JP3827607B2 - イーストドーナツの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イーストドーナツの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カレードーナツ、あんドーナツ、クリームドーナツ、ミートドーナツなどのフィリング入りのイーストドーナツは、通常、ドーナツ生地でフィリングを包餡後、バッター付けおよびパン粉付けに付する工程、ホイロに付する工程、および、フライに付する工程により製造されている。しかしながら、この製造方法では、(1)ドーナツのボリュームが不足する、(2)生地のネチャつき、口溶けが悪い、(3)フィリングと生地との間に大きな空洞が生じる、(4)フィリングが中央に入らず下に沈む、(5)やわらかいフィリングが包みにくい、(6)フィリングの下面の生地が浮き悪く、吸油が多い、(7)油切れが悪く、手に油がつく、(8)パン生地のダメージが大きく、旨みがでない、などといった問題点を有している。
【0003】
近年、消費者の高品質志向、揚げたて志向により、消費者は、食感、風味が優れたドーナツを求めるようになってきたため、上記の従来のドーナツには満足していない。さらに、消費者は、製造直後のドーナツを食することができるとは限らない。製造後または購入後、数時間後あるいは1〜2日後に食することもあり、揚げたての食感、風味が優れたドーナツを食したいという消費者のニーズには未だ充分に応えられていないのが実状である。このような状況から、店頭で電子レンジで温める販売形態を取っている所も見受けられる。また、消費者は、ドーナツを揚げたてのようにおいしく食べるため電子レンジで温めることを試みるが、従来の製造方法で製造したドーナツは電子レンジで温めるとべっとりとし、揚げたてのさっくりとした食感が失われるという問題点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電子レンジで温めた後でも、さっくりとした食感を有するイーストドーナツの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の問題点を解決するために、本発明者らはイーストドーナツの製造方法について鋭意検討した結果、(1)ドーナツ生地を分割・成型に付する工程、(2)ホイロに付する工程、(3)焼成または蒸しに付する工程、(4)インジェクションに付する工程、(5)バッター付けおよびパン粉付けに付する工程、および(6)フライに付する工程からなる製造方法により製造したドーナツが上記の問題点を解決できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1) ドーナツ生地を分割・成型に付する工程と、次いでホイロに付する工程と、次いで焼成または蒸しに付する工程と、次いでインジェクションに付する工程と、次いでバッター付けおよびパン粉付けに付する工程、および、フライに付する工程を含むことを特徴とするイーストドーナツの製造方法、
(2) 焼成または蒸しに付する工程とインジェクションに付する工程との間に冷凍する工程を含むことを特徴とする前記(1)に記載のイーストドーナツの製造方法、
(3) インジェクションに付する工程とバッター付けおよびパン粉付けに付する工程との間に冷凍する工程を含むことを特徴とする前記(1)または(2)に記載のイーストドーナツの製造方法、
(4) バッター付けおよびパン粉付けに付する工程とフライに付する工程との間に冷凍する工程を含むことを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載のイーストドーナツの製造方法、
(5) 前記(1)から(4)のいずれかに記載の製造方法により製造されたイーストドーナツ、
(6) イーストドーナツがカレードーナツ、あんドーナツ、クリームドーナツ、ミートドーナツであることを特徴とする前記(5)に記載のイーストドーナツ、
(7) 電子レンジで温めた後、揚げたてのさっくり感を有することを特徴とする前記(5)または(6)に記載のイーストドーナツ、
(8) 包装状態のまま電子レンジで温めた後、揚げたてのさっくり感を有することを特徴とする前記(5)または(6)に記載のイーストドーナツ、
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、生地原料としては、少なくとも小麦粉と油脂とイーストが用いられ、その他に小麦粉以外の穀粉、糖類、食塩、卵、乳製品、澱粉、乳化剤、イーストフードなどを適宜選択して使用することができる。
【0008】
通常イーストドーナツとは、小麦粉などの穀粉、油脂、砂糖、食塩、膨張剤など、またはこれらのプレミックスと、卵、イーストおよび水などを混合・混捏し調製したドーナツ生地をフライ処理したものなどをいうが、本発明のイーストドーナツもそのようなイーストドーナツを含む。
【0009】
本発明におけるドーナツ生地は、通常、ドーナツの原料として使用される、小麦粉などの穀粉、油脂、砂糖、食塩、膨張剤など、またはこれらのプレミックスと、卵、イーストおよび水を混合・混捏し、調製することにより製造される。
【0010】
上記のようにイーストドーナツ生地の原料としては、小麦粉などの穀粉、油脂、砂糖、食塩、膨張剤など、またはこれらのプレミックスと、卵、イーストおよび水などが用いられるが、所望により、乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、乳化剤、イーストフード、ナッツ類、香料、香辛料、添加剤などを用いることもでき、このような原料として市販のものを使用することができる。
【0011】
プレミックスとしては、小麦粉などの穀粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤、その他所望により、乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、乳化剤、イーストフード、ナッツ類、香料、香辛料、添加剤などがあらかじめ混合調製されたものが挙げられる。プレミックスの一部、あるいは全部をイーストドーナツ生地作成時に使用することができる。
【0012】
本発明に用いられる小麦粉は、ドーナツに通常用いられるものであればいずれでもよい。イーストドーナツでは強力粉を主体に、所望により、中力粉、薄力粉あるいはその他の穀粉を適当量加えるのが好ましい。その他の穀粉には、例えば、大麦粉、ライ麦粉、米粉、玄米粉、大豆粉、甘藷粉、ポテトフラワー、コーンフラワー、大豆粉などが挙げられる。また、加工の形態は、未処理、α化処理、その他の化学的、物理的処理を問わず使用することができる。例えば、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、米粉、玄米粉、大豆粉、甘藷粉、ポテトフラワー、コーンフラワー、大豆粉などの粗粒粉を用いることもできる。
【0013】
油脂、砂糖、食塩、膨張剤、イースト、卵についても、一般にドーナツに用いられている油脂、砂糖、食塩、膨張剤、イースト、卵であるならば、種類を問わず使用することができる。
【0014】
所望により、乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、乳化剤、イーストフード、ナッツ類、香料、香辛料、添加剤などを用いることができる。一般にイーストドーナツに用いられている乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、乳化剤、イーストフード、ナッツ類、香料、香辛料、添加剤などであるならば、種類を問わない。また、配合量は、特に限定されず、ドーナツの種類に応じた配合量を適宜選択することができる。
【0015】
油脂としては、例えば、バター、マーガリン、ショートニング、サラダオイル、牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ油、綿実油、サフラワー油、落下生油、米糠油などが用いられる。配合量は、特に限定されない。
卵原料としては、例えば、全卵、卵白、卵黄のいずれでもよく、また、液卵、粉末卵なども用いられる。配合量は、特に限定されない。
イーストとしては、イースト発酵食品の製造に一般に用いられているものであれば、生イースト、乾燥イーストのいずれでも用いることができる。例えば、レギュラー酵母(オリエンタル酵母(株)製)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属するFREM P−17271などが挙げられる。イーストの配合量は、炭酸ガス発生量などにより適宜選択することができる。
【0016】
乳製品としては、例えば、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、練乳などが挙げられる。
澱粉類としては、例えば、α化澱粉、架橋澱粉、加工澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉などが挙げられる。
砂糖以外の糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、乳糖、水飴、異性化糖などの単糖類または多糖類などが挙げられる。
乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール酸などの通常食品に使用されるものが挙げられる。
イーストフードとしては、L−アスコルビン酸、アンモニウム塩、カルシウム塩、酸化剤、酵素剤などが挙げられる。
添加剤としては、アビセラーゼ(エキソ−1,4−β−グルカナーゼ)などが挙げられる。
また、グルテンなどの小麦粉由来の蛋白質を用いることもできる。
さらに、チーズ、野菜などのペーストやパウダー、豆腐、豆乳、おから、抹茶、ココアなどを添加することもできる。
上記、乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、乳化剤、イーストフード、添加剤などの配合量は、特に限定されず、ドーナツの種類に応じた配合量を適宜選択することができる。
【0017】
以下、本発明の製造方法について説明する。本発明によればイーストドーナツは、例えば、小麦粉などの穀粉、油脂、砂糖、食塩、膨張剤など、またはこれらのプレミックスと、卵、イーストおよび水などを混合・混捏することにより製造したドーナツ生地を分割・成型する工程に付し、分割・成型する工程に付した生地をホイロ工程に付し、ホイロ工程に付した生地を焼成または蒸し工程に付し、所望によりこれをさらに冷凍工程に付し、焼成または蒸し工程に付したまたは所望により冷凍工程に付した生地をインジェクション工程に付し、所望によりこれをさらに冷凍工程に付し、インジェクション工程に付したまたは所望により冷凍工程に付した生地をバッター付けおよびパン粉付け工程に付し、所望によりこれをさらに冷凍工程に付し、そして、バッター付けおよびパン粉付け工程に付したまたは所望により冷凍工程に付した生地をフライ工程に付することを特長とする製造方法により容易に製造される。
以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。
【0018】
まず、小麦粉などの穀粉、油脂、砂糖、食塩、膨張剤など、またはこれらのプレミックスと、卵、イーストおよび水などを混合・混捏し、ドーナツ生地を調製する。混合・混捏に際し、ミキサーを用いることもできる。ミキサーへの原料の投入の順序、混合時間などは常法に従うことができる。例えば、低速で1〜2分間および中高速で4〜6分間のミキシングを行うことができる。ミキシングの途中でチーズ、野菜などのペーストやパウダー、豆腐、豆乳、おから、抹茶、ココアなどを適量加えることができ、バリエーションに富んだ風味のドーナツ生地とすることもできる。ミキサーとしては、製パン製菓用の縦型ミキサー(フックを使用)、横型ミキサー、スパイラルミキサーなどが挙げられる。
混捏は、特に限定されず、例えば、小麦粉などの穀粉類の全量および副原料を一度に混捏したものを発酵させる直捏法、または全穀粉類に対して50〜100重量%の穀粉類、イースト、一部の水などを混捏して発酵させた後、残余の原料を加え、再混捏して再発酵させる中種法などが挙げられる。
捏ね上げ温度は、特に限定はされないが、好ましくは、約24℃から約30℃、より好ましくは、約25℃から約27℃で行う。
【0019】
次いで、所望によりフロアーを行う。フロアータイムで、ドーナツ生地の一次発酵が行われ、ドーナツ生地が約2倍から約2.5倍に膨らむ。フロアータイムは、特に限定はされないが、好ましくは約20分から約40分、より好ましくは約25分から約35分とする。フロアーにより、混捏により傷んだ生地を修復することができる。
【0020】
次いで、ドーナツ生地を分割・成型する。捏ね上がった生地は、適当な大きさに分割し、成型する。ドーナツ生地の分割は、ドーナツの種類に適した大きさに分割すればよい。ドーナツ生地は、ドーナツにインジェクションするフィリングの種類にもよるが、約35gから約60g、好ましくは約40gから約55gに分割する。分割工程の後、公知方法に従ってベンチタイムを行ってもよい。丸めなどのドーナツ生地の成型は、ドーナツの種類に適した形に成型すればよい。例えば、丸型、小判型などに成型することができる。
【0021】
次いで、ホイロ(発酵)を行う。成型生地をスクリーンなどに並べ、ホイロを行う。ホイロの温度は、特に限定されないが、好ましくは、約35℃から約42℃、より好ましくは約38℃から約40℃に設定する。ホイロの湿度は、特に限定されないが、好ましくは約50%から約70%、より好ましくは、約55%から約65%に設定する。ホイロの時間は、特に限定されないが、約30分から約40分とるのが好ましい。
【0022】
次いで、ドーナツ生地を焼成または蒸す。焼成または蒸しの時間は、特に限定されず、ドーナツの形、大きさなどにより適宜選択することができる。また、焼成または蒸しの温度も、特に限定されず、ドーナツの形、大きさなどにより適宜選択することができる。焼成または蒸しは公知方法により行うことができる。焼成または蒸し工程の後、公知方法に従って冷却してもよい。
【0023】
次いで、所望により、焼成または蒸したドーナツ生地を冷凍する。冷凍温度および冷凍時間はドーナツの種類、大きさなどにより、適宜選択することができ、特に限定されない。冷凍工程の後、公知方法に従って解凍を行ってもよい。冷凍によって焼成または蒸した生地を市場に広く流通させることができる。
【0024】
次いで、ドーナツ生地にフィリングをインジェクションする。すなわち、フィリングをドーナツ生地に詰める。フィリングとは、ドーナツの中に詰め込まれている餡などをいい、例えば、カレードーナツでは通常のカレー、きのこカレーなどの他の食品入りのカレーなど、あんドーナツでは粒あん、こしあん、抹茶あん、桜あん、栗あん、チョコレートあん、コーヒーあん、ミルクあん、イチゴあん、バナナあん、メロンあんなど、クリームドーナツでは、ミルククリーム、カスタードクリーム、チョコカスタードクリーム、チョコレートクリーム、コーヒークリーム、ヨーグルトクリーム、キャラメルクリーム、イチゴクリーム、マロンクリーム、チーズクリーム、アイスクリーム、シャーベット、ヨーグルトなど、ミートドーナツではひき肉などの炒めたものなどが焼成されたまたは蒸したドーナツ生地などに詰め込まれる。その他のフィリングとしては、ツナ、ソーセージ、チーズ、たまご、ジャム類、スイートポテト、バナナ、リンゴなどが挙げられるが、これらに限定されない。
インジェクションとは、フィリングを焼成または蒸したドーナツ生地などに詰めることをいう。インジェクションは、通常、常法により行うことができる。
【0025】
次いで、所望により、インジェクションしたドーナツ生地を冷凍する。冷凍温度および冷凍時間は、ドーナツの種類、大きさなどにより適宜選択され、特に限定されない。冷凍工程の後、公知方法に従って解凍を行ってもよい。冷凍によってインジェクションを行った生地を市場に広く流通させることができる。
【0026】
次いで、バッター付けおよびパン粉付けを行う。バッターとは、ドーナツ生地とパン粉の接着性を高めるために使用する、水で溶いた小麦粉をいう。バッター処理は、通常生地を水で溶いた小麦粉層をくぐらせることにより行うことができる。バッターで用いる小麦粉およびパン粉の種類は、特に限定されない。また、バッターおよびパン粉の量は製造されるドーナツにおける適量を用いることができる。
【0027】
次いで、所望により、バッター付けおよびパン粉付けを行ったドーナツ生地を冷凍する。冷凍温度および冷凍時間は、ドーナツの種類、大きさなどにより適宜選択され、特に限定されない。ドーナツ生地を冷凍することにより、輸送手段の簡便化が図られ、また、例えばベーカリーショップ、ドーナツショップなどの店頭で手軽に揚げたてのドーナツを提供することができる。
【0028】
最後に、ドーナツ生地をフライ処理する。フライ処理は、通常ドーナツ生地を油で揚げることにより行うことができる。油の種類、フライ装置などについては特に限定されない。油の温度は特に限定されないが、好ましくは約170℃から約190℃、より好ましくは約180℃から約185℃に設定する。フライ時間は生地の重量、形、フライの方法によっても異なるが、約1分30秒から約4分行うのが好ましい。フライの方法には、反転式、潜行式などが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、反転式の場合では、油中にドーナツ生地を落とした後、油面上に生地を自然に浮かび上がらせてフライする方法であり、フライの途中で生地を反転させ、片面ずつフライする。ドーナツの生地の重量、形などにより一概にはいえないが、片面のフライ時間は約1分〜約1分30秒、総フライ時間は約2分〜約3分行うのが好ましい。例えば、潜行式の場合では、油中にドーナツ生地を落とし、網などで油面上に生地が浮かばないように、沈めたままフライする方法であり、フライ時間は約1分30秒〜約2分が好ましい。
なお、冷凍したドーナツ生地をフライする場合においては、解凍は特に必要ない。冷凍生地は製造後、冷凍保存期間の後、解凍され、あるいはそのまま直ちにフライされる。
【0029】
以上の製造方法により製造されたドーナツは、電子レンジで温めてもドーナツおよびパン粉ともにさっくりとした食感を有する。電子レンジで温める時間は、特に限定されない。
また、ドーナツを電子レンジ耐熱性の包装紙に包んだまま温めることもできる。電子レンジ耐熱性の包装紙の種類は特に限定されない。例えば、特開2001−019062、特開平11−320774などが挙げられる。ドーナツを電子レンジ耐熱性の包装紙に包んだまま温めた場合においても、本発明の製造方法においては、ドーナツおよびパン粉ともにさっくりとした食感を有するドーナツが得られる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、以下の開示は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の技術的範囲を何等限定するものではない。
【0031】
実施例
[イーストドーナツの配合]
強力粉(ヘルメス:奥本製粉株式会社製) 70重量部
薄力粉(マーキュリー:奥本製粉株式会社製) 30重量部
グラニュー糖 8重量部
食塩 1.6重量部
ショートニング 2重量部
脱脂粉乳 2重量部
卵 10重量部
イースト 4重量部
イーストフード 2重量部
ベーキングパウダー 1重量部
水 43重量部
【0032】
[工程]
混捏:常法による。
捏ね上げ温度:26℃
発酵:28℃、35分
分割:50g
ベンチタイム:20分
成型:きれいに丸めて、少し押圧。
ホイロ:38℃、RH(相対湿度)65%、40分
焼成:180℃、12分
冷却:25℃、60分
インジェクション:インジェクター使用。フィリングは(1)カレーフィリング、(2)クリームコロッケの具の2種を各々30g充填。即、次工程に進むものと、冷凍工程から凍結保存を一週間行い、解凍工程を施し、次工程に進むものを作製。
バッター付け:バッターはスペシャルバッター(奥本製粉株式会社製)100重量%に対して冷水300重量%を加えて攪拌混合したものを使用。
パン粉付け:生白パン粉使用。即、次工程に進むものと冷凍工程から凍結保存を一週間行い、解凍工程を施し、次工程に進むものを作製。
フライ:180℃、1分30秒(潜行式)
【0033】
比較例1
[イーストドーナツの配合]
実施例と同じ。
[工程]
混捏からベンチタイムまでは実施例と同じ。
成型:(1)カレーフィリング、(2)クリームコロッケの具、各々30gをイーストドーナツ生地で包んだ。
フィリングを包んだものを水に浸漬し、パン粉を付けた。
ホイロ:実施例と同じ。
フライ:180℃、2分(潜行式)
【0034】
比較例2
[イーストドーナツの配合]
実施例と同じ。
[工程]
混捏からベンチタイムまでは実施例と同じ。
成型:(1)カレーフィリング、(2)クリームコロッケの具、各々30gをイーストドーナツ生地で包んだ。
実施例と同じバッター液を付け、パン粉を付けた。
ホイロ:実施例と同じ。
フライ:180℃、2分(潜行式)
【0035】
実施例により製造されたイーストドーナツは内相のキメが均一であり、フィリングと生地の間に空洞がなく、ボリュームが大きい。食感は口溶けがよく、吸油が少なく、油のベタツキがない。また、電子レンジで再加熱しても油のベタツキがなく、表面がさっくりとした揚げ立ての食感であった。
また、インジェクション後、冷凍し、解凍後に次工程に進めたもの、パン粉付け後に冷凍し、解凍後に次工程に進めたものも上記の結果と同様に良好な製品が得られた。
【0036】
比較例1により製造されたイーストドーナツにおいては、内相はフィリングの下部のキメが詰まっており、フィリングと生地の間に空洞が生じた(特にフィリング(2)が大きかった)。ボリュームは実施例より小さく、フライ後30分で底部がやや縮んだ。食感はフィリング下部の口溶けが実施例と比較して、明らかに劣り、吸油が多く、表面が油でベタツク。電子レンジで再加熱すると油のベタツキがさらに増し、表面のさっくり感はなかった。
【0037】
比較例2により製造されたイーストドーナツにおいては、内相はフィリングの下部のキメが比較例1よりはましであるが詰まっており、フィリングと生地との間に空洞が生じた(特にフィリング(2)が大きかった)。ボリュームは実施例より小さい。食感はフィリング下部の口溶けが実施例と比較して劣り、吸油が多く、底面が油でベタツク。電子レンジで再加熱すると底部の油のベタツキがさらに増し、表面のさっくり感は実施例より劣った。
【0038】
また、フィリングに用いたクリームコロッケの具は通常のドーナツ用のフィリングとしては柔らかいものであるが、比較例1および2ではフライ中にフィリングの噴出しが認められたが、実施例において噴出しは全く認められなかった。
【0039】
【発明の効果】
本発明のドーナツの製造方法は、従来の技術では困難であった、電子レンジで温めた後でもドーナツおよびパン粉ともにさっくりとした食感を有し、味覚、風味ともに優れたドーナツを製造することができる。
Claims (8)
- ドーナツ生地を分割・成型に付する工程と、次いで包餡工程を経ることなくホイロに付する工程と、次いで焼成または蒸しに付する工程と、次いでインジェクターを用いるインジェクションに付する工程と、次いでバッター付けおよびパン粉付けに付する工程、および、食用に供するためフライに付する工程を含むことを特徴とするイーストドーナツの製造方法。
- 焼成または蒸しに付する工程とインジェクションに付する工程との間に冷凍する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のイーストドーナツの製造方法。
- インジェクションに付する工程とバッター付けおよびパン粉付けに付する工程との間に冷凍する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のイーストドーナツの製造方法。
- バッター付けおよびパン粉付けに付する工程とフライに付する工程との間に冷凍する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のイーストドーナツの製造方法。
- フライを170℃〜190℃の温度範囲で、反転式で2分〜3分又は潜行式で1分30秒〜2分行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のイーストドーナツの製造方法。
- フライ工程後に、得られたイーストドーナツをさらに電子レンジ耐熱性の包装紙で包装することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のイーストドーナツの製造方法。
- 包装後に、包装されたイーストドーナツを電子レンジで温めることを特徴とする請求項6に記載のイーストドーナツの製造方法。
- イーストドーナツが、電子レンジで温めた後でもさっくりした食感を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のイーストドーナツの製造方法。
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