JP2652763B2 - 植物蛋白質加水分解調味液の製造法 - Google Patents

植物蛋白質加水分解調味液の製造法

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JP2652763B2 JP5349830A JP34983093A JP2652763B2 JP 2652763 B2 JP2652763 B2 JP 2652763B2 JP 5349830 A JP5349830 A JP 5349830A JP 34983093 A JP34983093 A JP 34983093A JP 2652763 B2 JP2652763 B2 JP 2652763B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物蛋白質を塩酸によ
り加水分解した加水分解液を中和して植物蛋白質加水分
解調味液を製造する方法に関し、モノクロロプロパンジ
オール(3−クロロ−1,2−プロパンジオール、2−
クロロ−1,3プロパンジオール)−以下「MCP」と
いう−やジクロロプロパノール(1,3−ジクロロ−2
−プロパノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ル)−以下「DCP」という−などの塩素付加物の生成
を可及的に抑止した状態で加水分解できると共にMCP
やDCPが検出されない植物蛋白質加水分解調味液を得
ることができる新規製造法を提供するものである。本発
明によって製造される植物蛋白質加水分解調味液は、単
独で調味料自体として、また食品加工用として用いられ
る。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、植物蛋白質を塩酸により加
水分解した加水分解液を中和して植物蛋白質加水分解調
味液を製造する方法(以下「塩酸加水分解法」という)
は、蛋白質を完全に加水分解できるので窒素利用率が80
%以上と高く、且つ短時間で目的物が得られるから、当
業界で汎用されている。
【0003】当業界においては、塩酸加水分解法の実施
に当って分解率を最大にすることと調味料として好まし
からぬ不要成分を含有しない目的物を得ることとを命題
とする研究が進められているが、近年、後者、特に、D
CP及びMCPを含有しない目的物を得るための研究に
重点が置かれている。
【0004】塩酸加水分解法によって得られる植物蛋白
質加水分解調味液に含まれているDCP及びMCPの由
来は、原料とする植物蛋白質に存在するグリセライドで
あって、これは塩酸により加水分解して生じたグリセリ
ンが塩酸と反応して生成する。そして、原料とする植物
蛋白質に対して熱変性、脱脂、脱色、糖質除去、無機塩
除去などの前処理を施してもDCP及びMCPの生成・
混入を避けることはできないとされている。
【0005】従来、塩酸加水分解法によって得られる植
物蛋白質加水分解調味料にDCP及び/又はMCPを含
有させないようにする技術手段としては、加水分解後に
水蒸気蒸留にかけて除去する(特開昭62−224256号公報
参照)、加水分解後に特定pH値・温度・時間で処理して
除去する(特開平2−135056号公報,特開平2−150241
号公報,特開平4-88951号公報参照)、加水分解後にゲ
ルパーシエーションにより除去する(特開平2−135057
号公報参照)及び加水分解後に有機溶媒へ転溶する(特
開平3−198762号公報参照)等の手段が提案されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前掲各公報に開示され
ている技術手段は、いずれにあっても、原料とする蛋白
質を塩酸によって加水分解した加水分解液からDCP及
び/又はMCPを除去している。
【0007】本発明者は、従来法の如く塩酸によって加
水分解した加水分解液からDCP及び/又はMCPを除
去するのではなく、塩酸による加水分解の過程において
DCP及びMCPの生成を抑止すれば複雑な除去工程を
採らなくとも、DCP及びMCPを可及的に含有しない
植物蛋白質加水分解調味料を得ることが可能になると考
え、その具現化を目標として研究を重ねて来た。即ち、
本発明は、塩酸加水分解法において塩酸による加水分解
の過程でDCP及びMCPの生成を可及的に抑止できる
と共にMCPやDCPが検出されない植物蛋白質加水分
解調味液を得ることができる新規技術手段の提供を技術
的課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0009】即ち、本発明は、植物蛋白質を塩酸により
加水分解した加水分解液を中和して植物蛋白質加水分解
調味液を製造する方法において、植物蛋白質に該蛋白質
中の全窒素に対する塩酸のモル比が0.を越え0.9
未満となるように塩酸を加えて溶解・加水分解する第1
工程と、引き続き第1工程を終了した蛋白質塩酸溶液に
該溶液中の全窒素に対する塩酸のモル比が1.0を越え
1.3未満となるように塩酸を追加して加水分解する第
2工程と、第2工程で得られた加水分解液に該分解液の
pH値が8.8〜9.3となるように水酸化ナトリウム
を加えて25℃〜80℃の温度範囲において20〜50
時間保持する第3工程と、第3工程で得られた液を中和
する第4工程とを経由して植物蛋白質加水分解調味液を
得ることからなる植物蛋白質加水分解調味液の製造法で
ある。
【0010】本発明の構成をより詳しく説明すれば次の
通りである。先ず、本発明において出発物質とする植物
蛋白質としては、例えば、大豆,脱脂大豆,大豆グルテ
ン,小麦グルテン,コーングルテン等が挙げられ、これ
等の植物蛋白質は、アミノ酸組成が多小異なっている
が、加水分解率を63%以上とすれば加水分解終了時の呈
味が調味液として好ましいものになることが知られてい
る。
【0011】次に、本発明において最も重要な塩酸の使
用量について述べる。植物蛋白質が塩酸によって加水分
解されるとアミノ酸となるが、アミノ酸は塩酸溶液中で
は陽イオンとして解離しているため塩酸塩となってい
る。加水分解反応の初期に大過剰の塩酸が存在すると、
過剰の塩酸はグリセライドの分解につづいて塩素付加物
すなわちMCP,DCPの生成反応に消費される。本発
明者等は、数多くの系統的な実験を行なった。その結
果、反応初期においてはモル比〔塩酸(モル)/蛋白質
の窒素(モル)〕が1.0未満、好ましくは0.6〜
0.9であれば、約10時間経過後には、メチオニン、
アスパラギン酸、シスチン、グリシンの約70〜90%
以上が生成し、過剰の塩酸が存在しないのでDCP、M
CPが生成しないことを確認している。本発明者らが行
なった実験例の内から一例を抽出して表1に示す。表1
にはモル比0.69で10時間加水分解を行った時(第
1工程終了時)および完全加水分解時のアミノ酸組成を
測定した結果を示した。又、同表には完全分解に対する
分解率も示した。なお、この実験は、植物蛋白質にはコ
ーングルテン800g脱脂大豆200gを用い、12%
塩酸1.5リットルを加え105℃の条件で行った。表
1から明らかな様に、メチオニン、アスパラギン酸、シ
スチン、グリシンの大半が第1工程で生成しており、第
2工程でグルタミン酸、プロリン、リジンなどの呈味性
アミノ酸が生成する。従って、本発明においては、第1
工程で出発物質とする植物蛋白質に該蛋白質中の全窒素
に対する塩酸のモル比が0.を越え0.9未満となる
ように塩酸を加えて溶解・加水分解を行なうのである。
なお、モル比が0.5以下の場合には長時間を要する。
【0012】
【表1】
【0013】また、本発明者は、メチオニン,アスパラ
ギン酸,シスチン及びグリシンが完全加水分解時の約70
〜90%生成した後、引き続いて、モル比(塩酸(モル)
/蛋白質の窒素(モル))1.0〜1.3の範囲内で20〜40
時間加水分解を続ければ、完全に加水分解されて、呈味
性のグルタミン酸,プロリン,リジンがすべて生成し、
塩酸はこれ等アミノ酸の生成に使われてアミノ酸の塩酸
塩となり、遊離の塩酸がごく僅かしか存在しないため塩
素の付加反応が殆んど生起しないのでDCP及びMCP
の生成を可及的に抑止できることを確認している。従っ
て、本発明においては、第2工程で第1工程を終了した
蛋白質塩酸溶液に該溶液に含まれている蛋白質中の全窒
素に対する塩酸のモル比が1.0を越え1.3未満となるよ
うに塩酸を追加して加水分解を行なうのである。なお、
モル比が1.0を越えない場合には、グルタミン酸の生成
が不完全で調味料としての価値が欠ける。また、ペプタ
イドが残存して不完全な加水分解のままで終了すると好
ましい調味液が得られないが、モル比が1.0を越え1.3
未満の範囲内である場合には、加水分解率63%以上の充
分な加水分解反応を遂行することができ、好ましい調味
液を得ることができる。
【0014】第2工程における塩酸の追加は所定量を一
度に加えることもできるが、複数回に分割して追加する
ことが好ましい。なお、第1工程及び第2工程における
加水分解率は、常法によって求めればよく、例えば、液
の一部を採取してホルモール滴定法によってアミノ態窒
素量を、ケルダール法によって全窒素量を測定して、加
水分解率を求めることができる。
【0015】次に、第3工程では、第2工程で得られた
加水分解液に該液のpH値が8.8〜9.3未満となるように
水酸化ナトリウムを加えた後、25℃〜80℃未満の温度範
囲において20〜50時間保持する。水酸化ナトリウムは水
溶液の形態で添加することが好ましい。第2工程で得ら
れた加水分解液からDCPは検出されないが、MCPは
微量(通常、9ppm 以下)検出される。なお、第2工程
で得られた加水分解液並びに第3工程で得られた液のD
CP及びMCPの各濃度は、測定に用いた試料の全窒素
濃度を2.40%に換算して示した。第3工程において、上
記条件下に保持することにより液中に生成している微量
(通常、9ppm 以下)のMCPの塩素原子が水酸基に置
換され、MCPは検出されなくなる。MCPが10ppm 以
上存在している場合には、上記条件下で保持しても、検
出されなくなるまでMCPを消滅させることはできな
い。
【0016】次に、第3工程で得られた加水分解液を中
和する第4工程は、常法に従って、所要量の塩酸を添加
することによって行う。中和後、常法に従って濾過し、
必要に応じて食塩水と水で全窒素量を調整すれば目的と
する蛋白質加水分解調味液を得ることができる。
【0017】
【作用】以上の通りの構成を採る本発明にあっては、塩
酸の使用量が植物蛋白質の加水分解反応の進行とアミノ
酸生成量及び呈味性アミノ酸生成量とに連動して常に必
要量にとどめられているので、DCP及びMCPの生成
が可及的に抑止され、且つ充分な加水分解反応が遂行さ
れるから呈味の優れた植物蛋白質加水分解調味液が得ら
れる。
【0018】また、第2工程で得られた加水分解液中に
は微量(通常、9ppm 以下)のMCPが検出されるが、
第3工程において、検出されなくなるまでMCPを消滅
させることができ、前記特定条件下で保持する場合には
目的物の呈味を損なうことはない。なお、前述の通り、
MCPが10ppm 以上存在していると前記特定条件下で保
持してもMCPを消滅させることができないから、第
1、2工程と第3工程との結合は重要である。
【0019】
【実施例】次に、実施例と比較例とによって、本発明を
説明する。なお、加水分解率は、アミノ態窒素量(A.
N.)をホルモール滴定法によって測定し、ケルダール法
によって測定した全窒素量(T.N.)で除して求めたもの
である。加水分解率は蛋白質のアミノ酸組成の違いによ
り異なるものであり、コーングルテン及び脱脂大豆が完
全に加水分解された場合でも65〜72%程度である。アミ
ノ酸はアミノ酸分析計で定量した。MCP及びDCPの
定量はGC−MS法によった。濃度は全窒素濃度を2.40
%に換算して示した。
【0020】実施例1 5リットル容三ツ口フラスコに、コーングルテン(全窒
素10.5%、三和澱粉工業(株)・製)0.8kg,脱脂加工
大豆(全窒素8.0%、ニッコー製油(株)・製)0.2kg
及び12%(W/V)塩酸1.5リットルを加え、当該フラ
スコに冷却管を付設して、油浴中で 103〜 106℃に保っ
て15時間加水分解した後、引き続き濃塩酸0.2リットル
を加え更に20時間加水分解して蛋白質の塩酸加水分解液
を得た。この加水分解液を冷却後、40%(W/V)水酸
化ナトリウム水溶液0.94リットルを加えてpH8.8とな
し、80℃にて20時間保持した。次いで、この液をpH5に
塩酸で調節した後、濾過し、濾液3.0リットルを得た。
この液を食塩水と水で全窒素2.4%に調整した調味液の
MCP及びDCPは検出されなかった。なお、原料の全
窒素濃度は、調味液を製造する場合に、通常採用されて
いる濃度としている。
【0021】実施例2 5リットル容三ツ口フラスコに、実施例1と同じコーン
グルテン 0.8kg,実施例1と同じ脱脂加工大豆 0.2kg及
び12%(W/V)塩酸 1.5リットルを加え、実施例1と
同様にして10時間加水分解した後、引き続き濃塩酸0.15
リットルを加え更に5時間加水分解した後、濃塩酸0.05
リットルを加え更に20時間加水分解して蛋白質の塩酸加
水分解液を得た。この加水分解液を冷却後、40%(W/
V)水酸化ナトリウム水溶液1.0リットルを加えてpH9.
0となし、50℃にて40時間保持した。次いで、この液を
pH5に塩酸で調節した後、濾過し、濾液3.1リットルを
得た。この液を食塩水と水で全窒素2.4%に調整した調
味液のMCP及びDCPは検出されなかった。
【0022】実施例3 5リットル容三ツ口フラスコに、実施例1と同じコーン
グルテン 0.8kg,実施例1と同じ脱脂加工大豆 0.2kg及
び12%(W/V)塩酸 1.5リットルを加え、実施例1と
同様にして5時間加水分解した後、引き続き濃塩酸0.28
リットルを定量ポンプを使用して15時間かけて一定量づ
つ加えて合計25時間加水分解して蛋白質の塩酸加水分解
液を得た。この加水分解液を冷却後、40%(W/V)水
酸化ナトリウム水溶液1.2リットルを加えてpH9.3とな
し、25℃にて50時間保持した。次いで、この液をpH5に
塩酸で調節した後、濾過し、濾液3.4リットルを得た。
この液を食塩水と水で全窒素2.4%に調整した調味液の
MCP及びDCPは検出されなかった。
【0023】比較例1 5リットル容三ツ口フラスコに実施例1と同じコーング
ルテン 0.8kg,実施例1と同じ脱脂加工大豆 0.2kg及び
23%(W/V)塩酸 1.5リットルを加え該フラスコに冷
却管を付設して油浴中で 103〜 106℃に保って20時間加
水分解して蛋白質の塩酸加水分解液を得た。この加水分
解液を冷却した後、40%(W/V)水酸化ナトリウム0.
94リットルを加えpH5にした後、濾過し、濾液2.7リッ
トルを得た。この液を食塩水と水で全窒素2.4%に調整
した調味液のMCPは 60ppmであり、DCPは 12ppbで
あった。
【0024】比較例2 5リットル容三ツ口フラスコに実施例1と同じコーング
ルテン 0.8kg,実施例1と同じ脱脂加工大豆 0.2kg及び
20%(W/V)塩酸 1.5リットルを加え、比較例1と同
様にして20時間加水分解して蛋白質の塩酸加水分解液を
得た。この加水分解液を冷却した後、40%(W/V)水
酸化ナトリウム0.82リットルを加えpH5にした後、濾過
し、濾液2.5リットルを得た。この液を食塩水と水で全
窒素2.4%に調整した調味液のMCPは 31ppmであり、
DCPは4ppb であった。
【0025】比較例3 5リットル容三ツ口フラスコに実施例1と同じコーング
ルテン 0.8kg,実施例1と同じ脱脂加工大豆 0.2kg及び
12%(W/V)塩酸 1.5リットルを加え、比較例1と同
様にして35時間加水分解し、この加水分解液を冷却後40
%(W/V)水酸化ナトリウム0.5リットルを加えpH5
にした後、濾過し、濾液2.1リットルを得た。この液を
食塩水と水で全窒素2.4%に調整した調味液のMCPは
1.7ppmであった。DCPは検出されなかった。
【0026】比較例4 5リットル容三ツ口フラスコに実施例1と同じコーング
ルテン 0.8kg,実施例1と同じ脱脂加工大豆 0.2kg及び
17.8%(W/V)塩酸 1.5リットルを加え、比較例1と
同様にして35時間加水分解し、この加水分解液を冷却後
40%(W/V)水酸化ナトリウム0.72リットルを加えpH
5にした後、濾過し、濾液2.4リットルを得た。この液
を食塩水と水で全窒素2.4%に調整した調味液のMCP
は12ppmであった。DCPは検出されなかった。
【0027】比較例5 比較例2の塩酸加水分解液を実施例2の第3工程と同じ
条件(pH9.0、50℃、40時間)に保持した結果、MCP
は1.3ppmであった。なお、DCPは検出されなかった。
【0028】表2に実施例1〜3の製造条件と得られた
調味液についての測定結果とをまとめて示し、表3に比
較例1〜5の製造条件と得られた調味液についての測定
結果とをまとめて示した。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表2に示す通り、実施例では、第1工程
(加水分解初期)のモル比を0.69とし、第2工程のモル
比を1.02〜1.15の範囲にすることにより、加水分解中に
過剰の塩酸が存在しない条件にしている。その結果、第
2工程で得られた加水分解液のMCPは 3.0〜7.1ppmと
非常に低い含有量となり、DCPは検出されない。特
に、実施例3では塩酸を連続して加えたため、過剰塩酸
量が少なく、第2工程で得られた加水分解液のMCPは
3.0ppmと極めて低い。加水分解率は67〜68%であって蛋
白質の加水分解が完全に行われたことを示している。第
3工程で得られる液は、DCPは勿論MCPも検出され
ない。
【0032】一方、比較例は、蛋白質の溶解工程と加水
分解工程を区別せずに製造する従来方法である。表3に
示す通り、比較例1は、モル比を仕込当初から1.32にし
て加水分解終了時まで維持する方法である。この加水分
解液から調味液にしたものでは加水分解率は70.8%とな
り蛋白質の加水分解が完全に行われたことを示している
が、MCPは 60ppmであり、DCPは 12ppbであった。
従来法によるとMCP及びDCPの含有量がこの様な大
きな値となる。比較例2も、モル比を仕込当初から1.15
にして加水分解終了時まで維持する方法である。加水分
解率は70.0%であって優れているが、MCPは 31ppmで
あり、DCPは4ppb であった。また、比較例3のよう
にモル比を0.69という低い条件下で反応を終了させる
と、加水分解率が53.3となって、未分解ポリペプチドが
残っており呈味性が不十分で調味料に使用できなかった
が、MCPは1.7ppmとなっており比較例2よりも減少し
ている。塩酸のモル比が小であるため、塩酸が低濃度で
あって、加水分解時に過剰の塩酸が存在しないときはM
CPの生成が極めて少なくなることを示している。ま
た、比較例4のようにモル比を1.02としたときはMCP
の含有量は比較例2よりも少なく、しかも分解率は68.8
%となって完全に加水分解が終了している。MCPの生
成量は加水分解の初期に塩酸が過剰になっているため、
比較例3よりも大となっている。また、比較例5から明
らかなように、第3工程の初発時のMCPが31ppm のと
きには第3工程終了時に1.3ppmを示しており、第1工程
及び第2工程においてMCPの生成を可及的に抑止して
9ppm 以下としておく必要があることが判る。
【0033】なお、pH値を9.4以上、温度を81℃以上、
51時間以上の保持のいづれか、又は、その組み合せによ
って第3工程を実施すれば、初発MCPが10ppm 以上で
あっても、当該工程終了時にはMCPが検出されなくな
ることを実験によって確認しているが、この場合には、
第4工程における中和に要する塩酸の使用量が増加して
過剰な食塩が生成するため、脱塩工程が必要になり、ま
た、焦げ臭が生成して脱臭工程が必要になり、第4工程
を終了後優れた調味液とはならないため無駄な工程を追
加しなければならないことになる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、上掲各実施例にも示さ
れる通り、塩酸加水分解法によってDCPやMCPなど
の塩素付加物の生成が可及的に抑止された状態で呈味の
優れた調味液を得るに充分な加水分解反応が遂行できる
と共にMCPやDCPが検出されない呈味の優れた植物
蛋白質加水分解調味液を提供することができる。従っ
て、本発明の産業利用性は非常に大きいといえる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 1/227 A23L 1/227 B

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物蛋白質を塩酸により加水分解した加
    水分解液を中和して植物蛋白質加水分解調味液を製造す
    る方法において、植物蛋白質に該蛋白質中の全窒素に対
    する塩酸のモル比が0.を越え0.9未満となるよう
    に塩酸を加えて溶解・加水分解する第1工程と、引き続
    き第1工程を終了した蛋白質塩酸溶液に該溶液中の全窒
    素に対する塩酸のモル比が1.0を越え1.3未満とな
    るように塩酸を追加して加水分解する第2工程と、第2
    工程で得られた加水分解液に該分解液のpH値が8.8
    〜9.3となるように水酸化ナトリウムを加えて25℃
    〜80℃の温度範囲において20〜50時間保持する第
    3工程と、第3工程で得られた液を中和する第4工程と
    を経由して植物蛋白質加水分解調味液を得ることを特徴
    とする植物蛋白質加水分解調味液の製造法。
  2. 【請求項2】 第2工程において、第1工程を終了した
    蛋白質塩酸溶液中の全窒素に対するアミノ態窒素の割合
    が63%以上に到るまで加水分解する請求項1記載の植物
    蛋白質加水分解調味液の製造法。
  3. 【請求項3】 第2工程における塩酸の追加を、複数回
    に分割して行なう請求項1記載の植物蛋白質加水分解調
    味液の製造法。
  4. 【請求項4】 第2工程で得られた加水分解液中のモノ
    クロロプロパンジオール濃度が9.0ppm以下である請求項
    1記載の植物蛋白質加水分解調味液の製造法。
  5. 【請求項5】 第3工程終了時の液中にモノクロロプロ
    パンジオール及び/又はジクロロプロパノールが検出さ
    れない請求項1記載の植物蛋白質加水分解調味液の製造
    法。
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