JPH10295281A - 小麦グルテン部分分解物とその製造法 - Google Patents

小麦グルテン部分分解物とその製造法

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JPH10295281A
JPH10295281A JP10621797A JP10621797A JPH10295281A JP H10295281 A JPH10295281 A JP H10295281A JP 10621797 A JP10621797 A JP 10621797A JP 10621797 A JP10621797 A JP 10621797A JP H10295281 A JPH10295281 A JP H10295281A
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wheat gluten
gluten
partially
acid
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Futoshi Sugiura
太 杉浦
Atsushi Tsuda
厚 津田
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GLYCO EIYOU SHOKUHIN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶性に乏しく利用上難点のある小麦グルテ
ンを部分加水分解によって水溶性化し、乳化性に優れた
食品の品質改良剤として利用できる食品素材を提供す
る。 【解決手段】 有機酸を用いて小麦グルテンをあらかじ
め均一分散した後に、鉱酸により部分加水分解を行い析
出する生成物を濾取することによる新規な小麦グルテン
部分分解物の製造法を提供する。分子量分布の狭い均一
な小麦グルテン部分加水分解物が得られ、食品加工上そ
の優れた乳化、改質効果が利用できることより成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、新規な小麦グル
テン部分分解物に係わるものであり、更に詳しくは小麦
グルテン(未変性のものをいう。以下同じ)を酸によっ
て部分分解して得られる小麦グルテン部分分解物(以下
部分分解グルテンと略記)及びその製造法に関する。本
発明の部分分解グルテンは乳化性に優れ、高い溶解性を
有するので、種々の食品品質改良剤等としての用途への
利用が可能となった。
【0002】
【従来の技術】小麦グルテンの利用拡大を目的として、
小麦グルテンに様々な処理を施して、新しい用途への利
用が盛んに試みられている。その試みの一つに、例えば
中性付近でガム状の塊である為に食品加工への利用が制
約されている小麦グルテンを、温和な条件による酸およ
び/又はアルカリ加水分解によって乳化性、溶解性を改
良し、肉製品の添加剤として用いることが知られている
(特公昭55−18510号、特公昭55−49818
号各公報)。更に酸、アルカリ、酵素による加水分解、
及び酸化剤、還元剤処理を組み合わせて乳化性、溶解
性、分散性を改良したもの(特公平6−91793号、
特公平7−2095号各公報)、酸加水分解による脱ア
ミド後に酵素処理を施し起泡性を改良したもの(特公平
6−79541号、特公平7−53082号、特公平7
−57161号各公報)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法では小麦グ
ルテンを塩酸や硫酸等の鉱酸又はアルカリ溶液に分散し
て加水分解されている。しかし小麦グルテンはこれら鉱
酸には分散、溶解し難く、その為小麦グルテンが均一に
分散されずに著しく粘着したり、またこれらを防ぐ為に
グルテン含量を低くしなければならないという欠点があ
った。さらには、低濃度の酸を用い、分解時間を短くす
る等の温和な条件が必要であるにも拘らず、この様な従
来の方法では反応液が不均一なため、均一に分解反応が
進まない結果、未分解グルテンが残存する一方、極端な
低分子量分解物まで分解が進行する。即ち従来法では、
生産物の分子量の極端な不均一化を生じ、分子量分布の
大きい不均質な分解物しか得られなかった。これは、分
散した部分から小麦グルテンの分解反応が起こるためで
ある。また分散液が高粘度の場合、攪拌不良、加熱伝導
不良と不均一化を伴う為に反応条件が制御困難となって
加水分解の結果に著しいバラツキを生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(1)小麦グルテンを部分的に分解した生産物であっ
て、平均分子量が20,000〜60,000の範囲に
あり、かつ分子量20,000〜80,000の分子が
40重量%以上、分子量10,000〜120,000
の分子が70重量%以上である小麦グルテン部分分解
物。 (2)脱アミド化率が80〜100%である上記(1)
の小麦グルテン部分分解物。 (3)0.5%水溶液の表面張力が水温25℃で45d
yne/cm以下である上記(1)の小麦グルテン部分
分解物。 (4)小麦グルテンを実質的に分解しない有機酸溶液中
に小麦グルテンを均一に分散せしめ、次いで鉱酸と接触
せしめて部分的に分解することを特徴とする小麦グルテ
ン部分分解物の製造法。 (5)小麦グルテンを実質的に分解しない有機酸溶液中
に小麦グルテンを均一に分散せしめ、次いで鉱酸と接触
せしめて反応した後、析出した生成物を濾取することを
特徴とする小麦グルテン部分分解物の製造法。 (6)小麦グルテンを実質的に分解しない有機酸溶液中
に小麦グルテンを均一に分散せしめ、次いで鉱酸と接触
せしめて反応した後、析出した生成物を濾取し、これを
アルカリ水溶液で溶解することを特徴とする小麦グルテ
ン部分分解物の製造法。 (7)有機酸が乳酸、クエン酸、および酢酸からなる群
から選ばれたものである、上記(4)〜(6)のいずれ
かの小麦グルテン部分分解物の製造法。 (8)小麦グルテンを実質的に分解しない有機酸溶液中
に小麦グルテンを均一に分散せしめ、次いで鉱酸と接触
せしめて部分的に分解して得られる上記(1)の小麦グ
ルテン部分分解物。 (9)上記(1)の小麦グルテン部分分解物からなる乳
化・分散剤。
【0005】本発明の部分分解グルテンは、未分解グル
テンや分解が過度に進行した小分子量の分解物を全く含
有せず、分子量分布の幅が小さいという特徴を有する。
即ち本発明の部分分解グルテンは、小麦グルテンを部分
的に分解した生産物であって、平均分子量が20,00
0〜60,000の範囲にあり、かつ分子量20,00
0〜80,000の分子が40重量%以上、分子量1
0,000〜120,000の分子が70重量%以上で
ある小麦グルテン部分分解物である。
【0006】本発明は、脱アミド化率の高い部分分解グ
ルテンを提供するものである。側鎖のアミド結合の80
〜100%、好ましくは90〜100%が脱アミド化さ
れている。本発明は、平均分子量が20,000〜6
0,000の範囲にあり、分子量20,000〜80,
000の分子が40重量%以上で、かつ分子量10,0
00〜120,000の分子が70重量%以上、脱アミ
ド化率が80〜100%、好ましくは90〜100%の
小麦グルテン部分分解物である。
【0007】本発明の部分分解グルテンの主たる性状は
弱酸性、中性、及びアルカリ性で高い水溶性を示し、優
れた乳化安定性、分散性、表面張力低下能を有すること
である。等電点はpH4.0〜5.0にあり、色調は粉
末ではややクリーム色で溶解すると、薄い乳濁状の溶液
となる。本発明品は臭気も少なく、また苦みも無い為食
品への応用が可能である。その高い水溶性、優れた乳化
安定性から、特に乳化・分散剤(就中、食品用乳化・分
散剤)として有用である。平均分子量が20,000〜
60,000の範囲にあり、分子量20,000〜8
0,000の分子が40重量%以上であり、かつ分子量
10,000〜120,000の分子が70重量%以上
を占める小麦グルテン部分分解物からなる乳化・分散剤
(就中、食品用乳化・分散剤)は、本発明を構成する。
【0008】かかる本発明の部分分解グルテンは、小麦
グルテンの新規な部分分解方法によって得ることができ
る。本発明は、小麦グルテンを実質的に分解しない有機
酸溶液中、例えば乳酸、酢酸、クエン酸から選ばれた有
機酸溶液中、好ましくは乳酸の溶液中に小麦グルテンを
均一に分散せしめ、次いで鉱酸と接触せしめて、部分的
に分解することによって製造される。より詳細には、次
のようにして製造される。小麦グルテンを有機酸溶液中
に均一に分散させる手段としては、例えば小麦グルテン
に有機酸水溶液を加えホモミキサーで攪拌する手段が挙
げられる。有機酸溶液は、例えば0.01〜1規定水溶
液が用いられる。有機酸溶液は小麦グルテン1重量部に
対し、好ましくは2〜20重量部、より好ましくは5〜
10重量部が使用される。その際、特に加温も冷却も必
要でなく、常温で行う事が可能である。なお分散させる
のに亜硫酸塩、アスコルビン酸等の還元剤を併用しても
よい。
【0009】小麦グルテンの上記分散液を加温し、攪拌
しながら鉱酸、例えば硫酸、硝酸、好ましくは塩酸を加
えて部分加水分解を行う。鉱酸は通常希薄水溶液として
加えられる。反応温度は80〜100℃位に維持するの
が好ましく、鉱酸の使用量は小麦グルテン中の酸性アミ
ノ酸残基のモル含量の1〜6倍程度の当量とするのが好
ましい。加温処理時間は30分〜6時間程度が好まし
い。
【0010】部分加水分解処理中に析出沈殿した生成物
は常温まで冷却して濾取、水洗する。生成物のケーキを
水に分散させた後、アルカリ溶液(例えば水酸化ナトリ
ウム溶液、水酸化カリウム溶液、炭酸ナトリウム等)に
てpH6〜7に中和調整することにより溶解し、本発明
の部分分解グルテンが得られる。引き続きスプレードラ
イヤーなどで乾燥粉末化が可能である。生成物のケーキ
は乾燥粉砕し、中和当量の炭酸ナトリウムと粉体混合
し、可溶化調製品とすることもできる。
【0011】なお、析出区分を濾取した残りの濾液区分
は、分子量10,000以下のペプチド、脱アミド化に
より生成したアンモニウム塩等の夾雑物、未反応の酸等
が含まれている。これをアルカリ溶液でpH6〜7に調
節し、夾雑物を除去し濃縮脱塩したものは、なお種々の
食品への添加剤、調味料原料等に活用可能であり、広い
pH域で水に可溶、かつ起泡性を有している。
【0012】小麦グルテンを実質的に分解しない有機酸
を用いて小麦グルテンを分散させると、常温でも低粘度
の均一な分散液が得られ、更に作業性も向上する。有機
酸は加水分解にはほとんど関与しないので分散液を昇温
しても分解は起きず、加熱によるゲル化も起こらない。
そして分解に先立ち、グルテンを均一に分散させること
が出来、攪拌効果、及び伝熱性も向上するので次工程に
おける鉱酸による部分分解反応が均一に速やかに行われ
ることとなる。その結果、目的の部分分解生成物が反応
系から析出、蓄積するので、過度の分解反応を抑制する
ことが出来るという新知見を得た。分解反応終了後、濾
別水洗によって容易に高品質の目的とする部分分解グル
テンを得ることが可能な本発明の技術が完成された。
【0013】本発明は従来法に比べ加水分解効率が良
く、しかも反応の条件制御が容易で均一に起こる。しか
も反応系外に析出蓄積して過度の反応を回避している
為、得られる部分分解グルテンの分子量分布は狭い。中
和溶解した生成物は水溶性が高く乳化性に優れている。
本発明の製法では、析出物を濾取水洗することで一般に
除去困難な低分子ペプチド、脱アミド化により生成した
アンモニウム塩等の夾雑物、未反応の酸を容易に分離、
除去でき、容易に高純度の製品を得ることが出来る。
【0014】小麦グルテンのアミノ酸組成では、グルタ
ミン酸、アスパラギン酸が約40%も占めている。しか
し、小麦グルテン中ではこれらのほとんどがアミド結合
を形成しているグルタミン残基、アスパラギン残基の型
で存在している。このアミド基が分子内、分子間におい
て多くの水素結合を形成し、他方では、水溶性基及び解
離基を有するアミノ酸残基が少なくなっていることが、
巨大分子であることと共に、小麦グルテンが中性付近で
水に不溶である原因であるといわれている。そこで温和
な条件で酸処理を施し、グルタミン残基、アスパラギン
残基の側鎖のアミド基を切断、すなわち脱アミド化する
ことにより塩を形成できるグルタミン酸残基、アスパラ
ギン酸残基を形成させ、またペプチド結合の一部切断に
よる低分子化によって小麦グルテンの水溶性を高めるこ
とが出来る。本発明の部分分解グルテンは高度の脱アミ
ド化、及び部分的なペプチド結合の切断が行われた状態
となっている。またこの生成物はアルカリ中和で固形分
30%に達する水溶液を調製できる特徴を持っている。
【0015】この様にして得られた部分分解グルテンは
高い乳化力、分散力、表面張力低下能、保水性、溶解性
を有し、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の畜肉加工
品、蒲鉾、竹輪等の水産加工品、パン、ケーキやクッキ
ー、ビスケット、クラッカー等の焼き菓子、麺類、バッ
ター剤、ドレッシング等の乳化食品他、種々食品への品
質改良効果が得られ、安全性の高い食品素材等として有
用である。
【0016】
【実施例】
(実施例1)小麦粉より調製した湿グルテン200gを
ホモミキサー(T.K AUTOHOMOMIXER.
M MODEL)を用い、0.025N乳酸400gに
均一分散した後、80℃に昇温し、攪拌しながら2.5
N塩酸100mlを加え、80℃、60分間加熱攪拌し
た。冷却後東洋濾紙NO.2を用いて析出区分と濾液区
分とに濾別した。濾取した析出区分を水洗した後、イオ
ン交換水100mlに分散して水酸化ナトリウムを加え
てpH7に中和溶解して再度濾紙NO.2で濾過して水
溶性の部分分解グルテン溶液を得た。減圧濃縮して乾燥
して51.6gの固形分を得た。特性を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】(実施例2)実施例1と同様に調製した小
麦グルテン分散液600gを95℃に昇温し攪拌しなが
ら5.0N塩酸100mlを加え、95℃、60分間加
熱攪拌した。冷却後東洋濾紙NO.2を用い析出区分と
濾液区分とに濾別した。濾取した析出区分を水洗した
後、イオン交換水100mlに分散して水酸化ナトリウ
ムを加えてpH7に中和溶解して再度濾紙NO.2で濾
過して水溶性の部分分解グルテン溶液を得た。減圧濃縮
して乾燥して39.5gの固形分を得た。特性を表2に
示す。
【0019】
【表2】
【0020】(実施例3)実施例1と同様に調製した小
麦グルテン分散液600gを95℃に昇温し攪拌しなが
ら5.0N塩酸100mlを加え、95℃、3時間加熱
攪拌した。冷却後東洋濾紙NO.2を用い析出区分と濾
液区分とに濾別した。濾取した析出区分を水洗した後、
イオン交換水100mlに分散して水酸化ナトリウムを
加えてpH7に中和溶解して再度濾紙NO.2で濾過し
て水溶性の部分分解グルテン溶液を得た。減圧濃縮して
乾燥して39.1gの固形分を得た。特性を表3に示
す。
【0021】
【表3】
【0022】(実施例4)実施例1と同様に調製した小
麦グルテン分散液600gを95℃に昇温し攪拌しなが
ら8.0N塩酸100mlを加え、95℃、5時間加熱
攪拌した。冷却後東洋濾紙NO.2を用い析出区分と濾
液区分とに濾別した。濾取した析出区分を水洗した後、
イオン交換水100mlに分散して水酸化ナトリウムを
加えてpH7に中和溶解して再度濾紙NO.2で濾過し
て水溶性の部分分解グルテン溶液を得た。減圧濃縮して
乾燥して30.7gの固形分を得た。特性を表4に示
す。
【0023】
【表4】
【0024】(実施例5)実施例1と同様に調製した小
麦グルテン分散液600gを80℃に昇温し攪拌しなが
ら5.0N塩酸100mlを加え、80℃、4時間加熱
攪拌した。冷却後東洋濾紙NO.2を用い析出区分と濾
液区分とに濾別した。濾取した析出区分を水洗した後乾
燥、粉砕し中和当量の炭酸ナトリウムを粉体混合し、可
溶化調製品とし、50.2gの固形分を得た。特性を表
5に示す。
【0025】
【表5】
【0026】各種測定方法は以下の通りである。 (分子量測定法)部分分解グルテン水溶液を孔径0.4
5μのフィルターを通した後、ゲル濾過高速液体クロマ
トグラフィーによって平均分子量を測定した。なお、標
準物質としてγ−グロブリン(156,000)、オボ
アルブミン(45,000)、リゾチーム(17,50
0)、アンギオテンシン(1,269)、エンケファリ
ン(555)を用い検量線を作成し、これより分子量を
読み取った。測定条件は以下の通りである。 カラム:Shim−pack Diol−150(7.
9φ×250)(島津製作所) ポンプ:LC−6A(島津製作所) 検出器:SPD−6AV 280nm(島津製作所) 移動相:10mMリン酸緩衝液(pH7)+0.2M硫
酸ナトリウム 流量:1.0ml/分 温度:室温
【0027】(等電点測定法)1%部分分解グルテン水
溶液50mlに0.1N塩酸を攪拌下で滴下してゆき、
pHの変化を測定して滴定曲線を得た。得られた滴定曲
線の傾斜が最も緩やかになった点を等電点と推定した。
【0028】(窒素回収率算定法)部分分解グルテン及
び原料小麦グルテンの全窒素をミクロケルダール法で測
定した。部分分解グルテンの全窒素は原料グルテンの重
量基準で算出した。次式により部分分解グルテンの窒素
回収率を求めた。窒素回収率(%)=(部分分解グルテ
ンの全窒素/原料グルテンの全窒素)×100
【0029】(脱アミド化率算定法)酸加水分解により
脱アミドされて生じた反応液中のアンモニアをコンウェ
イの微量拡散法に従って定量した。計算は次式の通りで
ある。 脱アミド化率(%)=(反応液中のアンモニア含量/過
度分解液中のアンモニア含量* )×100* 湿グルテン200gを0.025N乳酸400gで分
散し35%塩酸100ml添加し、100℃6時間加熱
攪拌した反応液中のアンモニア量
【0030】(表面張力測定法)0.1〜0.5%部分
分解グルテン水溶液(液温25℃)をデュヌーイ氏表面
張力器(伊藤製作所)を用いて表面張力を測定した。実
施例1〜5の部分分解グルテンの表面張力を測定した結
果を表6に示す。溶媒(イオン交換水)と比べ表面張力
を著しく低下していることがわかる。イオン交換水(2
5℃)の表面張力は73.4dyne/cmである。
【0031】
【表6】
【0032】(乳化安定性測定法)水−大豆油混合液
(水:油=4:1,または1:1)200gに対し、実
施例1〜5の部分分解グルテンを2重量%となるように
添加し、ホモミキサー(T.K AUTOHOMOMI
XER.M MODEL)を用いて、8,000rp
m,2分間混合後直ちに乳化液を目盛付試験管に移し、
室温に放置して1時間後、24時間後に乳化している白
濁部分の量を測定した。その結果を表7に示す。 乳化率(%)=(残存乳化量/全液量)×100
【0033】
【表7】
【0034】(試験例1) 溶解性(塩濃度) 0〜20%食塩水50gに部分分解グルテン粉末5gを
添加し、スターラーにて60分間充分に攪拌溶解した
後、3,000rpm,10分間遠心分離した。遠心分
離後の上澄液を蒸発乾固して固形分量を計量し、添加量
に対する上澄液の固形分量より溶解性(%)を測定し
た。その結果を図1に示す。
【0035】(試験例2) 溶解性(pH) pH2〜11の0.2M緩衝液50gに部分分解グルテ
ン粉末5gを添加し、スターラーにて60分間充分に攪
拌溶解した後、3,000rpm,10分間遠心分離し
た。遠心分離後の上澄液を蒸発乾固して固形分量を計量
し、添加量に対する上澄液の固形分量より溶解性(%)
を測定した。計算は次式の通りである。 溶解性(%)=(遠心後の上澄液の固形分−緩衝液の固
形分)/(部分分解グルテン溶液の固形分)×100 測定した溶解性を図2に示す。
【0036】(試験例3)保水力 部分分解グルテンの10%水溶液及びグリセリンの10
%水溶液を調製した。これらの水溶液をそれぞれ、ひだ
状に折った東洋濾紙NO.2(11cm)に0.5ml
滴下して温度25℃、相対湿度29%に放置して10分
毎に水分残存量を求め保水力を測定した。その結果を図
3に示す。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、分子量分布の狭い品質
の一定した、優れた乳化性、分散性、表面張力低下能、
保水性、及び高い溶解性を有する小麦グルテン部分分解
物を得ることができる。本発明の小麦グルテン部分分解
物は、種々の食品への応用が可能で、食品品質改良剤等
としての用途に利用することができ、特に食品用乳化・
分散剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】各塩濃度における、部分分解グルテンの溶解性
を示す図である。
【図2】各pHにおける、部分分解グルテンの溶解性を
示す図である。
【図3】部分分解グルテン水溶液およびグリセリン水溶
液の水分残存率を示す図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小麦グルテンを部分的に分解した生産物
    であって、平均分子量が20,000〜60,000の
    範囲にあり、かつ分子量20,000〜80,000の
    分子が40重量%以上、分子量10,000〜120,
    000の分子が70重量%以上である小麦グルテン部分
    分解物。
  2. 【請求項2】 脱アミド化率が80〜100%である請
    求項1記載の小麦グルテン部分分解物。
  3. 【請求項3】 0.5%水溶液の表面張力が水温25℃
    で45dyne/cm以下である請求項1記載の小麦グ
    ルテン部分分解物。
  4. 【請求項4】 小麦グルテンを実質的に分解しない有機
    酸溶液中に小麦グルテンを均一に分散せしめ、次いで鉱
    酸と接触せしめて部分的に分解することを特徴とする小
    麦グルテン部分分解物の製造法。
  5. 【請求項5】 小麦グルテンを実質的に分解しない有機
    酸溶液中に小麦グルテンを均一に分散せしめ、次いで鉱
    酸と接触せしめて反応した後、析出した生成物を濾取す
    ることを特徴とする小麦グルテン部分分解物の製造法。
  6. 【請求項6】 小麦グルテンを実質的に分解しない有機
    酸溶液中に小麦グルテンを均一に分散せしめ、次いで鉱
    酸と接触せしめて反応した後、析出した生成物を濾取
    し、これをアルカリ水溶液で溶解することを特徴とする
    小麦グルテン部分分解物の製造法。
  7. 【請求項7】 有機酸が乳酸、クエン酸、および酢酸か
    らなる群から選ばれたものである、請求項4〜6のいず
    れかに記載の小麦グルテン部分分解物の製造法。
  8. 【請求項8】 小麦グルテンを実質的に分解しない有機
    酸溶液中に小麦グルテンを均一に分散せしめ、次いで鉱
    酸と接触せしめて部分的に分解して得られる請求項1記
    載の小麦グルテン部分分解物。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の小麦グルテン部分分解物
    からなる乳化・分散剤。
JP10621797A 1997-04-23 1997-04-23 小麦グルテン部分分解物とその製造法 Pending JPH10295281A (ja)

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