JP2005176815A6 - 魚醤油の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 魚醤油の製造における熟成期間を短縮して生産性を向上させるとともに、食味の向上した魚醤油を生産する方法を提供する。
【解決手段】 魚介類の肉、食塩等及び酵素剤を含む混合物を熟成させた後、濾過して魚醤油を製造するに当り、酵素剤として、プロテアーゼとコラゲナーゼとを併用することにより、魚醤油の食味を改善しかつ生産性を向上させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は高品質の魚醤油を製造する方法に関する。さらに詳細には、特定の酵素剤を使用して、食味の向上した魚醤油を生産性よく製造する方法に関する。
魚醤油は魚介類に多量の食塩を添加して漬け込み熟成させた調味料であり、近年、わが国でも、麺つゆや「たれ」の隠し味として需要が増えている。このような魚醤油は、その製造において、熟成期間の短縮や旨味成分のアミノ酸量の増加を目的として、酵素剤、醤油麹、アミノ酸及び有機酸の添加等、種々の方法が検討されている。
例えば、魚臭が少なく、味覚の点で魚介類の味の残存が少ない魚醤油の製造法として、食塩を3〜25%(W/W)添加し、温度を25〜45℃に保ち、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)を起源としたプロテアーゼの存在下で魚介類を酵素分解する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、従来の方法による魚醤油は、熟成期間が長いため生産性に問題がある。また、味には塩水に魚のエキスが入っているような塩辛さがあり、舌を刺すような感じが拭えない。さらに、魚臭さが残り、食味や風味の向上も期待されている。
特開平10−42828号公報
したがって、本発明は、魚醤油の製造における熟成期間を短縮して生産性を向上させるとともに、食味の向上した魚醤油を生産する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々研究を重ねた結果、魚醤油の製造において添加する酵素として、プロテアーゼとコラゲナーゼとを併用して熟成すると、熟成に要する期間が短縮され、しかも、得られる魚醤油の食味や風味が著しく向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、上記の目的は、
(1)魚介肉、食塩及びプロテアーゼとコラゲナーゼを含む混合物を熟成し、熟成物を濾過することを特徴とする魚醤油の製造法、
(2)魚介肉1kg当り、プロテアーゼを30〜10000単位(好ましくは3002〜5000単位)及びコラゲナーゼを5〜1000単位(好ましくは50〜500単位)の割合で混合した混合物を熟成することを特徴とする上記(1)の魚醤油の製造法、
(3)食塩を、魚介肉の重量に対して10〜35重量%(好ましくは15〜33重量%)の割合で混合することを特徴とする上記(1)又は(2)の製造法、
(4)さらに魚介類の内臓を混合することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかの製造法、
(5)熟成を、10〜50℃(好ましくは15〜45℃)の温度で行うことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかの製造法、
(6)熟成を、7〜120日間(好ましくは10〜60日間)行うことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかの製造法、
(7)熟成当初の混合物のpHを3〜5の範囲に調整することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかの製造法、
あるいは、
(8)熟成当初の混合物におけるpHを3〜5の範囲に調整し、かつ食塩の濃度を魚介肉の重量に対して3〜15重量%とすることを特徴とする上記(1)〜(2)、(4)〜(7)のいずれかの製造法、
によって達成される。
本発明の方法によれば、従来の方法に比べて短期間で所望の魚醤油を製造することが可能となる。しかも、得られる魚醤油のアミノ酸含有量が高くなって旨味が増大し、塩辛さをあまり感じない、まろやかな味となる。
発明を実施するの最良の形態
本発明では、魚醤油の材料として、少なくとも(1)魚介類の肉(本発明では、魚介肉という)(2)食塩、並びに(3)特定の酵素剤の組合せ、すなわちプロテアーゼとコラゲナーゼとの組合せ、を使用する。以下、これらの各材料ならびにこれらを用いて魚醤油を製造する方法について、具体的に説明する。
<魚介肉>
本発明において用いられる魚介肉は、サケ、マス、カツオ、マグロ、アジ、イワシ、イカ、小エビ、貝類等の魚介類の肉であり、魚介類の種類には特別の制限はない。また、本発明において用いられる魚介肉原料は、魚介類の正肉部のみならず、頭、内臓、ハラモ、皮及びそれらの混合物をも含むものでもよい。
材料としてサケ、マス、マグロ等の大型の魚類を使用するときは、内臓、頭部、ひれ、背骨等を除去した魚肉を、水又は食塩水で洗浄後、適当な大きさに細断して使用する。
<食塩>
本発明の方法で使用する食塩としては、通常の食塩を用いることができ、その種類は問わない。例えば、岩塩、海塩のいずれもが使用可能である。
使用する食塩の量は、魚介類の肉の重量に対し、10〜35重量%が適当であり、15〜33重量%が好ましい。熟成中の腐敗を防ぐ目的から、食塩は熟成系中において実質的に飽和状態にあるようにするのが特に好適である。
ただし、後述するように、熟成系の当初のpHが3〜5となるように調整した場合は、食塩の濃度を上記の範囲より低減することができる。
<酵素>
本発明の最大の特徴は、上記の材料のほかに、酵素剤を用い、かつ該酵素剤として、プロテアーゼとコラゲナーゼとを併用することである。
本発明で使用するプロテアーゼとしては、微生物由来のものとして、例えば、Aspergillus oryzae起源の「プロテアーゼA」(天野エンザイム社製)、Bacillus subtillis起源の「プロレザーFGF」(天野エンザイム社製)のほか、Spergillus melles起源、Rhizopus niveus起源、Rhizopus oryzae起源等の各種プロテアーゼ製剤が好適に使用される。また、植物由来のものとして、例えば、Craria papaya L起源の「パパインW−40」(天野エンザイム社製)、Pineapplle cannery起源の「プロメラインF」(天野エンザイム社製)等が好適に使用される。
プロテアーゼの添加量は、魚介類の肉の重量1kgに対し、1,000〜5,000単位(Unit)が好ましい。ここでプロテアーゼの活性量(単位数)は、基質にカゼインを用いて、Kunitz法にて測定し、37℃で1分間に1マイクロモルのチロシンに相当する酵素力価を1単位(Unit)として表示される。
一方、コラゲナーゼとしては、微生物由来のものが好ましく、例えば、
Clostridium histolyticum起源のシグマ社製コラゲナーゼのほか、Streptmyces起源、Achromobacter起源のコラゲナーゼ等が好適に使用される。これらは、それぞれ製剤として市販されているので、いずれも容易に入手することができる。
コラゲナーゼの添加量は、魚介類の肉の重量1kgに対し、100〜500単位が好ましい。一般に、コラゲナーゼの活性量(単位数)はプロテアーゼの活性量(単位数)の0.1〜50%が好ましく、特に、1〜25%が特に好適である。
なお、コラゲナーゼの活性量(単位数)は、基質にコラゲンを用い、TNBS法にて測定し,37℃で1分間に1マイクロモルのロイシンに相当する酵素力価を1単位(Unit)として表示される。
<有機酸類>
本発明者らの研究によれば、この際、上記の混合物に、さらに、酢酸(食酢)、クエン酸、乳酸、コハク酸などの食品として使用可能な有機酸を添加することで熟成開始時の該混合物pHが3〜5となるように弱酸性側に調整すれば、食塩の濃度を魚介肉重量を基準にして10重量%程度或いはそれ以下に低減しても腐敗が生ぜず、より高品質で塩分の少ない魚醤油を製造することができることがわかった。上記の有機酸類の添加によりpHを3〜5、特に4.0〜5.0の範囲に調整したときは、食塩の濃度は3〜15重量%、特に5〜13重量%が好適である。
したがって、このようなpHの調整によって、減塩され塩味の薄い健康に良好な魚醤油を製造することができる。しかも、pHを上記範囲に調整すると熟成が促進され、より短期間で高品質の魚醤油を製造することが可能となる。
<上記以外の添加物>
本発明方法では、上記の各成分のほかに、魚介類の内臓を混合してもよく、多くの場合、その方が好ましい。魚介類の内臓にも酵素として多少のプロテアーゼが含まれるため、熟成を進める効果がある。内臓は適当な大きさに細断して使用してもよく、あらかじめミンチ等ですり潰して内臓ホモジネートとして使用してもよい。
本発明の方法では、さらに、必要に応じて、上記各材料のほかに、食品としての安全性が確認されている各種材料や添加剤等を加えることもできる。
<魚醤油の製造プロセス>
本発明によれば、まず、必要に応じて、材料となる魚介類からその内臓、頭部、ひれ、主な骨等を除去し、洗浄した後、材料を適当な大きさに細断する。そして、これに所定量の食塩及び必要に応じて加えられる水に混合し、さらに、上述したプロテアーゼ及びコラゲナーゼを添加し、よく混合する。
プロテアーゼ及びコラゲナーゼの添加は、同時に行ってもよいが、コラゲナーゼを添加した後でプロテアーゼを添加することもできる。この際、必要に応じて、さらに上記以外の他の材料を同時又は逐次に添加してもよい。
なお、本発明では、上記の材料に水を添加しても差し支えない。魚介肉と食塩と水との混合は、次の2通りの方法で実施することができる。
(a)魚介肉を細断したものを食塩と混合した後に仕込み水に懸濁させて調製する方法。
(b)魚介肉を細断したものを食塩水に懸濁させる方法。
上記の如く調製した食塩含有魚介肉懸濁液に、酵素剤を添加し攪拌混合する。混合は、手作業で実施してもよいが、ミキサー等を用いて機械的に混合するのが効率的である。混合は室温下で行うのがよい。
食塩と水の使用量は、最終製品の目標塩分濃度に応じて任意に設定できるが、通常、魚醤油中(生揚)の塩分濃度は10〜30g/dlの範囲であり、好ましくは10〜20g/dlとなるように調整するのがよい。上述したpHを3〜5に調整しない場合は、食塩濃度が上記範囲よりも低いと、有害微生物汚染の原因になりやすい。一方、食塩濃度が上記範囲を超えると酵素活性阻害等が生じて、熟成により長期間を要することになる。
一方、熟成当初のpHを3〜5に調整とすると食塩濃度は3〜15重量%でよく、酵素の活性も高くなるので熟成が促進されより短期間に製品となる。
食塩水を使用する場合は、飽和食塩水を使用するのが好ましい。ただし、本発明では、魚介肉へ食塩を混合することにより、魚介肉から水分が分離してくるので、それだけで必要な水分が得られる場合は、外部から水を加えることなく実施することができる。
この魚介肉懸濁液物を、容器に入れて、大気中、10〜50℃、好ましくは15〜45℃、さらに好ましくは30〜40℃において、7日以上、好ましくは14日以上熟成させる。熟成中、容器の上から荷重を加えてもよい。熟成物を濾過して、液体分のみを取り出すことにより、魚醤油が得られる。熟成温度が高すぎると魚介類のタンパク質の分解(腐敗)が生じやすくなり、熟成温度が低すぎると熟成期間が長くなり生産性が低下する。
本発明では、従来の方法に比べ熟成期間を短縮することが可能であるため、仕込み後7日以上経てほぼ目的とする程度まで熟成が進み、14日もすれば十分な熟成が行われるに至る。このため、本発明によれば、比較的短期間で目的とする魚醤油を得ることができる。熟成期間は、生産性と品質の両面を考慮して、7〜120日間の範囲で適宜選択するのが好ましい。
熟成に使用される容器は半密閉の容器が好ましい。容器に仕込まれた材料は、例えば、液温25〜45℃に調整し、必要に応じて時々攪拌しながら、上記の期間、発酵熟成させる。仕込み初期には酵素により魚介肉蛋白等が分解される。また、生魚介肉の場合には魚介肉自体の酵素により自己消化も起きる。
熟成が十分行われたか否かは、熟成中の魚醤における全窒素量の経時的変化によって知ることができる。すなわち、全窒素量が1g/100g前後に達すれば、ほぼ熟成されたと言うことができる。良好な品質の製品を得るという観点からは、全窒素量が1.5g/100g以上に至れば熟成が完了したと判断することができる。
十分な熟成が行われた混合物は、次いで、濾過されて固液が分離される。濾過には、通常の濾布を用いることができる。濾過に当り加圧して濾過効率を上げるようにしてもよい。濾過した液体分は、壜、ペットボトル、その他の容器に充填し、魚醤油として製品化される。
なお、上記の熟成を終了した後に、通常の醤油諸味の後処理と同様の処理を施して製品化してもよい。例えば、熟成後の魚醤(混合物)を濾過して生揚となし、必要により、この生揚を火入れ殺菌をした後に、火入れオリを濾過して清澄な火入れ製品とすることもできる。これらの製品は、伝統的な魚醤に比べ、魚臭さがなく、魚醤油特有の甘味のある旨味を有すると共に、色の濃さは本醸造薄口しょうゆと同等又はそれ以下の適度の薄さを有し、醤油風味も有する魚醤油である。
本発明の方法で得られる魚醤油の製品組成は、ほとんどの場合、pH4.7〜5.2、全窒素1.3〜3.0g/dl、食塩14〜18g/dl、乳酸0.6g/dl以上、エタノール1.2g/dl以上、色度0.3〜0.9(波長550nm、10mmセルの吸光度)である。このように本発明の方法による魚醤油は、良好な色調を持ち、魚臭さがないのにもかかわらず魚醤の旨味を有し、また、日本醤油の風味をも併せ持つため、日本料理にとどまらず、中華料理、西洋料理、エスニック料理用の調味料としても最適である。また、独特の旨み成分を含むため化学調味料に代わる天然物由来の調味料としても有用である。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、例中に単に「%」とあるは、特に断らない限り重量%を意味する。
〔実施例1、比較例1〜2〕
試料としてオホーツク海域で漁獲されたシロサケ(Aブナ)を準備した。このシロサケ(Aブナ)肉質の水分は69%、タンパク質は22.7%、脂質は6.8%、灰分1.2%であった。
このシロサケの内臓、頭部、ひれ、脊椎骨を除去し、生理食塩水で洗浄後、5cm×2.5cmに細断した魚肉2.3kgに、その25重量%に相当する食塩を加えた。これを3等分し、それぞれに、細断した内臓及び下記表1に記載の酵素成分を添加した。これらを個別に容器に入れて蓋をし、大気中において、35℃で120日間熟成させた。各熟成物をガーゼで濾過して、魚醤油を得た。
すなわち、表1のとおり、魚肉に内臓ホモジネートのみを加えた混合物(比較例1)、魚肉に内臓ホモジネートのほかに微生物由来のプロテアーゼ製剤(天野製薬製「プロテアーゼA」:最適pH=7.0、最適温度=50℃、Aspergillus orryzae)を加えた混合物(比較例2)、魚肉に内臓ホモジネートのほかに微生物由来のプロテアーゼ製剤(天野エンザイム社製「プロテアーゼA」)とコラゲナーゼ(シグマ社製:最適pH=7.5、最適温度=40℃、Clostridium histrolyticum)とを加えた混合物(実施例1)を、それぞれ、35℃で120日間熟成させ、濾過して、魚醤油を製造した。
Figure 2005176815
上記の各実験において、熟成中の酸度の経時的変化を測定した。その結果は図1に示すとおりであった。すなわち、上記3例とも、初期に比べ酸度が増加し、仕込みから30日を過ぎると直線的に増加するが、比較例1では仕込みから120日後に2.7であるのに対し、比較例1では同時期に3.5となり、実施例1では同時期に3.8まで増大し、実施例1では最も熟成が促進されていることがわかる。
次に、pHの経時的変化を測定した。その結果は、図2に示すとおり、仕込み120日後のpHは、比較例1が5.5、比較例2が5.3であり、実施例1が5.2となった。pHにおいて上記の酸度ほど大きな差が出なかったのは、酵素剤添加系でのアミノ酸生成による緩衝効果によるものと考えられる。
また、可溶性画分の全窒素量の経時変化についても測定した。その結果は、図3に示すとおり、実施例1では全窒素量の増大が速く、仕込み後7日で0.1g/100gに達し、14日前後で0.15g/100gになり、所期の熟成が達成されていることがわかる。また、30日を過ぎてからも、比較例1と実施例1では可溶化した窒素量が増大し、タンパク質が水溶化しペプチドに分解・移行したことが推測される。比較例1では仕込み後120日経過後でも58%しか水溶化しなかったが、実施例1では120日後には魚肉のタンパク質の94%が水溶化し、プロテアーゼとコラゲナーゼの添加により短期間に効率よく分解することが確認された。
さらに、窒素の分解率を調べるために、ホルモール窒素の分析を行った。その結果を図4に示すが、ホルモール窒素は全窒素と同様の傾向を示し、実施例1では、仕込み後120日で1.6となり、比較例1の約2倍のホルモール窒素量を示し、ペプチド、アミノ酸生成量が多いことを示唆した。
次に、仕込み120日後における遊離アミノ酸の分析を行った。その結果は図5に示すとおりであった。図5から明らかなように、実施例1のものが旨味の素になるアミノ酸量が最も多く、特に、プロリン、シスチン、メチオニン等で大きな差が認められた。また、酵素剤の添加により、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、スレオニン、アラニン、アルギニン、バリン、フェニルアラニン、リジンの増加が認められ、特に実施例1では、グリシン、アラニン、プロリンの生成量が増大し、プロテアーゼとコラゲナーゼとを併用することにより、アミノ化率が高くなることが確認された。
また、120日後の魚醤を遠心分離機にかけ3000rpmで遠心分離を行ったところ、比較例1は残渣の沈殿物が多く見られ水溶性成分が少ないのに対し、比較例2は残渣の沈殿物が減少し、実施例1では沈殿物が見られず、コラゲナーゼの添加により分解が促進されたことが確認された。
120日熟成後に、最終的に得られた魚醤油の分析結果を下記の表2に示す。
Figure 2005176815
表2から明らかなように、プロテアーゼとコラゲナーゼとを併用したもの(実施例1)はアミノ化率が約69%と高くなっている。
コンウェイの微量拡散法を用いて、揮発性塩基態窒素量(VBN)を調べたところ、実施例1では、比較例1に比べ揮発性塩基態窒素量がほぼ1/2に低下したことが確認された。このことは、魚醤油の品質が向上したことを示唆している。
さらに、それぞれの魚醤油について、男女各15名(計30名)による食味テストを実施したところ、下記の表3に示す評価結果が得られた。
なお、食味テストでは、5:大変良い、4:良い、3:どちらともいえない、2:少し劣る、1:悪い、の5ランクで評価し、合計点と平均点とを表3に示した。
Figure 2005176815
〔実施例2〕
実施例1の方法において、仕込みから7日経過後に、魚醤を取り出して濾過した。得られた魚醤油の分析を行った結果は、下記の表4に示すとおりであった。この結果から、本発明では熟成開始後7日で全窒素量が1.5を超え、良好な魚醤油が出来ていることがわかった。
この魚醤油の食味は良好で、十分使用できる程度であった。
Figure 2005176815
〔実施例3〕
試料として、タラの魚肉及び内臓を用いる以外は、実施例1と同様にして、魚醤油を製造し、熟成開始後30日で取り出して評価した。
その結果は、下記の表5に示すとおりであった。なお、表5中に示す食味総合評価は、実施例1と同様に食味テストを実施し、平均の点数が4以上のものをA、3以上4未満のものをB、2以上3未満のものをC、2未満のものをDとランク分けした。
Figure 2005176815
〔実施例4〜5、比較例3〕
試料としてオホーツク海域で漁獲されたシロサケ(Aブナ)を準備した。このシロサケ肉質の水分は69.3%、タンパク質は22.7%、脂質は6.8%、灰分1.2%であった。
このシロサケの内臓、頭部、ひれ、脊椎骨を除去し、生理食塩水で洗浄後、5cm×2.5cmに細断した魚肉2.3kgをこれを3等分し、それぞれに、下記の表6に示す酵素成分及び食塩を添加し、実施例5及び比較例3ではさらに食酢を加えて混合物のpHを4.5に調整した。これらを個別に容器に入れて蓋をし、大気中において、35℃で120日間熟成させた。各熟成物をガーゼで濾過して、魚醤油を得た。
すなわち、表6のとおり、魚肉に微生物由来のプロテアーゼ製剤(天野エンザイム社製「プロテアーゼA」とコラゲナーゼ(シグマ社製:最適pH=7.5、最適温度=40℃)とを加えた混合物(実施例4)、さらに食酢を加えた混合物(実施例4)と、魚肉に微生物由来のプロテアーゼ製剤(天野製薬製「プロテアーゼA」:最適pH=7.0、最適温度=50℃)を加えた混合物(比較例3)、を、それぞれ、35℃で120日間熟成させ、濾過して、魚醤油を製造した。
Figure 2005176815
上記の各実験において、熟成中の経時的変化を測定した。
熟成中の窒素の分解率を調べるためにホルモール窒素の分析を行った。その結果を図6に示す。また、熟成中の可溶性画分の全窒素量の経時変化についても測定した。その結果を図7に示す。さらに、熟成中のpHの経時的変化を測定した。その結果を図8に示す。
次に、仕込み120日後の魚醤を遠心分離機にかけ3000rpmで遠心分離を行って得た魚醤油の各特性の分析を実施した。その結果を下記の表7に示す。
Figure 2005176815
表7から明らかなように、プロテアーゼとコラゲナーゼとを併用した系において食酢を添加してpHを4.5に調整した実験(実施例5)では、はアミノ化率が約72%と非常に高くなっている。
さらに、それぞれの魚醤油について、実施例1とは別の男女各15名(計30名)による食味テストを実施したところ、下記の表8に示す評価結果が得られた。
なお、食味テストでは、5:大変良い、4:良い、3:どちらともいえない、2:少し劣る、1:悪い、の5ランクで評価し、合計点と平均点とを表3に示した。
Figure 2005176815
本発明の方法によれば、良好な品質の魚醤油が比較的短期間で生産可能となる。得られた魚醤油は和食、中華食或いは洋食の調味料として有用である。また、pHを3〜5に調整したものはポン酢の代わりに用いることができる。
実施例1、比較例1,2の実験における熟成中の酸度の経時的変化の測定結果を示すグラフ 実施例1、比較例1,2の実験における熟成中のpHの経時的変化の測定結果を示すグラフ 実施例1、比較例1,2の実験における熟成中の可溶性画分の全窒素量の変化を測定した結果を示すグラフ 実施例1、比較例1,2の実験におけるホルモール窒素の分析を行った結果を示すグラフ 実施例1、比較例1,2の実験における遊離アミノ酸の分析を行った結果を示すグラフ 実施例4,5、比較例3の実験におけるホルモール窒素の分析を行った結果を示すグラフ 実施例4,5、比較例3の実験における熟成中の可溶性画分の全窒素量の変化を測定した結果を示すグラフ 実施例4,5、比較例3の実験における熟成中のpHの経時的変化を測定した結果を示すグラフ

Claims (8)

  1. 魚介肉、食塩及びプロテアーゼとコラゲナーゼを含む混合物を熟成し、熟成物を濾過することを特徴とする魚醤油の製造法。
  2. 魚介肉1kg当り、プロテアーゼを30〜10000単位及びコラゲナーゼを5〜1000単位の割合で混合した混合物を熟成することを特徴とする請求項1記載の魚醤油の製造法。
  3. 食塩を、魚介肉の重量に対して10〜35重量%の割合で混合することを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかに記載の魚醤油の製造法。
  4. さらに魚介類の内臓を混合することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の魚醤油の製造法。
  5. 熟成を、10〜50℃の温度で行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の魚醤油の製造法。
  6. 熟成を、7日〜120日間行うことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の魚醤油の製造法。
  7. 熟成当初の混合物のpHを、3〜5の範囲に調整することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の魚醤油の製造法。
  8. 熟成当初の混合物における食塩の濃度を魚介肉の重量に対して3〜15重量%の割合とし、かつ該混合物のpHを3〜5の範囲に調整することを特徴とする請求項1〜請求項2及び請求項4〜請求項7のいずれかに記載の魚醤油の製造法。
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