JP2014213683A - 船外機のチルトアップ補助構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チルト軸を中心にした船外機本体の推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で、船外機本体を段階的に支持するチルトアップ支持部を有し、ハンドル部50は、船外機本体の前部に結合されたハンドルブラケット51と、ハンドルブラケット51の前側に延出する延出位置から折り畳み位置まで水平軸Hを中心に回動可能に設けられるステアリングハンドル52と、水平軸Hを中心にしたステアリングハンドル52の延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内で、ステアリングハンドル52の下側への回動を段階的に規制するハンドル規制部60と、を有する。
【選択図】図5
Description
図1は、船外機の構成を示す側面図である。
船外機1は、船外機本体10と、クランプ部30と、ハンドル部50とを備えている。
パワーユニット11は、駆動源としてのエンジン(船外機用内燃機関)12がエンジンカバー13により覆われて構成されている。エンジン12には、クランクシャフトを鉛直方向に配置したバーティカル(縦)型が用いられる。
このように構成される船外機本体10では、エンジン12からの出力によりクランクシャフト、ドライブシャフト15、ベベルギア19およびプロペラシャフト20を介してプロペラ21を回転させる。プロペラ21が回転することで、船外機1が取り付けられた船体2は前側または後側に推進する。
クランプブラケット31は左右に離間して一対で構成され、それぞれが後尾板3を前後から挟み込むことにより後尾板3に固定される。
回動部32aは、一対のクランプブラケット31間に水平方向に架設されたクランプブラケットシャフト33を介して上下方向(チルト方向)に回動自在に軸支されている。操船者は、クランプブラケットシャフト33の軸心となるチルト軸Tを中心にして、船外機本体10すなわち推進ユニット18を水中から引き上げる、いわゆるチルトアップを行うことができる。本実施形態では、船外機本体10が略鉛直状態であって推進ユニット18により船体2が推進可能な推進位置から、船外機本体10が略水平状態であって推進ユニット18が水中から完全に露出されるチルト完了位置までの間を回動可能である。
図3は、図2に示すI−I線を切断して矢印方向から見た断面図である。図4は、図2に示す状態から船外機本体10のチルト完了位置の状態を示す断面図である。
チルトアップ支持部35は、船外機本体10の推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で、自重により推進位置に戻ろうとする船外機本体10を段階的に支持する。本実施形態のチルトアップ支持部35は、クランプ部30の一部であって、クランプブラケット31とスイベルブラケット32との間に配設されている。
係合ピン36は、左右一対の支持アーム37(37a、37b)の先端側であって船外機1の外側にそれぞれ屈曲して形成されている。支持アーム37(37a、37b)は、スイベルブラケット32の回動部32aのうち支持部32bに近接した位置に支持シャフト38(38a、38b)を介して回動自在に軸支されている。したがって、船外機本体10がチルトアップされたときに、スイベルブラケット32の上側への回動に応じて支持アーム37、すなわち係合ピン36も同様に上昇する。また、図3に示すように、支持アーム37a、37bは、下部が連結シャフト39によって連結されているので支持シャフト38a、38bを中心にして常に同期して動作する。
また、支持シャフト38aの他方側の端部には操作レバー42が形成されている。図2では、操作レバー42は支持シャフト38aの端部から後側に向かって延出している。操船者は操作レバー42を図2に示す矢印A方向に回動させることができる。操作レバー42を回動させることにより支持シャフト38aを介して揺動アーム40も同方向に回動する。このとき、揺動アーム40が支持シャフト38aを通る鉛直線を超えて矢印A方向に回動すると、揺動アーム40は支持シャフト38aの軸心から前側に向かって延出することから、係合ピン36は引っ張りバネ41によって前側に向かって付勢される。
被係合溝45aは、係合ピン36が係合することによって、チルト完了位置の船外機本体10を支持する。図4は、被係合溝45aに係合ピン36が係合した状態を示す図である。図4に示すように、船外機本体10は、被係合溝45aに係合した係合ピン36を介して支持アーム37によりチルト完了位置で支持される。
また、被係合溝45b、45cは、係合ピン36が係合することによって、推進位置からチルト完了位置までを回動する途中の船外機本体10を支持する。
ハンドル部50は、船体2を旋回させたいときに操船者により操舵される。ハンドル部50は、ハンドルブラケット51と、ステアリングハンドル52とを有している。
ハンドルブラケット51は、前側に延出されたアッパステアリングブラケット17aの先端に結合される。図5は、ハンドル部50を斜め上側から見た斜視図である。ハンドルブラケット51は、右側ハンドルブラケット51aおよび左側ハンドルブラケット51bにより構成されている。右側ハンドルブラケット51aおよび左側ハンドルブラケット51bがステアリングハンドル52の基端部53を左右から挟み込むことで、ステアリングハンドル52がハンドルブラケット51に取り付けられる。
図6Aおよび図6Bは、ステアリングハンドル52の基端部53の周辺を示す側面図および斜視図である。図6Aおよび図6Bは、左側ハンドルブラケット51bを取り外した状態を示している。図7は、図5に示すII−II線を切断して矢印方向から見た断面図である。
ハンドル規制部60は、ステアリングハンドル52の延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内で、ステアリングハンドル52の下側への回動を段階的に規制する。また、ハンドル規制部60は、ステアリングハンドル52の下側への回動を規制する一方、上側への回動を許容するように構成される。本実施形態のハンドル規制部60は、ハンドル部50の一部であって、ハンドルブラケット51とステアリングハンドル52との間に配設されている。
ラチェット爪61は、解除部材62の一部であってラチェットカム71側に突出して形成されている。図7に示すように、解除部材62は、左側ハンドルブラケット51bを水平方向に挿通し、右側ハンドルブラケット51aに締結された支持ボルト63により回動可能に軸支されている。解除部材62は、第1付勢部材としての捩りバネ64によって支持ボルト63を中心にして常に一方の回動方向(図6Aに示すB方向)に付勢されている。また、解除部材62は、ハンドルブラケット51の当接面65と当接することで捩りバネ64による付勢が規制される。一方、解除部材62に対して他方の回動方向(図6Aに示すC方向)に力が加わった場合には、捩りバネ64の付勢に抗して解除部材62と共にラチェット爪61が他方に回動する(図6Aに示すB方向)。
捩りバネ64は、一端が解除部材62に当接され、他端が右側ハンドルブラケット51aに当接され、支持ボルト63により軸支されている。
ラチェットカム71aは、ラチェット爪61と係合することによって、折り畳み位置のステアリングハンドル52が下側に回動することを規制する。
また、ラチェットカム71b、71cは、ラチェット爪61が係合することによって、延出位置から折り畳み位置までを回動する途中のステアリングハンドル52が下側に回動することを規制する。一方、ラチェットカム71b、71cは、ステアリングハンドル52の上側への回動を許容する。
図6Aは、ステアリングハンドル52が延出位置の状態を示す図である。図6Aでは、基端部53と右側ハンドルブラケット51aとが当接することでステアリングハンドル52の下側への回動が規制されている。
図8Bは、図8Aからステアリングハンドル52を更に回動させた状態を示す図である。図8Bに示すように、ステアリングハンドル52の回動に応じてラチェットカム71cが回動すると、ラチェット爪61はガイド面74によって下側に押圧される。したがって、解除部材62には他方の回動方向への力が加えられることにより、捩りバネ64の付勢に抗してラチェット爪61が他方の回動方向に回動する(図8Bに示すC方向)。このとき、ラチェット爪61はラチェットカム71cの回動に応じてガイド面74によってガイドされる。
具体的には、解除部材62は、支持ボルト63の軸方向に沿って摺動可能である。図7に示すように、左側ハンドルブラケット51bのうち解除部材62と対向する位置には、解除部材62を収容可能な空間66が形成されている。空間66は、収容された解除部材62が一方の回動方向(図6Aに示す矢印B方向)に僅かに回動できるように形成されている。また、図6Bおよび図7に示すように、解除部材62は、第2付勢部材としての圧縮バネ67によって常に空間66から離間する方向に付勢される。更に、解除部材62は、操船者が解除部材62を操作するためのレバー部68が上側に突出した後に左側ハンドルブラケット51b側に屈曲して形成されている。
圧縮バネ67は、左側ハンドルブラケット51bと解除部材62との間で支持ボルト63により軸支されている。
図9Aは、ラチェット機構の作用を解除する前の状態である。すなわち、図9Aに示す状態では、前後方向で見て、ラチェット爪61とラチェットカム71とが対向し重なり合っているので、ステアリングハンドル52の下側への回動を規制され、上側への回動が許容される状態である。
図10Aは、ステアリングハンドル52を上側に回動させて、ハンドル規制部60によりステアリングハンドル52の下側への回動が規制されている状態を示している。図10Aでは、ステアリングハンドル52が前斜め上側に向かって延出した状態で下側への回動が規制されている。
図10Bは、ステアリングハンドル52を下側に押し下げて、船外機本体10がチルトアップされている状態を示している。
なお、操船者はステアリングハンドル52を押し下げる量を大きくすることで、係合ピン36は被係合溝45cを通り越して被係合溝45bに係合する。すなわち、チルトアップにより船外機本体10の回動する量に応じて係合ピン36は被係合溝45cまたは被係合溝45bの何れかに係合する。ここでは、係合ピン36は被係合溝45bに係合したものとする。
図10Cは、ステアリングハンドル52を上側に回動させて、ハンドル規制部60によりステアリングハンドル52の下側への回動が規制されている状態を示している。図10Cでは、ステアリングハンドル52が前斜め上側に向かって延出した状態で下側への回動が規制されている。
また、本実施形態の船外機1は、ステアリングハンドル52の延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内でステアリングハンドル52の下側への回動を段階的に規制するハンドル規制部60を有している。したがって、チルトアップ支持部35により段階的に支持された船外機本体10に対して、操船者がステアリングハンドル52を押し下げやすい位置で下側への回動を規制することができるため、操船者はチルトアップを容易に行うことができる。
また、ハンドル規制部60は、ラチェットカム71とラチェット爪61との係合を解除する解除部材62を有することから、船外機本体10のチルトアップをしない場合にラチェットカム71とラチェット爪61との係合を解除させることができる。
また、解除部材62によるラチェットカム71とラチェット爪61との係合の解除を保持する保持機構を有することから、船外機本体10のチルトアップをしない場合にラチェットカム71とラチェット爪61との係合の解除を保持することができる。
上述した実施形態では、船外機本体10の推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で船外機本体10を段階的に支持するために、チルトアップ支持部35が複数の被係合溝45b、45cを有する場合について説明した。すなわち、チルトアップ支持部35は、船外機本体10を被係合溝45b、45cにより2段階で支持する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、被係合溝45を更に増やすことで船外機本体10を3段階以上の複数段階で支持してもよく、被係合溝45b、45cを1つのみで構成することで1段階のみで支持してもよい。
また、上述した本実施形態では、ラチェットカム71aがラチェット爪61と係合することによって、折り畳み位置のステアリングハンドル52が下側に回動することを規制する場合について説明したが、この場合に限られない。ラチェットカム71aとラチェット爪61とが係合した状態では、ステアリングハンドル52が折り畳み位置に到る手前の状態であってもよく、この場合には、ラチェットカム71aも、ラチェットカム71b、71cと同様に、ステアリングハンドル52の下側への回動を規制し、上側への回動を許容するラチェット機構の一部を構成する。
Claims (5)
- 船体に固定されるクランプブラケットと、
前記クランプブラケットにチルト軸を中心に回動可能に設けられるスイベルブラケットと、
前記スイベルブラケットにスイベル軸を中心に回動可能に設けられる船外機本体と、
前記船外機本体に結合されるハンドル部と、を有する船外機において、
前記チルト軸を中心にした前記船外機本体の推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で、前記船外機本体を段階的に支持するチルトアップ支持部を有し、
前記ハンドル部は、
前記船外機本体の前部に結合されたハンドルブラケットと、
前記ハンドルブラケットの前側に延出する延出位置から折り畳み位置まで水平軸を中心に回動可能に設けられるステアリングハンドルと、
前記水平軸を中心にした前記ステアリングハンドルの延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内で、前記ステアリングハンドルの下側への回動を段階的に規制するハンドル規制部と、を有することを特徴とする船外機のチルトアップ補助構造。 - 前記ハンドル規制部は、
前記ステアリングハンドルの上側への回動を許容する一方、下側への回動を規制するラチェット機構を有することを特徴とする請求項1に記載の船外機のチルトアップ補助構造。 - 前記ハンドル規制部は、
前記ステアリングハンドルの基端部に形成された円状部の外周から径方向に突出し、前記外周に沿って離間して形成された複数のラチェットカムと、
前記ハンドルブラケットに設けられ、前記複数のラチェットカムの何れかに係合するラチェット爪と、を有することを特徴とする請求項2に記載の船外機のチルトアップ補助構造。 - 前記ハンドル部は、
前記ハンドル規制部の前記ラチェットカムと前記ラチェット爪との係合を解除する解除部材を有することを特徴とする請求項3に記載の船外機のチルトアップ補助構造。 - 前記ハンドル部は、
前記解除部材による前記ラチェットカムと前記ラチェット爪との係合の解除を保持する保持機構を有することを特徴とする請求項4に記載の船外機のチルトアップ補助構造。
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