JP2017148019A - 蛋白加水分解物の製造方法 - Google Patents

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典彦 寺原
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Abstract

【課題】鶏肉の蛋白を酵素分解して、安全性が高く、風味もあり、呈味性の強く、しかも、「スープのベース」になり得る蛋白加水分解物の製造方法の提供。
【解決手段】基質蛋白の少ない鶏胸肉をミンチし、水を加え、pH10以上維持する様にアルカリを加え、30分以上保持し、原料中の自己消化酵素を失活と同時に蛋白を膨潤させた後、ペプチダーゼを含まないアルカリ性プロテアーゼを添加し、無塩下で蛋白を分解・可溶化させ、その後、加熱・失活し、油脂分を除去し、可溶化エキスを得る蛋白加水分解物の製造方法。好ましくは、鶏胸肉を原料とする時、前記可溶化エキスの成分が、蛋白質の溶解率80%以上で、分解率が20%以下であり、オキシプロリン(Hyp)が蛋白質に対して1%以下である様にする、蛋白質分解物の製造方法。
【選択図】なし

Description

動物性蛋白である肉類を酵素で分解することにより、風味があり、呈味が強い安全な調
味料を製造する技術に関する。
動物性蛋白からの調味料の製造は、大まかに分けて、抽出タイプと分解タイプがある。市場に供給されているのは、加熱・抽出型が殆どである。即ち、原料に水を加え、熱を加えて煮出して得られるエキスの製造法が殆どである。
肉類からの抽出エキスの代表的なものは、「ブラジル・ビーフ」があり、国際的な商品となっている。ブラジル・ビーフは、風味が有り、呈味も強く、そのままス−プの素材となり得る。しかし、コンビーフ製造時の副生物で、供給が安定せず、価格の変動も激しく、使用し難い面がある。
肉自体は高価であり、最終価格が高価となり上市されているのは、僅かである。一方、肉を取った残りの骨類は、安価で、大量に入手出来るので、骨類(牛、豚、鶏の骨)からの加熱抽出エキスが、工業的に行われている。一般に、骨に水を加え、加熱・抽出で得られたエキスは、風味はあるものの、呈味性が低い、抽出歩留りが低い、残渣が多い等の欠点がある。
1)呈味性の問題
加熱抽出されたエキスは、風味は有るが旨味に乏しい。従って、スープのベースとして使用する場合、更に、多量の調味の必要があり、無添加のスープ・ベースとして使用するには難しい。
(理由)加熱して得られるエキスは、骨に含まれるコラーゲンがゼラチン化したものが主体であり、ゼラチン自体には味がない。
2)安全性の問題
抽出時、歩留りの向上のため、抽出温度を(加圧して)高める傾向にある。そのため、加熱による変異原性物質の発現もあり、安全性にも疑問がある。
※熱水抽出ボーンエキスの品質および変異原生におよぼす抽出条件の影響
日本食品科学工学会誌:44巻、p716−723(1997−10)
東京海洋大学 林 哲仁 その他 3項を参照
3)歩留りの問題
肉には、肉質蛋白と基質蛋白があり、加熱した場合、肉質蛋白は凝固する。骨中に含まれる基質蛋白の主成分であるコラーゲンが、加熱されゼラチンとして溶解してくる。
原料の骨部分は、残渣として発生するが、骨に付随する肉質蛋白も凝固しており、利用されず残渣となっており、残渣が多い理由となっている。特に、鶏骨の場合、歩留りが低い傾向にある。
加熱抽出法では、安価に、大量に生産出来、広く応用されているが、不備な点も多い。
一方、調味料への酵素の利用は、蛋白の分解による呈味性の向上、物性の改良、工程の簡略化等が期待され、応用されている。その多くは、アミノ酸まで分解した調味料の製造に関してのものが多い。例えば、特許第4094026号公報(特許文献1)では、鶏骨に付随する蛋白を酵素分解してアミノ酸系の調味料とする方法を提示しており、有用な方法である。
特許第4094026号公報
日本食品科学工学会誌:44巻(1997−10)、(p716−723) 食肉の化学:1964年、(p.163) 農林水産省HP:「クレアチンによる肉含量の測定」(p.7)
しかしながら、特許文献1に示される技術のように、アミノ酸まで分解すると、原料の持つ風味は無くなり、単なる呈味を強化するだけの調味料となる。調味料としては、原料の風味を持ち合わせて、旨味の強い調味料の開発が求められている。酵素分解の調味料の製造時、一番の問題点は、分解時に生ずる「苦味」である。「苦味」の発生の防止、消去等は、十分に、解決されているとは言えず、上市されている酵素分解での調味料は少ない。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、鶏肉の蛋白を酵素分解して、安全性が高く、風味もあり、呈味性の強く、しかも、「スープのベース」になり得る蛋白加水分解物の製造方法を提供することを目的とする。
現在、多量に使用されている骨類の調味料は、殆どが、加熱抽出によるエキスである。加熱温度や加熱時間等々、多くの検討がなされている。しかし、前述の呈味性の改良、歩留りの向上が、十分に成されたとは言い難い。このような、骨類の加熱抽出は、数多く実施されておりあまり改良の余地は無い様にも考えられる。エキスの抽出法としては、加熱抽出法以外に、酵素分解法があり、酵素分解法の方が多くの利点があると考えられている。
酵素分解法では、原料の蛋白を酵素で分解していく。即ち、アミノ酸の塊である蛋白を酵素で分解し、(1)アミノ酸が数個のペプチドとする。更に、(2)アミノ酸まで分解する方法であり、中途の(1)ペプチド・エキスや(2)アミノ酸が調味料となる。
問題点として、次の項目が考えられる。
1.苦味の問題
蛋白を、酵素により分解し、可溶化したペプチド・タイプの調味化とする試みがなされているが、分解時に発生するある種のペプチドにより苦味が生ずるのが最大問題点で、商品化されているものは少ない。
2.旨味の問題
骨からの加熱抽出エキスは、風味は有るが、旨味が乏しい。肉を原料としたエキスは、ブラジル・ビーフ以外、あまり上市されていない。原料肉自体、高価であるので、製品も高価になる傾向にあり、使い難い。
そこで、酵素分解して、「風味があり、旨味が増強された」エキスの製造が求められる。酵素分解で、風味を保持し旨味の強いエキス満足できるエキスの取得出来るかが課題となる。
蛋白は、元々、旨味を呈しない。肉の旨味は、肉中に存在するアミノ酸や核酸等に由来する。蛋白が分解され、ペプチドとなり、アミノ酸に分解されるが、分解されるに従って、旨味が発現する。動物蛋白は、肉質蛋白質(筋繊維を構成する蛋白質でアクトミオシン、ミオゲンやグロブリン等)と基質蛋白質(結合組織を構成する蛋白質でコラーゲンやエラスチン等)とに分けることができる(表1(非特許文献2)参照)。
Figure 2017148019
基質蛋白の主成分はコラーゲンで固形であるが、加熱されると、溶解してゼラチンとなる。ゼラチンは、味を呈さず、分解しても苦味が生じないことが知られているが、アミノ酸の組成上、酵素による分解は困難であり、分解率は低く、分解されたゼラチンは呈味性が低く風味もない。例として、鶏肉、鶏骨から加熱抽出したエキス(回収蛋白質)の分析値を表2に示す。
Figure 2017148019
但し、蛋白質(C−P(Crude−Protein))=全窒素(T−N)×6.25
ゼラチン(gelatin)=オキシプロリン(Hyp)×10(暫定的)
なお、オキシプロリン(ヒドロキシプロリン(Hyp))は、コラーゲン(collagen)に特異的に含まれるアミノ酸で、オキシプロリンを測定することで、コラーゲンまたはゼラチン(gelatin)量を知ることができる。
一方、肉質蛋白は、酵素の作用を受け易く、容易にペプチド化され、条件によっては、アミノ酸まで分解できる。
1.呈味を低下させる一つの原因について
鶏骨の蛋白の多くの比率を占める基質蛋白であるコラーゲンは、加熱変性してゼラチンとなるが、分解されても呈味性が低い。従って、ゼラチンの混入は、旨味の力価を落とす可能性があり、目的とする調味料では、ゼラチンの比率が少ないことが望ましい。肉由来の代表的な調味料である「ブラジル・ビーフ」は、コンビーフ製造時の副生物で、牛肩肉をボイルした煮汁の濃縮したものである。ブラジル・アルゼンチンでのコンビーフの製造は、牛の肩肉を一旦ボイルしほぐして缶詰とする。ボイルした後の煮汁を濃縮したものが「ブラジル・ビーフ」と称されるエキスである。「ブラジル・ビーフ」には、クレアチンの含量の規格がある。筋肉中に含まれるクレアチンを規制することで、味の力価を担保している。クレアチンとゼラチンの含量は、逆比例の関係にあり、ゼラチン分が多ければクレアチンが少なくなる。即ち、ゼラチンの混入は、味の力価を落としていることを認識している(非特許文献3参照)。従って、原料としては、コラーゲンの少ないものが適している。「ブラジル・ビーフ」では、筋(コラーゲン)の少ない原料を使用することが、肝要と言われている。
2.エキスの風味について
加熱抽出では、原料の風味を有するエキスが得られる。分解されるに従って、風味が無くなってくる。鶏肉の分解でも同様で、アミノ酸まで分解されたものは、風味は全くなくなってくる。従って、スープのベースにはならず、旨味を付与するだけの調味料となる。風味を残すには、分解をペプチドの段階で留め、旨味を呈し、しかも、原料の風味を出来るだけ損なわない分解が求められる。
3.分解時に発生する苦味について
分解時に、苦味が発生することが多く、商品化されたものは少ない。苦味は、ある種のペプチドに由来し、ゼラチンの様に分解しても苦味が発生し難いものもある。又、牛乳の蛋白であるカゼインの分解物は、強い苦味を呈すると言われている。苦味があるペプチドを、更に、アミノ酸まで分解すると苦味が消失し生成したアミノ酸により旨味が増加するが、同時に、原料の持つ風味が消失し、スープのベースとなり得ず、単なる味を補強する調味料となる。尚、苦味物質をマスキングする物質も考案されているが、苦味を発生させない、又は、抑えた分解法が開発されることが、望ましい。
また、酵素による調味料の製造法の報告は、多数ある。一般に、生の蛋白原料の分解では、まず、加熱処理され、それから、エンド型のプロテアーゼ、又は、更に、エキソ型のプロテアーゼ(ペプチダーゼ)により分解し、調味料とする方法が提示されている。即ち、蛋白原料を、まず、エンド型プロテアーゼで分解・可溶化し、その後、ペプチダーゼで分解し、アミノ酸を生成させ、旨味を発現させる方法が主体である。
エンド型のみで分解し調味料とする方法は、少ない。これは、エンド型のプロテアーゼのみの分解では、苦味が生じ易く、アミノ酸の生成も少なく旨味が少ないとされている。よって、更に、ペプチダーゼで分解し、アミノ酸量を増やし、旨味を増す方法を提示している。また、エンド型のプロテアーゼでのみで分解したペプチド・タイプの調味料は、苦味の発生の問題があり、商品化されたものは少なく、苦味を呈しないペプチド・タイプの調味料を製造方法は少ない。
検討課題としては、「風味を残し、旨味の強いエキスの製造」は、酵素による可溶化エキス(ペプチド・エキス)が、適当と考えられる。エンド型酵素は、アミノ酸結合の内部から切断する。一方、エキソ型(ペプチダーゼ)は、端から切断し、アミノ酸を生成する。ペプチドを多く含むエキスの分解では、エンド型の酵素による分解が適当と考えられる。
肉質蛋白は、一部、水や塩類に溶ける性質があり、又、アルカリで溶解・膨潤する性質がある。肉をプロテアーゼで可溶化し、ペプチド・エキスとした時、苦味を発生する場合が多く調味料とすることが出来なかった。通常、生の肉での酵素分解では、そのまま行うことは少ない。
一般に、前処理として、原料に付着する雑菌の殺菌と、自己消化酵素の失活のため、加熱処理される。加熱処理を行わないと、分解中での腐敗の恐れがあり、又、自己消化酵素の作用で、原料に含まれる油脂分の劣化(酸化や着色)があるためである。加熱すると肉質蛋白は凝固する。凝固した肉質蛋白での酵素処理では、酵素が作用し難い結果であった。その結果、多量の酵素を使用する、又は、長時間の作用となり、苦味が生ずる場合が多いと予測される。
動物性の調味料素材として、牛・豚・鶏肉が考えられるが、牛・豚肉は価格が高く、鶏肉は、比較的安価である。旨味成分は、肉質蛋白に由来するので、肉質蛋白の比率の高い肉が好適である。その点、鶏のムネ肉は、好適であり鶏肉を持いて、調味料としての可能性を調べた。
1)各種プロテアーゼでの分解試験
(1)中性での酵素処理(中性プロテアーゼ使用)
苦味はあまり無かったが、旨味は生じなかった。オイル分の変色(着色)があった。
(2)酸性域での分解(酸性プロテアーゼ使用)
酸性域では、肉質蛋白が凝固をし、肉質蛋白の酵素による分解(可溶化)が、十分でなく、旨味の発生は、僅かであった。
(3)アルカリ域での分解(アルカリ性プロテアーゼ使用)
アルカリ域での分解では、苦味が無く、風味があり、旨味が発生していた。
鶏肉の肉質部位を原料として分解した時、いずれの分解でも、あまり苦味は生じなかった。肉質蛋白の分解では、苦味の発生は少ないと考えられる。
中性及び酸性プロテアーゼで分解したものは、旨味が生じなかった。しかし、アルカリ・サイドでの分解のみ、旨味が発生し、有望であると考えられた。
2)同一酵素での分解
1)では、中性、酸性、アルカリ性の異なる酵素を使用した。その結果、旨味の発現状態が異なった可能性もあり、同一酵素による試験を行った。酵素は、アルカリ性プロテアーゼを使用した。アルカリ・プロテアーゼは、至適pHがアルカリ・サイドにあるが、中性でも十分に活性がある。その時のpHの活性に従って酵素の使用量を加減した。
Figure 2017148019
アルカリ・プロテアーゼ200,000unitを使用
アルカリ・プロテアーゼのpH6での活性は、約60%であったので、pH6での分解では、100÷60=1.7倍の使用量とした。
Figure 2017148019
可溶化率:醤油試験法によった
塩分:モール法
窒素:ケルダール法
分解率:フォルモールN÷T−N×100
結果、中性域での分解より、アルカリ域での分解の方が、分解の程度を示す蛋白可溶化率が高く、短時間で、早くペプチド化進んでいることが分かる。蛋白は、アルカリ・サイドで膨潤し、蛋白の構造が変化し、その結果、酵素が働きやすい状態になったと考えられる。その結果、可溶化が短時間で可能となり、又、中性域よりも、酵素の働く部位が多くなった結果、旨味の発現があったものと考えられる。
鶏肉をミンチし、水・アルカリを添加し撹拌する。撹拌していると、アルカリが消費され、pHは低下するが安定してくる。添加するアルカリ量は、肉質蛋白量に対して添加されるが、一般に、苛性ソーダの場合、5〜10%/肉質蛋白である。温度は、基質蛋白、コラーゲンの溶解しない温度で良いが、その他の条件を、油脂分の劣化を考慮して、出来るだけ低い方が良い。
アルカリ処理することで、原料に含まれる自己消化酵素をも失活される。このことは、酵素分解を安定的に行う上で重要である。又、自己消化酵素の一部である油脂分解酵素(リパーゼ)も失活され、自己消化酵素による分解中の油脂の劣化(着色や酸化)を防ぐことが出来る。
殆どの原料には油脂分が含まれており、酸化を防ぐには、低温の方が望ましい。肉質蛋白が溶解し、pHが安定したら、酵素の至適温度まで、温度をあげる。
分解酵素としては、アルカリ・プロテアーゼが良く、肉質蛋白に作用させ蛋白を溶解させる。酵素を添加し、分解すれば、短時間で(30分〜2時間で十分である)肉質蛋白が溶解する。
分解終了後、必要に応じて、pHを調整し、加熱して、失活・殺菌を行う。その後、油脂分と不溶解物を、金網等で除去し、目的の可溶化エキスを得る。尚、pHは、分解が進むにしたがって低下してくる。pHの低下を見ることで、分解を管理することが可能である。
次に表5にて、各条件で得られた可溶化エキスの官能検査結果を示す。
Figure 2017148019
※検査員5名による判定
以上の如く、アルカリ域での鶏肉の分解で、ペプチドの豊富な、苦味も無く、鶏の風味を持ち、旨味も強い可溶化エキスが可能となった。調味料として有用であると判断された。
また、アルカリ域での鶏肉の分解で得られた可溶化エキスのアミノ酸と生ムネ肉のアミノ酸との比較の結果を表6,7に示す。
Figure 2017148019
Figure 2017148019
生肉のFAA(遊離アミノ酸)に比べ、分解後のエキスは、いずれのアミノ酸も増加しており、旨味が増していることを示している。
3)ゼラチンの混入による味の低下
動物性蛋白を原料とした時、基質蛋白であるコラーゲンが存在する可能性がある。コラーゲンが加熱変性しゼラチンとして、分解物中に混入する可能性がある。
ゼラチンは味を呈しないので、セラチン分が多くなれば、その分、呈味を低下させる。呈味性を考慮すれば、ゼラチンの混入を出来るだけ制限する必要がある。
動物性の原料として検討した所、蛋白に対しての基質蛋白の比率の低いものとして、鶏ムネ肉が考えられる。
Figure 2017148019
ゼラチン分には、ゼラチンのみに含まれるヒドロキシプロリン(Hyp)を測定することで、推測できる。Hyp×10を、ゼラチン分とした。
動物蛋白の原料としては、牛、豚、鶏肉があるが、その中で鶏の肉が安価であり入手が容易なことで、調味料の素材使用出来るとして可能性が高い。鶏ムネ肉とモモ肉との味の比較の結果、次の様であった(表9参照)。尚、分解は、アルカリ・サイドで、同様な分解を行った。
Figure 2017148019
苦味は、いずれも、殆ど感じられなかった。呈味、風味は、共にムネ肉の方が勝っていた。
鶏ムネ肉を原料として、アルカリ・サイドでの分解は、苦味が無く、風味を持ち、旨味の強い動物性の調味料として、有用と評価された。これは、基質蛋白の比率の低い原料の使用と、アルカリ・サイドでの分解の両者によるものであると考えられた。尚、内臓肉では、同様に分解しても、旨味が生じなかった。又、クレアチンが少ないとの報告がある。
1.鶏ムネ肉から、酵素分解による、苦味が無く、鶏の風味を持ち、独特の旨味を有する可溶化ペプチド・エキスが得られ、安全な調味料として利用できる。
2.従来の加熱抽出では、変異原生物質の生成の恐れがあったが、分解時の低温処理のため、変異原生物質の生成が低く、安全性が高い。
3.開発された肉エキスは、調味料だけでなく、スープの素材として、又、介護保護食品として、健康食品の素材として利用できる。
本発明に係る蛋白加水分解物の製造方法を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
1.鶏ムネ肉(皮なし)
鶏ムネ肉(皮なし)をミンチ機でミンチする。ミンチ肉1kgに対しし、4kgの水を加える。NaOHを13g添加し、2時間撹拌した。その時のpHは、11(20℃)。加熱して55℃とし、酵素プロチンーSD−AY10(天野エンザイム)を2.5g添加し2時間撹拌して分解した。2時間後のpHは、8(55℃)であった。90℃まで加熱し酵素を失活し、100メッシュの金網で、ろ過した。金網上の残差は、僅かで、歩留りには、殆ど影響しない量であった。分解液を静置し、上部のオイルを除去して分解液を得た。
2.鶏ムネ肉(皮付き)
鶏肉をミンチ機でミンチし、鶏肉1kgに対して水4kg加えた。苛性ソーダを12g添加し撹拌した。中途、ミキサーで摩砕し、1時間撹拌した。温度を55℃に上げ、オリエンダーゼ(HBI)を1.4g添加し1時間撹拌分解した。85℃に温度を上げ、30分保持し、酵素を失活した。100メッシュの金網でろ過し、静置した後、オイルを分離し、分解液を得た。
1及び2の分析値の結果については、下記の通りであった(表10参照)。
Figure 2017148019
※Hyp,ゼラチン分共に、蛋白量に対して表示した。
※Hyp×10をゼラチン分とした。
官能検査では、何れも、苦味は無く、風味・旨味もあり、調味料、又、スープ・ベースとして有用と認められた。
3.2の分解液を、真空濃縮機でBx50%まで濃縮した。その時の量は、550gであった。濃縮液100gに対して17gの塩を添加し、調味料「鶏肉エキス」が得られた。
4.3で濃縮したBx50%の濃縮液を凍結乾燥した。その乾燥物は、肉室蛋白の素材として有用であった。又、イミダペプチドを含む素材として有用であった。

Claims (2)

  1. 基質蛋白の少ない鶏胸肉をミンチし、水を加え、pH10以上維持する様にアルカリを加え、30分以上保持し、原料中の自己消化酵素を失活と同時に蛋白を膨潤させた後、ペプチダーゼを含まないアルカリ性プロテアーゼを添加し、無塩下で蛋白を分解・可溶化させ、その後、加熱・失活し、油脂分を除去し、可溶化エキスを得ることを特徴とする蛋白加水分解物の製造方法。
  2. 鶏ムネ肉を原料とした時、得られた前記可溶化エキスの成分が、蛋白の溶解率が80%以上で、分解率が20%以下、及び、オキシプロリン(Hyp)が蛋白に対して1%以下であること特徴とする請求項1に記載の蛋白加水分解物の製造方法。
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