JP2014198037A - グルテン改質物、その製造方法、及びそれを含む食品 - Google Patents

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太洋 廣▲瀬▼
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Abstract

【課題】本発明の目的は、グルテンを改質して、優れた吸水性と乳化性を備えさえる技術を提供することである。【解決手段】グルテンを重合させることにより得られ、活性度が80%以下であり、且つ吸水率が200%以上を満たすグルテン改質物は、優れた吸水性及び乳化性を備え、乳化性を有する吸水性食品素材として使用できる。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた吸水性と乳化性を有するグルテン改質物に関する。また、本発明は、当該グルテン改質物の製造方法及びそれを使用した食品に関する。
グルテンは、穀物デンプンの製造における副産物として供給量が豊富であり、乳化性、凝集性、粘弾性等の物性を示すことも知られており、その利用拡大を目的として、その物性の向上が試みられ、その改質物が種々提案されている。
例えば、特許文献1及び2では、グルテンを酸性条件下で加水分解して脱アミド処理することにより、乳化性、肉製品に付与する食感や風味を向上でき、肉製品の添加剤として使用できることが開示されている。特許文献3には、グルテンに対して、アルカリによる加水分解と、酸、酵素、酸化剤又は還元剤を用いた分解処理とを行うことにより、低起泡性の界面活性作用を備えさせ得ることが開示されている。特許文献4には、小麦グルテンをプロテアーゼ消化又は酸分解した後にトランスグルタミナーゼを作用させて小麦グルテン分解物を架橋・重合することによって、乳化性や起泡性を向上させ得ることが開示されている。特許文献5には、小麦グルテンを部分的に加水分解して、平均分子量が20,000〜60,000、且つ分子量20,000〜80,000の分子が40重量%以上、分子量10,000〜120,000の分子が70重量%以上に調整することにより、乳化性や溶解性を向上させ得ることが開示されている。非特許文献1には、コハク酸及びクエン酸には、小麦グルテンの脱アミド化能が強く、特にクエン酸で脱アミド化した小麦グルテンは、栄養的特徴に優れていることが開示されている。
一方、加工食品の殆どは、多かれ少なかれ水を含んでいる。このような水を含む加工食品では、水の量や状態によって食品の物性は大きく変化するため、水の挙動をコントロールすることは非常に重要である。例えば、冷凍食品では、冷凍保存した時に食品中の水が氷結晶になり、それが成長して大きくなっていき、成長した氷結晶は解凍した際に離水として現れ、冷凍食品の品質低下を招いてしまう。また、水分が多い内部具材を水分が少ない外部具材に包み込んだ食品、例えば、フライ食品、中華饅頭、餃子、焼売、サンドウィッチ等においては、内部具材の水分が被覆素材に移行すると、被覆素材の食味、食感、外観等が損なわれてしまう。そこで、従来、水を含む加工食品において、離水や、他の具材への水分の移行を抑制し、食品の製造作業性、歩留まり、保形性、保存性、食感などを向上させる上で、水分を安定に保持できる吸水性素材の使用が有効とされている。
また、加工食品に使用される吸水性素材には、吸水性のみならず、加工食品中の複数の成分と均質に分散するために乳化性も必要とされている。一方、グルテンは、不溶性を示し、固体として存在することから、ある程度の吸水作用が期待でき、更にはタンパク質であるが故に一定の乳化性を示すことから、加工食品における吸水性素材として使用できる可能性を秘めている。しかしながら、グルテン自体では、吸水性が低く、しかも乳化性も十分でないため、吸水性素材として実用化できない。また、前述する従来のグルテンの改質物では、グルテンの不溶性という性質を欠点とみなし、その欠点を取り除くために、小麦グルテンを一部加水分解することにより親水性官能基によりグルテンを水溶性に改変しているか、若しくは水溶性画分を利用しているため、そもそも吸水性を備えておらず、吸水性素材として使用できるものではない。
このように、従来技術では、優れた吸水性と乳化性を備えたグルテン改質物については開発できていないのが現状である。
特開昭53−124654号公報 特開昭55−74774号公報 特開平1−014274号公報 特開平10−75716号公報 特開平10−295281号公報
本発明は、グルテンを改質して、優れた吸水性と乳化性を備えさえる技術を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、グルテンを重合させることにより得られ、活性度が80%以下であり、且つ吸水率が200%以上を満たすグルテン改質物は、優れた吸水性及び乳化性を備え、乳化性を有する吸水性食品素材として使用できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. グルテンを重合させることにより得られ、活性度が80%以下であり、且つ吸水率が200%以上であることを特徴とする、グルテン改質物。
項2. 25℃において脱イオン水に対して、グルテン改質物を10重量%となるように添加して分散させた際に、分散液のpHが3.0〜5.5を示す、項1に記載のグルテン改質物。
項3. 脱アミド化率が3%以下である、項1又は2に記載のグルテン改質物。
項4. 前記グルテンが小麦グルテンである、項1〜3のいずれかに記載のグルテン改質物。
項5. 粉末状である、項1〜4のいずれかに記載のグルテン改質物。
項6. グルテンを酸性水溶液に添加してグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を加熱温度が50℃超、且つ[加熱温度(℃)−50℃]と[50℃超での各加熱温度における加熱時間(分)]と[グルテン分散物のタンパク質濃度(%)/100]の積で表される総タンパク質加熱積算値が40℃・分以上となるように加熱処理することにより製造される、項1〜5のいずれかに記載のグルテン改質物。
項7. グルテンを酸性水溶液に添加して25℃での粘度が250mPa・s以上のグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を100℃以上の温度で加熱乾燥することにより製造される、項1〜5のいずれかに記載のグルテン改質物。
項8. グルテンを酸性水溶液に添加してグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を、加熱温度が50℃超、且つ[加熱温度(℃)−50℃]と[50℃超での各加熱温度における加熱時間(分)]と[グルテン分散物のタンパク質濃度(%)/100]の積で表される総タンパク質加熱積算値が40℃・分以上となるように加熱処理する工程を含むことを特徴とする、グルテン改質物の製造方法。
項9. グルテンを酸性水溶液に添加して25℃での粘度が250mPa・s以上のグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を100℃以上の温度で加熱乾燥する工程を含むことを特徴とする、グルテン改質物の製造方法。
項10. 項1〜7のいずれかに記載のグルテン改質物を含むことを特徴とする、加工食品。
本発明のグルテン改質物は、優れた吸水性及び乳化性を備えており、乳化性を有する吸水性食品素材として、各種加工食品において乳化性や保水性を高めるために使用できる。また、本発明のグルテン改質物は、加工食品に含まれる糖質、脂質、タンパク質等の種々の成分を安定に保持させるため、加工食品が有する本来の風味や食感を損なうことなく安定に呈させることもできる。更に、本発明のグルテン改質物は、それ自体、ソフト感、弾力感、軽い食感等の斬新な食感を付与することができるので、食感改質剤として使用することもできる。
本発明のグルテン改質物は、グルテンを重合させることにより得られ、活性度が80%以下であり、且つ吸水率が200%以上であることを特徴とする。以下、本発明のグルテン改質物について詳述する。
[グルテン改質物の物性]
本発明のグルテン改質物は活性度が80%以下である。本明細書において、「活性度」とは、グルテンの重合度を表す指標であり、酢酸水溶液に対する溶解度として求められる物性値である。より具体的には、本発明における「活性度」は、0.1モル/Lの酢酸水溶液25mLに対してグルテン改質物1gを添加し、25℃で18時間振盪した後に、酢酸水溶液に溶解したタンパク質量を求め、下記式に従って算出される値である。
活性度(%)={(酢酸水溶液に溶解したタンパク質量)/(グルテン改質物に含まれる総タンパク質量)}×100
本発明のグルテン改質物の活性度は、80%以下であればよいが、乳化性をより一層向上させるという観点から、好ましくは20〜80%、更に好ましくは25〜80%、特に好ましくは30〜80%が挙げられる。
また、本発明のグルテン改質物は、吸水率が200%以上である。グルテンは、本来、疎水性領域が多く、親油性を示すタンパク質であるが、前述する活性度の範囲を充足させつつ吸水率を200%以上に改質することにより、吸水性が向上し、優れた乳化性を獲得することが可能になる。なお、本明細書において、「吸水率」とは、グルテン改質物の乾燥重量に対して吸水可能な水の割合である。本発明において、吸水率は、具体的には、グルテン改質物(乾燥物)に対して、重量比で10倍量の25℃の脱イオン水を加えて十分に撹拌して分散させた後に、遠心分離により液体画分と沈殿物に分離して沈殿物の重量を測定し、下記式に従って算出される値である。
吸水率(%)={(沈殿物の重量−使用したグルテン改質物の重量)/(使用したグルテン改質物の重量)}×100
本発明のグルテン改質物の吸水率は、200%以上であればよいが、好ましくは200〜500%、更に好ましくは220〜400%、より好ましくは250〜400%、特に好ましくは290〜400%が挙げられる。
本発明のグルテン改質物は、前述する特定の活性度と吸水率を満たすことによって、従来のグルテン改質物では実現し得なかった優れた吸水性及び乳化性を備えることが可能になる。
本発明のグルテン改質物は、前述する活性度と吸水率を充足する限り、水に添加された際に呈するpH特性については特に制限されないが、例えば、25℃において脱イオン水に本発明のグルテン改質物を10重量%となるように添加して撹拌した際の液性として、pHが3.0〜5.5、好ましくは3.5〜5.5、更に好ましくは3.5〜5.0となる範囲が挙げられる。
また、本発明のグルテン改質物は、実質的に脱アミド化することなく、グルテンを重合することにより得られるため、原料として使用されるグルテンと同程度のアミド化率を有している。より具体的には、本発明のグルテン改質物の脱アミド化率としては、通常3%以下、好ましくは1%以下が挙げられる。なお、本明細書において、グルテン改質物の脱アミド化率とは、下記の式により算出される値である。
脱アミド化率(%)={(原料として使用したグルテンのアミド態窒素量−グルテン改質物のアミド態窒素量)/原料として使用したグルテンのアミド態窒素量}×100
[グルテンの由来]
本発明のグルテン改質物の製造に使用されるグルテンの由来については、特に制限されず、小麦、トウモロコシ、米、大麦、モロコシ、ライ麦等のいずれであってもよいが、より一層優れた吸水性及び乳化性を備えさせるという観点から、好ましくは小麦が挙げられる。
また、本発明のグルテン改質物の製造に使用されるグルテンは、グルテン含有穀物かから取り出された生グルテンであってもよく、また生グルテンを乾燥させた活性グルテンであってもよい。
[グルテン改質物の製法]
本発明のグルテン改質物の製造方法については、活性度が80%以下であり、且つ吸水率が200%以上であるグルテンの重合物が得られることを限度として、特に制限されず、いかなる製造方法であってもよいが、好適な例として、生グルテン又は活性グルテンを酸性水溶液に添加して加熱処理する方法(以下、第1法と記載することもある)、生グルテン又は活性グルテンを酸性水溶液に添加して加熱乾燥する方法(以下、第2法と記載することもある)が挙げられる。以下、本発明のグルテン改質物の製造方法について、第1法と第2法に分けて説明する。
(第1法)
第1法は、具体的には、グルテンを酸性水溶液に添加してグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を、加熱温度が50℃超、且つ[加熱温度(℃)−50℃]と[50℃超での各加熱温度における加熱時間(分)]と[グルテン分散物のタンパク質濃度(%)/100]の積で表される総タンパク質加熱積算値が40℃・分以上となるように加熱処理する方法である。このような酸性環境下で所定条件での加熱処理を行うことにより、グルテンを活性度が80%以下であり、且つ吸水率が200%以上となるように効率的に重合(架橋)させることができる。
第1法において、前記酸性水溶液の調製に使用される酸については、食品製造の使用に許容されるものである限り、有機酸又は無機酸の別を問わないが、例えば、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸、アジピン酸等の有機酸;塩酸、リン酸、炭酸、硫酸等の無機酸が挙げられる。これらの酸の中でも、好ましくは酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸が挙げられる。これらの酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、第1法で使用される酸性水溶液における酸含有量については、使用する酸の種類に応じて、酸性水溶液に付与すべきpHとなるように適宜設定すればよい。酸性水溶液における酸含有量として、具体的には、原料となるグルテンが添加された状態でのpHが、通常3.0〜5.5好ましくは3.5〜5.5、更に好ましくは3.5〜5.0、特に好ましくは3.9〜4.9となるように設定すればよい。このようなpHを充足する酸性水溶液を使用することにより、前述する活性度及び吸水率を備えるグルテン改質物を効率的に製造することが可能になる。
第1法において、酸性水溶液に対して添加する生グルテン又は活性グルテンの量、即ちグルテン分散物中の生グルテン又は活性グルテンの量については、特に制限されないが、グルテン分散物中で、生グルテン又は活性グルテンに由来するタンパク質の濃度が、例えば1〜80重量%、好ましくは2〜50重量%、更に好ましくは5〜30重量%が挙げられる。このような濃度に設定することにより、加熱処理によって効率的に活性度を80%以下且つ吸水率を200%以上にすることが可能になる。
また、第1法における前記加熱処理の加熱条件については、加熱温度が50℃以上、且つ[加熱温度(℃)−50℃]と[50℃以上での各加熱温度における加熱時間(分)]と[グルテン分散物のタンパク質濃度(%)/100]の積で表される総タンパク質加熱積算値が40℃・分以上となるように適宜設定すればよい。このような特定の熱履歴を加えることによって、効率的に活性度を80%以下且つ吸水率を200%以上にすることが可能になる。なお、本明細書において、グルテン分散物のタンパク質濃度の単位「%」は、重量%を示す。
ここで、加熱積算値は、50℃超の温度領域における加熱温度曲線の面積であり、例えば、50℃から80℃まで20℃/分で昇温、80℃から90℃まで10℃/分で昇温、90℃に20分間保持、及び90℃から80℃まで2℃/分で降温し、80℃に到達後、水道水で即座に冷却した場合には以下のようになる。
昇温時(50℃から80℃)の加熱積算値:(80−50)℃×{(80−50)/20}分/2=22.5℃・分
昇温時(80℃から90℃)の加熱積算値:[(90−50)℃×{(90−80)/10}分]−[(90−80)℃×{(90−80)/10}分/2]=35℃・分
保持中の加熱積算値:(90−50)℃×20分=800℃・分
冷却時の加熱積算値:[(90−50)℃×{(90−80)/2}分−[(90−80)℃×{(90−80)/2}分/2=175℃・分
加熱処理全体の加熱積算値:22.5+35+800+175=1032.5℃・分
また、総タンパク質加熱積算値とは、グルテン分散物の総タンパク質が受ける熱履歴のことである。グルテン分散物の熱感受性は、グルテン分散物のタンパク質濃度に依存し、タンパク質濃度が高くなるほど、熱感受性は大きくなる。即ち、グルテン分散物のタンパク質濃度と加熱積算値の積が総タンパク質加熱積算値であり、例えば、グルテン分散物のタンパク質濃度が12重量%で、そのときの加熱積算値が1032.5℃・分の場合には以下のようになる。
総タンパク質加熱積算値:12/100×1032.5℃・分=123.9℃・分
前記総タンパク質加熱積算値は、前述する活性度及び吸水率を備えるグルテン改質物をより一層効率的に製造するという観点から、好ましくは40〜2000℃・分、更に好ましくは40〜1000℃・分、特に好ましくは45〜950℃・分が挙げられる。
また、第1法における前記加熱処理の加熱温度は、50℃超であることを限度として特に制限されず、加熱温度が低い程、加熱時間が長くし、加熱温度が高い程、加熱時間を短縮すればよい。前述する活性度及び吸水率を備えるグルテン改質物をより一層効率的に製造するという観点から、前記加熱処理において最高到達温度が、好ましくは50超〜200℃、更に好ましくは55〜170℃、特に好ましくは60〜120℃が挙げられる。また、当該最高到達温度での保持時間としては、前記総タンパク質加熱積算値を充足できる範囲で適宜設定されるが、例えば1〜600分間、好ましくは1〜480分間、更に好ましくは1〜240分間が挙げられる。
また、前記加熱処理を行う際、グルテンの重合を促進する目的で、グルテン分散物には、必要に応じて、酸化還元剤、酸化還元酵素、塩類等の添加剤を添加してもよい。これらは、食品製造の使用に許容されるものである限り特に制限されないが、例えば、重亜硫酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、システイン含有ペプチド等の酸化還元剤;グルコースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ等の酸化還元酵素;リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の塩類が挙げられる。
前記加熱処理は、食品製造分野で使用されている加熱装置を使用しておこなうことができる。
斯して加熱処理することにより、グルテンを脱アミド化することなく重合して、前述す得る活性度と吸水率を備えるグルテン改質物が生成される。生成したグルテン改質物は、必要に応じて、凍結乾燥、熱風乾燥等の乾燥処理に供してもよい。更に、乾燥させたグルテン改質物は、必要に応じて、粉砕処理に供して粉末状に加工してもよい。
(第2法)
第2法では、具体的には、グルテンを酸性水溶液に添加して、25℃での粘度が250mPa・s以上のグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を100℃以上の温度で加熱乾燥する方法である。このような酸性環境下で所定条件での加熱乾燥を行うことによっても、グルテンを活性度が80%以下であり、且つ吸水率が200%以上となるように効率的に重合(架橋)させることができる。
第2法で使用される酸性水溶液における酸の種類及びpHについては、前記第1法で使用されるものと同様である。
また、第2法において、酸性水溶液に対して添加する生グルテン又は活性グルテンの量、即ちグルテン分散物中の生グルテン又は活性グルテンの量は、25℃での粘度が250mPa・s以上となるように設定される。このように高粘度のグルテン分散物を調製し、これを所定条件で加熱乾燥することによって、活性度を80%以下且つ吸水率を200%以上のグルテン改質物を得ることが可能になる。
また、前記グルテン分散物の25℃での粘度として、前述する活性度及び吸水率を備えるグルテン改質物をより一層効率的に製造するという観点から、グルテン分散物の25℃での粘度として、好ましくは400〜1000000mPa・s、更に好ましくは1000〜1000000mPa・s、より好ましくは4000〜1000000mPa・sが挙げられる。なお、本明細書において、25℃での粘度とは、B型粘度計を用いて、25℃の温度条件で、ローター回転数を20rpmに設定し、ローター回転開始後30秒の粘度の値を読み取ることにより測定される値である。粘度の値が、100mPa・s以上1000mPa・s未満の場合はローターH4、1000mPa・s以上10000未満Pa・sの場合はローターH5、10000mPa・s以上100000mPa・s未満の場合はローターH6、100000mPa・s以上の場合はローターH7を使用する。
また、前記グルテン分散物の水分含量については、前述する25℃での粘度を充足できるように適宜設定すればよいが、例えば50重量%以上、好ましくは65〜90重量%、更に好ましくは70〜90重量%が挙げられる。
前記グルテン分散物におけるグルテンの含有量については、前述する25℃での粘度を充足できるように適宜設定すればよいが、生グルテン又は活性グルテンに由来するタンパク質の濃度が、例えば5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは10〜30重量が挙げられる。
第2法において、「100℃以上の温度で加熱乾燥」とは、加熱乾燥に使用する装置の加熱温度を100℃以上に設定して加熱し、且つ加熱と同時に水分を蒸発させて乾燥することである。
第2法において、前記加熱乾燥の加熱温度については、100℃以上であることを限度として特に制限されないが、前述する活性度及び吸水率を備えるグルテン改質物をより一層効率的に製造するという観点から、好ましくは100〜250℃、更に好ましくは100〜200℃が挙げられる。
また、第2法における加熱乾燥に供する時間については、前記グルテン分散物が乾燥状態になる時間であればよく、加熱乾燥に使用する装置の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば0.1〜300秒、好ましくは0.5〜60秒、更に好ましくは0.5〜30秒が挙げられる。
第2法において、加熱乾燥を行うための装置としては、100℃以上での加熱と同時に乾燥が可能であることを限度として特に制限されないが、具体的には、フラッシュドライヤー、ドラムドライヤー、エクストルーダー等が挙げられる。
また、前記加熱乾燥を行う際、グルテンの重合を促進する目的で、グルテン分散物には、必要に応じて、酸化還元剤、酸化還元酵素、塩類等の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤の具体例については、前記第1法の場合と同様である。
斯して加熱乾燥することにより、グルテンを脱アミド化することなく重合して、前述す得る活性度と吸水率を備える乾燥状態のグルテン改質物が生成される。
一方、従来の活性グルテン粉末を製造する際も、フラッシュドライヤーがよく使用される。しかしながら、その場合は、加熱によるグルテンの熱変性を防止するために、グルテンは熱変性が受け難い仕組みになっている。従来技術では、グルテン分散物がフラッシュドライヤー内に送り込まれると同時に、大量の乾燥済みのグルテンと混合され、フラッシュドライヤー内で瞬時にグルテン分散物の水分含量を低下させている。そして、グルテン分散物が瞬時に低水分状態になることによって、グルテンは大きな熱変性を受けずに乾燥状態に至るようになっている。これに対して、本発明における第2法で加熱乾燥にフラッシュドライヤーを使用する場合には、フラッシュドライヤー内に投入された前記グルテン分散物が乾燥後のグルテン改質物が混合されて低水分状態にならないように操作条件を設定して加熱乾燥を行うことによって、前記グルテン分散物に十分な熱変性を与えることができ、その結果、前述する活性度と吸水率を備えたグルテン改質物を得ることが可能になる。
[グルテン改質物の形状]
本発明のグルテン改質物は、加工食品に添加して使用される限り、粉末状、固塊状等の固体状であってもよく、また分散液状であってもよいが、流通や保管における簡易性、使用簡便性等を踏まえると、好ましくは固形状、更に好ましくは粉末状が挙げられる。
[グルテン改質物の用途]
本発明のグルテン改質物は、優れた乳化性及び吸水性を備えているので、乳化剤及び/又は吸水剤として機能する食品素材として使用できる。本発明のグルテン改質物は、優れた乳化性及び吸水性によって、加工食品に含まれる糖質、脂質、タンパク質等の種々の成分を安定に保持させるため、加工食品が有する本来の風味や食感を損なうことなく安定に呈させることもできる。更に、本発明のグルテン改質物は、加工食品に対して、ソフト感、弾力感、軽い食感等を付与することができ、従来の加工食品にはない斬新な食感を備えさせることができるので、食感改質剤として機能する食品素材としても使用できる。
例えば、本発明のグルテン改質物を、小麦粉パン、米粉パン、中華饅頭等の発酵生地食品に添加することによって、ソフトでふんわりとした食感を付与することができる。また、これらの発酵生地食品の製造において、本発明のグルテン改質物を添加した原料生地は、伸展性が良好であり、作業性及び機械適正に優れるという点でも利点がある。
例えば、本発明のグルテン改質物を、スポンジケーキ、クッキー、ビスケット、キャラメル、プディング、ゼリー等の菓子類に添加することによって、軽く、ソフトでふんわりとした食感を付与し、更には含有する油脂の酸化臭の様な油臭さも軽減することができる。
例えば、本発明のグルテン改質物を、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、フラワーペースト、ドレッシング等の油脂加工食品に添加することによって、滑らかな食感を付与することができる。
例えば、本発明のグルテン改質物を、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品に添加することによって、乳幼児や高齢者にとっても食べ易いソフトでしなやかな弾力がある斬新な食感を付与することができる。
例えば、本発明のグルテン改質物を、天ぷら、から揚げ、フライ食品等の揚げ物の衣に添加することによって、サクッとした軽い食感を付与することができる。
例えば、本発明のグルテン改質物を、うどん、中華麺、餃子の皮、焼売の皮、春巻きの皮、焼き麩、生麩、麩饅頭等の小麦粉を主体とする生地から調製される加工食品に添加することによって、ソフトで弾力のある食感を付与することができる。
また、例えば、本発明のグルテン改質物を、揚げ物の具材、中華饅頭、餃子、焼売、春巻き、サンドウィッチ等に充填される内部具材に添加することにより、水分が内部具材からこれら可食性被覆材(衣、皮、パン等)に移行するのを抑制でき、可食性被覆材が本来有する食感(クリスピー感、サクサク感、ソフトでふんわりとした食感等)が低下するのを抑制できる。
本発明のグルテン改質物は、乳化性及び/又は吸水性が求められる加工食品に広く使用することができる。本発明のグルテン改質物を添加できる加工食品としては、特に制限されないが、前述する加工食品以外では、例えば、ソース、たれ、ジャム等の調味料;加工乳、発酵乳等の乳製品;各種冷凍食品;アイスクリーム、アイスシャーベット等の冷菓等が挙げられる。
これらの加工食品において、本発明のグルテン改質物の含有量については、特に制限されず、加工食品の種類、求められる乳化性や吸水性等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
試験例1:第1法によるグルテン改質物の製造と評価
1.グルテン改質物の製造と、活性度、吸水率及び乳化性の評価(1)
1−1.グルテン改質物の製造
[実施例1−3及び7−9]
市販の小麦粉(水分13.4重量%、灰分0.57重量%、蛋白質含量10.9重量%)に水を加えてミキシングして生地を作製し、水中で30分間静置後、水中で生地を練って澱粉を洗い流し、粘弾質の生グルテンを得た。生グルテンの水分は67.0重量%、蛋白質含量は乾物重量換算で78.0重量%であった。
上記で得られた生グルテン100gに、表1に示す酸水溶液水200mlを加え、ホモジナイザーを用いてグルテンを分散液化し、グルテン分散物を得た。このグルテン分散物を、オートクレーブを用いて表1に示す条件で加熱処理してグルテンを重合させて、グルテン改質物を得た。得られたグルテン改質物は、凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[実施例4−6及び10]
前記と同様の手法で得られた生グルテン100gに、表1に示す酸水溶液水10mlを加え、ミキシングしてグルテンをペースト化し、グルテン分散物を得た。このグルテン分散物を、オートクレーブを用いて表1に示す条件で加熱処理して、グルテンを重合させてグルテン改質物を得た。得られたグルテン改質物は、凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[実施例11−14]
市販の小麦グルテン粉末A−グルGX(グリコ栄養食品株式会社製)30gに、表1に示す酸水溶液水60mlを加え、ミキシングしてグルテンをペースト化し、グルテン分散物を得た。このグルテン分散物を、オートクレーブを用いて表1に示す条件で加熱処理して、グルテンを重合させてグルテン改質物を得た。得られたグルテン改質物は、凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[実施例15−18]
市販の小麦グルテン粉末KS−700(グリコ栄養食品株式会社製)30gに、表1に示す酸水溶液水60mlを加え、ミキシングしてグルテンをペースト化し、グルテン分散物を得た。このグルテン分散物を、オートクレーブを用いて表1に示す条件で加熱処理して、グルテンを重合させてグルテン改質物を得た。得られたグルテン改質物は、凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[比較例1]
前記と同様の手法で得られた生グルテン100gを凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[比較例2]
前記と同様の手法で得られた生グルテン100gに、表2に示す酸水溶液水200mlを加え、ホモジナイザーを用いてグルテンを分散液化し、グルテン分散物を得た。このグルテン分散物を加熱処理せずに凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[比較例3]
前記と同様の手法で得られた生グルテン100gを、オートクレーブを用いて表2に示す条件で加熱処理して、グルテンを重合させて、グルテン改質物を得た。得られたグルテン改質物は、凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[比較例4]
前記と同様の手法で得られた生グルテン100gに、25%アンモニア水7.2mlを溶解した水200mlを加え、ホモジナイザーを用いてグルテンを分散液化し、グルテン分散物を得た。このグルテン分散物を、インジェクション殺菌装置を用いて表2に示す条件で加熱処理してグルテンを重合させて、グルテン改質物を得た。得られたグルテン改質物は、凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[比較例5]
前記と同様の手法で得られた生グルテン100gに、表2に示す酸水溶液水150mlを加え、ホモジナイザーを用いてグルテンを分散液化し、グルテン分散物を得た。このグルテン分散物を、インジェクション殺菌装置を用いて表2に示す条件で加熱処理して、グルテンを重合させた。得られたグルテン改質物は、凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[比較例6]
小麦グルテン以外の不溶性蛋白質として、分離大豆蛋白質レプロン90HS(グリコ栄養食品株式会社製)を使用した。
Figure 2014198037
Figure 2014198037
1−2.活性度、吸水率及び乳化性の評価方法
上記で得られた各グルテン改質物について、以下に示す方法で、活性度及び吸水率の測定、並びに乳化性の評価を行った。
(1)活性度の測定
100ml三角フラスコに各グルテン改質物(乾燥物)1gを入れ、そこに0.1mol/L酢酸水溶液25mlを投入し、25℃で18時間振とうした。その後、脱イオン水で100mlにメスアップして0.025mol/L酢酸水溶液とし、遠心分離を4,000×gで5分間行い、上清を回収した。前記処理前に各グルテン改質物に含まれる総タンパク質量と、前記処理後に上清に含まれているタンパク質量(酢酸水溶液に溶解したタンパク質量)を改良デュマ法(FP2000:LECO社製:窒素係数5.7)によって測定し、下記式に従って、活性度(%)を算出した。
活性度(%)={(酢酸水溶液に溶解したタンパク質量)/(グルテン改質物に含まれる総タンパク質量)}×100
(2)吸水率の測定
50mlプラスチック製遠沈管(株式会社アズワン製)に各グルテン改質物3gを入れ、そこに25℃の脱イオン水30mlを加え、vortex(株式会社アズワン製)の最高出力にて30秒間撹拌して十分に分散させ、グルテン改質物懸濁液を調製した。その後即座に、グルテン改質物懸濁液を10,000×g、25℃、10分間の条件で遠心分離(装置本体名:高速遠心機7780、ローター名:AG−508CA(ともに久保田商事株式会社製))を行い、即座に上清を廃棄して、回収された沈澱物の重量を測定し、下記式に従って吸水率(%)を算出した。
吸水率(%)={(沈殿物の重量−3g)/(3g)}×100
(3)乳化性の評価
100mlビーカーに25℃の脱イオン水30mlを入れ、そこに各グルテン改質物6.00gを加え撹拌し、グルテン改質物懸濁液を調製した。グルテン改質物懸濁液にキャノーラ油(日清オイリオ株式会社製)30gを少量ずつ加えながら、撹拌装置(T.K.ホモディスパーFモデル(プライミクス株式会社製))にて2000rpmで60秒間撹拌した。この弱い撹拌によって、この混合物がエマルションを形成し、且つ20時間後もエマルションの状態に変化がなければ乳化性を良とした。
1−3.活性度、吸水率及び乳化性の評価結果
各グルテン改質物について物性を評価した結果を表3に示す。この結果から、実施例1〜18のグルテン改質物では、いずれも、活性度が80%以下であり、吸水率が220%以上と格段に高く、しかも優れた乳化性を示すことが確認された。
一方、比較例1〜6の内、活性化度が80%以下であるものは比較例3及び4だけであったが、これらはいずれも、乳化性が不十分で、吸水率も180%以下であった。また、比較例1〜6の内、比較例5は、乳化性の点では優れていたが、殆ど吸水性がなく、吸水剤としては使用できないものであった。
以上の結果から、グルテンを酸性水溶液中で、加熱温度が50℃超、且つ[加熱温度(℃)−50℃]と[50℃超での各加熱温度における加熱時間(分)]と[グルテン分散物のタンパク質濃度(%)/100]の積で表される総タンパク質加熱積算値が40℃・分となるように加熱処理することにより、活性度が80%以下、且つ吸水率が200%以上を充足し、優れた吸水性及び乳化性を備えるグルテン改質物が得られることが明らかとなった。
Figure 2014198037
2.グルテン改質物の製造と、活性度、吸水率及び乳化性の評価(2)
2−1.グルテン改質物の製造
[実施例19−28]
前記と同様の手法で得られた生グルテン100gに、表4に示す酸水溶液水200mlを加え、ホモジナイザーを用いてグルテンを分散液化した。このグルテン分散液を、オートクレーブを用いて表4に示す条件で加熱処理して、グルテンを重合させた。得られたグルテン改質物は、凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
[実施例29]
市販の小麦グルテン粉末A−グルG(グリコ栄養食品株式会社製)33gに、表4に示す酸水溶液水270mlを加え、ホモジナイザーを用いてグルテンを分散液化した。このグルテン分散液を、オートクレーブを用いて表4に示す条件で加熱処理して、グルテンを重合させた。得られたグルテン改質物は、凍結乾燥した後、粉砕機を用いて粉末化した。
Figure 2014198037
2-2.活性度、吸水率及び乳化性の評価(2)
上記で得られた各グルテン改質物について、前記と同様の方法で、活性度及び吸水率の測定、並びに乳化性の評価を行った。
その結果、実施例19〜29のグルテン改質物は、いずれも、吸水率が200%以上を示し、優れた吸水性を備えていることが確認された。また、活性度及び乳化性の評価結果について表5に示す。表5に示す通り、実施例19〜29のグルテン改質物は、いずれも活性度が80%以下であった。また、実施例19〜29のグルテン改質物は、優れた乳化性を備えていることも確認された。
この結果からも、グルテンを酸性水溶液中で加熱温度が50℃超、且つ[加熱温度(℃)−50℃]と[50℃超での各加熱温度における加熱時間(分)]と[グルテン分散物のタンパク質濃度(%)/100]の積で表される総タンパク質加熱積算値が40℃・分以上となるように加熱処理することにより、活性度が80%以下、且つ吸水率が200%以上を充足し、優れた吸水性及び乳化性を備えるグルテン改質物が得られることが確認された。
Figure 2014198037
3.グルテン改質物の脱アミド化率及び脱イオン水に添加した際に呈するpHの測定
前記実施例5、6、8、9、13、15、22、27及び28のグルテン改質物について、脱アミド化率及び脱イオン水に添加した際に呈するpHを、以下の方法で測定した。
<アミド化率の測定方法>
各グルテン改質物と、当該グルテン改質物の製造に使用した生グルテンの凍結乾燥物について、Conwayの微量拡散法にて、タンパク質のアミド態窒素量を測定し、下記式に従って脱アミド化率(%)を算出した。なお、アミド態窒素量の測定に先立って、グルテン改質物及びグルテンに残存している惧れがあるアンモニウムイオンを除去するために、グルテン改質物及びグルテンに脱イオン水を加えて10%懸濁液にし、1mol/L水酸化ナトリウムにてpH7.5に調整して凍結乾燥し、脱アミド率測定用のサンプルとした。
脱アミド化率(%)={(原料として使用したグルテンのアミド態窒素量−グルテン改質物のアミド態窒素量)/原料として使用したグルテンのアミド態窒素量}×100
<脱イオン水に添加した際に呈するpHの測定方法>
各グルテン改質物5gに脱イオン水45gを加えて撹拌し、10重量%の懸濁液を調製し、25℃でのpHを測定した。
得られた結果を表6に示す。この結果から、本発明のグルテン改質物は、脱アミド化率が殆ど0%程度であり、グルテンが脱アミドを実質的に生じさせることなく重合していることが確認された。また、本発明のグルテン改質物は、脱イオン水に添加して10重量%の懸濁液にした際には、pHが3.0〜5.5程度の弱酸性を呈することも確認された。
Figure 2014198037
4.グルテン改質物の製造時における加熱処理前後での粘度の測定
前記実施例1、2、8、及び23において、グルテン改質物を製造する際に調製したグルテン分散物の加熱処理前と加熱処理後の粘度を、B型粘度計(TVB-20H(東機産業株式会社製))にて測定した。測定条件は、温度を25℃、粘度計のローター回転数を20rpmとして、ローター回転開始後30秒の粘度の値を読み取った。なお、ローターは、加熱処理前ではローターNo.H3を使用し、加熱処理後ではローターNo.H6を使用した。
得られた結果を表7に示す。この結果から、実施例のグルテン改変物の製造時において、グルテン分散液が加熱処理後に増粘していることから、グルテンが重合(架橋)したことが確認された。
Figure 2014198037
試験例2:第2法によるグルテン改質物の製造と評価
1.グルテン改質物の製造と、活性度、吸水率及び乳化性の評価(1)
1−1.グルテン改質物の製造
[実施例30−34]
前記試験例1と同様の手法で得られた生グルテン200gに、表8に示す酸水溶液水を加え、ミキシングしてグルテンをペースト化し、グルテン分散物を得た。グルテン分散物のpH、水分含量及び25℃での粘度は、表8に示す通りであった。このグルテン分散物を、ドラムドライヤーを用いて表8に示す条件で加熱乾燥し、グルテンを重合させて乾燥状態のグルテン改質物を得た。得られたグルテン改質物は、粉砕機を用いて粉末化した。
[比較例7及び8]
前記試験例1と同様の手法で得られた生グルテン200gに、表8に示す酸水溶液水を加え、ホモジナイザーを用いてグルテンを分散液化し、グルテン分散物を得た。グルテン分散物のpH、水分及び25℃での粘度は、表8に示す通りであった。このグルテン分散物を、ドラムドライヤーを用いて表8に示す条件で加熱乾燥し、乾燥状態のグルテン改質物を得た。得られたグルテン改質物は、粉砕機を用いて粉末化した。
Figure 2014198037
1−2.活性度、吸水率及び乳化性の評価方法
上記で得られた各グルテン改質物について、試験例1と同様の補法で、活性度及び吸水率の測定、並びに乳化性の評価を行った。
得られた結果を表9に示す。表9から明らかなように、水分含量が70重量%以上且つ25℃での粘度が290mPa・s以上のグルテン分散物を加熱乾燥することにより得られたグルテン改質物は、いずれも、活性度が80%以下で吸水率が200%以上を示し、優れた吸水性と乳化性を備えていた(実施例30〜36)。一方、25℃での粘度が180mPa・s以下のグルテン分散物を加熱乾燥することにより得られたグルテン改質物では、活性度が80%以上であり、更にエマルジョンを形成できず乳化性を有していなかった(比較例7及び8)。即ち、実施例30〜36では、水分含量が70重量%以上且つ25℃での粘度が290mPa・s以上のグルテン分散物を加熱乾燥することにより、グルテンが効率的に熱変性を受け、その結果、活性度が80%以下で吸水率が200%以上であり、優れた乳化性を示すグルテン改質物が製造されたと考えられる。
Figure 2014198037
試験例3:グルテン改変物を用いた食品の製造及び評価
製造例1:中華饅頭
実施例8のグルテン改質物又は比較例1のグルテン乾燥物を利用して、中華饅頭を製造し、冷凍保存して解凍した後に喫食し、その食感及び外観を評価した。具体的方法については、以下に示す通りである。
<中華饅頭の製造>
パンミキサーにて表10に示す組成の中華饅頭皮用の原料をミキシングし、皮生地を作製した。捏ね上げ温度は26℃であった。得られた皮生地を30℃で30分間一次発酵させた後、皮生地40gに対して、中華饅頭に使用される一般的な具材25gを入れ成形した。42℃の湿度60%で50分間発酵させた後、スチーマーにて100℃で16分間蒸した。常温冷却した後、冷凍保存した。
Figure 2014198037
<中華饅頭の評価>
上記で製造した中華饅頭を1ヶ月間冷凍保存した後、電子レンジにて解凍し、喫食した。パネラー8名にて、食感および外観について官能評価を行った。その結果、パネラー8名全てにおいて、表11に示す判定結果を示した。この結果から、実施例8のグルテン乾燥物を添加した中華饅頭の皮は、ソフトでふんわりとした食感を付与でき、厚みのある良好な外観を備えさせ得ることが明らかとなった。
Figure 2014198037
製造例2:小麦パン
<小麦パンの製造>
表12に示す原料をパンミキサーにてよく撹拌混合し生地を成形した。次いで、1次発酵(温度30℃/湿度75%/時間150分)、分割、ベンチタイム、成形、2次発酵(温度38℃/湿度85%/時間60分)、及び焼成(230℃オーブン)の工程に沿って小麦パンを製造した。
Figure 2014198037
<小麦パンの評価>
実施例8のグルテン改質物を添加した小麦パンは、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べて、ふんわりソフトで良好な食感を有していた。また、成形時の生地は、実施例8のグルテン改質物を添加した場合は、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べ、伸展性が良好で、作業性や機械適正が優れていた。
製造例3:米粉パン
<米粉パンの製造>
表13に示す原料をパンミキサーにてよく撹拌混合し生地を成形した。次いで、分割、ベンチタイム、成形、発酵(温度38℃/湿度85%/時間60分)、及び焼成(220℃オーブン)の工程に沿って米粉パンを製造した。
Figure 2014198037
<米粉パンの評価>
実施例8のグルテン改質物を添加した米粉パンは、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べて、軽く、ふんわりソフトで良好な食感を有していた。また、成形時の生地は、実施例8のグルテン改質物を添加した場合は、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べ、伸展性が良好で、作業性や機械適正が優れていた。
製造例4:スポンジケーキ
<スポンジケーキの製造>
表14に示す原料の内、サラダ油以外の全原料をミキサーに加え、粘度が出て、且つ気泡が細かく全体が白っぽい状態になるまで撹拌混合した。次いで、サラダ油を加え撹拌混合し、生地(ミックス)を得た。その後、生地(ミックス)を型に流し込み焼成(170℃オーブン/55分)することにより、スポンジケーキを製造した。
Figure 2014198037
<スポンジケーキの評価>
実施例8のグルテン改質物を添加したスポンジケーキは、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べて、軽く、ふんわりソフトで良好な食感を有していた。また、実施例8のグルテン改質物を添加したスポンジケーキでは、実施例8のグルテン改質物の良好な乳化性が故に、油の酸化臭の様な油臭さも軽減されており、風味も良好であった。更に、成形時の生地(ミックス)は、実施例8のグルテン改質物を添加した場合では、スポンジケーキミックスとして適度で良好な粘度を有し、型への流し込みが良好で作業性が優れていた。一方、比較例1のグルテン乾燥物を添加した生地(ミックス)は、粘度が高すぎて流し込み作業は劣っていた。
製造例5:パウンドケーキ
<パウンドケーキの製造>
表15に示す原料の内、砂糖、バター、及びメイプルシロップをボウルにいれ、ハンドミキサーにて全体が白っぽくふんわりした状態になるまでよく撹拌混合した。次いで、ハンドミキサーにて撹拌しながら、予めときほぐしておいた全卵を少しずつ加え、最終的に全量を加えた後、よく撹拌混合した。最後に、残りの原料を混合した後に加え、ゴムべらにて混ぜ合わせて、生地(ミックス)を得た。生地(ミックス)をパウンド型に全量流し込み焼成(180℃オーブン/40分)することにより、パウンドケーキを製造した。
Figure 2014198037
<パウンドケーキの評価>
実施例8のグルテン改質物を添加したパウンドケーキは、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べて、軽く、ふんわりソフトで、サクッとした口溶けの良好な食感を有していた。また、実施例8のグルテン改質物を添加したパウンドケーキミックスでは、実施例8のグルテン改質物の良好な乳化性が故に、油の酸化臭の様な油臭さも軽減されており、風味も良好であった。更に、成形時の生地(ミックス)は、実施例8のグルテン改質物を添加した場合では、パウンドケーキミックスとして適度で良好な粘度を有し、型への流し込みが良好で作業性が優れていた。一方、比較例1のグルテン乾燥物を添加した生地(ミックス)は、粘度が高すぎて流し込み作業は劣っていた。
製造例6:クッキー
<クッキーの製造>
表16に示す原料の内、バターをミキサーに加えよく混ぜ合わせた。次いで、砂糖及び食塩を加えよく混ぜ合わせた後、予め水に溶解した炭酸水素アンモニウムを加えよく混ぜ合わせた。最後に、残りの原料を混合した後に加え、生地の塊(ドウ)が形成されるまでよく混ぜ合わせる。生地の塊(ドウ)を麺棒で薄く伸ばし、型抜きをして焼成(オーブンにて200℃/15分)することにより、クッキーを製造した。
Figure 2014198037
<クッキーの評価>
実施例8のグルテン改質物を添加したクッキーは、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べて、ソフトでサクッとした、口溶けの良好な食感を有していた。また、実施例8のグルテン改質物を添加したクッキーでは、実施例8のグルテン改質物の良好な乳化性が故に、油の酸化臭の様な油臭さも軽減されており、風味も良好であった。更に、成形時の生地は、実施例8のグルテン改質物を添加した場合では、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べて、伸展性が良好で、作業性・機械適正が優れていた。
製造例7:カスタードクリーム(フラワーペースト)
<カスタードクリーム(フラワーペースト)の製造>
表17に示す原料の内、卵黄を泡立て器にて掻き混ぜた後に、砂糖を加え、更に泡立て器にてよく混合した。次いで、パウダーライスDと、実施例8のグルテン改質物又は比較例1のグルテン乾燥物とを混合したものを、篩い入れて混合した。更に、温めた牛乳を加え混合し、鍋に濾し入れ、加熱し、粘度が出て滑らかな状態になるまで木べらにて掻き混ぜた。最後に、バター及びバニラエッセンスを加え、混合して、カスタードクリームを製造した。
Figure 2014198037
<カスタードクリーム(フラワーペースト)の評価>
実施例8のグルテン改質物を添加したカスタードクリームは、適度なボディ感、保形性を有しつつ、口溶け良好で滑らかな食感を有していた。また、実施例8のグルテン改質物を添加したカスタードクリームでは、実施例8のグルテン改質物の良好な乳化性が故に、油の酸化臭の様な油臭さも軽減されており、風味も良好であった。これに対して、比較例1のグルテン乾燥物を添加したカスタードクリームは、ゲル状の物性で、食感も重たく、加えて口溶けも悪く、なめらかさも感じられなかった。
製造例8:かまぼこ
<かまぼこの製造>
表18に示す原料の内、スケソーすり身、食塩、及び砂糖をサイレントミキサーに粘りが出るまでよく混ぜ合わせた。次いで、氷水半量を入れて混ぜ合わせた後に、卵白、味醂、実施例6のグルテン改質物又は比較例1のグルテン乾燥物、予め残りの氷水で溶いたRK−08を加え、均一になるまでよく混ぜ合わせた。混ぜ合わせたすり身を脱気し、ケージに充填した。充填後、殺菌(90℃/40分間)を行った後に、冷却することにより、かまぼこを製造した。
Figure 2014198037
<かまぼこの評価>
実施例6のグルテン改質物を添加したかまぼこは、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べ、ソフトでしなやかな弾力があり、斬新な食感であった。
製造例9:ソーセージ
<ソーセージの製造>
表19に示す原料の内、豚うで肉をサイレントカッターに入れ、高速でカッティングしながら、カゼインナトリウム、食塩、砂糖、調味料、総合塩漬剤、ポークパウダー、香辛料、ソルビン酸カリウム、及びpH調整剤を加え、よく混ぜ合わせた。ペースト状になった時点で、氷水及び豚脂を加え、カッティングを続けた。最後に、RK−08、実施例6のグルテン改質物又は比較例1のグルテン乾燥物を加え、よく混ぜ合わせ、均一なペーストにした。これをケーシングに充填し、80℃にて40分間殺菌を行なった後に、流水で冷却することにより、ソーセージを製造した。
Figure 2014198037
<ソーセージの評価>
実施例6のグルテン改質物を添加したソーセージは、ソフトでしなやかな弾力のある良好な食感を有しており、例えば、乳幼児や高齢者にとっても食べ易いソフトな食感であった。これに対して、比較例1のグルテン乾燥物を添加したソーセージは、ゴツゴツとした食感であった。
製造例10:揚げ物用バッター
<揚げ物用バッターの製造>
表20に示す原材料の内、薄力粉と実施例8のグルテン改質物又は比較例1のグルテン乾燥物とを混合し、これを冷水に溶き、よく混ぜ合わせることにより、揚げ物用バッターを製造した。
Figure 2014198037
<揚げ物用バッターの評価>
実施例8のグルテン改質物を添加した揚げ物用バッターは、天ぷら(海老等の具材を漬けて衣付けして油調)やフライ食品(海老等の具材を漬けて衣付けし、更にパン粉付けした後に油調)に衣として使用すると、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比して、サクッとした軽い食感であった。
製造例11:生うどん
<生うどんの製造>
表21に示す原料の内、中力粉と実施例8のグルテン改質物又は比較例1のグルテン乾燥物とを混合し、次いで食塩を水に溶解した捏ね水を加え、真空ミキサーで混練した。その後、製麺機を用いて複合・圧延を行い麺帯とし、切り歯を用いて裁断し、生うどんを調製した。
Figure 2014198037
<生うどんの評価>
得られた生うどんを沸騰水中で茹でた後、熱いスープに入れ食感を評価した。実施例6のグルテン改質物を添加したうどんは、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べて、ソフトでしなやかな弾力のある良好な食感を有していた。比較例1のグルテン乾燥物を添加したうどんは、いわゆる通常の硬さ、コシ、弾力のある食感であったことから、本発明のグルテン改質物を利用することにより、例えば、乳幼児や高齢者にとっても食べ易いソフトな食感のうどんを製造できることが確認された。
製造例12:生中華麺
<中華麺の製造>
表22に示す原材料の内、準強力小麦粉と、実施例6のグルテン改質物又は比較例1のグルテン乾燥物とを混合し、次いで、食塩及びかんすいを水に溶解した捏ね水を加え、真空ミキサーで混練した。その後製麺機を用いて複合・圧延を行い麺帯とし、切り歯を用いて裁断することにより、中華麺を製造した。
Figure 2014198037
<中華麺の評価>
得られた中華麺を沸騰水中で茹でた後、熱いスープに入れ食感を評価した。実施例6のグルテン改質物を添加した中華麺は、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べて、ソフトでしなやかな弾力のある良好な食感を有する結果となった。比較例1のグルテン乾燥物を添加した中華麺は、いわゆる通常の硬さ、コシ、弾力のある食感であったことから、本発明のグルテン改質物を利用することにより、例えば、乳幼児や高齢者にとっても食べ易いソフトな食感の中華麺を製造できることが確認された。
製造例13:餃子皮
<餃子皮の製造>
表23に示す原材料をパンミキサーに加え、撹拌混合した。その後、製麺機を用いて複合・圧延を行い麺帯とし、型を用いて打ち抜きし、餃子皮を調製した。
Figure 2014198037
<餃子皮の評価>
実施例8のグルテン改質物を添加した餃子皮は、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べて、ソフトで良好な食感を有していた。更に、成型時の生地についても、施例8のグルテン改質物を添加した場合では、比較例1のグルテン乾燥物を添加した場合に比べ、伸展性が良好で、作業性・機械適正が優れていた。

Claims (10)

  1. グルテンを重合させることにより得られ、活性度が80%以下であり、且つ吸水率が200%以上であることを特徴とする、グルテン改質物。
  2. 25℃において脱イオン水に対して、グルテン改質物を10重量%となるように添加して分散させた際に、分散液のpHが3.0〜5.5を示す、請求項1に記載のグルテン改質物。
  3. 脱アミド化率が3%以下である、請求項1又は2に記載のグルテン改質物。
  4. 前記グルテンが小麦グルテンである、請求項1〜3のいずれかに記載のグルテン改質物。
  5. 粉末状である、請求項1〜4のいずれかに記載のグルテン改質物。
  6. グルテンを酸性水溶液に添加してグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を加熱温度が50℃超、且つ[加熱温度(℃)−50℃]と[50℃超での各加熱温度における加熱時間(分)]と[グルテン分散物のタンパク質濃度(%)/100]の積で表される総タンパク質加熱積算値が40℃・分以上となるように加熱処理することにより製造される、請求項1〜5のいずれかに記載のグルテン改質物。
  7. グルテンを酸性水溶液に添加して25℃での粘度が250mPa・s以上のグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を100℃以上の温度で加熱乾燥することにより製造される、請求項1〜5のいずれかに記載のグルテン改質物。
  8. グルテンを酸性水溶液に添加してグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を、加熱温度が50℃超、且つ[加熱温度(℃)−50℃]と[50℃超での各加熱温度における加熱時間(分)]と[グルテン分散物のタンパク質濃度(%)/100]の積で表される総タンパク質加熱積算値が40℃・分以上となるように加熱処理する工程を含むことを特徴とする、グルテン改質物の製造方法。
  9. グルテンを酸性水溶液に添加して25℃での粘度が250mPa・s以上のグルテン分散物を調製し、当該グルテン分散物を100℃以上の温度で加熱乾燥する工程を含むことを特徴とする、グルテン改質物の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のグルテン改質物を含むことを特徴とする、加工食品。
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