、0.8〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂が特に好ましい。
触媒層に含まれる白金量は、電極反応を効率よく行うための最適な厚みの点から、0.01〜0.5mg/cmが好ましく、原料のコストと性能とのバランスの点から、0.05〜0.35mg/cmがより好ましい。
(中間層)
中間層34は、炭素材料およびポリマーを含む層である。
炭素材料としては、カーボン粒子、カーボンファイバー等が挙げられ、発電性能の向上効果が充分に発揮される点から、カーボンファイバーが好ましい。
カーボン粒子としては、カーボンブラック等が挙げられる。
カーボンファイバーとしては、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ(シングルウォール、ダブルウォール、マルチウォール、カップ積層型等)、PAN系カーボンファイバー、ピッチ系カーボンファイバー等が挙げられる。
カーボンファイバーの形態としては、チョップドファイバー、ミルドファイバー等が挙げられる。
カーボンファイバーの平均繊維径は、30〜200nmが好ましく、50〜150nmがより好ましい。カーボンファイバーの平均繊維径が前記下限値以上であれば、中間層34が良好なガス拡散性、排水性を有する。カーボンファイバーの平均繊維径が前記上限値以下であれば、分散媒にカーボンファイバーを良好に分散できる。
ポリマーとしては、含フッ素ポリマー(ただし、含フッ素イオン交換樹脂を除く。)、含フッ素イオン交換樹脂等が挙げられ、中間層の耐久性とカーボンファイバーの分散安定性の点から、含フッ素イオン交換樹脂が好ましい。
含フッ素ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。
含フッ素イオン交換樹脂としては、イオン交換基を有するペルフルオロカーボンポリマーが好ましく、上述のポリマー(H)またはポリマー(Q)が特に好ましい。
含フッ素イオン交換樹脂のイオン交換容量は、導電性およびガス透過性の点から、0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、0.8〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂が特に好ましい。
(ガス拡散層)
ガス拡散層26およびガス拡散層36(以下、まとめてガス拡散層とも記す。)は、ガス拡散性基材からなる層である。ガス拡散層26およびガス拡散層36は、成分、組成、厚さ等が同じ層であってもよく、異なる層であってもよい。
ガス拡散性基材としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
(高分子電解質膜)
高分子電解質膜40は、イオン交換樹脂の膜である。
イオン交換樹脂としては、耐久性の点から、含フッ素イオン交換樹脂が好ましく、イオン交換基を有するペルフルオロカーボンポリマー(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)がより好ましく、上述のポリマー(H)またはポリマー(Q)が特に好ましい。
含フッ素イオン交換樹脂のイオン交換容量は、0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、0.8〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂が特に好ましい。
高分子電解質膜40の厚さは、10〜30μmが好ましく、15〜25μmがより好ましい。高分子電解質膜40の厚さが30μm以下であれば、低加湿条件での固体高分子形燃料電池の発電性能の低下が抑えられる。また、高分子電解質膜40の厚さを10μm以上とすることにより、ガスリークや電気的な短絡を抑えることができる。
高分子電解質膜40の厚さは、高分子電解質膜40の断面を走査型電子顕微鏡等によって観察することにより測定する。
(他の実施形態)
膜電極接合体は、図1に示すものに限定はされない。
たとえば、図2に示すように、アノード20が、触媒層22とガス拡散層26との間に中間層24を有していてもよい。
また、カソード30が中間層を2層以上有していてもよく、アノード20が中間層を2層以上有していてもよい。
また、高分子電解質膜40が補強材で補強されていてもよく、触媒層が補強材で補強されていてもよい。補強材としては、多孔体、繊維、織布、不織布等が挙げられる。
また、高分子電解質膜40がセリウムイオンまたはマンガンイオンを含んでいてもよく、触媒層がセリウムイオンを含んでいてもよい。
<膜電極接合体の製造方法>
本発明の膜電極接合体の製造方法は、下記工程(a)、工程(b)および工程(c)を少なくとも有する方法である。
(a)基材の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜を形成する工程。
(b)前記工程(a)よりも後に、第1のウェット膜の表面に、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含む触媒層形成用ペーストを塗布し、第2のウェット膜を形成する工程。
(c)前記工程(b)よりも後に、第1のウェット膜および第2のウェット膜を乾燥させ、中間層および触媒層を形成する工程。
基材としては、キャリアフィルムまたはガス拡散性基材が挙げられる。本発明の膜電極接合体の製造方法の具体例は、基材の種類に応じて、下記方法(α)(基材がキャリアフィルムの場合)と下記方法(β)(基材がガス拡散性基材の場合)とに大きく分けられる。
方法(α):
方法(α)は、工程(a)が、下記工程(a’)であり、下記工程(f’)および工程(g’)をさらに有する方法である。
(a’)キャリアフィルムの表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜を形成する工程。
(f’)前記工程(c)よりも後に、中間層および触媒層が表面に形成されたキャリアフィルムと、高分子電解質膜とを、触媒層が高分子電解質膜に接するように接合し、中間層付き膜触媒層接合体を得る工程。
(g’)前記工程(f’)よりも後に、キャリアフィルムを取り除き、中間層付き膜触媒層接合体と、ガス拡散層を構成するガス拡散性基材とを、中間層がガス拡散性基材に接するように接合する工程。
方法(β):
方法(β)は、工程(a)が、下記工程(a”)であり、下記工程(f”)をさらに有する方法である。
(a”)ガス拡散層を構成するガス拡散性基材の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜を形成する工程。
(f”)前記工程(c)よりも後に、中間層および触媒層が表面に形成されたガス拡散性基材と、高分子電解質膜とを、触媒層が高分子電解質膜に接するように接合する工程。
以下、図1に示す膜電極接合体10を製造する場合を例にとり、方法(α)および方法(β)について、詳細に説明する。
(方法(α))
図1に示す膜電極接合体10を製造する場合、方法(α)は、たとえば、下記工程(a’)、工程(b)、工程(c)、工程(d)、工程(e)、工程(f’)および工程(g’)を有する。
(a’)図3に示すように、第1のキャリアフィルム50の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜134を形成する工程。
(b)図3に示すように、工程(a’)の後に、第1のウェット膜134の表面に、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含むカソード触媒層形成用ペーストを塗布し、第2のウェット膜132を形成する工程。
(c)図3に示すように、工程(b)の後に、第1のウェット膜134および第2のウェット膜132を乾燥させ、中間層34および触媒層32を形成する工程。
(d)図4に示すように、第2のキャリアフィルム52の表面に、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含むアノード触媒層形成用ペーストを塗布、乾燥し、触媒層22を形成する工程。
(e)図4に示すように、工程(d)の後に、触媒層22の表面に、イオン交換樹脂および液状媒体を含む高分子電解質膜形成用塗布液を塗布、乾燥し、高分子電解質膜40を形成する工程。
(f’)図5に示すように、工程(c)および工程(e)の後に、中間層34および触媒層32が表面に形成された第1のキャリアフィルム50と、触媒層22および高分子電解質膜40が形成された第2のキャリアフィルム52とを、触媒層32が高分子電解質膜40に接するように接合し、中間層付き膜触媒層接合体を得る工程。
(g’)図5に示すように、工程(f’)の後に、第1のキャリアフィルム50および第2のキャリアフィルム52を取り除き、ガス拡散層26を構成するガス拡散性基材と、中間層付き膜触媒層接合体と、ガス拡散層36を構成するガス拡散性基材とを、触媒層22がガス拡散層26を構成するガス拡散性基材に接し、中間層34がガス拡散層36を構成するガス拡散性基材に接するように接合することによって、膜電極接合体10を得る工程。
工程(a’):
中間層形成用ペーストは、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含む。
液状媒体としては、有機溶媒と水とを含むものが好ましい。
有機溶媒としては、アルコール類が好ましい。
アルコール類としては、非フッ素系アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等)、フッ素系アルコール類(2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−1−ペンタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール等)等が挙げられる。
有機溶媒と水との比(有機溶媒:水)は、55:45〜30:70(質量比)が好ましく、50:50〜40:60(質量比)がより好ましい。有機溶媒が前記上限値以下(水が前記下限値以上)であれば、触媒層32にクラックが発生しにくい。有機溶媒が前記下限値以上(水が前記上限値以下)であれば、中間層形成用ペーストの分散安定性がよく、また、第1のウェット膜134の表面にカソード触媒層形成用ペーストを塗布する際に、第1のウェット膜134の表面にクラックが発生しにくい。
中間層形成用ペーストの固形分濃度は、5〜40質量%が好ましく、8〜30質量%がより好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。固形分濃度が前記下限値以上であれば、第1のウェット膜134を1回の塗布で形成できる。固形分濃度が前記上限値以下であれば、炭素材料の分散状態を長期間保持でき、ダイコータでの塗布に適した粘度となる。
中間層形成用ペーストの固形分濃度は、ペーストの総質量における炭素材料およびポリマーの質量の和の割合で表す。
中間層形成用ペーストに含まれるポリマーと炭素材料との質量比(ポリマー/炭素材料)は、0.5〜1.5が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。ポリマー/炭素材料が前記下限値以上であれば、中間層34の保湿性が高くなり、高分子電解質膜40の乾燥を抑制できる。ポリマー/炭素材料が前記上限値以下であれば、中間層34のガス透過性を低下させることがない。
中間層形成用ペーストの、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、250〜450mPa・sであり、300〜400mPa・sが好ましい。中間層形成用ペーストの粘度が前記下限値以上であれば、第1のウェット膜134がキャリアフィルムの表面に沿って面方向に広がりにくくなるため、第1のウェット膜134および第2のウェット膜132を乾燥させる際に、第2のウェット膜132が面方向に引き伸ばされることがなく、その結果、触媒層32にクラックが発生しにくい。中間層形成用ペーストの粘度が前記上限値以下であれば、第1のウェット膜134に筋状の塗布ムラが発生しにくく、その結果、触媒層32に筋状のムラが発生しにくい。
中間層形成用ペーストは、たとえば、下記のようにして調製される。
液状媒体の一部にポリマーを分散させて、ポリマー分散液を調製する。
炭素材料、残りの液状媒体、およびポリマー分散液を混合、分散して中間層形成用ペーストを得る。混合、分散の際には、超音波分散機等を用いることが好ましい。撹拌装置、分散装置の選択、撹拌時間の調整等によって、中間層形成用ペーストの粘度を前記範囲とすることができる。ちなみに、特許文献1の実施例に記載された中間層形成用塗工液は、調製の際にホモジナイザを用いており、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、150mPa・s程度である。
第1のキャリアフィルム50としては、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEと記す。)フィルム、オレフィン系樹脂フィルム等が挙げられる。
中間層形成用ペーストの塗布方法としては、ダイコート法等、公知の方法を用いればよい。
工程(b):
カソード触媒層形成用ペーストは、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含む。
液状媒体としては、有機溶媒と水とを含むものが好ましい。
有機溶媒としては、アルコール類が好ましい。
アルコール類としては、中間層形成用ペーストの液状媒体として例示したアルコール類と同様のものが挙げられる。
有機溶媒と水との比(有機溶媒:水)は、70:30〜45:55(質量比)が好ましく、60:40〜50:50(質量比)がより好ましい。有機溶媒が前記上限値以下(水が前記下限値以上)であれば、ペーストの表面張力が小さくなり過ぎず、塗布しやすい。有機溶媒が前記下限値以上(水が前記上限値以下)であれば、触媒層32にクラックが発生しにくい。
カソード触媒層形成用ペーストの固形分濃度は、3〜18質量%が好ましく、5〜14質量%がより好ましく、6〜10質量%が特に好ましい。固形分濃度が前記下限値以上であれば、第2のウェット膜132を1回の塗布で形成できる。固形分濃度が前記上限値以下であれば、触媒の分散安定性が良好で、低白金量での触媒層形成が容易であり、状態を長期間保持できる。
カソード触媒層形成用ペーストの固形分濃度は、ペーストの総質量における触媒およびイオン交換樹脂の質量の和の割合で表す。
カソード触媒層形成用ペーストにおけるイオン交換樹脂と触媒中のカーボンとの質量比(イオン交換樹脂/カーボン)は、固体高分子形燃料電池の発電性能の点から、0.4〜1.6が好ましく、0.6〜1.2が特に好ましい。
カソード触媒層形成用ペーストは、たとえば、下記のようにして調製される。
液状媒体の一部にイオン交換樹脂を分散させて、イオン交換樹脂分散液を調製する。
触媒、残りの液状媒体、およびイオン交換樹脂分散液を混合、撹拌してカソード触媒層形成用ペーストを得る。
常温でのカソード触媒層形成用ペーストの塗布方法としては、ダイコート法等、公知の方法を用いればよい。
工程(a)の終了から工程(b)の開始までの時間は、3分以内であることが好ましく、1分以内であることがより好ましい。工程(a)の終了から工程(b)の開始までの時間が1分以内であれば、第1のウェット膜134の自然乾燥が抑えられ、第1のウェット膜134および第2のウェット膜132を乾燥させた後に形成される中間層34と触媒層32との界面の密着性が充分に高くなる。
工程(b)は、形成された第1のウェット膜134中の液状媒体の残存率が40%以上であるうちに行われることが好ましく、60%以上であるうちに行われるのがより好ましい。これにより、第1のウェット膜134および第2のウェット膜132を乾燥させた後に形成される中間層34と触媒層32との界面の密着性が充分に高くなる。
工程(c):
乾燥温度は、40〜130℃が好ましく、45〜80℃がより好ましい。
乾燥方法としては、公知の方法を用いればよい。
工程(d):
アノード触媒層形成用ペーストは、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含む。
アノード触媒層形成用ペーストは、カソード触媒層形成用ペーストと成分、組成等が同じペーストであってもよく、異なるペーストであってもよい。
液状媒体としては、カソード触媒層形成用ペーストの液状媒体として例示したものと同様のものが挙げられる。
アノード触媒層形成用ペーストの好ましい形態は、カソード触媒層形成用ペーストの好ましい形態と同様である。
アノード触媒層形成用ペーストは、カソード触媒層形成用ペーストと同様にして調製される。
第2のキャリアフィルム52としては、ETFEフィルム、オレフィン系樹脂フィルム等が挙げられる。
アノード触媒層形成用ペーストの塗布方法としては、ダイコート法等、公知の方法を用いればよい。
乾燥温度は、40〜130℃が好ましく、45〜80℃がより好ましい。
乾燥方法としては、公知の方法を用いればよい。
工程(e):
高分子電解質膜形成用塗布液は、イオン交換樹脂および液状媒体を含む。
液状媒体としては、有機溶媒と水とを含むものが好ましい。
有機溶媒としては、アルコール類が好ましい。
アルコール類としては、中間層形成用ペーストの液状媒体として例示したアルコール類と同様のものが挙げられる。
高分子電解質膜形成用塗布液の固形分濃度は、10〜40質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましく、25〜30質量%が特に好ましい。固形分濃度が前記下限値以上であれば、高分子電解質膜40を1〜2回の塗布で形成できる。固形分濃度が前記上限値以下であれば、塗布液の粘度がダイコータでの塗布に適したものとなる。
高分子電解質膜形成用塗布液の固形分濃度は、塗布液の総質量におけるイオン交換樹脂の質量の割合で表す。
高分子電解質膜形成用塗布液は、たとえば、下記のようにして調製される。
液状媒体にイオン交換樹脂を分散させて、イオン交換樹脂分散液を調製し、これを高分子電解質膜形成用塗布液とする。
高分子電解質膜形成用塗布液の塗布方法としては、ダイコート法等、公知の方法を用いればよい。
乾燥温度は、40〜130℃が好ましく、70〜120℃がより好ましい。
乾燥方法としては、公知の方法を用いればよい。
工程(f’)、工程(g’):
接合方法としては、ホットプレス法、ホットロールプレス法、超音波融着法等が挙げられ、面内の均一性の点から、ホットプレス法が好ましい。
プレス機内のプレス板の温度は、100〜150℃が好ましい。
プレス圧力は、0.5〜4.0MPaが好ましい。
(方法(β))
図1に示す膜電極接合体10を製造する場合、方法(β)は、たとえば、下記工程(a”)、工程(b)、工程(c)、工程(d)、工程(e)、工程(f”)および工程(g”)を有する。
(a”)図6に示すように、ガス拡散層36を構成するガス拡散性基材の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜134を形成する工程。
(b)図6に示すように、工程(a”)の後に、第1のウェット膜134の表面に、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含むカソード触媒層形成用ペーストを塗布し、第2のウェット膜132を形成する工程。
(c)図6に示すように、工程(b)の後に、第1のウェット膜134および第2のウェット膜132を乾燥させ、中間層34および触媒層32を形成し、カソード30を得る工程。
(d)図4に示すように、第2のキャリアフィルム52の表面に、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含むアノード触媒層形成用ペーストを塗布、乾燥し、触媒層22を形成する工程。
(e)図4に示すように、工程(d)の後に、触媒層22の表面に、イオン交換樹脂および液状媒体を含む高分子電解質膜形成用塗布液を塗布、乾燥し、高分子電解質膜40を形成する工程。
(f”)図7に示すように、工程(c)および工程(e)の後に、カソード30と、触媒層22および高分子電解質膜40が形成された第2のキャリアフィルム52とを、触媒層32が高分子電解質膜40に接するように接合し、膜電極接合体前駆体を得る工程。
(g”)図7に示すように、工程(f”)の後に、第2のキャリアフィルム52を取り除き、ガス拡散層26を構成するガス拡散性基材と、膜電極接合体前駆体とを、触媒層22がガス拡散層26を構成するガス拡散性基材に接するように接合することによって、膜電極接合体10を得る工程。
工程(a”):
方法(β)における工程(a”)は、第1のキャリアフィルム50の代わりにガス拡散性基材を用いる以外は、方法(α)における工程(a’)と同様に行えばよい。
中間層形成用ペーストの、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、250〜450mPa・sであり、300〜400mPa・sが好ましい。中間層形成用ペーストの粘度が前記下限値以上であれば、第1のウェット膜134がガス拡散性基材に浸透しにくくなるため、第1のウェット膜134に斑状の塗布ムラが発生しにくく、その結果、触媒層32に斑状のムラが発生しにくい。中間層形成用ペーストの粘度が前記上限値以下であれば、第1のウェット膜134に筋状の塗布ムラが発生しにくく、その結果、触媒層32に筋状のムラが発生しにくい。
工程(b)、工程(c)、工程(d)、工程(e):
方法(β)における工程(b)、工程(c)、工程(d)、工程(e)は、それぞれ方法(α)における工程(b)、工程(c)、工程(d)、工程(e)と同様に行えばよい。
工程(f”):
方法(β)における工程(f”)は、方法(α)における工程(f’)と同様に行えばよい。
工程(g”):
方法(β)における工程(g”)は、第1のキャリアフィルム50の代わりにすでにガス拡散層36が存在し、第2のキャリアフィルム52のみを取り除き、ここにガス拡散性基材を接合する以外は、方法(α)における工程(g’)と同様に行えばよい。
(作用機序)
以上説明した本発明の膜電極接合体の製造方法にあっては、基材の表面に中間層形成用ペーストを塗布して第1のウェット膜を形成し、ついで、第1のウェット膜を加熱によって積極的に乾燥させることなく、第1のウェット膜の表面に触媒層形成用ペーストを塗布して第2のウェット膜を形成しているため、第1のウェット膜と第2のウェット膜と界面において、各ウェット膜を構成しているペーストの一部が混ざり合う。その後、第1のウェット膜および第2のウェット膜を乾燥させて中間層および触媒層を形成しているため、中間層と触媒層との界面において、各層を構成している材料の一部が混ざり合った状態となる。そのため、中間層と触媒層との界面の密着性が高くなる。その結果、触媒層とガス拡散層との間に中間層を設けたことによる膜電極接合体の発電性能の向上効果が充分に発揮される。
また、以上説明した本発明の膜電極接合体の製造方法にあっては、中間層形成用ペーストとして、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sであるものを用いているため、中間層に隣接する触媒層にクラックや筋状のムラが発生しにくい。その結果、膜電極接合体の発電性能を充分に発揮させることができる。
(他の実施形態)
本発明の膜電極接合体の製造方法は、上述した工程(a)、工程(b)および工程(c)を少なくとも有する方法であればよく、図示例の製造方法に限定はされない。
たとえば、図2に示すようなアノード20が触媒層22とガス拡散層26との間に中間層24を有する膜電極接合体を製造する方法であってもよい。
また、カソード30が中間層を2層以上有する膜電極接合体を製造する方法であってもよく、アノード20が中間層を2層以上有する膜電極接合体を製造する方法であってよい。1つの電極が中間層を2層以上有する場合、触媒層に隣接する中間層が、第1のウェット膜を乾燥させて形成される層であればよい。
<固体高分子形燃料電池>
本発明の膜電極接合体は、固体高分子形燃料電池に用いられる。固体高分子形燃料電池は、たとえば、2つのセパレータの間に膜電極接合体を挟んでセルを形成し、複数のセルをスタックすることにより製造される。
セパレータとしては、燃料ガスまたは酸素を含む酸化剤ガス(空気、酸素等)の通路となる溝が形成された導電性カーボン板等が挙げられる。
固体高分子形燃料電池の種類としては、水素/酸素型燃料電池、直接メタノール型燃料電池(DMFC)等が挙げられる。DMFCの燃料に用いるメタノールまたはメタノール水溶液は、液フィードであってもよく、ガスフィードであってもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例12〜例14、例17〜例19、例21〜例24は実施例であり、例1〜例11、例15、例16、例20は比較例である。
(中間層形成用ペーストの粘度)
中間層形成用ペーストの粘度は、流動解析用粘度計(東機産業株式会社製、RE550)を用い、ずり速度200(1/s)にて、25℃で測定した。
(カソード触媒層の表面状態)
カソード触媒層の表面を目視で観察し、クラックの有無およびムラの有無を確認した。
(セル電圧)
発電用セルに、常圧にて水素(利用率70%)/酸素(利用率50%)を供給し、セル温度:80℃において電流密度:1.0 A/cmにおける運転初期のセル電圧を測定した。なお、アノード側には露点53℃の水素を供給し、カソード側は露点53℃の空気をそれぞれセル内に供給した(セル内の相対湿度:30%RH)。
(ポリマー(H1)分散液(A))
TFEに由来する構成単位と単位(U1−11)とを有するポリマー(H1)(イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)をエタノール/水=6/4(質量比)に分散させ、固形分濃度:20質量%のポリマー(H1)分散液(A)を調製した。
(ポリマー(H1)分散液(B))
TFEに由来する構成単位と単位(U1−11)とを有するポリマー(H1)(イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)をエタノール/水=6/4(質量比)に分散させ、固形分濃度:15質量%のポリマー(H1)分散液(B)を調製した。
Figure 2015195187
(中間層形成用ペースト(1))
気相成長炭素繊維(昭和電工社製、商品名:VGCF−H、平均繊維径:約150nm、繊維長:10〜20μm)の50gにエタノールの90g、水の110gを添加し、よく撹拌した。これに、ポリマー(H1)分散液(A)の125.0gを添加し、よく撹拌した。これを、超音波分散機を用いてよく分散、混合し、固形分濃度:20質量%の中間層形成用ペースト(1)を得た。流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、120mPa・sであった。
(中間層形成用ペースト(2))
超音波分散機を用いた分散処理時間を変更した以外は、中間層形成用ペースト(1)と同様にして、中間層形成用ペースト(2)を得た。流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、250mPa・sであった。
(中間層形成用ペースト(3))
超音波分散機を用いた分散処理時間を変更した以外は、中間層形成用ペースト(1)と同様にして、中間層形成用ペースト(3)を得た。流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、350mPa・sであった。
(中間層形成用ペースト(4))
超音波分散機を用いた分散処理時間を変更した以外は、中間層形成用ペースト(1)と同様にして、中間層形成用ペースト(4)を得た。流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、450mPa・sであった。
(中間層形成用ペースト(5))
超音波分散機を用いた分散処理時間を変更した以外は、中間層形成用ペースト(1)と同様にして、中間層形成用ペースト(5)を得た。流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、550mPa・sであった。
(中間層形成用ペースト(6))
気相成長炭素繊維(昭和電工社製、商品名:VGCF−H、平均繊維径:約150nm、繊維長:10〜20μm)の50gにエタノールの120g、水の80gを添加し、よく撹拌した。これに、ポリマー(H1)分散液(A)の125.0gを添加し、よく撹拌した。これを、超音波分散機を用いてよく分散、混合し、固形分濃度:20質量%の中間層形成用ペースト(6)を得た。流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、250mPa・sであった。
(中間層形成用ペースト(7))
気相成長炭素繊維(昭和電工社製、商品名:VGCF−H、平均繊維径:約150nm、繊維長:10〜20μm)の50gにエタノールの60g、水の140gを添加し、よく撹拌した。これに、ポリマー(H1)分散液(A)の125.0gを添加し、よく撹拌した。これを、超音波分散機を用いてよく分散、混合し、固形分濃度:20質量%の中間層形成用ペースト(7)を得た。流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度は、250mPa・sであった。
(カソード触媒層形成用ペースト(a1))
カーボン担体に白金・コバルト合金(白金:コバルト=57:6質量比)が触媒全質量の63%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製、TEC36F62)の10.0gを、蒸留水の53.6gに添加し、よく撹拌した。さらにエタノールの51.2gを添加し、よく撹拌した。これにポリマー(H1)分散液の14.8gを添加し、さらに遊星ボールミルを用いて混合、粉砕し、固形分濃度:10質量%のカソード触媒層形成用ペースト(a1)を得た。
(カソード触媒層形成用ペースト(a2))
カーボン担体に白金・コバルト合金(白金:コバルト=57:6質量比)が触媒全質量の63%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製、TEC36F62)の10.0gを、蒸留水の41.9gに添加し、よく撹拌した。さらにエタノールの62.9gを添加し、よく撹拌した。これにポリマー(H1)分散液の14.8gを添加し、さらに遊星ボールミルを用いて混合、粉砕し、固形分濃度:10質量%のカソード触媒層形成用ペースト(a2)を得た。
(カソード触媒層形成用ペースト(a3))
カーボン担体に白金・コバルト合金(白金:コバルト=57:6質量比)が触媒全質量の63%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製、TEC36F62)の10.0gを、蒸留水の65.3gに添加し、よく撹拌した。さらにエタノールの39.6gを添加し、よく撹拌した。これにポリマー(H1)分散液の14.8gを添加し、さらに遊星ボールミルを用いて混合、粉砕し、固形分濃度:10質量%のカソード触媒層形成用ペースト(a3)を得た。
(アノード触媒層形成用ペースト)
カーボン担体に白金が触媒全質量の20%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製、TEC10EA20E)の10gに、窒素雰囲気下で、蒸留水の84.1g、エタノールの78.9g、ポリマー(H1)分散液の32.0gを添加し、よく撹拌した。さらに遊星ボールミルを用いて混合、粉砕し、固形分濃度:8質量%のアノード触媒層形成用ペーストを得た。
(例1)
工程(a’)+乾燥:
毎分2mの速度でETFEフィルムを送りながら、ETFEフィルムの表面に、中間層形成用ペースト(1)を固形分で3mg/cmとなるようにダイコータで塗布し、120℃で乾燥させ、中間層を形成した。
工程(b)+乾燥:
毎分2mの速度で中間層付きETFEフィルムを送りながら、中間層の表面に、カソード触媒層形成用ペースト(a1)を白金量で0.35mg/cmとなるようにダイコータで塗布し、120℃で乾燥させ、カソード触媒層を形成した。
工程(d):
毎分2mの速度でETFEフィルムを送りながら、ETFEフィルムの表面に、アノード触媒層形成用ペーストを白金量で0.05mg/cmとなるようにダイコータで塗布し、乾燥させ、アノード触媒層を形成した。
工程(e):
毎分2mの速度でアノード触媒層付きETFEフィルムを送りながら、アノード触媒層の表面に、乾燥後のトータル膜厚が17μmとなるようにポリマー(H1)分散液(B)を2回に分けてダイコータで塗布し、乾燥させ、高分子電解質膜を形成した。
工程(f’):
中間層およびカソード触媒層が表面に形成されたETFEフィルムと、アノード触媒層および高分子電解質膜が形成されたETFEフィルムとを、カソード触媒層が高分子電解質膜に接するようにホットプレス法によって接合し、中間層付き膜触媒層接合体を得た。
工程(g’):
中間層付き膜触媒層接合体から両面のETFEフィルムを取り除いた後、中間層の外側にガス拡散性基材(NOK社製、X0086 T10X13)を配し、アノード触媒層の外側にガス拡散性基材(NOK社製、GDL X0086 IX51 CX173)を配し、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例2)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(2)を用いた以外は、例1と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例3)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(3)を用いた以外は、例1と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例4)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(4)を用いた以外は、例1と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例5)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(5)を用いた以外は、例1と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例6)
工程(a”)+乾燥:
毎分2mの速度でガス拡散性基材(NOK社製、X0086 T10X13)を送りながら、ガス拡散性基材の表面に、中間層形成用ペースト(1)を固形分で3mg/cmとなるようにダイコータで塗布し、120℃で乾燥させ、中間層を形成した。
工程(b)+乾燥:
毎分2mの速度で中間層付きガス拡散性基材を送りながら、中間層の表面に、カソード触媒層形成用ペースト(a1)を白金量で0.35mg/cmとなるようにダイコータで塗布し、120℃で乾燥させ、カソード触媒層を形成し、カソードを得た。
工程(d)、工程(e):
例1と同様にして、アノード触媒層および高分子電解質膜が形成されたETFEフィルムを得た。
工程(f”):
カソードと、アノード触媒層および高分子電解質膜が形成されたETFEフィルムとを、カソード触媒層が高分子電解質膜に接するようにホットプレス法によって接合し、膜電極接合体前駆体を得た。
工程(g”):
膜電極接合体前駆体からETFEフィルムを取り除いた後、アノード触媒層の外側にガス拡散性基材(NOK社製、GDL X0086 IX51 CX173)を配し、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例7)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(2)を用いた以外は、例6と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例8)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(3)を用いた以外は、例6と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例9)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(4)を用いた以外は、例6と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例10)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(5)を用いた以外は、例6と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表1に示す。
(例11)
工程(a’):
毎分2mの速度でETFEフィルムを送りながら、ETFEフィルムの表面に、中間層形成用ペースト(1)を固形分で3mg/cmとなるようにダイコータの第1のダイで塗布し、第1のウェット膜を形成した。
工程(b):
引き続き、毎分2mの速度で第1のウェット膜付きETFEフィルムを送りながら、第1のウェット膜の表面に、カソード触媒層形成用ペースト(a1)を白金量で0.35mg/cmとなるように、第1のダイから60cm離れた第2のダイで塗布し、第2のウェット膜を形成した。工程(a’)の終了から工程(b)の開始までの時間は、18秒間であった。工程(a’)および工程(b)と同じ雰囲気下で、第1のウェット膜について放置時間と液状媒体の残存率との関係を調べ、あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
工程(c):
第2のウェット膜を形成した直後、第1のウェット膜および第2のウェット膜を120℃で乾燥させ、中間層およびカソード触媒層が表面に形成されたETFEフィルムを得た。
工程(d)、工程(e):
例1と同様にして、アノード触媒層および高分子電解質膜が形成されたETFEフィルムを得た。
工程(f’)、工程(g’):
中間層およびカソード触媒層が表面に形成されたETFEフィルム、およびアノード触媒層および高分子電解質膜が形成されたETFEフィルムを変更した以外は、例1と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例12)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(2)を用いた以外は、例11と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例13)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(3)を用いた以外は、例11と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例14)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(4)を用いた以外は、例11と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例15)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(5)を用いた以外は、例11と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例16)
工程(a”):
毎分2mの速度でガス拡散性基材(NOK社製、X0086 T10X13)を送りながら、ガス拡散性基材の表面に、中間層形成用ペースト(1)を固形分で3mg/cmとなるようにダイコータの第1のダイで塗布し、第1のウェット膜を形成した。
工程(b):
引き続き、毎分2mの速度で第1のウェット膜付きガス拡散性基材を送りながら、第1のウェット膜の表面に、カソード触媒層形成用ペースト(a1)を白金量で0.35mg/cmとなるように、第1のダイから60cm離れた第2のダイで塗布し、第2のウェット膜を形成した。あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
工程(c):
第2のウェット膜を形成した直後、第1のウェット膜および第2のウェット膜を120℃で乾燥させ、カソード中間層およびカソード触媒層を形成し、カソードを得た。
工程(d)、工程(e):
例1と同様にして、アノード触媒層および高分子電解質膜が形成されたETFEフィルムを得た。
工程(f”)、工程(g”):
カソード、およびアノード触媒層および高分子電解質膜が形成されたETFEフィルムを変更した以外は、例6と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散性基材の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例17)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(2)を用いた以外は、例16と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例18)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(3)を用いた以外は、例16と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例19)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(4)を用いた以外は、例16と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例20)
中間層形成用ペースト(1)の代わりに中間層形成用ペースト(5)を用いた以外は、例16と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例21)
中間層形成用ペースト(2)の代わりに中間層形成用ペースト(6)を用いた以外は、例12と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例22)
カソード触媒層形成用ペースト(a1)の代わりにカソード触媒層形成用ペースト(a3)を用いた以外は、例12と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例23)
中間層形成用ペースト(2)の代わりに中間層形成用ペースト(7)を用いた以外は、例12と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
(例24)
カソード触媒層形成用ペースト(a1)の代わりにカソード触媒層形成用ペースト(a2)を用いた以外は、例12と同様にして、膜電極接合体(電極面積:25cm)を得た。さらに、両面のガス拡散層の外側にカーボンセパレーターを配し、発電用セルを組み立てた。
あらかじめ作成した検量線から見積もられる、工程(b)の開始直前における第1のウェット膜の液状媒体の残存率は、70%となる。
カソード触媒層の表面状態の評価、およびセル電圧の測定の結果を表2に示す。
Figure 2015195187
Figure 2015195187
例1〜例10は、乾燥によって中間層を形成した後に、中間層の表面にカソード触媒層形成用ペーストを塗布した例である。
例1〜例4、例6〜例9は、中間層とカソード触媒層との界面の密着性が不充分であり、セル電圧は低かった。
例5、例10は、中間層形成用ペーストの粘度が高すぎたため、中間層に筋状のムラが生じ、その結果、触媒層にも筋状のムラが生じた。また、セル電圧は低かった。
例11〜例20は、中間層形成用ペーストを塗布して第1のウェット膜を形成し、第1のウェット膜の表面にカソード触媒層形成用ペーストを塗布して第2のウェット膜を形成し、第1のウェット膜および第2のウェット膜を乾燥させた例である。
例12〜例14、例17〜例19は、中間層とカソード触媒層との界面の密着性が充分であり、セル電圧は高かった。
例11は、中間層形成用ペーストの粘度が低すぎたため、カソード触媒層にクラックが発生した。
例16は、中間層形成用ペーストの粘度が低すぎたため、第1のウェット膜がガス拡散性基材に浸透し、第1のウェット膜に斑状の塗布ムラが生じ、その結果、触媒層にも斑状のムラが生じた。また、セル電圧は低かった。
例15、例20は、中間層形成用ペーストの粘度が高すぎたため、第1のウェット膜に筋状の塗布ムラが生じ、その結果、触媒層にも筋状のムラが生じた。また、セル電圧は低かった。
例21〜例24は、中間層形成用ペーストの液状媒体の組成、またはカソード触媒層形成用ペーストの液状媒体の組成を変更した以外は、例12と同様に行った例である。
例21は、中間層形成用ペーストの液状媒体の組成が好ましい範囲を外れたため、触媒層に所々クラックが生じた。
例22は、カソード触媒層形成用ペーストの液状媒体の組成が好ましい範囲を外れたため、触媒層に所々クラックが生じた。
例23、例24は、中間層とカソード触媒層との界面の密着性が充分であり、セル電圧は高かった。
本発明の製造方法で得られた膜電極接合体は、発電性能の高い固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体として有用である。
10 膜電極接合体
20 アノード
22 触媒層
24 中間層
26 ガス拡散層
30 カソード
32 触媒層
34 中間層
36 ガス拡散層
40 高分子電解質膜
50 第1のキャリアフィルム
52 第2のキャリアフィルム
132 第2のウェット膜
134 第1のウェット膜

Claims (8)

  1. 触媒層およびガス拡散層を有するアノードと、触媒層およびガス拡散層を有するカソードと、前記アノードの触媒層と前記カソードの触媒層との間に配置された高分子電解質膜とを備え、前記アノードおよび前記カソードのいずれか一方または両方が、前記触媒層と前記ガス拡散層との間に中間層を有する固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を製造する方法であって、
    下記工程(a)、工程(b)および工程(c)を有する、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
    (a)基材の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜を形成する工程。
    (b)前記工程(a)よりも後に、前記第1のウェット膜の表面に、触媒、イオン交換樹脂および液状媒体を含む触媒層形成用ペーストを塗布し、第2のウェット膜を形成する工程。
    (c)前記工程(b)よりも後に、前記第1のウェット膜および前記第2のウェット膜を乾燥させ、中間層および触媒層を形成する工程。
  2. 少なくとも前記カソードが、前記中間層を有する、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  3. 前記工程(b)は前記第1のウェット膜中の液状媒体の残存率が40%以上であるうちに行われる、請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  4. 前記工程(a)が、下記工程(a’)であり、
    下記工程(f’)および工程(g’)をさらに有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
    (a’)キャリアフィルムの表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜を形成する工程。
    (f’)前記工程(c)よりも後に、前記中間層および前記触媒層が表面に形成されたキャリアフィルムと、高分子電解質膜とを、前記触媒層が前記高分子電解質膜に接するように接合し、中間層付き膜触媒層接合体を得る工程。
    (g’)前記工程(f’)よりも後に、キャリアフィルムを取り除き、前記中間層付き膜触媒層接合体と、ガス拡散層を構成するガス拡散性基材とを、前記中間層が前記ガス拡散性基材に接するように接合する工程。
  5. 前記工程(a)が、下記工程(a”)であり、
    下記工程(f”)をさらに有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
    (a”)ガス拡散層を構成するガス拡散性基材の表面に、炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである中間層形成用ペーストを塗布し、第1のウェット膜を形成する工程。
    (f”)前記工程(c)よりも後に、前記中間層および前記触媒層が表面に形成されたガス拡散性基材と、高分子電解質膜とを、前記触媒層が前記高分子電解質膜に接するように接合する工程。
  6. 前記中間層形成用ペーストが、前記液状媒体として有機溶媒および水を含み、
    前記有機溶媒と前記水との比(有機溶媒:水)が、55:45〜30:70(質量比)である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  7. 前記触媒層形成用ペーストが、前記液状媒体として有機溶媒および水を含み、
    前記有機溶媒と前記水との比(有機溶媒:水)が、70:30〜45:55(質量比)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  8. 触媒層およびガス拡散層を有するアノードと、触媒層およびガス拡散層を有するカソードと、前記アノードの触媒層と前記カソードの触媒層との間に配置された高分子電解質膜とを備え、前記アノードおよび前記カソードのいずれか一方または両方が、前記触媒層と前記ガス拡散層との間に中間層を有する固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造に用いられる、中間層形成用ペーストであって、
    炭素材料、ポリマーおよび液状媒体を含み、流動解析用粘度計RE550(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定されたずり速度200(1/s)における粘度が250〜450mPa・sである、中間層形成用ペースト。
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