JP2020156319A - パンのクラスト剥離抑制剤及びパンのクラスト剥離を抑制する方法 - Google Patents

パンのクラスト剥離抑制剤及びパンのクラスト剥離を抑制する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、パンの保存中に生じる水分の不足を要因としたクラストの剥離を抑制することである。【解決手段】本発明者らは、上記課題の解決につき鋭意研究を重ねた結果、カルボニル基を同一分子内に2つ以上有する有機酸でグルテンを加熱処理した組成物は、パン生地に添加することにより、クラストの剥離を抑制できることを見出し、本発明に至った。とりわけ、フィリングを含まないパン、冷凍生地製法を利用したパン、包材に包まれずに売られるパン等で生じやすいクラストの乾燥や水分不足による剥離に対して効果を示した。【選択図】なし

Description

本発明は、保存中の乾燥によって引き起こされる、クラストの剥離が抑制されたパン及びパン生地とクラストの剥離を抑制するために用いる剤に関するものである。
焼き立てのパンのおいしさを保持することは難しく、保存中には様々な品質が低下していく。これまでに、風味や食感を保持するため、または、微生物による腐敗を抑制するための技術が、原材料や製法の工夫により改善されてきたが、外観の保持は難易度がより一層高く、なかなか技術と品質が向上してこなかった。
パンの保存中における外観の劣化は、水の分布と移動に大きく影響を受ける。非特許文献1によれば、焼成工程前のパン生地は一般に43〜48%の水分を均一に含んでいるが、窯入れした後、一部の水は小麦タンパクとの結合から澱粉に移行し、澱粉の糊化を助けてパンを大きく膨らませる。別の一部の水は、生地表面から蒸発することで、パン生地の表皮部分をクラストへと変化させる。表皮部分の水分蒸発は窯入れの瞬間から始まり、窯出し後、冷却保存している間も継続している。
パンの保管条件が悪いと、クラストは水分が極度に不足し、可塑性がなく崩壊しやすい物性となって、柔軟性を持ったクラムから剥離することがある。剥離しやすくなったクラストは、輸送中の振動等により完全に剥がれ落ち、パンとしての商品価値を著しく損なう要因となる。
クラストが剥離しやすくなる保管条件は、例えばリテイルベーカリー等で包材に包まずに売られる場合が相当する。店舗内の温湿度を適切に維持することは難しいが、予め包装しておくなどして販売スタイルを変更することもまた、設備投資や人件費の増加につながり対応が難しい。また、冷凍生地製法でも、製パン工程の後半で冷凍保存を行うほど、クラストに含まれる水の昇華によるダメージが大きく、クラストの剥離が起こりやすい。
パンの外観またはクラストの劣化に関する従来技術には、特許文献1及び特許文献2が挙げられる。特許文献1は水分の多いフィリングを使用した惣菜パンや菓子パンにおいて、フィリングからの水分移行によりクラストがベタついたり、剥がれることを課題にしている。解決方法としてアルギン酸エステル、粉末卵黄及び加工澱粉を混合した品質改良剤をパン生地に添加し、フィリングからの水分移行の影響を軽減している。特許文献2でも、口溶けのよいクリームを包餡またはサンドした場合、フィリングからの水分移行によってパンがふやけ、パン表面にしわが発生しやすくなることを課題にしている。解決方法としてアルギン酸プロピレングリコールエステルおよびグルコースオキシダーゼを含む製パン油脂組成物の添加を開示している。つまり、特許文献1及び特許文献2は、クラストが水分の不足によりクラムから剥離するという課題を解決するものではなく、多量の水分を含むことで脆弱化し、剥離する課題を解決している。
特許第6226960号公報 特開2010−098993号公報
竹谷光司著 「新しい製パン基礎知識 再改定版」株式会社パンニュース社 2012年 井上好文監修 「パンの事典」株式会社旭屋出版 2007年
本発明が解決しようとする課題は、クラストの剥離が抑制されたパン及びパン生地とクラスト剥離抑制剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題の解決につき鋭意研究を重ねた結果、カルボニル基を同一分子内に2つ以上有する有機酸でグルテンを加熱処理した組成物は、パン生地に添加することにより、クラストの剥離を抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1) グルテンと、該グルテン100重量部に対して0.5重量部以上のカルボニル基を同一分子内に2つ以上有する有機酸とを含有する溶液を、65℃以上で30分以上加熱処理して得られる、パンのクラスト剥離抑制剤、
(2) (1)に記載の剤を生地中に含有させることを特徴とするパンのクラスト剥離防止方法、
(3) パン生地が穀物粉100重量部に対し、5重量部以下の糖類、5重量部以下の油脂、及び0.1-5重量部のクラスト剥離抑制剤を含む生地である、(1)の方法、
(4) (1)に記載の剤を含有するパン生地、
(5) (4)に記載のパン生地を焼成して得られるパン、
(6) パン生地が冷凍後、解凍したパン生地である(5)のパン、
を提供するものである。
本発明のクラスト剥離抑制剤をパンに添加すると、パンのクラストの剥離を抑制することが出来る。とりわけフィリングを含まないパン、冷凍生地製法を利用したパン、包材で包まれていないパンで生じやすいクラストの乾燥や水分不足による剥離に対して効果を示す。
冷凍保存1週間後に解凍した後のクラストの様子 冷凍保存1週間後に解凍した後、カッティングした際の内相とクラストの剥離した部位 冷凍保存2週間後に解凍した後のクラストの様子 冷凍保存2週間後に解凍した後、カッティングした際の内相とクラストの剥離した部位
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるクラスト剥離抑制剤は、グルテンと、該グルテン100重量部に対して1重量部以上のカルボニル基を同一分子内に2つ以上有する有機酸とを含有する溶液を、65℃以上で30分以上加熱処理する工程により得られる。
本発明において用いられるグルテンは、由来となる穀物も分離方法も特に限定されないが、小麦由来のグルテンが好ましい。また、分離されたグルテンは、分離したままのウェットタイプ(生グルテン)であっても、また、気流乾燥法(フラッシュドライ法)、噴霧乾燥法(スプレードライ法)、真空乾燥法、凍結乾燥法(フリーズドライ法)などの各種乾燥方法を用いて乾燥させて粉末状にした活性グルテンのいずれであってもよいが、活性グルテンが好ましい。活性グルテンを用いる場合、その水分含量は、好ましくは10%未満、より好ましくは9%未満、さらに好ましくは8%未満、最も好ましくは6%未満である。
本発明において用いられる有機酸は、カルボニル基を同一分子内に2つ以上、好ましくは、カルボキシル基を2つ以上有する有機酸で、異性体はシス体であってもトランス体であってもよく、ラセミ体であってもよい。カルボニル基を2つ以上、同一分子内に有する有機酸としては、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸が好ましく、コハク酸またはクエン酸またはリンゴ酸がより好ましく、コハク酸がさらに好ましい。また、有機酸は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、グルテンと、カルボニル基を同一分子内に2つ以上有する有機酸(以下、単に有機酸という)とを含有する溶液を加熱処理する際、グルテンに対する有機酸の量は、例えばグルテン100重量部に対し、0.5重量部以上、好ましくは1.0重量部以上、より好ましくは2.0重量部以上、さらに好ましくは4.0重量部以上である。また、グルテンに対する有機酸の量の上限は、特に限定されないが、グルテンと有機酸が十分に反応し、最終製品に有機酸の味が残らないようにするために、例えば、グルテン100重量部に対し、100重量部未満、好ましくは50重量部未満、より好ましくは15重量部未満、さらに好ましくは13.5重量部未満、さらにより好ましくは12重量部未満、最も好ましくは10重量部以下である。
上記加熱処理は、有機酸を液体の媒体に溶解させた状態で用いることが好ましく、その媒体となる液体は、水が好ましい。グルテンと有機酸を含む溶液の調製方法は、グルテンを液体に分散させた後、有機酸や有機酸の溶解液を添加する方法、グルテンに対して、有機酸の溶解液を添加する方法、グルテンと有機酸を混合したものに、液体を添加する方法、グルテンと有機酸を混合したものを、液体に添加する方法のいずれであってもよい。
上記加熱処理の温度は、65℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。40℃では、グルテン等がダマになり、50℃〜60℃では、ダマにはならないが、目的の改良されたグルテンを得ることができない。また、加熱処理の温度の上限は特にないが、水溶液での反応であり、反応物が熱変性を受けるタンパク質ということを考慮すると、100℃以下、好ましくは100℃未満、より好ましくは95℃未満、さらに好ましくは90℃以下である。
上記加熱処理より得られたグルテンと有機酸の反応物は、そのまま、または、乾燥させて、固形化や粉末化し、本発明の揚げ衣用物性改質剤として用いることができる。乾燥方法は特に限定されず、気流乾燥法(フラッシュドライ法)、噴霧乾燥法(スプレードライ法)、ドラム乾燥法(ドラムドライ法)、真空乾燥法、凍結乾燥法(フリーズドライ法)などの各種乾燥方法を用いることができる。
本発明における糖類とは、製菓、製パン用に使用される砂糖、ショ糖、水あめ、麦芽糖、乳糖、ブドウ糖、異性化糖、オリゴ糖、果糖、ソルビトール及びトレハロースなどが挙げられる。
本発明における油脂とは、製菓、製パン用に使用される油脂でよく、液状油、固形油及びその溶解油脂、半流動状油脂などのいずれでもよい。例えば、液状油としてはサラダ油、固形油としてはショートニング、バターなど、半流動状油脂として液状ショートニングなどが挙げられる。
本発明において、パンとは、澱粉質原料、イースト、食塩および水を主原料として、混捏、一次発酵、分割、成型、二次発酵、焼成などの工程により製出される加工食品であり、各工程間または焼成後に冷凍保存しても良い。具体的な種類としては、食パン、ライ麦パン、フランスパン、バライティブレッド、ロールパン、クロワッサン、ホットドッグ、ハンバーガー、サンドイッチ、ジャムパン、あんぱん、クリームパン、レーズンパン、メロンパン、スイートロール、ブリオッシュ、コロネ等、が挙げられる。
本発明におけるクラストとは、非特許文献2で定義されるクラストおよび白焼きパンのクラストと定義する。つまり、クラストとは、パンの外皮のことであり、パンの外側の硬くて焼き色がついた部分と定義される。皮、表皮、もしくは耳とも呼ばれ、いずれもクラストと同義とされている。また、白焼きパンにおいては、上記に相当する部位はないが、パンの中身である内相(クラム)と比較して空隙の数やパターンが明らかに異なり、空隙がなく平面な外側の部位をクラストとする。
本発明におけるクラストの剥離とは、パンを保存している間にクラストの水分が極度に不足し、可塑性がなく崩壊しやすい物性となって、柔軟性を持ったクラムから剥がれるか、または反り返る変化とする。クラストの剥離は、例えば、冷凍生地製法における板生地冷凍、玉生地冷凍、成型後冷凍、ホイロ後冷凍、焼成後冷凍のうち、玉生地冷凍を除く冷凍方法で生じやすく、製パン工程が最終工程に近づくほどダメージが大きく、かつ、高頻度に生じやすい。また、製パン工程中に保管工程がないスクラッチ製法においても、焼成後に包材等でパンを包装することなく売られる販売形態の場合には、パンの乾燥が激しく、とりわけクラストの水分が失われた際には剥離が生じやすい。
本発明において、クラスト剥離抑制剤を食品に添加する方法は、特に限定されない。例えば、パンを製造する際に原料の一部として添加しても良いし、他の原料と混合させてから添加しても良い。添加する時期は特に限定されず、好ましくは食品にしやすい点で、原料の混合前または混合中に添加することである。
本発明において、クラスト剥離抑制剤を添加する量は、特に限定されず、パンの種類、性質に応じて当業者が適宜選択することができる。添加量は、例えば、ベーカーズパーセントで、好ましくは0.01−10質量部、より好ましくは0.05−8質量部、さらに好ましくは0.1−5質量部である。ここで、ベーカーズパーセントとは、穀物粉生地における配合量を示す方法として一般的に使用されているものであり、配合した穀物粉の総質量を100%とした場合の、その他の各原料の質量比を意味する。ベーカーズパーセントは対粉パーセントとも呼ばれる。
本発明において、クラスト剥離抑制剤は、他の食品添加物または食品素材と併用して複数の添加効果を付与できる食品物性改良剤として用いても良い。当該剤と併用可能な食品添加物または食品素材としては、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、小麦グルテン、とうもろこし澱粉、加工澱粉、変性デキストリン、キシラナーゼ、小麦デンプン、デキストリン、加工油脂、パーム硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ジアセチル酒石酸モノグリセライド、コハク酸モノグリセライド、プロピレングリコール、グァーガム、リン酸三カルシウム、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、食塩、ビタミンE、L−アスコルビン酸、ビタミンC、カロチン色素、レシチン、酵素分解レシチン、カゼインナトリウム、D−ソルビトール、酵母エキス、シスチン、食物繊維、小麦粉、リパーゼ、ホスホリパーゼ、キタンサン、アルギン酸、アルギン酸エステル、ペクチン、ローカストビーンガム、タラガム、セルロース、カラギーナン、アラビアガム、ジェランガム、マンナン、デキストラン、ゼラチン、寒天、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを用いても良い。
本発明において、クラスト剥離抑制剤は、当該剤のみ、または、当該剤を含む食品物性改良剤の態様で、穀物粉を使用したパイや和菓子などの製菓用ミックスまたは製パン用ミックスの原材料として用いることができる。
本発明におけるクラストの剥離抑制剤は、パンの原材料として添加することで、クラストの剥離を生じにくくさせることが可能である。とりわけ、フィリングを含まないパン、冷凍生地製法を利用したパン、包材に包まれずに売られるパン等で生じやすいクラストの乾燥や水分不足による剥離に対して効果を示す。
以下に実施例を用いて、本発明を具体的に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例で作製するパンの原材料の配合比は、強力粉を100重量部としてベイカーズ%(重量部)で記載した。
本発明におけるクラスト剥離抑制剤について、当該剤の添加効果は、クラストの崩壊や剥がれが最も生じやすい焼成後冷凍法のフランスパンで評価した。試験区は、クラスト剥離抑制剤を添加した実施区1及び添加していない比較区1とし、冷凍保存1週間後と2週間後の品質を評価した。
(試料の作製方法)
クラスト剥離抑制剤は、蒸留水500mLに、コハク酸4.00g(0.034mol)を添加して混合し、混合液を得た。得られた混合液に、活性グルテン(水分量5.8W/W%)100gを添加し、十分に撹拌しながら、ウォーターバスを用いて80℃まで加熱した。80℃達温後、300分間、さらに撹拌を行い、活性グルテンとコハク酸を反応させた。得られた反応液に対してホモジナイザーを用いて、120秒間、乳化処理を行った。乳化処理液をバットに広げ、凍結乾燥機を用いて乾燥し、乾燥物(水分量7.0W/W%)を得た。フードプロセッサーを用いて、当該乾燥物を粉砕し、本発明におけるクラスト剥離抑制剤とした。
(製パン方法)
表1に原材料の配合比を、表2に製パン工程及び各工程における条件を示した。
フランスパンはストレート法により作製した。具体的には、フランスパン用粉、インスタントドライイースト、食塩、水、ビタミンCをそれぞれ秤量し、実施区1には本発明のクラスト剥離抑制剤を加えて、縦型ミキサーで混捏した。ミキサーの撹拌速度を適宜調整し、生地内にグルテンが形成されたことを確認してミキシングを終了し、この時の生地温度を捏上温度とした。また、ミキシング中に生地を適宜冷却することによって、捏上温度を28±0.5℃以内に調節した。捏ね上げた生地は恒温槽で一次発酵させた(フロアタイム)。フロアタイム終了後、生地を分割し、丸めて、ベンチタイムで生地を休ませた。ベンチタイム終了後、丸めた生地をモルダーでロール成型し、さらに35cm程度までパン生地を手伸ばしした。二次発酵(ホイロ)させた後、パン生地上面にクープを一本入れ、スチーム付与して焼成した。焼きあがったフランスパンは室温冷却し、粗熱を取った後、ビニール袋に入れて最長2週間冷凍保存した。
(添加効果の評価方法)
クラスト剥離抑制効果は冷凍保存したフランスパンを幅2cmにカットし、カッティング時の負荷で剥離したクラストの重量、フランスパンの外観および内相を比較することで評価した。冷凍庫から取り出したフランスパンは、解凍した後そのままカッティングし、クラストのひび割れと剥離したクラストの重量を比較した。
(結果)
冷凍1週間後のフランスパンについて、カッティング後のクラストの様子を図1に示した。比較区1はクラストのひび割れが深く、カッティング後は剥離したクラストが周囲に散在したのに対し、実施区1ではひび割れがほとんどなく、カッティング後に剥離したクラストもほとんど発生しなかった。
同試験区について、内相を比較したところ、比較区1(図2)にはクラストとクラム部の間に大きく明瞭な間隙を確認したのに対し、実施区1では同様の間隙は見られなかった。比較区1における間隙はクラストの剥離が起こりやすい部位であり、負荷が加わった際には剥離することを示唆した。
同様に、冷凍2週間後のフランスパンについて、カッティング後のクラストの様子を図3に示した。比較区1はひび割れが深く、カッティング後はクラム部まで崩壊している様子を観察できた。実施区1でもクラストに深いひび割れを確認したが、カッティング後の剥離したクラストは少なく、比較区1及び実施区1の間に大きな差を認めた。
同試験について、内相を比較したところ、比較区1はクラストとクラムの間に大きな間隙があるだけでなく、一部はクラム部に深く入り込んで剥離している様相がみられた。一方、実施区1はクラストが捲れあがっている部分は数カ所見られたが、クラム部から大きくかけているような剥離はみられなかった。
冷凍1週間後と冷凍2週間後の比較区1及び実施区1で発生した剥離したクラストの重量を表3に示した。冷凍1週間後の比較区1及び実施区1の重量を比較すると、重量における差は小さかったが、実施区1の方が剥離した重量は少なく、剥離抑制効果があることが示された。同様に冷凍2週間後の両試験区を比較すると、重量に大きな差があり、実施区1が剥離抑制に効果があることが示された。
以上説明してきたように、本発明のクラスト剥離抑制剤をパンに添加すると、パンのクラストの剥離を抑制することが出来る。とりわけフィリングを含まないパン、冷凍生地製法を利用したパン、包装されていないパン等で生じやすいクラストの乾燥や水分不足による剥離に対して効果を示す。

Claims (6)

  1. グルテンと、該グルテン100重量部に対して0.5重量部以上のカルボニル基を同一分子内に2つ以上有する有機酸とを含有する溶液を、65℃以上で30分以上加熱処理して得られる、パンのクラスト剥離抑制剤。
  2. 請求項1に記載の剤を生地中に含有させることを特徴とするパンのクラスト剥離防止方法。
  3. パン生地が穀物粉100重量部に対し、5重量部以下の糖類、5重量部以下の油脂、及び0.1-5重量部のクラスト剥離抑制剤を含む生地である、請求項1の方法。
  4. 請求項1に記載の剤を含有するパン生地。
  5. 請求項4に記載のパン生地を焼成して得られるパン。
  6. パン生地が冷凍後、解凍したパン生地である請求項5のパン。

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